JP2011167146A - ビニールハウス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 桁行き方向に配列した複数本のアーチパイプ11,11,……が、複数本の桁行き直管12,12,……で連結されてなるトンネル状の骨格体1の外表面に、各アーチパイプ11,11,……範囲内の桁行き方向所定寸法置き毎に天面通気孔20,20,……を開口した合成樹脂フィルム製の被覆シート2を被着すると共に、それら天面通気孔20,20,……の直上に帯状の防虫ネット3を添設した上、各天面通気孔20,20,……の僅か鉛直下方位置には雨樋機構4,4,……を組み込んでなるビニールハウスである。
【選択図】 図1
Description
桜桃の主力商品である佐藤錦は、その果実肥大期および収穫期に、湿度の上昇や降雨に伴う裂果や、日当たりが不足したまま過塾してしまうウルミ果などの発生に留意し、ビニールハウス内を常に適切な温度、湿度に管理しなければならないが、近年における気候の温暖化や、後継者不足による園芸農家の高齢化など過酷な条件が重なり、日中の急激な気温上昇に即座に対応して地上6m前後のビニールハウス上に登り、ビニールシートを開閉するという危険で負担の大きな作業を迅速に行うのが困難になっており、次第に高品質な桜桃の生産量を維持できなくなってきているというのが実情である。
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、温度、風量、風向などを監視して、ビニールハウスの屋根および側面に設置した換気装置を動作させる温度制御装置を設け、ビニールハウス内の温度を効率的に制御可能としたものや、同特許文献1(2)に見られるような、ビニールハウスの屋根に、桁行き方向に沿って凹溝を形成し、該凹溝の内向きとなる対峙両がわ壁に換気口を形成し、同屋根の換気を可能としたもの、または、例えば、特許文献1(3)のように、ビニールハウスの屋根に開閉用の窓枠を有する開口枠を設け、その開口枠に防虫ネットを張着すると共に、ハウス内に向けて常時牽引可能とする牽引部材を添設し、同屋根の換気を可能としたもの、あるいは、特許文献1(4)にあるように、ビニールハウスの屋根に、桁行き方向に沿って開口した通気口に、巻込みパイプに巻き付けたビニールシートを張設し、この巻込みパイプの巻き込み操作に伴う梁間方向の移動を、アーチパイプに沿って設けた面ファスナで繋着、仮固定可能とし、通気口の開度を調節可能としてなるものなどが散見される。
上述したとおり、従前までに提案のある各種ビニールハウスは、何れも多額の初期投資を要するものであったり、維持、管理に多大な経費を要するものであったり、また、ビニールハウス内の温度管理を常時行う必要がある上、操作を誤ると農作物に大きな被害を受けてしまう虞があるなどという欠点を残すものであり、こうした従来型のビニールハウスのままでは、高齢化が進む中で高品質の生産が求められるという厳しい農業事情に応え切れなくなってしまうのは容易に予測され、桜桃生産では日本一を誇る地元山形に育ち、身内だけではなく、辺りからもこうした悩みを抱える園芸農家からの声を頻繁に聞くにつけ、それら欠点を解消して低廉に設置可能にする上、危険な高所作業の頻度を大幅に削減し、常時温度管理をしなくともビニールハウス内を適切な気温に調節できるようにした新たな発想によるビニールハウスの開発、実現化が是非とも必要性であると痛感した。
そこで、この発明は、高所作業の頻度を大幅に削減し、低廉にて設置可能である上、常時換気可能で煩雑な温度管理作業が一切不要となり、しかも害虫や害鳥などの進入を確実に防止できる新たなハウス施設技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のビニールハウスを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のビニールハウスは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、桁行き方向に配列した複数本のアーチパイプが、複数本の桁行き直管で連結されてなるトンネル状の骨格体外表面を、各アーチパイプの梁間方向中央辺りに、各アーチパイプの梁間方向中央を含む梁間方向寸法巾範囲であって、桁行き方向所定寸法置き毎に、所定平面形状、寸法の天面通気孔を開口してなる合成樹脂フィルム製の被覆シートで被着すると共に、それら全ての天面通気孔の直上または直下の少なくとも何れか一方に、それら天面通気孔が覆い尽くせるだけの大きさとした帯状の防虫ネットを添設した上、各天面通気孔の僅か鉛直下方位置には、夫々天面通気孔の平面形状よりも大きな平面形状に設定した雨樋機構を組み込んでなるものとした構成を要旨とするビニールハウスである。
骨格体は、一般的な従来型ビニールハウスのものをそのまま利用可能であり、新設するものの外、既設のビニールハウスのシート類や抑え紐類を取り外したものとすることが可能であり、桁行き方向に配列した複数本のアーチパイプが複数本の桁行き直管で連結されてなるトンネル状のものとし、充分な耐久強度を確保したものとしなければならず、金属製のアーチパイプや桁行き直管などを適宜ジョイント類などで組み合わせてなるドーム状のものに限らず、屋根型ハウス用や丸型ハウス用など様々な屋根形状のものであってもよく、しかも、単棟型、連棟型何れにも適用することができる外、一般的な野菜や観葉植物など栽培用とする極一般的なハウス用のものとしては勿論のこと、桜桃を始めとする果樹用であって高所作業を要する腰高寸法の高いハウス用のものとしたものも当然対象とするものであることは云うまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