JP7177796B2 - アジルサルタンa型結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明においては、前記アジルサルタンM型結晶を溶媒に対して分割して接触させることがより好ましい。
本発明の製造方法において、原料となるアジルサルタンM型結晶は、Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=9.4°、11.5°、13.3°、14.8°、26.0°に特徴的なピークを有する化合物である。この場合、X線回折角の測定誤差は、±0.2°まで許容される。このアジルサルタンM型結晶のX線回折測定結果を図1に示した。
前記アジルサルタンM型結晶の製造において使用される粗アジルサルタンは、特に制限されず、公知の方法で製造されたものを使用することができる。例えば、特許文献1に記載の方法、すなわち、アジルサルタンメチルエステル(化学名称:メチル-1-[[2′-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4- オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンゾイミダゾール-7-カルボキシレート)をメタノールと水酸化リチウム水溶液の混合溶液中で3時間、加熱還流しながら反応させることによって製造することができる(特許文献1、実施例1eを参照)。
本発明のアジルサルタンA型結晶の製造方法は、前述のアジルサルタンM型結晶と、プロトン性溶媒、エステル類、アセトニトリルの中から選択される少なくとも一つの溶媒と、を接触させることを特徴とする。かかる方法によって、アジルサルタンM型結晶は、溶媒媒介転移によってアジルサルタンA型結晶へと変化しているものと推測される。ここで、溶媒媒介転移現象とは、溶液中で溶質が溶解度の差に基づき転移する現象であり、準安定形結晶(本発明においてはアジルサルタンM型結晶を指す)が溶解すると共に安定形結晶(本発明においてはアジルサルタンA型結晶を指す)の結晶核が発生して成長することにより転移が進行する現象である。
本発明において使用する溶媒は、プロトン性溶媒、エステル類、アセトニトリルの中から選択される。当該溶媒を選択することで安定してA型結晶への転移を起こすことが可能となる。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2,4-ジメチル-3-ペンタノール、3-エチル-3-ペンタノール等のアルコール類や、酢酸、ギ酸等の有機酸溶液、水などを含むプロトン性溶媒; 酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類; アセトニトリルが挙げられる。この中でも、得られるアジルサルタンA型結晶の収率、純度、およびデスエチル体の除去効果という点から、プロトン性溶媒を選択することが好ましく、中でもアルコール類を選択することが特に好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、水が好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノールが特に好ましい。当該溶媒を選択することで、効率的にデスエチル体を除去することが出来、より高純度化されたアジルサルタンA型結晶を取得することができる。
本発明において、アジルサルタンM型結晶と溶媒とを接触させる方法は特に制限されず、添加順序や添加方法も制限されるものではない。さらに、本発明におけるアジルサルタンM型結晶と溶媒とを接触させる温度は、選択した溶媒の種類や使用量によって適宜決定すればよく、アジルサルタンM型結晶がA型結晶に十分変換される条件下で行えば良い。また、接触させる時間も同様である。通常、接触させる温度が低い場合には、アジルサルタンM型結晶からアジルサルタンA型結晶への転移速度が遅くなるため、接触させる時間は長くなる。一方で、接触させる温度が高い場合には、転移速度は速くなる。しかし、接触させる温度が高すぎる場合には、加水分解物である前述のデスエチル体の含有量が増加する。そのため、0℃以上45℃以下で行うことが好ましく、5℃以上35℃以下で行うことが特に好ましい。接触させる時間は、通常1時間以上である。
本発明の方法において、得られるアジルサルタンA型結晶は、Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.7°に特徴的なピークを有する化合物である。この場合、X線回折角の測定誤差は、±0.2°まで許容される。このアジルサルタンA型結晶のX線回折測定結果を図2に示した。また、本発明におけるアジルサルタンA型結晶は、アジルサルタンの結晶形の中でも最も高い融点を示す。示差走査熱量(DSC)測定で決定される融点は、200℃以上214℃以下である。本発明において、示差走査熱量(DSC)測定で決定される融点は、測定により得られた吸熱ピークのピークトップ温度を指す。
装置:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
機種:2695-2489-2998(Waters社製)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
カラム:Kromasil C18、内径4.6mm、長さ15cm(粒子径5μm)
(AkzoNobel社製)
カラム温度:30℃一定
サンプル温度:25℃一定
移動相A:アセトニトリル
移動相B:15mMリン酸二水素カリウム水溶液(pH=2.5 リン酸にて調整)
移動相の送液:移動相A,Bの混合比を下記表1のように変えて濃度勾配制御する。
流速:1.0mL/min
測定時間:40分
試料に含まれる各溶媒の残留溶媒量は、下記の条件にて、ガスクロマトグラフィー(GC)による測定をして求められた各溶媒のピーク面積値から、検量線法により算出した。ここで、各溶媒の残留溶媒量は、試料の質量に対する各溶媒の質量の割合を示したものである。
装置:島津製作所製 GC-2010 Plus
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
カラム:アジレント・テクノロジー社製 DB-WAX(長さ30m、内径0.530mm、膜厚:1.00μm)
カラム温度:40℃付近の一定温度で注入後、5分間維持し、次いで毎分10℃で230℃まで昇温し、230℃で10分間維持した。
注入口温度:180℃
検出器温度:260℃
キャリアーガス:He
カラム圧力:3.071psi
