JP6519231B2 - 巻線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機や変圧器等の電気機器のコイルに使用される巻線及びその製造方法に係り、特に、断面丸型又は断面角型の導体の周囲に二層以上の押出被覆層を有する絶縁体が形成されている巻線及びその製造方法に関する。
回転電機や変圧器等の電気機器のコイルに使用される巻線(エナメル線)は、一般的に、コイルの用途や形状に合致する断面形状に成形された導体の周囲に一層以上の押出被覆層を有する絶縁体が形成された構造となっている。このうち、導体としては、例えば、断面丸型の他、コイルの占有体積を縮小する目的で断面角型のものが使用されることも多くなってきている。
導体の周囲に絶縁体を形成する方法としては、例えば、有機溶剤に樹脂を溶解させてなる絶縁塗料を導体の周囲に塗布及び焼付する方法、予め調合された樹脂組成物を導体の周囲に押出被覆する方法、及びこれらの方法を併用する方法がある。
近年、電気機器の小型化の要求により、コアに巻線を巻き付けてコイルを作製するコイル巻線工程において、小径のコアに高張力で巻線を高密度に巻き付けるようになってきているため、絶縁体には、過酷な加工ストレスに耐え得る機械的特性(例えば、密着性や耐摩耗性)が求められている。
また、電気機器の高効率化や高出力化の要求から、インバータ制御や高電圧化が進展している結果、コイルの運転温度が以前よりも上昇傾向にあるため、絶縁体には、高い耐熱性も求められている。
更に、インバータサージ電圧等のより高い電圧が電気機器中のコイルに印加されることから、部分放電の発生によって絶縁体が劣化したり損傷したりすることがあるという問題が生じている。
部分放電による絶縁体の劣化や損傷を防ぐために、部分放電開始電圧の高い絶縁体の開発が進められている。絶縁体の部分放電開始電圧を高くする方法としては、例えば、比誘電率が低い樹脂で絶縁体を形成する方法や、絶縁体の厚さを厚くする方法が挙げられる。
具体的には、比誘電率が2.3〜2.8であり、従来の比誘電率が3〜4程度のポリイミド樹脂と比較して比誘電率が低い特定の構造を有する弗素系ポリイミド樹脂で絶縁体を形成することにより、絶縁体の発熱量を抑えて熱劣化を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
他にも、導体の周囲に一層以上のエナメル層と一層以上の押出被覆層とからなる絶縁体を形成し、これらエナメル層と押出被覆層との厚さの合計を60μm以上とし、エナメル層の厚さを50μm以下とし、25℃における引張弾性率が1000MPa以上であると共に250℃における引張弾性率が10MPa以上である樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂)で押出被覆層を形成することにより、導体と絶縁体との接着強度を低下させること無く、高い部分放電開始電圧(900V程度)を実現できる方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2002−056720号公報 特許第4177295号公報 特開2013−206648号公報
しかしながら、特定の構造を有する弗素系ポリイミド樹脂で絶縁体を形成することにより、絶縁体の比誘電率を低くすることはできるものの、弗素系ポリイミド樹脂からなる絶縁体は導体との密着性が悪いため、例えば、コイル巻線工程等における過酷な加工ストレスによって絶縁体が導体から剥離して最悪の場合には絶縁破壊を起こす要因となる現象(所謂、被覆浮き)が発生してしまうことが懸念される。
また、一層以上のエナメル層と一層以上の押出被覆層とからなる絶縁体を形成する場合は、押出被覆層の層厚を厚くすることで絶縁体の部分放電開始電圧を高くすることができるが、導体と押出被覆層との間に導体と絶縁体との密着性を高めるエナメル層や接着層を介在させており、これらの性質や形成方法が押出被覆層と大きく異なるため、製造工程が煩雑になり易く、また製造コストが増大し易いという問題がある。
更に、ポリフェニレンサルファイド樹脂等で形成された押出被覆層の結晶化を促進させて耐熱性や耐溶剤性を向上させる必要があるが、押出被覆層の層厚が150μmを超える場合は、押出被覆層の結晶化に伴う体積収縮に起因する内部ひずみが大きくなり、導体と絶縁体との密着性が低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成された絶縁体の結晶化を促進させながら導体と絶縁体との密着性を低下させず、しかも製造工程が簡素で製造コストが増大し難く、絶縁体の部分放電開始電圧が高い巻線及びその製造方法を提供することにある。
この目的を達成するために創案された本発明は、導体と、前記導体の周囲に形成された絶縁体と、を備えており、前記絶縁体は、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成されると共に総層厚が100μm以上250μm以下であり、且つ、前記導体の周囲に形成された内層と、前記内層の周囲に形成されると共に前記内層よりも層厚が厚い一層の外層と、の二層からなり、前記内層と前記外層は、結晶化度が共に95%以上である巻線である。
