JP2011162658A - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】強度と柔軟性を兼ね備えた発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかでビーズライフの長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の提供。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;を、20:80〜90:10の範囲で混合してなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかで貯蔵可能期間(ビーズライフ)の長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関する。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法の一つとして、押出機内で溶融されたポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る、所謂、溶融押出法が知られている。
従来、溶融押出法により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法に関して、例えば、特許文献1,2に開示された技術が提案されている。
特許文献1には、分子量Mwが170000g/モルを超える発泡スチレンポリマーを製造する方法であって、少なくとも120℃の温度を有する発泡剤含有スチレンポリマー溶融物を、ダイ出口の孔径が1.5mm以下の孔を有するダイプレートを介して搬送し、次いで押出物を顆粒化することを特徴とする方法が開示されている。
特許文献2には、押出機内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を圧入し、発泡剤含有の溶融樹脂を押出機先端に付設されたダイの多数の小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を高速回転刃で切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性粒子を得る熱可塑性樹脂発泡性粒子の製造方法において、前記ダイの小孔ランド部を通過する際の発泡剤含有溶融樹脂の剪断速度が12000〜35000sec−1、且つ樹脂の見かけ溶融粘度が100〜700ポイズとなるように押し出すことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡性粒子の製造方法が開示されている。
特表2005−534733号公報 国際公開第2005/028173号
しかしながら、特許文献1、2に開示された従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1の実施例においては、発泡剤としてn−ペンタンを使用しているため、得られる成形品の強度が弱くなる恐れや発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のビーズライフが短くなって長期の保管ができなくなる問題があった。
特許文献2では、発泡剤としてイソペンタンのみを使用した実施例が記載されており、発泡剤としてイソペンタンのみを使った場合においても、得られる成形品の強度が低下する恐れがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかで貯蔵可能期間(ビーズライフ)の長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の提供を目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;を混合してなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10の範囲で混合してなることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂100質量部に対し前記第1の発泡剤を3〜10質量部含有し、前記第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂100質量部に対し前記第2の発泡剤を3〜8質量部含有してなることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記第1の発泡剤が、イソブタンとノルマルブタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記第2の発泡剤が、イソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。
また本発明は、前記本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を提供する。
また本発明は、前記本発明のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られた発泡成形体を提供する。
また本発明は、(a)ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程;
(b)樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程;
(c)前記(a)工程で得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、前記(b)工程で得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とを、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10の範囲となるように混合して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程、とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;を混合してなるものなので、溶融押出法により製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を単独で使用した場合と比べ、強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかで貯蔵可能期間(ビーズライフ)の長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して得られたものなので、強度と柔軟性を兼ね備えたものとなる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、含浸法により作製した第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、溶融押出法で作製した第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とを所定の配合比で混合することによって、前述したように強度と柔軟性のバランスに優れた発泡成形体を製造できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を簡単に製造することができる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。
(第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)
第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る含浸法によって作製される。
ここで用いるポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は特に限定されず、粒径や材質等が適当であれば、市販のポリスチレン系樹脂粒子の中から適宜選択して使用することができ、或いは溶融押出法、懸濁重合法、シード重合法などの従来より周知のポリスチレン系樹脂粒子製造技術を用いて製造することができる。なお、溶融押出法によってポリスチレン系樹脂粒子を製造する場合、発泡剤を溶融樹脂に添加しないこと以外は、後述する「(第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)」に記載した方法と同様の方法で製造でき、またリサイクル材料の使用も可能である。
このポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。
また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
この第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に用いる第1の発泡剤は、炭素数4の炭化水素を主体とし、炭素数4の炭化水素以外の発泡剤を含んでいてもよい。第1の発泡剤は炭素数4の炭化水素の1種又は2種以上であることが好ましく、その中でもイソブタンとノルマルブタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。