上記条件において、メタノールは約5.5分にピークが確認される。
装置:X線回折装置(XRD)
機種:SmartLab(株式会社リガク製)
測定方法:ASC6 BB Dtex
X線出力:40kV-30mA
波長:CuKa/1.541882Å
装置:示差走査熱量計(DSC)
機種:DSC6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)
昇温条件:5℃/分
ガス:アルゴン
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた1000mL四つ口フラスコにアジルサルタンメチルエステル(アジルサルタンメチルエステル純度:99.1%)50gを量りとり、1.25M水酸化ナトリウム水溶液400mLを加え、70℃まで加熱した後、同温度にて2時間反応を行った。反応後の粗アジルサルタン溶液に含まれるアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.62%、アジルサルタンデスエチル体:0.06%、アジルサルタン二量体:0.08%であった。反応後の溶液を40℃まで冷却した後、同温度でアセトン250mL、酢酸170mL、水170mLを加えて、粗アジルサルタンの結晶を析出させた。反応液を-20℃/時間の速度で20℃まで冷却した後、同温度で6時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で乾燥して、47gの粗アジルサルタンの結晶を得た(収率:96.4%)。この粗アジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.71%、アジルサルタンデスエチル体:0.06%、アジルサルタン二量体:0.06%であった。また、この粗アジルサルタンを試料として、XRDを測定すると2θ=9.2°、12.1°、21.7°、23.7°に特徴的なピークを有するA型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。
直径15cmの2枚撹拌翼を備えた5000mL四つ口フラスコにアジルサルタンメチルエステル(アジルサルタンメチルエステル純度:99.1%)250gを量りとり、1.25M水酸化ナトリウム水溶液2000mLを加え、70℃まで加熱した後、同温度にて2時間反応を行った。反応後の粗アジルサルタン溶液に含まれるアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.61%、アジルサルタンデスエチル体:0.06%、アジルサルタン二量体:0.08%であった。反応後の溶液を30℃まで冷却した後、精製白鷺(大阪ガスケミカル製、比表面積:1430m2/g、累計細孔容積:1.17mL/g)12.5gを加えて、20~30℃で1時間撹拌を行った。活性炭処理後の溶液に含まれるアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.85%、アジルサルタンデスエチル体:0.05%、アジルサルタン二量体:0.01%であった。次いで、減圧濾過して精製白鷺を除去し、得られたろ液を40℃まで加温した後、同温度でアセトン1250mL、酢酸850mL、水850mLを加えて、粗アジルサルタンの結晶を析出させた。反応液を-20℃/時間の速度で20℃まで冷却した後、同温度で6時間撹拌した。次いで、得られたスラリー液を減圧濾過して析出した結晶を分取し、40℃で乾燥して、231gの粗アジルサルタンの結晶を得た(収率:95.4%)。この粗アジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.89%、アジルサルタンデスエチル体:0.04%、アジルサルタン二量体:未検出であった。また、この粗アジルサルタンを試料として、XRDを測定すると2θ=9.2°、12.0°、21.6°、23.6°に特徴的なピークを有するA型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。
直径7.5cmの2枚撹拌翼を備えた1000mL三つ口フラスコに製造例2で得られた粗アジルサルタン70gを量りとり、ジメチルホルムアミド140mLを加えて、35℃で加熱溶解した。得られたアジルサルタン溶液を30℃以下まで冷却した後、酢酸エチル700mLを加え、さらに冷却し、5℃で終夜撹拌した。次いで、減圧濾過して析出した結晶を分取し、50℃で乾燥して、69gのアジルサルタンの結晶を得た(アジルサルタン純度:99.92%、デスエチル体:0.03%)。このアジルサルタンを試料として、XRDを測定すると、図1に示すX線回折チャートが得られ、この結晶は2θ=9.3°、11.5°、13.3°、14.8°、26.0°に特徴的なピークを有するM型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は128℃であった。
直径2.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに製造例3で得られたアジルサルタンM型結晶4gを量りとり、メタノール40mLを加えて、35℃で撹拌しながら溶解した。35℃で1時間保持するとアジルサルタンの結晶が析出してきた。その後、5℃まで冷却し、終夜撹拌した。次いで、減圧濾過して析出した結晶を分取し、50℃で乾燥して、3.2gのアジルサルタンの結晶を得た(収率:80%)。得られたアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.96%、デスエチル体:0.01%であった。また、残留溶媒を測定すると、メタノールが949ppm検出された。さらに、このアジルサルタンを試料として、XRDを測定すると、図2に示すX線回折チャートが得られ、この結晶は2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.7°に特徴的なピークを有するA型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は202℃であった。
