以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態に係わるパンチプレスとしてのタレットパンチプレスの全体を示している。このタレットパンチプレスは、本体フレーム1の中央に空隙3を備えている。この空隙3の上側にある上部フレーム5には、複数のパンチPを装着した上タレット7が回転軸9により回転可能に支持されている。
空隙3の下側にある下部フレーム11には、複数のダイDを装着した下タレット13を回転軸15により回転可能に支持させている。前記上タレット7および下タレット13は、図示しないが回転割出し機構により同期して回転割り出し自在となっている。
また、上部フレーム5には上下シリンダ17を設けてあり、この上下シリンダ17のピストンロッド19の下端にはラム21を取り付けている。このラム21の下側には、加工位置に割り出されたパンチPを打圧して打ち抜き加工を行うためのストライカ23を、図2中で左右方向に移動可能に設けてある。
上部フレーム5には、例えば上タレット7の径方向に並んで設けてあるパンチP1,P2のうち、実際に打ち抜き加工に使用されるパンチP(例えばパンチP2)のみを打圧するためにストライカ23を図2中で左右方向に移動させるストライカシフトシリンダ25を設けてある。
一方、下部フレーム11における加工位置、すなわち前述のパンチPとの協働で打ち抜き加工を行うべく割り出されたダイDの下方である下部フレーム11には、パンチP1,P2に対応して下タレット13の径方向に並んで設けてあるダイD1,D2を持ち上げるための後述するダイ押し上げ手段27を設けている。
また、空隙3の図2中で上,下タレット7,13の右側には、被加工材であるワークWを加工位置に移動、位置決めするワーク位置決め装置29を設けている。
このワーク位置決め装置29は、ワーク支持カバーとしての固定テーブル31と、固定テーブル31の図2中で紙面に直交する両側に位置する可動テーブル32(図1参照)とからなる加工テーブル33を有しており、固定テーブル31を跨いで可動テーブル32と一体的にY軸方向(図2中で左右方向)へ移動するキャレッジベース35をY軸方向に移動、位置決め可能に設けている。キャレッジベース35は、Y軸モータ37と、軸受け39により回転可能に支持されるY軸ボールネジ41の回転により移動、位置決めされる。
なお、固定テーブル31は、下タレット13の図2中で左方の領域から下タレット13を覆うように下タレット13上にわたり配置してあり、可動テーブル32はこの固定テーブル31の両側(図2中で紙面の表裏両側)にてワークWを載せた状態で固定テーブル31に沿って移動する。
また、前記キャレッジベース35には、ワークWをクランプするクランパ43を有するX軸キャレッジ45を、図示省略のX軸移動機構によりX軸方向(図2において紙面に対して直交する方向)へ移動、位置決め可能に設けている。
なお、固定テーブル31及び可動テーブル32の表面には、ワークWを載せたときの表面の傷つきを抑制するための図3に一部を拡大して示す傷抑制部材としてのブラシ46を設けてある。このブラシ46は、固定テーブル31及び可動テーブル32の表面全体に、均一な高さで設けている。
上記構成により、クランパ43によりクランプされたワークWを、キャレッジベース35のY軸方向移動、位置決め及び、X軸キャレッジ45のX軸方向移動、位置決めによって、加工位置に位置決めする。
一方、上,下タレット7,13は同期して回転し、打ち抜き加工に使用するパンチP及びダイDを加工位置に割り出して、上下シリンダ17によりストライカ23がパンチPを打撃することにより、ワークWの所望位置に打ち抜き加工を行う。
上記した下タレット13は図1に示すように円盤形状を呈しており、下タレット13の外周側の上面に、円周方向に沿って複数のダイホルダ47をボルト49(図4参照)によって着脱可能に取り付けている。この複数のダイホルダ47には、互いに異なる前記したダイDを着脱可能に装着してある。
一方、上タレット7についても、下タレット13と同様に円盤形状を呈しており、上記した下タレット13のダイDに対応するパンチPを円周方向に沿って複数備えている。
図1,図4の割り出し加工位置にあるダイホルダ47に設けてあるダイD(D1,D2)は、円筒形状のリフタパイプ51,53の上端開口部にそれぞれ装着してあり、リフタパイプ51は、下タレット13に設けた取付孔13a及びダイホルダ47に設けた取付孔47aに対して上下動可能に収容し、リフタパイプ53は、下タレット13に設けた取付孔13b及びダイホルダ47に設けた取付孔47bに対して上下可能に収容している。
この際、上記した各リフタパイプ51,53は、下タレット13に対し図示しないスプリングにより下方に押し付けられている。
その他の各ダイホルダに設けてあるダイDについても、上記した小径のダイD(D1,D2)と同様に、リフタパイプが、下タレット13及びダイホルダ47の各取付孔に対して上下可能に収容された状態で、スプリングにより下方に押し付けられている。
