JP2011166062A - ビシクロポルフィリン化合物及び溶媒を含有する光電変換素子半導体層形成用組成物、それを用いて得られる光電変換素子。 - Google Patents

ビシクロポルフィリン化合物及び溶媒を含有する光電変換素子半導体層形成用組成物、それを用いて得られる光電変換素子。 Download PDF

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Abstract

【課題】溶解度が良好なポルフィリン化合物を提供する。
【解決手段】式(I)で表されるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物で、異性体混合物の25℃におけるトルエンに対する溶解度が5重量%以上。

【選択図】なし

Description

本発明はビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体及び溶媒を含む光電変換素子半導体層形成用組成物、それを用いて得られる光電変換素子に関する。
有機薄膜太陽電池の半導体は高分子塗布系または低分子蒸着系有機半導体層を使用するものが知られており、近年、テトラベンゾポルフィリン等を用いた塗布変換系有機半導体層を使用する有機薄膜太陽電池が提案されている(特許文献1)。高分子塗布系有機半導体層としては、p型半導体として可溶性の共役高分子であるポリヘキシルチオフェン(P3HT)等、n型半導体としてPCBM等のフラーレンの溶解度を高めた誘導体が用いられることが多く、p型とn型の分子が共存しているバルクヘテロ層のみで構成されているものが大半である。低分子蒸着系有機半導体層としては、p型半導体にフタロシアニン類、ペンタセン、オリゴチオフェン、n型半導体にC60が用いられることが多く、p−n接合界面にp型半導体とn型半導体が共存するi層を導入したp−i−n積層構造で構成されているものもある。塗布変換系有機薄膜太陽電池は低分子蒸着系のものと同様の積層構造で構成されており、p型半導体としてテトラベンゾポルフィリン等、n型半導体としてフラーレン誘導体等が用いられている(特許文献1)。
非特許文献1には、ビシクロポルフィリン化合物において、種々の方法によりビシクロ部分に置換基を導入した化合物を合成できることが記載されている。又、特許文献2には、ビシクロポルフィリン化合物においてビシクロ部分にジメチル置換基を導入した化合物の合成法、及び有機電子デバイスに利用する方法が記載され、ビシクロポルフィリン銅錯体を熱処理することで得られる電界効果トランジスタ素子の飽和移動度が、無金属ビシクロポルフィリン化合物を用いたものと比較して優れていたことが報告されている。
国際公開WO2007/126102号パンフレット 特開2007−224019公報
T.Okujima et al. Tetrahedron 2008,64,2405−2411
本願発明者らの検討によれば、ビシクロ部分にジアルキル置換基を導入した金属を含有しないビシクロポルフィリン化合物(以下RCPと記すことがある)は、プロセス作業上好ましいトルエン等の非ハロゲン系溶媒に対する溶解性が0.5重量%未満と不十分であった。そのため、毒性が懸念されプロセス性に劣るクロロホルムやクロロベンゼン等の塩素系の溶媒を使わざるを得ず、該塩素系の溶媒に対してもRCPの溶解度は1重量%程度と不十分であり、実用上不便であった。また、溶解度が十分でないために溶液の保存安定性が悪く、かつ光電変換素子にした際に、素子間の光電変換効率の再現性に問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物を使用することにより、有機溶媒、特に非ハロゲン系溶媒、に対する溶解度が著しく向上し、かつ保存安定性の良い光電変換素子半導体層形成用組成物を得ることに成功した。該光電変換素子半導体層形成用組成物を塗布し、これを熱処理することによって得られる活性層を含有する光電変換素子は、光電変換効率及びその素子の作成再現性が向上することを見出し、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 下記式(I)で表されるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物及び、溶媒を含む光電変換素子半導体層形成用組成物であって、該異性体が下記一般式(II)及び(III)の結合数の違いによる異性体であり、該異性体混合物の25℃におけるトルエン
に対する溶解度が5重量%以上であることを特徴とする光電変換素子半導体層形成様組成物。
式(I)中、R〜Rは1価の原子又は原子団を表し、(R,R10)、(R11,R12),(R13,R14),(R15,R16)は各々独立して下記式(II)又は下記式(III)で表される基が結合したものを表わす。
(式(III)又は(IV)中、R〜Rは水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表
わし、(R,R)及び(R,R)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキル基である。またR17〜R20は1価の原子又は原子団を表わす。)[2] 前記異性体混合物の組成比が、該異性体混合物全体に対して、主成分異性体が30
〜80%であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子半導体層形成用組成物。
[3]前記溶媒が、非ハロゲン系溶媒であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子半導体層形成用組成物。
[4]下記式(IV)で表わされる構造を有するビシクロピロール化合物を環化反応及び酸化反応することで得られるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体及び溶媒を含有することを特徴とする光電変換素子半導体層形成用組成物。
(式(IV)中、R1〜R4は水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表わし、(R1
2)及び(R3,R4)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキ
ル基を表わす。また、R17〜R20は1価の原子又は1価の原子団を表わす。)
[5][1]から[4]のいずれかに記載の光電変換素子半導体層形成用組成物を基板上に塗布し、加熱することを特徴とする光電変換素子半導体層の製造方法。
[6][5]に記載の製造方法により得られる半導体層を含有する光電変換素子。
本発明によれば、有機溶媒、特に非ハロゲン系溶媒に対する溶解度が著しく優れたビシクロポルフィリン化合物の異性体混合物を含む保存安定性の良い光電変換素子半導体層形成用組成物、該組成物の製造方法、及び該組成物を使用した光電変換効率及び素子の作成再現性が向上する光電変換素子の製造方法を提供することが可能である。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明のその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明は、下記式(I)ビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物及び、溶媒を含む光電変換素子半導体層形成用組成物であって、該異性体が下記一般式(II)及び(III)の結合数の違いによる異性体であり、該異性体混合物の25℃におけるトルエンに
対する溶解度が5重量%以上であることを特徴とする光電変換素子半導体層形成用組成物であることを特徴とする。
<ビシクロポルフィリン化合物>
本発明のビシクロポルフィリン化合物は、下記式(I)で表されるものである。
式(I)中、R〜Rは1価の原子又は原子団を表し、(R,R10)、(R11,R12),(R13,R14),(R15,R16)は各々独立して下記式(II)又は下記式(III)で表される基が結合したものを表わす。
(式(II)又は(III)中、R〜Rは水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表
わし、(R,R)及び(R,R)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキル基である。またR17〜R20は1価の原子又は原子団を表わす。)
以下、詳細に説明する。
式(I)中、R5、R6、R7及びR8は、1価の原子又は1価の原子団を表わす。R5
6、R7及びR8となる1価の原子及び1価の原子団は、本発明の効果を著しく損なわな
い限り任意である。ただし、R5、R6、R7及びR8が大きな基であると、ポルフィリン環が歪んで平面性が阻害されたり、その原子又は原子団自体がπ共役系の重なりを阻害する原因になりやすい。このため、R5、R6、R7及びR8として好適な原子又は原子団としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子及び1価の有機基のいずれかが好ましい。好ましいものの具体例を挙げると、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、プロパニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基などの1価の有機基などが挙げられる。中でも、特に水素原子、フッ素原子、塩素原子が好ましい。この際、これらのアルキル基及びアルケニル基は、ポルフィリン環に結合している炭素以外は、フッ素、塩素等のハロゲン原子、アルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
また、R9〜R16は、(R9,R10)、(R11,R12)、(R13,R14)及び(R15,R16)が一体となって式(II)又は式(III)で表される基(式(II)又は式(III)で表わされるビシクロ構造を有するビシクロ基)を形成したものを表わす。
式(II)及び(III)において、R1〜R4は、水素原子又は炭素数10以下のアルキル
基を表わす。ここで、R1〜R4が炭素数10以下のアルキル基である場合、R1〜R4の炭素数が長すぎると脱離するエチレン誘導体の分子量が大きくなり、蒸気圧が下がるために脱離して系外に除去することが難しくなる場合がある。したがって、当該アルキル基の炭素数は、通常6以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
また、R1〜R4が炭素数10以下のアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でもよく、分岐鎖を有していてもよい。例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられる。
なお、これらのアルキル基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、R1〜R4が炭素数10以下のアルキル基である場合、当該アルキル基は環を形成していてもよく、置換基を有していてもよい。R1〜R4の置換基としては本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。なお、これらの置換基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ただし、(R1,R2)及び(R3,R4)のうちの少なくとも一つの組は、どちらも炭素数10以下のアルキル基である。この際、炭素数10以下のアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐鎖を有していてもよい。また、置換基を有していてもよく、環を形成してもよい。このように、ビシクロ構造中の1つの炭素に炭素数10以下のアルキル基置換基を2個有することにより、多様な有機溶媒に対して本発明のビシクロポルフィリン化合物の溶解性を高めることが可能となっている。
また、式(II)及び(III)において、R17〜R20は1価の原子又は1価の原子団を表
わす。R17〜R20となる1価の原子又は1価の原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、あまりに立体的な障害が大きいものや、大きな置換基を有するものは、本発明のビシクロポルフィリン化合物から有機半導体を製造した場合に、得られる有機半導体の特性を発現するためのπ共役系の分子間の重なりを阻害する可能性がある。
17〜R20の例を挙げると、1価の有機基が挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−へプチル基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の置換されていても良い炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の置換されていても良い炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の置換されていても良い炭素数3〜18の環状アルケニル基;プロピニル基、ヘキシニル基等の置換されていても良い炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルキニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の置換されていても良い複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の置換されていても良い炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換されていても良い炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等の置換されていても良い炭素数3〜18
の直鎖又は分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等の置換されていても良い炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキルチオ基などが挙げられる。
また、その他、R17〜R20の例としては、1価の原子として、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。さらに、1価の原子団として、ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアナト基;イソシアナト基;チオシアナト基;イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ヒドロキシアミノ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−COR21で表されるアシル基、−NR2223で表されるアミノ基、−NHCOR24で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR25で表されるカーバメート基、−COOR26で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR27で表されるアシルオキシ基、−CONR2829で表されるカルバモイル基、−SO230
で表されるスルホニル基、−SO2NR3132で表されるスルファモイル基、−SO333で表されるスルホン酸エステル基、−NHSO234で表されるスルホンアミド基、−S
OR35で表されるスルフィニル基が挙げられる。ここでR21、R24、R25、R26、R27、R30、R33、R34及びR35は置換されていても良い炭化水素基又は置換されていても良い複素環基を表わし、R22、R23、R28、R29、R31及びR32は水素原子、置換されていても良い炭化水素基及び置換されていても良い複素環基のいずれかを表わす。
このR21〜R35で表される炭化水素基とは、例えば、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、環状アルケニル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜18の環状アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数3〜18の環状アルケニル基、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。
またR21〜R35で表される複素環基は、4−ピペリジル基、モルホリノ基、2−モルホリニル基、ピペラジル基等の飽和複素環でも、2−フリル基、2−ピリジル基、2−チアゾリル基、2−キノリル基等の芳香族複素環でも良い。これらは複数のヘテロ原子を含んでいても、さらに置換基を有していても良く、また結合位置も問わない。複素環として好ましい構造のものは、5〜6員環の飽和複素環、5〜6員環の単環及びその2縮合環の芳香族複素環である。
さらに、本発明のビシクロポルフィリン化合物から有機半導体を製造することを考慮すると、R17〜R20としては、有機半導体の製造の際に脱離するエチレン誘導体が、通常は常圧200℃、好ましくは常温常圧において、通常は気体又は液体、好ましくは気体となるものが好ましい。
