以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンタについて示している。カラープリンタ100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラ9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙S上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙S上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Sは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラ11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、中間転写ベルト8の回転方向において二次転写ローラ9の下流側には、中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラ12bから所定のタイミングで駆動ローラ11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラ9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙S上に転写される。トナー像が転写された転写紙Sは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Sは、定着ローラ対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Sの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Sの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Sの一部を一旦排出ローラ対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Sは排出ローラ対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Sの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
図2は、第1実施形態の現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aの長手方向両端に形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1に対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じてトナーコンテナ4aからトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。
また、現像容器20には規制ブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、規制ブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、規制ブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラ23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された磁石部材23bで構成されており、磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。磁石部材23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31は共通のグランドに接地されている。
第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続されており、現像ローラ23に印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及び磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)、Vmag(AC)を可変できるようになっている。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。規制ブレード25には固定マグネット体22bの規制極36が対向するため、規制ブレード25として非磁性体或いは磁性体を用いることにより、規制ブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
この磁界により、規制ブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ22上の磁気ブラシは規制ブレード25によって層厚規制された後、現像ローラ23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ23表面に接触する。そして、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図3は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図3(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路31から印加される。
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図3(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図3で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像スリーブ23aの回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
さらに回転スリーブ22aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の剥離極38により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ23から回転スリーブ22a上に回収される。さらに回転スリーブ22aが回転すると、固定マグネット体22bの剥離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、規制ブレード25へ搬送される。
