JP2011162538A - カンデサルタンシレキセチルの製造方法 - Google Patents

カンデサルタンシレキセチルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度で平均粒子子径が小さく、かつ安定でデスエチル体の増加が少ないカンデサルタンシレキセチルを簡便に製造できる方法を提供することにある。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】
Figure 2011162538

で示されるカンデサルタンシレキセチルが溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下とした後、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで混合溶液を冷却し、カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させることを特徴とするカンデサルタンシレキセチルの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬として高血圧治療薬等に有用なカンデサルタンシレキセチル(化学名称:(±)−1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2―エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート)の新規な製造方法に関する。
下記式(1)
Figure 2011162538
で示されるカンデサルタンシレキセチル(化学名称:(±)−1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2―エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラート)は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬として優れた効果を示す治療薬として有用である。
このような治療薬として有用なカンデサルタンシレキセチルは、非常に高純度のものが望まれており、かつ安定である必要がある。カンデサルタンシレキセチルには、種々の結晶形が存在することが知られている(例えば、特許文献1〜5、非特許文献1参照)。これら文献(具体的には、特許文献1)には、C型結晶である融点が158℃以上166℃以下の結晶(以下、フォームI結晶とする場合もある)が記載されている。そして、このフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルが、最も安定であることが知られており、通常、原薬として使用されている。このようなフォームI結晶は、上記文献に記載されているように、カンデサルタンシレキセチルをアルコール溶媒、または、アセトン、および水の混合溶媒中で結晶化させることにより製造できる。
カンデサルタンシレキセチルは、水に非常に難溶であるため、医薬品として製剤化する際には、100μmより細かい微粒子が使用されている。ところが、非特許文献1に記載されている通り、最も安定なフォームI結晶においても、微粒子化するため粉砕を行うと、その一部(或いは大部分)がアモルファス(非晶)となる場合がある。そして、アモルファスを含んだままフォームI結晶を保存すると、下記式(2)に示したような不純物であるデスエチル体が増加することが知られている(特許文献6参照)。
Figure 2011162538
本発明者らが、上記文献に記載された方法に従いフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルを製造したところ、以下の点で改善の余地があることが分かった。
例えば、特許文献1、および4には、カンデサルタンシレキセチルが溶解したアセトン、および水の混合溶液を、30分間で53℃以上57℃以下の温度から20℃以上30℃以下の温度まで冷却して、フォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させる方法が示されている。しかしながら、上記方法においては、冷却速度が46℃/時間以上74℃/時間以下と比較的速い速度で冷却しているにもかかわらず、平均粒子径d50が1000μmを超える粒子径のものが得られた。つまり、この方法では、特許文献4にも記載されている通り、得られたカンデサルタンシレキセチルの結晶を粉砕して使用する必要があった。
また、特許文献3、および5には、アルコール溶媒を使用して結晶化する方法が記載されている。しかしながら、この方法においても、大きな粒子のものが得られ、実用化するには、得られたカンデサルタンシレキセチルの結晶を粉砕して使用する必要があった。さらに、特許文献5には、カンデサルタンシレキセチルをアセトンに溶解させ、得られた溶液を水に滴下する方法が記載されているが、この方法においても、凝集粒子が生成し易く、やはり、微粒子を得るためには、粉砕する必要があった。
以上の通り、従来の方法では、得られる粒子は大きく、実使用する場合には、どうしても粉砕が必要であった。そのため、非特許文献1に記載されている通り、デスエチル体が増加するおそれがあり、その点で改善の余地があった。
これに対し、微粒子化したカンデサルタンシレキセチルからデスエチル体の生成を抑制する方法の検討が行われている(特許文献6参照)。具体的には、先ず、カンデサルタンシレキセチルを粉砕して微粒子とする。次いで、該微粒子とアルコールとを混合してスラリーとした後、微粒子を回収することにより、デスエチル体の増加を抑制したカンデサルタンシレキセチル(フォームI結晶)を製造する方法である。
しかしながら、この方法では、カンデサルタンシレキセチルを粉砕した後、さらにスラリーとする工程、回収工程等が必要となり、工程が煩雑となるといった点で改善の余地があった。
特許2853611号公報 特開2009−185060号公報 特許2514282号公報 特許3003030号公報 特開2005−330277号公報 特表2008−505935号公報
