JP5402714B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータを備える電動パワーステアリング装置に関する。
従来の電動パワーステアリング装置では、操舵トルクや車速といったEPS物理量、電動モータの電流検出値等の各種アナログ信号を、A/D変換回路を介してデジタル信号に変換してからマイクロコンピュータに入力している。
しかしながら、A/D変換回路の変換分解能は一意に決まっており、それ以上の細かい分解能で信号を得ることはできない。そのため、微小な信号の変化を扱う場合などにおいては分解能が不足し、ノイズやトルクリップルなどの発生原因となっていた。
そこで、A/D変換後にデジタルフィルタ処理を適用したり、A/D変換前にアナログフィルタ処理を適用したりすることで、A/D変換回路の分解能を向上(量子化誤差を低減)させる電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2008−087727号公報 特開2006−292383号公報 特開2006−036078号公報 特開2004−210233号公報 特開平10−109656号公報
しかしながら、上記各特許文献に記載の技術にあっては、状況によりフィルタのON/OFF切替が必要であったり、信号の絶対値が大きくなるにつれ分解能が低下するなど信号の値によって分解能が異なったり、フィルタ処理の影響による信号の位相遅れが発生したり、演算過程における量子化誤差のみを低減し、信号を取り込む際の分解能は向上できなかったりするという問題がある。
このように、上記従来の電動パワーステアリング装置にあっては、A/D変換回路の分解能向上(量子化誤差低減)のための機能が複雑化してコストが嵩んだり、状況や信号の大小によって分解能が一定とならず安定した操舵フィーリングが得られなかったりする。
そこで、本発明は、低コスト且つ安定してA/D変換回路の変換分解能を向上(量子化誤差を低減)し、快適な操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、前記電動モータの駆動制御に用いる物理量に対応したアナログ信号を検出するアナログ信号検出手段と、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段で変換したデジタル信号に基づいて、前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、前記A/D変換手段は、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタ部と、前記アナログフィルタ部から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器から出力されたデジタル信号の前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタ部と、を備えることを特徴としている。
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記アナログフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴としている。
さらに、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記アナログフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に係る発明において、前記アナログフィルタ部は、高域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴としている。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記デジタルフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴としている。
さらに、請求項6に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記デジタルフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴としている。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記デジタルフィルタ部は、低域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、アナログ信号のA/D変換前に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタ部を設けると共に、A/D変換後に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタ部を設けるので、A/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。
また、従来のようにフィルタのON/OFF切替等の複雑な処理が不要であると共に、状況や信号の大小によらずに安定して分解能を向上させることができる。そのため、低コスト且つ変動のない滑らかな操舵フィーリングを得ることができる電動パワーステアリング装置とすることができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 コントローラの具体的構成を示すブロック図である。 第1の実施形態におけるA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 アナログフィルタを示すブロック図である。 デジタルフィルタを示すブロック図である。 ハイパスフィルタ特性を示す図である。 アナログフィルタの入出力特性を示す図である。 デジタルフィルタの入出力特性を示す図である。 第1の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第1の実施形態の効果を説明する図である。 第2の実施形態におけるA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 アナログフィルタを示すブロック図である。 デジタルフィルタを示すブロック図である。 ローパスフィルタ特性を示す図である。 第2の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第2の実施形態の効果を説明する図である。 第3の実施形態におけるA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第3の実施形態の効果を説明する図である。 第4の実施形態におけるA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 第4の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。 第4の実施形態の効果を説明する図である。 第5の実施形態におけるA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 アナログフィルタを示すブロック図である。 デジタルフィルタを示すブロック図である。 高域強調フィルタ(H.E.F)の一例を示す回路図である。 低域強調フィルタ(L.E.F)の一例を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結されて操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ15に入力される。
