JP3956737B2 - 電気式動力舵取装置 - Google Patents

電気式動力舵取装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3956737B2
JP3956737B2 JP2002087992A JP2002087992A JP3956737B2 JP 3956737 B2 JP3956737 B2 JP 3956737B2 JP 2002087992 A JP2002087992 A JP 2002087992A JP 2002087992 A JP2002087992 A JP 2002087992A JP 3956737 B2 JP3956737 B2 JP 3956737B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
torque
steering
vehicle speed
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002087992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003276625A (ja
Inventor
彰 伊藤
正秀 岩沢
清貴 岩田
泰 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2002087992A priority Critical patent/JP3956737B2/ja
Publication of JP2003276625A publication Critical patent/JP2003276625A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3956737B2 publication Critical patent/JP3956737B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータにより操舵をアシストする電気式動力舵取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気式動力舵取装置として、ステアリングホイールが固定された入力軸に、操舵トルクを検出するトルクセンサを取り付け、トルクセンサで検出した操舵トルクに応じたアシストトルクを電動モータにより発生させ、減速機を介して操舵力を軽減するものが一般的に知られている。係る電気式動力舵取装置においては、アシストトルクを発生させる際にのみにモータを付勢すればよいため、常に油圧ポンプを駆動する必要がある油圧式舵取装置に対して、エネルギー消費が少ないという利点がある。
【0003】
電気式動力舵取装置、油圧式舵取装置において、人間の操舵に対してアシストが加わるのに遅れが生じる。特に、電気式動力舵取装置では、モータ及び減速機を介して操舵をアシストするため、モータ及び減速機分だけ摩擦及び慣性量が油圧式動力舵取装置よりも大きく、この摩擦及び慣性感により運転者に違和感を与えることになる。具体的には、操舵に対して、アシストが遅れる感覚を運転者に与えることになる。
【0004】
電気式動力舵取装置では、上述したアシストの遅れを補償するため、トルクセンサからの検出値(操舵トルク)を位相進みフィルタにて微分することで位相を進ませ、位相を進ませた値に基づき目標値の演算を行っている。この位相進みフィルタの前段では、検出した操舵トルク値に重畳するノイズ分を除去するため、位相遅れフィルタを通している。
【0005】
この位相進みフィルタ及び位相遅れフィルタの構成を図8に示す。これらフィルタは、デジタルフィルタであって、所定のサンプリング周期で演算が実行される。位相遅れフィルタは、複数(ここでは、3段)の20dBの減衰量を持つローパスフィルタからなる。ここで、複数のローパスフィルタを用いるのは、除去したいノイズ分と、信号分との端境に、制御に必要な操舵トルク値が含まれているため、この操舵トルク値をローパスフィルタにより切り捨ててしまわないよう、特性の異なるローパスフィルタを組み合わせてあるためである。位相進みフィルタは、微分回路Sと所定のゲインGからなり、微分回路にて前回のサンプリング周期での位相遅れフィルタの値との差分が取られ、ゲインGで増幅される。そして、ノードNにて、位相遅れフィルタの出力と、位相進みフィルタ出力とが加算され、位相補償後のトルク値となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、所定サンプリング周期で操舵トルクを検出した値をローパスフィルタを通してノイズ分を除去すると、除去されるノイズ分の端境、ここでは、制御に必要な操舵トルクの値が小数点以下となる。固定小数点式演算器を用いて上記ローパスフィルタを構成すると、小数点以下の値が切り捨てられる。ここで、当該ローパスフィルタを通した値の小数点以下を切り捨てて、位相進みフィルタで微分(位相を進み)すると、微分により前回の値との差分を取るため、微分後の値が段階状に変化し、演算した目標値も段階的に変化することとなり、操舵感を損なわしめる。特に、トルク微分値は、位相補償進み演算だけではなく、トルク慣性補償にも用いられるため、トルク微分値は、トルク慣性補償にも大きく影響を与える。