ケミカル・パーマシューティカル・ブレティンVol.47,No.2,182−186,1999
したがって、本発明の目的は、平均粒子径が比較的小さく、かつ安定なカンデサルタン
シレキセチルを簡便に製造できる方法を提供することにある。さらに、含まれるデスエチル体を低減することができ、しかも、得られたカンデサルタンシレキセチルが、平均粒子径が小さく安定であり、デスエチル体の増加が少ないフォームI結晶となるカンデサルタンシレキセチルの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。具体的には、カンデサルタンシレキセチルを製造するに当たり、アセトン、および水の混合溶媒中でカンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させる際の条件を検討した。その結果、カンデサルタンシレキセチルを溶解させたアセトン、および水の混合溶液において、カンデサルタンシレキセチルの結晶が析出する初期段階の冷却速度を従来の方法よりも遅くすることにより、驚くべきことに、平均粒子径の小さい粒子(結晶)が得られることを見出し、さらに得られた結晶はデスエチル体の増加が抑制された粒子(結晶)であることを見出した。また、種結晶として微粒子のフォームI結晶であるカンデサルタンシレキセチルを用いることにより、より平均粒子径の小さい粒子(結晶)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
下記式(1)
Figure 2011162538
で示されるカンデサルタンシレキセチルが溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下とした後、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで混合溶液を冷却し、カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させることを特徴とするカンデサルタンシレキセチルの製造方法である。
また、40℃以上60℃以下の前記混合溶液に、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径d50が10μm以下であって、融点が158℃以上166℃以下のカンデサルタンシレキセチルの種結晶を加えた後、得られた混合溶液を前記条件で冷却することにより、より平均粒子径が小さく、デスエチル体の増加が少ないカンデサルタンシレキセチルとすることができる。
また、この方法によれば、安定な結晶形であるフォームI結晶であるカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。
本発明によれば、カンデサルタンシレキセチルを安定な結晶形を保持したまま、粒子径が小さく、効率よく、高収率、かつ高純度で得ることができる。具体的には、カンデサルタンシレキセチルの純度を高めることができると共に、得られたカンデサルタンシレキセチルは、体積平均粒子径(d50)を10μm以下とすることもできる。しかも、容易にフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルとすることもできる。そのため、デスエチル体が少なく、かつデスエチル体の増加も少ない、高純度で安定な平均粒子径の小さいフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルを容易に得ることができる。
本発明は、カンデサルタンシレキセチルが溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下とした後、該混合溶液を冷却し、その温度が30℃となるまでの冷却速度を5℃/時間以上40℃/時間以下として、カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させる方法である。
先ず、アセトン、および水の混合溶媒中に溶解するカンデサルタンシレキセチルについて説明する。
(混合溶媒中に溶解するカンデサルタンシレキセチル(対象物))
アセトン、および水の混合溶媒中に溶解するカンデサルタンシレキセチル(以下、対象物とする場合もある)は、特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば、特許文献1、または4に記載の方法で製造することができる。また、対象物となる結晶も、特に制限されるものではなく、フォームI結晶、その他の結晶、およびそれらの混合物であってもよい。さらに、対象物は、詳述する混合溶媒に溶解できればよく、塊状物であってもよい。そのため、精製された塊状物、および該塊状物を粉砕した粉砕物、例えば、特許文献4の参考例12で得られたカンデサルタンシレキセチルの塊状物、および粉砕物を対象物とすることもできる。また、本発明においては、下記に詳述するアセトンと水の混合溶媒中にカンデサルタンシレキセチルが溶解している混合溶液とすればよいため、アセトンおよび/または水を含む湿体が対象物となってもよい。
カンデサルタンシレキセチルの製造方法を例示すれば、下記式(3)で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチル(化学名称:(±)−1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2―エトキシ−1−[[2’−(1−トリフェニルメチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボキシラートを脱トリチル化する方法を挙げることができる。なお、このトリチルカンデサルタンシレキセチルの製造方法も、特許文献1、または4に記載に記載されている。
Figure 2011162538