このコントローラ15には、トルク検出値Tの他に、車速センサ16で検出した車速検出値Vも入力され、コントローラ15は、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生するための操舵補助指令値IM *を算出し、算出した操舵補助指令値IM *とモータ電流検出値IMDとにより、電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック制御するためのモータ駆動電流IMを算出する。これにより、運転者の操舵操作に応じた操舵補助力を発生させるようになっている。
(コントローラ15の構成)
図2は、コントローラ15の構成を示すブロック図である。
この図2に示すように、コントローラ15は、電動モータ12の制御処理を実行するマイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20から出力されるモータ駆動電流IMに基づいて電動モータ12に供給する駆動電流を制御するモータ駆動回路40と、電動モータ12に流れる電流をモータ電流検出値IMDとして検出するモータ電流検出回路45とを備えている。
モータ駆動回路40は、図2に示すように、電界効果トランジスタFET1〜FET4の各ゲートを駆動するFETゲート駆動回路41と、FET1〜FET4でなるHブリッジ回路42とを備える。
FET1及びFET2は、モータ駆動電流IMに基づいて、基準波である三角波との大小関係の比較により決定されるデューティ比D1のPWM(パルス幅変調)信号によってON/OFFされ、実際に電動モータ12に流れる電流Irの大きさが制御される。
また、FET3及びFET4は、デューティ比D1の小さい領域では所定の1次関数式(a,bを定数としてD2=a・D1+b)で定義されるデューティ比D2のPWM信号で駆動され、デューティ比D1の大きい領域ではPWM信号の符号により決定されるモータの回転方向に応じてON/OFFされる。
例えば、FET4が導通状態にあるときは、電流は、FET1、電動モータ12、FET4、抵抗RLを経て流れ、電動モータ12に正方向の電流が流れる。また、FET3が導通状態にあるときは、電流は、FET2、電動モータ12、FET3、抵抗RRを経て流れ、電動モータ12に負方向の電流が流れる。
さらに、モータ電流検出回路45は、電界効果トランジスタFET4と接地との間に介挿された抵抗RLの正転モータ電流を表す端子間電圧と電界効果トランジスタFET3と接地との間に介挿された抵抗RRの逆転モータ電流を表す端子間電圧とを検出して、正転モータ電流検出時に正のモータ電流検出値“+IMD”を、逆転モータ電流検出時に負のモータ電流検出値“−IMD”を出力する。
そして、電界効果トランジスタFET1及びFET2の接続点に、電源電圧Vbが印加され、電界効果トランジスタFET3及びFET4はそれぞれ電流検出用抵抗RR及びRLを介して接地されている。
このように、通常時には、電動モータ12は、対向する上下段のFET1〜FET4を異なるデューティ比D1,D2で駆動するPWM駆動によって制御される。
マイクロコンピュータ20には、トルクセンサ3で検出したトルク検出値TがA/D変換回路31を介して入力されると共に、車速センサ16で検出した車速検出値Vが入力される。また、マイクロコンピュータ20には、モータ電流検出回路45で検出したモータ電流検出値IMDがA/D変換回路32を介して入力される。
このように、マイクロコンピュータ20は、電動モータ12の制御処理に用いる物理量(操舵トルク、モータ電流等)に対応したアナログ信号をA/D変換回路を介して入力し、入力した各種信号に基づいてモータ駆動電流IMを算出する。
図3は、A/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
この図3に示すように、A/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ51と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ53とから構成される。
アナログフィルタ51は、入力アナログ信号(トルク検出値Tやモータ電流検出値IMD)をフィルタ処理し、その結果をA/D変換器52に出力する。A/D変換器52は、アナログフィルタ処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタルフィルタ53に出力する。そして、デジタルフィルタ53は、A/D変換器52で変換したデジタル信号をフィルタ処理し、その結果をA/D変換回路の出力信号として出力する。
図4は、アナログフィルタ51の構成を示すブロック図であり、図5はデジタルフィルタ52の構成を示すブロック図である。このように、本実施形態では、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ52には、ハイパス特性を有するフィルタ(ハイパスフィルタ)を搭載する。
なお、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ52のフィルタ特性は任意に設定できるものとし、本実施形態では、例えば、図6に示すフィルタ特性を用いる。
アナログフィルタ51では、入力アナログ信号と、ハイパスフィルタ(H.P.F)通過後の入力アナログ信号とを加算し、その結果をアナログフィルタ51の出力信号としてA/D変換器52に入力する。また、デジタルフィルタ53では、入力デジタル信号(A/D変換器52から出力されるデジタル信号)とハイパスフィルタ(H.P.F)通過後の入力デジタル信号との差分を出力信号とし、これをA/D変換回路31又は32の出力とする。
したがって、アナログフィルタ51通過後の信号の振幅及び位相、並びにデジタルフィルタ53通過後の信号の振幅及び位相は、周波数に応じて図3に示すようになる。具体的には、アナログフィルタ51通過後の信号の振幅及び位相は図7に示すようになり、デジタルフィルタ53通過後の信号の振幅及び位相は図8に示すようになる。すなわち、A/D変換回路31及び32では、アナログフィルタ51で入力アナログ信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとした後にA/D変換器52でA/D変換し、その後デジタルフィルタ53でデジタル信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることになる。
本実施形態におけるA/D変換回路31及び32では、アナログフィルタ51で入力アナログ信号の高周波成分を強調させた後にA/D変換器52でA/D変換し、その後デジタルフィルタ53でデジタル信号の高周波成分を減衰させることになる。
なお、ここでは図示しないが、本実施形態のような電動パワーステアリング装置においては、モータ回転速度など上記以外の多くのアナログ信号がデジタル信号に変換される必要がある。そして、これらのA/D変換回路の構成を図3に示す構成とすることが望ましい。
