JP2011165576A - 絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導体と絶縁皮膜との界面において、常温でシランカップリング剤を用いた場合と同等の密着性を有すると共に、熱劣化後であっても常温と同等の密着性を有する絶縁電線を提供する。
【解決手段】電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線1であって、導体2と、導体2の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜3と、改質皮膜3の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜4とを有するものである。
【選択図】図1
【解決手段】電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線1であって、導体2と、導体2の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜3と、改質皮膜3の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜4とを有するものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属導体の表面に絶縁塗料からなる絶縁皮膜を形成した絶縁電線及びその製造方法に係り、特に、モータや変圧器等の電気機器のコイルとして好適な絶縁電線及びその製造方法に関するものである。
絶縁電線(エナメル被覆絶縁電線)は、モータや変圧器などの電気機器のコイル用電線として広く用いられており、コイルの用途・形状に合致した断面形状(例えば、丸型や平角)に形成された導体の外層に単層又は複数層の絶縁皮膜が形成された構造をしている。
この絶縁電線は、一般的にポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等の樹脂を有機溶剤に溶解させた絶縁皮膜塗料(単に絶縁皮膜という場合もある)を導体上に塗布し、焼付けすることで作製される。
近年、世界的な省エネルギー政策の推進に伴い、小型で高効率のモータの開発が進んでいる。モータが小型になる一方で高効率化を実現させるために、モータ内に組み込まれる絶縁電線の占積率を向上させる必要がある。これに伴いモータのスロット部に絶縁電線を挿入するとき、絶縁電線は大きな機械的応力を受けながら挿入されるため、絶縁皮膜に傷等が発生したり、絶縁皮膜が導体から剥離してしまう等の問題がある。
このような問題を解決するため、従来では、例えば、最外層に設けられた絶縁皮膜の表面の滑り性を向上させたり、或いは、メルカプトアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン等のシランカップリング剤を用いて、絶縁皮膜と導体との界面の密着性を向上させること等が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところで、モータや変圧器等の電気機器は、使用中における振動、或いは熱によってステータ部から絶縁電線が抜けたり、熱劣化しないように、コイル成形後に含浸処理を施す。このとき、処理ワニスにコイルを含浸させて硬化させる際に、150〜160℃で数時間加熱する場合があり、このような場合、熱劣化後の密着性が重要となるが、シランカップリング剤を用いて導体と絶縁皮膜との界面の密着性を向上させる方法では、常温(25℃)での密着性(初期の密着性)向上には効果があるが、熱劣化後に密着性の低下が大きいため、含浸処理後において、導体から絶縁皮膜が剥離してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、上述の課題を解決し、導体と絶縁皮膜との界面において、常温でシランカップリング剤を用いた場合と同等の密着性を有すると共に、熱劣化後であっても常温と同等の密着性を有する絶縁電線及びその製造方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線であって、導体と、該導体の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜と、該改質皮膜の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜とを有する絶縁電線である。
請求項2の発明は、前記改質皮膜は、前記導体に対して少なくとも2方向より前記改質剤化合物を含む燃料ガスからなる400〜1200℃の火炎を、1〜60秒間吹き付ける炎処理を施すことにより形成される請求項1に記載の絶縁電線である。
請求項3の発明は、前記エナメル樹脂塗料は、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタンのいずれかを含む樹脂組成物からなる請求項1又は2に記載の絶縁電線である。
請求項4の発明は、電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線の製造方法であって、導体の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより改質皮膜を形成し、該改質皮膜の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法である。
請求項5の発明は、前記炎処理は、前記導体に対して少なくとも2方向より前記改質剤化合物を燃料中に含む400〜1200℃の火炎を、1〜60秒間吹き付けることにより行う請求項4に記載の絶縁電線の製造方法である。
請求項6の発明は、前記エナメル樹脂塗料は、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタンのいずれかを含む樹脂組成物からなる請求項4又は5に記載の絶縁電線の製造方法である。