【0007】
言い換えるならば、トルク微分演算は、前回トルク値(トルクループ前回演算値)との差を単位時間あたりの差に演算したものを求めるため、トルク微分値の分解能はトルクループの演算周期(サンプリング周期)で決められることになる。今回のトルク値をTn[Nm]、前回のトルク値をTn-1[Nm]、トルクループの演算周期(サンプリング周期)を1msとすると、トルク微分値Tdot[Nm/s]は、
Figure 0003956737
となり、トルク微分値Tdotの分解能は、トルク値Tn、Tn-1と比べて1000倍悪化することになる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、デジタル減衰フィルタを用いて適正な制御を実現できる電気式動力舵取装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するため、操舵状態を検出した値をデジタル減衰フィルタを通した値に基づいて演算した目標値により、モータを駆動して操舵方向へアシストする電気式動力舵取装置において、
前記デジタル減衰フィルタの前段で前記検出した値を所定倍にすることを技術的特徴とする。
【0010】
デジタル減衰フィルタを通すと、操舵状態を検出した値が減衰して小数点以下の値が発生するが、固定小数点式演算器を用いて演算すると当該小数点以下の値が切り捨てられるため、適正な目標値を演算することができない。このため、請求項1の発明では、デジタル減衰フィルタの前段で検出した値を所定倍にすることで、小数点以下となる値を生かして適正な制御を行うことを可能にする。
【0011】
請求項2の発明は、操舵トルクを検出した値をローパスフィルタを通した値に、当該ローパスフィルタを通した値を微分した値を加えた値に基づいて演算した目標値により、モータを駆動して操舵方向へアシストする電気式動力舵取装置において、
前記ローパスフィルタの前段で前記検出した値を所定倍にし、後段で所定分の1にすることを技術的特徴とする。
【0012】
所定サンプリング周期で操舵トルクを検出した値をローパスフィルタを通してノイズ分の除去を図ると、除去されるノイズ分の端境、ここでは、小数点以下の値に制御に必要な信号値が含まれることになる。ここで、当該ローパスフィルタを通した値の小数点以下を切り捨ててから微分(位相を進み)すると、微分により前回の値との差分を取るため、微分後の値が段階状に変化し、演算した目標値も段階的に変化することとなる。このため、請求項2の発明では、ローパスフィルタの前段で検出した値を所定倍にし、後段で所定分の1にする。ローパスフィルタで小数点以下になる値を生かして微分を行うことができるため、微分して差分を取った値が連続的になり、目標値を連続的になるように演算することが可能となり、適正な制御を実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の負荷制御装置の実施形態に係る電気式動力舵取装置について図を参照して説明する。
図1は第1実施態様の電気式動力舵取装置10の構成を示すブロック図である。電気式動力舵取装置10は、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ22と、トルクセンサ22からの操舵トルク及び車速センサ24からの車速に基づきモータ指令トルク(操舵アシスト量)を演算する制御装置30と、モータ指令トルクに応じた電流指令値を求めてモータMへの通電を制御するモータ駆動回路26とを備える。
【0014】
トルクセンサ22は、車両の操舵ステアリング14に連結された入力軸12に配設されている。モータMの出力は、減速機16により減速され、前輪を操舵するためのラック・ピニオンギア18に伝達される。
【0015】
制御装置30及びモータ駆動回路26の制御系について、図2のブロック図に示す。トルクセンサ22からの出力(操舵トルク:電圧値)は、A/D変換32を介してデジタル値に変換され、トルク演算34にてトルク値が演算される。演算されたトルク値は、位相遅れフィルタ40Aへ加えられてノイズが除去され、加算ノード38を介してアシスト制御60へ入力される。該位相遅れフィルタ40Aは、アンプ35にて、トルク値を1000倍にした後、ローパスフィルタ36A、36B、36Cにて高周波ノイズ成分を除去してから、アンプ37にて1/1000にする。
【0016】
車速センサ24からの車速(パルス信号)は、I/F40を介して車速演算42に入力され、演算された車速がアシスト制御60へ入力される。
【0017】
一方、ローパスフィルタ36Cからの出力は、位相進みフィルタ40Bにて位相補償され、加算ノード38を介してアシスト制御60へ入力される。位相進みフィルタ40Bでは、操舵トルク値を微分44にて微分することで位相を進めた後、位相補償46でゲインGを加算することで、操舵アシストの遅れを補償する。即ち、検出値に基づき指令値を演算すると、演算完了までに一定の時間がかかり、この一定時間が、検出値に対する指令値の遅れとなって、現在の検出値に基づいて指令値を求めると、操舵アシストを適正に制御し得ない。このため、微分44にて操舵トルクの位相を進める。
