JP2009215547A - 有機顔料前駆体及びそれを用いた有機顔料の製造方法、有機顔料を用いた有機電子素子の製造方法、並びに新規な化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱分解しやすい二重結合を単結合に変えるとともに、当該単結合を構成する炭素原子に脱離基を付加することで、従来よりも熱分解しにくい有機顔料前駆体及びそれを用いた効率のよい有機顔料の製造方法、有機顔料を用いた有機電子素子の製造方法、並びにそれらに使用できる新規な化合物を提供することができる。
【選択図】なし
Description
さらに、この時、該有機顔料が、半導体であることが好ましい(請求項3)。
そして、該有機顔料前駆体を塗布して成膜する工程と、該膜中の該有機顔料前駆体を該有機顔料に変換する工程とを有することが好ましい(請求項4)。
この時、該有機電子素子が、電界効果トランジスタ、光電変換素子、又はエレクトロルミネッセンス素子であることが好ましい(請求項6)。
具体的には、本明細書における有機顔料は、波長が通常300nm以上、好ましくは350nm以上、より好ましくは380nm以上、また、その上限は、通常2.5μm以下、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下の領域において、固体状態(具体的には、通常は膜)での吸収係数αが、通常104m−1以上、好ましくは105m−1以上、より好ましくは106m−1以上の強度で光を吸収する有機色素を表わす。ここで、吸収係数αは、厚さd(m)の膜に強度I0の光が入射し、強度Iの光が透過する場合、以下の式を満たすものである。
本発明の有機顔料の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」と言う。)は、下記式(1)で表される有機顔料前駆体(以下、適宜「本発明の有機顔料前駆体」と言う。)を変換することにより、下記式(2)で表される有機顔料(以下、適宜「本発明の有機顔料」と言う。)を得るものである。
[1−1−1.構造]
本発明の有機顔料前駆体は、本発明の製造方法において用いられる有機顔料前駆体であって、下記式(1)で表わされるものである。
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、一価の脱離基を表わす。脱離基としては、例えば、加熱;酸、アルカリ等の化学的な作用;等により脱離する限り、任意のものを用いることができる。ただし、脱離基は加熱することにより脱離するものが特に好ましい。また、脱離基は、1個以上の酸素原子を有するものが好ましく、さらには、脱離基が有する1個以上の酸素原子を介して有機顔料前駆体の炭素骨格と結合するものがより好ましい。なお、脱離基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
R3〜R8は、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を表わす。R3〜R8が有機基である場合、有機基は本発明の効果を著しく損なわない限り、任意である。ただし、有機基の分子量の上限は、通常200g/モル以下、好ましくは150g/モル以下、より好ましくは100g/モル以下であることが望ましい。分子量が大きすぎる場合、脱離基及び/又は脱離した脱離基に由来する副生成物を反応系外に除去することが困難になり、当該脱離基及び/又は副生成物が反応系内に残留する可能性がある。
Zは、有機顔料が有する構造の一部である。有機顔料は、本発明の効果が得られる限り任意のものを用いることができる。ただし、有機顔料の分子量としては、通常100以上、好ましくは150以上、より好ましくは200以上、また、その上限は、通常5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下であることが望ましい。分子量が小さすぎる場合、有機顔料、及び/又は半導体としての特性が不十分となる可能性があり、大きすぎる場合、有機顔料前駆体及び/又は有機顔料の合成が困難となる可能性がある。
本発明の有機顔料前駆体において、特に指定しない限り、その立体異性体は区別しないものとする。具体的には、例えば、上記式(1)において、R1及びR2が水素原子であっても、R6及びR7が水素原子であり、R5及びR8の少なくとも1つが上記の脱離基である化合物である場合、当該化合物を本発明の有機顔料前駆体として用いても、本発明と同様の効果が得られる。従って、本発明の有機顔料前駆体には、本発明と同様の効果が得られる、このような立体異性の関係にある有機顔料前駆体も含まれるものとする。
本発明の有機顔料前駆体は、室温(通常は25℃)において、クロロホルム、トルエン、水、シクロヘキサン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれる1種以上の溶媒に対して、通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上の割合で溶解することが望ましい。溶解量が低すぎる場合、本発明の有機顔料前駆体の有用性が得られない可能性がある。