本発明によれば、導体と絶縁皮膜との界面において、常温でシランカップリング剤を用いた場合と同等の密着性を有すると共に、熱劣化後であっても常温と同等の密着性を有する絶縁電線を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線1は、導体2と、導体2の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜3と、改質皮膜3の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜(エナメル樹脂皮膜)4とを有するものである。
絶縁皮膜4は、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタンのいずれかを含む樹脂化合物からなるエナメル樹脂塗料を、改質皮膜3の外周に塗布し、焼付け硬化したものである。
改質剤化合物としては、例えば、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物、アルキルチタン化合物、アルコキシチタン化合物、アルキルアルミニウム化合物、アルコキシアルミニウム化合物等が挙げられる。また、これらの化合物にアルコール類を添加しても良い。
アルキルシラン化合物やアルコキシシラン化合物の例としては、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエチルジフェニルシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
アルキルチタン化合物やアルコキシチタン化合物の例としては、テトラメチルチタン、テトラエチルチタン、ジメチルジクロロチタン、ジメチルジフェニルチタン、ジエチルジクロロチタン、ジエチルジフェニルチタン、メチルトリクロロチタン、メチルトリフェニルチタン、ジメチルジエチルチタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、ジメチルジメトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン、ジクロロジメトキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、ジフェニルジメトキシチタン、ジフェニルジエトキシチタン、トリフェニルエトキシチタン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
アルキルアルミニウム化合物やアルコキシアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、メトルジクロロアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、メチルジメトキシアルミニウム、ジメチルメトキシアルミニウム、フェニルジメトキシアルミニウム、ジクロロメトキシアルミニウム、ジクロロエトキシアルミニウム、ジフェニルメトキシアルミニウム、ジフェニルエトキシアルミニウム等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
燃料ガスとしては、例えば、炭化水素ガス、プロパンガス、プロパンガス以外の液化石油ガス等が挙げられ、これに例えば空気等の酸素を含む気体を混合させたものを用いる。
この絶縁電線1の製造方法を説明する。
先ず、導体2の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する上述の改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより改質皮膜3を形成する。
このとき炎処理は、導体2の周囲に、導体2を中心として等間隔に異なる方向から改質剤化合物を含む燃料ガスからなる火炎を吹き付けることにより行う。この炎処理により、導体2の表面が活性化され、後に形成する絶縁皮膜4と導体2との密着性が向上される。
例えば2方向であれば、図2(a),(b)に示すように、導体2の周囲に導体2を中心として180度の間隔で異なる2方向から同時又は所定の間隔をおいて各方向から交互に火炎Fを吹き付ける。これ以外にも、例えば図3に示すように、導体2の周囲に180度の間隔をおいて且つ導体2の同じ部分へ火炎Fを同時に吹き付けても良い。さらに、図4(a)〜(c)に示すように、導体2の長手方向に亘って複数箇所で火炎Fを吹き付けても良い。
また、例えば3方向であれば、図5(a),(b)に示すように、約120度の間隔で異なる3方向から同時又は所定の間隔をおいて各方向から交互に火炎Fを吹き付ける。これ以外にも、例えば図6に示すように、導体2の同じ部分へ火炎Fを同時に吹き付けるようにしても良い。さらに、3方向の場合も2方向の場合と同様に、導体2の長手方向に亘って複数箇所で火炎Fを吹き付けても良い。
つまり、導体2の同じ部分へ火炎Fを吹き付ける場合は同時に、導体2の異なる部分へ火炎Fを吹き付ける場合は同時又は交互に吹き付けるようにすると良い。
この炎処理において、導体2に吹き付けるときの火炎の温度は、約400〜1200℃の範囲とすることが好ましい。また、導体2に火炎Fを吹き付けるときの時間は、0.6秒間程度でも効果が認められるが、約1〜60秒間程度が好ましく、さらには約2〜30秒間程度がより好ましい。
その後、改質皮膜3の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして、絶縁皮膜4を形成することで、絶縁電線1を得られる。
以上説明した絶縁電線1によれば、導体2と、導体2の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜3と、改質皮膜3の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜4とを有しているため、改質皮膜3を介して導体2と絶縁皮膜4とが密着し、導体2と絶縁皮膜4との界面において、常温でシランカップリング剤を用いた場合と同等の密着性を有すると共に、熱劣化後であっても常温と同等の密着性を維持することができる。
