以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とを含む複数の張架ローラに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラ対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラ対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラ対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラ対15を介して排出トレイ17に排出される。
図2は、本発明の画像形成装置に用いられる現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aの両端に形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラ22が配置され、磁気ローラ22の左斜め上方には現像ローラ23が対向配置されている。そして、現像ローラ23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラ22及び現像ローラ23は図中時計回りに回転する。
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサ(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
磁気ローラ22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブ22aに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。磁気ローラ22と現像ローラ23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラ22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラ22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラ22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラ23は、非磁性の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラ側磁極23bで構成されている。現像ローラ側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
現像ローラ23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)を印加する第1バイアス回路30が接続されており、磁気ローラ22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)を印加する第2バイアス回路31が接続されている。また、第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31は共通のグランドに接地されている。
第1バイアス回路30及び第2バイアス回路31には電圧可変装置33が接続されており、現像ローラ23に印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及び磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)、Vmag(AC)を可変できるようになっている。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ22に搬送される。穂切りブレード25には固定マグネット体22bの規制極36が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは規制極36と異なる極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラ22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラ23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラ側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラ23表面に接触する。そして、磁気ローラ22に印加されるVmag(DC)と現像ローラ23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラ23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラ23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラ22と現像ローラ23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラ23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図3は、現像ローラ23及び磁気ローラ22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図3(a)に示すように、現像ローラ23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が第1バイアス回路30から印加される。また、磁気ローラ22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が第2バイアス回路31から印加される。