前記内層は、層厚が20μm以上50μm以下であることが好ましい。
前記外層は、層厚が20μm以上200μm以下であることが好ましい。
前記内層と前記外層は、結晶化度が共に95%以上であることが好ましい。
また、本発明は、前記巻線の製造方法であって、前記導体の周囲に前記樹脂組成物を押出被覆して前記内層を形成する第一工程と、前記内層を前記樹脂組成物の結晶化適性温度まで冷却する第二工程と、前記内層の周囲に前記樹脂組成物を押出被覆して前記外層を形成する第三工程と、前記外層を加熱して前記樹脂組成物の結晶化適性温度に維持する第四工程と、を備えている巻線の製造方法である。
本発明によれば、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成された絶縁体の結晶化を促進させながら導体と絶縁体との密着性を低下させず、しかも製造工程が簡素で製造コストが増大し難く、絶縁体の部分放電開始電圧が高い巻線及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る巻線を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る巻線の製造方法を説明する図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に順って説明する。
図1に示す通り、本発明の好適な実施の形態に係る巻線100は、導体101と、導体101の周囲に形成された絶縁体102と、を備えている。
導体101は、その材料に特段の限定は無いが、エナメル線で常用される材料、例えば、無酸素銅や低酸素銅からなり、断面丸型(例えば、円形断面や楕円形断面)又は断面角型(例えば、正方形断面や長方形断面)等、コイルの用途や形状に合致する断面形状に成形されている。
絶縁体102は、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成されると共に総層厚が100μm以上250μm以下であり、且つ、導体101の周囲に形成された内層103と、内層103の周囲に形成されると共に内層103よりも層厚が厚い一層以上の外層104と、からなる。
絶縁体102の総層厚を100μm以上250μm以下とする理由は、絶縁体102の総層厚が100μm未満である場合は、絶縁体102の部分放電開始電圧が低くなり、絶縁体102の総層厚が250μm超である場合は、コイル巻線工程等における巻線100の屈曲時に導体101と絶縁体102との間に発生するひずみが大きくなり、絶縁体102が導体101から剥離し易くなるからである。
樹脂組成物は、ポリフェニレンサルファイド樹脂のみからなるか、ポリフェニレンサルファイド樹脂と添加物とが混和されてなる。添加物としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、無水マレイン酸(MA)、グリシジルメタクリレート(GMA)樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、又は酸化防止剤から選択される一種以上が挙げられる。
内層103は、層厚が20μm以上50μm以下であることが好ましく、外層104は、層厚が20μm以上200μm以下であることが好ましく、内層103と外層104は、結晶化度が共に95%以上であることが好ましい。
内層103と外層104の結晶化度を共に95%以上とすることにより、内層103と外層104の耐摩耗性、耐熱性、及び耐溶剤性を大幅に向上させることができる。
次に、本発明の好適な実施の形態に係る巻線の製造方法について説明する。
本発明の好適な実施の形態に係る巻線の製造方法は、導体101の周囲に樹脂組成物を押出被覆して内層103を形成する第一工程と、内層103を樹脂組成物の結晶化適性温度まで冷却する第二工程と、内層103の周囲に樹脂組成物を押出被覆して外層104を形成する第三工程と、外層104を加熱して樹脂組成物の結晶化適性温度に維持する第四工程と、を備えている。
具体的には、例えば、図2に示す通り、第一工程では、導体101を送出機201から送り出してプーリ202を経て予備加熱炉203に導入し、予備加熱炉203により導体101を不活性ガス雰囲気中で樹脂組成物の融点以上に予備加熱し、その後、第一押出機204により導体101の周囲に樹脂組成物を押出被覆して内層103を形成する。
不活性ガス雰囲気中で予備加熱する理由は、予備加熱炉203の内部では、導体101の表面が高温環境下に暴露されるため、導体101の表面が酸化する虞があるが、予備加熱炉203の内部雰囲気を不活性ガス雰囲気で置換することにより、導体101の表面が酸化することを抑制することができ、導体101と内層103、ひいては導体101と絶縁体102との密着性が低下することを防止することが可能となるからである。