直径2.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコにメタノール30mLを加えて、35℃に昇温して撹拌した。製造例3で得られたアジルサルタンM型結晶3gを3回に分けて1時間毎に添加して撹拌した。アジルサルタンM型結晶を全量添加した後、35℃で1時間保持した。その後、5℃まで冷却し、終夜撹拌した。次いで、減圧濾過して析出した結晶を分取し、50℃で乾燥して、2.4gのアジルサルタンの結晶を得た(収率:80%)。得られたアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.96%、デスエチル体:0.01%であった。また、残留溶媒を測定すると、メタノールが257ppm検出された。さらに、このアジルサルタンを試料として、XRDを測定すると、2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.6°に特徴的なピークを有するA型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は203℃であった。
実施例1において、使用する有機溶媒の種類、使用量を変更した以外は同様の操作を行い、得られたアジルサルタンについてHPLC純度測定、およびXRDによる結晶形の確認を行った。結果を表2に示した。
実施例1において、使用する有機溶媒をジメチルホルムアミドに変更した以外は同様の操作を行い、得られたアジルサルタンについてHPLC純度測定、およびXRDによる結晶形の確認を行った。XRDを測定すると、2θ=9.3°、11.5°、13.4°、14.8°、26.0°に特徴的なピークを有するM型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は126℃であった。結果を表2に示した。
実施例1において、使用する有機溶媒をヘプタンに変更した以外は同様の操作を行い、得られたアジルサルタンについてHPLC純度測定、およびXRDによる結晶形の確認を行った。XRDを測定すると、2θ=9.3°、11.5°、13.3°、14.8°、26.1°に特徴的なピークを有するM型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は128℃であった。結果を表2に示した。
実施例1において、使用する有機溶媒をアセトンに変更した以外は同様の操作を行い、得られたアジルサルタンについてHPLC純度測定、およびXRDによる結晶形の確認を行った。XRDを測定すると、2θ=7.6°、8.6°、11.1°、19.0°、21.1°に特徴的なピークを有するH型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。また、DSC測定による融点は177℃であった。結果を表2に示した。
直径5.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに製造例2で得られた粗アジルサルタン6gを量りとり、ジメチルホルムアミド12mLを加えて、35℃で加熱溶解した。得られたアジルサルタン溶液を30℃以下まで冷却した後、酢酸エチル60mLを加え、さらに冷却し、5℃で終夜撹拌した。次いで、減圧濾過して析出したアジルサルタンM型結晶を湿体として得た。
直径5.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコにメタノール60mLを加えて、20℃で撹拌した。上記アジルサルタンM型結晶の湿体を6分割して1時間毎に添加した。全量添加した後、20℃でさらに1時間保持した。その後、5℃まで冷却し、6時間撹拌した。次いで、減圧濾過して析出した結晶を分取し、50℃で乾燥して、4.8gのアジルサルタンの結晶を得た(収率:80%)。得られたアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.97%、デスエチル体:0.01%であった。また、残留溶媒を測定すると、メタノールが180ppm検出された。さらに、このアジルサルタンを試料として、XRDを測定すると、2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.6°に特徴的なピークを有するA型結晶構造のアジルサルタンであることが分かった。
直径5.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコに製造例2で得られた粗アジルサルタン6gを量りとり、ジメチルホルムアミド12mLを加えて、35℃で加熱溶解した。得られたアジルサルタン溶液を30℃以下まで冷却した後、酢酸エチル60mLを加え、さらに冷却し、5℃で終夜撹拌した。次いで、減圧濾過して析出したアジルサルタンM型結晶を湿体として得た。
直径5.5cmの2枚撹拌翼を備えた100mL三つ口フラスコにエタノール30mL、水30mLを加えて、20℃で撹拌した。上記アジルサルタンM型結晶の湿体を6分割して1時間毎に添加した。全量添加した後、20℃でさらに1時間保持した。その後、5℃まで冷却し、7時間撹拌した。次いで、減圧濾過して析出した結晶を分取し、50℃で乾燥して、5.3gのアジルサルタンの結晶を得た(収率:88%)。得られたアジルサルタンは、アジルサルタン純度:99.94%、デスエチル体:0.02%であった。また、残留溶媒を測定すると、エタノールが309ppm検出された。さらに、このアジルサルタンを試料として、XRDを測定すると、2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.7°に特徴的なピークを与えるA型結晶構造を有するアジルサルタンであることが分かった。
Claims (6)
- Cu-Kα線を用いるX線回折により、少なくとも2θ=9.2°、12.1°、21.6°、23.7°に特徴的なピークを有するアジルサルタンA型結晶の製造方法であって、
少なくとも2θ=9.4°、11.5°、13.3°、14.8°、26.0°に特徴的なピークを有するアジルサルタン結晶と、プロトン性溶媒、エステル類、アセトニトリルの中から選択される少なくとも一つの溶媒と、を温度0℃以上45℃以下で、且つ前記アジルサルタン結晶1gに対して前記溶媒を1mL以上50mL以下の量で接触させることを特徴とする方法。 - 前記溶媒がプロトン性溶媒である請求項1記載の方法。
- 前記プロトン性溶媒がアルコール類である請求項1又は2記載の方法。
- 前記アジルサルタン結晶を溶媒に対して分割して接触させる請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
- 前記アジルサルタン結晶1gに対する前記溶媒の使用量が1mL以上15mL以下である請求項1~4の何れか1項に記載の方法。
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