前記式(3)で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化は、メタノール、水、酸、またはアルカリを使用することにより実施できる。例えば、メタノール、および1N−塩酸存在下、室温でトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行うことができる。また、メタノール、塩化水素存在下、塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素溶媒中、室温でトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行うこともできる。このように酸を使用した場合には、中和処理を行うことが好ましい。酸を使用しない方法としては、塩化メチレン、またはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素中、メタノール存在下、溶媒の還流温度下でトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行う方法を挙げることができる。酸を使用しない方法を採用することにより、中和処理等を省略することができる。
本発明の方法は、前記の通り、トリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化反応を行うことにより得られるカンデサルタンシレキセチル(以下、第一粗体とする場合もある)を対象物とすることができる。第一粗体を対象物とする場合、脱トリチル化の反応条件にもよるが、カンデサルタンシレキセチルの純度が94.0%以上98.0%以下程度となる。また、この第一粗体中には、デスエチル体が0.5%以上3.0%以下程度含まれる場合がある。
なお、上記のカンデサルタンシレキセチルの純度、およびデスエチル体の含有量は、下記の実施例で記載した条件で求めた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のピーク面積%の値である。以下、本発明において、カンデサルタンシレキセチルの純度、デスエチル体の含有量は、同様の測定で求めたピーク面積%の値である。
本発明の方法によれば、対象物にデスエチル体が含まれる場合でも、効率よく該デスエチル体を低減することができる。そのため、前記第一粗体を対象物とすることができる。ただし、最終的に得られるカンデサルタンシレキセチルの純度をより高くするためには、対象物に含まれるデスエチル体の量を低減しておくことが好ましい。そのため、以下の方法により第一粗体を精製したものを対象物とすることが好ましい。
具体的には、アセトン、または、アセトン、および水との混合溶媒で前記第一粗体を再結晶して精製したものを対象物とすることが好ましい。アセトンにより再結晶することにより、第一粗体に残留するトリチルカンデサルタンシレキセチルをより低減することができる。また、アセトン、および水との混合溶媒により再結晶することによりデスエチル体を低減することができる。中でも、トリチルカンデサルタンシレキセチル、デスエチル体の不純物をより低減したものを対象物とするためには、以下の方法で第一粗体を精製することが好ましい。
先ず、第一粗体をアセトンにより再結晶することが好ましい。アセトンで再結晶する場合には、第一粗体に含まれるカンデサルタンシレキセチル1gに対して、アセトンを1ml以上5ml以下使用することが好ましく、さらには、1.5〜4ml使用することが好ましい。また、第一粗体を溶解させる際の温度は40℃以上還流温度以下とすることが好ましい。第一粗体が溶解したアセトン溶液は、例えば、5℃以上60℃以下の冷却速度で0℃以上10℃以下の温度まで冷却し、結晶を析出させることが好ましい。この際、種結晶を使用することもできる。得られた結晶は、公知の方法で分取してやればよい。このような方法で得られた結晶(以下、第二粗体とする)は、カンデサルタンシレキセチルの純度を98.5%以上99.9%以下程度とすることもでき、デスエチル体の含有量を0.05%以上0.15%以下程度とすることができる。本発明の方法は、このような第二粗体を対象物とすることができるが、特にデスエチル体の量を低減するためには、この第二粗体をさらに、以下の方法で精製したものを対象物とすることが好ましい。
つまり、次に、第二粗体をアセトン、および水の混合溶媒で再結晶することが好ましい。特に、以下の手順に従い、再結晶することが好ましい。具体的には、アセトンに第二粗体が溶解した溶液を50℃以上還流温度以下とし、5℃以上60℃以下の冷却速度で20℃以上30℃以下まで冷却し、次いで、水を加えて結晶を析出させ、さらに、5℃以上60℃以下の冷却速度で0℃以上10℃まで冷却する方法である。この際、種結晶を使用することもできる。得られた結晶は、公知の方法で分取してやればよい。上記方法において、アセトンの使用量は、第二粗体に含まれるカンデサルタンシレキセチル1gに対して、5ml以上15ml以下とすることが好ましく、さらに、6ml以上13ml以下とすることが好ましい。また、水の使用量は、第二粗体に含まれるカンデサルタンシレキセチル1gに対して、1ml以上6ml以下とすることが好ましく、さらに、1.5ml以上4ml以下とすることが好ましい。このような方法で得られた結晶(以下、第三粗体とする)は、カンデサルタンシレキセチルの純度を99.0以上%99.9%以下程度とすることもでき、デスエチル体の含有量を0.01%以上0.1%以下とすることができる。また、上記方法で得られた第三粗体は、カンデサルタンシレキセチルの融点が120℃付近であるフォームII結晶となる場合が多い。また、この第三粗体は、アセトン、および水が含まれてもよい。
本発明においては、上記方法で精製された第三粗体を対象物とすることが好ましい。特に、トリチルカンデサルタンシレキセチルからカンデサルタンシレキセチルを製造した場合には、第一粗体、または第二粗体を対象物とすることもできるが、溶媒の使用量、操作性、生産効率を考慮すると、第三粗体を対象物とすることが好ましい。第三粗体を対象物とすることにより、効率よく、トリチルカンデサルタンシレキセチル、デスエチル体を除去することができる。なお、第三粗体を製造する際、アセトンによる再結晶、アセトン、および水の混合溶媒による再結晶という順で説明したが、当然のことながら、アセトン、および水の混合溶媒による再結晶、アセトンによる再結晶の順で精製を行うこともできる。