ここで、トルクセンサ3及びモータ電流検出回路45がアナログ信号検出手段に対応し、A/D変換回路31及び32がA/D変換手段に対応し、マイクロコンピュータ20及びモータ駆動回路40が駆動制御手段に対応している。
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
イグニッションスイッチがオン状態となり、コントローラ15に電源が投入されて操舵補助制御処理が実行開始されると、マイクロコンピュータ20は、操舵トルクT、車速V及びモータ電流検出値IMDに基づいてモータ駆動電流IMを算出する。そして、このモータ駆動電流IMに基づいて電動モータ12が駆動制御されることにより、運転者の操舵負担を軽減するような操舵補助力が発生される。
このとき、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図3に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。
本実施形態では、図3に示すように、A/D変換器52の前にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を強調させるアナログフィルタ51を設けると共に、A/D変換器52の後にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を減衰させるデジタルフィルタ53を設ける。
図9は、第1の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。この図9の(a)〜(d)において、縦軸は、電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
このとき、A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図9(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ51を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ51を適応しない場合の入力波形である。このように、アナログフィルタ51適応後のアナログ信号は、実線aに示すように高周波成分が強調され、振幅が大きくなる。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ51適応前と比較して進むことになる。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は図9(b)に示すようになる。この図9(b)において、実線cは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線dは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ53を適応すると、その信号波形は図9(c)に示すようになる。この図9(c)において、実線eは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ53適応後のデジタル信号は、実線eに示すように高周波成分が減衰されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ53適応前と比較して遅れることになる。
また、図9(d)は、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53を適応した場合のデジタル出力信号(図9(c)の実線e)と、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53を適応しない場合のA/D変換直後のデジタル出力信号(図9(b)の破線d)とを比較した図である。このように、本実施形態ではアナログフィルタ51適応時に位相が進み、デジタルフィルタ53適応時に移動が遅れるため、結果として位相進み及び位相遅れのない出力を得ることができる。
なお、この図9に示す例の場合、アナログフィルタ51を適応した信号は、周波数が高くなるにつれ振幅が約5倍にもなっている。しかし、例えばEPSのトルクセンサ信号などを対象として考えると、信号に含まれるエネルギーの多くはサンプリング周波数に対し十分に低い周波数帯域に集中しているため、上記懸念は問題にならない。
図10は、本実施形態の効果を説明する図である。この図10において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図10は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53を適応しない場合の差分比較を示している。
この図10からも明らかなように、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ53の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
ところで、一般に、車両に搭載するA/D変換回路にあっては、マイコンのコスト制約やマイコンの電源電圧の制約などにより、分解能が制限される。また、車載以外の組込マイコン市場からのニーズが少ないことも、A/D変換回路の分解能が制限される理由の一つである。そこで、A/D変換回路の分解能を向上する技術が求められている。
A/D変換回路の分解能を向上(量子化誤差を低減)させるものとして、A/D変換後に、量子化誤差を平滑化するための平滑フィルタを設けるものがある。この技術は、モータ回転速度や操舵状態に応じて平滑フィルタのオン・オフを切り替えることで、高速操舵性の確保と保舵時やゆっくりした操舵時におけるハンドルの振動や騒音の抑制との両立を可能とするものである。
しかしながら、この場合、デジタルフィルタ処理による位相遅れを補償するために、様々な状況に応じてフィルタのON/OFF切替が必要となるため、構成が複雑化しコストが嵩む。また、フィルタOFF時には効果が得られない。
これに対して、本実施形態では、フィルタのON/OFFの切替が必要ないため、低コストでA/D変換回路の変換分解能を向上(量子化誤差を低減)させることができる。
また、A/D変換前に、信号の絶対値がゼロ付近での増幅率を他の付近での増幅率に比べて大きくする対数増幅回路を設けることで、微小信号領域における分解能を向上させるものや、A/D変換前にゲインを変更可能な可変ゲイン増幅回路を設け、信号が微小なときに可変ゲイン増幅回路のゲインを大きくすることで分解能を向上させるものもある。
しかしながら、この場合、信号の絶対値が大きくなるにつれ分解能が低下するため、大信号入力時の分解能が不足してしまう。このように、信号の値によって分解能が異なると、変動のない滑らかな操舵フィーリングが得られない。
これに対して、本実施形態では、増幅率の変更などの複雑な処理を必要としないため、低コストでA/D変換回路の変換分解能(量子化誤差を低減)を向上させることができる。さらに、状況や信号の大小によらずにA/D変換回路の変換分解能を向上することができるため、変動のない滑らかな操舵フィーリングを得ることができる。