【0018】
アシスト制御60の内容を図3(B)に示す。加算ノード38からの操舵トルクに応じて、アシストマップ62により、指令トルク値が決定される。即ち、操舵トルクが大きいときには、高い指令トルク値が決定され、操舵トルクが小さいときには、低い指令トルク値が決定され、乗算ノード68側へ出力される。また、第1実施形態の電気式動力舵取装置においては、操舵トルクが所定値よりも小さいときには、該操舵トルクに応じたモータ制御を行わないようにする「不感帯」を設けてある。即ち、不感帯を設けることで、中、高速走行時のステアリング中立付近での剛性感を高め、操舵フィーリングを高めている。操舵トルクTsよりも小さな操舵トルクのときは、指令トルクが0として出力される。また、所定の操舵トルクTmよりも大きいときには、最大値として一定の指令トルク値(モータの最大出力)が出力される。
【0019】
車速センサ24からの車速値は、車速ゲインマップ64により車速に応じた重み付けが行われる。車速に応じて車速ゲインマップを検索することで、例えば、車速0km/hの際には“1”を出力し、100km/hの際には“0.2”を出力する。これにより、操舵アシスト量を車速に応じて重み付けを行うことでステアリングを操作する際、低速時に操舵を軽く、反対に、高速時に操舵を重くしている。車速ゲインマップ64からの車速重み付け値が乗算ノード68側へ出力され、上述した指令トルクが車速に応じて補正される。
【0020】
図2に示すように、アシスト制御60からの指令トルク値は、加算ノード48を介して電流指令リミッタ50に加えられる。電流指令リミッタ50では、モータMの最大出力を越える指令トルク値が制限される。
【0021】
電流指令リミッタ50からの指令トルク値は、減算ノード52を介してPI制御100に加えられる。PI制御100の内容を図5に示す。PI制御100では、指令トルク値にGpゲインが加えられ、加算ノード102に印加され、また、指令トルク値が積分されGiゲインが加えられ、加算ノード102へ印加される。一方、上記減算ノード52へは、ローパスフィルタ112及びA/D変換114を介してモータMの電流が印加される。PI制御100では、A/D変換114を介して入力された実モータ電流が、指令トルク値(指令電流値)となるようにPIフィードバック制御が行われる。
【0022】
PI制御100からの指令トルク値は、モータ駆動回路26へ印加される。モータ駆動回路26のPWM演算27は、指令トルク値に応じた出力をモータMに発生させるようにトランジスタTr1、Tr2、Tr3,Tr4のベースに電流を印加し、PWM制御を行う。
【0023】
モータU相の電位は、ローパスフィルタ122及びA/D変換124を介して差動アンプ136の非反転入力に加えられる。モータV相の電位は、ローパスフィルタ132及びA/D変換134を介して差動アンプ136の反転入力に加えられる。差動アンプ136からモータ端子間電圧が出力され、減算ノード54へ印加される。上述したA/D変換114を介して入力されたモータ電流が、(LS+R)138で乗算されてモータ起電力として減算ノード54へ印加され、減算ノード54からモータの逆起電力が出力される。ここで、乗算される(LS+R)中のLSは、モータインダクタンスの微分値を、Rは、モータの抵抗分を示している。
【0024】
減算ノード54からの逆起電力は、アンプ56にて逆起電力定数Keが除算され、モータの角速度が求められ、更に、アンプ58にて減速機16の減速比が除算されて、ハンドルの角速度として、ハンドル戻し補償制御80及びダンパ補償制御90へ印加される。ここでは、ハンドルの角速度を演算により推測しているが、舵角センサにより角速度を検出することも可能である。
【0025】
ハンドル戻し補償制御80は、低速において路面の反力による舵の戻りがモータMと減速機16の摩擦抵抗により遅くなる電気式動力舵取装置の特性を補償するための制御を行う。ハンドル戻し補償制御80の内容を図4(A)に示す。ハンドルの角速度に応じて、ハンドル戻しマップ82により、ハンドル戻し量が決定される。即ち、ハンドルの角速度が大きいときには、大きなハンドルの戻り量が決定され、角速度が小さいときには、小さなハンドルの戻り量が決定され、乗算ノード88側へ出力される。第1実施形態の電気式動力舵取装置のハンドル戻しマップ82においては、上述したアシストマップ62と同様に、角速度が所定値よりも小さいときには、角速度に応じたモータ制御を行わないようにする「不感帯」を設けてある。また、所定の角速度よりも大きいときには、最大値として一定のハンドルの戻り量が出力される。
【0026】
車速センサ24からの車速値は、車速ゲインマップ84により車速に応じた重み付けが行われる。車速に応じて車速ゲインマップを検索することで、例えば、車速0km/hの際には“1”を出力し、40km/hの際には“0.2”を出力する。これにより、低速においてハンドル戻し量を大きくし、中高速では戻り量を小さくしている。車速ゲインマップ84からの車速重み付け値が乗算ノード88側へ出力され、上述したハンドルの戻り量が車速に応じて補正される。上記車速により補正されたハンドルの戻り量が、図2に示す加算ノード48へ印加され、アシスト制御60からの指令トルク値を補償する。 なお、ハンドル戻し制御制御80は、ハンドルの角速度に代えて、モータMの角速度に応じてハンドル戻し量を決定するようにしてもよい。