次に、ダイDとともにリフタパイプ51,53を上昇させるダイ押し上げ手段27について説明する。このダイ押し上げ手段27には、台形ねじ式ダイ上下移動機構を採用している。すなわち、図4に示す下部フレーム11には、内周面に雌ねじ63aを備える大略円筒形状の雌ねじ部材63を固定してあり、この雌ねじ63aに螺合する雄ねじ65aを下端に備える円筒形状の昇降部材となる昇降ラム65を、雌ねじ部材63に対して回転可能に収容している。
図4では、昇降ラム65が最上端に位置している状態を示し、ダイ保持手段となるアタッチメント67を介してリフタパイプ53を上昇させ、このリフタパイプ53に対応するダイD2の上端面が、ワークWの搬送経路となるパスラインPLとなるまで上昇させている。
前記した雌ねじ部材63の上端には、昇降ラム65と共に回転する回転駆動リング69を回転可能に配置している。回転駆動リング69は、昇降ラム65の雄ねじ65aより上部にてスプライン結合されており、これにより昇降ラム65は回転駆動リング69に対し、一体的に回転可能であると同時に相対的に昇降可能となっている。
回転駆動リング69の外周のギヤ部に歯付きベルト71を噛合させ、歯付きベルト71は、図4中で紙面に直交する方向に配置してある図示しない駆動モータに連動連結されている。したがって、この駆動モータの駆動により、歯付きベルト71を介して回転駆動リング69が回転し、これと共に回転する昇降ラム65が、その雄ねじ65aが螺合する雌ねじ部材63の雌ねじ63aに対して回転することで、昇降することになる。
前記したアタッチメント67は、打ち抜き加工位置に割り出し位置決めされたダイD2に対応するリフタパイプ53を保持するダイ保持部となる環状の凸部67aを備えるとともに、ダイD2に対して径方向内側に隣接して配置してあるダイD1に対応するリフタパイプ51を保持する凹部67bを備えている。
すなわち、上記した凸部67aは、打ち抜き加工位置に割り出し位置決めされた加工に使用するダイD2を、ワークWのパスラインPLに押し上げた状態で保持する一方、凹部67bは、打ち抜き加工位置に割り出し位置決めされた加工に使用しないダイD1を、パスラインPLより下方位置となるよう保持する。
このようなアタッチメント67の他に、他のダイホルダ47に設けてある、例えばダイD2やダイD1よりも大径のダイDに対応する図示外のアタッチメントも存在する。これら複数のアタッチメントは、図4中で紙面に直交する方向に図示外のガイドレールに沿って個別に移動可能であるとともに、上下方向にも個別に移動可能であり、昇降ラム65が最下端に位置する状態で、同様に最下端に位置する状態のアタッチメントが、図4中で紙面に直交する方向に移動することで、使用するアタッチメントが昇降ラム65上に移動して選択される。
なお、上記したダイD1を含む下タレット13の同一円上に位置する複数のダイDの中心を結ぶ仮想の円の軌跡を内周側トラックとし、ダイD2を含む下タレット13の同一円上に位置する複数のダイDの中心を結ぶ仮想の円の軌跡を外周側トラックとし、さらにこれら内周側トラックと外周側トラックとの間には、これら各ダイD1,D2のリフタパイプよりも大口径のダイDのリフタパイプが位置する中央トラックが存在するものとする。
また、図1,図4に示すように、固定テーブル31の割り出し加工位置にあるダイDに対応する部位には、割り出し加工位置でのタレット31の円の接線方向(図4中で紙面に直交する方向)に沿って、パンチP及びダイDが入り込む開口部となる長方形状の切欠部31aを形成している。この切欠部31aの割り出し加工位置に対応する領域は、開口部におけるダイDの上端が進入する領域であり、この領域に、図4に示すように、打ち抜き加工に必要なダイD(図4ではダイD2)を上昇させて臨ませることになる。
上記した固定テーブル31の切欠部31aには、閉塞部材としてのブラシシャッタ装置73を設けている。ブラシシャッタ装置73は、割り出し加工位置を中心としてそのX軸方向両側にそれぞれ4個、全部で8個のブラシシャッタ75を、その下部に配置してあるブラシベース77に対して個別に移動可能に設けている。これらブラシシャッタ75は、ベース板79上に前記図3に示したブラシ46と同様のブラシ81を備えている。
ブラシベース77は、外形が切欠部31aにほぼ整合する長方形状で、中央に同様の長方形状の開口77a(図6)を形成して全体として枠状に形成してあり、この開口77aに対応して前記した8個のブラシシャッタ75を配置してある。
上記8個のブラシシャッタ75のY軸方向の両側には固定テーブル31と同様に固定の分割テーブル83を配置してあり、この固定の分割テーブル83は、上記枠状に形成したブラシベース77の長辺部77b上に固定してある。この分割テーブル83上にもブラシ46と同様のブラシ85を設けている。
図1では、上昇位置にあるダイD2のX軸方向に対応する位置にある4個のブラシシャッタ75が、ダイD2を保持するダイホルダ53の外周面にほぼ接触または接近した状態となっている。図1での他の4個のブラシシャッタ75は、割り出し加工位置側に移動した状態であり、X軸方向に沿って互いに対向位置にある二対のブラシシャッタ75のそれぞれの端部同士がほぼ接触している。この図1の状態で、ダイD2を利用した打ち抜き加工が可能となる。