従って、磁気ローラ22及び現像ローラ23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図3(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図3で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
磁気ブラシによって現像ローラ23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラ23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラ23との対向部分に搬送される。現像ローラ23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
さらに回転スリーブ22aが時計回りに回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の剥離極38により発生する水平方向(ローラ周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラ23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラ23から回転スリーブ22a上に回収される。さらに回転スリーブ22aが回転すると、固定マグネット体22bの剥離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
次に、磁気ローラ22を構成する回転スリーブ22aについて詳述する。本発明においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のスリーブ本体の外周面をブラスト処理した後、アルマイト処理によりアルマイト層(アルミニウムの酸化被膜)を形成した回転スリーブ22aが好適に使用できる。スリーブ本体のブラスト処理により、後述するような円形度が0.95〜0.98である球形キャリアを用いた場合でも磁気ローラ22から現像ローラ23へ現像剤を供給する際の回転スリーブ22a上での現像剤の滑りを抑制できる。その結果、現像ローラ23と磁気ローラ22との対向部分における現像剤を安定して供給することができ、現像ローラ23からのトナー回収性も向上するため、現像ローラ23上に均一なトナー薄層を形成可能となる。
ブラスト処理は、所定の粒径を有するステンレス、アルミニウム、鋼鉄、ニッケル、真鍮のような金属粉、またはセラミック、プラスチック、ガラスビーズなどの各種砥粒を使用することができる。
アルマイト層は、中心に微細孔を有する六角柱状のセルの集合体であり、微細孔の底面がアルミ素地との界面(バリア層)となる。スリーブ表面をアルマイト処理することにより、表面に形成されたアルマイト層が電荷のバリア層としての機能を有するため、磁気ローラ22の耐リーク性が向上する。なお、アルマイト層の表面に抵抗調整剤を添加したコート層を形成することで、磁気ローラ22のインピーダンスZmを調整できる。
次に、現像ローラ23を構成する現像スリーブ23aについて詳述する。現像スリーブ23aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のスリーブ本体をアルマイト処理することにより外周面にアルマイト層が形成されており、アルマイト層の表面には樹脂材料からなるコート層が積層されている。アルマイト層は、現像ローラ23へ現像バイアスを印加する際のリークの発生を防止する。
コート層は、現像スリーブ23a上に供給されたトナーの固着を抑制し、現像ローラ23から感光体ドラム表面へのトナーの移送が比較的容易に行われるようにする。さらに、コート層が現像剤に与える機械的ストレスは金属表面に比べて少ないため、現像剤搬送量を増加させたときの現像ローラ23からのトナー回収性の向上と現像剤の劣化防止との両立を図ることができる。
コート層の材質としては、シリコン変性ポリウレタンの他、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、正帯電トナーの樹脂材料と帯電性が近く、トナーの剥離性が良好なウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。中でも、ウレタン樹脂の炭素の一部をケイ素に置換したシリコン変性ポリウレタン樹脂を用いた場合、ウレタン樹脂の吸湿性が改善されて環境変化に対するコート層の帯電特性の変化が抑制されるため好ましい。
なお、コート層に抵抗調整剤を含有させることにより、現像ローラ23のインピーダンスZdを調整し、且つ抵抗ムラを抑制できる。抵抗調整剤としてはカーボンブラックやアセチレンブラック、繊維形状のチタン酸カリウム等が挙げられる。