不活性ガスとしては、低コストな汎用気体である窒素ガスや熱伝導性に優れたヘリウムガスが有効であるが、これらに限定されるものでは無い。
なお、予備加熱炉203による導体101の予備加熱温度と第一押出機204による樹脂組成物の押出温度は、280℃以上、より好ましくは300℃以上320℃以下となるように設定されることが望ましい。これにより、導体101と内層103との密着性を良好とすることが可能となる。
第二工程では、第一冷却装置205により内層103を樹脂組成物の結晶化適性温度まで冷却する。これにより、内層103の結晶化が促進されて内層103の耐摩耗性、耐熱性、及び耐溶剤性を向上させることができる。
第三工程では、第二押出機206により内層103の周囲に樹脂組成物を押出被覆して外層104を形成する。このとき、第二押出機206による樹脂組成物の押出温度は、280℃以上、より好ましくは300℃以上320℃以下となるように設定されることが望ましい。これにより、内層103と外層104との密着性を良好とすることが可能となる。
第四工程では、加熱炉207により外層104を加熱して樹脂組成物の結晶化適性温度に維持する。これにより、外層104の結晶化が促進されて外層104の耐摩耗性、耐熱性、及び耐溶剤性を向上させることができる。更に、外層104の熱が内層103に伝わることで、内層103の結晶化に伴う体積収縮に起因する内部ひずみが緩和(均衡化)される。
その後、第二冷却装置208により導体101を内層103と外層104と共に冷却し、引取機209を通じて巻取機210で巻き取ることにより、巻線100を得ることができる。
なお、結晶化の促進のためには、数秒の短時間でも内層103や外層104の温度を樹脂組成物の結晶化適性温度に維持すれば良く、これにより、絶縁体102の化学的・機械的・熱的な性能が向上する。
巻線100を製造するにあたっては、前述の通り、内層103の層厚を20μm以上50μm以下とすることが好ましく、外層104の層厚を20μm以上200μm以下とすることが好ましい。これにより、絶縁体102の結晶化に伴う体積収縮に起因する内層103や外層104の内部ひずみを最小限に低減することができる。
即ち、巻線100では、絶縁体102を内層103と外層104に分け、更に、内層103と外層104とを別工程で結晶化することにより、コイル巻線工程等における巻線100の屈曲時に導体101と絶縁体102との間に発生するひずみを最小限にし、導体101と絶縁体102との剥離を抑制することができるため、導体101と絶縁体102との密着性を確保することができる。
なお、絶縁体102の総層厚を厚くしたい場合は、二層以上の外層104を形成しても構わない。この場合でも、内層103の層厚を20μm以上50μm以下とすることにより、導体101と絶縁体102との密着性が低下することを抑制することが可能となる。
これまで説明してきたように、本発明の好適な実施の形態に係る巻線100では、絶縁体102を内層103と外層104に分けているため、絶縁体102の内部ひずみが少なく、従来よりも導体101と絶縁体102との密着性を向上させることが可能となる。
また、本発明の好適な実施の形態に係る巻線100では、耐溶剤性や耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド樹脂を使用して内層103と外層104を形成しているため、必要十分な耐溶剤性や耐熱性を確保することが可能となる。
更に、本発明の好適な実施の形態に係る巻線100では、絶縁体102の総層厚を100μm以上としているため、絶縁体102の部分放電開始電圧を高くすることができ、必要十分な電気特性を確保することもできる。
ここで、本発明の技術思想について説明する。
導体の周囲に形成する絶縁体を一層にしようが、二層以上にしようが、その押出被覆後のアニール処理で結晶化度を向上させれば、絶縁体の耐熱性に違いは無い。しかし、問題となるのは、導体と絶縁体との密着性であり、絶縁体を一層にした場合はその後の結晶化によって絶縁体の体積収縮で密着性の低下が生じてしまう。
これに対して、本発明では、絶縁体102を二層以上に分割し、導体101の直上に位置する内層103を薄く押し出すことによって結晶化による内層103の体積収縮を小さくすることができ、しかも新たに外層104を内層103の周囲に形成する際に、新たな外層104の熱が下層に位置する結晶化後の内層103に伝わり、内層103の内部ひずみが緩和乃至均衡化されるため、絶縁体102の耐熱性や耐溶剤性等の特性を得つつ、導体101と絶縁体102との密着性を確保することができる。
また、内層103と外層104のどちらも樹脂組成物の結晶化適性温度(例えば、200℃)まで冷却するが、押出被覆時の下層の温度が異なるため、結晶化の方法が異なっている。
内層103の形成時は、導体101と内層103との密着性を確保するため、300℃に加熱した導体101の周囲に300℃の樹脂組成物を押出被覆するため、その後、結晶化適性温度まで冷却する必要があるが、外層104の形成時は、200℃の内層103の周囲に300℃の樹脂組成物を押出被覆する。このとき、外層104よりも導体101と内層103の方が単位長さに占める質量が大きいため、外層104の被覆後もその温度は200℃からそれほど上昇しない。
