JP2011160967A - 脱臭装置および脱臭方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】浴室に配置した被対象物に付着した匂いを除去する被対象物の脱臭方法であって、浴室に霧状の冷たい水滴を噴霧して被対象物の表面を湿らせ、その後、被対象物の表面に付着した水滴を気化させて、匂い成分を被対象物から遊離するように弾き出し、少なくとも、前記気化と同時或いはその後に、除菌イオンを浴室に発生させるか、又は浴室の換気を行うことを特徴とする。
【選択図】図6
Description
例えば、洗濯機の中にクラスタイオンを発生させ、衣類を水に漬けて行う通常の洗濯をせずに、衣類を消臭するものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、クラスタイオンは、湿度が高くなるほど寿命が長持ちして、除菌消臭作用が高まることが分かったため、この洗濯機は、ドラム内に水蒸気を発生させて、消臭効果を高めている。
また、この洗濯をせずに消臭する洗濯機については、イオンを発生させながら、衣類に温風を当てている(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、温風を当てることでニオイ成分を衣類の生地表面に浮き上がらせ、イオンで容易にニオイ成分を不活性化できるようにしている。
そこで、発明者は、このミスト付き浴室暖房乾燥機の機能をそのまま採用すれば、上述したように、温風を当ててニオイ成分を衣類の生地表面に浮き上がらせ、また水蒸気でクラスタイオンイオンの寿命も長持ちさせて、効果的な脱臭が可能ではないかと考えた。
請求項1の構成によれば、浴室内の霧状の水滴により被対象物の表面を湿らせた後に、その水滴を気化させる(なお、ここにいう「湿らせ」とは、被対象物にたっぷりと水分が染み込むような状態ではなく、主に表面に水滴が付着して水コーティングしたような状態を意味し、「主に表面を濡らす」とも表現できる)。そうすると、この水滴の気化の際、液体である水分子は爆発的に体積を膨張して弾け、これに隣接する匂い成分を被対象物から遊離するように弾き出すことができる。そして、そもそも浴室は広い空間であるため、弾き出された匂い成分が再び衣類に付着する恐れは低く、この匂い成分を弾き出す作用をもって、脱臭効果を発揮できる。
ところで、この被対象物から遊離した匂いは、再び被対象物に付着する恐れが低くても、脱衣所などに付着して異臭として感じられる恐れがある。この点、本発明では、少なくとも、水滴を気化させる(つまり、被対象物から匂い分子を遊離させる)と同時或いはその後に、消臭作用を有するイオンを発生させ、又は浴室の換気をしているので、被対象物から遊離した匂い成分を不活性化又は排気して、異臭発生を防止できる。
<脱臭装置の構成>
図1は本発明の実施形態に係る被対象物の脱臭装置10の概略構成図、図2は図1の脱臭装置10を設置した浴室の概略縦断面図、図3は図1の脱臭装置10の概略構成を示すブロック図である。
これらの図に示される脱臭装置10は、浴室側壁などの浴室の高い位置、好ましくは、図2に示すように天井CEに設置され、浴室内に配置した被対象物OBを消臭する機器・装置である。
脱臭される被対象物OBは、図2では図示しない物干し竿に吊るされた内側空間(つまり裏地側空間LN)を有する衣類が一枚だけ記載されているが、浴室内に収容可能な物であればこれに限られず、浴室の広さを利用して、例えば多数の衣類や、マット・絨毯などの大物であってもよい。そして、被対象物OBの浴室内の配置場所は、脱臭装置10の真下に限られるものではなく、脱臭装置10よりも床側であれば使用者が任意に選択できるようになっている。
なお、本実施形態の脱臭装置10は、単に被対象物OBの匂いを消すだけではなく、入浴用の浴室暖房やミストサウナ等の機能を発揮させるため、従来からある所謂ミスト付き浴室暖房乾燥機の構成(噴霧・暖房・換気・制御手段)を利用している(即ち、符号10の機器ないし装置は、脱臭装置を有するミスト付き浴室暖房乾燥機とされている)。