次に、本発明の現像装置に用いられる二成分現像剤について説明する。二成分現像剤は、トナーとキャリアとを含有するものである。二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの重量比(T/C)は、キャリア100重量部に対してトナー5〜20重量部が好ましく、8〜15重量部がより好ましい。
トナーはトナー母粒子に外添剤を添加したものである。トナー母粒子は、結着樹脂および着色剤を含有するものである。トナー母粒子には、必要に応じて離型剤、電荷制御剤、磁性粉等を含有させてもよい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、5〜12μmが好ましく、6〜10μmがより好ましい。トナー母粒子の重量平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、コールター社製、マルチサイザ−II型)によって測定する。トナー母粒子は、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、重合法等の公知の方法で製造される。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機酸化物、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等が挙げられる。外添剤の量は、トナー母粒子100重量部に対して、通常0.1〜5重量部である。
キャリアとしては、磁性体の粒子、または結着樹脂中に磁性体を分散させた樹脂粒子が挙げられる。磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合物等が挙げられる。磁性体の粒子は、焼結法、アトマイズ法等の公知の方法によって製造される。キャリアは、その表面に、コート樹脂からなる被覆層を有していてもよい。
キャリアの個数平均粒径は25〜50μmであり、35〜45μmが好ましい。キャリアの個数平均粒径を25μm以上とすることにより、二成分現像剤の流動性の低下が抑えられ、トナーの帯電量が過剰になることがなく、濃度ムラが抑えられる。キャリアの個数平均粒径を50μm以下とすることにより、キャリアの比表面積が大きくなり、キャリアが担持できるトナーの量が増える。これにより、磁気ブラシ中のトナー濃度を高い状態で維持することができ、現像ローラへのトナー供給が十分に行われるため、トナー層の厚さを十分に確保できる。その結果、トナー層から感光体の静電潜像に飛翔するトナーの量を十分に確保でき、画像濃度の低下が抑えられ、さらには画像の濃度ムラが抑えられる。また、現像ローラ23へのトナー供給が十分に行われるため、現像ローラ23のトナー層にトナー欠落部分が形成されにくくなり、履歴現像の発生が抑えられる。
キャリアの個数平均粒径は、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックス社製、FPIA−2100)を用いて測定する。ただし、10μm以下の微粒子については、測定から除外する。
キャリアの粒度分布における変動係数(CV)は、5〜20%であり、7%〜15%が好ましい。CVを20%以下とすることにより、キャリアの粒径が揃う(粒度分布がシャープになる)ため、トナーを適切な帯電量で、かつ均一に帯電させることができる。その結果、画像の濃度ムラが抑えられる。また、トナーを均一に帯電させることによって、大粒径のトナーが選択的に消費される、いわゆる選択現像性が抑えられる。トナーの選択現像性が抑えられることにより、二成分現像剤中のトナー微粉の増加が抑えられ、帯電量の上昇が抑えられる。また、微粉量の増加が抑えられ、二成分現像剤の流動性の低下が抑えられることにより、キャリアへのストレスが減少し、トナースペント、キャリアコート剥がれ等のキャリア劣化が抑えられ、二成分現像剤の長寿命化が図れる。CVを5%以上とすることにより、キャリアの粒径が揃いすぎて二成分現像剤の流動性が過度に高くなることがなく、トナーを十分に帯電できるため、カブリ、トナー飛散等の発生が抑えられる。
変動係数CVは、フロー式粒子像分析装置を用いたフロー式画像解析法により個数平均粒径を測定し、さらに該粒度分布における標準偏差を求め、下記式から求める。
CV=(標準偏差/個数平均粒径)×100
キャリアの円形度は0.95〜0.98であり、0.96〜0.97が好ましい。キャリアの円形度を0.95以上とすることにより、二成分現像剤の流動性が良くなり、トナーを均一に帯電できる。キャリアの円形度を0.98以下とすることにより、二成分現像剤の流動性が過度に高くなることがなく、トナーを十分に帯電できるため、カブリ、トナー飛散等の発生が抑えられる。また、キャリアの個数平均粒径を25〜50μm、円形度を0.95〜0.98とすることにより、磁気ブラシが自由度のある穂となるため、現像ローラ23上の残トナーを磁気ローラ22の磁気ブラシで十分に剥ぎ取ることができ、履歴現像の発生が抑えられる。
円形度は、フロー式粒子像分析装置を用いたフロー式画像解析法により、以下の式から各粒子(キャリア)の円形度を求め、1000〜1500個の粒子の円形度を平均したものである。
円形度=粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長/粒子の投影像の周囲長