さらに、R17〜R20は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の置換基で置換されていても良い。置換基の具体例を挙げると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のアリール基(これらは任意の置換基でさらに
置換されていても良い。);フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の炭素数2〜12のアルケニルオキシ基などが例示される。
さらに、他の置換基として、2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等の複素環基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基なども挙げられる。
なお、これらの置換基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、あまりに立体的な障害が大きいものや、大きな置換基を有するものを除く観点からは、上述したR17〜R20の中でも、例えば、水素原子、ハロゲン原子及び1価の有機基のいずれかが好ましい。好ましいものの具体例を挙げると、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、プロパニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基などの1価の有機基などが挙げられる。中でも、特に水素原子、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
光電変換素子用途において、本願発明のビシクロポルフィリン化合物において、金属を含有するもの(MCP)よりも金属を含有しないもの(CP)が好ましい。
理由として、開放端電圧(Voc)の値が高いことが有機薄膜太陽電池の光電変換効率を向上する要因の一つであり、n型半導体の最低空軌道(LUMO)とp型半導体の最高被占軌道(HOMO)の差が大きければ大きいほど、Vocがより高くなるため、HOMOがある程度低いp型半導体が望まれたことが挙げられる。熱処理等により、金属を含有するビシクロポルフィリン化合物(MCP)と金属を含有しないビシクロポルフィリン化合物(CP)は、それぞれ半導体特性を有する金属含有テトラベンゾポルフィリン(MBP)、無金属テトラベンゾポルフィリン(BP)等に変換されるが、本願発明者らの検討によれば、概化合物の最高被占軌道(HOMO)の値を比較すると、無金属テトラベンゾポルフィリン(BP)のHOMOは金属テトラベンゾポルフィリン(MBP)のHOMOと比較して低い値となっており、概化合物を光電変換素子における電子供与体として用いた場合、MBPよりBPのほうが電子受容体の最低空軌道(LUMO)とのギャップによって生ずる起電力、すなわち開放端電圧(Voc)が高い値となり、高い光電変換効率を発現する要因の一つとなることが期待されるためである。
また、本願発明者らの検討によれば、MCPとCPとをそれぞれ熱処理等によって加熱することによって得られるMBPとBPの結晶構造を比較すると、同条件下での結晶性に優れるMBPの結晶粒径はBPと比較して大きく成長し、同体積あたりの結晶表面積が小さくなるため、概化合物による光電変換過程で生ずる励起子からの電荷分離には不向きであることが予想された。このため、概化合物を光電変換素子における電子供与体として用いる場合には無金属BPが有利であることが期待されるためである。
<異性体混合物>
本発明の異性体混合物は、式(I)で表されるビシクロポルフィリン化合物のうち式(II)及び式(III)の結合数が異なる異性体の混合物である。具体的に、式(I)で
表されるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物とは、ポルフィリンの外側についたビシクロ環のR1、R2基の結合位置が異なる複数の位置異性体から構成される異性体混合物である。混合物を構成するこれら複数の化合物の分子量はすべて同一である。加熱等の処理により、混合物を構成するこれらすべての化合物からエチレン誘導体が4分子脱離(逆ディールス・アルダー反応)し、同一のテトラベンゾポルフィリン1分子を与える。
以下、本発明の異性体混合物の例を挙げる。なお、以下の例示物ではR1=R2=Me(Meはメチル基を表わす)、R3=R4=Hの例を示しているが、その他の例も容易に類推できる。
前記複数の異性体混合物の組成比は、例えば、該複数の異性体混合物として0.05重量%に調製した溶液について以下の条件で行った液体クロマトグラフィー(LC)を用いて分析することができる。
分離カラム:ODS−2, 4.6X150mm(GL Science社)
溶媒:THF:アセトニトリル=5:95
流速:0.8mL/分
カラム温度:40℃
検出波長:254nm
注入量:1μL
分離カラムについては、該カラムに限定するものではなく、一般的なオクタデシル基含有逆相系分離カラムを用いた場合においても同様の結果が得られる。
前記複数の異性体混合物の組成比は、特段の制限はないが、異性体混合物量全体に対する上記条件の液体クロマトグラフィー(LC)の面積比にして、該複数の異性体混合物の中で一番多い画分(以下、主成分異性体と表記することがある)は、通常25%以上、好ましくは30%、より好ましくは35%、一方、通常80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。該複数の異性体混合物のうち主成分異性体の次に多い画分(以下、第2成分異性体と表記することがある)は通常15%、好ましくは17%、より好ましくは20%、一方通常50%以下、好ましくは45%、より好ましくは40%である。該複数の異性体混合物のうち3番目に多い画分(以下、第3成分異性体と表記することがある)は、通常10%以上、好ましくは12%、より好ましくは15%、一方通常40%以下、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下である。該複数の異性体混合物のうち4番目に多い画分(以下、第4成分異性体と表記することがある)は、通常5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上、一方、通常30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。
本発明のビシクロポルフィリン化合物の異性体混合物は、後述の溶媒に対する溶解性に優れている。具体的には、本発明のビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体複合物は、25℃におけるトルエンに対する溶解度が5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。なお、上限に制限は無いが、通常40重量%以下である。
溶解度が向上する理由としては、詳細のメカニズムは明確ではないが、化合物そのものの結晶性は潜在的に保持されているものの、複数の異性体混合物が溶液内に混在することで、三次元規則的な分子間相互作用が困難になるために概化合物の溶解度が向上することが想定される。
<異性体混合物の製造方法>
本発明の異性体混合物の製造方法に制限は無いが、例えば、以下の要領で、下記式(IV)で表わされる構造を有するビシクロピロール化合物を経て製造することができる。具体的な手法としては、J.Am.Chem.Soc.4762−4768(1968),S
ynthesis 108−110(1976)やTetrahedron 2405−2411(2008)に記載されている方法を用いることができる。
(式(IV)中、R1〜R4は水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表わし、(R1
2)及び(R3,R4)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキ
ル基を表わす。また、R17〜R20は1価の原子又は1価の原子団を表わす。)
以下、詳細に説明する。
式(IV)中、R1〜R4及びR17〜R20は、前記式(I)において説明したものと同様で
ある。
ここでは、R5〜R8、R17〜R20がいずれも水素原子であり、且つ、(R9,R10)、
(R11,R12)、(R13,R14)及び(R15,R16)のいずれもが式(II)及び/又は式(III)で表わされるビシクロ基を形成している場合を例に挙げて説明を行なう。
まず、式(IV)のビシクロピロール化合物の合成法に制限はないが、具体的な手法として特開2007-224019に記載されている方法を用いることができる。置換シクロヘキサジエ
ン誘導体のディールス・アルダー反応により、各種ビシクロ化合物を誘導できる。
下記反応式( i ) に示すように、置換シクロヘキサジエン誘導体のディールス・ア
ルダー反応により、各種ビシクロ化合物を誘導できる。
合成したビシクロ化合物から、下記反応式(i i) に示す合成ルートにより、ビシクロピロール化合物を合成することができる。ここで例示したビシクロピロール化合物は、式(I V) を満たす本発明のビシクロピロール化合物の一例である。
合成された本発明のビシクロピロール化合物を原料として用い、下記反応式(iii)に
示すようにして、本発明のビシクロポルフィリン化合物を製造することができる。なお、ここで例示したビシクロポルフィリン化合物は、式(I)を満たす本発明のビシクロポルフィリン化合物の一例である。
ビシクロピロール化合物の環化反応とは、下記反応式(iv)に示す通り、酸触媒存在下、ビシクロピロール化合物と、アルデヒドRCHO(R = R〜R)との間の縮合反応により式(II)で表されるビシクロピロール化合物が生成する反応である。
反応式(iv)中、R〜Rは、前記式(I)において説明したものと同様である。
ビシクロピロール化合物の酸化反応とは、下記反応式(v)に示すとおり、上記反応式(iv)において生成した上記式(II)のビシクロピロール化合物を2,3,5,6-Tetrachloro-p-benzoquinone 2,3,5,6-Tetrachloro-2,5-cyclohexadiene-1,4-dione(クロラニル)、2,3-dichloro-5,6-dicyano-p-benzoquinone(DDQ)、酸素(O)等の酸化剤で処理する反応であり、下記式(VI)ビシクロポルフィリン化合物が生成する。ここで例示した下記式(VI)のビシクロポルフィリン化合物は、前記式(I) を満たす本発明のビシ
クロポルフィリン化合物の一例である。
以上のような手法によれば、シクロヘキサジエン誘導体から、中間体である本発明のビシクロピロール化合物を経て、本発明のビシクロポルフィリン化合物を合成することができる。この方法によれば、中間体である本発明のビシクロピロール化合物を安定して容易に製造することが可能であるため、本発明のビシクロポルフィリン化合物の異性体混合物
を容易に製造することができる。
<光電変換素子半導体層形成用組成物>
本発明の光電変換素子半導体層形成用組成物は、前記本発明のビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物と溶媒を含有する。溶媒の種類としては、半導体前駆体化合物を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレンなどの非ハロゲン系芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカンなどの非ハロゲン系炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノールなどの非ハロゲン系低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの非ハロゲン系ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチルなどの非ハロゲン系エステル類;ジエチルエーテル、ジ(n−プロピル)エーテル、ジ(i−プロピル)エーテル、ジ(n−ブチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの非ハロゲン系脂肪族エーテル類が挙げられ、特に好ましくはトルエン、キシレンなどの非ハロゲン系芳香族炭化水素類;シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの非ハロゲン系ケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの非ハロゲン系脂肪族エーテル類が挙げられる。その中でも好ましくは非ハロゲン溶媒である。なお、溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
該組成物中の異性体混合物の含有量は、特段に制限はないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、一方、通常10重量%以下、好ましくは1重量%以下である。含有量が少なすぎると塗布成膜性が低下する傾向があり、多すぎると該組成物の保存安定性が損なわれる傾向がある。
また、本発明の光電変換素子半導体形成用組成物は、前記溶媒に溶解した状態における保存安定性に優れている。具体的には、上記溶解度以下の組成物を25℃にて混合後、静置して、通常1日経過後、好ましくは2日経過後、さらに好ましくは7日経過後、特に好ましくは20日経過後に固体析出がされていないことをいう。理由としては、詳細のメカニズムは明確ではないが、複数の異性体混合物が溶液内に混在することで、三次元規則的な分子間相互作用が弱められ、概化合物分子の凝集、溶媒分子との相互作用による結晶化等の固体成分析出が起こりにくくなることが想定される。
<光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、少なくとも1対の電極、活性層、及びバッファ層を有する。活性層、及びバッファ層は、電極間に配置されている。図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが,これに限るわけではない。
<活性層>
本発明に係る光電変換素子において、活性層にはp型半導体とn型半導体を含む。光電変換素子では、光が活性層に吸収され、p型半導体とn型半導体の界面で電気が発生し、発生した電気が電極から取り出される。
活性層の層構成は、p型半導体とn型半導体が積層された薄膜積層型、薄膜積層型の中間層にp型半導体とn型半導体が混合した層(i層)を有する構造等が挙げられる。中でも、p型半導体が低分子材料の場合には、薄膜積層型の中間層にp型半導体とn型半導体
が混合した層(i層)を有する構造が好ましい。
<p型半導体化合物>
本発明に係るp型半導体化合物は、半導体化合物前駆体に対して例えば過加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより、半導体化合物前駆体の化学構造が変化し、p型半導体化合物に変換されるものである。
本発明に係る半導体化合物前駆体とは、本発明の異性体混合物を示す。
また、本発明に係る半導体化合物前駆体は、成膜性に優れるものが好ましい。特に、塗布法を適用できるようにするためには、当該半導体化合物前駆体自体が液状で塗布可能であるか、当該半導体化合物前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶媒の種類や該半導体化合物前駆体の好ましい濃度は、上記光変換素子半導体層形成用組成物の項に記載のとおりである。
さらに、本発明に係る半導体化合物前駆体は、容易に半導体化合物に変換できることが好ましい。後述する半導体化合物前駆体から半導体化合物への変換工程において、どのような外的な刺激を半導体前躯体に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理、光処理などを行なう。好ましくは、熱処理である。この場合には、半導体化合物前駆体の骨格の一部に逆ディールス・アルダー反応によって脱離可能な所定の溶媒に対する親溶媒性の基を有するものが好ましい。
また、本発明に係る半導体化合物前駆体は、変換工程を経て、高い収率で半導体化合物に変換されることが好ましい。この際、半導体化合物前駆体から変換して得られる半導体化合物の収率は有機光電変換素子の性能を損なわない限り任意である。収率の好適な範囲をあげると、半導体化合物前躯体から得られる半導体化合物の収率は高いほど好ましく、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
例えば、上記半導体化合物前駆体を変換する具体例としては、以下のものが挙げられる。
<n型半導体化合物>
本発明に係るn型半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、フラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属
錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセンなど縮合多環芳香族の全フッ化物、単層カーボンナノチューブ、ポリキノリン、ポリピリジン、ポリアニリン、ポリ(ベンゾビスイミダゾベンゾフェ