8個の各ブラシシャッタ75は、割り出し加工位置とは反対側の端部付近が、ブラシベース77の短辺部77c上に常時位置するよう設定してあり、この各ブラシシャッタ75(ベース板79)の裏面には、図5,図6に示すように、シリンダブラケット87を介して第1エアシリンダ89をそれぞれ取り付けている。この各第1エアシリンダ89のピストンロッド91は、図8に拡大して示すように、割り出し加工位置とは反対側に突出しており、その先端をシリンダ連結ブラケット93に連結している。なお、図8では、理解しやすくするために、4個の第1エアシリンダ89の位置を、同一位置として図5,6とは異ならせている。
シリンダ連結ブラケット93は、図8(a)に示すように、各ピストンロッド91との連結部から下方に延びる第1連結部93aと、第1連結部93aの下端から、図8(b)中で上下方向中央部にて割り出し加工位置側に延びる中間部93bと、中間部93bの第1連結部93aと反対側の端部から図8(a)に示すように下方に延びる第2連結部93cと、を備えている。
上記第2連結部93cには、第2エアシリンダ95の割り出し加工位置側に向けて突出するピストンロッド97を連結してあり、第2エアシリンダ95は、シリンダ固定ブラケット99の下面に固定している。シリンダ固定ブラケット99は、シリンダ連結ブラケット93の中間部93bに対して平行でかつその下方に位置するシリンダ固定部99aと、シリンダ固定部99aのピストンロッド97と反対側の端部から上方に延びる縦壁部99bと、縦壁部99bの上端から内側に向けて屈曲してブラシベース77の短辺部77cの下面に取り付けられる取付部99cと、を備えている。
したがって、第2エアシリンダ95の作動により、シリンダ連結ブラケット93を介して4個の第1エアシリンダ89が、ブラシシャッタ75とともにX軸方向(図8中で左右方向)に移動するとともに、第1エアシリンダ89の作動により、シリンダブラケット87を介してブラシシャッタ75が、シリンダ連結ブラケット93に対して個別にX軸方向に移動する。
また、図6に示すように、各ブラシシャッタ75のベース板79の裏面にはスライドレール101を取り付けてある。一方、図6に示すように、ブラシベース77の割り出し加工位置に対して左右両側の裏面には、長辺部77b相互を連結する連結部材103を設けてあり、この連結部材103上には、図7に示すように上記したスライドレール101をガイドするガイド部材となるガイドナット105を取り付けている。
したがって、ブラシシャッタ75は、ブラシシャッタ75と一体のスライドレール101がガイドナット105にガイドされてX軸方向(図7中で紙面に直交する方向)に移動することになる。
なお、上記した図7,図8の構造は、図5,図6中で右側の部分に対応しているが、同左側の部分についても、左右対称であって同様の構造を備えている。また、ブラシシャッタ75を備えるブラシシャッタ装置73の支持構造については、図4では省略しているが、図2に簡略化して示すように、下部フレーム11上に支持ポスト110を立設し、支持ポスト110の上端に設けた水平方向に延びるアーム110aを介してブラシベース77を支持するようにすればよい。
次に作用を説明する。図1は、下タレット13の外周側トラックに位置するダイD2を使用した打ち抜き加工を行う状態を示しており、その状態での加工について説明する。この場合、ダイD2をパスラインPLまで上昇させるので、これに対応する4個のブラシシャッタ75の端部を、ダイD2に対応するダイホルダ53の外周面にほぼ接触または接近した位置としている。したがって、該4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ53のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
一方、ダイD2に対して下タレット13の半径方向内側に隣接するダイD1に対応する4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士がその端部をほぼ接触させている。すなわち、該4個のブラシシャッタ75は、開口部におけるダイDの上端が進入する領域を閉塞している。
この場合、図6に示すように第2エアシリンダ95を伸び状態とした上で、ダイD1に対応する位置にある4個の第1エアシリンダ89を伸び状態とする一方、ダイD2に対応する位置にある4個の第1エアシリンダ89を縮み状態とする。なお、ここでの(以後の説明でも同様)第1,第2エアシリンダ89,95の伸び状態とは、その各ピストンロッド91,97が突出(進出)した状態であり、縮み状態とは、各ピストンロッド91,97が後退した状態である。