本発明においては、現像剤がないときの磁気ローラ22と現像ローラ23との間のインピーダンスをZ0、キャリアだけで磁気ブラシを形成した場合の磁気ローラ22と現像ローラ23間のインピーダンスをZc、現像ローラ23及び磁気ローラ22のインピーダンスをそれぞれZd、Zmとするとき、以下の式(1)、(2)を満たすようにしたものである。
0.38Z0≦Zc≦0.78Z0 ・・・(1)
Zc>Zd+Zm≧1E+4 ・・・(2)
Z0は磁気ローラ22と現像ローラ23のギャップとZd、Zmの合成インピーダンスであり、基本的にはギャップが最も支配的な因子となる。そして、MS間にキャリアを充填したときのインピーダンスがZcである。Zc>Zd+Zmの場合にはZcはギャップのインピーダンスに支配されるため、Zcはキャリアが充填されることにより小さくなり、Z0よりも低い値を示すようになる。Zcの値が小さくなるとMS間での現像剤の供給及び回収が盛んに行われるようになり、履歴現像や濃度追随不良のない良好な画像を得ることができるが、Zcが小さくなりすぎるとMS間でリークが発生してしまう。
Zd、Zmが低い場合にはキャリア抵抗、磁気ブラシ量、磁気ブラシ密度がZcを制御する主要なパラメータとなるが、球形キャリアを使用することで磁気ブラシの密度が向上し、Zcの値を適切な範囲に抑えることが容易になる。また、Zcが適切な範囲を満たしても、ZdとZmの双方のインピーダンスが低下するとMS間にかかる電界が過剰になり、リークが発生する。Zd若しくはZmのどちらか一方の値が1E+4Ω(10,000Ω)を超えていれば、MS間リークを防止できる。逆に、ZdやZmが高くなりすぎると磁気ブラシの影響を受けなくなる。この状態になると磁気ブラシに十分な電界がかからなくなるため好ましくない。
そこで、インピーダンスZ0、Zc、Zd、及びZmが上記式(1)、(2)を満たすようにすることで、磁気ローラ22の周速が500mm/秒を越えるような高速領域においても、或いは低温低湿環境でトナーの帯電量が上がった場合においても、履歴現像や濃度追随不良のない現像装置を提供することができる。また、上述したような円形度が0.95〜0.98の球形キャリアを用いることで、従来よりも磁気ブラシ密度が向上し、上記のインピーダンス条件に合わせやすくなるとともに、トナーとの付着力も軽減されるため、履歴現像や濃度追随不良をより効果的に抑制することができる。
次に、インピーダンスZ0、Zc、Zd、及びZmの測定方法について説明する。Z0、Zcの測定方法は、磁気ローラ22、現像ローラ23、交流電源40、及び参照抵抗41を用いて図4に示すような回路を組み立て、交流電源40により例えば周波数3kHz、Vpp1.0kV、Vdc0Vの交流バイアス(サイン波)を印加する。そして、参照抵抗41(Rref=1MΩ)にかかる電圧Vr及び位相差φをオシロスコープにより測定する。測定されたVr、φ、及び印加電圧V0(=1.0kV)を用いて下記式(3)〜(5)によりインピーダンスZを算出する。
Z=√a2+b2 ・・・(3)
実数成分a=(V0/Vr*cosφ−1)Rref・・・(4)
虚数成分b= V0/Vr*sinφRref ・・・(5)
また、Zd、Zmの測定方法は、磁気ローラ22または現像ローラ23、交流電源40、参照抵抗41、対向電極43を用いて図5に示すような回路を組み立て、交流電源40により例えば周波数3kHz、Vpp100V、Vdc0Vの交流バイアス(サイン波)を印加する。そして、参照抵抗41(Rref=1MΩ)にかかる電圧Vr及び位相差φをオシロスコープにより測定する。測定されたVr、φ、及び印加電圧V0(=100V)を用いて上記式(3)〜(5)によりインピーダンスZを算出する。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンタ及びロータリー現像式のカラープリンタ及びカラー複写機、ファクシミリ等、現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
メチルシリコーン樹脂(信越シリコーン社製、KR−251)10質量部を溶媒(トルエン)500質量部に希釈した樹脂液を用い、キャリア心材(球状フェライト粒子、重量平均粒子径35μm)1000質量部を浸漬法により被覆した。キャリア心材を樹脂液で被覆した後、加熱処理装置(日本ニューマチック社製、サフュージョンシステム)を用いて250℃で3時間焼付けを行い、解砕、粗粉除去を行って、円形度0.966、粒径35μmのキャリアを得た。このキャリアを、メッシュを用いてさらに分級し、円形度0.967、粒径50μmのキャリア及び、円形度0.955、粒径25μmのキャリアを得た。
キャリアの個数平均粒径および円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA−2100)にて測定した。ただし、粒径が10μm以下の微粒子については、測定から除外した。
キャリア心材として重量平均粒子径45μmのフェライト粒子を用いる以外は実施例1と同様の方法により、円形度0.912、粒径45μmのキャリアを得た。
直径20mmのアルミスリーブの外周面に14μmのアルマイト層を形成し、抵抗調整剤としてケッチェンブラックを添加したシリコン変性ポリウレタン樹脂から成る15μmのコート層を積層した現像スリーブ内に現像ローラ側磁極を配置した。なお、ケッチェンブラックの添加量によりコート層を中抵抗及び低抵抗に調整し、インピーダンスZdが1.61E+5Ω及び3.24E+3Ωである2種類の現像ローラを作製した。