ナントロリン)、ホウ素ポリマー、シアノ置換されたポリフェニレンビニレン等が挙げら
れる。その中でも好ましくは、フラーレン化合物である。これらを一種又は二種以上含んでも良い。
本発明のフラーレン化合物としては、一般式(VII)に示される一つ以上の付加基を有す
るフラーレンである。mは通常1〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。付加
基が複数有する場合は、同一でも良いし、異なっていても良く、直接または置換基を介して環を形成してもよいが、付加基がすべてが水素であるものは含まれない。付加基を複数有する場合は、付加する位置により異性体が存在し得るが、単一の異性体を用いても良いし、複数の異性体の混合物を用いても良い。
本発明に係るフラーレン(FLN)とは、閉殻構造を有する炭素クラスターである。フラーレンの炭素数は、通常60〜130 の偶数であれば何でも良い。フラーレンとしては
、例えば、C 6 0 、C 7 0 、C 7 6 、C 7 8 、C 8 2 、C 8 4 、C 9 0 、C 9 4 、C 9 6 及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスターなどが挙げられる
。その中でも、C 6 0 もしくはC 7 0 が好ましく、C 6 0 がさらに好ましい。
フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素―炭素結合が切れていても良い。又、一部の炭素原子が、他の原子に置き換えられていても良い。さらに、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していても良い。
本発明に係るR36とは、上記フラーレンに付加される付加基である。具体的には水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、エステル基、カルボキシル基、カルボニル基,アセチル基、スルホニル基,シリル基,ボリル基,ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメチル基,エチル基,i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはビニル基、スチリル基、ジフェニルビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはメチルエチニル基、フェニルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基など直鎖または分岐のアルコキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としては、フェノキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としては、フェニルチオ基等が挙げられる。
アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基や、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、カルバゾイル基等のアリールアミノ基が挙げられる。
シリル基としては,具体例としてはトリメチルシリル基,ジメチルフェニル基、トリフェニルシリル基などの置換基としてアルキル基、アリール基を有するシリル基が挙げられる。
ボリル基としては、アリール基で置換されたジメシチルボリル基などが挙げられる。
芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基,フェナントリル基、ビフェニレニル基、トリフェニレン基,アントリル基、ピレニル基,フルオレニル基,アズレニル基,アセナフテニル基,フルオランテニル基,ナフタセニル基,ペリレニル基,ペンタセニル基,トリフェニレニル基、クオーターフェニル基等の芳香族炭化水素基、ピリジル基、チエニル基、フリル基,ピロール基,オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基,ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基,ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾイル,フェノキサチエニル基,キサンテニル基,ベンゾフラニル基,チアントレニル基,インドリジニル基,フェノキサジニル基,フェノチアジニル基,アクリジニル基,フェナントリジニル基,キノリル基,イソキノリル基,インドリル基,キノキサリニル基等の芳香族複素環基が挙げられる。好ましくは、フェニル基、ナフチル基,フェナントリル基、トリフェニレン基,アントリル基、ピレニル基,フルオレニル基,アセナフテニル基,フルオランテニル基,ペリレニル基,トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、キノリル基,イソキノリル基,イミダゾイル基,アクリジニル基,フェナントリジニル基,キノキサリニル基,ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、フェニルカルバゾイル,キサンテニル基,フェノキサジニル基等の芳香族複素環基である。
上記付加基はさらに置換基を有していても良い。有していても良い置換基としては特に限定はないが、好ましくはハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルボニル基,アセチル基、スルホニル基,シリル基,ボリル基,ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基である。これらは、隣接する置換基同士で連結して環を形成していても良い。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のものが好ましく、これらは単環基に何ら限定されず、縮合多環式炭化水素基、環縮合炭化水素基、であっても良い。具体例としてはフェニル基等の単環基、ビフェニル基、フェナントリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基,ピレニル基,ペリレニル基等の縮合多環式炭化水素基、ビフェニル基、ターフェニル等の環縮合炭化水素基等が挙げられる。芳香族炭化水素基として好ましくは、フェニル基、ナフチル基である。
芳香族複素環基としては、炭素数2〜20のものが好ましく、具体例としてはピリジル基、チエニル基、フリル基,オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基、フェニルカルバゾイル基等が挙げられる。芳香族複素環基として好ましくは、ピリジル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基,フェナントリル基である。
これらの置換基は更に置換基を有していても良い。更に有しても良い置換基としては、アリール基、アリールアミノ基、アルキル基、パーフルオロアルキル基、ハライド基、カルボキシル基、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボン酸基、複素環基などが挙げられる。好ましくは、炭素数6〜16のアリール基、炭素数12〜30のアリールアミノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、フルオライド基、炭素数1〜10のオキシカルボニル基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜16のアリールオキシ基、炭素数2〜16のカルボニル基、炭素数2〜20の芳香族複素環基などが挙げられる。
更に有しても良い置換基のうち、炭素数6〜16のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基,ペリレニル基,アントリル基などが挙げられる。炭素数12〜30のアリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、カルバゾイル基、フェニルカルバゾイル基などが挙げられる。炭素数1〜12のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基などが挙げられる。炭素数1〜10のオキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。炭素数6〜16のアリールオキシ基の例としては、フェニルオキシ基などが挙げられる。炭素数2〜16のカルボニル基の例としては、アセチル基、フェニルカルボニル基などが挙げられる。炭素数2〜20の芳香族複素環基の例としては、ピリジル基、チエニル基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基などが挙げられる。
付加基あるいは付加基が有する置換基が金属への配位能を有する場合、金属原子との配位結合を介して金属錯体を形成していても良い。
付加基の好ましい態様としてはフラーレンに下記一般式(VII)及び/又は(VIII)の
部分構造を有するものである。
(VIII)、(IX)中のFLNは上記フラーレンを表す。式中、p及びqは各々整数であり、通常pとqの合計は1〜5であり、好ましくは1〜3である。(VIII)及び(IX)中の付加基は、フラーレン骨格中の同一の五員環もしくは六員環に付加される。R37〜R39は各々独立してフラーレン骨格に付加する付加基を表す。R37とR38は、直接または置換基を介して
環を形成してもよい。R37〜R39は上記R36で規定されたものと同様である。
前記(VIII)、(IX)の部分構造の中でも好ましくは、一般式(X), (XI), (XII)もしくは(XIII)で表される部分構造である。
一般式(X), (XI), (XII)及び(XIII)中のFLNは、上記フラーレンを表す。r、s、t、uは整数であり、通常r、s、t、uの合計が1〜5であり、好ましくは1〜3である。(X), (XI), (XII)及び(XIII)中の付加基は、フラーレン骨格中の同一の五員環もしくは六員環に付加される。Lは1〜8の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(X)中のR40は置換基を有していても良い炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基、置換基を有していても良い芳香族基である。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基である。芳香族基は、炭素数3〜10の芳香族炭化水素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基である。置換しても良い芳香族基で、特に好ましくはシリルアルキル基である。シリルアルキル基として、好ましくは、トリメチルシリルメチル基、ジアリールメチルシリルメチル基、ジメチルアリールシリルメチル基、トリアリールシリルメチル基であり、さらに好ましくは、ジメチルアリールシリルメチル基である。
一般式(X)中のR41〜R43は各々独立した置換基を表し、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基、置換基を有していても良い芳香族基である。アルキル基として好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基であり、さらに好まし
くはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基である。フッ化アルキル基として好ましくは、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロブチル基である。芳香族基は、炭素数3〜10の芳香族炭化水素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基である。芳香族基が有していても良い置換基は、炭素数1〜14のアルキル基あるいはフッ化アルキル基あるいはアルコキシ基、炭素数3〜10の芳香族基であり、好ましくは炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、n−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基である。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていても良いが、好ましくは同一である。
一般式(XI)中のR44〜R48は各々独立に、水素原子あるいは炭素数1〜14のアルキル基あるいは置換基を有していても良い芳香族基である。アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、オクチル基であり、より好ましくはメチル基である。芳香族基は、炭素数3〜10の芳香族炭化水素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはフェニル基である。芳香族基が有して良い置換基として特に限定は無いが、好ましくは炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても良いが、好ましくは同一である。
一般式(XII)中のArは、置換基を有していても良い炭素数3〜10の芳香族炭化水
素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基,ピリミジル基、キノリル基、キノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基、フリル基である。有していても良い置換基として限定は無いが、好ましくは炭素数1〜14のアルキル基、フッ化アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリールカルボニル基であり、さらに好ましくはアルコキシ基、エステル基、アリールカルボニル基であり、さらに好ましくはメトキシ基、メチルエステル基、n−ブチルエステル基、ベンゾイル基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。置換基が複数の場合、その種類は異なっていても良いが、好ましくは同一である。
一般式(XII)中のR49〜R52は各々独立して、水素原子、酸素原子、硫黄原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアミノ基、あるいは置換基を有しても良いアルコキシ基である。R49もしくはR50とR51もしくはR52との間で、あるいは、R49もしくはR50とR51もしくはR52のいずれか一方と(XII)の骨格を形成する炭素原子と
の間で結合し環を形成しても良い。R49もしくはR50とR51もしくはR52との間で環を形成する場合における構造は、例えば、一般式(XIV)で示すことができる。芳香族基が縮
合したビシクロ構造のYにおいて、酸素、硫黄、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、メトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシル基あるいは炭素数1〜5の炭化水素基で置換されていてもよい炭素数1又は2のアルキル基である。
一般式(XIII)中のR53〜R54は各々独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していても良い炭素数1〜14のアルキル基、あるいは置換基を有していても良い芳香族基である。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、炭素数1〜12の炭化水素基あるいはフッ化アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、2-プロピルペンチル基、2−エチルヘキシル基
、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基であり、さらに好ましく
はメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基である。
アルキル基として好ましくは、炭素数1〜8の直鎖アルキル基であり、より好ましくはn−プロピル基である。アルキル基が有しても良い置換基に特に限定は無いが、好ましくはアルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基は、炭素数1〜14の炭化水素基あるいはフッ化アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜14の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、オクチル基、2-プロピルペンチル基、
2−エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基で
あり、さらに好ましくはメチル基、n−ブチル基である。
