JP2008122952A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像ロールと潜像担持体との間のバイアス電圧を大きくする手法を用いずに、現像ロールから潜像担持体へのトナーの移送を良好にして、高速化と高画質化とを併せて実現可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロール17と、磁気ロール17上のニ成分現像剤から移送されるトナーの薄層を表面に形成する現像ロール18と、現像ロール18との間に印加される現像バイアスによって現像ロール18上のトナーを用いた潜像の現像が行われる潜像担持体7とを備える画像形成装置1であって、現像ロール18は、表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロールと、磁気ロール上のニ成分現像剤から移送されるトナーの薄層を表面に形成する現像ロールと、現像ロールとの間に印加される現像バイアスによって現像ロール上のトナーを用いた潜像の現像が行われる潜像担持体とを備える画像形成装置に関する。
電子写真技術を利用した画像形成装置として、トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロールと、その磁気ロール上のニ成分現像剤から移送されるトナーの薄層を表面に形成する現像ロールと、その現像ロールとの間に印加される現像バイアスによって現像ロール上のトナーを用いた潜像の現像が行われる潜像担持体とを備えたものがある(例えば、特許文献1を参照)。ニ成分現像剤を用いた場合、装置の長寿命化が可能であると共に、得られる画像の高画質化も可能となる。
特許文献1に記載の画像形成装置において上述したニ成分現像剤を調製するとき、トナーと磁性キャリアとを混合して攪拌し、両者を摩擦帯電させてトナーと磁性キャリアとを静電気力によって付着させている。また、磁気ロールに保持されたニ成分現像剤においては、磁性キャリアからトナーが飛散することを防止するために、トナーと磁性キャリアとの間の静電気力が十分に大きく調節されている。つまり、トナーの帯電量が十分に大きく調節されている。そして、帯電量がほぼ維持された状態でトナーが磁気ロールから現像ロールに移送されることになる。そして、帯電したトナーを、磁気ロールによって保持されたニ成分現像剤から現像ロールへ受け渡すために、現像ロールと潜像担持体との間にバイアス電圧が印加される。
特開2003−280357号公報
画像形成装置に求められる性能として、上述したような長寿命化及び高画質化と共に、高速化がある。高速化を達成するためには、磁気ロール、現像ロール及び潜像担持体を速い速度で回転させることが要求される。但し、これらを高速で回転させると、トナーが飛散するという問題がある。特に、磁気ロールを速い速度で回転させると、磁気ロールによって保持されているニ成分現像剤のうちのトナーが磁性キャリアから飛散してしまうという問題がある。
磁気ロールにおけるトナーの飛散を防止するためには、トナーと磁性キャリアとの間の静電気力を増大させれば、つまり、トナーの帯電量を増大させればよい。この場合、帯電量がほぼ維持された状態でトナーが磁気ロールから現像ロールに移送されるので、現像ロール上に付着したトナーの帯電量も大きいままとなる。
ところが、現像ロール上のトナーの帯電量が大きくなると、現像バイアスを増大させなければトナーが現像ロールから離れ難くなり、現像ロールから潜像担持体へのトナーの移送が制御し難くなるという問題がある。つまり、トナーによる潜像の現像が制御し難くなるという問題がある。そのため、画像濃度不良の発生や、現像に寄与しなかったトナーの剥ぎ取り不良による現像ゴーストなどの問題が発生する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像ロールと潜像担持体との間のバイアス電圧を増大させなくても、現像ロールから潜像担持体へのトナーの移送を良好にして、高速化と高画質化とを併せて実現可能な画像形成装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の特徴構成は、トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロールと、
前記磁気ロール上の前記ニ成分現像剤から移送される前記トナーの薄層を表面に形成する現像ロールと、
