JP2010069975A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動パワーステアリング装置1は、EPS制御部20において、A−D変換器31は、トルクセンサ5からのトルクセンサ信号をA−D変換し、LPF32によって濾波した後に、このトルクセンサ信号に基づいて、EPS制御部20のアシスト制御部38などが目標電流を演算し、モータ7を駆動することで車両の操舵をアシストする。A−D変換器31では、電動パワーステアリング装置1の制御周期よりも短い周期でサンプリングを行い、トルクセンサ信号のA−D変換を行う。
【選択図】図3
Description
また、LPFの後段に、LPFによる処理で遅れた信号の位相を戻すための「位相補償」を入れると、この位相補償によって減衰させたノイズが復活してしまう。
この問題を解消するには、位相補償のゲイン設定をきめ細かく精密に行う必要があるため、工程数が増え、非常に手間が掛かる問題点があった。
また、前記従来の「パワーステアリング装置」では、低域通過フィルタで処理したトルクデータを用いているため、位相遅れが生じ、操舵時の音や振動が十分に低減できない問題点があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、操舵時の音や振動を低減し操舵フィーリングを向上させた電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
図1は、本発明による一実施形態の電動パワーステアリング装置1の全体構成図である。
この電動パワーステアリング装置1は、運転者が操向操作するステアリングホイール2を有し、このステアリングホイール2はステアリング軸3を介してピニオン軸4に連結されている。運転者がステアリングホイール2を操作して生じる操舵トルクは、ステアリング軸3を介してピニオン軸4に伝達される。ピニオン軸4にはステアリング系に作用する操舵トルクを電気信号として検出する磁歪式などのトルクセンサ5及び減速器6が取り付けられている。減速器6には、ステアリング系に補助トルクを加えるためのモータ(電動機)7が接続されている。モータ7は、例えば、シンクロナスリラクタンスモータまたはDCブラシレスモータである。
この制御系は、加算器14と、EPS(Electric Power Steering)制御部20及びモータ制御部21を含む制御装置(ECU(Electronic Control Unit))10と、モータ7と、減速器6とを備えている。
ステアリングホイール2(図1参照)を操作することによって発生した手入力は、加算器14に入力される。加算器14には、さらに、現に発生しているアシストトルク分が加算入力されるとともに、路面負荷分が減算入力される。加算器14は、これら手入力、アシストトルク、路面負荷が考慮されたトルクセンサ値を、制御装置10へ出力する。
EPS制御部20は、モータ7を適切に制御するための目標信号を生成し、モータ制御部21へ出力する。なお、EPS制御部20の詳細については、図3を参照して後記する。
モータ制御部21は、この目標信号に応じた電動機駆動電圧を生起してモータ7へ出力し、モータ7の回転トルクを制御する。
減速器6は、モータ7の機械的な回転速度を所定の比率で減速し、アシストトルク(補助トルク)として、ピニオン軸4(図1参照)に加える。このアシストトルクは、トルクセンサ5(図1参照)によって検出され、これを表す信号が再び加算器14へ出力される。
EPS制御部20は、A−D(Analog-to-Digital)変換器31と、LPF(Low-pass filter; 低域通過濾波器)32と、ダウンサンプラ33と、微分演算部34と、トルク微分制御部35と、ダンパ制御部36と、位相補償器37と、アシスト制御部38と、加算器39と、を具備している。
なお、特許請求の範囲に記載の「電動パワーステアリング装置の制御周期」は、この後段の制御周波数に応じた制御周期(1[ms])に相当する。
サンプリングにおける量子化ノイズは、実用上白色ノイズとみなすことができ、サンプリング周波数(10[kHz])まで均一にノイズレベルが分布している。そこで、A−D変換器31が後段の制御周波数よりも高い周波数でサンプリングを行い、LPF32が量子化ノイズを平均化することによって、A−D処理の分解能をあげることなく量子化ノイズを低減することができる。
トルク微分制御部35は、トルクセンサ信号を微分して得られた時間変化率を基に、アシスト制御信号を補正する信号を加算器39へ出力する。
図5は、比較例のEPS制御部20bを詳細に示すブロック図である。
この比較例のEPS制御部20bは、A−D変換器31の代わりにA−D変換器31bを備え、LPF32の代わりにLPF32bを備え、ダウンサンプラ33を備えないほかは、図3に示す本発明による一実施形態のEPS制御部20と同様の構成を有する。
LPF32bは、カットオフ周波数が後段の制御周波数(1[kHz])と同じであるほかは、LPF32(図3参照)と同一の構成である。
サンプリングにおける量子化ノイズは、実用上白色ノイズとみなすことができ、サンプリング周波数(1[kHz])まで均一にノイズレベルが分布している。そこで、A−D変換器31bが後段の制御周波数と同じ周波数でサンプリングを行い、LPF32bが量子化ノイズを平均化しているので、図4に示すグラフと比較すると、量子化ノイズがあまり低減されないことが分かる。
本発明による一実施形態によれば、例えば次の効果が得られる。
(1)トルクセンサ信号を後段の制御周波数より高い周波数でサンプリングし、A−D変換処理を行っているため、量子化ノイズのパワーが高周波側に分散化され、カットオフ周波数の高いLPF32を用いても、十分に量子化ノイズをカットできる。
(2)カットオフ周波数の高いLPF32を使用しているため、位相遅れが少なくて済み、応答性のよい操舵アシストが行える。また、位相補償器37で復活するノイズレベルが非常に小さくなる。
(3)また、目標信号の位相補償量が少なくて済むので、操舵時の音や振動が大幅に低減される。
(4)トルクセンサ値の微分値を算出する際の量子化ノイズの影響が少ないため、トルク微分処理がさらに効果的に行われる。
(5)EPS制御に用いる信号の周波数帯に対し、ノイズの周波数帯が分散化されるため、ノイズ除去用のLPF32のカットオフ周波数及びそのゲイン設定が容易である。
(6)トルクセンサ信号のサンプリング周波数と、EPSの制御周波数が離れているため、位相補償器37のゲイン設定が容易である。
2 ステアリングホイール
3 ステアリング軸
4 ピニオン軸
4A ピニオン
5 トルクセンサ
6 減速器
7 モータ
8 ラック軸
8A ラック歯
9 操向輪
10 制御装置
11 速度センサ
14 加算器
20,20b EPS制御部
21 モータ制御部
31,31b A−D変換器
32,32b LPF
33 ダウンサンプラ
34 微分演算部
35 トルク微分制御部
36 ダンパ制御部
37 位相補償器
38 アシスト制御部
39 加算器
Claims (2)
- トルクセンサからのトルクセンサ信号をA−D変換し、低域通過濾波器によって濾波した後に、当該トルクセンサ信号に基づいて制御回路が目標電流を演算し、モータを駆動することで車両の操舵をアシストする電動パワーステアリング装置であって、
当該電動パワーステアリング装置の制御周期よりも短い周期で前記トルクセンサ信号のA−D変換を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記低域通過濾波器のカットオフ周波数を前記トルクセンサ信号をA−D変換するときの周波数と同等としたことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
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