JP2011168210A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロコンピュータには、トルクセンサで検出したトルク検出値がA/D変換回路31を介して入力されると共に、モータ電流検出回路で検出したモータ電流検出値がA/D変換回路32を介して入力される。A/D変換回路31及び32は、A/D変換器52の前にアナログ信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを備え、A/D変換器52の後にA/D変換直後のデジタル信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを備える。
【選択図】図3
Description
しかしながら、A/D変換回路の変換分解能は一意に決まっており、それ以上の細かい分解能で信号を得ることはできない。そのため、微小な信号の変化を扱う場合などにおいては分解能が不足し、ノイズやトルクリップルなどの発生原因となっていた。
そこで、A/D変換後にデジタルフィルタ処理を適用したり、A/D変換前にアナログフィルタ処理を適用したりすることで、A/D変換回路の分解能を向上(量子化誤差を低減)させる電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
そこで、本発明は、低コスト且つ安定してA/D変換回路の変換分解能を向上(量子化誤差を低減)し、快適な操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記アナログフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴としている。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記デジタルフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴としている。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記デジタルフィルタ部は、低域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴としている。
また、従来のようにフィルタのON/OFF切替等の複雑な処理が不要であると共に、状況や信号の大小によらずに安定して分解能を向上させることができる。そのため、低コスト且つ変動のない滑らかな操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置とすることができる。
(第1の実施の形態)
(構成)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ15に入力される。
図2は、コントローラ15の構成を示すブロック図である。
この図2に示すように、コントローラ15は、電動モータ12の制御処理を実行するマイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20から出力されるモータ駆動電流IMに基づいて電動モータ12に供給する駆動電流を制御するモータ駆動回路40と、電動モータ12に流れる電流をモータ電流検出値IMDとして検出するモータ電流検出回路45とを備えている。
FET1及びFET2は、モータ駆動電流IMに基づいて、基準波である三角波との大小関係の比較により決定されるデューティ比D1のPWM(パルス幅変調)信号によってON/OFFされ、実際に電動モータ12に流れる電流Irの大きさが制御される。
例えば、FET4が導通状態にあるときは、電流は、FET1、電動モータ12、FET4、抵抗RLを経て流れ、電動モータ12に正方向の電流が流れる。また、FET3が導通状態にあるときは、電流は、FET2、電動モータ12、FET3、抵抗RRを経て流れ、電動モータ12に負方向の電流が流れる。
このように、通常時には、電動モータ12は、対向する上下段のFET1〜FET4を異なるデューティ比D1,D2で駆動するPWM駆動によって制御される。
このように、マイクロコンピュータ20は、電動モータ12の制御処理に用いる物理量(操舵トルク、モータ電流等)に対応したアナログ信号をA/D変換回路を介して入力し、入力した各種信号に基づいてモータ駆動電流IMを算出する。
この図3に示すように、A/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ51と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ53とから構成される。
アナログフィルタ51は、入力アナログ信号(トルク検出値Tやモータ電流検出値IMD)をフィルタ処理し、その結果をA/D変換器52に出力する。A/D変換器52は、アナログフィルタ処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタルフィルタ53に出力する。そして、デジタルフィルタ53は、A/D変換器52で変換したデジタル信号をフィルタ処理し、その結果をA/D変換回路の出力信号として出力する。
なお、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ52のフィルタ特性は任意に設定できるものとし、本実施形態では、例えば、図6に示すフィルタ特性を用いる。
なお、ここでは図示しないが、本実施形態のような電動パワーステアリング装置においては、モータ回転速度など上記以外の多くのアナログ信号がデジタル信号に変換される必要がある。そして、これらのA/D変換回路の構成を図3に示す構成とすることが望ましい。
ここで、トルクセンサ3及びモータ電流検出回路45がアナログ信号検出手段に対応し、A/D変換回路31及び32がA/D変換手段に対応し、マイクロコンピュータ20及びモータ駆動回路40が駆動制御手段に対応している。
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
イグニッションスイッチがオン状態となり、コントローラ15に電源が投入されて操舵補助制御処理が実行開始されると、マイクロコンピュータ20は、操舵トルクT、車速V及びモータ電流検出値IMDに基づいてモータ駆動電流IMを算出する。そして、このモータ駆動電流IMに基づいて電動モータ12が駆動制御されることにより、運転者の操舵負担を軽減するような操舵補助力が発生される。
本実施形態では、図3に示すように、A/D変換器52の前にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を強調させるアナログフィルタ51を設けると共に、A/D変換器52の後にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を減衰させるデジタルフィルタ53を設ける。
このとき、A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図9(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ51を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ51を適応しない場合の入力波形である。このように、アナログフィルタ51適応後のアナログ信号は、実線aに示すように高周波成分が強調され、振幅が大きくなる。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ51適応前と比較して進むことになる。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ53を適応すると、その信号波形は図9(c)に示すようになる。この図9(c)において、実線eは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ53適応後のデジタル信号は、実線eに示すように高周波成分が減衰されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ53適応前と比較して遅れることになる。
図10は、本実施形態の効果を説明する図である。この図10において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図10からも明らかなように、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
A/D変換回路の分解能を向上(量子化誤差を低減)させるものとして、A/D変換後に、量子化誤差を平滑化するための平滑フィルタを設けるものがある。この技術は、モータ回転速度や操舵状態に応じて平滑フィルタのオン・オフを切り替えることで、高速操舵性の確保と保舵時やゆっくりした操舵時におけるハンドルの振動や騒音の抑制との両立を可能とするものである。
これに対して、本実施形態では、フィルタのON/OFFの切替が必要ないため、低コストでA/D変換回路の変換分解能を向上(量子化誤差を低減)させることができる。
しかしながら、この場合、信号の絶対値が大きくなるにつれ分解能が低下するため、大信号入力時の分解能が不足してしまう。このように、信号の値によって分解能が異なると、変動のない滑らかな操舵フィーリングが得られない。