前記現像ロールとの間に印加される現像バイアスによって前記現像ロール上の前記トナーを用いた潜像の現像が行われる潜像担持体とを備え、
前記現像ロールは、表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層を有する点にある。
上記特徴構成によれば、現像ロールの表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層を形成することで、現像ロールの表面からトナーが離れ易くなる。つまり、現像ロールの被覆層として用いられるシリコン変性ポリウレタンの表面自由エネルギは比較的小さいので、現像ロール(シリコン変性ポリウレタン)とトナーとの付着力が小さくなる。よって、現像ロールと潜像担持体との間のバイアス電圧を大きくしなくても、現像ロールから潜像担持体へトナーを良好に移送させることができる。
従って、現像ロールと潜像担持体との間のバイアス電圧を増大させなくても、現像ロールから潜像担持体へのトナーの移送を良好にして、高速化と高画質化とを併せて実現可能な画像形成装置を提供できる。
本発明に係る画像形成装置の別の特徴構成は、前記シリコン変性ポリウレタンからなる前記被覆層は、面積固有抵抗が105〜108Ωである点にある。
上記特徴構成によれば、現像ロールの被覆層の面積固有抵抗が105Ω未満である場合には、トナーの電荷が抜け(リークし)、他の電気部品にノイズなどの悪影響を与え得る。また、現像ロールの被覆層の面積固有抵抗が108Ωを超える場合には、トナーに電位がかからず、絶縁破壊が発生する可能性がある。
ところが、上記特徴構成では、被覆層の面積固有抵抗が105〜108Ωであるので、上述のような問題が発生しないようにできる。
本発明に係る画像形成装置の別の特徴構成は、前記シリコン変性ポリウレタンからなる前記被覆層は、表面粗さRaが0.4〜1.5μmである点にある。
上記特徴構成によれば、被覆層の表面粗さRaが0.4〜1.5μmであるので、現像ロールは、磁気ロールからトナーのみを良好に受け取ることができ、且つ、現像ロール上に残存するトナーを磁気ロールへ良好に受け渡すことができる。つまり、現像ロールの表面性を調整することで、磁気ロールから現像ロールへトナーを円滑に受け渡すことができ、且つ、現像ロールの被覆層の表面に残存している現像に寄与しなかったトナーの剥ぎ取りが磁気ロールによって良好に行われるようにして、画像形成装置の高画質化を達成できる。
本発明に係る画像形成装置の別の特徴構成は、前記現像ロールに交流バイアスを付与する点にある。
上記特徴構成によれば、トナーが交番電界によって揺さぶられることになるため、トナーの受け渡しが行われ易くなる。
本発明に係る画像形成装置の別の特徴構成は、前記潜像担持体の周速が180mm/秒以上である点にある。
上記特徴構成によれば、画像形成装置の高速化を達成できる。
以下に図面を参照して本発明の好適実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置1の概略的な構成図であり、図2は画像形成装置1が備える現像部3の概略的な構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、給紙部2から供給される記録媒体に対して、現像部3によって潜像担持体としての感光体7に現像されたトナー像を転写部4において転写する。紙などの記録媒体は、搬送部5によって定着部6に搬送され、転写されたトナー像の記録媒体への定着が行われた後で装置外へ排出される。また、本実施形態の画像形成装置1においては、4セットの現像部3、現像剤容器11及び転写部4が設けられており、各現像剤容器内に設置される4色のトナー(現像剤)を記録媒体に対して印画可能である。
図2に示すように、現像部3は、トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロール17と、その磁気ロール17上のニ成分現像剤から移送されるトナーの薄層を表面に形成する現像ロール18と、その現像ロール18との間に印加される現像バイアスによって現像ロール18上のトナーを用いた潜像の現像が行われる感光体7とを備える。第1現像剤攪拌室12には攪拌羽根がパドル型のパドルミキサ15が設けられ、第2現像剤攪拌室13には攪拌羽根がリボン型の攪拌ミキサ14が設けられる。また、本実施形態において、トナー粒径(体積平均粒径)は7.5μmであり、キャリア粒径(重量平均粒径)は45μmである。また、現像ロールの表面上のトナーの電荷量は25μC/gである。