噴霧手段12は、浴室内に霧状の水滴(以下、「ミスト」という)を噴霧して、被対象物OBを湿らすようにしている。
このミストは、当該水滴径の直径(粒子径)が300μm以下の状態で噴霧され、霧のように舞いながら被対象物の表面にまとわりついて、衣類の主に表面を濡らす粒子径とされている。
図1及び図2の従来のミスト付き浴室暖房機を利用する場合、ミストは霧状の水滴径の直径の概念を表した図4に示すように、粒子径(水滴径の直径)が20μm以下の例えば1μm程度である(温水水滴が皮膚に付かないスチームサウナのような)マイクロミストと、粒子径が20μmより大きく例えば100μm程度である(温水水滴が皮膚に付いても濡れ感がない)スプラッシュミストとがある。
この際、マイクロミスト用の噴霧手段12を利用した場合、散布時の途中気化により、水分に含まれたカルシウムなどを空間にばらまく恐れがあるため、例えば活性炭と中空糸が設けられた浄水装置を設け、この浄水装置内に冷水などを通してミストを噴霧することが好ましい。
本実施形態の場合、高価な浄水装置を使わなくてもいいように、散布時の途中気化を防止できる粒子径の大きなスプラッシュミスト用の噴霧手段12を利用している。
さらに、より好ましくは、このスプラッシュミストの内でも粒子径が大きな100μm程度であるミストを噴霧するのが適しており、これにより、後述するイオン発生装置により放出するクラスタイオンの濃度上昇の阻害要因である空間に浮遊する物質(窒素酸化物、等)を床面にたたき落としてくれる。
なお、ミストは、脱臭装置10としての最低限の機能を満たすためには、人為的な加温や冷却の要否を問わないが、本実施形態の場合、後述の脱臭方法で説明するように浴室内を高温多湿化し、また、入浴用ミスト噴霧のため、加温しない冷水だけではなく温水も噴霧できるようになっている。
すなわち、給水源と接続された給水管14が引き込まれており、この給水管14はミスト熱交換器16を通って2つに分岐し、浴室側に露出してミストを噴霧する2つのミストノズル18a,18bに接続されている。本実施形態のミストノズル18a,18bは100μm程度の粒子径を有するスプラッシュミストを噴霧するようになっている。
なお、給水管14には、逆止弁13、及び第2制御部20a(図1参照)と電気的に接続された給水電磁弁15が設けられており、これにより、下流に送る水量やタイミングを制御している。
なお、ミスト電磁弁17,19は第2制御部20aと電気的に接続されている。
そして、ミスト熱交換器16で加温された温水は、ミスト電磁弁19を閉弁すると共に、ミスト電磁弁17を開弁して、ミストノズル18bから噴霧されるようになっている。
この際、ミスト熱交換器16の下流であってミスト電磁弁17,19の上流には、ミスト側サーミスタ22が設けられており、管内の温水の温度を計測し、第2制御部20aにその検出信号が入力されるようになっている。
具体的には、暖房手段30には、上述した熱源機GSと接続された温水循環路21が、噴霧手段12より上流側で分岐して導入されており、この分岐した温水循環路21は、第1制御部20b(図1参照)に電気的に接続された熱動弁34を介して、温水コイル部36と接続されている。そして、温水コイル部36の近傍には循環ファン37が配置されている。これにより、温水循環路21内の温水を温水コイル部36に流通させると共に、循環ファン37によって吸い込み口38(図2参照)から浴室の空気を吸い込むと、その空気は温水コイル部36で暖められ、その暖気が浴室に放出される。なお、暖気の吹き出し口にはモーター33により回動するルーバー39が設けられ、吹き出し方向を任意に変えることができる。
なお、本実施形態の暖房手段30は、噴霧手段12に隣接して配置されているが、別の取付位置であってもよい。
本実施形態の換気手段44は、暖房手段30内の空間と繋がっており、浴室内の空気を吸い込み口38から吸い込んで、暖房手段30を介して屋外へ排気するようにしている。なお、この換気手段44も第1制御部20bと電気的に接続されている。