以上のとおりの構成からなるこの発明のビニールハウスは、図1ないし図7に示すように、果樹の発芽期、開花期に入る頃の毎年新しい被覆材を装着する際に、一度だけ、1ないし2名程度の少人数が骨格体1に登り、当該被覆シート2および防虫ネット3を張着すると共に、雨樋機構4,4,……を吊下するようにするだけで、それ以降の収穫が終了する時期まで、常時開放したままの各天面通気孔20,20,……を通じて換気可能であり、ビニールハウス内の気温が上昇すると自然の対流が発生して、各天面通気孔20,20,……から過熱した空気が上昇、排出され、地上付近から周囲の外気が流入するものとなり、桜桃栽培の場合には特にウルミ果の発生を確実に防止できるものとなり、さらに、防虫ネット3が、各天面通気孔20,20,……から害虫や害鳥が進入するのを確実に阻止して虫害や鳥害を防止する上、各天面通気孔20,20,……の垂下膜部22,22,……が、雨水や水滴を雨樋機構4,4,……雨受け面40,40,……に確実に滴下するよう誘導し、排水パイプ42,42,……を通じて、例えばビニールハウス外の排水側溝(図示せず)などに淀みなく排水することとなるから、果樹や果実などに直接水滴が落下するのを阻止し、裂果の発生を防止することができ、従前までであれば、果樹の新梢伸張期、果実肥大期が終わる頃まで頻繁に、換気や雨水の浸入を防止するため、ビニールハウスの高所まで登ってシートの開閉作業を行う必要があったものを、このような危険な高所作業を一切不要とし、高齢化の進む園芸農家の負担を大幅に軽減できるものとなる。
叙述の如く、この発明のビニールハウスは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのビニールハウス技術に比較して換気作業や降雨対策に要する労働負担を大幅に削減することができる上、設置作業の労働負担や経済的負担が大きい換気扇や制御装置類などを一切必要とせず、簡素な構造で低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、高所作業の頻度を大幅に削減し得るものとなることから、近年の後継者不足や高齢化などにより、果樹に代表されるハウス栽培の存続が困難になり始めている園芸農家は固よりのこと、こうした農家に農業用資材を提供する農機具業界、および、高品質な農作物の安定供給を望む青果業界においても高い評価がなされることとなり、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
10 同 支柱パイプ
11 同 アーチパイプ
12 同 桁行き直管
2 被覆シート
20 同 天面通気孔
21 同 開口縁
22 同 垂下膜部
3 防虫ネット
4 雨樋機構
40 同 雨受け面(底部)
41 同 ハンガー部
42 同 排水パイプ
5 マイカ線(抑え紐)
A 腰高寸法
B 小屋高寸法
C ネット巾寸法
D 巾寸法(被覆シート)
E 桁行き方向寸法(被覆シート)
F 梁間方向寸法(天面通気孔)
G 桁行き方向寸法(天面通気孔)
H 梁間方向寸法(雨樋機構)
J 桁行き方向寸法(雨樋機構)
K 深さ寸法(雨樋機構)
Claims (5)
- 桁行き方向に配列した複数本のアーチパイプが、複数本の桁行き直管で連結されてなるトンネル状の骨格体外表面を、各アーチパイプの梁間方向中央辺りに、各アーチパイプの梁間方向中央を含む梁間方向寸法巾範囲であって、桁行き方向所定寸法置き毎に、所定平面形状、寸法の天面通気孔を開口してなる合成樹脂フィルム製の被覆シートで被着すると共に、それら全ての天面通気孔の直上または直下の少なくとも何れか一方に、それら天面通気孔が覆い尽くせるだけの大きさとした帯状の防虫ネットを添設した上、各天面通気孔の僅か鉛直下方位置には、夫々天面通気孔の平面形状よりも大きな平面形状に設定した雨樋機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とするビニールハウス。
- 桁行き方向に配列した複数本のアーチパイプが、複数本の桁行き直管で連結されてなるトンネル状の骨格体外表面を、各アーチパイプの梁間方向中央辺りに、各アーチパイプの梁間方向中央を含む梁間方向寸法巾範囲であって、桁行き方向寸法3m置き毎に、梁間方向寸法50cm、桁行き方向寸法80cmの平面矩形状に設定した天面通気孔を開口してなる合成樹脂フィルム製の被覆シートで被着すると共に、それら全ての天面通気孔の直上または直下の少なくとも何れか一方に、それら天面通気孔が覆い尽くせるだけの大きさとした帯状の防虫ネットを添設した上、各天面通気孔の僅か鉛直下方位置には、夫々天面通気孔の平面形状よりも大きな梁間方向寸法70cm、桁行き方向寸法1mに設定した雨樋機構を組み込んでなるものとしたことを特徴とするビニールハウス。
- 被覆シートの各天面通気孔が、その開口縁に沿って合成樹脂フィルムの裁断加工によって形成した水切り用垂下膜部を形成し、全ての天面通気孔の直上に、それら天面通気孔が覆い尽くせるだけの大きさとした帯状の防虫ネットを重ねて添設してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載のビニールハウス。
- 雨樋機構が、その雨受け面に反射コーティング層を形成してなるものとした請求項1ないし3何れか一項記載のビニールハウス。
- 雨樋機構が、骨格体の適所に脱着自在に吊下可能なハンガー部を有するバケット型またはトレー型の何れかとし、底部適所から排水パイプを垂れ下げ、適所まで雨水を誘導、排水可能なものとしてなる、請求項1ないし4何れか一項記載のビニールハウス。
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