第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含浸させる第1の発泡剤の含有量は、樹脂100質量部に対し3〜10質量部の範囲が好ましく、4〜8質量部の範囲がより好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子に第1の発泡剤を含浸させて第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造分野において従来より周知の発泡剤含浸法を用いることができる。例えば、撹拌及び温度調節機構を備えたオートクレーブ内に水性媒体とポリスチレン系樹脂粒子とを投入・密封し、該樹脂粒子を分散させ、第1の発泡剤を投入し、撹拌しながら内部を昇温し、一定温度で保持してポリスチレン系樹脂粒子に該発泡剤を含浸させ、その後冷却して開封し、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を洗浄・乾燥させる方法が用いられる。なお、懸濁重合法やシード重合法によってポリスチレン系樹脂粒子を製造する場合、スチレンモノマーの重合途中又は重合終了後にオートクレーブ内に該発泡剤を圧入し、懸濁重合法やシード重合法によって得られたポリスチレン系樹脂粒子に該発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製することができる。
この第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
(第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)
第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法によって作製される。
第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。
また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンが挙げられる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料の中から、重量平均分子量Mwが12万〜30万の範囲となる原料を適宜選択し、又は重量平均分子量Mwが異なる複数のリサイクル原料を適宜組み合わせて用いることができる。
この第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に用いる第2の発泡剤は、炭素数5の炭化水素を主体とし、炭素数5の炭化水素以外の発泡剤を含んでいてもよい。第2の発泡剤は炭素数5の炭化水素の1種又は2種以上であることが好ましく、その中でもイソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。
第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含浸させる第2の発泡剤の含有量は、樹脂100質量部に対し3〜8質量部の範囲が好ましく、4〜7質量部の範囲がより好ましい。
この第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
図1は、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図であり、本例の製造装置は、樹脂供給装置としての押出機1と、押出機1の先端に取り付けられた多数の小孔を有するダイ2と、押出機1内に樹脂原料等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプ4と、ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7と、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室7内に回転可能に設けられたカッター6と、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して運ばれる発泡性樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して発泡性樹脂粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機10と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて分離された冷却水を溜める水槽8と、この水槽8内の冷却水をカッティング室7に送る高圧ポンプ9と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて脱水乾燥された発泡性樹脂粒子を貯留する貯留容器11とを備えて構成されている。
なお、押出機1としては、スクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。また、カッター6を収容したカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
図1に示す製造装置を用い、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造するには、まず、原料のポリスチレン系樹脂、発泡核剤、必要に応じて添加される難燃剤などの所望の添加剤を秤量し、原料供給ホッパー3から押出機1内に投入する。原料のポリスチレン系樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロットごとに供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別などの適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。
押出機1内にポリスチレン系樹脂、発泡助剤、その他の添加剤を供給後、樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ2側に移送しながら、発泡剤供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物をさらに混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出す。
ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7内に配置され、且つカッティング室7内には、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッター6が回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、同時に冷却水と接触して急冷され、発泡が抑えられたまま固化して第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子となる。
形成された第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機10に運ばれ、ここで第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、貯留容器11に貯留される。
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の調製)
本発明では、前述の通り作製した第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とを混合して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る。そして、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10(質量比)の範囲となるように混合して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることが好ましい。この調製は、両方の樹脂粒子を計量し、通常のミキサー等で混合することにより行うことができる。なお、この調製時、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に前記添加剤を加え、表面に添加剤を均一に付着させてもよい。
本発明では、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とを混合して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子としたことにより、強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかで貯蔵可能期間(ビーズライフ)の長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
そして、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10(質量比)の範囲となるように混合して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とすることが好ましい。