次に、現像ローラ23を構成する現像スリーブ23aについて詳述する。現像スリーブ23aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のスリーブ本体の外周面にコート層を形成したものである。コート層は、現像スリーブ23a上に供給されたトナーの固着を抑制し、現像ローラ23から感光体ドラム表面へのトナーの移送が比較的容易に行われるようにする。さらに、コート層が現像剤に与える機械的ストレスは金属表面に比べて少ないため、現像剤搬送量を増加させたときの現像ローラ23からのトナー回収性の向上と現像剤の劣化防止との両立を図ることができる。
コート層の材質としては、シリコン変性ポリウレタンの他、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、正帯電トナーの樹脂材料と帯電性が近く、トナーの剥離性が良好なウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。中でも、ウレタン樹脂の炭素の一部をケイ素に置換したシリコン変性ポリウレタン樹脂を用いた場合、ウレタン樹脂の吸湿性が改善されて環境変化に対するコート層の帯電特性の変化が抑制されるため好ましい。
なお、コート層には抵抗調整剤として酸化チタンを含有させて、コート層の体積抵抗値を調整し、且つ抵抗ムラを抑制している。これにより、トナー層の帯電状態の安定化とトナー回収時における剥離性を図ることができる。体積抵抗値としては、現像ローラ23表面の残留電荷を適度に滞留可能な104〜108Ω・cm程度が好ましい。
また、コート層の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、コート剤をスプレー、ディッピング、ロールコート等により塗布した際に通常得られる表面粗さとするか、或いはウレタンビーズなどの表面粗さ調整剤を付与して0.4〜1.5μmに調整されている。
また、コート層を形成する前に、スリーブ本体の外周面をアルマイト処理してアルマイト層を形成しても良い。この構成によれば、スリーブ表面に形成されたアルマイト層が電荷のバリア層としての機能を有するため、現像ローラ23へ現像バイアスを印加する際のリークの発生を防止することができる。
次に、本発明の現像装置に用いられる二成分現像剤について説明する。二成分現像剤は、トナーとキャリアとを含有するものである。二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの重量比(T/C)は、キャリア100重量部に対してトナー5〜20重量部が好ましく、8〜15重量部がより好ましい。
トナーはトナー母粒子に外添剤を添加したものである。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含有するものである。トナー母粒子には、必要に応じて離型剤、電荷制御剤、磁性粉等を含有させてもよい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、5〜12μmが好ましく、6〜10μmがより好ましい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、コールター社製、マルチサイザーII型)によって測定する。トナー母粒子は、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、重合法等の公知の方法で製造される。外添剤の添加量は、トナー母粒子100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
キャリアとしては、磁性体の粒子、または結着樹脂中に磁性体を分散させた樹脂粒子が用いられる。磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合物等が挙げられる。磁性体の粒子は、焼結法、アトマイズ法等の公知の方法によって製造される。キャリアは、その表面に、コート樹脂からなる被覆層を有していてもよい。
本発明においては、トナーの外添剤として一次粒子径が20〜200nmであり、現像スリーブ23aのコート層に添加される酸化チタンと同極性の酸化チタンを用いることを特徴としている。現像スリーブ23a表面に外添剤が付着する要因としては、外添剤の粒子径が非常に小さいため、スリーブ表面のコート層と外添剤との物理的付着性が非常に大きくなることと、それに加えてスリーブ表面のコート層と外添剤との間に静電的付着力が作用することが挙げられる。
このうち、外添剤としての機能は粒子径に依存するところが大きいため、粒子径を大きくして物理的付着性を低下させることはできない。しかし、静電的付着力については外添剤とコート層とを電気的に同極性にすることで低下させることができる。具体的には、トナー母粒子に外添剤として処理されている酸化チタンとして、現像スリーブ23aのコート層中に添加される酸化チタンと帯電性が同極性のものを使用する。
次に、酸化チタンの極性(帯電特性)をコントロールする方法について説明する。酸化チタンの帯電性は疎水化処理の度合いによって調整することができる。即ち、疎水化処理の度合いが大きいほど、酸化チタン表面の水酸基(−OH基)が少なくなり正帯電性が大きくなる。逆に疎水化処理の度合いが小さいほど、酸化チタン表面の水酸基が多くなり負帯電性が大きくなる。
疎水化処理の方法としては、酸化チタンをデシケータに保存して脱水処理した後、酸化チタン微粉末とシランカップリング剤とをトルエン中で反応させて酸化チタン表面の水酸基を疎水化処理する方法が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略構成図であり、右側を画像形成装置の前方側として図示している。図1と共通する部分には同一の符号を付している。図4に示すように、モノクロプリンタ101の本体下部には、積載された転写紙を収容する用紙カセット16が配置されている。この用紙カセット16の上方には、本体前方から本体後方へ略水平に延び、更に上方へ延びて本体上面に形成された排出トレイ17に至る用紙搬送路が形成されており、この用紙搬送路に沿って上流側から順に、給紙ローラ12a、レジストローラ対12b、画像形成部P、定着部13及び排出ローラ対15が配置されている。
画像形成部Pは、図4において時計回りに回転可能に軸支された感光体ドラム1と、この感光体ドラム1の周囲に配置されるスコロトロン式の帯電器2、現像装置3、クリーニング部7、用紙搬送路を挟んで感光体ドラム1に対向するように配置される転写ローラ6及び感光体ドラム1の上方に配置される露光装置5から構成されており、現像装置3の上方には、現像装置3へトナーを補給するトナーコンテナ4が配置されている。