芳香族基は、炭素数3〜10の芳香族炭化水素基あるいは芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基である。芳香族基が有していても良い置換基として、好ましくは炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でも良く、好ましくは同一である。
一般式(XIII)の構造として好ましくは、R53、R54が共にアルコキシカルボニル基であるか、R53、R54が共に芳香族基であるか、R53が芳香族基で、かつR39が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基である。
なお、フラーレン化合物としては、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
なお、本発明に用いられるn型半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
フラーレン化合物の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
<電極>
本発明に係る光電変換素子において、1対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過す程度のものである。又、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるためには、好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
透明電極に用いられる材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化ニッケル,酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、インジウムージルコニウム酸化物(IZO),酸化チタン、酸化インジウム,酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、あるいは金、白金、銀、クロムなどの金属およびその合金,ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT/PSSや、ポリピロールおよびポリアニリンなどにヨウ素などのドーピングした導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を混合して用いてもよい。なかでも、光が透過する位置にある電極は、ITO,酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物等の透明電極を用いることが好ましい。また,ITO(酸化インジウムスズ)、酸化スズ、酸化亜鉛、金、コバルト、ニッケル、白金等の仕事関数の高い材料と、アルミニウム、銀、リチウム、インジウム、カルシウム、マグネシウム等を組み合わせて用いてもよい。
透明電極の膜厚に制限はなく、抵抗値に合わせて任意に選ぶことが出来る。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下、さらには300nm以下、特には100nm以下とすることが好ましい。電極が厚すぎると透明性が低下し、高コストとなる可能性があり、薄すぎると直列抵抗が大きく、性能が低下する可能性がある。
<基板>
本発明に係る光電変換素子は、通常は支持体となる基板を有する。すなわち、基板上に、電極と、半導体層、バッファ層とが形成される。基板の材料(基板材料)は本発明効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等
の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。 ガラスとしてはソーダガラスや青板ガラスや無アルカリガラスなどが
挙げられる。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。
基板の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状を用いることができる。基板の厚みに制限はない。ただし、通常5μm以上、中でも20μm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下に形成することが好ましい。基板が薄すぎると半導体デバイスの強度が不足する可能性があり、基板が厚すぎるとコストが高くなったり重量が重くなりすぎたりする可能性がある。又、基板がガラスの場合は、薄すぎると機械的強度が低下し,割れやすくなるため,好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上がよい。また,厚すぎると重量が重くなるため,好ましくは1cm以下,より好ましくは0.5cm以下である。
<バッファ層>
本発明の光電変換素子は、1対の電極、およびその間に配置された半導体層の他に、さらにバッファ層を1以上有することができる。バッファ層としては、正孔取り出し層及び電子取り出し層に分類することができ、それぞれ、半導体層と電極の間に設けることができる。
正孔取り出し層の材料は、p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極(正極)へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンなどの導電性有機化合物などが挙げられる。また、Au、In、Ag、Pdなどの金属などの薄膜も使用することができる。さらに、金属などの薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の膜厚は特に限定はないが、通常2nm以上、一方、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。膜厚が大きすぎると、正孔が取り出しにくくなり,光電変換効率が低下する傾向があり、膜厚が小さすぎるとバッファ材料としての機能を果たさなくなる傾向がある。
電子取り出し層の材料は、電子取り出し層には,p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極(負極)へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物が挙げられる。その中でも好ましくは、アリール基で置換されたホスフィンオキサイド化合物、アリール基で置換されたホスフィンスルフィド化合物であり、より好ましくは、トリアリールホスフィンオキサイド化合物、トリアリールホスフィンスルフィド化合物、ジアリールホスフィンオキシドユニットを2つ以上有する芳香族炭化水素化合物、ジアリールホスフィンスルフィドユニットを2つ以上有する芳香族炭化水素化合物、フッ素原子もしくはパーフルオロアルキル基で置換されたアリールからなるトリアリールホスフィンオキサイド化合物、ジアリールホスフィンオキシドユニットを2つ以上有する芳香族炭化水素化合物である。上記材料に加えてアルカリ金属又はアルカリ土類金属をドープしてもよい。
電子取り出し層で使用される化合物のガラス転移温度としては、特に限定はないが、70℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上である。上限は特に限定はないが、通常200℃以下、好ましくは190℃以下である。ガラス転移温度が低すぎると、太陽電
池素子に用いた場合、使用温度範囲でバッファ層材料がアモルファス状態と結晶状態に変化し、状態が変化することによりバッファ層としての安定性がなくなる。ガラス転移温度が低すぎると、太陽電池素子に用いた場合、使用温度範囲でバッファ層材料が結晶状態になりやすく、バッファ層の欠陥ができる可能性がある。ガラス転移温度は公知の方法で測定すれば良く、たとえばDSC法が挙げられる。
電子取り出し層の膜厚は特に限定はないが、好ましくは0.01nm以上、40nm以下である。さらに好ましくは20nm以下である。大きすぎる電子が取り出しにくくなり,光電変換効率が低下するといった問題点があり、小さすぎるとバッファ材料としての機能を果たさなくなるといった問題点がある。
<太陽電池>
[太陽電池モジュール]
本発明の光電変換素子は、太陽電池素子として薄膜太陽電池として使用されることが好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備え、更に、耐候性保護フィルム1とバックシート10の縁部をシールするシール材11を備えている。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[耐候性保護フィルム1]
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。
太陽電池素子6の構成部品のなかには、温度変化、湿度変化、自然光、風雨による侵食などにより劣化するものがある。そこで、耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化などから保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性、機械強度などの、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%である。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に耐候性保護フィルム1が融解・劣化する可能性を低減できる。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護すること
ができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
[紫外線カットフィルム2]
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。
薄膜太陽電池14の構成部品のなかには紫外線により劣化するものがある。また、ガスバリアフィルム3,9などは種類によっては紫外線により劣化するものがある。そこで、紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3,9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、特に好ましくは10%以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%以上である。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点が低すぎると薄膜太陽電池14の使用時に紫外線カットフィル
ム2が融解する可能性がある。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうるものが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルムなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いても良い。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾル系、シアノアクリレート系のものを用いることができる。中でもベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系が好ましい。この例としては、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の種々の芳香族系有機化合物などが挙げられる。なお、紫外線吸収剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記したように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
塗布は任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法などが挙げられる。また、これらの方法は1種を単独で行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行うこともできる。
塗布液に用いる溶剤は、紫外線吸収剤を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されない。例えば液状の樹脂を溶剤として用いることができ、その例を挙げると、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカ−ボネ−ト系、ポリスチレン系などの各種合成樹脂などが挙げられる。また、例えば、ゼラチン、セルロース誘導体などの天然高分子;水、水とエタノール等のアルコール混合溶液なども溶剤として用いることができる。さらに、溶剤として有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤を使用すれば、色素や樹脂を溶解または分散させることが可能となり、塗工性を向上させることが可能となる。なお、溶剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
塗布液にはさらに界面活性剤も含有させてもよい。界面活性剤の使用により、紫外線吸収色素の樹脂への分散性が向上する。これにより、紫外線吸収層において、微小な泡によるヌケ、異物などの付着による凹み、乾燥工程でのハジキなどの発生が抑制される。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。中でも、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、塗布液を基材フィルムに塗布した後の乾燥は、例えば熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥など、公知の乾燥方法が採用できる。中でも、乾燥速度が速い熱風乾燥が好適である。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラス
ティック株式会社)などが挙げられる。
なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで紫外線の吸収が高まる傾向にあり、薄くすることで可視光の透過率を増加させられる傾向にある。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。
ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
[ガスバリアフィルム3]
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
太陽電池素子6は湿気及び酸素に弱い傾向があり、特に、ZnO:Al等の透明電極や、化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子が水分及び酸素により劣化することがある。そこで、ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類などに応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が化合物半導体系太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m/day以下であることが特に好ましい。また、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m/day以下であることが特に好ましい。水蒸気が透過しなければしないほど、太陽電池素子6及び当該素子6のZnO:Al等の透明電極の水分との反応に起因する劣化が抑えられるので、発電効率が上がると共に寿命が延びる。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類などに応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が化合物半導体系太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−2cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−4cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。また、例えば、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−2cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−4cc/m/day/
atm以下であることが中でも好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、太陽電池素子6及び当該素子6のZnO:Al等の透明電極の酸化による劣化が抑えられる。