本実施形態で用いるトナーは、内添剤と外添剤とで構成される。内添剤及び外添剤のそれぞれの配合組成は以下の通りである。
<内添剤>
ポリエステル樹脂 100質量部
カルバナワックス 10質量部
キナクリドン顔料 4質量部
4級アンモニウム 2質量部
<外添剤>
トナー粒子 100質量部
疎水性シリカ微粒子 1質量部
酸化チタン微粒子 0.5質量部
また、第2現像剤攪拌室13の内壁には、複数のセンサを備えたセンサ部21が第2現像剤攪拌室13の内部に露出して設けられている。各センサは、トナー濃度センサ、温度センサ、湿度センサなどである。このうち、トナー濃度センサは透磁率を測定するセンサであり、制御部22は、その透磁率を参照して、トナー濃度、つまり、トナーと磁性キャリアとの存在割合を検知する。また、制御部22は、トナーの帯電状態が温度及び湿度に依存して変化することを考慮して、温度センサ及び湿度センサの測定結果、及び、攪拌ミキサ14及びパドルミキサ15の攪拌状態を参照して、トナーの帯電量を検知する。
更に、感光体7を帯電させるための帯電部8と、帯電された感光体7の表面に潜像を形成するための露光部9が、感光体7の表面に対向して設けられている。帯電部8は、コロナ放電等を発生させることのできる放電器(図示せず)を備えており、その放電により感光体7の表面を帯電させるものである。また、磁気ロール17の表面に所定の電位を与えるバイアス電源19と、現像ロール18の表面に所定の電位を与えるバイアス電源20とが設けられている。バイアス電源19及びバイアス電源20は制御部22により制御され、磁気ロール17と現像ロール18との間のバイアス、及び、現像ロール18と感光体7との間の現像バイアスとが調節される。また、現像ロール18上の現像ニップ部23におけるトナーの帯電量を制御する帯電量制御手段(図示せず)を、現像ロール18の表面に対向して設けてもよい。この帯電量制御手段としての除電部は、帯電部8が備えるのと同様の放電器を備え、その放電器を放電させることにより放射される電荷(トナーとは逆極性の電荷)を用いて、現像ロール18上の現像ニップ部23におけるトナーの電荷を中和する装置で実現できる。
以下に、画像形成装置1の現像部3において、感光体7の表面にトナーの潜像を形成するための機構について説明する。
第1現像剤攪拌室12及び第2現像剤攪拌室13の内部に存在する磁性キャリアと、現像剤容器11から第1現像剤攪拌室12及び第2現像剤攪拌室13に投入されるトナーとは、第1現像剤攪拌室12及び第2現像剤攪拌室13においてパドルミキサ15及び攪拌ミキサ14によって混合されて、攪拌される。その結果、トナーと磁性キャリアとの間の摩擦帯電によって、トナーに対して所定の電荷が付与される。このときのトナーの帯電量は、パドルミキサ15及び攪拌ミキサ14による攪拌の程度によって調節される。
画像形成装置1の高速化を実現するとき、トナーの飛散を防止するために、トナーの帯電量を大きくしておくことが好ましい。磁気ロール17を速い速度で回転させると、磁気ロール17によって保持されているニ成分現像剤のうちのトナーが磁性キャリアから飛散してしまうからである。
攪拌され、磁性キャリアとトナーとが静電気力によって付着したニ成分現像剤は、磁気ロール17側に搬送され、そのニ成分現像剤のうちの磁性キャリアが磁気ロール17の磁力によって吸引されて付着する。磁気ロール17に付着したニ成分現像剤は、磁気ロール17の磁力によって複数個連なって、所謂、磁気ブラシを形成している。つまり、磁気ロール17は、その表面に多数の磁気ブラシを付着した状態で回転している。但し、磁気ロール17の近傍には、磁気ブラシの高さ(磁気ロール17の表面からの距離)を設定高さに制限するための穂切りブレード16が設けられている。その結果、磁気ロール17が回転して、磁気ロール17から伸びた磁気ブラシが現像ロール18に接触するとき、現像ロール18の方へ向かう磁気ブラシの高さは適切な高さになっていることが確保される。
磁気ロール17と現像ロール18との間には、制御部22によって所定のバイアスが印加されており、磁気ロール17の表面に保持されたニ成分現像剤のうち、磁気ロール17の磁力によって吸引されていない帯電したトナーのみが現像ロール18の表面に移送される。上述したように、複数のニ成分現像剤で構成された磁気ブラシは現像ロール18に接触する程度の高さに調節されているので、トナーを現像ロール18の表面に移送するために要するバイアスは小さくてもよい。そして、現像ロール18の表面に形成されたトナーは均一な層を形成し、引き続いて感光体7の潜像の現像に用いられる。