本発明の有機顔料前駆体は、上記式(1)で表わされるものであるが、中でも、本発明の有機顔料前駆体としては、以下の式(3)及び/又は(4)で表わされる化合物が好ましい。
2価の金属の具体例としては、Cu、Zn、Mg、Ni、Co(II)、Fe(II)、Pt等が挙げられる。中でも、2価の金属は、Cu及びZnが好ましい。その理由は、本発明の有機顔料前駆体を用いて有機顔料を製造し、当該有機顔料を半導体として用いたときに、良好な半導体特性が得られるからである。
さらに、Mは、2価の金属でなくても、3価、4価等の2価より大きい金属と原子又は原子団とが結合して全体として2価であるもの(即ち、金属を含む2価の原子団)であってもよい。金属を含む2価の原子団の具体例としては、AlX、TiX2、Sn(IV)X2、TiO、SiX2、Fe(III)X(Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表わす。)等が挙げられる。
この理由は、有機顔料前駆体の製造の際に生じうる立体異性体が含まれる場合があったり、複数種類のビシクロ環を有する原料(即ち、有機顔料前駆体を製造するための原料)を用いたりする場合があるからである。いずれの場合においても、得られる有機顔料前駆体を用いることで本発明の効果を得ることが出来、異なるビシクロ環に結合している基が異なっている化合物であったとしても、当該化合物は本発明の趣旨に沿ったものであるということが出来る。
例えば、以下の式(C)で表わされる化合物は、以下の式(D)群に記載の化合物等のいずれであってもよい。
本発明の有機顔料前駆体は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の方法で製造することが出来る。以下、本発明の有機顔料前駆体の製造方法を、本発明の有機顔料前駆体におけるR3〜R8が全て水素原子である場合を例に説明する。ただし、以下に記載する内容は本発明の有機顔料前駆体の製造方法の一例であって、本発明の有機顔料前駆体の製造方法は、以下の内容に限定されるものではない。
従来、原料である化合物Aから、有機顔料前駆体である化合物Bを製造しようとする場合、以下のような要領で、反応を行っていた。
特に、例えば、上記のフタロシアニン類化合物は高温条件下で合成されることが多く、また、有機顔料前駆体よりも、逆ディールスアルダー反応による生成物であるフタロシアニン類化合物が非常に安定であるために逆ディールスアルダー反応が進み易く、従来は、有機顔料前駆体である上記化合物Bを製造することが難しかった。
一方、本発明の有機顔料前駆体(以下の反応式における化合物E)は、例えば、以下のような要領で、製造することが出来る(以下、以下に記載の一連の反応をまとめて、適宜「本発明の反応」と言う。)。
以下、本発明の有機顔料前駆体が、マグネシウム(即ち、Mg)が配位したフタロシアニン類化合物(以下、適宜「Mgフタロシアニン類化合物」と言う。)である場合を例に、本発明の有機顔料前駆体の製造方法をより具体的に説明する。ただし、以下に記載する内容は、本発明の有機顔料前駆体の製造方法の一例であり、本発明の有機顔料前駆体の製造方法としては、以下の内容に限定されるものではない。また、本発明の有機顔料前駆体が、Mgフタロシアニン類化合物に限定されるものでもない。
また、反応時間としては、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上、また、その上限は、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下であることが望ましい。さらに、反応に用いられる溶媒としては、塩素原子を含む溶媒が好ましく、塩化メチレンが特に好ましい。
また、反応時間としては、通常3時間以上、好ましくは6時間以上、より好ましくは12時間以上、また、その上限は、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下であることが望ましい。
また、反応時間としては、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、また、その上限は、通常48時間以下、好ましくは24時間以下であることが望ましい。さらに、反応に用いられる溶媒としては、塩素原子を含む溶媒が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。
また、反応時間としては、通常3時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、また、その上限は、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下であることが望ましい。さらに、反応に用いられる溶媒としては、無金属体と金属塩とを溶解しうるものであればよく、中でも、ジメチルホルムアミド等の極性溶媒が特に好ましい。