本発明においては、上記のような対象物が溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下とした後、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで冷却し、カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させることを特徴とする。次に、このカンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させる方法について説明する。
(カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させる方法)
本発明においては、先ず、上記のような対象物が溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下とする。
本発明において、対象物をアセトン、および水の混合溶媒に溶解させる方法は、特に制限されるものではない。具体的には、予めアセトン、および水を混合した混合溶媒と対象物とを混合し、対象物を溶解させる方法を挙げることができる。中でも、溶媒の使用量を低減するためには、先ず、対象物とアセトンとを混合し、その後、水を混合する方法を採用することが好ましい。
本発明において、対象物を溶解させるアセトン、および水の混合溶媒は、特に制限されるものではないが、アセトンと水との容量比率(アセトン/水)が4/1〜1/1となることが好ましい。前記範囲以外でも平均粒子径の小さい、安定なカンデサルタンシレキセチルを製造することができるが、得られるカンデサルタンシレキセチルの結晶が、融点が120℃付近のフォームII結晶となり易い。そのため、最も有用なフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルとするためには、アセトンと水との容量比率(アセトン/水)が4/1〜1/1の混合溶媒を使用することが好ましい。なお、この容積比率は、23℃におけるアセトンと水との容積の割合である。
本発明において、アセトン、および水の混合溶媒の使用量は、容量比率、冷却温度等に応じて適宜決定すればよいが、対象物に含まれるカンデサルタンシレキセチル1gに対して、2ml以上30ml以下とすることが好ましく、特にフォームI結晶を得るためには3ml以上12ml以下とすることが好ましい。この範囲であれば、純度の高いカンデサルタンシレキセチルを効率よく製造することができる。
本発明においては、上記のような対象物が溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度を40℃以上60℃以下としなければならない。混合溶液の温度が40℃未満の場合は、混合溶媒の使用量が増加したり、カンデサルタンシレキセチルの収量が低下するため好ましくない。さらに、フォームI結晶を取得し難くなるため好ましくない。一方、60℃を超える場合には、デスエチル体が増加し易くなるため好ましくない。操作性、カンデサルタンシレキセチルの収量、デスエチル体低減、およびフォームI結晶の取得の容易さ等を考慮すると、混合溶液の温度は、45℃以上57℃以下とすることが好ましく、さらに、47℃以上55℃以下とすることが好ましい。
混合溶液の温度を前記範囲とする方法は、特に制限されるものではない。例えば、対象物と混合溶媒とを混合した後、得られた混合溶液の温度を40℃以上60℃以下に加熱する方法を採用することができる。また、予め混合溶媒の温度を40℃以上60℃以下とした後、対象物を混合する方法を採用することもできる。また、操作性、生産性を考慮すると、先ず、対象物とアセトンとを混合し、40℃以上アセトンの還流温度以下、好ましくは50℃以上アセトンの還流温度以下に加熱し、次いで、40℃未満、または60℃を超える温度とならないように所定量の水(必要に応じて温水)を混合する方法を採用することが好ましい。この間、混合溶液は、攪拌混合しておくことが好ましい。
次に、本発明においては、上記方法により得られた、40℃以上60℃以下の温度である混合溶液を、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で30℃の温度となるように冷却する。30℃とするまでの冷却速度が前記範囲を満足することにより、純度が高く、平均粒子径の小さい、安定なカンデサルタンシレキセチルを製造することができる。この冷却速度は、40℃以上60℃以下の範囲にある所定温度から混合溶液を冷却し始め、混合溶液の温度が30℃となるまでの時間を計ることにより求めることができる。そのため、混合溶液を冷却する前にその温度を調整する場合には、以下のようにして冷却速度を求める。例えば、40℃の温度に混合溶液を調整し、その後、50℃の温度に混合溶液を調整し、50℃の温度に調整した該混合溶液を冷却し始めた場合には、所定温度は50℃であり、混合溶液の温度が50℃から30℃となるまでの時間(X時間)を計ることにより冷却速度(20℃/X時間)を求めることができる。
本発明の冷却速度の限定は、公知の方法よりも、ゆっくりと冷却することを示す。通常の再結晶であれば、冷却速度が速い方が、粒子径の小さい結晶を得ることができる。しかしながら、本発明者等の検討によれば、カンデサルタンシレキセチルの場合には、結晶が析出する初期段階(結晶が析出しようとする段階)にゆっくりと冷却することにより、平均粒子径の小さいカンデサルタンシレキセチルを製造できることが分かった。この理由は明らかではないが、特定の分子構造を有し、分子量が非常に大きいカンデサルタンシレキセチルと、アセトン、および水の混合溶媒とを使用し、特定の温度、冷却速度で結晶を析出させる場合の特有の現象であると考えられる。なお、混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度を限定したのは、この初期段階の冷却条件を規定するためである。