本実施形態の場合、ほぼ同数のプラスイオンとマイナスイオンからなるクラスタイオン〔正負のイオン H+(H2O)m;正イオン、O2 −(H2O)n;負イオン〕を発生させ、例えば、高圧電極と接地電極の間に約1.75kvの交流電圧を印加することで、誘電体であるガラス管の外側でプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するようになっている。
そして、この正負のイオンは、細菌を取り込み下記式(1)〜式(3)に示すような反応がおきると考えられる。
H+(H2O)m+O2 −(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´ →2・OH+O2+(m+m´+n+n´)H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´ →H2O2+O2+(m+m´+n+n´)H2O ・・・(3)
このような化学反応で発生した過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)により菌を不活性化することができると考えられている。
このような制御手段20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オン・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)などで構成された回路であり、上記センサ類(ミスト側サーミスタ22、室温サーミスタ40、温水サーミスタ41、湿度センサ)で検出された検出信号が入力されるようになっている。
また、制御手段20は、遠隔操作のための操作パネル50と電気的に接続されており、上記センサ類からの検出信号と操作パネル50から入力された信号に基づいて、後述するフローチャートに沿って処理をし、図3の各機器・装置ないし部品を制御している。
次に、本実施形態の脱臭方法を説明する前に、理解の便宜のため、本発明に至るまでの経過を簡単に説明する。
クラスタイオンの除菌消臭作用は、湿度が高くなるほど高いことが知られているため、発明者は、先ず、湿度とクラスタイオン濃度との関係を、日本工業規格JIS B9929(空気中のイオン密度測定方法)に定める測定法により行った。そうしたところ、クラスタイオンは、相対湿度が50±15%である場合に飽和領域となり、その範囲を超えると、その濃度は低下することを発見した。
そこで、発明者は、衣類表面(表地と裏地)にたばこ臭を付けて、従来のミスト付き浴室暖房乾燥機を用い、図5に示す試験を行った。
なお、試験1では、後述するように、ミスト噴霧により窒素酸化物・ディーゼル排気微粒子・ブタジエン炭化水素等の浮遊物質は除去されず、カルシウムを空間に散布した状態となっている。また、衣類は乾燥するまで、結露による適度な湿り(衣類水膜相当)が発生している。これらの点については、後で説明する。
図5の「試験2」では、試験1における相対湿度の条件のみ変更し、その他の条件は試験1と同じにした。すなわち、試験2では室内の相対湿度を80%にして、試験1に比べてクラスタイオンの濃度を低くした。
図5の「試験3」では、試験1と比較して、衣類の浴室内への投入のタイミングのみを変更し、その他の条件は試験1と同じにした。すなわち、試験3では、浴室内に衣類を配置した後、クラスタイオンを放出すると共に、衣類を湿らさない1μmのマイクロミストを噴霧して室内の相対湿度を上げることで、クラスタイオンの濃度を高くして安定させ、かつ、室内温度60℃にすると共に、当該温度が一定に保たれるように連続して温風を循環させた。
この結果から、衣類を浴室に投入する前に、浴室環境を試験1の条件に設定する必要のあることが判明した。しかし、実際の利用者の使用を想定すると、利用者は事前に浴室環境が試験1の条件になるまで待たないと衣類を浴室に入れることが出来ないのでは、使い勝手が大変悪い。発明者は、解決しなければならない課題を更に見いだした。
そこで、発明者は、図5の試験4の通り、人為的に高温多湿状態に冷たい衣類を放置した時間を作り出して官能試験を行った。