つまり、内層103は300℃から200℃に冷却する過程で結晶化されるが、外層104は加熱により200℃の状態を維持することで結晶化されるため、両者の結晶化は異なる過程によって行われている。しかし、結晶化の方法が異なっていても、結果的に結晶化が充分に進行していれば(結晶化度が共に95%以上であれば)、内層103と外層104との間に性能差は発生しない。
以上の通り、本発明によれば、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成された絶縁体の結晶化を促進させながら導体と絶縁体との密着性を低下させず、しかも製造工程が簡素で製造コストが増大し難く、絶縁体の部分放電開始電圧が高い巻線及びその製造方法を提供することができる。
なお、本発明は、本明細書で説明された実施の形態に限定されるものでは無く、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは当業者により明確に理解することができる。
ここでは、長辺が約3mmであると共に短辺が約2mmである平角銅線からなる導体を使用し、融点が約278℃であると共に結晶化適性温度が約200℃であるポリフェニレンサルファイド樹脂からなる樹脂組成物を使用し、表1に示す通り、実施例1及び比較例1〜5の6通りの巻線を製造し、これらの巻線を評価することにより、本発明の効果を実証した。
Figure 0006519231
[実施例1]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が40μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約200℃まで0.5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を促進させた。更に、第二押出機206により内層の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が110μmである外層を形成し、加熱炉207により外層を加熱して約200℃に維持しながら外層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[比較例1]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が20μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約200℃まで0.5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[比較例2]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が100μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約200℃まで0.5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[比較例3]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が150μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約200℃まで0.5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[比較例4]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が130μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約50℃まで5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を阻害した。更に、第二押出機206により内層の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が130μmである外層を形成し、加熱炉207により外層を加熱して約200℃に維持しながら外層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[比較例5]
導体を予備加熱炉203に導入して窒素雰囲気中で約300℃に予備加熱し、第一押出機204により導体の周囲に約300℃に加熱した樹脂組成物を押出被覆して層厚が100μmである内層を形成し、第一冷却装置205により内層を約200℃まで5秒間に亘り冷却して内層の結晶化を促進させ、第二冷却装置208により巻線を常温まで冷却し、引取機209を通じて巻取機210により巻線を巻き取った。
[密着性の評価方法]