さらに、モータ電流を含む電流制御系に平滑フィルタを含ませることで、ゆっくりした操舵時や保舵時に発生する電流制御系の量子化誤差を平滑化するものもある。しかしながら、この場合、常にデジタルフィルタ処理が働くことによる位相遅れが発生してしまう。
これに対して、本実施形態では、A/D変換前にアナログフィルタを設け、A/D変換後にデジタルフィルタを設けるので、位相遅れのない出力を得ることができる。
また、演算過程における数値の切捨て誤差を記憶しておき、次回処理周期にフィードバックすることで、演算による量子化誤差を低減するものもある。しかしながら、この場合、信号を取り込む際の分解能は向上できないため、入力信号の分解能に起因するノイズやトルクリップルを抑制することはできない。
これに対して、本実施形態では、適切に信号取込の分解能を向上させることができる。
(効果)
このように、上記第1の実施形態では、A/D変換前に高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを設けると共に、A/D変換後に高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを設けることで、A/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。その結果、より自然且つ快適な操舵補助制御を行うことができる。
また、アナログフィルタ及びデジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成するので、比較的容易に狙った特性を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態に対し、アナログフィルタ及びデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
(構成)
図11は、第2の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ54と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ55とから構成される。
アナログフィルタ54は、入力アナログ信号(トルク検出値Tやモータ電流検出値IMD)をフィルタ処理し、その結果をA/D変換器52に出力する。A/D変換器52は、アナログフィルタ処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタルフィルタ55に出力する。そして、デジタルフィルタ55は、A/D変換器52で変換したデジタル信号をフィルタ処理し、その結果をA/D変換回路の出力信号として出力する。
図12は、アナログフィルタ54の構成を示すブロック図であり、図13はデジタルフィルタ55の構成を示すブロック図である。このように、本実施形態では、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55として、ローパス特性を有するフィルタ(ローパスフィルタ)を搭載する。
なお、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55のフィルタ特性は任意に設定できるものとし、本実施形態では、例えば、図14に示すフィルタ特性を用いる。
アナログフィルタ54では、入力アナログ信号とローパスフィルタ(L.P.F)通過後の入力アナログ信号との差分を出力信号とし、これをA/D変換器52に入力する。また、デジタルフィルタ55では、入力デジタル信号(A/D変換器52から出力されるデジタル信号)と、ローパスフィルタ(L.P.F)通過後の入力デジタル信号を加算し、その結果をA/D変換回路31又は32の出力信号とする。
したがって、アナログフィルタ54通過後の信号の振幅及び位相、並びにデジタルフィルタ55通過後の信号の振幅及び位相は、周波数に応じて図11(詳細には、図7及び図8)に示すようになる。すなわち、A/D変換回路31及び32では、アナログフィルタ54で入力アナログ信号の低周波成分を減衰させた後にA/D変換器52でA/D変換し、その後デジタルフィルタ55でデジタル信号の低周波成分を強調することになる。
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図11に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図11に示すように、A/D変換器52の前にローパスフィルタを搭載した低周波成分を減衰させるアナログフィルタ54を設けると共に、A/D変換器52の後にローパスフィルタを搭載した低周波成分を強調させるデジタルフィルタ55を設ける。
図15は、第2の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。この図15の(a)〜(d)において、縦軸は、電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
ここでは、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合について説明する。入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などでは、一般に、A/D変換前に振幅調整用の分圧回路を必要とする。
A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図15(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ54を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した分圧後の入力波形である。また、一点鎖線b´は、アナログフィルタ54を適応しない分圧前の入力波形である。このように、アナログフィルタ54適応後のアナログ信号は、実線aに示すように低周波域の振幅が減衰されて高周波成分が強調される。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ54適応前と比較して進むことになる。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は図15(b)に示すようになる。この図15(b)において、実線cは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線dは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ55を適応すると、その信号波形は図15(c)に示すようになる。この図15(c)において、実線eは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ55適応後のデジタル信号は、実線eに示すように低周波成分が強調されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ55適応前と比較して遅れることになる。
また、図15(d)は、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応した場合のデジタル出力信号(図15(c)の実線e)と、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応しない場合のA/D変換直後のデジタル出力信号(図15(b)の破線d)とを比較した図である。このように、本実施形態では結果として位相進み及び位相遅れのない出力を得ることができる。