【0027】
一方、図2に示すダンパ補償制御90は、中高速で路面の反力による舵の戻りが早くなるのを補償する。これは一旦舵が戻り始めると、モータMと減速機16の慣性により舵が戻りすぎるのを防止するためである。ダンパ補償制御90の内容を図4(B)に示す。ハンドルの角速度に応じて、ダンパマップ92により、ダンパ量が決定される。即ち、ハンドルの角速度が大きいときには、ハンドルの回転方向とは逆方向への大きなダンパ量(小さなハンドル戻り量)が決定され、角速度が小さいときには、小さなダンパ量(大きなハンドル戻り量)が決定され、乗算ノード98側へ出力される。ダンパマップ92は、上述したアシストマップ62と同様に、角速度が所定値よりも小さいときには、角速度に応じたモータ制御を行わないようにする「不感帯」を設けてある。また、また、所定の角速度よりも大きいときには、最大値として一定のダンパ量が出力される。
【0028】
車速センサ24からの車速値は、車速ゲインマップ94により車速に応じた重み付けが行われる。車速に応じて車速ゲインマップを検索することで、例えば、車速0km/hの際には“0”を出力し、40km/hの際には“0.6”を出力する。これにより、高速においてダンパ量を大きくし、低速ではダンパ量を小さくしている。車速ゲインマップ94からの車速重み付け値が乗算ノード98側へ出力され、上述したハンドルの戻り量が車速に応じて補正される。上記車速により補正されたハンドルの戻り量が、図2に示す加算ノード48へ印加され、アシスト制御60からの指令トルク値を補償する。
なお、ダンパ補償制御90はハンドルの角速度に代えて、モータMの角速度に応じてダンパ量を決定するようにしてもよい。
【0029】
図2に示すように、操舵トルクの微分値及び車速値は、トルク慣性補償制御70に入力される。トルク慣性補償制御70は、切り始めに舵が重く、一旦切り始めると、舵がどんどん切れて行く慣性感を軽減する。トルク慣性補償制御70の内容を図3(A)に示す。微分44で微分された操舵トルクに応じて、慣性補償マップ72により慣性補償量が決定される。即ち、操舵トルク微分値が大きいときには、高い慣性補償量が決定され、操舵トルクが小さいときには、低い慣性補償量が決定され、乗算ノード78側へ出力される。
【0030】
車速センサ24からの車速値は、補間係数マップ74により車速に対応する重み付けが行われる。例えば、車速0km/hの際には“0.7”を出力し、40km/hの際には“1.0”を出力し、70km/hの際には“0.6”を出力する。これにより、慣性補償量を低速で小さく、中速で大きく、高速で小さくしている。補間係数マップ74からの重み付け値が乗算ノード78側へ出力され、上述した慣性補償量が車速に応じて補正される。上記車速により補正された慣性補償量が、図2に示す加算ノード48へ印加され、アシスト制御60からの指令トルク値を補償する。
【0031】
なお、本実施形態では、操舵状態として操舵トルクを検出し、この操舵トルクに応じてアシスト制御するようにしたが、操舵トルクに代えて操舵角や操舵角速度などに応じてアシスト制御するようにしてもよい。
【0032】
図8を参照して上述したように所定サンプリング周期(例えば、1ms)で操舵トルクを検出した値をローパスフィルタを通してノイズ分の除去を図ると、除去されるノイズ分の端境、ここでは、小数点以下の値に制御に必要な信号値が含まれることになる。ここで、当該ローパスフィルタを通した値の小数点以下を切り捨ててから微分(位相を進み)すると、微分により前回の値との差分を取るため、微分後の値が段階状に変化し、演算した目標値も段階的に変化することとなる。
【0033】
このため、図2に示すように第1実施形態では、ローパスフィルタ36Aの前段で操舵トルクをアンプ35で1000(1msの逆数)にし、ローパスフィルタ36Cの後段でアンプ36にて1000の1にする。ローパスフィルタで小数点以下になる値を1000倍にし、整数値となるようにして位相進みフィルタ40B側の微分44に出力することで、微分して差分を取った値が連続的になり、目標値を連続的になるように演算することが可能となって、適正な制御を実現できる。
【0034】
即ち、操舵トルクを1000倍した後に、位相補償46の演算に加えることで、トルク微分値の分解能を向上させている。本実施形態では、トルクループの演算周期(サンプリング周期)が1msであるため、操舵トルク値を1000倍したものを演算にかける。これによりトルク微分値Tdot[Nm/s]は、今回のトルク値をTn[Nm]、前回のトルク値をTn-1[Nm]、トルクループの演算周期(サンプリング周期)を1msとすると、
Figure 0003956737
となり、トルク値をTn、Tn-1は、1000倍した値となっているが、位相遅れフィルタ(位相遅れ演算)を通した後のトルク値であるので、1000倍した値であっても、その間の値を出力することになるので、分解能が低下することがない。
【0035】