本発明においては、40℃以上60℃以下の温度である混合溶液を、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで冷却する。冷却速度が5℃/時間未満の場合には、製造時間に対して平均粒子径を小さくする効果があまり発揮されず、生産効率が低下するため好ましくない。一方、冷却速度が40℃/時間を超える場合には、得られる結晶の平均粒子径が増大する傾向にあるため好ましくない。適切な平均粒子径の制御を考慮すると、冷却速度は、5℃/時間以上35℃/時間以下とすることが好ましく、さらに、8℃/時間以上30℃/時間以下とすることが好ましい。冷却速度を前記範囲とするためには、特に制限されるものではなく、外部から加熱したり、冷却することにより、混合溶液の温度を調整してやればよい。なお、冷却中、混合溶液は、攪拌混合しておくことが好ましい。40℃以上60℃以下の温度である混合溶液を30℃の温度まで冷却する冷却時間は、40℃以上60℃以下の範囲にある所定温度、および冷却速度によって決まるが、40分以上300分以上の時間とすることが好ましく、さらに、50分以上200分以下の時間とすることが好ましく、特に、60分以上180分以下の時間とすることが好ましい。
また、前記混合溶液には、フォームI結晶の種結晶を混合することもできる。種結晶を使用する場合には、対象物が溶解したアセトン溶液の温度を40℃以上アセトンの還流温度以下とし、該アセトン溶液と水(必要に応じて温水)とを混合する際に、種結晶を混合することもできる。種結晶を使用する場合、その使用量は、特に制限されるものではないが、対象物に含まれるカンデサルタンシレキセチル100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、さらに、0.2質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
本発明においては、微粒子のフォームI結晶である種結晶を用いることにより、より平均粒子径の小さいカンデサルタンシレキセチルが得られる。該種結晶としては、体積平均粒子径d50が5μm以下のものを使用することが好ましく、さらには2μm以下のものを使用することが好ましい。この範囲の粒子径のものを使用することにより、効率よく、微粒子のカンデサルタンシレキセチルを得ることができる。得られたこの微粒子のカンデサルタンシレキセチルは、粉砕の必要がないため、デスエチル体が低減されたものとなる。なお、種結晶の粒子径の下限は、所望とするカンデサルタンシレキセチルの粒子径により適宜決定すればよいが、種結晶の生産性、取り扱い易さを考慮すると、体積平均粒子径d50が0.1μm以上である。
本発明において、前記種結晶を使用する場合、該種結晶は、公知の方法で製造されたカンデサルタンシレキセチル、本発明の方法で製造されたカンデサルタンシレキセチルから調整することができる。具体的には、上記方法等で得られたフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルを粉砕したり、篩い分けすることにより得ることができる。
フォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルを粉砕して種結晶とする方法は、特に制限されるものではなく、公知の粉砕機を使用すればよい。中でも、ジェットミルを使用することが好ましい。ジェットミルは、高速の気流によって粒子を加速し、粒子同士の衝突によって粉砕を行う装置であり、連続処理、大量処理が可能であり、発生した摩擦熱は直ちに除去できるし、装置を小型化でき、メンテナンスし易いなどの利点がある。
ただし、上記方法で粉砕して得られる種結晶は、粉砕後、長時間保存していないものを使用することが好ましい。種結晶の使用量は少ないため、その影響は少ないが、前記の通り、粉砕したフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルは、デスエチル体の含有量が増加する傾向にある。そのため、粉砕して得られた種結晶は、粉砕後、直に使用するか、粉砕後、0℃以上10℃以下の温度範囲で1ヶ月程度まで保存したものを使用することが好ましい。種結晶として使用する微粒子は、デスエチル体が2%以下であることが好ましい。特に、種結晶の生産性、最終的に得られるカンデサルタンシレキセチルの純度を考慮すると、種結晶に含まれるデスエチル体は、0.01%以上1%以下であることがより好ましい。
本発明においては、40℃以上60℃以下の温度である混合溶液を、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで冷却すれば、その後の処理は、特に制限されるものではない。30℃までの冷却条件により、最終的に得られるカンデサルタンシレキセチルの粒子の大きさが決定されるものと考えられる。そのため、それ以降の条件は、特に制限されるものではないが、カンデサルタンシレキセチルの収量を考慮すると、以下のように処理することが好ましい。例えば、混合溶液の温度が30℃となった後は、30℃に混合溶液の温度を保持してもよいし、そのまま、より低い温度に冷却してもよい。また、20℃以上30℃以下に保持した後、さらに冷却してより低い温度としてもよい。
特に、カンデサルタンシレキセチルの収量を考慮すると、30℃の混合溶液を冷却し、0℃以上15℃以下の温度(冷却到達温度)とすることが好ましい。この際、新たに、アセトン、および水は加えない方がよい。上記範囲の冷却到達温度とする場合、混合溶液の温度を30℃から0℃以上15℃以下に冷却する際の冷却速度は、特に制限されるものではなく、1℃/時間以上60℃/時間以下とすればよい。本発明においては、30℃までの冷却条件でカンデサルタンシレキセチルの粒子の大きさが決まるため、この間の冷却速度は、上記範囲内で変更することもできる。また、冷却到達温度に混合溶液を保持する時間は、特に制限されるものではないが、通常、1時間以上48時間以下であればよい。なお、0℃以上15℃以下に冷却するまでの間、冷却到達温度に達してからの保持する間は、混合溶液を攪拌混合しておくことが好ましい。
以上のような方法で平均粒子径の小さい、安定なカンデサルタンシレキセチルの結晶を析出することができる。得られた結晶は、ろ過や遠心分離などにより固液分離し、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などにより乾燥することにより単離してやればよい。