図16は、本実施形態の効果を説明する図である。この図16において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図16は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55を適応しない場合の差分比較を示している。
この図16からも明らかなように、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ55の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、第1の実施形態と同様に、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
このように、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いることで、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
(効果)
このように、上記第2の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成する。
したがって、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などにおいて、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いれば、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、前述した第1及び第2の実施形態に対し、アナログフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成し、デジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
(構成)
図17は、第3の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ51と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ55とから構成される。
アナログフィルタ51は、図4に示す第1の実施形態のアナログフィルタと同一構成を有する。また、デジタルフィルタ55は、図13に示す第2の実施形態のデジタルフィルタと同一構成を有する。
このように、本実施形態では、アナログフィルタ51としてハイパス特性を有するフィルタ(ハイパスフィルタ)を搭載し、デジタルフィルタ55として、ローパス特性を有するフィルタ(ローパスフィルタ)を搭載する。
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図17に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図17に示すように、A/D変換器52の前にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を強調させるアナログフィルタ51を設けると共に、A/D変換器52の後にローパスフィルタを搭載した低周波成分を強調させるデジタルフィルタ55を設ける。
図18は、第3の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。この図18の(a)〜(d)において、縦軸は、電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
このとき、A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図18(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ51を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ51を適応しない場合の入力波形である。このように、アナログフィルタ51適応後のアナログ信号は、実線aに示すように高周波成分が強調され、振幅が大きくなる。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ51適応前と比較して進むことになる。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は図18(b)に示すようになる。この図18(b)において、実線cは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線dは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ55を適応すると、その信号波形は図18(c)に示すようになる。この図18(c)において、実線eは、アナログフィルタ51を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ51を適応しない場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ55適応後のデジタル信号は、実線eに示すように低周波成分が強調されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ55適応前と比較して遅れることになる。
また、図18(d)は、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55を適応した場合のデジタル出力信号(図18(c)の実線e)と、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55を適応しない場合のA/D変換直後のデジタル出力信号(図18(b)の破線d)とを比較した図である。このように、結果として位相進み及び位相遅れのない出力を得ることができる。
図19は、本実施形態の効果を説明する図である。この図19において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図19は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55を適応しない場合の差分比較を示している。
この図19からも明らかなように、アナログフィルタ51及びデジタルフィルタ55の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、第1の実施形態と同様に、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
(効果)
このように、上記第3の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成する。これにより、より安定してA/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、前述した第1〜第3の実施形態に対し、アナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成し、デジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成するようにしたものである。