ここで、図2に示してあるワーク位置決め装置29により、ワークWを割り出し加工位置に移動、位置決めすべく搬送する際には、図4に示す昇降ラム65を下降させてダイD2及びダイホルダ53を図4の状態に対して下降させておく。この際、割り出し加工位置には、図6に示すように、ダイホルダ53が入り込む領域の正方形状の開口部が形成されている。
このため、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、上記開口部の領域を狭くしているため、ワークWとダイD2との干渉を有効に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷を抑えることができる。
ワークWを割り出し加工位置に移動、位置決めした後は、昇降ラム65を上昇させる。昇降ラム65の上昇によりアタッチメント67も一体となって上昇し、このとき、アタッチメント67の凸部67aがリフタパイプ53の下端に当接し、この結果打ち抜き加工位置にあるダイD2及びそのリフタパイプ53が、図1に示すように、互いに離間しているブラシシャッタ75の端部相互間の隙間(前記した図6の正方形状の開口部)に入り込む。
このときダイD2の上端は、図1に示すようにパスラインPLとほぼ一致しており、この状態でストライカ23によりダイD2に対応するパンチPを打圧して打ち抜き加工を行うことで、高品質で安定した加工が行える。加工終了後は、リフタパイプ53をダイD2とともに下降させる。
また、ダイD2に対して下タレット13の半径方向内側に隣接するダイD1を利用して打ち抜き加工を行う場合には、図9(a)に示すように、ダイD1をパスラインPLまで上昇させる必要があるので、これに対応する4個のブラシシャッタ75の端部を、ダイD1に対応するダイホルダ51の外周面にほぼ接触または接近させた状態とする。したがって、該4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ51のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
一方、ダイD1に対して下タレット13の半径方向外側に隣接するダイD2に対応する4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士がその端部をほぼ接触させている。すなわち、該4個のブラシシャッタ75は、開口部におけるダイDの上端が進入する領域を閉塞している。
この場合、図9(b)に示すように、第2エアシリンダ95を伸び状態とした上で、ダイD2に対応する位置にある4個の第1エアシリンダ89を伸び状態とする一方、ダイD1に対応する位置にある4個の第1エアシリンダ89を縮み状態とする。
また、このときダイD1を利用することから、ダイD1を、図4に示してあるダイD2の位置まで上昇させるために図4に示してあるアタッチメント67とは別の図示外のアタッチメントを利用することになる。ワークWの移動、位置決め及び打ち抜き加工の手順については、図1のときと同様である。
したがって、この場合においても、ワークWを搬送移動する際に、割り出し加工位置には、図9(b)に示すように、ダイホルダ51が入り込む領域の正方形状の開口部が形成される。このため、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、上記開口部の領域を狭くしているため、ワークWとダイD1との干渉を有効に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷を抑えることができる。
また、図10(a)に示すように、中央トラックに位置する小径(D1,D2とほぼ同径)のダイD3を利用して打ち抜き加工を行う場合には、この小径のダイD3をパスラインPLまで上昇させる。このため、このダイD3に対応する中央4個のブラシシャッタ75の端部を、ダイD3に対応するダイホルダ107の外周面にほぼ接触または接近させた状態とする。したがって、該4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士はその端部が、ダイホルダ107のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
一方、ダイD3に対して下タレット13の半径方向両側に位置する4個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部をほぼ接触させている。すなわち、該4個のブラシシャッタ75は、開口部におけるダイDの上端が進入する領域を閉塞している。
この場合、図10(b)に示すように、第2エアシリンダ95を伸び状態とした上で、ダイD3に対応する位置にある4個の第1エアシリンダ89を伸び状態とする一方、他の4個の第1エアシリンダ89を縮み状態とする。
また、このときダイD3を利用することから、ダイD3を、図4に示してあるダイD2の位置まで上昇させるために図4に示してあるアタッチメント67とは別の図示外のアタッチメントを利用することになる。ワークWの移動、位置決め及び打ち抜き加工の手順については、図1のときと同様である。