得られたカンデサルタンシレキセチルは、下記の実施例の測定条件において、体積平均粒子径d50が10μm以下、より好ましくは3μm以上8μm以下のものであって、デスエチル体の増加が非常に少ない結晶とすることができる。さらには、40℃以上60℃以下の温度である混合溶液に体積平均粒子径d50が5μm以下であるフォームI結晶の種結晶を加えることにより、体積平均粒子径d50が8μm以下、より好ましくは2μm以上5μm以下であって、デスエチル体の増加が非常に少ない結晶とすることができる。
また、本発明によれば、粒子径の小さい、融点が158℃以上166℃以下であるフォームI結晶のカンデサルタンシレキセチルを得ることができる。そのため、粉砕することなく、そのまま医薬品として十分に使用可能である。また、本発明の方法で得られたカンデサルタンシレキセチルは、篩い分けや、少しの粉砕により、より小さな粒子であって、粒度分布の狭い結晶とすることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制
限されるものではない。
なお、実施例、比較例で得られたカンデサルタンシレキセチルの平均粒子径の測定、カンデサルタンシレキセチルの純度、デスエチル体の含有量の測定、カンデサルタンシレキセチルの融点の測定は、以下のように行った。
<平均粒子径測定方法>
装置:レーザー回折方式粒度分布計
機種:Helos&Rodos system(Sympatec)
計算:Windox5.2
分散圧:1.5bar
引圧:0
回転:なし
以上の条件により、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径d50を求めた。
<カンデサルタンシレキセチルの純度、デスエチル体の含有量の測定>
装置:WATERS社製 型式2695−2489−996
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:株式会社ジーエルサイエンス社製 商品名 Inertsil ODS−3、内径4.6mm、長さ15cm(粒子径5μm、細孔径12nm)
カラム温度:40℃ 一定温度
サンプル温度:25℃ 一定温度
移動相:アセトニトリル/1%酢酸水溶液=80/20
流量:1.5ml/分
上記条件において、カンデサルタンシレキセチルは約4.9分にピークが確認され、デスエチル体は、約3.0分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、カンデサルタンシレキセチルの純度、デスエチル体の含有量は共に、上記条件で測定したピーク面積%の値である。
<カンデサルタンシレキセチルの融点>
柴田科学株式会社製 型式B−540の装置を使用して、150℃から180℃まで1℃/分で昇温して結晶の融点を求めた。
製造例1(カンデサルタンシレキセチルの製造)
10L 4つ口フラスコに、トリチルカンデサルタンシレキセチル1086g、クロロホルム1300ml、メタノール4400mlを加え、60℃で4時間反応した(反応終了時、カンデサルタンシレキセチルの純度は96.4%、デスエチル体の含有量は1.08%であった。)。反応後、45℃で溶媒を減圧濃縮し、アセトン3300mlを加え、10℃以上30℃以下で終夜撹拌した。次いで、0℃で2時間撹拌後、遠心分離して析出した結晶を分取し、第二粗体の湿体を得た(カンデサルタンシレキセチルの純度99.7%、デスエチル体0.11%)。この第二粗体を5250mlのアセトンに50℃で溶解し、溶解後、冷却して27℃とした。この溶液に1750mlの水を加え、20℃以上30℃以下で終夜撹拌した。次いで、0℃で2時間撹拌後、遠心分離して析出した結晶を分取し、該結晶を乾燥し、カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%の第三粗体を496g得た。
製造例2(種結晶の製造)
カンデサルタンシレキセチル(フォームI結晶)1kgを、日本ニューマチック工業社製ジェットミル(型式PJM−80SP)を用いて、供給速度0.80kg/hr、粉砕圧力0.6MPaで粉砕を行い、微粒子のカンデサルタンシレキセチル600g(回収率60%)を得た。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、体積平均粒子径d50が1.1μmであった。デスエチル体の含有量は、0.06%であった。この粉砕した微粒子を種結晶として以下の実施例4、5に使用した。
実施例1
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン180mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、還流温度まで加熱し、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。溶解後、水60mlを加え、攪拌しながら混合溶液の温度を55℃とした。その後、混合溶液を攪拌しながら65分かけて混合溶液の温度を30℃まで冷却した(この時点で結晶が一部析出していた。混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度は23℃/時間であった。)。
さらに、その後、混合溶液を攪拌しながら30分かけて混合溶液の温度を1℃まで冷却し、そのまま、2時間攪拌した。得られた溶液には、結晶が析出しており、遠心分離機で結晶を分取し、乾燥した。得られた結晶は、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.01%)のカンデサルタンシレキセチルであった(収量27.1g(収率90%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が6.5μmであった。また、融点は163.2℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH(湿度60%)、40℃、75%RH(湿度75%)、60℃、90%RH(湿度90%)で保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