(構成)
図20は、第4の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ54と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ53とから構成される。
アナログフィルタ54は、図12に示す第2の実施形態のアナログフィルタと同一構成を有する。また、デジタルフィルタ53は、図5に示す第1の実施形態のデジタルフィルタと同一構成を有する。
このように、本実施形態では、アナログフィルタ54としてローパス特性を有するフィルタ(ローパスフィルタ)を搭載し、デジタルフィルタ53として、ハイパス特性を有するフィルタ(ハイパスフィルタ)を搭載する。
(動作)
次に、第4の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図20に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図20に示すように、A/D変換器52の前にローパスフィルタを搭載した低周波成分を減衰させるアナログフィルタ54を設けると共に、A/D変換器52の後にハイパスフィルタを搭載した高周波成分を減衰させるデジタルフィルタ53を設ける。
図21は、第4の実施形態のシミュレーション結果を示す図である。この図21の(a)〜(d)において、縦軸は、電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
ここでは、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合について説明する。入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などでは、一般に、A/D変換前に振幅調整用の分圧回路を必要とする。
A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、図21(a)の実線aに示すようになる。この実線aは、アナログフィルタ54を適応した場合の入力波形であり、一方、破線bは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した分圧後の入力波形である。また、一点鎖線b´は、アナログフィルタ54を適応しない分圧前の入力波形である。このように、アナログフィルタ54適応後のアナログ信号は、実線aに示すように低周波域の振幅が減衰されて高周波成分が強調される。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ54適応前と比較して進むことになる。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は図21(b)に示すようになる。この図21(b)において、実線cは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線dは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。
このA/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ53を適応すると、その信号波形は図21(c)に示すようになる。この図21(c)において、実線eは、アナログフィルタ54を適応した場合のデジタル信号波形であり、破線fは、アナログフィルタ54を適応せず分圧回路を適用した場合のデジタル信号波形である。このように、デジタルフィルタ53適応後のデジタル信号は、実線eに示すように高周波成分が減衰されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ53適応前と比較して遅れることになる。
また、図21(d)は、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応した場合のデジタル出力信号(図21(c)の実線e)と、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応しない場合のA/D変換直後のデジタル出力信号(図21(b)の破線d)とを比較した図である。このように、結果として位相進み及び位相遅れのない出力を得ることができる。
図22は、本実施形態の効果を説明する図である。この図22において、縦軸は、A/D変換誤差電圧比(A/D変換器に入力できる最大電圧を1.0として正規化した場合)であり、横軸は時間Tである。
この図22は、A/D変換回路の出力信号と元信号とを比較し、A/D変換の分解能を示したものであり、図中実線gは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応した場合の差分比較、図中破線hは、アナログフィルタ54及びデジタルフィルタ53を適応しない場合の差分比較を示している。本実施形態の効果は、第2の実施形態と同様の効果となる。
(効果)
このように、上記第4の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、ローパス特性を有するフィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、ハイパス特性を有するフィルタで構成する。
したがって、入力信号の最大振幅がA/D変換器で変換可能な電圧レンジを越えている場合などにおいて、分圧回路の代わりに本実施形態のフィルタ回路を用いれば、分圧効果と分解能向上効果の両方が同時に得られる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、前述した第1〜第4の実施形態に対し、アナログフィルタを高域強調フィルタで構成し、デジタルフィルタを低域強調フィルタで構成するようにしたものである。
(構成)
図23は、第5の実施形態におけるA/D変換回路31及び32の構成を示すブロック図である。
このA/D変換回路31及び32は、アナログフィルタ56と、A/D変換器52と、デジタルフィルタ57とから構成される。
アナログフィルタ56は図24に示す構成を有し、デジタルフィルタ57は図25に示す構成を有する。このように、本実施形態では、アナログフィルタ56として、入力信号に対して高周波成分を重畳した信号を出力する高域強調フィルタ(H.E.F)を用い、デジタルフィルタ57として、入力信号に対して低周波成分を重畳した信号を出力する低域強調フィルタ(L.E.F)を用いる。
ここで、高域強調フィルタ(H.E.F)は、例えば、図26に示す回路で構成され、低域強調フィルタ(L.E.F)は、例えば、図27に示す回路で構成される。
したがって、アナログフィルタ56通過後の信号の振幅及び位相、並びにデジタルフィルタ57通過後の信号の振幅及び位相は、周波数に応じて図23(詳細には、図7及び図8)に示すようになる。すなわち、A/D変換回路31及び32では、アナログフィルタ56で入力アナログ信号の高周波成分を強調させた後にA/D変換器52でA/D変換し、その後デジタルフィルタ57でデジタル信号の低周波成分を強調することになる。
(動作)