直径20mmのアルミスリーブの外周面にセラミック砥粒を用いて表面粗さ(最大高さ)Rzが17μmとなるようにブラスト処理を施した後に、14μmのアルマイト層を形成した回転スリーブと、低抵抗に調整された15μmのコート層を形成した回転スリーブを作製し、各回転スリーブ内に、主極85mT、規制極(穂切り極)60mT、汲上極、剥離極35mT、搬送極65mTの5極構成の固定マグネット体を配置して、インピーダンスZmが1.52E+4Ω及び5.77E+3Ωである2種類の磁気ローラを作製した。表面粗さ測定は、ACCRETECH社製サーフコム(SURFCOM)1500DXを用いて行った。
試験例1
図2に示した本発明の現像装置が搭載された図1に示すような試験機において、実施例1及び2で製造した個数平均粒径、円形度の異なるキャリアを含む二成分現像剤を用い、実施例3及び4で製造したインピーダンスZd、Zmが異なる現像ローラ及び磁気ローラを用いてZ0、Zc、Zd、及びZmを変化させたときの、ベタ画像の濃度、濃度追随不良(履歴現像)、MS間リークの発生を比較した。なお、試験は感光体ドラム1a及び現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
試験機の条件としては、システム速度(感光体ドラム周速)を239mm/秒とし、現像ローラ周速を389mm/秒(感光体との対向面において順回転)、磁気ローラ周速を583mm/秒(現像ローラとの対向面においてカウンタ回転)とした。また、感光体−現像ローラ間ギャップを120μm、磁気ローラ−現像ローラ間ギャップを300μm、磁気ローラ−穂切りブレード間ギャップを350μmとした。
現像剤としては、平均粒径6.8μm、比重1.2の正帯電トナーと、実施例1及び2で作製した個数平均粒径、円形度の異なるコーティングフェライトキャリアとから成る二成分現像剤を用い、キャリアに対するトナーの混合比率(T/C)を9重量%とした。
現像ローラへの電圧印加条件は、Vslv(DC)=75V、Vslv(AC)のVppを1.3kV、周波数を3kHz、Duty=35%とした。また、磁気ローラにはVmag(DC)=300V、Vmag(AC)のVppを1.1kVとして逆位相で印加した。
評価方法としては、画像濃度については反射濃度計(グレタグマクベス社製、スペクトロアイ)を用いてベタ画像の濃度(ID;イメージデンシティ)を測定し、1.2以上である場合を○、1.1〜1.2である場合を△、1.1以下である場合を×とした。濃度追随性(履歴現像)については画像を目視により観察し、問題のない場合を○、追随不良(履歴現像)が確認されるが実用上問題のない場合を△、明らかに問題のある場合を×とした。また、MS間におけるリークについては画像を目視により確認し、リーク痕の無い場合を○、リーク痕が認められる場合を×とした。評価結果を表1に示す。
また、キャリアの個数平均粒径および円形度の測定結果をインピーダンスZ0、Zc、Zd、Zm、Zc/Z0、Zd+Zmと合わせて表1に示す。なお、比較例5の現像ローラにはアルミスリーブを用いた。Zdは低すぎて測定できなかった。
表1から明らかなように、Z0、Zc、Zd、及びZmが0.38Z0≦Zc≦0.78Z0、Zc>Zd+Zm>1E+4を満たす本発明1〜5においては、いずれも画像濃度低下及びMS間のリークは認められず、濃度追随性も大きな問題はなかった。特に、円形度が0.95〜0.98のキャリアを用いた本発明1、2、及び5では濃度追随性がさらに向上した。
これに対し、Zc>0.78Z0である比較例1、4では、MS間での現像剤の供給及び回収が円滑に行われず、濃度低下や濃度追随不良(履歴現像)が発生した。また、Zc<0.38Z0である比較例2、5では、Zc/Z0が小さすぎてMS間でリークが発生した。また、コート層が剥がれた部分で放電を起こし、MS間リークも発生した。さらに、Zd+Zm<1E+04である比較例3、5では、MS間にかかる電界が過剰になり、MS間リークが発生した。
以上の結果より、インピーダンスZ0、Zc、Zd、及びZmが式(1)、(2)を満たすように設定することで、濃度低下、履歴現像等の画像不良やMS間リークを効果的に抑制できることが確認された。図6に示すように、横軸にZc/Z0、縦軸にZd+Zmを取り、本発明1〜5(図の◆印)、比較例1〜5(図の×印)をプロットすると、本発明の範囲は、Zc/Z0=0.38、Zc/Z0=0.78、Zd+Zm=1E+4、及びZc=Zd+Zm(図の破線)の4本の直線で囲まれたハッチング領域となる。
また、個数平均粒子径が25〜50μm、円形度が0.95〜0.98の球形キャリアを用いることにより、現像ローラ−磁気ローラのニップ部における磁気ブラシ密度を高めることができ、磁気ローラの周速が速い高速機においても現像性能を維持できることが確認された。なお、ここではシアンの画像形成部Paを用いて試験を行ったが、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像形成部Pb〜Pdにおいても同様の結果が得られることが確認されている。
なお、上記実施例は本発明の一構成例にすぎず、ドラム表面電位や現像ローラ及び磁気ローラへの電圧印加条件等は装置の仕様や使用環境に応じて適宜設定することができる。