具体的には、衣類全体にたばこ臭を付けて、これを浴室内に吊り下げた後、衣類の表地に冷たい水をスプレーし、次いで、浴室内の環境を試験1と同条件(相対湿度50%、温度60℃、連続温風循環)にした(なお、クラスタイオンは試験1と同様のタイミングで放出)。そうしたところ、この試験4の脱臭効果は高かった。
そして、発明者は、この水分子が気化する際の体積膨張作用と、結露作用を利用して、脱臭効果を高める全く新しい脱臭方法を見出した。具体的には、以下の脱臭方法である。
上述した脱臭装置10を用いた脱臭方法を、図6ないし図11を用いて説明する。なお、本脱臭装置10はミスト付き浴室暖房乾燥機としての機能も備えているが、その動作は本発明と直接関係がないため、説明を省略する。また、以下に示す各機器ないし装置の符号は図1ないし図3を参照。
図6は制御手段により行われる脱臭動作の標準コースの一例を示すフローチャートであり、図7は図6の準備工程と噴霧工程の詳細を示すフローチャート、図8は図6の高温多湿化工程と脱臭工程の一部の詳細を示すフローチャート、図9は図6の結露工程の詳細を示すフローチャート、図10は図6の脱臭工程の一部の詳細を示すフローチャート、図11は図6の脱臭工程の一部と乾燥工程の詳細を示すフローチャートである。
すなわち、先ず、熱動弁34に通電をする(図7のST1a)。熱動弁34に通電するのは、弁が直ぐに開かないためであり、後述する図8のST3bにおいて開弁するための準備である。
その後、入浴用ミストサウナ運転の停止後1時間以内でないことを確認して(図7のST1c)、次の噴霧工程(図6のST2)に移る。一方、ミストサウナ運転の停止後1時間以内であれば、自然放熱が十分でなくミストサウナ用の温水がミスト熱交換器内に滞留しているので、以降の噴霧工程で冷たいミストを噴霧できるように、オーバーフロー水電磁弁26を開弁して(図7のST1d)、オーバーフロー水用管25から温水と思われる水を排出する。そして、当該開弁後10秒経過した場合、或いは、ミスト側サーミスタ22で計測した温度が低下して安定したならば(図7のST1e)、オーバーフロー水電磁弁26を閉弁して(図7のST1f)、次の噴霧工程(図6のST2)に移る。
具体的には、浴室を加温することなくミスト電磁弁17,19を開弁し、ミストノズル18からミストを噴霧すると共に、噴霧すべくタイマーをスタートする(図7のST2a)。この際、準備工程においてミスト熱交換器12は非加熱状態としたため、ミスト電磁弁17とミスト電磁弁19の双方を開弁しても冷たい水滴が噴霧され、この各弁の夫々とつながった互いに異なる位置にある複数のミストノズル18a,18bで、浴室内の広い範囲にミストを噴霧して、衣類を冷水で湿らすことができる。
また、噴霧するミストは粒子径が20μmより大きいスプラッシュミストが好ましく、本実施形態の場合、100μm程度の粒子径を有するミストを散布している。
その後、30秒が経過したら(図7の2b)、ミスト電磁弁17,19を閉弁して、噴霧工程を終了させる。
すなわち、選択されたコースが本標準コースであれば(図8のST3a)、熱動弁34を開弁して、熱湯を温水コイル部36に流通させ(図8のST3b)、温水サーミスタ41で40℃を計測したならば(図8のST3c)、循環ファン37を最大限駆動させて、浴室に温風を吹き出す(図8のST3d)。
そして、噴霧手段のミスト流量制御弁24を開弁し、ミスト熱交換器16を予め加熱しておく(図8のST3e)。なお、ミスト熱交換器16を予備加熱しておくのは、後述する図8のST3iで温水ミストを散布できるようにするためである。
一方、図8のST3hの判別により、相対湿度が80%を越えた場合、暫く循環ファン37を駆動(本実施形態では2分間)させた後、熱動弁34を閉弁して浴室の暖房を中止し(図8のST3j)、高温多湿化工程(図6のST3)を終了させる。なお、浴室の暖房を中止するのは、相対湿度を上げて、以降の結露工程で衣類を結露させ易くするためである。