また、反応時間としては、通常3時間以上、好ましくは6時間以上、また、その上限は、通常72時間以下、好ましくは48時間以下であることが望ましい。さらに、反応に用いられる溶媒としては、化合物6−3を溶解させられるものが好ましい。
本発明の製造方法において、本発明の有機顔料前駆体を変換することにより、本発明の有機顔料を得ることが出来る。変換の方法としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、例えば、加熱;酸、アルカリ等の化学的な作用;等が挙げられる。中でも、本発明の製造方法における変換は、加熱することにより行うことが好ましく、中でも、酸又はアルカリ等の存在下、加熱することにより行うことが特に好ましい。以下、本発明の有機顔料を、有機顔料前駆体を加熱することにより製造することを例に説明するが、本発明の製造方法における変換方法は、加熱に限定されるものではない。
加熱手段は、本発明の有機顔料が得られる限り、任意である。加熱手段の具体例としては、ホットプレート;オーブン;熱ローラー;レーザー光、赤外光等の光;マイクロ波、加熱した気体、液体、固体から選ばれる1種以上のものとの接触;等が挙げられる。加熱手段は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
加熱温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、また、その上限は、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下であることが望ましい。反応温度が低すぎる場合、本発明の有機顔料を得るまでの時間がかかりすぎる可能性があり、高すぎる場合、本発明の有機顔料の製造の際に用いられる各種材料が、熱により影響を受ける可能性がある。
加熱時間は、加熱温度、加熱装置等によるため一概には言えないが、通常1ナノ秒以上、また、通常1日以下とする。より具体的には、例えば、レーザー光により加熱する場合、通常1ナノ秒以上、好ましくは10ナノ秒以上、より好ましくは100ナノ秒以上、また、その上限は、通常1秒以下、好ましくは0.5秒以下、より好ましくは0.1秒以下であることが望ましい。
また、例えば、加熱手段としてホットプレート、オーブン等を用いる場合、通常0.1秒以上、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上、また、その上限は、通常10時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは1時間以下であることが望ましい。
さらに、例えば、加熱した気体、液体、固体から選ばれる1種以上のものと接触することにより有機顔料前駆体を加熱する場合、通常1ミリ秒以上、好ましくは10ミリ秒以上、より好ましくは100ミリ秒以上、また、その上限は、通常1日以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは1時間以下であることが望ましい。
加熱時間が短すぎる場合、本発明の有機顔料前駆体を膜とした時に、製造される有機顔料の膜が良好な結晶性を有さない可能性があり、長すぎる場合、膜の生産性が悪くなる可能性がある。
加熱時の雰囲気は、本発明の有機顔料が得られる限り、任意である。ただし、酸素、水等が、本発明の有機顔料製造の際の障害となる可能性があるので、窒素等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。不活性ガスは、1種を単独で用いもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
本発明の有機顔料前駆体を加熱する際、本発明の有機顔料前駆体の状態は、本発明の有機顔料が得られる限り、特に制限されない。本発明の有機顔料前駆体は、例えば、液状であってもよいし、ゲル状であってもよい。また、例えば、本発明の有機顔料前駆体を塗布して得られた膜状の有機顔料前駆体を加熱してもよいし、有機顔料前駆体を直接加熱してもよい。中でも、本発明の製造方法においては、本発明の有機顔料前駆体を塗布して成膜し、膜状の本発明の有機顔料前駆体を加熱することが好ましい。
本発明の製造方法において、本発明の有機顔料前駆体を変換し、本発明の有機顔料が得られる限り、その他の工程、条件等は任意に決定できる。中でも、本発明の製造方法は、本発明の有機顔料前駆体を塗布して成膜する工程と、当該膜中の本発明の有機顔料前駆体を本発明の有機顔料に変換する工程とを有することが好ましい。
本発明の有機顔料前駆体を塗布して成膜する工程において、本発明の有機顔料前駆体を塗布して成膜する限り、成膜方法、条件等は任意である。
本発明の有機顔料前駆体を溶解させる溶媒は、本発明の有機顔料が得られる限り任意であるが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル;ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;等が挙げられる。これらは、製造する有機顔料の目的に応じて、適したものを選択できる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