従来はこのように高い防湿及び酸素遮断能力を有するガスバリアフィルム3の実装が困難であったため、化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子のように優れた太陽電池素子を備えた太陽電池を実現することが困難であったが、このようなガスバリアフィルム3を適用することにより化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子等の優れた性質を活かした薄膜太陽電池14の実施が容易となる。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時にガスバリアフィルム3が融解・劣化する可能性を低減できる。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
以下、ガスバリアフィルム3の構成について、例を挙げて説明する。
ガスバリアフィルム3の構成として好ましいものは2例が挙げられる。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
二つ目の例は、プラスチックフィルム基材に、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層が形成されたフィルムである。この際、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層を1単位として、このユニット層が1単位(無機バリア層1層とポリマー層1層を合わせて1単位の意味)のみを形成しても良いが、2単位以上形成しても良い。例えば2〜5単位、積層してもよい。
ユニット層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層及びポリマー層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。また、プラスチックフィルム基材上にユニット層を形成する場合、無機バリア層を形成してからその上にポリマー層を形成してもよいし、ポリマー層を形成してから無機バリア層を形成してもよい。
(プラスチックフィルム基材)
ガスバリアフィルム3に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム3の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材の材料の例を挙げると、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物が挙げられる。また、スピロビインダン、スピロビクロマンを含む縮合ポリマーを用いるのも好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、二軸延伸を施したポリエチレンテレフタレート(PET)、同じく二軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)は、熱的寸度安定性に優れるため、プラスチックフィルム基材として好ましく用いられる。
なおプラスチックフィルム基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
プラスチックフィルム基材の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
プラスチックフィルム基材は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
プラスチックフィルム基材には、無機バリア層との密着性向上のため、アンカーコート剤の層(アンカーコート層)を形成してもよい。通常、アンカーコート層はアンカーコート剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の1種類以上と、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂の1種類以上とを組み合わせたものが好ましい。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アンカーコート層の厚さは、通常0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。この範囲の上限値以下の厚さであれば滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力によるプラスチックフィルム基材からの剥離もほとんどない。また、この範囲の下限値以上の厚さであれば、均一な厚さを保つことができ好ましい。
また、プラスチックフィルム基材へのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前に、プラスチックフィルム基材に通常の化学処理、放電処理などの表面処理を施してもよい。
(無機バリア層)
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、Si、Al、Mg、In、Ni、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などが挙げられる。中でも、高いバリア性と高透明性とを両立させるために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を含むことが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性の観点から、酸化珪素を含むことが好ましい。
各々の金属原子と酸素原子との比率も任意であるが、無機バリア層の透明度を向上させ着色を防ぐためには、酸素原子の比率が酸化物の化学量論的な比率から極端に少なくないことが望ましい。一方、無機バリア層の緻密性を向上させバリア性を高くするためには、酸素原子を少なくすることが望ましい。この観点から、例えば金属酸化物としてSiOを用いる場合には前記xの値は1.5〜1.8が特に好ましい。また、例えば金属酸化物としてAlOを用いる場合には前記xの値は1.0〜1.4が特に好ましい。
また、2種以上の金属酸化物より無機バリア層を構成する場合、金属酸化物としては酸化アルミニウムおよび酸化珪素を含むことが望ましい。中でも無機バリア層が酸化アルミニウムおよび酸化珪素からなる場合、無機バリア層中のアルミニウムとケイ素との比率は任意に設定することができるが、Si/Alの比率は、通常1/9以上、好ましくは2/8以上であり、また、通常9/1以下、好ましくは2/8以下である。
無機バリア層の厚みを厚くするとバリア性が高まる傾向にあるが、曲げた際にクラックを生じにくくし割れを防ぐためには、厚みを薄くすることが望ましい。そこで無機バリア層の適正な厚みとしては、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは200nm以下である。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などで行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
(ポリマー層)
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
前記ポリマーを与える化合物としては多種多様なものを用いることができるが、例えば以下の(i)〜(vii)のようなものが例示される。なお、モノマーは1種を用いてもよ
く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(i)例えばヘキサメチルジシロキサン等のシロキサンが挙げられる。ヘキサメチルジシロキサンを用いる場合のポリマー層の形成方法の例を挙げると、RF電極を用いた平行平板型のプラズマ装置にヘキサメチルジシロキサンを蒸気として導入し、プラズマ中で重合反応を起こさせ、プラスチックフィルム基材上に堆積させることでポリマー層をポリシロキサン薄膜として形成できる。
(ii)例えばジパラキシリレン等のパラキシリレンが挙げられる。ジパラキシリレンを用いる場合のポリマー層の形成方法の例を挙げると、まず高真空中でジパラキシリレンの蒸気を650℃〜700℃で加熱することで熱分解させて熱ラジカルを発生させる。そして、そのラジカルモノマー蒸気をチャンバー内に導いて、プラスチックフィルム基材への吸着させると同時にラジカル重合反応を進行させてポリパラキシリレンを堆積させることでポリマー層を形成できる。
(iii)例えば二種のモノマーを交互に繰り返し付加重合させることができるモノマー
が挙げられる。これにより得られるポリマーは重付加ポリマーである。重付加ポリマーとしては、例えば、ポリウレタン(ジイソシアナート/グリコール)、ポリ尿素(ジイソシアナート/ジアミン)、ポリチオ尿素(ジチオイソシアナート/ジアミン)、ポリチオエーテルウレタン(ビスエチレンウレタン/ジチオール)、ポリイミン(ビスエポキシ/第一アミン)、ポリペプチドアミド(ビスアゾラクトン/ジアミン)、ポリアミド(ジオレフィン/ジアミド)などが挙げられる。
(iv)例えばアクリレートモノマーが挙げられる。アクリレートモノマーには単官能、2官能、多官能のアクリレートモノマーがあるが、いずれを用いてもよい。ただし、適切な蒸発速度、硬化度、硬化速度等を得るために、前記のアクリレートモノマーを2種以上組み合わせて併用することが好ましい。
また、単官能アクリレートモノマーとしては、例えば脂肪族アクリレートモノマー、脂環式アクリレートモノマー、エーテル系アクリレートモノマー、環状エーテル系アクリレートモノマー、芳香族系アクリレートモノマー、水酸基含有アクリレートモノマー、カルボキシ基含有アクリレートモノマー等があるが、いずれも用いることができる。
(v)例えばエポキシ系やオキセタン系等の、光カチオン硬化ポリマーが得られるモノマーが挙げられる。エポキシ系モノマーとしては、例えば、脂環式エポキシ系モノマー、2官能性モノマー、多官能性オリゴマーなどが挙げられる。また、オキセタン系モノマーとしては、例えば、単官能オキセタン、2官能オキセタン、シルセスキオキサン構造を有するオキセタン等が挙げられる。
(vi)例えば酢酸ビニルが挙げられる。モノマーとして酢酸ビニルを用いると、その重合体をケン化することでポリビニルアルコールが得られ、このポリビニルアルコールをポリマーとして使用できる。
(vii)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、
イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらは、エチレンとの共重合体を構成させ、この共重合体をポリマーとして使用できる。さらに、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
前記のモノマーを重合してポリマーを生成させる際、モノマーの重合方法に制限は無い。ただし、通常は、モノマーを含む組成物を塗布または蒸着して成膜した後で重合を行うようにする。重合方法の例を挙げると、熱重合開始剤を用いたときはヒーター等による接触加熱;赤外線、マイクロ波等の放射加熱;などにより重合を開始させる。また、光重合開始剤を用いたときは活性エネルギー線を照射して重合を開始させる。活性エネルギー線を照射する場合には様々な光源を使用することができ、例えば、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステンーハロゲン輻射ランプおよび日光による照射光などを用いることができる。また、電子線照射や大気圧プラズマ処理を行うこともできる。
ポリマー層の形成方法は、例えば、塗布法、真空成膜法等が挙げられる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。また、ポリマー層形成用の塗布液をミスト状で塗布するようにしてもよい。この場合の液滴の平均粒径は適切な範囲に調整すればよく、例えば重合性モノマーを含有する塗布液をミスト状でプラスチックフィルム基材上に成膜して形成する場合には、液滴の平均粒径は5μm以下、好ましくは1μm以下である。
他方、真空成膜法でポリマー層を形成する場合、例えば、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が挙げられる。
ポリマー層の厚みについては特に限定はないが、通常10nm以上であり、また、通常5000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。ポリマー層の厚みを厚くすることで、厚みの均一性が得やすくなり無機バリア層の構造欠陥を効率よくポリマー層で埋めることができ、バリア性が向上する傾向にある。また、ポリマー層の厚みを薄くする事で、曲げ等の外力によりポリマー層自身がクラックを発生しにくくなるためバリア性が向上しうる。
中でも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOを真空蒸着したフィルムなどが挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることでガスバリア性が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた可視光の透過率が向上する傾向にある。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。そして、ガスバリアフィルム3,9の縁部をシール材11でシールし、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で囲まれた空間内に太陽電池素子6を納めることにより、太陽電池素子6を湿気及び酸素から保護できるようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
[ゲッター材フィルム4]
ゲッター材フィルム4は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。太陽電池素子6の構成部品のなかには前記のように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもある。そこで、ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能・BR>ヘを高く維持するよう
にしている。
ここで、ゲッター材フィルム4は前記のようなガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上、好まし
くは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く太陽電池素子6の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である。
また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム3,9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できる。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時にゲッター材フィルム4が融解・劣化する可能性を低減できる。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び/又は酸素を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル等の硫酸塩、アルミニウム金属錯体、アルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物などが挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO、BaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOや、アルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム、酸化鉄等が挙げられる。またFe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3,9及びシール材11で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆
い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4,8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3,9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシートなど防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
ゲッター材フィルム4は吸水剤又は乾燥剤の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、吸水剤又は乾燥剤を分散したフィルムを粘着剤で添付する方法、吸水剤又は乾燥剤の溶液をスピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法等で塗布する方法などを用いることができる。また真空蒸着法、スパッタリング法などの成膜法を使用してもよい。