すなわち、図9に示すように、換気ファン44を所定時間(本実施形態では30秒間)駆動させて、タイマー(本実施形態では10分間)をスタートする(図9のST4a)。そして、タイマーの時間が経過したら(図9のST4b)、カウンターを一つあげ(図9のST4c)、そのカウンターが所定回数(本実施形態では6回)を超えるまでは、再び換気ファンを駆動させる工程に戻る(図9のST4d)。すなわち、本実施形態の場合、10分おきに換気ファンを30秒間駆動させることになる。このように、断続的に換気ファン44を短時間だけ駆動させるのは、隣接する脱衣所等に逃げた湿気を浴室内に呼び戻するためである。これにより、浴室内は時間経過と共に自然に温度が下がり、相対湿度は維持又は上昇する。
すなわち、図10に示すように、熱動弁34を開弁して、イオン発生装置46でクラスタイオンを浴室に放出し(図10のST5a)、脱臭工程フラグをONにすると共に、脱臭工程を行なうタイマーをONにする(図10のST5b)。
その後、図8のST5cに示すように、暖房運転を再開して、浴室内の相対湿度を下げる。なお、図8のST5cで暖房運転する工程は、浴室の高温多湿化工程(図6のST3)における浴室内温度を60℃程度に維持する工程(図8のST3f)と同様であるため、その説明を省略する。
ここで、衣類から遊離した匂いは、浴室壁面や浴室入口の通気孔を介して脱衣所などで異臭として感じられる恐れがある。ところが、本発明では、匂い成分が衣類から遊離する際、クラスタイオンを放出し続けているので、当該遊離した匂い成分を不活性化(臭気除去運転)して、浴室内の脱臭も可能となる。
なお、この脱臭工程では浴室内を60℃という高温に維持しており、これにより、雑菌による臭いと、非雑菌(例えばたばこ臭)による臭いの両方に対応することができる。すなわち、臭いを発生させる雑菌は浴室のコーナー部分や衣類の袖部分に多く生息するものの、約60℃で死滅させることができる。したがって、非雑菌による臭いを消すだけの場合、浴室内温度は例えば50℃であっても構わない。
その後、脱臭タイマーが切れた場合(図8のST5e)、給水電磁弁15とミスト流量制御弁24を閉弁し、脱臭タイマーをクリアし、脱臭工程フラグをOFFにして(図11のST5h)、脱臭工程を終了させる。
すなわち、制御手段20の乾燥タイマーと換気ファン44を入れる(図11のST6a)。その後、所定時間、浴室内を高温(本実施形態では60℃程度に設定しているが、それ以上でもそれ以下でもよい)に保たせて、水分の気化を促しながら(図11のST6b)、乾燥を促進させる。具体的には、室温サーミスタ40で温度が60℃以上であるかを計測し(図11のST−i)、60℃未満である場合は再び計測して(図11のST−i)、熱動弁34を開弁した状態で、浴室内が60℃以上になるまで待つ。そして、室内が60℃を超えた場合、さらに室内温度を計測し(図11のST−j)、62℃以上の場合は熱動弁34を閉弁する(図11のST−k)。その後、室内温度を計測し(図11のST−m)、61℃以下の場合は、熱動弁34を開弁する(図11のST−n)。
このようにして、室温を60℃以上62℃未満にしながら、乾燥タイマーが切れたかの判別をし(図11のST−p)、切れていない場合は、再び図11のST−iに戻って、室温を60℃以上62℃未満に保つようにする。なお、図11のST−jとST−pとの間には、乾燥中脱臭スイッチのONを判別する工程(図11のST−o)を有するが、この工程については後で説明する。
その後、所定時間だけ制御手段のタイマーを入れ(図11のST6d。尚、タイマーについては後で詳細に説明する)、そのタイマーが切れると、換気ファン44や循環ファン37を止め(図11のST6e)、割り込みフラグ(割り込みについては後述する)がONでないことを確認して(図11のST6f)、乾燥工程を終了させ、標準コースの全工程が完了する。
一つ目は浴室自体を脱臭する工程(浴室脱臭工程)であり、二つ目は浴室を乾燥させる工程の際に、衣類の脱臭指示が使用者からされた場合の特別な工程(脱臭割込み工程)である。
先ず、浴室脱臭工程について説明する。
浴室脱臭工程は、浴室自体の匂いを消す工程である。すなわち、乾燥スイッチ54が押されるのは、風呂上りなどで浴室内が高い相対湿度だからであり、クラスタイオンで匂い分子を効果的に不活性化できる状態、或いは状態にし易いものと推定できる。そこで、浴室の乾燥動作をする際に、自動的にクラスタイオンを放出して、浴室の脱臭を行おうとするものである。