制御部22は、現像ロール18の表面に存在するトナーを感光体7の表面に移送させるとき、現像ロール18と感光体7との間の現像バイアスを調節する。但し、画像形成装置1の高速化を実現するためにトナーの帯電量が大きく調節されているとき、現像ロール18上に付着したトナーが感光体7の表面へ移送され難くなる可能性がある。
そのため、本実施形態の画像形成装置1において、現像ロール18は、表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aを有し、その結果、現像ロール18から感光体7の表面へのトナーの移送が比較的容易に行われるようにしてある。具体的には、現像ロール18の表面に形成される被覆層18aとしてのシリコン変性ポリウレタンは、面積固有抵抗が105〜108Ωであり、表面粗さRaが0.4〜1.5μmに調製されている。また、シリコン変性ポリウレタンの表面自由エネルギは15〜25mJ/cm2であ
る。
本実施形態において、被覆層18aの面積固有抵抗は、ADVANTEST社のデジタルエレクトロメータを用いて測定した。このとき、被覆層18aとデジタルエレクトロメータとの間の接触面積を大きくして、被覆層18aとデジタルエレクトロメータとの間に存在する抵抗を小さくするために、被覆層18aとデジタルエレクトロメータとの間に導電性のシートを介在させている。そして、被覆層18aとデジタルエレクトロメータとの間に100Vのバイアス電圧を印加した状態で、被覆層18aの面積固有抵抗を測定している。
また、被覆層18aの表面粗さ測定は、ACCRETECH社のサーフコム(SURFCOM)1500DXを用いて行った。
以下に、現像ロール18から感光体7へのトナー移送の行われ易さについて、現像ロール18の表面に形成される被覆層18aがシリコン変性ポリウレタンであり、その被覆層18aの面積固有抵抗が105〜108Ωであり、表面粗さRaが0.4〜1.5μmに調製されている場合の実施例1〜5と、それ以外の比較例1〜5とを比較して説明する。実施例1〜5及び比較例1〜5の被覆層18aは、以下の条件で調製してある。何れも、アルミニウムのパイプにコート剤を塗布すること又は表面処理によって被覆層18aを形成している。シリコン変性ポリウレタンの被覆層18aの面積固有抵抗は、被覆層18aのコート剤にアセチレンブラックなどの抵抗調整剤を適量加えることにより調整される。表面粗さRaについては、Raが0.3μm、0.4μmのものは、コート剤を塗布した際に通常得られる被覆層18aの表面粗さの範囲であり、その中から選別したものである。Raが1.0μm、1.5μm、1.6μmのものは、コート剤にウレタンビーズなどの表面粗さ調整剤を付与して作成したものである。
<実施例1>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<実施例2>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が105Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<実施例3>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が108Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<実施例4>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが0.4μmである現像ロール。
<実施例5>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが1.5μmである現像ロール。
<比較例1>
表面にアルマイト処理された被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<比較例2>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が104Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<比較例3>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が109Ωであり、表面粗さRaが1.0μmである現像ロール。