吸水剤又は乾燥剤のためのフイルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂のフィルムが好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[封止材5]
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。
具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に封止材5が融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、通常700μm以下、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。厚みを厚くすることで薄膜太陽電池14全体の強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた可視光の透過率が向上する傾向にある。
封止材5を構成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物をフィルムにしたもの(EVAフィルム)などを用いることができる。EVAフィルムには通常は耐候性の向上のために架橋剤を配合して架橋構造を構成させる。この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられる。このような有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、通常1重量部以上である。なお、架橋剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
このEVA樹脂組成物には、接着力向上の目的で、シランカップリング剤を含有させてもよい。この目的に供されるシランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下であり、通常0.1重量部以上である。なお、シランカップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するために、EVA樹脂組成物に架橋助剤を含有させてもよい。この目的に供される架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤等の単官能の架橋助剤等が挙げられる。これらの架橋助剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下であり、また、通常1重量部以上である。なお、架橋助剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的で、EVA樹脂組成物に、例えばハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを含有させてもよい。これらの配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下である。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には1〜2時間程度の比較的長時間を要するため、薄膜太陽電池14の生産速度および生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、太陽電池素子6に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材5としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。この共重合体としては、例えば、下記成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
・成分1:プロピレン系重合体が、通常0重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、また、通常70重量部以下、好ましくは50重量部以下。
・成分2:軟質プロピレン系共重合体が、30重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、また、通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下。
なお、成分1および成分2の合計量は100重量部である。上記のように、成分1および成分2が好ましい範囲にあると、封止材5のシートへの成形性が良好であるとともに、得られる封止材5の耐熱性、透明性および柔軟性が良好となり、薄膜太陽電池14に好適である。
上記の成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物は、メルトフローレート(ASTM D 1238、230度、荷重2.16kg)が、通常0.0001g/10分以上であり、また、通常1000g/10分以下、好ましくは900g/10分以下、より好ましくは800g/10分以下である。
成分1および成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上である。また通常140℃以下、好ましくは135℃以下である。
また成分1および成分2が配合・BR>ウれた熱可塑性樹脂組成物の密度は、0.98g
/cm
以下が好ましく、0.95g/cm以下がより好ましく、0.94g/cm以下がさらに好ましい。
この封止材5においては、上記成分1および成分2に、プラスチックなどに対する接着促進剤としてカップリング剤を配合することが可能である。カップリング剤は、シラン系、チタネート系、クロム系の各カップリング剤が好ましく用いられ、特にシラン系のカップリング剤(シランカップリング剤)が好適に用いられる。
上記シランカップリング剤としては公知のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシーエトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルートリピルトリーメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なお、カップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、これらは熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、上記シランカップリング剤を通常0.1重量部以上、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下含むことが望ましい。
また、上記カップリング剤は、有機過酸化物を用いて、当該熱可塑性樹脂組成物にグラフト反応させてもよい。この場合、熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、上記カップリング剤を0.1〜5重量部含むことが望ましい。シラングラフト化された熱可塑性樹脂組成物を用いても、ガラス、プラスチックに対して、シランカップリング剤ブレンドと同等以上の接着性が得られる。
有機過酸化物を用いる場合、有機過酸化物は、熱可塑性樹脂組成物(成分1および成分2の合計量)100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下である。
また、封止材5としてエチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体を用いることもできる。この共重合体としては、下記に示す成分Aおよび成分Bからなる封止材用樹脂組成物と基材とを積層してなる、ホットタック性が5〜25℃のラミネートフィルムが例示される。
・成分A:エチレン系樹脂。
・成分B:以下の(a)〜(d)の性状を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体。
(a)密度が0.86〜0.935g/cm
(b)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分。
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり;該ピーク温度が100℃以下である。
(d)温度上昇溶離分別(TREF)による積分溶出量が、90℃のとき90%以上である。
成分Aと成分Bとの配合割合(成分A/成分B)は、重量比で、通常50/50以上、
好ましくは55/45以上、より好ましくは60/40以上であり、また、通常99/1以下、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下である。成分Bの配合量を多くすることで透明性やヒートシール性が高まる傾向にあり、成分Bの配合量を少なくすることでフィルムの作業性が高まる傾向にある。
成分Aと成分Bを配合して生成される封止材用樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、通常2g/10分以上、好ましくは3g/10分以上であり、通常50g/10分以下、好ましくは40g/10分以下である。なおMFRの測定と評価は、JIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材用樹脂組成物の融点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材用樹脂組成物の密度は、0.80g/cm以上が好ましく、0.85g/cm以上がより好ましく、また、0.98g/cm以下が好ましく、0.95g/cm以下がより好ましく、0.94g/cm以下がさらに好ましい。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた封止材5において、前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合と同様に、カップリング剤を用いることが可能である。
上述した封止材5は、材料由来の分解ガスを発生することがないため、太陽電池素子6への悪影響がなく、良好な耐熱性、機械強度、柔軟性(太陽電池封止性)および透明性を有する。また、材料の架橋工程を必要としないため、シート成形時および薄膜太陽電池100の製造時間が大きく短縮できるとともに、使用後の薄膜太陽電池14のリサイクルも容易となる。
なお、封止材5は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、封止材5は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
封止材5の厚みは、通常2μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた光線透過率が高まる傾向にある。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
[太陽電池素子6]
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子と同様である。
・太陽電池素子同士の接続
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14の1個あたり1個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、
接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため通常は太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
[封止材7]
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材7と同様のものを同様に用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[ゲッター材フィルム8]
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。また使用する水分あるいは酸素吸収剤をゲッター材フィルム4よりも多く含有するフィルムを用いることも可能となる。このような吸収剤としては、水分吸収剤としてCaO、BaO、Zr−Al−BaO、酸素の吸収剤として活性炭、モレキュラーシーブなどが挙げられる。
[ガスバリアフィルム9]
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
[バックシート10]
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。このため、バックシート10としては、以下に説明するもの(i)〜(iv)を用いることが特に好ましい。
(i)バックシート10としては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、フッ素系樹脂、環状ポリ
オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(ii)バックシート10としては、金属薄膜を用いることもできる。例えば、腐蝕防止したアルミニウム金属箔、ステンレス製薄膜などが挙げられる。なお、前記の金属は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(iii)バックシート10としては、例えばアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フイルムを
接着した防水性の高いシートを用いても良い。フッ素系樹脂としては、例えば、一弗化エチレン(商品名:テドラー,デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(iv)バックシート10としては、例えば、基材フィルムの片面あるは両面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層したものを用いてもよい。なお、通常は、基材フィルムにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層する場合には、ラミネート用接着剤で張り合わせることで積層する。無機酸化物の蒸着膜を設けることで、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れたバックシート10として使用できる。
・基材フィルム
基材フィルムとしては、基本的には、無機酸化物の蒸着膜等との密接着性に優れ、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂のフィルムを使用することが好ましい。
上記のような各種の樹脂のフィルムのなかでも、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、または、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂のフィルムを使用することがより好ましい。更に、このフッ素系樹脂のフィルムの中でも、特に、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF);テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)からなるフッ素系樹脂のフィルムが、強度等の観点から特に好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、上記のような各種の樹脂のフィルムのなかでも、シクロペンタジエン及びその誘導体、シクロヘキサジエン及びその誘導体等の環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムを使用することもより好ましい。
基材フィルムの膜厚としては、通常12μm以上、好ましくは20μm以上であり、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下である。
・無機酸化物の蒸着膜
無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能である。例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、の酸化物の蒸着膜を使用することができる。この際、酸化ケイ素としては例えばSiO(x=1.0〜2.0)を用いることができ、酸化アルミニウムとしては例えばAlO(x=0.5〜1.5)を用いることができる。
なお、使用する金属及び無機酸化物の種類は1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、通常50Å以上、好ましくは100Å以上であり、また、通常4000Å以下、好ましくは1000Å以下である。
蒸着膜の作製方法としては、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いることができる。具体例を挙げると、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
・ポリプロピレン系樹脂フィルム