具体的には、図11に示すように、先ず、乾燥スイッチ54が入れられ、乾燥タイマーが設定されると(ST10−1)、換気ファン44と循環ファン37が駆動すると共に、熱動弁34に通電する(ST10−2)。その後、イオン発生装置46でクラスタイオンを放出する。また、ST10−2で通電した後しばらくして熱動弁34が開弁し、浴室に温風が吹き出す(ST10−3)。そうすると、浴室内の相対湿度が50±15%の範囲内でクラスタイオンが放出される可能性が高くなり、匂い分子を効果的に不活性化して、浴室を脱臭できる。
次いで、続く図11のST10−6、ST10−7、ST10−8、S10−9のように制御をして、浴室の乾燥ないし脱臭工程を終了させる。なお、これらの工程は既に説明した図11のST6c、ST6d、ST6e、ST6fと同様であるため、説明を省略する。
次に、脱臭割込み工程について説明する。
脱臭割込み工程は、浴室の乾燥工程(本実施形態では、上述のように、浴室脱臭工程と同じになる)が行われている最中に、被対象物の脱臭スイッチ52が押された場合、脱臭するために問題のない動作を行うための工程である。
具体的には、乾燥スイッチ54が入れられると、上述の浴室脱臭工程で説明したように、図11のST10−1〜ST10−4までの工程が行われる。
ここで、この図11のST10−4の工程で、乾燥中に脱臭スイッチ52がONされたか否かを判別する工程(図11のST−o)を有する。すなわち、この判別工程では、浴室自体の乾燥動作を指示した後であって、乾燥タイマーがアップする迄に、衣類等の被対象物の脱臭指示がなされているかを確認する。
そして、脱臭スイッチ52が押されていた場合、割り込みフラグをONにしてから(図11のST10−5)、図11のST10−6の動作を行う。
次いで、図11のST10−8を経由してから、割り込みフラグのONを確認して(図11のST10−9)、割り込みフラグをOFFにする(図11のST10−10)。なお、割り込みフラグをOFFにするのは、以降に行う乾燥工程(図6のST6)を経て、全工程を完了させるためである。
すなわち、図11のST10−10の次に移行する工程は、図7のST1aではなく(即ち、熱動弁34に通電せずに)、図7のST1bとして、時間を短縮させる。そして、熱動弁34に通電するのは、図8のST3bの時点で行う。このように、高温多湿化工程(図6のST3)で浴室を温める直前に熱動弁34に通電しても、既に図11のST10−3〜ST10−5の浴室の乾燥工程において、熱動弁34を開弁していたので、その後、閉弁したとしても、直ぐに開弁することができる。
次に、第1の時短コースを、図12、及び、既に説明のために用いた図7〜図11により説明する。なお、以下に示す各機器ないし装置の符号は図1ないし図3を参照。
図12は図1乃至図3に係る脱臭装置を用いて行う第1の時短コースの一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、第1の時短コースは、標準コースの高温多湿化工程(図6のST3)と結露工程(図6のST4)を省略して、運転時間を短くしたものである。
次いで、噴霧工程を行う(図12のST20)。この噴霧工程の詳細は図7のST20a〜ST20cの通りであり、標準コースで説明した図7のST2a〜ST2cと同様であるため、説明を省略する。
その後、循環ファン37を最大限に駆動させ(図8のST30c)、ミスト流量制御弁24の開弁による予備加熱(図8のST30d)を経由して、室内温度を高温(本実施形態では60℃程度)にする(図8のST30e)。なお、これらST30c〜ST30eの工程は、既に説明した図8のST3d〜ST3fと同様である。
そうすると、噴霧工程(図12のST20)で衣類の主に表地に付着した水分子は気化をして、衣類の加熱を抑制すると同時に、衣類表地に付着した匂い成分を弾き出し、衣類から遊離させることができる。なお、衣類表地の水分子の気化(水蒸気)は、逆に衣類裏地側に(標準コースの結露には及ばないものの)結露作用を生じさせる。そして、裏地に結露した水分は、衣類表地側の気化が終了して衣類温度が上昇に転じると、結露状態から気化状態に転じ、衣類の裏地側に付着した匂い成分を弾き出し、衣類から遊離させることができる。