次に、第5の実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、マイクロコンピュータ20に入力される操舵トルクTやモータ電流検出値IMDは、図23に示すA/D変換回路31やA/D変換回路32を介して、アナログ信号からデジタル信号へ変換されたものである。ここでは、図23に示すように、A/D変換器52の前に高域強調フィルタで構成されるアナログフィルタ56を設けると共に、A/D変換器52の後に低域強調フィルタで構成されるデジタルフィルタ57を設ける。
このとき、A/D変換前の信号波形(A/D変換器52に入力されるアナログ信号)は、上述した図18(a)の実線aと同様になる。すなわち、アナログフィルタ56適応後のアナログ信号は、実線aに示すように高周波成分が強調され、振幅が大きくなる。また、その位相は、低周波数域において、アナログフィルタ56適応前と比較して進むことになる。
このアナログ信号をA/D変換器52でデジタル信号に変換すると、A/D変換直後の信号波形は上述した図18(b)の実線cと同様になる。
そして、A/D変換直後のデジタル信号にデジタルフィルタ57を適応すると、その信号波形は上述した図18(c)の実線eと同様になる。このように、デジタルフィルタ57適応後のデジタル信号は、実線eに示すように低周波成分が強調されたものとなる。また、その位相は、低周波数域において、デジタルフィルタ57適応前と比較して遅れることになる。
したがって、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57を適応した場合のデジタル出力信号と、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57を適応しない場合のA/D変換直後のデジタル出力信号とを比較すると、上述した図18(d)と同様に、結果として位相進み及び位相遅れのない出力となる。
以上により、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57の組み合わせによるA/D分解能の改善代は、上述した図17に示すように、概ね4〜5倍となる。また、当該A/D分解能は、広い周波数域で安定して改善されることがわかる。
(効果)
このように、上記第5の実施形態では、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタを、高域強調フィルタで構成すると共に、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタを、低域強調フィルタで構成する。これにより、より安定してA/D変換による量子化誤差を低減し、A/D変換器の物理分解能以上の分解能を有する精度の信号を得ることができる。
(応用例)
なお、上記第5の実施形態においては、アナログフィルタ56及びデジタルフィルタ57を、高域強調フィルタと低域強調フィルタとの組み合わせで構成する場合について説明したが、アナログフィルタ56に代えて、ハイパスフィルタを用いたアナログフィルタ51やローパスフィルタを用いたアナログフィルタ54を適用することもできる。また、デジタルフィルタ57に代えて、ハイパスフィルタを用いたデジタルフィルタ53やローパスフィルタを用いたデジタルフィルタ55を適用することもできる。
(変形例)
なお、上記各実施形態においては、アナログフィルタ及びデジタルフィルタの少なくとも一方を、バンドパス特性を有するフィルタで構成することもできる。この場合にも、フィルタ特性を任意に設定することで、A/D変換回路において、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとした後にA/D変換し、その後、高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることができるので、安定して変換分解能を向上(量子化誤差を低減)することができる。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…電動モータ、15…コントローラ、16…車速センサ、20…マイクロコンピュータ、31,32…A/D変換回路、40…モータ駆動回路、41…FETゲート駆動回路、42…Hブリッジ回路、45…モータ電流検出回路、51…アナログフィルタ(H.P.F)、52…A/D変換器、53…デジタルフィルタ(H.P.F)、54…アナログフィルタ(L.P.F)、55…デジタルフィルタ(L.P.F)、56…アナログフィルタ(H.E.F)、57…デジタルフィルタ(L.E.F)

Claims (7)

  1. 操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する電動モータを備える電動パワーステアリング装置であって、
    前記電動モータの駆動制御に用いる物理量に対応したアナログ信号を検出するアナログ信号検出手段と、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段で変換したデジタル信号に基づいて、前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
    前記A/D変換手段は、前記アナログ信号検出手段で検出したアナログ信号の高周波成分のゲインを低周波成分のゲインに対して高ゲインとするアナログフィルタ部と、前記アナログフィルタ部から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器から出力されたデジタル信号の前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとするデジタルフィルタ部と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記アナログフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記アナログフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して高ゲインとすることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記アナログフィルタ部は、高域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記デジタルフィルタ部はハイパスフィルタを備え、入力信号と前記ハイパスフィルタ通過後の前記入力信号との差分を取ることで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記デジタルフィルタ部はローパスフィルタを備え、入力信号と前記ローパスフィルタ通過後の前記入力信号とを加算することで、前記高周波成分のゲインを前記低周波成分のゲインに対して低ゲインとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記デジタルフィルタ部は、低域強調特性を有するフィルタにより構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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