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体;プロピレンと他のモノマー(例えばα−オレフィン等)との共重合体を使用することができる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック重合体を用いることもできる。
ポリプロピレン系樹脂の融点は通常164℃〜170℃であり、比重は通常0.90〜0.91であり、分子量は通常10万〜20万である。
ポリプロピレン系樹脂は、その結晶性により性質が大きく支配されるが、アイソタクチックの高いポリマーは、引っ張り強さ、衝撃強度に優れ、耐熱性、耐屈曲疲労強度を良好であり、かつ、加工性は極めて良好なものである。
・接着剤
基材フィルムにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層する場合には、通常はラミネート用接着剤を用いる。これにより、基材フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとはラミネート用接着剤層を介して積層されることになる。
ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。なお、接着剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよい。また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよい。さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができる。そのコーティング量としては、乾燥状態で0.1g/m〜10g/mが望ましい。
[シール材11]
シール材11は、上述した耐候性保護フィルム1、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3、ゲッター材フィルム4、封止材5、封止材7、ゲッター材フィルム8、ガスバリアフィルム9及びバックシート10の縁部をシールして、これらのフィルムで被覆された空間内に湿気及び酸素が浸入しないようにシールする部材である。
シール材11に要求される防湿能力の程度は、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が0.1g/m/day以下であることが好ましく、0.05g/m/day以下であることがより好ましい。従来はこのように高い防湿能力を有するシール材11の実装が困難であったため、化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子のように優れた太陽電池素子を備えた太陽電池を実現することが困難であったが、このようなシール材11を適用することにより化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子の優れた性質を活かした薄膜太陽電池14の実施が容易となる。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、シール材11も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、シール材11の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。融点が低すぎると薄膜太陽電池14の使用時にシール材11が融解する可能性がある。
シール材11を構成する材料としては、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂等のポリマーが挙げられる。
なお、シール材11は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
シール材11は、少なくともガスバリアフィルム3,9の縁部をシールできる位置に設ける。これにより、少なくともガスバリアフィルム3,9及びシール材11で囲まれた空間を密閉し、この空間内に湿気及び酸素が侵入しないようにすることができる。
このシール材11を形成する方法に制限は無いが、例えば、材料を耐候性保護フィルム1とバックシート10との間に注入することにより形成できる。形成方法の具体例を挙げると、以下の方法が挙げられる・BR>B
即ち、例えば封止材5の硬化が進行する途中で、半硬化状態の薄膜太陽電池14を前記ラミネート装置から取り出し、太陽電池素子6の外周部であって耐候性保護シート1とバックシート10との間の部分に液状のポリマーを注入し、このポリマーを封止材5と共に硬化させればよい。また、封止材5の硬化が終了した後にラミネート装置から取り出して単独で硬化させてもよい。なお、前記のポリマーを架橋・硬化させるための温度範囲は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。
[寸法等]
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車、インテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため更に多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管など流通面でも好ましい。更に、膜状であるためロール・トゥ・ロール式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上、好ましくは500μm以上、より好ましくは700μm以上であり、また、通常3000
μm以下、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下である。
[製造方法]
本実施形態の薄膜太陽電池14の製造方法に制限は無いが、例えば、耐候性保護フィルム1とバックシート10との間に、1個又は2個以上の太陽電池素子6を直列または並列接続したものを、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3,9、ゲッター材フィルム4,8及び封止材5,7と共に一般的な真空ラミネート装置でラミネートすることで製造できる。この際、加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。また、加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材5,7がはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。
[用途]
上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく任意である。例えば、図3に模式的に示すように、何らかの基材12上に薄膜太陽電池14を設けた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具定例を挙げると、基材12として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けて太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。
基材12は太陽電池素子6を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料;などが挙げられる。なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させても良い。
本発明の薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池、玩具用太陽電池などに用いて好適である。具体例として以下のようなものを挙げることができる。
1.建築用途
1.1ハウス屋根材として太陽電池
基材として屋根用板材等を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルをハウスの屋根の上に設置して使用すればよい。また、基材として瓦を直接用いることもできる。本発明の太陽電池が柔軟性を有するという特性を生かし、瓦の曲線に密着させることができるので好適である。
1.2屋上
ビルの屋上に取り付けることもできる。基材上に薄膜太陽電池を設けた太陽電池ユニットを用意し、これをビルの屋上に設置することもできる。この時基材とともに防水シートを併用し、防水作用を有するのが望ましい。さらに、本発明の薄膜太陽電池が柔軟性を有
するという特性を生かし、平面ではない屋根、例えば折半屋根に密着させることもできる。この場合も防水シートを併用するのが望ましい。
1.3トップライト
エントランスや吹き抜け部分に外装として本発明の薄膜太陽電池を用いることもできる。何らかのデザイン処理を施されたエントランス等は曲線が用いられている場合が多く、そのような場合において本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が生かされる。またエントランス等ではシースルーである場合があり、このような場合には、有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
1.4壁
基材として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。また、カーテンウオールに設置することもできる。その他、スパンドレルや方立等への取り付けも可能である。
この場合、基材の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。このような基材の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)などが挙げられる。
1.5窓
また、シースルーの窓に使用することもできる。有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
1.6その他
その他建築の外装としてひさし、ルーバー、手摺等にも使用できる。このような場合においても、本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が、これら用途にとり好適である。
2.内装
本発明の薄膜太陽電池はブラインドのスラットに取り付けることもできる。本発明の薄膜太陽電池は軽量であり、柔軟性に富むことから、このような用途が可能となる。また、内容用窓についても有機太陽電池素子がシースルーである特性を生かし使用することができる。
3.野菜工場
蛍光灯などの照明光を活用する植物工場の設置件数は増えているが,照明に掛かる電気代や光源の交換費用などによって栽培コストを引き下げにくいというのが現状である。そこで本発明の薄膜太陽電池を野菜工場に設置し、LEDまたは蛍光灯と組み合わせた照明システムを作製することができる。
このとき蛍光灯よりも寿命が長いLEDと本発明の太陽電池を組み合わせた照明システムを用いることで、照明に要するコストを現状に比べて30%程度減らせることができるので好適である。
また、野菜等を一定温度で輸送するリーファー・コンテナ (reefer container)の屋根や側壁に本発明の太陽電池を用いることもできる。
4.道路資材・土木
本発明の薄膜太陽電池は、駐車場の外壁や高速道路の遮音壁や浄水場の外壁等にも用いることができる。
5.自動車
本発明の薄膜太陽電池は、自動車のボンネット、ルーフ、トランクリッド、ドア、フロントフェンダー、リアフェンダー、ピラー、バンパー、バックミラーなどの表面に用いる
ことができる。得られた電力は走行用モータ、モータ駆動用バッテリー、電装品及び電装品用バッテリーのいずれに供給することができる。太陽電池パネルにおける発電状況と該走行用モータ、該モータ駆動用バッテリー、該電装品及び該電装品用バッテリーにおける電力使用状況とに合わせて選択する制御手段とを備えることで、得られた電力が適正にかつ効率的に使用することができる
前記の場合、基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。
このような基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
(Dimethylbicyclopyrrole誘導体の製造)
窒素雰囲気下、冷却器を備えた500mLの4ツ口フラスコにEthyl-4,7-dihydro-8,8-dimethyl-4,7-ethano-2Hisoindole-1-carboxylate 5.00g (20.4mmol)と
あらかじめ乳鉢ですりつぶした水酸化ナトリウム6.25g(150mmol)をエチレングリコール150mLに溶解し、溶媒を脱気し窒素置換した。反応容器を遮光し、170℃、60分撹拌し、室温に冷却した。反応溶液を300mL氷水に投入し、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムを添加して乾燥した。粉体をろ過後、ろ液を減圧濃縮した。得られたオイルを昇華精製し、Dimethylbicyclopyrrole誘導体を2.54g(14.7mmol,72%)得た。
得られた化合物がDimethylbicyclopyrrole誘導体であることを、1H NMRで確認した。1H NMRの結果を以下に示す。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.46 (br s, 1H), 6.54 (m, 1H), 6.48 (m, 1H), 6.47 (m,
1H), 6.41 (m, 1H), 3.70 (m, 1H), 3.22 (d, 1H, J = 5.9 Hz), 1.41 (dd, 1H, J = 11.5, 2.7 Hz), 1.24 (dd, 1H, J = 11.5, 2.7 Hz), 1.04 (s, 3H), and 0.72 (s, 3H).
<合成例2>
(ビシクロポルフィリン化合物異性体混合物の製造)
実施例1で合成したDimethylbicyclopyrrole誘導体3.81g(22mmol)をクロロホルム(アミレン含有)400mLに溶解し、これに窒素雰囲気下で850mgのパラホルムアルデヒドを添加し、ついでp−トルエンスルホン酸一水和物200mgを添加し、室温で5時間撹拌した。続いてp−クロラニル2.17gを添加してさらに5時間撹拌した。反応液を水に注入し、有機層を分離して飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。粉体をろ過後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム溶媒としてまずアルミナのカラムクロマトグラフィー
で精製し、ついでシリカゲルクロマトグラフィーで酢酸エチル/クロロホルムで精製することで、目的の位置異性体から構成されるビシクロポルフィリン化合物の混合物が2.44g(3.30mmol,60%)得られた(以後、混合物Aと表記する)。
得られた化合物が目的のビシクロポルフィリン化合物の異性体混合物であることを、1HNMR、LC分析、MS分析によって確認した。以下に各種分析結果を示す。LC分析結果については表1に記す。質量分析(FAB−MS法)により、目的物の質量と一致するm/z:736[M]を検出した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.26-10.33 (m, 4H), 7.11-7.26 (m, 8H), 5.63 (m, 4H),
5.12-5.16 (m, 4H), 2.06-2.11 (m, 4H), 1.75-1.88 (m, 4H), 1.55-1.56 (m, 12H), 0.59-0.80 (m, 12H), and -4.63 (br s, 2H).
<合成例3>
Tetrakis(dimethylbicyclo[2.2.2]octadiene)porphyrin(化合物B)の製造
特開2007−224019の[0100]〜[0103]の記載を元に合成した。得られた無金属ビシクロポルフィリン化合物Tetrakis(dimethylbicyclo[2.2.2]octadiene)porphyrinを化合物Bと記す。合成例2と同様に以下に各種分析結果を示す。LC分析結果については表1に記す。質量分析(FAB−MS法)により、目的物の質量と一致するm/z:736[M]を検出した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.27 (s, 4H), 7.16 (m, 8H), 5.62 (m, 4H), 5.12 (d, 1H, J = 5.9 Hz), 2.09 (dd, 4H, J = 11.7, 2.4 Hz), 1.84 (m, 4H), 1.56 (s, 12H), 0.75 (s, 12H), and -4.66 (br s, 2H).
<合成例4>
Tetrakis(bicyclo[2.2.2]octadiene)porphyrinの製造
特開2003−304014の[0060]〜[0066]の記載を元に合成した。得られた化合物を化合物Cと記す。LC分析結果については表1に記す。質量分析(FAB−MS法)により、目的物の質量と一致するm/z:623[M+1]を検出した。δ 10.40
(m, 4H), 7.20 (m, 8H), 5.81 (m, 8H), 2.24 (m, 8H), and -4.80 (br s, 2H).