そして、この際、放出されているクラスタイオンでこの遊離した匂い成分を不活性化して、浴室等に匂いが隠れることを防止できる。
次いで、乾燥工程を行い(図12のST40)、第1の時短コースの全工程を完了させる。なお、乾燥工程の詳細は、標準コースで既に説明した図11のST6a〜ST6fの通りであるため、説明を省略する。
次に、第2の時短コースを、図13〜図15を用いて説明する。なお、以下に示す各機器ないし装置の符号は図1ないし図3を参照。
図13は図1乃至図3に係る脱臭装置を用いて行う第2の時短コースの一例を示すフローチャートであり、図14はこの第2の時短コースの準備工程と噴霧・脱臭工程の一部を説明するためのフローチャート、図15はこの第2の時短コースの噴霧・脱臭工程の一部を説明するための図である。
先ず、準備工程を行う(図13のST100)。具体的には、図14に示すように、熱動弁34に通電した後(図14のST100a)、カウンターと脱臭工程フラグをクリアすると共に、給水電磁弁15を開弁する(図14のST100b)。なお、これらのステップ(ST100a,ST100b)は、標準工程ST1a,ST1bと同様である。
その後、第2の時短コースが選択されたことを確認して(図8のST100c)、噴霧・脱臭工程(図13のST200)に移る。
その後、ミスト流量制御弁24の開弁となるが(図15のST200c)、熱動弁は通電してから1分が経過していないので予備加熱は行われない。そして、時短フラグがONであることを確認して(図15のST200d)、循環ファン37を駆動させると共に、時短プラグをOFFにする(図15のST200e)。この際、循環ファン37は後述する噴出したミストが気化しない程度に回転数を抑制して、浴室温度を上げ過ぎないようにする(浴室温度上昇の抑制)。
その後、ミスト電磁弁17,19の双方を開弁し、冷水からなるミストを噴霧する(図15のST200f)。なお、ミストの噴霧は30秒であり、噴霧終了時点でも熱動弁は開弁していないので(つまり、熱動弁の通電から30秒以上は経過するものの1分は経過していないので)、噴霧する水は加熱されていない冷水である。そして、この冷水からなるミストはスプラッシュミストであり、さらにスプラッシュミストの内でも粒子径が大きいことが好ましく、本実施形態では100μm程度の大きな粒子径としている。
このようにして、浴室暖房(図15のST200e)とミスト噴霧(図15のST200f)とを略同時に開始したとしても、上述の浴室温度上昇の抑制とミスト粒子径の選択の相対関係により、ミスト落下中の完全気化を有効に防止して、衣類の湿らせと浴室空間の不純物のたたき落とし、というミスト噴霧の2つの作用効果を発揮させることができる。
本実施形態の第2の時短コースは以上の通りであり、被対象物の表面を湿らせる霧状の水滴を噴霧しながらクラスタイオンを放出し、さらに、前記水滴を噴霧すると略同時に、前記被対象物の表面に付着する前記水滴を気化させるための暖気を浴室に送るものであり、前記噴霧した水滴が落下中に(粒子径が小さくなってもよいが)完全に気化しないように、前記暖気の温度制御をすると共に、前記温度制御に対応して前記水滴の粒子径の大きさを選定している。したがって、運転時間を短縮できると共に、噴霧した水滴の気化に伴う弊害も防止できる。
例えば、上記第2の時短コースにおいて、図14のST200bの工程(脱臭工程フラグON、クラスタイオン放出、等)を省略して、ST200aから図15のST200cに進んでもよい。この場合、図15のST200hの工程では脱臭工程フラグがONでないと判断して、図15のST3hを経由して図9のST4aに進んで、以降、標準コースの結露工程から乾燥工程(図6のST4〜ST6)と同じフローチャートに基づいて作動することになる。そして、このようなフローチャートに基づいた場合、図14のST1c〜ST3dの工程が省略されているため、第1及び第2の時短コースほどではないが、標準コースに比べて運転時間は短縮される(以下、「少し時短コース」という)。