更に、この微分44からの操舵トルク微分値は、トルク慣性補償制御70側へも加えられるため、慣性補償制御の制御を向上させることができ、操舵フィーリングをより良いものにできる。
【0036】
図2中に示す位相遅れフィルタ40Aと位相進みフィルタ40Bでの演算処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御装置(固定小数点式演算器)30は、1回前の値を更新する(S12)。そして、操舵トルク値を取り込む(S14)。操舵トルク値を1000倍する(アンプ35:S16)。引き続き、1段目のローパスフィルタ演算を行い(LPF36A:S18)、1段目のローパスフィルタ通過後の操舵トルク値を算出する(S20)。2段目のローパスフィルタ演算を行い(LPF36B:S22)、2段目のローパスフィルタ通過後の操舵トルク値を算出する(S24)。3段目のローパスフィルタ演算を行い(LPF36C:S26)、3段目のローパスフィルタ通過後の操舵トルク値(trqlpfout)を算出する(S28)。
【0037】
引き続き、前回の操舵トルク値から今回の操舵トルク値を減算することで、操舵トルクの差分を求める(微分44:S30)。変化量が上限を超えるかをチェックし(S32)、越えない場合には(S32:No)、S36へ移行し、越える場合には(S32:Yes)、操舵トルク差分値を予め設定されている上限値に置き換える(S34)。次に、変化量が下限を超えるかをチェックし(S36)、越えない場合には(S36:No)、S40へ移行し、越える場合には(S38:Yes)、操舵トルク差分値を予め設定されている下限値に置き換える(S38)。
【0038】
トルク微分演算を行い(S40)、トルク微分演算値に位相進みゲインを掛けた値(trpssm)を記憶する(ゲイン46:S42)。S28で求めた(trqlpfout)を1000で割り(trqlpfout/1000)を求め(アンプ37:S44)、S42で記憶した値(trpssm)と(trqlpfout/1000)とを加算して位相進みフィルタ40Bの出力(trqph)を求め(ノード38:S46)、(trqph)をアシスト制御60側へ出力する(S48)。
【0039】
ここで、従来技術での制御と、第1実施形態での制御とを比較したシュミレーション結果を図7を参照して説明する。図7(A)は、従来技術での制御を示すグラフであり、図7(B)は、第1実施形態での制御を示すグラフである。
図中では、図2中のトルク演算34での出力(操舵トルク値)を最上段に、位相遅れフィルタ40A通過後の操舵トルクを第2段に、微分44にて微分した後の操舵トルクを第3段に、位相補償46を通過後の操舵トルクを最下段に示している。
【0040】
従来技術では、微分44にて微分した後の操舵トルク値(図7中第3段)が段階的に変化しているのに対して、第1実施形態では、微分44にて微分した後の操舵トルク値もなだらかに変化しており、該操舵トルクに基づき適正な制御を実現できることが分かる。
【0041】
上述した実施形態では、本発明の構成を、位相遅れフィルタ40Aと位相進みフィルタ40Bに適用する例を挙げたが、本発明の構成は、種々のデジタル減衰フィルタに用いることができ、更に、電気式動力舵取装置のみならず、固定小数点演算器を用いる種々の装置に適用できる。
【0042】
なお、本実施形態では、サンプリング周期を1msに固定して、位相遅れフィルタの前段で、検出値を1000倍したが、サンプリング周期を可変とする場合には、サンプリング周期に合わせて倍率を可変することができる。例えば、サンプリング周期を0.1msに換えた際には、10000倍とすることもできる。また、本実施形態では、一次微分で倍率を1000倍にしたが、二次以上の微分の場合には、この倍率を高め得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様に係る電気式動力舵取装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施態様に係る電気式動力舵取装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】図3(A)は、図2中のトルク慣性補償制御のブロック図であり、図3(B)は、アシスト制御のブロック図である。
【図4】図4(A)は、図2中のハンドル戻し補償制御のブロック図であり、図4(B)は、ダンパ補償制御のブロック図である。
【図5】図2中のPI制御のブロック図である。
【図6】位相遅れフィルタと位相進みフィルタでの処理を示すフローチャートである。
【図7】図7(A)は、従来技術での制御結果を示すグラフであり、図7(B)は、第1実施形態での制御結果を示すグラフである。
【図8】従来技術の位相遅れフィルタと位相進みフィルタのブロック図である。
【符号の説明】
10 電気式動力舵取装置
22 トルクセンサ
24 車速センサ
26 モータ駆動回路
30 制御装置
35 アンプ
36A、36B、36C ローパスフィルタ
37 アンプ
40A 位相遅れフィルタ
40B 位相進みフィルタ
44 微分
46 位相補償
60 アシスト制御
70 トルク慣性補償制御
80 ハンドル戻し補償制御
90 ダンパ補償制御