さらに、モータ電流を含む電流制御系に平滑フィルタを含ませることで、ゆっくりした操舵時や保舵時に発生する電流制御系の量子化誤差を平滑化するものもある。しかしながら、この場合、常にデジタルフィルタ処理が働くことによる位相遅れが発生してしまう。
また、演算過程における数値の切捨て誤差を記憶しておき、次回処理周期にフィードバックすることで、演算による量子化誤差を低減するものもある。しかしながら、この場合、信号を取り込む際の分解能は向上できないため、入力信号の分解能に起因するノイズやトルクリップルを抑制することはできない。
これに対して、本実施形態では、適切に信号取込の分解能を向上させることができる。
このように、上記第1の実施形態では、A/D変換前に高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを設けると共に、A/D変換後に高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを設けることで、A/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。その結果、より自然且つ快適な操舵補助制御を行うことができる。
また、アナログフィルタ及びデジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成するので、比較的容易に狙った特性を得ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態に対し、アナログフィルタ及びデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
(構成)
図11は、第2の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ54と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ55とから構成される。
なお、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55のフィルタ特性は任意に設定できるものとし、本実施形態では、例えば、図14に示すフィルタ特性を用いる。
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図11に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図11に示すように、A/D変換器52の前にローパスフィルタを搭載した低周波成分を減衰させるアナログフィルタ54を設けると共に、A/D変換器52の後にローパスフィルタを搭載した低周波成分を強調させるデジタルフィルタ55を設ける。
ここでは、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合について説明する。入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などでは、一般に、A/D変換前に振幅調整用の分圧回路を必要とする。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ55を適応すると、その信号波形は図15(c)に示すようになる。この図15(c)において、実線eは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ55適応後のデジタル信号は、実線eに示すように低周波成分が強調されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ55適応前と比較して遅れることになる。
この図16は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応しない場合の差分比較を示している。
このように、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いることで、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
このように、上記第2の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成する。
したがって、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などにおいて、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いれば、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1及び第2の実施形態に対し、アナログフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成し、デジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
図17は、第3の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ51と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ55とから構成される。
アナログフィルタ51は、図4に示す第1の実施形態のアナログフィルタと同一構成を有する。また、デジタルフィルタ55は、図13に示す第2の実施形態のデジタルフィルタと同一構成を有する。
このように、本実施形態では、アナログフィルタ51としてハイパス特性を有するフィルタ(ハイパスフィルタ)を搭載し、デジタルフィルタ55として、ローパス特性を有するフィルタ(ローパスフィルタ)を搭載する。
次に、第3の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図17に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図17に示すように、A/D変換器52の前にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を強調させるアナログフィルタ51を設けると共に、A/D変換器52の後にローパスフィルタを搭載した低周波成分を強調させるデジタルフィルタ55を設ける。
このとき、A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図18(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ51を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ51を適応しない場合の入力波形である。このように、アナログフィルタ51適応後のアナログ信号は、実線aに示すように高周波成分が強調され、振幅が大きくなる。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ51適応前と比較して進むことになる。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ55を適応すると、その信号波形は図18(c)に示すようになる。この図18(c)において、実線eは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ55適応後のデジタル信号は、実線eに示すように低周波成分が強調されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ55適応前と比較して遅れることになる。
図19は、本実施形態の効果を説明する図である。この図19において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図19からも明らかなように、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、第1の実施形態と同様に、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
このように、上記第3の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成する。これにより、より安定してA/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、前述した第1〜第3の実施形態に対し、アナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成し、デジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
図20は、第4の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ54と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ53とから構成される。
アナログフィルタ54は、図12に示す第2の実施形態のアナログフィルタと同一構成を有する。また、デジタルフィルタ53は、図5に示す第1の実施形態のデジタルフィルタと同一構成を有する。