以下、本発明の実施例1〜4、及び比較例1〜6について説明する。
導体としては、実施例1〜4、比較例1〜6とも共通して、直径1mmの導線を用いた。
実施例1〜4では、炎処理については、炎処理をする際に送り込む燃料ガスの全体量を約100モル%としたとき、空気を96モル%、プロパンガスを4モル%、改質剤化合物としてテトラメチルシランを0.1モル%とした。また、炎処理における処理温度は約800℃とした。
実施例1,2では、導体に対して、1方向から2秒、それと同時に断面において約180度異なる方向からも2秒、炎処理を実施した。
また、実施例3,4では、導体の周囲に、導体を中心として約120度の等間隔で異なる3方向から同時に2秒、炎処理を実施した。
比較例1,4として、図7に示すように、1方向からのみ、炎処理を実施した。
また、比較例2,5として、「炎処理なし」も行った。
さらに、比較例3,6として、従来のシランカップリング剤として、代表的なメルカプトシランである3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いた。シランカップリング剤による被覆は、この3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの0.5%メタノール溶液を調製し、その溶液に導体を浸漬した後、メタノールを乾燥・除去することにより行った。
実施例1〜4、比較例1〜6により得られた各絶縁電線の密着性評価は、以下の方法に従って実施した。
各絶縁電線の直線状サンプルを同軸上で250mm離れた2つのクランプに固定し、サンプルの長さ方向に平行な2辺の皮膜を導体に達するまで取り除き、その後常温において一方のクランプを正逆回転させ、皮膜が浮いた時点の回転回数を測定することにより初期の密着性を得た。
熱劣化後の密着性は、直線状サンプルを160℃の恒温槽中で6時間加熱した後、初期と同様の方法にて皮膜が浮いた時点の回転回数を測定したものである。
実施例1〜4、比較例1〜6の詳細をその実験結果と共に説明する。
(実施例1)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図2に示すように、約180度異なる2方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が90回、熱劣化後が89回と、比較例2に比べて共に優れていた。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図2に示すように、約180度異なる2方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が90回、熱劣化後が89回と、比較例2に比べて共に優れていた。
(実施例2)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図2に示すように、約180度異なる2方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が60回、熱劣化後が57回と、比較例5に比べて共に優れていた。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図2に示すように、約180度異なる2方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が60回、熱劣化後が57回と、比較例5に比べて共に優れていた。
(実施例3)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図5に示すように、約120度異なる3方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が92回、熱劣化後が90回と、比較例2に比べて共に優れていた。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図5に示すように、約120度異なる3方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が92回、熱劣化後が90回と、比較例2に比べて共に優れていた。
(実施例4)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図5に示すように、約120度異なる3方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が61回、熱劣化後が58回と、比較例5に比べて共に優れていた。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図5に示すように、約120度異なる3方向から実施して、珪素原子を含む改質皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が61回、熱劣化後が58回と、比較例5に比べて共に優れていた。
(比較例1)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図7に示すように、1方向から実施して、珪素原子を含む皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が83回、熱劣化後が83回と、比較例2に比べて大きな効果は得られなかった。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図7に示すように、1方向から実施して、珪素原子を含む皮膜を形成し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が83回、熱劣化後が83回と、比較例2に比べて大きな効果は得られなかった。
(比較例2)
導体の外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が81回(基準)、熱劣化後が82回(基準)であった。