したがって、この場合においても、ワークWを搬送移動する際に、割り出し加工位置には、図10(b)に示すように、ダイホルダ107が入り込む領域の正方形状の開口部が形成される。このため、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、上記開口部の領域を狭くしているめ、ワークWとダイD3との干渉を有効に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷を抑えることができる。
また、図11(a)に示すように、中央トラックに位置する大径のダイD4を利用して打ち抜き加工を行う場合には、この大径のダイD4をパスラインPLまで上昇させるので、これに対応する8個すべてのブラシシャッタ75の端部を、ダイD4に対応するダイホルダ109の外周面にほぼ接触または接近させた状態とする。したがって、8個のブラシシャッタ75は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ109のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
この場合、図11(b)に示すように、第2エアシリンダ95を縮み状態とした上で、8個すべての第1エアシリンダ89を縮み状態とする。
また、このとき使用するダイD4はダイD3と同様に中央トラックに位置しているので、ダイD4を、図4に示してあるダイD2の位置まで上昇させるために使用するアタッチメントは、ダイD3で使用するものを兼用することが可能になる。ワークWの移動、位置決め及び打ち抜き加工の手順については、図1のときと同様である。
したがって、この場合においても、ワークWを搬送移動する際に、割り出し加工位置には、図11(b)に示すように、ダイホルダ109が入り込む領域のほぼ正方形状の開口部が形成される。このため、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、上記開口部の領域を狭くしているため、ワークWとダイD4との干渉を有効に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷を抑えることができる。
図12は、ダイDを使用する打ち抜き加工を行わず、例えばレーザ加工を実施する場合に対応している。この場合には、X軸方向に互いに対向するブラシシャッタ75同士の端部をすべてほぼ接触させた状態とし、割り出し加工位置に対応する領域の開口部を、ダイDが進入できないように閉塞している。
したがって、この場合には、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、上記切欠部31aの領域が閉塞されているため、ワークWとダイDとの干渉をより確実に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷をより確実に抑えることができる。
以上より、本実施形態では、ブラシシャッタ75のX軸方向の移動形態として、第1,第2エアシリンダ89,93を使用した2段ストロークであって、該2段ストロークを利用することで、小径のダイD1,D2,D3の各ダイホルダ51,53,107にほぼ接触させた位置(図9,図1,図10)と、大径のダイD4のダイホルダ109にほぼ接触させた位置(図11)と、端部同士をほぼ接触させた位置(図12)との3ポジションに設定可能である。
なお、第1,第2エアシリンダ89,93の作動ストロークを適宜調整することで、上記した各ダイホルダ51,53,107,109とは異なる外径のダイホルダにも対応させることができる。
なお、図1,図9,図10及び図11の各例において、ワークWを搬送移動する際には、図12のレーザ加工時と同様に、X軸方向に互いに対向するブラシシャッタ75同士の端部をすべてほぼ接触もしくは接近させ、割り出し加工位置に対応する領域の切欠部31aを、ダイDが進入できないように閉塞してもよい。これにより、ワークWの搬送時でのダイDに対する接触をより確実に抑えることができる。ワークWを搬送して移動、位置決めした後は、ブラシシャッタ75を、それぞれ図1,図9,図10及び図11に示す状態とする。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図13〜図16に示すように、第1の実施形態における8個のブラシシャッタ75に代えて4個のブラシシャッタ111を使用している。すなわち、ここで使用するブラシシャッタ111は、ブラシシャッタ75に対し、X軸方向の長さが同じであるが、Y軸方向の幅がほぼ2倍となっている。
また、これら4個のブラシシャッタ111を移動させる機構は、第1の実施形態と同様に、個々のブラシシャッタ111をX軸方向に移動させる4個の第1エアシリンダ(図示せず)を備えるとともに、これら4個の第1エアシリンダ全体をX軸方向に移動させる2個の第2エアシリンダ(図示せず)を備えている。