このように、本実施形態では、アナログフィルタ54としてローパス特性を有するフィルタ(ローパスフィルタ)を搭載し、デジタルフィルタ53として、ハイパス特性を有するフィルタ(ハイパスフィルタ)を搭載する。
次に、第4の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図20に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図20に示すように、A/D変換器52の前にローパスフィルタを搭載した低周波成分を減衰させるアナログフィルタ54を設けると共に、A/D変換器52の後にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を減衰させるデジタルフィルタ53を設ける。
ここでは、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合について説明する。入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などでは、一般に、A/D変換前に振幅調整用の分圧回路を必要とする。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ53を適応すると、その信号波形は図21(c)に示すようになる。この図21(c)において、実線eは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ53適応後のデジタル信号は、実線eに示すように高周波成分が減衰されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ53適応前と比較して遅れることになる。
この図22は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応しない場合の差分比較を示している。本実施形態の効果は、第2の実施形態と同様の効果となる。
このように、上記第4の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成する。
したがって、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などにおいて、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いれば、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、前述した第1〜第4の実施形態に対し、アナログフィルタを高域強調フィルタで構成し、デジタルフィルタを低域強調フィルタで構成するようにしたものである。
図23は、第5の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ56と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ57とから構成される。
アナログフィルタ56は図24に示す構成を有し、デジタルフィルタ57は図25に示す構成を有する。このように、本実施形態では、アナログフィルタ56として、入力信号に対して高周波成分を重畳した信号を出力する高域強調フィルタ(H.E.F)を用い、デジタルフィルタ57として、入力信号に対して低周波成分を重畳した信号を出力する低域強調フィルタ(L.E.F)を用いる。
したがって、アナログフィルタ56通過後の信号の振幅及び位相、並びにデジタルフィルタ57通過後の信号の振幅及び位相は、周波数に応じて図23(詳細には、図7及び図8)に示すようになる。すなわち、A/D変換回路31及び32では、アナログフィルタ56で入力アナログ信号の高周波成分を強調させた後にA/D変換器52でA/D変換し、その後デジタルフィルタ57でデジタル信号の低周波成分を強調することになる。
次に、第5の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図23に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図23に示すように、A/D変換器52の前に高域強調フィルタで構成されるアナログフィルタ56を設けると共に、A/D変換器52の後に低域強調フィルタで構成されるデジタルフィルタ57を設ける。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は上述した図18(b)の実線cと同様になる。
以上により、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、上述した図17に示すように、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
このように、上記第5の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、高域強調フィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、低域強調フィルタで構成する。これにより、より安定してA/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。
なお、上記第5の実施形態においては、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57を、高域強調フィルタと低域強調フィルタとの組み合わせで構成する場合について説明したが、アナログフィルタ56に代えて、ハイパスフィルタを用いたアナログフィルタ51やローパスフィルタを用いたアナログフィルタ54を適用することもできる。また、デジタルフィルタ57に代えて、ハイパスフィルタを用いたデジタルフィルタ53やローパスフィルタを用いたデジタルフィルタ55を適用することもできる。
なお、上記各実施形態においては、アナログフィルタ及びデジタルフィルタの少なくとも一方を、バンドパス特性を有するフィルタで構成することもできる。この場合にも、フィルタ特性を任意に設定することで、A/D変換回路において、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとした後にA/D変換し、その後、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることができるので、安定して変換分解能を向上(量子化誤差を低減)することができる。
Claims (7)
- 操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータの駆動制御に用いる物理量に対応したアナログ信号を検出するアナログ信号検出手段と、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段で変換したデジタル信号に基づいて、前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記A/D変換手段は、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタ部と、前記アナログフィルタ部から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器から出力されたデジタル信号の前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタ部と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記アナログフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記アナログフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記アナログフィルタ部は、高域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記デジタルフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記デジタルフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記デジタルフィルタ部は、低域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012116291A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Nsk Ltd | 電動パワーステアリング装置 |
KR20200077354A (ko) * | 2018-12-20 | 2020-06-30 | 현대트랜시스 주식회사 | 차량 내 통신 시스템 및 이를 이용한 통신 방법 |
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- 2010-02-19 JP JP2010035190A patent/JP5402714B2/ja active Active
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JP5402714B2 (ja) | 2014-01-29 |
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