<比較例4>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが0.3μmである現像ロール。
<比較例5>
表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aが形成され、その被覆層18aの面積固有抵抗が106Ωであり、表面粗さRaが1.6μmである現像ロール。
図3は、現像ロール18と感光体7との間のバイアス電圧の大きさと、現像ロール18から感光体7へのトナーの移送量との関係を示す実験結果のグラフである。また、現像ロール18の被覆層18aは、実施例1に示したものである場合と、比較例1に示したものである場合とを比較している。この実施例1と比較例1とは、実施例1がシリコン変性ポリウレタンを用いて被覆層18aが形成され、一方で、比較例1がアルマイト処理された被覆層18aが形成されている点で相違し、他の特性は同様である。
比較実験は、図2に示す構成において下記の条件にて行った。現像ロール18、磁気ロール17、潜像担持体としての感光体7には以下のバイアスを付与する。また、キャリア粒径は45μm、トナー粒径は7.5μm、感光体7の周速は180mm/秒である。
現像ロール
直流バイアス(Vdc):0V
交流バイアス(Vpp):1.6kV、2.7kHz、Duty比=25%
磁気ロール
直流バイアス(Vdc):200V
交流バイアス(Vpp):300V、2.7kHz、Duty比=25%
感光体
直流バイアス(Vdc):−100V〜300V
交流バイアス(Vpp):1.6kV、2.7kHz、Duty比=75%
図3に示すように、被覆層18aがシリコン変性ポリウレタンである現像ロール18(実施例1)の方が、多くのトナーが低いバイアス電圧で現像ロール18から感光体7に移送されている。つまり、シリコン変性ポリウレタンを用いた現像ロール18の方がトナーとの付着力が弱くなっていると判断できる。また、シリコン変性ポリウレタン及びアルミニウム(アルマイトと同様であると見なせる)のそれぞれとトナーとの付着力を、遠心法を用いて調べたところ、シリコン変性ポリウレタンとトナーとの付着力は72nNであり、アルミニウムとトナーとの付着力は106nNであった。この点からもシリコン変性ポリウレタンを用いた現像ロール18の方がトナーとの付着力が弱くなっていると判断できる。但し、この付着力測定に用いたのは、トナー粒径が約10μmの、シリカ等の表面処理剤を外添していないトナーである。
以上のように、現像ロール18の表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層18aを形成することで、現像ロール18から感光体7へのトナーの移送が良好になる。ここで、上述した付着力の差は、シリコン変性ポリウレタン及びアルミニウムのそれぞれの表面自由エネルギの差に起因していると考えられる。例えば、シリコン変性ポリウレタンの表面自由エネルギは約15〜25mJ/cm2であり、アルミニウムの表面自由エネルギ
は約500mJ/cm2である。つまり、シリコン変性ポリウレタンとトナーとの付着力は、アルミニウム(アルマイト)とトナーとの付着力よりも比較的小さいと言える。
図4は、感光体7の周速(回転速度)当たりの現像ロール18と感光体7との間のバイアス電圧の大きさ(バイアス電圧/感光体の周速)と、現像ロール18から感光体7へのトナーの移送量との関係を示す実験結果のグラフである。但し、図示するのは、実施例1〜3と比較例1の場合である。また、感光体7の周速の条件は、180mm/秒で行った。よって、画像形成装置1の高速化が達成される。
図4に示すように、実施例1〜3の何れの場合も、比較例1と比べて、現像ロール18から感光体7へのトナーの移送が良好である。尚、図4には図示していないが、実施例4、5の場合も、実施例1〜3の場合の結果と同様である。
一方で、比較例2の場合には、リークが発生するという問題があった。また、比較例3の場合には、現像ロール18上の電荷が除去できずに、現像ロール18上にトナーが蓄積してしまうという問題があった。更に、比較例4の場合には、磁気ロールから現像ロール18へのトナーの受け渡し量が不足し、感光体7における現像ムラが発生するという問題があった。また更に、比較例5の場合は、現像ロール18の表面とトナーとの接触面積が大きくなるため、現像ロール18上にトナーが残存し易くなるという問題がある。