図13は、図1に対応するもので、ダイD2を使用して打ち抜き加工する状態を示しており、ダイD2に対応する2個のブラシシャッタ111の端部を、ダイD2に対応するダイホルダ53の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ53のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
一方、ダイD2に対して下タレット13の半径方向内側に隣接するダイD1に対応する2個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士がその端部をほぼ接触させている。すなわち、該2個のブラシシャッタ111は、開口部におけるダイD1の上端が進入する領域を閉塞している。
この場合、2個の第2エアシリンダを伸び状態とした上で、ダイD1に対応する位置にある2個の第1エアシリンダを伸び状態とする一方、ダイD2に対応する位置にある2個の第1エアシリンダを縮み状態とする。
図14は、図9に対応するもので、ダイD1を使用して打ち抜き加工する状態を示しており、ダイD1に対応する2個のブラシシャッタ111の端部を、ダイD1に対応するダイホルダ51の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ51のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
一方、ダイD1に対してタレットの半径方向外側に隣接するダイD2に対応する2個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部をほぼ接触させている。すなわち、該2個のブラシシャッタ111は、開口部におけるダイD2の上端が進入する領域を閉塞している。
この場合、2個の第2エアシリンダを伸びた状態とした上で、ダイD2に対応する位置にある2個の第1エアシリンダを伸び状態とする一方、ダイD1に対応する位置にある2個の第1エアシリンダを縮み状態とする。
図15は、図10の中央トラックに位置する小径のダイD3を使用して打ち抜き加工を行う場合に対応するもので、この場合には、4個のブラシシャッタ111の端部を、ダイD3に対応するダイホルダ107の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該4個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ107のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
この場合、2個の第2エアシリンダを伸びた状態とした上で、4個すべての第1エアシリンダを縮み状態とする。
図16は、図11の中央トラックに位置する大径のダイD4を使用して打ち抜き加工を行う場合に対応するもので、この場合には、4個のブラシシャッタ111の端部を、ダイD4に対応するダイホルダ109の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該4個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ109のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。
この場合は、第2エアシリンダを縮み状態とした上で、4個すべての第1エアシリンダも縮み状態とする。
もちろん、本実施形態においても、図12の例と同様に、ダイDを使用する打ち抜き加工を行わず、例えばレーザ加工を実施する場合にも対応できる。すなわち、X軸方向に互いに対向するブラシシャッタ111同士の端部をすべてほぼ接触または接近させて、割り出し加工位置に対応する領域の開口部を、ダイDが進入できないように閉塞することができる。
したがって、本実施形態においても、ワークWを搬送移動する際に、割り出し加工位置には、加工に使用するダイDが入り込む領域に対応する狭い開口部が形成されるか、あるいは、ダイDが入り込む領域が閉塞されることになる。このため、搬送移動するワークWは、特に固定テーブル31側(下側)に向けて反りが発生している場合に、ワークWとダイDとの干渉を有効に抑えることができる。これにより、ワークWの加工位置への位置決め作業が容易になり、かつワークWの表面の損傷を抑えることができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、図17〜図20に示すように、第1の実施形態における8個のブラシシャッタ75に代えて2個のブラシシャッタ113を使用している。すなわち、ここで使用するブラシシャッタ113は、ブラシシャッタ75に対し、X軸方向の長さが同じであるが、Y軸方向の幅がほぼ4倍となっている。また、2個のブラシシャッタ113の互いに対向する端部の幅方向(Y軸方向)の端縁部に、互いに対向する側に向けて突出する突起113aを設けている。