導体の外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が81回(基準)、熱劣化後が82回(基準)であった。
(比較例3)
導体に、メルカプトシラン化合物を被覆し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が93回と比較例2に比べて優れていたが、熱劣化後が44回と比較例2に比べて非常に劣っていた。
導体に、メルカプトシラン化合物を被覆し、その外周にポリエステルイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が93回と比較例2に比べて優れていたが、熱劣化後が44回と比較例2に比べて非常に劣っていた。
(比較例4)
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図7に示すように、1方向から実施して、珪素原子を含む皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が51回、熱劣化後が51回と、比較例5に比べて大きな効果は得られなかった。
導体に、珪素原子を含む燃料ガスで炎処理を、図7に示すように、1方向から実施して、珪素原子を含む皮膜を形成し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けして絶縁皮膜を形成した。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が51回、熱劣化後が51回と、比較例5に比べて大きな効果は得られなかった。
(比較例5)
導体の外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が49回(基準)、熱劣化後が51回(基準)であった。
導体の外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が49回(基準)、熱劣化後が51回(基準)であった。
(比較例6)
導体に、メルカプトシラン化合物を被覆し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が62回と比較例5に比べて優れていたが、熱劣化後が31回と比較例5に比べて非常に劣っていた。
導体に、メルカプトシラン化合物を被覆し、その外周にポリアミドイミド塗料を皮膜厚30μmとなるように塗布及び焼付けした。しかる後に、初期及び熱劣化後の密着性を評価した結果、初期が62回と比較例5に比べて優れていたが、熱劣化後が31回と比較例5に比べて非常に劣っていた。
これら実施例1〜4、比較例1〜6の実験結果をまとめて表1に示す。なお、表1では、「炎処理なし」とした比較例2,5を基準として、エナメル樹脂塗料の材質毎に、初期及び熱劣化後の密着性について評価を行った。なお、評価条件としては、導体上に密着性を向上させる処理を施していない比較例2、比較例5と比較して回転回数が5回以上増加しているものを「◎:合格の意味」とし、比較例2、比較例5と比較して回転回数が2回以下増加したものを「△:不合格の意味」、及び5回以上減少したものを「×:不合格の意味」とした。
表1から分かるように、本発明に係る実施例1〜4では、導体と絶縁皮膜との界面において、常温でシランカップリング剤を用いた場合と同等の密着性を有すると共に、熱劣化後であっても常温と同等の密着性を維持することができた。
1 絶縁電線
2 導体
3 改質皮膜
4 絶縁皮膜
2 導体
3 改質皮膜
4 絶縁皮膜
Claims (6)
- 電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線であって、導体と、該導体の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより形成された改質皮膜と、該改質皮膜の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして形成された絶縁皮膜とを有することを特徴とする絶縁電線。
- 前記改質皮膜は、前記導体に対して少なくとも2方向より前記改質剤化合物を含む燃料ガスからなる400〜1200℃の火炎を、1〜60秒間吹き付ける炎処理を施すことにより形成される請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記エナメル樹脂塗料は、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタンのいずれかを含む樹脂組成物からなる請求項1又は2に記載の絶縁電線。
- 電気機器のコイル用電線として用いられる絶縁電線の製造方法であって、導体の外周に、珪素原子、チタン原子、アルミニウム原子のいずれかを有する改質剤化合物を含む燃料ガスで炎処理を施すことにより改質皮膜を形成し、該改質皮膜の外周に、エナメル樹脂塗料を塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
- 前記炎処理は、前記導体に対して少なくとも2方向より前記改質剤化合物を燃料中に含む400〜1200℃の火炎を、1〜60秒間吹き付けることにより行う請求項4に記載の絶縁電線の製造方法。
- 前記エナメル樹脂塗料は、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタンのいずれかを含む樹脂組成物からなる請求項4又は5に記載の絶縁電線の製造方法。
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CN105469865A (zh) * | 2014-09-12 | 2016-04-06 | 安徽九华金润铜业有限公司 | 一种绝缘复合铝漆包线 |
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