本発明の有機顔料前駆体を溶解した溶液(以下、適宜「有機顔料前駆体溶液」と言う。)における、本発明の有機顔料前駆体の濃度は、本発明の有機顔料が得られる限り任意であるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、また、その上限は、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。濃度が低すぎる場合、成膜した際の膜厚が薄すぎる可能性があり、高すぎる場合、溶質が析出したり、薄膜の作製が困難になったりする可能性がある。
有機顔料前駆体溶液の使用量は、本発明の有機顔料が得られる限り任意であるが、所望の膜厚となるように決定すればよい。
有機顔料前駆体溶液は、上記の溶媒及び本発明の有機顔料前駆体以外の成分(以下、適宜「その他の成分」と言う。)を含んでいてもよい。その他の成分としては、本発明の有機顔料が得られる限り、任意のものを用いることが出来る。なお、その他の成分は、1種を単独で含んでもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで含んでもよい。
また、n型を示す半導体成分としては、例えば、PCBM([6,6]−phenyl C61−butyric acid methyl ester)等の溶媒に可溶性のn型半導体、無機若しくは有機半導体微粒子、n型半導体の前駆体等が挙げられる。
基板としては、任意のものを用いることが出来る。基板の具体例としては、ガラス、サファイア等のガラス基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリノルボルネン等のプラスチック基板、紙、合成紙、アルミ、ステンレス、鉄等の金属等が挙げられる。基板は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
成膜方法としては、本発明の有機顔料が得られる限り任意の方法を用いることが出来る。例えば、成膜方法としては、本発明の有機顔料前駆体を溶媒に溶解させた溶液を、基板上に任意の塗布方法により塗布することにより成膜する塗布法、任意の印刷方法を用いて基板上に有機顔料前駆体の膜をパターニングすることにより成膜する印刷法等が挙げられる。中でも、本発明の有機顔料前駆体は溶媒に通常可溶であるという観点から、成膜は、塗布法、及び/又は印刷法により行うことが好ましい。なお、成膜方法は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
得られた膜の膜厚に制限は無く、その膜の目的に応じて適宜決定すればよい。例えば、有機顔料に変換後の膜を横型の電界効果トランジスタ(FET)に用いる場合、膜厚が一定以上であれば、通常有機電子素子の各種特性に影響は無い。ただし、膜厚が厚すぎると漏れ電流が増加する可能性があるという観点から、膜厚は、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、その上限は、通常10μm以下、好ましくは500nm以下であることが望ましい。
本工程において、上記膜中の本発明の有機顔料前駆体を本発明の有機顔料に変換できる限り、変換方法、条件等は任意である。ただし、[1−2.変換]において説明した内容を、本工程においても適用することが好ましい。
本発明の製造方法は、本発明の有機顔料前駆体を塗布して成膜する工程と、当該膜中の本発明の有機顔料前駆体を本発明の有機顔料に変換する工程とを有することが好ましいが、本発明の有機顔料が得られる限り、これら以外のその他の工程を有していてもよい。
本発明の有機顔料の分子量は、通常100以上、好ましくは150以上、より好ましくは200以上、また、その上限は、通常5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下であることが望ましい。分子量が小さすぎる場合、有機顔料、及び/又は半導体としての特性が不十分となる可能性があり、大きすぎる場合、有機顔料前駆体及び有機顔料の合成が困難となる可能性がある。
本発明の有機顔料は、可視領域に強い光の吸収を有することから、色素としての塗装用途等に好適に用いられる。さらに、本発明の有機顔料は半導体特性を有することが好ましい。即ち、本発明の有機顔料は、半導体であることが好ましい。これにより、本発明の有機顔料を、電界効果トランジスタ、太陽電池等の光電変換素子、エレクトロルミネッセンス素子等の有機電子素子等の半導体部材の材料として、好適に用いることが出来る。
有機顔料は、通常多くの溶媒に対して難溶性を示すので、例えば、溶媒に可溶である有機顔料前駆体を用いることで、カラムクロマトグラフィー、再結晶法等、溶液状態で用いることができる精製方法を利用して有機顔料前駆体を精製することにより、純度の高い有機顔料を製造することが出来たり、有機顔料前駆体を塗布して成膜し、当該膜を加熱することにより、難溶性の有機顔料の膜を製造したりすることが出来る。