また、これら2個のブラシシャッタ113を移動させる機構は、個々のブラシシャッタ113をX軸方向に移動させる、前記した第2エアシリンダ95に相当する2個のエアシリンダ(図示せず)を備えている。すなわち、この場合のエアシリンダは、そのピストンロッドの先端を、ブラシシャッタ113のベース板の裏面にブラケットなどを介して直接連結することになる。エアシリンダ本体については、図8に示したシリンダ固定ブラケット99と同様のブラケットを介してブラシベース77の下面に固定する。
図17は、ダイD2を使用して打ち抜き加工を行う図1に対応するもので、2個のブラシシャッタ113の端部を、ダイD2に対応するダイホルダ53の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ111は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ53のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合、2個のエアシリンダを伸び状態とする。
この場合には、ダイD2に対して下タレット13の半径方向内側に位置するダイD1に対応する切欠部31aの開口領域が閉塞されておらず開口したままであるので、図1及び図13の例に対して切欠部31aの開口面積が大きくなるが、突起113aによって開口部の一部を閉塞して補っており、切欠部31aの開口領域を極力小さくしている。
図18は、ダイD1を使用して打ち抜き加工を行う図9に対応するもので、2個のブラシシャッタ113の端部を、ダイD1に対応するダイホルダ51の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ113は、図17と同様にX軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ51のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合、図17と同様に、2個のエアシリンダを伸び状態とする。
この場合にも、ダイD1に対して下タレット13の半径方向外側に位置するダイD2に対応する切欠部31aの開口領域が閉塞されておらず開口したままであるので、図9及び図14の例に対して切欠部31aの開口面積が大きくなるが、突起113aによって開口部の一部を閉塞して補っており、切欠部31aの開口領域を極力小さくしている。
図19は、中央トラックのダイD3を使用して打ち抜き加工する図10に対応するもので、2個のブラシシャッタ113の端部を、図17,図18の例と同様に、ダイD3に対応するダイホルダ107の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ113は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ107のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合、図17,図18の例と同様に、2個のエアシリンダを伸び状態とする。
この場合には、ダイD3に対して下タレット13の半径方向両側に対応する切欠部31aの開口領域が閉塞されておらず開口したままとなっているので、図10の例に対して切欠部31aの開口面積が大きくなるが、突起113aによって切欠部31aの一部を閉塞して補っており、切欠部31aの開口領域を極力小さくしている。
図20は、図11の中央トラックに位置する大径のダイD4を使用して打ち抜き加工を行う場合に対応するもので、この場合には、2個のブラシシャッタ113の端部を、ダイD4に対応するダイホルダ109の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該2個のブラシシャッタ113は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ109のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合は、エアシリンダを縮み状態とする。
この例では、ブラシシャッタ113の突起113aによって切欠部31aの開口領域の一部を閉塞しているので、第1の実施形態における図11や第2の実施形態における図16の例に比較して、切欠部31aの開口領域が小さくなっている。
以上より、本実施形態においては、ブラシシャッタ113のX軸方向の移動形態として、2個のエアシリンダを使用した1段ストロークであって、該1段ストロークを利用することで、小径のダイD1,D2,D3の各ダイホルダ51,53,107にほぼ接触させた位置(図18,図17,図19)と、大径のダイD4のダイホルダ109にほぼ接触させた位置(図20)との2ポジションに設定可能である。
なお、本実施形態でも、2個ブラシシャッタ113をさらに接近させて突起部113a同士接触させることで、ダイDを使用する打ち抜き加工を行わないレーザ加工に対応させることができる。