帯電器2に所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム1の表面が一様に帯電させられる。次いで、露光装置5からの光照射により感光体ドラム1上に入力された画像データに基づく静電潜像が形成され、現像装置3により静電潜像にトナーが付着されて感光体ドラム1の表面にトナー像が形成される。そして、レジストローラ対12bから感光体ドラム1と転写ローラ6とのニップ部(転写位置)に転写紙(図示せず)が所定のタイミングで供給され、転写ローラ6により転写紙上に感光体ドラム1の表面のトナー像が転写される。
トナー像が転写された転写紙は、感光体ドラム1から分離されて定着部13に向けて搬送される。画像形成部Pにおいてトナー像が転写された転写紙は、定着部13に備えられた加熱ローラ及び加熱ローラ21に圧接される加圧ローラから成る定着ローラ対13aによって加熱、加圧され、転写紙に転写されたトナー像が定着される。
そして、画像形成部P及び定着部13において画像形成がなされた転写紙は、排出ローラ対15によって排出トレイ17に排出される。一方、転写後に感光体ドラム1の表面に残留しているトナーはクリーニング部7により除去される。そして、感光体ドラム1は帯電器2によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われる。
図5は、第2実施形態の現像装置の側面断面図である。第1実施形態の図2と共通する部分には同一の符号を付している。図5に示すように、現像装置3は、磁性トナーから成る一成分現像剤が収容される現像容器20内に、第1攪拌スクリュー21a、第2攪拌スクリュー21b、現像ローラ23、規制ブレード25が備えられている。
現像容器20の内部は、長手方向(図の紙面方向)に延在する仕切壁20aによって第1攪拌室20bと第2攪拌室20cとに区画されており、第1攪拌室20bには第1攪拌スクリュー21aが、第2攪拌室20cには第2攪拌スクリュー21bがそれぞれ配設されている。また、仕切壁20aは現像容器20の長手方向両端部には設けられておらず、この部分が第1攪拌室20bと第2攪拌室20cの間をトナーが移動する通路(現像剤受け渡し部)となっている。
現像ローラ23は、金属製の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23aの内部に固定された複数の磁極(ここでは3極)を有する磁石部材23bで構成されており、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bと略平行となるように第1攪拌室20b内に回転可能に軸支されている。現像ローラ23には、Vslv(DC)及びVslv(AC)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、第1バイアス回路30はグランドに接地されている。第1バイアス回路30には電圧可変装置33が接続されている。
感光体ドラム1の回転に応じて現像スリーブ23aが回転すると、磁石部材23bの磁力により現像スリーブ23aの表面にトナーが付着(担持)されてトナー層が形成される。そして、現像スリーブ23aに付着したトナーは、現像ローラ23と感光体ドラム1とが対峙する現像ニップ部において感光体ドラム1の表面電位と現像ローラ23に印加される現像バイアスとの電位差により感光体ドラム1へと飛翔して感光層に付着し、感光体ドラム1表面にトナー像が形成される。
規制ブレード25は、感光体ドラム1に供給するトナー量、すなわち現像ローラ23へのトナー付着量を規制するものであり、例えばSUS(ステンレス)等の磁性体が用いられる。そして、規制ブレード25は、その先端と現像ローラ23との間に所定の隙間(0.2〜0.3mm)が形成されるように配設されており、この規制ブレード25と現像ローラ23との間隔及び隙間に発生する磁界によって現像ローラ23へのトナー付着量が規制され、現像ローラ23の表面には数十ミクロンのトナー薄層が形成される。他の部分の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態においても、外周面にコート層を形成した現像スリーブ23aで現像ローラ23を構成し、コート層中の酸化チタンと帯電性が同極性の酸化チタンを外添剤として用いてトナーの表面処理を行うことで、外添剤(酸化チタン)とコート層の間に作用する静電的付着力を低下させて現像スリーブ23aへの酸化チタンの付着を抑制することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図1及び図4に示したタンデム式のカラープリンタ或いはモノクロプリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、ロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、コート層を有する現像ローラを備えた現像装置が搭載される種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
参考例
(酸化チタンの疎水化処理)
酸化チタン(チタン工業社製)100gをデシケータに24時間保存して脱水処理した後、酸化チタンとヘキサメチルジシラザン(有機合成薬品株式会社製)10gをトルエン500mL中で所定時間反応させ、酸化チタン表面の水酸基を疎水化処理した。
その後、ノンコートのフェライトキャリア(PTK社製)10gと酸化チタン0.1gを50mLのガラス瓶に投入し、ボールミルにて30分間混合した。混合物の帯電量をQMメータ(トレック社製)にて測定した。疎水化処理時間をそれぞれ30分、60分、90分、120分、150分、及び180分とした酸化チタンA〜Fの帯電量(μC/g)を表1に示す。
表1から、疎水化処理時間が長くなるにつれて酸化チタン表面の水酸基が疎水化されて減少するため、帯電が負から正に変化することが確認された。