上記のように、本発明の有機顔料は、半導体として用いることが好ましく、中でも、有機電子素子として用いることが好ましい。以下、本発明の有機顔料を用いた有機電子素子のことを、「本発明の有機電子素子」と言う。
次の合成経路により、化合物6(本発明の有機顔料前駆体)を製造した。さらに、化合物6を加熱することにより、化合物7(本発明の有機顔料)を得た。この化合物6及び化合物7の紫外可視吸収スペクトル(UV−VIS吸収スペクトル)と飛行時間型質量分析法によるマススペクトル(TOF−MSスペクトル)とを測定した。さらに、化合物6のTG−DTA測定も行い、それらの結果を図1〜5に示した。
:δ=1.52〜1.55(4H,m),4.02〜4.04(2H,m),6.38〜6.41(2H,dd)
:δ=24.06,41.13,73.94,131.86,132.31
686,736,1342,1585,2221(CN)
57(13),69(14),101(10),128(100),156(M+,8)
C,76.85(76.90);H,5.16(5.16);N,17.61(17.94)
:δ=6.3〜6.4(2H,m),4.03〜4.05(2H,m),3.77(6H,s),1.39〜1.56(4H,m)
:δ=7.75(2H,br),7.31(2H,br),6.35(2H,dd),3.95〜4.05(2H,m),1.2〜1.5(4H,m)
:δ=1.45〜1.50(2H,m),1.72〜1.75(2H,m),3.21(2H,m),4.10(2H,m),4.65(2H,m)
:δ=21.00,43.99,69.98,115.83,130.89
1002,1060,1087,1390(OH),2217(CN),2227(CN),3438(OH)
60(100),77(23),104(72),131(100),190(M+,23)
(+1/8H2O calcd):
C,62.62(62.41);H,5.25(5.37);N,14.57(14.56)
その後、三つ口フラスコ内部をアルゴン置換し、シリンジで無水ジクロロメタン(dry−CH2Cl2)を2.6mL加えて溶解させ、18時間還流させた。次に、減圧下で濃縮して化合物5の粗結晶を得た。粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物5の精製品を得た。この際、得られた化合物5の量は0.292g(1.26ミリモル)、収率は94.5%であった。また、また、1H−NMRを測定した結果、以下のスペクトルが確認された。なお、測定装置は、化合物3の場合と同様のものを用いた。
:δ=1.54〜1.58(4H,m),3.27(3H,s),3.37〜3.42(2H,m),4.40〜4.42(2H,m),5.60(1H,s)
829(40),953(30),995(60),1037(98),1080(100),1121(90)
=346,542,589,591,658,680
実施例1と同様に化合物4を合成し、得られた化合物4を用いて、以下に示すような反応経路により、化合物5Aを経由して、化合物6A及び化合物7Aを得た。なお、下記構造式中、「Et」はエチル基を表す。
:δ=5.69(1H,s),4.42(2H,m),3.37(2H,m),3.52(2H,q),1.47〜1.63(4H,m),1.20(3H,t)
:δ=128.77,114.71,114.11,76.04,61.01,39.06,19.18,14.94
C,63.40;H,5.73;N,11.38;O,11.71.
Found:C,63.38;H,5.59;N,11.34.
1049 (M++1)
:δ=5.48〜5.51(20H,m),3.23〜3.34(8H,m),1.79〜2.18(16H,m),1.00〜1.14(12H,m)
Claims (8)
- 該脱離基が、水酸基、アルコキシ基、エステル基及びR1とR2とが環を形成してなるオルトエステル基からなる群より選ばれる1種以上の官能基である
ことを特徴とする、請求項1に記載の有機顔料の製造方法。 - 該有機顔料が、半導体である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機顔料の製造方法。 - 該有機顔料前駆体を塗布して成膜する工程と、該膜中の該有機顔料前駆体を該有機顔料に変換する工程とを有する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機顔料の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料の製造方法により有機顔料を製造する工程を有する
ことを特徴とする、有機電子素子の製造方法。 - 該有機電子素子が、電界効果トランジスタ、光電変換素子、又はエレクトロルミネッセンス素子である
ことを特徴とする、請求項5に記載の有機電子素子の製造方法。 - 下記式(3)及び/又は(4)で表わされる
ことを特徴とする、化合物。
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