なお、本実施形態においても、エアシリンダの作動ストロークを適宜調整することで、上記した各ダイホルダ51,53,107,109とは異なる外径のダイホルダにも対応させることができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、図21〜図24に示すように、中央の幅広の2個のブラシシャッタ115と、そのY軸方向両側に位置する4個のブラシシャッタ117を使用している。なお、図21では、前記図10に示してある中央トラックの小径ダイD3を使用して打ち抜き加工を行う場合に対応している。
上記中央2個のブラシシャッタ115のY軸方向の幅は、ダイD3に対応するダイホルダ107の直径とほぼ同等であり、他の4個のブラシシャッタ117のY軸方向の幅は、ブラシシャッタ115のY軸方向の幅のほぼ半分としてあり、第1の実施形態におけるブラシシャッタ75のY軸方向の幅とほぼ同等である。
また、これら6個のブラシシャッタ115,117を移動させる機構は、第1の実施形態と同様に、個々のブラシシャッタ115,117をX軸方向に移動させる6個の第1エアシリンダを備えるとともに、これら6個の第1エアシリンダ全体をX軸方向に移動させる2個の第2エアシリンダを備えている。
図22は、ダイD2を使用して打ち抜き加工を行う図1に対応するもので、6個すべてのブラシシャッタ115,117の端部を、ダイD2に対応するダイホルダ53の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該6個のブラシシャッタ115,117は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ53のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合、2個の第2エアシリンダを伸び状態とした上で、6個の第1エアシリンダを縮み状態とする。
なお、この例では、加工に使用しないダイD1に対応する位置にある2個のブラシシャッタ117の端部同士を互いにさらに接近させてほぼ接触させてもよい。これにより切欠部31aの開口領域をより狭くすることができる。
図23は、ダイD1を使用して打ち抜き加工を行う図9に対応するもので、図22の例と同様に、6個すべてのブラシシャッタ115,117の端部を、ダイD1に対応するダイホルダ51の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該6個のブラシシャッタ115,117は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ51のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合も、2個の第2エアシリンダを伸び状態とした上で、6個の第1エアシリンダを縮み状態とする。
なお、この例では、加工に使用しないダイD2に対応する位置にある2個のブラシシャッタ117の端部同士を互いにさらに接近させてほぼ接触させてもよい。これにより切欠部31aの開口領域をより狭くすることができる。
図24は、図11の中央トラックに位置する大径のダイD4を使用して打ち抜き加工を行う場合に対応するもので、この場合には、6個すべてのブラシシャッタ115,117の端部を、ダイD4に対応するダイホルダ109の外周面にほぼ接触または接近した状態としている。したがって、該6個のブラシシャッタ115,117は、X軸方向に互いに対向するもの同士の端部が、ダイホルダ109のほぼ直径分の間隔を開けて離反した状態となる。この場合は、第2エアシリンダを縮み状態とした上で、第1エアシリンダも縮み状態とする。
なお、本実施形態においても、図12の例と同様に、ダイDを使用する打ち抜き加工を行わず、例えばレーザ加工を実施する場合に対応できる。すなわち、X軸方向に互いに対向するブラシシャッタ115,117同士の端部をすべてほぼ接触させて、割り出し加工位置に対応する領域の開口部を、ダイDが進入できないように閉塞することができる。その場合、第2エアシリンダを伸び状態とした上で、第1エアシリンダも伸び状態とする。
以上より、本実施形態においても、ブラシシャッタ115,117のX軸方向の移動形態として、第1,第2エアシリンダを使用した2段ストロークであって、該2段ストロークを利用することで、小径のダイD1,,D2,D3の各ダイホルダ51,53,107にほぼ接触させた位置(図23,図22,図21)と、大径のダイD4のダイホルダ109にほぼ接触させた位置(図24)と、端部同士をほぼ接触した位置(図示せず)との3ポジションに設定可能である。
また、前述した各実施形態では、閉塞部材であるブラシシャッタ75,111,113,115,117が、開口部である切欠部31aにおけるダイDの上端が進入する領域の両側に、少なくとも一対互いに接近離反移動可能に設けられている。このため、この一対のブラシシャッタを互いに対称的に移動させることで、使用するダイDに対応した位置に容易かつ迅速に移動、位置決めすることができる。