実施例2
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン180mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、50℃で加熱して、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。純水60mlを加え、攪拌しながら混合溶液の温度を50℃とした。その後、混合溶液を攪拌しながら60分かけて混合溶液の温度を30℃まで冷却した(この時点で結晶が一部析出していた。混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度は20℃/時間であった。)。
さらに、その後、混合溶液を攪拌しながら30分かけて混合溶液の温度を1℃まで冷却し、そのまま、2時間攪拌した。得られた溶液には、結晶が析出しており、遠心分離機で結晶を分取し、乾燥した。得られた結晶は、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.04%)のカンデサルタンシレキセチルであった(収量27.9g(収率93%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が6.1μmであった。また、融点は163.1℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH、40℃、75%RH、60℃、90%RHで保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
実施例3
実施例1の30℃まで冷却するのにかける時間を175分に変えて行った以外は、実施例と同様な方法で行った(冷却速度を8.6℃/時間とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。)。その結果、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.03%)のカンデサルタンシレキセチルが得られた(収量27.2g(収率91%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が6.3μmであった。また、融点は163.2℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH、40℃、75%RH、60℃、90%RHで保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
実施例4
直径60cmの3枚撹拌翼を供えた3000Lの反応釜に、製造例1と同様の方法で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)55kg、アセトン259kgを仕込んで、撹拌速度90rpmで撹拌し、53℃に加熱して、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。この溶液に55℃の純水109kgを加えた。得られた混合溶液を攪拌しながら溶液の温度を50℃とし、製造例2で得られた種結晶550gを加えた。その後、混合溶液を攪拌しながら45分かけて混合溶液の温度を30℃まで冷却した(この時点で結晶が一部析出していた。混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度は27℃/時間であった。)。
さらに、前記混合溶液を30℃から22℃となるまで8時間攪拌した後、攪拌しながら2時間かけて22℃から混合溶液の温度を5℃まで冷却し、5℃に保持したまま、5時間攪拌した。得られた溶液には、結晶が析出しており、遠心分離機で結晶を分取し、乾燥した。得られた結晶は、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.01%)のカンデサルタンシレキセチルであった(収量47kg(収率85%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が2.8μmであった。また、融点は162.0℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH、40℃、75%RH、60℃、90%RHで保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
実施例5
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン180mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、還流温度まで加熱し、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。溶解後、水60mlを加え、攪拌しながら混合溶液の温度を55℃とし、製造例2で得られた種結晶0.3gを加えた。その後、混合溶液を攪拌しながら60分かけて混合溶液の温度を30℃まで冷却した(この時点で結晶が一部析出していた。混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度は25℃/時間であった。)。
さらに、その後、混合溶液を攪拌しながら30分かけて混合溶液の温度を1℃まで冷却し、そのまま、2時間攪拌した。得られた溶液には、結晶が析出しており、遠心分離機で結晶を分取し、乾燥した。得られた結晶は、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.02%)のカンデサルタンシレキセチルであった(収量27.3g(収率91%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が3.8μmであった。また、融点は163.0℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH、40℃、75%RH、60℃、90%RHで保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