<合成例5>
POPy2の合成例
窒素雰囲気下,1-ブロモピレン(東京化成:14g,50mmol)を脱水THF(関東化学:200mL)に溶かし,―78℃に冷却した後,n−BuLi(関東化学:33mL、1.6M)をゆっくり滴下し,―78℃を保持したまま,30分撹拌した。つづいて,ジクロロフェニルホスフィン(東京化成:4.3g,9.0mmol)を滴下し,十分攪拌した後,室温まで昇温し,1.5時間撹拌した。得られた反応溶液にメタノール(純正化学)30mLを加え,得られた粗精製物をろ過し,ベンゼンを用いて再結晶することにより,10.7gの目的物を得た。ここで得られた化合物をTHF(純正化学)350mL
,CHCl(関東化学)300mL,アセトン(関東化学)100mLに溶かし,過酸化水素水(和光純薬:30%溶液10mL)を加え,室温で30分撹拌した。反応溶液
に水30mLを加え600mLまで濃縮後,ろ過することにより,目的物(POPy2)を7.5g得た。
<合成例6>
フラーレン化合物Aの合成
フラーレン化合物Aの合成は、以下のように行った。
[中間体1]
クロロメチル(2−メトキシフェニル)ジメチルシラン,(o-An)Me2SiCH2Cl
500-mL三口ナスフラスコに、窒素雰囲気下、臭化2-メトキシフェニルマグネシウムの1.0M THF溶液(100 mL, 0.1 mol)を入れて室温で攪拌した。ここに、クロロメチルジメチルクロロシラン(11.25 mL, 0.085 mol)をゆっくり滴下した。室温で1時間攪拌後、4
0℃で3時間攪拌した。室温に戻し、ゆっくりと水を加えた。酢酸エチルで抽出し、食塩水洗浄後、硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過し、減圧下濃縮した。得られた液体を減圧蒸留することにより、目的物(クロロメチル(2−メトキシフェニル)ジメチルシラン,(o-An)Me2SiCH2Cl)を無色液体として収率 52% (11.2 g, 0.0522 mol)で得た。
[中間体2]
1−(ジメチルフェニルシリルメチル)―1,9−ジヒドロ(C60-Ih)[5,6]フラーレン
,C60(CH2SiMe2Ph)H
窒素雰囲気下、N,N-ジメチルホルムアミド (6.45 mL, 83.3 mmol)、フラーレンC60 (2.00 g, 2.78 mmol) 、1,2−ジクロロベンゼン溶液 (500 mL) を混合し、脱気した後、
窒素で復圧した。ここに、中間体1の製造で得られたクロロメチル(2−メトキシフェニル)ジメチルシラン(PhMe2SiCH2MgCl、9.80 mL, 0.850 M, 8.33 mmol)のTHF溶液を25℃
で加えた。10分間攪拌した後,脱気した飽和塩化アンモニウム水溶液 (1.0 mL) を加え攪拌した。得られた溶液を濃縮した後,トルエン (200 mL)に溶解させ, シリカゲルろ過カ
ラムを通した後、濃縮した。メタノール(約100~200 mL)を加え,再沈させることにより茶色の固体を得た。得られた固体をHPLC (Buckyprep column, eluent: toluene/2-propanol
= 7/3) 分取することにより,目的物である1−(ジメチルフェニルシリルメチル)―1,9−ジヒドロ(C60-Ih)[5,6]フラーレン(C60(CH2SiMe2Ph)H, 1.99 g, 2.28 mmol, 82% isolated yield, analytically pure)を得た。
[フラーレン化合物A(C60(CH2SiMe2Ph)[CH2SiMe2(o-An)])]
窒素雰囲気下、中間体2の製造で得られた1−(ジメチルフェニルシリルメチル)―1,9−ジヒドロ(C60-Ih)[5,6]フラーレン(C60(CH2SiMe2Ph)H , 1.02 g, 1.17 mmol) のベンゾニトリル溶液を脱気した後、t−ブトキシカリウム (1.41 mL, 1.0 M, 1.41 mmol)
のTHF溶液を25 °Cで加えた。10分間攪拌した後,中間体1の製造で得られたクロロメ
チル(2−メトキシフェニル)ジメチルシラン((o-An)Me2SiCH2Cl, 5.03g, 23.4 mmol)とヨウ化カリウムを加え110℃で17時間攪拌した。得られた溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液1.0 mL を加え,濃縮した。得られた粗生成物にトルエン (100 mL)を加え,ろ過濃縮した後,メタノール (ca. 50~100 mL) を加え,再沈を行った。得られた粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー (eluent: CS2/hexane = 1/1) 精製に供し、続いてHPLC分取 (Buckyprep column, eluents: toluene/2-propanol = 7/3)精製を行うことにより,目的物(フラーレン化合物A)(C60(CH2SiMe2Ph)[CH2SiMe2(o-An)], 0.810 g, 0.772 mmol, 66% isolated yield) を得た。
<合成例7>
フラーレン化合物Bの合成
フラーレン化合物Bの合成は、特許文献(WO 2009/008323)に記載の方法
で合成を行った。
<ビシクロポルフィリン化合物の溶解度測定>
混合物A、化合物B、化合物Cの溶解度は以下のように測定した。まず、それぞれの混合物もしくは化合物と溶媒とを25℃において混合した。この時用いた溶媒の量は、25℃において溶解していることが確認できる最少量とした。その後、25℃で1時間静置して析出が無いことを確認し、この時の溶液の濃度を概溶媒に対する溶解度とした。析出がみられた場合は、溶解するまでさらに溶媒を加え、最終的に溶解が確認できた時点の概溶液の濃度を溶解度とし、その結果を表2に示した。
<光電変換素子半導体層形成用組成物の保存安定性>
光電変換素子半導体層形成用組成物の保存安定性は、以下のように判断した。上記で合成したビシクロポルフィリン化合物をそれぞれ表3に規定する溶媒と濃度で25℃において混合し溶液を調整した。
概溶液をよく混合後、軽く振り混ぜ、1時間静置して目視により固体析出が無いことが確認できたものを全溶解可、そうでないものを否とした。溶液をさらに2日間、7日間、20日間それぞれ静置し、固体析出の有無を目視確認した。以上の結果を表3に示す。
<実施例1>
混合物Aを含むトルエン溶液を用いた塗布変換型有機薄膜太陽電池
ITO電極がパターニングされたガラス基板上に、正孔取り出し層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOUSTM PVP AI4083」)をスピンコ
ートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は約30nmであった。
窒素雰囲気下で上記基板をまず180℃で3分間加熱処理してから、合成例2で合成した混合物Aを0.75重量%含むトルエン溶液を、ろ過し、上記基板上に3000rpmでスピンコートすることにより塗布した。窒素雰囲気下で上記基板を180℃で20分間加熱処理することにより、正孔取り出し層の上に約25nmのp型半導体の層を形成した。
混合物Aを0.9重量%と合成例6で得られたフラーレン化合物Aを1.4重量%含むトルエン溶液を調製し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、p型半導体の層上に約100nmのテトラベンゾポルフィリンとフラーレン化合物Aとを含む混合物層を形成した。
次に、トルエンにフラーレン化合物Aを1.0重量%溶解した液を調整し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を3000rpmでスピンコートし、120℃で5分間加熱処理を施した。これによって、混合物層上にフラーレン化合物Aの層を形成した。
次に、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに合成例5で合成したPOPy2を入れ、加熱して、膜厚6nmになるまで蒸着し、フラーレン化合物Aの層上にバッファ層を形成した。
更に、バッファ層の上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム電極を設けた後、この太陽電池を120℃のホットプレートで10分間加熱することによって、光電変換素子を作製した。 ガラス板を封止板として用いて封止した光電変換素子に、ITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cmの強度の光を照射し
、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極とアルミニウム電極と間における電流−電圧特性を測定した。光電変換素子の光電変換効率(PCE)と、光電変換素子間(多重度 4)のバラツキを評価するために、光電変換素子の光電変換効率における変動係数(CV, 標準偏差/平均値, %)を、表4に記載した。
<比較例1>
化合物Bを含むトルエン溶液を用いた塗布変換型有機薄膜太陽電池
実施例1において、混合物Aの代わりに合成例7で得られた化合物Bを用い、フラーレン化合物Aの代わりにフラーレンBを用いた以外は同様にして、光電変換素子を作製しようと試みたが、トルエンに対する化合物Bの溶解度が0.1重量%未満にとどまったため、p型半導体の層を成膜するには不十分であり、変換効率測定には至らなかった。
<比較例2>
化合物Bを含むクロロホルム/モノクロロベンゼン混合溶液を用いた塗布変換型有機薄膜太陽電池
比較例1において、トルエンの代わりにクロロホルム:モノクロロベンゼン=1:2(重量比)混合溶媒を用いた以外は、同様にして、光電変換素子を作製しようと試みたが、概混合溶媒に対する化合物Bの溶解度が0.2重量%未満であったため、p型半導体の層を成膜するには不十分であり、変換効率測定には至らなかった。
<比較例3>
化合物Cを含むクロロホルム/モノクロロベンゼン混合溶液を用いた塗布変換型有機薄膜太陽電池
実施例1において、p型半導体の層を形成する際に用いる混合物Aの代わりに合成例4で得られた化合物Cを用い、トルエンの代わりにクロロホルム:モノクロロベンゼン=1:2(重量比)混合溶液を溶媒として用いた以外は、同様にして光電変換素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。光電変換素子の光電変換効率と光電変換効率における変動係数を、表4に記載した。
<比較例4>
化合物Cを含むトルエン溶液を用いた塗布変換型有機薄膜太陽電池
実施例1において、p型半導体の層を形成する際に用いる混合物Aの代わりに合成例4で得られた化合物Cを用いた以外は、同様にして、光電変換素子を作製しようと試みたが、トルエンに対する化合物Cの溶解度が0.2重量%未満であったため、p型半導体の層を成膜するには不十分であり、変換効率測定には至らなかった。
100 基板
101 透明電極
102,106 バッファー層
103 p型半導体
104 p型半導体、n型半導体混合層
105 n型半導体
107 対向電極
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
11 シール材
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表されるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体混合物及び、溶媒
    を含む光電変換素子半導体層形成用組成物であって、該異性体が下記一般式(II)及び(III)の結合数の違いによる異性体であり、該異性体混合物の25℃におけるトルエンに
    対する溶解度が5重量%以上であることを特徴とする光電変換素子半導体層形成用組成物。
    式(I)中、R〜Rは1価の原子又は原子団を表し、(R,R10)、(R11,R12),(R13,R14),(R15,R16)は各々独立して下記式(II)又は下記式(III)で表される基が結合したものを表わす。
    (式(III)又は(IV)中、R〜Rは水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表
    わし、(R,R)及び(R,R)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキル基である。またR17〜R20は1価の原子又は原子団を表わす。)
  2. 前記異性体混合物の組成比が、該異性体混合物全体に対して、主成分異性体が30〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子半導体層形成用組成物。
  3. 前記溶媒が、非ハロゲン系溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子半導体層形成用組成物。
  4. 下記式(IV)で表わされる構造を有するビシクロピロール化合物を環化反応及び酸化反応することで得られるビシクロポルフィリン化合物の複数の異性体及び溶媒を含有することを特徴とする光電変換素子半導体層形成用組成物。
    (式(IV)中、R1〜R4は水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表わし、(R1
    2)及び(R3,R4)のうちの少なくとも一つの組はどちらも炭素数10以下のアルキ
    ル基を表わす。また、R17〜R20は1価の原子又は1価の原子団を表わす。)
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子半導体層形成用組成物を基板上に塗布し、加熱することを特徴とする光電変換素子半導体層の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により得られる半導体層を含有する光電変換素子。
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