なお、本実施形態では脱臭効果を高めるために消臭効果を有するイオンを構成要素としているが、当該イオンを浴室側へ放出しなくても、被対象物を配置する空間が浴室のような大きな空間である場合は脱臭した臭いが再付着し難いので、所定の衣類脱臭効果を得ることができる。但し、浴室入り口下部等に換気用の空気取り入れ口がある場合には、浴室空間は脱衣所等の空間と連結状態にあるので、脱臭した臭いが居室に流れ込む恐れがある。そこで、被対象物から匂い成分が遊離している際あるいはそれ以降、換気をすることが好ましい。例えば、浴室をミストが完全に気化しない暖房又は暖房しない状態で、粒子径の大きなスプラッシュミストを噴霧して、浴室内に配置した被対象物の表面を湿らせ、その後、浴室を暖房すると共に、換気ファンを間欠運転あるいは低速運転(臭気除去運転)しながら被対象物に付着した水滴を気化させる脱臭方法であれば、水滴が気化する際に匂い成分を被対象物から遊離させながら、その遊離した匂い成分を外部に排出できる。
この場合、上述の第2の時短コース及び少し時短コースのフローチャートを選択しないようにすれば、20μmに近いミストのみを噴霧することができる。すなわち、第2の時短コース等では、ミスト噴霧と脱臭(脱臭時には浴室に温風を送風)を略同時にスタートするため(図13のST200)、噴霧したミストが気化し易いが、これらのコースを設定しなければよい。
一方、第2の時短コース及び少し時短コースにおいて、ミスト噴霧(図15のST200f)を循環ファンON(図15のST200e)よりも先に行ったり、循環ファンの回転数を落としたりして、出来るだけミストの気化や舞いを防止する環境を作ることで、20μmに近い粒子径のみのミストを採用しながらも、第2の時短コース及び少し時短コースを設定することもできる。
また、本実施形態においては乾燥工程中の脱臭割り込みは「標準コース」のみの選択しかできないが、時短コース等の割り込みを設ける場合には、衣類冷水コーティング終了まで熱動弁が開弁しないようにして設けるようにしても良い。
Claims (5)
- 浴室に配置した被対象物に付着した匂いを除去する被対象物の脱臭方法であって、
前記浴室に発生した霧状の水滴により前記被対象物の表面を湿らせ、
その後、前記被対象物の表面に付着した前記水滴を気化させて、
少なくとも、前記気化と同時或いはその後に、消臭作用を有するイオンを前記浴室に発生させるか、又は前記浴室の換気を行う
ことを特徴とする被対象物の脱臭方法。 - 前記イオンはクラスタイオンであり、このクラスタイオンで匂いを除去する際、前記浴室内の相対湿度を50±15%にすることを特徴とする請求項1に記載の被対象物の脱臭方法。
- 前記被対象物は内側空間を有するものであって、
前記水滴を気化させる前に、前記被対象物の前記内側空間の環境よりも高温多湿な状態である前記浴室内に、前記湿らせた被対象物を放置する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被対象物の脱臭方法。 - 前記霧状の水滴は、前記浴室の底部に落下可能である粒子径を有するように噴霧して形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の被対象物の脱臭方法。
- 浴室に配置された被対象物に付着した匂いを、消臭作用を有するイオンで除去する被対象物の脱臭装置であって、
前記浴室に霧状の水滴を噴霧する噴霧手段と、
前記イオンを発生させるイオン発生装置と、
前記噴霧手段と前記イオン発生装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記噴霧手段で前記霧状の水滴を噴霧して前記被対象物の表面を湿らせ、その後、少なくとも前記被対象物の表面の前記水滴を気化させると同時或いはその後に、前記イオン発生装置を作動させる構成とされている
ことを特徴とする被対象物の脱臭装置。
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