Claims (2)

  1. 操舵状態を検出した値をデジタル減衰フィルタを通した値に基づいて演算した目標値により、モータを駆動して操舵方向へアシストする電気式動力舵取装置において、
    前記デジタル減衰フィルタの前段で前記検出した値を所定倍にすることを特徴とする電気式動力舵取装置。
  2. 操舵トルクを検出した値をローパスフィルタを通した値に、当該ローパスフィルタを通した値を微分した値を加えた値に基づいて演算した目標値により、モータを駆動して操舵方向へアシストする電気式動力舵取装置において、
    前記ローパスフィルタの前段で前記検出した値を所定倍にし、後段で所定分の1にすることを特徴とする電気式動力舵取装置。
JP2002087992A 2002-03-27 2002-03-27 電気式動力舵取装置 Expired - Fee Related JP3956737B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002087992A JP3956737B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 電気式動力舵取装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002087992A JP3956737B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 電気式動力舵取装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003276625A JP2003276625A (ja) 2003-10-02
JP3956737B2 true JP3956737B2 (ja) 2007-08-08

Family

ID=29233998

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002087992A Expired - Fee Related JP3956737B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 電気式動力舵取装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3956737B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5098622B2 (ja) * 2007-12-14 2012-12-12 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置
JP2010069975A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Honda Motor Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP5510504B2 (ja) * 2012-08-07 2014-06-04 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003276625A (ja) 2003-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3412579B2 (ja) 車両の電動パワーステアリング装置
JP6079942B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
EP3459825B1 (en) Electric power steering device
EP2272735B1 (en) Electric power steering system
JP3847516B2 (ja) 電動パワーステアリング制御装置及びその制御方法
JPWO2014136515A1 (ja) 電動パワーステアリング装置
US20070162206A1 (en) Electric power steering apparatus
WO2007119333A1 (ja) 電動パワーステアリング制御装置
EP1586493A1 (en) Electric power steering apparatus
JP4356456B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP4849065B2 (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP3082483B2 (ja) 電動式パワーステアリング装置
JP6387657B2 (ja) 電動パワーステアリング制御装置
JP4088678B2 (ja) 電気式動力舵取装置
JP2003019974A (ja) 電気式動力舵取装置
JP3956737B2 (ja) 電気式動力舵取装置
JP4300691B2 (ja) 電気式動力舵取装置
JP2004291815A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2008132918A (ja) 車両用電動パワーステアリング装置の制御装置
JP5402714B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2004182078A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009286350A (ja) 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP4618614B2 (ja) 電動式パワーステアリング制御装置
JP2022037344A (ja) ステアリング制御装置
JP4466206B2 (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040804

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050922

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060301

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070430

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3956737

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110518

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110518

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120518

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120518

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130518

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140518

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees