JP2011163541A - 玉軸受及び軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向長さを短くしつつも潤滑性能に優れた玉軸受を提供する。
【解決手段】略一様径からなる軌道面11a、11bを有する外輪11と、外輪11の軌道面と回転軸2の外周面に設けられた略一様径からなる軌道面2a、2bとの間に複列に配設された総ボールタイプの複数のボール13と、複列に配設された複数のボール13間であって外輪11の軸方向略中央部に固定された環状の第1シール板14と、外輪11の外側両端部に設けられた一対の環状の第2シール板15A、15Bと、を備え、各列の複数のボール13は第1シール板14と一対の第2シール板15A、15Bの一方又は他方との間で転動自在に保持されるとともに、軸方向の移動が規制され、軸受空間には潤滑剤が封入されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、玉軸受及び軸受装置、例えばモータのような回転機器や内視鏡のような駆動装置に使用される玉軸受及び軸受装置に関する。
従来から回転機器の回転軸を支持するために軸受が使用されている。例えば、回転機器としてファンモータを例に説明すると、ファンモータは各種機器の電子部品などから発熱による余分な熱を排出し、機器の性能を保持し、安定して作動するために温度をコントロールする重要な役目を持っている。近年、パソコンやマイクロプロセッサなどの情報機器は小型、薄肉化の傾向があり、それに対応してファンモータ自身も小型、薄肉化してきた。最近では、超小型のプロジェクタや、携帯の通信機器が開発され、これらの機器に使用されるファンモータは益々超小型、超薄型の要求がなされている。ただし、ファンモータが小型、薄肉化されても、機器の信頼性を確保するために、ファンモータ自身は現状レベルあるいは更なる長寿命化が必要である。
現在、ファンモータの回転支持部には、図3及び図4に示すように玉軸受や図5及び図6に示すようにすべり軸受が使用されている。
図3に示す玉軸受101を使用する従来の軸受装置100(特許文献1の図7参照)では、ばね部材102により玉軸受101にアキシアル方向の予圧が与えられ、2個の玉軸受101は軸方向に一定の距離をもって設置されている。ばね部材102は、回転軸103及び外輪104の溝(以下、転がり面とも呼ぶ。)上をボール105が蛇行せず滑らかに走行するようにボール105と溝を弾性接触させている。
また、各玉軸受101にはグリースが封入される。軸受内部に封入されたグリースは、玉軸受101の両側を不図示のシールド板で密封されているので、外部に流出せずに軸受内部に長時間保持される。グリースはボール105の転がる場所の近傍に長時間存在し、ボール105との物理的接触や温度変化等によって、グリース中の増ちょう剤により保持された潤滑油は、除々に滲み出て転がり面を潤滑する。この油量は転がり面で消費、分解される量よりも十分多いので、軸受は数万時間の長時間の回転を実現している。
しかしながら、このばね部材102を取り付けるためには、軸方向に所定のスペースを要し、ファンモータを小型、薄肉化(軸方向の省スペース化)する際の障害となっていた。
このばね部材を使用しない軸受装置としては、図4に示す軸受装置200(特許文献1の図1参照)が提案されている。この軸受装置200では、回転軸204の下端面に球面体205を設けて軸方向の荷重を支持し、各玉軸受201において保持器202を使って回転軸204に設けられた略一様径の軌道面上を転動するボール203を保持している。
一方、図5及び図6に示すすべり軸受301、401を使用する従来の軸受装置300、400では、ロータ302、402に作用するスラスト方向の磁力により、ファンは一定の方向に力が作用した状態で設置され回転する構造となっている。特に、予圧付与させるばね部材を必要としないので、省スペースに優れている。
さらに、特許文献2では、おもちゃのレーサ車の車輪に使用される玉軸受として、図7に示すように、回転軸501の外周面に圧入固定された支持板502と外輪503の鍔部504及び支持板502と側板505との間に各ボール列を構成する複数のボール506を配置して、回転軸501を回転自在に支持する玉軸受500を開示している。
特開2002−218702号公報 特開2002−168244号公報
しかしながら、特許文献1に記載の軸受装置200では、各玉軸受201において保持器202を使ってボール203を保持しているため、軸方向には保持器202の断面高さ分だけのスペースを必要とし、軸方向の長さ寸法を一層小さくしてファンモータを小型、薄肉化させるには限界があった。
また、すべり軸受301、401では、空孔を持った軸受素材に含浸された潤滑油が潤滑剤として作用し、ファンが回転し続けるためには、常にすべり面では潤滑油が供給され続けなければならない。即ち、すべり軸受301、401では、含浸される潤滑油量がその耐久性を決定することになる。すべり軸受内部に含浸されている潤滑油は、回転軸303、403とすべり軸受301、401の物理的接触や温度の変化によって表面に滲み出てくるが、すべり面では潤滑油は回転軸303、403に沿って流動するので、すべりの接触面から外れてしまう。含浸される潤滑油は有限であるから、外部に出た潤滑油をすべり軸受301、401に戻し、循環させる必要がある。ファンモータが小型、薄肉化すると、すべり軸受301、401自身の軸方向の長さが短くなり、体積が小さくなり、外径も小さくならざるを得ない。その結果、すべり軸受301、401自身が小さくなって内部の含浸量は少なくなり、すべり軸受301、401から供給される潤滑油が少なくなることでファンモータの耐久性に悪影響を与えるという問題があった。
さらに、回転軸303、403とすべり軸受301、401との接触位置が定まっていないためモーメント方向の振れに弱いという問題もあった。
また、特許文献2に記載の玉軸受500は、回転精度がさほど要求されない部位に用いることが明記されており、この玉軸受500をファンモータのような精密な回転機器に用いることはできない。例え、玉軸受500の構成をそのままファンモータに適用しても、支持板502が回転軸501とともに回転するため、支持板502で発熱する発熱量に加えボール506で発生する発熱量が支持板502に伝わり、支持板502の熱膨張が起こり、クリープが発生しやすくなる。このため回転軸501と支持板502の締め代を厳密に管理しなければならず、製造時間、製造コストが余計にかかってしまう。
そこで、本発明は、軸方向長さを短くしつつも耐久性に優れた玉軸受を提供することを目的としている。
上記目的は、以下の構成により達成される。
(1)内周面に略一様径からなる軌道面を有する外輪と、該外輪の軌道面と軸部材の外周面に設けられた略一様径からなる軌道面との間に複列に配設された総ボールタイプの複数のボールと、前記複列に配設された複数のボール間であって前記外輪の軸方向略中央部に固定された環状の第1シール板と、前記外輪の外側両端部に固定された一対の環状の第2シール板と、を備え、
前記各列の複数のボールは前記第1シール板と前記一対の第2シール板の一方又は他方との間で転動自在に保持されるとともに、軸方向の移動が規制され、
軸受空間には潤滑剤が封入されていることを特徴とする玉軸受。
(2)前記外輪は、略一様径からなる複列の軌道面を有する単一の外輪から構成されることを特徴とする(1)に記載の玉軸受。
(3)前記外輪は、軸方向に沿って2つの外輪部材が並列に配置され、前記外輪部材はそれぞれ略一様径からなる軌道面を有することを特徴とする(1)に記載の玉軸受。
(4)前記2つの外輪部材は前記第1シール板が締め代を持って取り付けられることで結合されていることを特徴とする(3)に記載の玉軸受。
(5)前記第1シール板は、多孔質材からなり、内部に潤滑剤が含浸されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の玉軸受。
(6)前記軸部材と前記ボールとのラジアル隙間は、2μm以上20μm以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の玉軸受。
(7)前記一対の第2シール板に撥油性のコーティングがなされていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の玉軸受。
(8)前記ボールを最も内側に寄せたときのボールPCDは、前記第1シール板及び前記一対の第2シール板の内径寸法よりも大きいことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の玉軸受。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の玉軸受が前記軸部材を備えたことを特徴とする軸受装置。
本発明の(1)に記載の玉軸受によれば、複列に配列された複数のボールは、それぞれ第1シール板と第2シール板に軸方向の移動が規制されるため、保持器を設ける必要がない。そのため、保持器の断面高さ分だけのスペースを確保する必要がなく、玉軸受の軸方向の寸法を短くすることができる。
また、内輪を設けずに、且つ、外輪の内周面に略一様径の軌道面と軸部材の外周面の略一様径の軌道面間をボールが転動するため、溝を加工するための軸方向のスペースが不要になり、軸の強度を維持しつつ軸方向の寸法を短くすることができる。
さらに、保持器を設けていないため、総ボールタイプとなり、保持器を用いた従来の軸受装置と比べてボール数が増えるので剛性が高くなる。
さらに、複列に配列された複数のボール間には第1シール板が設けられて所定の距離だけ離れているため、軸部材にモーメント方向の振れが存在する場合であっても各列のボールでそれぞれ荷重を支持して、モーメント方向の触れを抑制することができる。
さらに、第1シール板が外輪に固定されるため、第1シール板が軸とともに回転することはなく、第1シール板の発熱によるクリープの影響等を考慮する必要がない。これにより、製造時間の短縮、製造コストの低減を実現できる。
本発明の(2)に記載の玉軸受によれば、略一様径からなる複列の軌道面を有する単一の外輪から構成されるので、剛性が高い。
本発明の(3)に記載の玉軸受によれば、2つの外輪部材が軸方向に沿って並列に配置して構成されるので、外輪部材の内周面に対し第1シール板の位置調整がしやすいので組み付け性がよい。
本発明の(4)に記載の玉軸受によれば、2つの外輪部材は第1シール板が締め代を持って取り付けられることで結合されているので、別の結合部材を設ける必要がない。
また、2つの外輪部材を第1シール板で結合して一体化するので、軸受を1つずつ組み付ける必要がなく組立作業性を向上できる。
本発明の(5)に記載の玉軸受によれば、第1シール板が多孔質材からなり内部に潤滑剤が含浸されているので、第1シール板とボールが接触する際に含浸された潤滑剤が少しずつ滲みだし、その潤滑剤が軸受空間に供給される。これにより、潤滑不足を防止し軸受が長寿命化する。また、余分な潤滑剤が軸受空間に存在するときには、第1シール板の表面が潤滑剤を浸透させて表面に過分な油膜を形成しにくくなる。これにより、過剰な潤滑剤はなくなり、攪拌抵抗を低減して軸受トルクを低減することができる。
本発明の(6)に記載の玉軸受によれば、ボールが拘束されることなく滑らかに回転する。
本発明の(7)に記載の玉軸受によれば、長期間に亘って軸受空間に潤滑剤を保持することができ、さらに潤滑剤の流失が防止され、耐久性が向上する。
本発明の(8)に記載の玉軸受によれば、ボールを最も内側に寄せたときのボールPCDは、第1シール板及び一対の第2シール板の内径寸法よりも大きいので、回転軸が装着されていない状態においてもボールが脱落せずに玉軸受として取り扱うことができる。
本発明の(9)に記載の軸受装置によれば、取り扱い性がよい。
本実施形態の玉軸受を搭載したファンモータの断面図である。 (a)は、図1の部分拡大図、(b)は(a)のB-B線矢視図、(c)は変形例の玉軸受の断面図である。 特許文献1に記載の従来の軸受装置の断面図である。 特許文献1に記載の従来の他の軸受装置の断面図である。 すべり軸受を用いた従来の軸受装置の断面図である。 すべり軸受を用いた従来の他の軸受装置の断面図である。 特許文献1に記載の従来の玉軸受の断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例である玉軸受を搭載したファンモータを説明するための断面図、図2(a)は図1の部分拡大図、図2(b)は(a)のB-B線矢視図、図2(c)は変形例の玉軸受の断面図である。
ファンモータ1は、図1に示すように、回転軸2(軸部材)の一端に固定されたファン付ロータ3(以下、ロータと呼ぶ。)がハウジング4に固定されたステータ5に対し軸方向で対向する、いわゆるアキシアル形モータである。このファンモータ1は、ロータ3とステータ5に加えて、ハウジング4から軸方向に突出した円筒部6内に配設された回転軸2を回転可能に支持する玉軸受10と、を備えている。
玉軸受10は、図2(a)に示すように、軸方向に並設されて円筒部6内に嵌合固定された外輪11を構成する2つの外輪部材11A、11Bと、各外輪部材11A、11Bの軌道面11a、11bと回転軸2の外周面の軌道面2a、2bとの間を転動する転動体として2列(複列)に配設された複数のボール13と、を備える。
回転軸2、外輪部材11A、11B、ボール13は、耐摩耗性を考慮して硬化処理された鉄鋼材料、プラスチック、セラミック材料などから構成され、回転軸2はストレート軸をなし、外輪部材11A、11Bは円筒形状を有する。即ち、回転軸2の軌道面2a、2bと外輪部材11A、11Bの軌道面11a、11bは、溝の加工がなされていない略一様径をなしており、ボール13がこれらの軌道面間2a、11a(2b、11b)を自転しながら公転する。また、軌道面2a、2b、11a、11b間は溝が設けられていないため、ボール13は軸方向に移動可能なため、外輪部材11A、11Bの内周面には略中央部に環状の連結シール板14(第1シール板)と外側両端部に環状の外側シール板15A、15B(第2シール板)が取り付けられている。
連結シール板14は、外輪部材11A、11Bの両方にまたがるように締め代を持って取り付けられ、連結シール板14によって外輪部材11A、11Bが互いに固定されている。この連結シール板14の内周端部は、後述する回転軸外径とボール13の内接円径とのラジアル方向隙間よりも大きく設定され、回転軸2との接触が回避される。
外側シール板15A、15Bは、外輪部材11A、11Bの外側両端部に締め代を持って取り付けられている。外輪部材11A、11Bの内周面と連結シール板14及び外側シール板15A、15Bの締め代は1〜15μmが好ましい。締め代が1μm以上であればボール13が回転中接触しても連結シール板14及び外側シール板15A、15Bが脱落しないので、ボール13を確実に保持することができる。また、締め代が15μm以下であれば、連結シール板14及び外側シール板15A、15Bを外輪部材11A、11Bの内周面に変形することなく取り付けることができる。
そして、各列のボール13は、連結シール板14と外側シール板15A、15Bとの間で2〜50μmの軸方向隙間を介して収容され、連結シール板14と外側シール板15A、15Bとにより軸方向の移動が規制されている。この隙間が2μmより小さいとボール13の動きを拘束し、また温度変化によって隙間がなくなったり負になってボール13の回転が阻害される。一方、50μmより大きいとボール13の走行面が蛇行して、回転時の音や振動の原因となる。
また、各列のボール13は、周方向で隣り合うボール13同士の周方向隙間が5〜300μmとなるように組み立てられた、所謂総ボールタイプとなっている。周方向隙間が300μmより大きいとボール13同士の衝突音が大きくなり、また、回転軸2の振れが大きくなってしまう。また、周方向隙間が5μmより小さいとボール13同士が拘束して滑らかに回転しない。ボール13を外輪内周面に接触させた状態で回転軸外径とボール13の内接円径とのラジアル方向隙間は、2〜20μmにある。このラジアル方向隙間が2μmより小さいと、温度変化や加工誤差によりマイナス隙間になり、ボール13と回転軸表面の接触圧力が過大となって、塑性変形を生じたり、摩耗を発生させる。一方、ラジアル方向隙間が20μmより大きいと回転軸2の振れが大きくなる。
また、図2(b)に示すように、ボール13を最も内側(回転軸中心方向)に寄せたときのボールPCDは、連結シール板14や外側シール板15A、15Bの内径寸法よりも大きく設定される。これにより、回転軸2が装着されていない状態においても、ボール13が容易に脱落しないようになっており、玉軸受10として取り扱うことができる。
軸受空間には、潤滑剤としての潤滑油が封入されている。潤滑剤としては、グリースでもよいが、グリースは基本的に増ちょう剤と潤滑油からなり、潤滑油だけに比べるとグリースを攪拌するための摩擦が大きくなる。そのため、例えば0.1ワット程度のモータに適用する場合には好ましくは潤滑油が使用される。外側シール板15A、15Bの内周端部は、軸受空間に封入された潤滑油が外部に流出しないように所定のラジアル隙間を介して回転軸2に対向している。外側シール板15A、15Bは、鉄鋼材料、プラスチック、セラミック材料から構成され、長期間潤滑油を保持するために、表面に撥油剤を予め塗布しておくことが好ましい。撥油剤により潤滑油の流失が防止され、耐久性を向上できる。
潤滑油としては、鉱油、エステル油、ポロαオレフィンなど合成油でもよく、40℃の動粘度が10〜200mm/sであることが好ましく、特に潤滑油封入量の少なく転動溝が形成されていない軸受においては、耐久性を考慮すると30mm/sであることがより好ましく、低トルク化を考慮すると100mm/s以下であることがより好ましい。動粘度が10mm/s未満では油量が少なく高温で焼付きを起こすおそれがあり、動粘度が200mm/sより大きいと潤滑油の攪拌抵抗が大きくなり低トルクにならない。
連結シール板14は、鉄系、銅系のポーラス(多孔質)焼結部材、ポーラスのプラスチック材、ポーラスのセラミック部材から構成され、内部に潤滑油が含浸される。連結シール板14は、外輪部材11A、11Bの略中央部に設けられているため、両側のボール列に好適に潤滑油を外輪部材11A、11B供給することができる。玉軸受では、ボール表面に油膜が形成される必要があるが、ボール径0.3mm、潤滑油の比重を0.8とすると、9個のボール13ではボール表面に10μmの均一な油膜を形成するために0.02mgの潤滑油が存在すればよいことになる。本実施形態では、初期に0.05〜2.0mgを軸受空間に封入し、ボール表面に十分な油膜を形成させ、さらに長期的な潤滑油の供給用にポーラス材からなる連結シール板14の空孔内に潤滑油を含浸させた。これにより、空孔から少しづつ滲みだした潤滑油が連結シール板14とボール13が接触する際に供給される。また、余分な潤滑剤が軸受空間に存在するときには、連結シール板14の表面が潤滑剤を浸透させて表面に過分な油膜を形成しにくくなる。これにより、過剰な潤滑剤はなくなり、攪拌抵抗を低減して軸受トルクを低減させることもできる。さらに、ポーラス材の空孔率を20%とすると内部に潤滑油を0,06mg封入でき、複列のボール13に均等に潤滑油を供給できるとするとボール表面に必要な油量は1.5倍になる。ただし、封入量が多すぎると、潤滑油を攪拌する抵抗が大きくなる。このように軸受空間に潤滑油が封入され、連結シール板14からも長期間供給されるので、長期間低摩擦で、摩耗の発生を防ぐことができる。
以上説明した本実施形態の玉軸受10によれば、内周面に略一様径からなる軌道面11a、11bを有する外輪部材11A、11Bと、外輪部材11A、11Bの軌道面11a、11bと回転軸2の外周面に設けられた略一様径からなる軌道面2a、2bとの間に複列に配設された総ボールタイプの複数のボール13と、複列に配設された複数のボール13間であって外輪部材11A、11Bの軸方向略中央部に固定された環状の連結シール板14と、外輪部材11A、11Bの外側両端部に固定された一対の環状の外側シール板15A、15Bと、を備え、各列のボール13は連結シール板14と一対の外側シール板15A、15Bの一方又は他方との間で転動自在に保持されるとともに、軸方向の移動が規制されるので、保持器を設ける必要がない。そのため、保持器の断面高さ分だけのスペースを確保する必要がなく、従来の標準的な玉軸受に比べて、軸方向の寸法を小さくすることができ、小型、薄肉、省スペースのごく小さいモータなどに適用することができる。
また、内輪を設けずに、且つ、外輪部材11A、11Bの内周面に略一様径の軌道面11a、11bと回転軸2の略一様径の軌道面2a、2b間をボール13が転動するため、溝を加工するための軸方向のスペースが不要になり、回転軸2の強度を維持しつつ軸方向の寸法を小さくすることができる。また、軌道面2a、2b、11a、11bが円弧状溝ではないため、ボール13との接触が点接触で、幾何形状では純転がりになり、ほとんどすべりのない転がり接触となる。そのため、摩擦を極めて小さくすることができる。
さらに、保持器を設けていないため、総ボールタイプとなり、保持器を用いた従来の玉軸受と比べて剛性が高くなる。
さらに、複列に配列されたボール13間には連結シール板14が設けられて各列のボール13は所定の距離だけ離れているため、回転軸2にモーメント方向の振れが存在する場合であっても各列のボール13でそれぞれ荷重を支持して、モーメント方向の触れを抑制することができる。このため、厚みを持たない極薄の軸受に適用することができる。
さらに、連結シール板14が外輪部材11A、11Bに固定されるため、連結シール板14が回転軸2とともに回転することはなく、連結シール板14の発熱によるクリープの影響等を考慮する必要がない。これにより、製造時間の短縮、製造コストの低減を実現できる。
また、本実施形態の玉軸受10によれば、軸方向に沿って2つの外輪部材11A、11Bが並列に配置されているので、連結シール板14を介して両外輪部材11A、11Bを連結する際の組み付け性がよい。
また、本実施形態の玉軸受10によれば、2つの外輪部材11A、11Bは連結シール板14が締め代を持って取り付けられることで結合されているので、連結シール板14がシール部材と結合部材を兼ねることで、別の結合部材を設ける必要がない。また、2つの外輪部材11A、11Bを連結シール板14で連結して一体化するので、軸受を1つずつ組み付ける必要がなくファンモータ1への組立作業性を向上できる。
また、本実施形態の玉軸受10によれば、連結シール板14がポーラス(多孔質)材からなり、内部に潤滑剤が含浸されているので、連結シール板14とボール13が接触する際に含浸された潤滑剤が少しずつ滲みだし、その潤滑剤が軸受空間に供給される。これにより、潤滑不足を防止し軸受が長寿命化する。また、余分な潤滑剤が軸受空間に存在するときには、連結シール板14の表面が潤滑剤を浸透させて表面に過分な油膜を形成しにくくなる。これにより、過剰な潤滑剤はなくなり、攪拌抵抗を低減して軸受トルクを低減することができる。
また、本実施形態の玉軸受10によれば、回転軸2とボール13とのラジアル隙間が2μm以上20μm以下であるので、ボール13が拘束されることなく滑らかに回転する。
また、本実施形態の玉軸受10によれば、一対の外側シール板15A、15Bに撥油性のコーティングがなされているので、長期間に亘って軸受空間に潤滑剤を保持することができ、さらに潤滑剤の流失が防止され、耐久性が向上する。
なお、上記各実施形態の玉軸受は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
例えば、図2(c)に示すように、外輪部材11A、11Bを略一様径からなる複列の軌道面11a、11bを有する単一の外輪11で構成し、外輪内周面の略中央部に連結シール板14と同じ構成を有するシール板24を締め代を持って取り付けて、外輪11の内周面にボール13と連結シール板14を内蔵した構成としてもよい。これにより、外輪11を2分割した場合に比べて剛性が高い。
このように本発明の玉軸受は、図2(a)に示すような外輪部材11A(11B)とボール13列からなる2つの玉軸受が並列に配置されて連結シール板14で連結された玉軸受と、図2(c)に示す1つの外輪11と連結シール板14で隔離された複列のボール13からなる複列玉軸受と、を含むものである。
また、回転軸外径と連結シール板14の内周端部とのラジアル方向隙間を、回転軸外径とボール13の内接円径とのラジアル方向隙間より小さくすることにより、連結シール板14を回転軸2に強制的に接触させてもよい。連結シール板14に含浸された潤滑油の軸受空間への供給量を増やし、且つ、回転軸2の振れをさらに小さくすることができる。
なお、本実施形態では回転軸2をファンモータ1の構成要素としたが、これに限らず、玉軸受10が回転軸2を備えて軸受装置を構成としてもよい。その場合は、回転軸2のアキシアル方向の荷重を支持する端部が球面形状であることが好ましい。
また、ファンモータに限らず任意のモータに適用することができる。例えば、図4及び図6に示すように、ロータとステータが径方向で対向するラジアル形モータにも適用できる。さらに、モータに限らず、極小さいロボットや内視鏡などの駆動装置にも適用することができる。その場合は、往復回転や揺動回転でも使われる。
1 ファンモータ
2 回転軸(軸部材)
2a、2b 回転軸の軌道面
10 玉軸受
11 外輪
11A、11B 外輪部材
11a、11b 外輪の軌道面
13 ボール
14 連結シール板(第1シール板)
15A、15B 外側シール板(第2シール板)
24 シール板(第1シール板)

Claims (9)

  1. 内周面に略一様径からなる軌道面を有する外輪と、該外輪の軌道面と軸部材の外周面に設けられた略一様径からなる軌道面との間に複列に配設された総ボールタイプの複数のボールと、前記複列に配設された複数のボール間であって前記外輪の軸方向略中央部に固定された環状の第1シール板と、前記外輪の外側両端部に固定された一対の環状の第2シール板と、を備え、
    各列の前記複数のボールは前記第1シール板と前記一対の第2シール板の一方又は他方との間で転動自在に保持されるとともに、軸方向の移動が規制され、
    軸受空間には潤滑剤が封入されていることを特徴とする玉軸受。
  2. 前記外輪は、略一様径からなる複列の軌道面を有する単一の外輪から構成されることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  3. 前記外輪は、軸方向に沿って2つの外輪部材が並列に配置され、前記外輪部材はそれぞれ略一様径からなる軌道面を有することを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  4. 前記2つの外輪部材は前記第1シール板が締め代を持って取り付けられることで結合されていることを特徴とする請求項3に記載の玉軸受。
  5. 前記第1シール板は、多孔質材からなり、内部に潤滑剤が含浸されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の玉軸受。
  6. 前記軸部材と前記ボールとのラジアル隙間は、2μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の玉軸受。
  7. 前記一対の第2シール板に撥油性のコーティングがなされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の玉軸受。
  8. 前記ボールを最も内側に寄せたときのボールPCDは、前記第1シール板及び前記一対の第2シール板の内径寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の玉軸受。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の玉軸受が前記軸部材を備えたことを特徴とする軸受装置。
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