第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が20質量%未満であり、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が80質量%を超えると、所望の強度が得られない恐れがある。
第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が90質量%を超え、第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が10質量%未満であると、発泡性が低下してしまい、ビーズライフが短くなる恐れがある。
ここで用いる第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子との粒径は、特に限定されないが、両者を均一に混合し易いことから、両者の粒径がなるべく近い方が好ましく、両者の粒径が等しいことが最も好ましい。両者の粒径は限定されないが、通常は0.5〜2.0mmの範囲が好ましく、0.7〜1.4mmの範囲がより好ましい。また、両者の粒子の形状は、球状に近いものであることが好ましい。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す)とする。この予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度は限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cmの範囲内とし、0.015〜0.050g/cmの範囲内とするのが好ましい。
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
また、予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出される数値である。
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
前記予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、ポリスチレン系樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)を製造する。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cmの範囲内とし、0.015〜0.050g/cmの範囲内とするのが好ましい。
なお、本発明において発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した発泡成形体密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
<発泡成形体の発泡倍数>
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
本発明の発泡成形体は、平均気泡径が50〜350μmの範囲であることが好ましく、60〜300μmの範囲がより好ましい。なお、本発明において平均気泡径とは、下記の方法で測定した発泡成形体の気泡の平均弦長のことである。
<平均気泡径>
発泡成形体の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には実施例(及び比較例)で得られた発泡成形体を剃刀刃で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 S−3000N)で拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙上に印刷し、任意の一直線上(長さ60mm)にある気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出した。但し任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにした(接してしまう場合は気泡数に含める)。計測は10ヶ所とし、その平均弦長を求めた後、気泡径を算出し、平均気泡径D(μm)とした。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)
平均気泡径D=t/0.616×1000
[実施例1]
(ブタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積5.6Lの撹拌機付オートクレーブに純水2Lを投入し、次いで300rpmで撹拌しながら、分散剤として複分解法で生成させたピロリン酸マグネシウム12g及びドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ0.3gを加えて均一な水性媒体とした後、粒子径0.8〜1.2mmのポリスチレン樹脂粒子2000gを投入し、ポリスチレン樹脂粒子を水性媒体に均一に分散させた。
次いで内容物温度が100℃になるまで1時間かけてオートクレーブを蒸気にて昇温後、発泡助剤としてトルエン20gを圧入し、発泡剤として樹脂100質量部に対して8質量部のブタン(イソブタン:ノルマルブタン=30:70(質量比))を窒素加圧してオートクレーブ内に10分かけて圧入し、2時間保持し、発泡剤を含浸させた後、内容物温度が25℃になるまで2時間かけてオートクレーブを水冷却し、内容物を取出・脱水・乾燥し、ブタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られたブタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を該樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
(ペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM−10N」)100質量部に対し、微粉末タルク0.3質量部を加え、これらを口径90mmの単軸押出機に、時間当たり130kgで連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶解させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を170℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され30℃の水が循環するカッティング室に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断した。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥してペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られたペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ球体であり、平均粒径は約1.1mmであった。
得られたペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を該樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
(発泡成形体の製造)
前記の通り製造した、ブタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(以下、懸濁ブタンビーズと記す)2kg、ペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(以下、押出ペンタンビーズと記す)2kgをそれぞれ計量し、タンブラーミキサーに投入後、15分間撹拌し、懸濁ブタンビーズ:押出ペンタンビーズ=50:50(質量比)からなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置した。その後、円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)であった。
続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)であった。
前述した通り製造した実施例1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体について、以下の評価試験を行った。その結果を表1に記す。
<ビーズライフの評価>
実施例(及び比較例)で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を15℃の保冷庫に1ヶ月間保管した後、これを円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み蒸気圧0.05MPaの水蒸気により2分間に亘って加熱し、得られた予備発泡粒子の嵩発泡倍数を下記の通り測定し、次の評価基準:
嵩発泡倍数60倍以上を良好(◎)、
嵩発泡倍数50倍以上60倍未満をやや良好(○)、
嵩発泡倍数50倍未満を不良(×)、に照らし、ビーズ発泡性の評価を行った。
<強度・柔軟性の評価>
実施例(及び比較例)で得られた発泡成形体について、JIS A9511:2006
「発泡プラスチック保温材」記載の方法に準じて曲げ強度を測定した。
すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用い、試験体サイズは75mm×300mm×50mmとし、圧縮速度を10mm/min、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmの条件として測定し、次式にて曲げ強度を算出した。試験片の数は3個とし、その平均値を求めた。
曲げ強度(MPa)=3FL/2bh
[ここで、Fは曲げ最大荷重(N)を表し、Lは支点間距離(mm)を表し、bは試験片
の幅(mm)を表し、hは試験片の厚み(mm)を表す。]
このようにして曲げ強度の平均値を求め、次の評価基準:
曲げ強度が0.28MPa以上を良好(◎)、
曲げ強度が0.25MPa以上0.28MPa未満をやや良好(○)、
曲げ強度が0.25MPa未満を不良(×)、に照らし、強度を評価した。
また、試験開始点から、曲げ最大荷重が得られるまでの変位量を最大変位量とし、次の評価基準:
最大変位量が18mm以上を良好(◎)、
最大変位量が15mm以上18mm未満をやや良好(○)、
最大変位量が15mm未満を不良(×)、に照らし、柔軟性を評価した。
<総合評価>
前記<ビーズライフの評価>及び<強度・柔軟性の評価>において、不良(×)が無い場合を良好(○)、一つでも不良(×)がある場合を不良(×)として総合評価した。
[実施例2]
懸濁ブタンビーズと押出ペンタンビーズとの混合割合を、懸濁ブタンビーズ:押出ペンタンビーズ=80:20(質量比)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
[実施例3]
懸濁ブタンビーズと押出ペンタンビーズとの混合割合を、懸濁ブタンビーズ:押出ペンタンビーズ=30:70(質量比)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
[比較例1]
懸濁ブタンビーズのみを用い、押出ペンタンビーズを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
[比較例2]
(懸濁ペンタンビーズの作製)
内容積5.6Lの撹拌機付オートクレーブに純水2Lを投入し、次いで300rpmで撹拌しながら、分散剤として複分解法で生成させたピロリン酸マグネシウム12g及びドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ0.3gを加えて均一な水性媒体とした後、粒子径0.8〜1.2mmのポリスチレン樹脂粒子2000gを投入し、ポリスチレン樹脂粒子を水性媒体に均一に分散させた。
次いで内容物温度が100℃になるまで1時間かけてオートクレーブを蒸気にて昇温後、発泡剤として樹脂100質量部に対して7質量部のペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80(質量比))を窒素加圧してオートクレーブ内に10分かけて圧入し、6時間保持し、発泡剤を含浸させた後、内容物温度が25℃になるまで2時間かけてオートクレーブを水冷却し、内容物を取出・脱水・乾燥し、ブタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られたペンタン含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を該樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
このようにして得られた懸濁ペンタンビーズのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
[比較例3]
押出ペンタンビーズのみを用い、懸濁ブタンビーズを混合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
[比較例4]
実施例1で用いた押出ペンタンビーズに代えて、比較例2で作製した懸濁ペンタンビーズを用い、懸濁ブタンビーズ:懸濁ペンタンビーズ=50:50で混合したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体を作製し、同様に評価試験を実施した。その結果を表1に記す。
Figure 2011162658
表1の結果からわかる通り、本発明に係る実施例1〜実施例3は、ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;を混合したものなので、充分な機械的強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができる。特に、電化製品の緩衝材や食品用の搬送容器として要求される機能を充分に満足するポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明に係る実施例1〜実施例3で得られた発泡性樹脂粒子は、発泡剤の保持性が良く、発泡剤の逸散が穏やかで発泡性に優れるため、長期間、保存することが可能である。
一方、比較例1で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡剤の保持性が悪いため、ビーズライフが短く、長期保存に問題がある。また、得られる発泡成形体は柔軟性が劣る。
比較例2及び比較例3は、炭素数5の炭化水素を主体とする発泡剤を使用しているため、得られる発泡成形体の強度が低下する問題がある。
比較例4は、得られる予備発泡粒子のバラツキが大きいため、良好な成形品を得ることが出来ず、発泡成形体の強度が劣る問題点がある。
本発明は、強度と柔軟性を兼ね備えたポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、且つ発泡性樹脂粒子からの発泡剤の逸散が穏やかで貯蔵可能期間(ビーズライフ)の長い発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、緩衝材、容器、断熱材などの用途に使用される。
1…押出機(樹脂供給装置)、2…ダイ、3…原料供給ホッパー、4…高圧ポンプ、5…発泡剤供給口、6…カッター、7…カッティング室、8…水槽、9…高圧ポンプ、10…固液分離機能付き脱水乾燥機、11…貯留容器。

Claims (8)

  1. ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子;を混合してなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:前記第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10の範囲で混合してなる請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂100質量部に対し前記第1の発泡剤を3〜10質量部含有し、前記第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂100質量部に対し前記第2の発泡剤を3〜8質量部含有してなる請求項1又は2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記第1の発泡剤が、イソブタンとノルマルブタンとの一方又は両方の混合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記第2の発泡剤が、イソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  7. 請求項6に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  8. (a)ポリスチレン系樹脂粒子に炭素数4の炭化水素を主体とする第1の発泡剤を含浸させて第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程;
    (b)樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、炭素数5の炭化水素を主体とする第2の発泡剤を添加、混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程;
    (c)前記(a)工程で得られた第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、前記(b)工程で得られた第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とを、第1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子:第2の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子=20:80〜90:10の範囲となるように混合して請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程、とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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