実施例6
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン180mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、還流温度まで加熱し、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。溶解後、水60mlを加え、攪拌しながら混合溶液の温度を50℃とした。その後、混合溶液を攪拌しながら70分かけて混合溶液の温度を30℃まで冷却した(この時点で結晶が一部析出していた。混合溶液の温度が30℃となるまでの冷却速度は17℃/時間であった。)。
さらに、前記混合溶液を30℃から20℃となるまで8時間攪拌した後、攪拌しながら1時間かけて20℃から混合溶液の温度を2℃まで冷却し、2℃に保持したまま、3時間攪拌した。得られた溶液には、結晶が析出しており、遠心分離機で結晶を分取し、乾燥した。得られた結晶は、純度99.9%(デスエチル体の含有量0.01%)のカンデサルタンシレキセチルであった(収量27.5g(収率92%))。このカンデサルタンシレキセチルの結晶は、平均粒子径d50が6.7μmであった。また、融点は163.2℃であり、フォームI結晶であることが確認された。
このカンデサルタンシレキセチルを25℃、60%RH、40℃、75%RH、60℃、90%RHで保存安定性試験を2ヶ月行った。結果を表1に示した。
Figure 2011162538
比較例1
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン450mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、40℃以上50℃以下の温度で加熱し、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた。次いで、減圧濃縮し、カンデサルタンシレキセチルの濃度を約30%w/w(アセトン量125ml)とした。予め60℃まで加熱した純水10mlを添加し、約10分間撹拌した。純水20mlを約5分間で滴下し、53℃で約1時間撹拌した。30℃まで約30分間(冷却速度46℃/時間)で冷却し、アセトン/水=3/1の混合液を30ml添加し、1℃まで冷却し、1℃で1時間撹拌した後、遠心分離機で結晶を分取した。乾燥後、純度99.8%(デスエチル体の含有量0.06%)のカンデサルタンシレキセチルが得られた(収量27.6g(収率92%))。このカンデサルタンシレキセチルの平均粒子径d50は1560μmであった。
比較例2
500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30gを塩化メチレンに溶解させ、溶媒留去し、アモルファスのカンデサルタンシレキセチルを得た。直径5cmの2枚撹拌翼を供えつけ、エタノール180mlを加えて、25℃で3時間撹拌し、8℃以下に冷却し、1時間撹拌した後、遠心分離機で結晶を分取した。乾燥後、純度99.8%(デスエチル体の含有量0.06%)のカンデサルタンシレキセチルが得られた(収量28.5g(収率95%))。このカンデサルタンシレキセチルの平均粒子径d50は1580μmであった。
比較例3
直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、メタノール163mlを仕込んで、撹拌速度100rpmで撹拌し、還流温度まで加熱し溶解させた。この溶液を23℃まで冷却し、4時間撹拌後、遠心分離機で結晶を分取した。乾燥後、純度99.8%(デスエチル体の含有量0.10%)のカンデサルタンシレキセチルが得られた(収量25.5g(収率85%))。このカンデサルタンシレキセチルの平均粒子径d50は1570μmであった。
比較例4
500ml 4つ口フラスコに、製造例1で得られた第三粗体(カンデサルタンシレキセチルの純度99.9%、デスエチル体の含有量0.04%)30g、アセトン330mlを仕込んで、還流温度まで加熱し、カンデサルタンシレキセチルを溶解させた(アセトン溶液を調整した。)。直径5cmの2枚撹拌翼を供えた500ml 4つ口フラスコに、水150mlを加え、撹拌速度100rpmで撹拌し、調整したカンデサルタンシレキセチルのアセトン溶液を20〜25℃で添加し、30分間撹拌後、0℃で30分間撹拌した後、遠心分離機で結晶を分取した。乾燥後、純度99.8%(デスエチル体の含有量0.10%)のカンデサルタンシレキセチルが得られた(収量24.9g(収率83%))。このカンデサルタンシレキセチルは、凝集粒のある結晶として得られ、レーザー回折方式粒度分布計では平均粒子径が測定できなかった。

Claims (3)

  1. 下記式(1)
    Figure 2011162538

    で示されるカンデサルタンシレキセチルが溶解したアセトン、および水の混合溶液の温度
    を40℃以上60℃以下とした後、5℃/時間以上40℃/時間以下の冷却速度で混合溶液の温度が30℃となるまで混合溶液を冷却し、カンデサルタンシレキセチルの結晶を析出させることを特徴とするカンデサルタンシレキセチルの製造方法。
  2. 温度が40℃以上60℃以下の前記混合溶液に、累積体積粒子径が50%となる体積平均粒子径d50が5μm以下であって、融点が158℃以上166℃以下のカンデサルタンシレキセチルの種結晶を加えた後、該混合溶液を冷却することを特徴とする請求項1に記載のカンデサルタンシレキセチルの製造方法。
  3. 析出させたカンデサルタンシレキセチルの結晶の融点が158℃以上166℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のカンデサルタンシレキセチルの製造方法。
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