図2に示した現像装置3aの、金属製の現像スリーブ23aをシリコーン樹脂(KBC1003、信越シリコーン社製)でコーティングし、コーティング液中に上記Aの酸化チタンを樹脂100重量部に対し100重量部添加した。一方、トナーの外添剤として上記Bの酸化チタンをトナー母粒子に対し1.5重量%添加し、このトナーとコーティングフェライトキャリアとから成る二成分現像剤を、キャリアに対するトナーの混合比率(T/C)を8重量%として現像装置3a内に投入した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Cに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Aに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Cに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Bに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Dに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Fに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Fに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Dに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Dに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Eに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Eに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Eに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
比較例1
トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Dに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
比較例2
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Cに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Eに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
比較例3
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Fに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Cに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
比較例4
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタンを上記Cに、トナーの外添剤として添加する酸化チタンを上記Dに変更する以外は実施例1と同様にして現像装置3aを構成した。
試験例1
実施例1〜8、及び比較例1〜4の現像装置3aを、図1に示すような試験機に搭載して耐久試験(印字率5%のテスト画像を10,000枚印字)を行い、2,500枚毎に画像濃度(ID;イメージデンシティ)、リーク発生の有無、スリーブ表面の抵抗値及びスリーブ表面に対する付着力を調査した。
なお、画像濃度は反射濃度計(スペクトロアイ、グレタグマクベス社製)により測定し、リーク発生は画像にリーク痕が確認できるか否かを目視により観察した。スリーブ表面抵抗は高抵抗率測定器(ハイレスターMCP−HT450、三菱化学社製)により測定し、スリーブ表面に対する付着力(以下、スリーブ付着力という)は粒子間付着力測定装置(ナノシーズ社製)により測定針の付着力を測定した。結果を表2に示す。
現像ローラへの電圧印加条件は、Vslv(DC)=50V、Vslv(AC)のVppを1.5kV、周波数を4kHz、Duty=50%とした。また、磁気ローラにはVmag(DC)=250V、Vmag(AC)のVppを2.0kVとして逆位相で印加した。
表2から明らかなように、コーティング液中に添加する酸化チタンとトナーの外添剤として添加する酸化チタンとを同極性(負と負、または正と正)とした実施例1〜8では、10,000枚の耐久後においてもスリーブ付着力は15nN以下であった。これは、外添剤として添加された酸化チタンと現像スリーブ表面のコート層との間に静電的反発力が作用するためスリーブ表面に酸化チタンが付着せず、スリーブ表面の平滑性が維持されるためにスリーブ付着力も増大しないものと考えられる。
また、外添剤の酸化チタンがスリーブ表面に付着し難いためスリーブ表面抵抗も耐久初期からほとんど低下せず、リークの発生も認められなかった。さらに、現像スリーブからのトナー回収性も向上し、現像スリーブ上に均一なトナー層が形成されるため、耐久後においても1.3以上のIDを維持しており、画像濃度の低下も認められなかった。
これに対し、コーティング液中に添加する酸化チタンとトナーの外添剤として添加する酸化チタンとを異極性(負と正、または正と負)とした比較例1〜4では、外添剤として添加された酸化チタンと現像スリーブ表面との間に静電的吸着力が作用するため、10,000枚の耐久後においてスリーブ付着力は50nNを超えた。また、外添剤の酸化チタンがスリーブ表面に付着し易いためスリーブ表面抵抗も耐久初期から大幅に低下し、比較例1、3では5,000枚印字後に、比較例2、4では10,000枚印字後にリークの発生が認められた。さらに、耐久後においてIDが0.4〜1.1となり、画像濃度の低下も認められた。
試験例2
現像スリーブ23aのコーティング液中に添加する酸化チタン、トナーの外添剤として添加する酸化チタンの組み合わせを実施例1〜8、及び比較例1〜4と同様にして、図5に示した一成分現像方式の現像装置3を構成し、それぞれ実施例9〜16、及び比較例5〜8とした。
実施例9〜16、及び比較例5〜8の現像装置3を、図4に示すような試験機に搭載して耐久試験(印字率5%のテスト画像を10,000枚印字)を行い、試験例1と同様に2500枚毎に画像濃度(ID;イメージデンシティ)、リーク発生の有無、スリーブ表面の抵抗値及びスリーブ付着力を調査した。結果を表3に示す。
表3から明らかなように、コーティング液中に添加する酸化チタンとトナーの外添剤として添加する酸化チタンとを同極性(負と負、または正と正)とした実施例9〜16では、実施例1〜8と同様にスリーブ付着力及びスリーブ表面抵抗の上昇、リークの発生、及び画像濃度の低下は認められなかった。一方、コーティング液中に添加する酸化チタンとトナーの外添剤として添加する酸化チタンとを異極性(負と正、または正と負)とした比較例5〜8では、比較例1〜4と同様にスリーブ付着力及びスリーブ表面抵抗の上昇、リークの発生、及び画像濃度の低下が認められた。
以上の結果より、二成分現像方式、一成分現像方式のいずれにおいても、コーティング液中に添加する酸化チタンとトナーの外添剤として添加する酸化チタンとを同極性とすることで、酸化チタンの付着によるスリーブ付着力の上昇、リークの発生、濃度低下、履歴現像等の不具合を効果的に抑制できることが確認された。
なお、上記実施例は本発明の一構成例にすぎず、ドラム表面電位や現像ローラ及び磁気ローラへの電圧印加条件等は装置の仕様や使用環境に応じて適宜設定することができる。