以上のように、現像ロール18の表面に形成される被覆層18aをシリコン変性ポリウレタンを用いて形成することで、現像ロール18の表面からトナーが離れ易くなる。つまり、現像ロール18の被覆層18aとして用いられるシリコン変性ポリウレタンの表面自由エネルギは比較的小さいので、現像ロール18(シリコン変性ポリウレタン)とトナーとの付着力が小さくなる。よって、現像ロール18と感光体7との間のバイアス電圧を大きくしなくても、現像ロール18から感光体7へのトナーの移送を良好にして、高速化と高画質化とを併せて実現可能な画像形成装置1を提供できた。
また、現像ロール18の被覆層18aの面積固有抵抗が105Ω未満である場合には、トナーの電荷が抜け(リークし)、他の電気部品にノイズなどの悪影響を与え得る。現像ロール18の被覆層18aの面積固有抵抗が108Ωを超える場合には、トナーに電位がかからず、絶縁破壊が発生する可能性がある。ところが、上述したように、本実施形態の画像形成装置1では、現像ロール18の被覆層18aの面積固有抵抗を105〜108Ωに調整することで、リークや絶縁破壊などの問題を回避できる。加えて、現像ロール18の被覆層18aの表面粗さRaを0.4〜1.5μmに調製することで、磁気ロール17から現像ロール18へトナーを円滑に受け渡すことができ、且つ、現像ロール18の被覆層18aの表面に残存している現像に寄与しなかったトナーの剥ぎ取りを磁気ロール17が良好に行えるようになる。
また更に、本実施形態では、キャリア粒径/トナー粒径が45μm/7.5μm=6となるように設定したが、Raが0.4〜1.5μmに調製することで、リークや絶縁破壊などの問題も回避でき、加えて、磁気ロールから現像ロールへトナーを円滑に受け渡すことができ、且つ、現像ロールの被覆層の表面に残存している現像に寄与しなかったトナーの剥ぎ取りを磁気ロールが良好に行えるようにするためには、上記被覆層18aの表面粗さRaと併せて、4<キャリア粒径/トナー粒径<10とすることが好ましい。これにより、磁気ロールの表面には、適度な剛性と密度の磁気ブラシが形成され、現像ロール上に残存するトナーの良好な剥ぎ取りが行われる。
本発明は、電子写真技術を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリなどにおいてニ成分現像剤を用いて現像を行う画像形成装置に適用可能である。
画像形成装置の概略的な構成図 画像形成装置が備える現像部の概略的な構成図 現像ロールと感光体との間のバイアス電圧の大きさと、現像ロールから感光体へのトナーの移送量との関係を示す実験結果のグラフ 感光体の周速(回転速度)当たりの現像ロールと感光体との間のバイアス電圧の大きさ(バイアス電圧/感光体の周速)と、現像ロールから感光体へのトナーの移送量との関係を示す実験結果のグラフ
符号の説明
1 画像形成装置
7 感光体(潜像担持体)
17 磁気ロール
18 現像ロール
18a 被覆層

Claims (5)

  1. トナーと磁性キャリアとが静電気力によって付着したニ成分現像剤を磁力によって保持する磁気ロールと、
    前記磁気ロール上の前記ニ成分現像剤から移送される前記トナーの薄層を表面に形成する現像ロールと、
    前記現像ロールとの間に印加される現像バイアスによって前記現像ロール上の前記トナーを用いた潜像の現像が行われる潜像担持体とを備え、
    前記現像ロールは、表面にシリコン変性ポリウレタンからなる被覆層を有する画像形成装置。
  2. 前記シリコン変性ポリウレタンからなる前記被覆層は、面積固有抵抗が105〜108Ωである請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記シリコン変性ポリウレタンからなる前記被覆層は、表面粗さRaが0.4〜1.5μmである請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記現像ロールに交流バイアスを付与する請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記潜像担持体の周速が180mm/秒以上である請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
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