急激伸長試験装置により長さが約500mmである巻線を目標線間距離を200mmとして急激に伸長・断線させ、絶縁体における亀裂、導体の露出、及び被覆浮きの合計長さが7mm未満のものを合格「○」とし、7mm以上のものを不合格「×」とした。
[部分放電開始電圧の評価方法]
2本の巻線の長辺となる面同士を長さ150mmに亘って隙間が生じないように密着させたサンプルにおいて、2本の導体間に周波数が50Hzの交流電流を印加し、その電圧を毎秒10Vで昇圧させながら、50pCの部分放電が50回以上発生する電圧を測定し、その電圧が1550V以上であるものを合格「○」とし、1550V未満であるものを不合格「×」とした。
[耐溶剤性(耐薬品性)の評価方法]
巻線を切断して試験長が150mmの試験片を作製し、その試験片を温度が200℃の恒温槽で約10分間加熱処理後、温度が60℃のJIS K8271に規定されたキシレン中に30分間浸漬して取り出し、絶縁体に泡又は膨れが発生しなかったものを合格「○」とし、泡又は膨れが発生したものを不合格「×」とした。
[結果]
実施例1では、全ての評価項目で合格し、密着性、部分放電開始電圧、及び耐溶剤性に優れていた。具体的には、内層の層厚が40μmであるため、導体と絶縁体との密着性が良好であり、内層と外層の合計(絶縁体の総層厚)が150μmであるため、部分放電開始電圧も高く、内層と外層の結晶化を充分に促進させているため、耐溶剤性も良好であった。
比較例1,2では、絶縁体が薄い内層のみからなるため、密着性は良好であったものの、部分放電開始電圧が低かった。また、内層の結晶化は充分であるため、耐溶剤性は良好であった。
比較例3では、絶縁体が厚い内層のみからなるため、部分放電開始電圧は充分であったが、密着性は劣っていた。また、内層の結晶化は充分であるため、耐溶剤性は良好であった。
比較例4では、内層と外層の層厚が厚いため、部分放電開始電圧は充分であったが、密着性は劣っていた。また、内層の結晶化は充分であるため、耐溶剤性は良好であった。
比較例5では、絶縁体が内層のみからなり、その結晶化が不充分であったことから、耐溶剤性が劣っていた。また、絶縁体としての総層厚が薄いため、密着性は良好であったものの、部分放電開始電圧が低かった。
なお、本実施例では、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする二層構造の絶縁体を形成したが、ポリフェニレンサルファイド樹脂以外の成分からなる層を設けて三層構造以上とし、絶縁体の厚さが0.1mm以上となっても、本発明の主旨の範囲内であれば、何ら効果に影響は無く、全く差し支え無い。
100 巻線
101 導体
102 絶縁体
103 内層
104 外層
201 送出機
202 プーリ
203 予備加熱炉
204 第一押出機
205 第一冷却装置
206 第二押出機
207 加熱炉
208 第二冷却装置
209 引取機
210 巻取機

Claims (7)

  1. 導体と、
    前記導体の周囲に形成された絶縁体と、
    を備えており、
    前記絶縁体は、主成分がポリフェニレンサルファイド樹脂である樹脂組成物で形成されると共に総層厚が100μm以上250μm以下であり、且つ、前記導体の周囲に形成された内層と、前記内層の周囲に形成されると共に前記内層よりも層厚が厚い一層の外層と、の二層からなり、
    前記内層と前記外層は、結晶化度が共に95%以上であることを特徴とする巻線。
  2. 前記内層は、層厚が20μm以上50μm以下である請求項1に記載の巻線。
  3. 前記外層は、層厚が20μm以上200μm以下である請求項1又は2に記載の巻線。
  4. 前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂のみからなる請求項1から3の何れか一項に記載の巻線。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の巻線の製造方法であって、
    前記導体の周囲に前記樹脂組成物を押出被覆して前記内層を形成する第一工程と、
    前記内層を前記樹脂組成物の結晶化適性温度まで冷却する第二工程と、
    前記内層の周囲に前記樹脂組成物を押出被覆して前記外層を形成する第三工程と、
    前記外層を加熱して前記樹脂組成物の結晶化適性温度に維持する第四工程と、
    を備えていることを特徴とする巻線の製造方法。
  6. 前記第二工程は、前記第一工程にて前記内層を押出被覆するときの前記樹脂組成物の温度から前記樹脂組成物の前記結晶化適性温度まで冷却することによって前記内層が結晶化され、前記第四工程は、前記第二工程の前記結晶化適性温度に維持するように前記外層を加熱することによって前記外層が結晶化される請求項5に記載の巻線の製造方法。
  7. 前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂のみからなる請求項5又は6に記載の巻線の製造方法。
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