JP2011159406A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子の種類に応じて共通層の膜厚が異なる有機EL素子を、少ない工程数で形成することのできる構成を有する複数の有機EL素子を備える発光装置を提供することである。
【解決手段】支持基板と、所定の列方向に所定の間隔を開けて、前記列方向とは方向が異なる行方向に延びる複数本の隔壁と、列方向に隣り合う各隔壁間において、行方向に所定の間隔を開けて設けられる複数の有機EL素子と、を含む発光装置であって、前記複数の有機EL素子は、m種類の素子に分類され、それぞれが、全ての種類の有機EL素子に共通して設けられる共通層と、該共通層を間に介在させて配置される一対の電極とを有し、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定され、各有機EL素子の共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される、発光装置。
【選択図】図1

Description

本発明は発光装置に関する。
表示装置には液晶表示装置やプラズマ表示装置など、種々のものがある。その1つに、画素の光源として有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた表示装置がある。
有機EL素子は表示装置において基板上に整列して配置されている。なお基板上には有機EL素子を区分けするための複数本の隔壁がストライプ状に配置されている。換言すると基板上には、複数本の隔壁に対応する複数本の凹部がストライプ状に設けられている。そして複数の有機EL素子は、複数本の凹部にそれぞれ設けられ、各凹部において、凹部の延在する方向(以下において、「凹部の延在する方向」を行方向といい、この行方向に垂直な方向を例えば列方向ということがある。)に沿って所定の間隔を開けて配置されている。
カラー表示装置には通常、所期の色を表現するために、赤色、緑色および青色のうちのいずれか1種の光を放つ3種類の有機EL素子が設けられる。例えばカラー表示装置は、赤色、緑色または青色を放つ複数の有機EL素子を各凹部に配置した以下の(I)〜(III)の3つの行を、繰り返しこの順序で列方向に配置することによって実現される。(I)赤色の光を放つ複数の有機EL素子が所定の間隔を開けて配置される行。(II)緑色の光を放つ複数の有機EL素子が所定の間隔を開けて配置される行。(III)青色の光を放つ有機EL素子が所定の間隔を開けて配置される行。
有機EL素子は、一対の電極と、この電極間に設けられる発光層とを含んで構成される。上記3種類の有機EL素子は、赤色、緑色および青色のいずれか1種の光を放つ発光層を、素子の種類に応じて形成することにより作製することができる。この場合、有機EL素子の種類に応じて、所定の行(凹部)に、所定の色を放つ発光層を形成する必要がある。例えば赤色の光を放つ発光層を形成する場合、赤色の光を放つ発光層となる材料を含むインキを、この発光層が形成されるべき行(凹部)に供給し、さらにこれを固化することによって、赤色の光を放つ発光層を形成することができる。青色または緑色の光を放つ発光層の形成方法も同様にして形成される。このように3種類の発光層をそれぞれ所定の行(凹部)に形成する場合、各種の発光層が形成される行(凹部)に応じて、各種のインキを塗り別ける必要がある。
有機EL素子は電極間に発光層だけでなく、必要に応じて正孔注入層や正孔輸送層などを有することがある。正孔注入層や正孔輸送層などのように、発光層と比べると発光色にさほど影響を与えない層は、有機EL素子の発光色とは無関係に、すなわち有機EL素子の種類とは無関係に、3種類全ての有機EL素子に共通する層(以下、共通層ということがある。)として設けることができる。そのため、仮に全ての種類の有機EL素子の共通層を、全て同じ膜厚で形成する場合には、3種類全ての有機EL素子の共通層を同一の工程で形成することができる。すなわち共通層となる材料を含むインキを所定の行(凹部)に応じて塗り分ける必要はない。
しかしながら例えば光共振を生じさせることを目的として一対の電極間の距離を調整するために、有機EL素子の種類ごとに共通層の膜厚を異ならせることもある。有機EL素子の種類に応じて共通層の膜厚を調整するためには、たとえ共通層の材料が、3種類全ての有機EL素子に共通であったとしても、インキの塗布量を有機EL素子の種類に応じて設定する必要がある。すなわち膜厚の厚い共通層を形成するためには、膜厚の薄い共通層を形成する際のインキの塗布量よりも、その分量を多くする必要がある。そのため従来の技術では、共通層であっても、発光層と同様に有機EL素子の種類に応じてインキを塗り分けていた(例えば特許文献1参照)。
特開2009−164236号公報
上述のように従来の技術では有機EL素子の種類ごとに共通層を異なる工程で形成していたため、工程数が増加するという問題がある。
従って本発明の目的は、有機EL素子の種類に応じて共通層の膜厚が異なる有機EL素子を、少ない工程数で形成することのできる構成を有する複数の有機EL素子を備える発光装置を提供することである。
本発明は、支持基板と、
この支持基板上に設けられ、支持基板上において、所定の列方向に所定の間隔を開けて、前記列方向とは方向が異なる行方向に延びる複数本の隔壁と、
列方向に隣り合う各隔壁間において、行方向に所定の間隔を開けて設けられる複数の有機EL素子と、を含む発光装置であって、
前記複数の有機EL素子は、それぞれ互いに異なる色の光を放つm種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子に分類され、それぞれが、全ての種類の有機EL素子に共通して設けられる共通層と、該共通層を間に介在させて配置される一対の電極とを有し、
前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定され、
各有機EL素子の共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される、発光装置に関する。
また本発明は、前記m種類の複数の有機EL素子は、
行方向には、所定の間隔を開けて同じ種類の有機EL素子が設けられ、
列方向には、m種類の有機EL素子を全種類順列させた所定の並びが、列方向に連続するように反復して並べられている、前記発光装置に関する。
また本発明は、各隔壁は、列方向に隣り合う隔壁に対向する側面が行方向に平らに延在しており、
列方向に隣り合う各隔壁間の間隔は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定される、前記発光装置に関する。
また本発明は、前記複数の有機EL素子は、列方向には、有機EL素子の列方向の中心間の間隔が等しくなるように、所定の間隔をあけて配置される、前記発光装置に関する。
また本発明は、列方向に隣り合う各隔壁間の間隔は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類に応じて、行方向に沿ってその広狭が変化する、前記発光装置に関する。
また本発明は、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の共通層の膜厚が、有機EL素子に光共振が生じる膜厚となるように設定される、前記発光装置に関する。
また本発明は、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の発光波長が短いほど、広く設定される、発光装置に関する。
また本発明は、前記有機EL素子は、その行方向の幅が、m種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広い、前記発光装置に関する。
また本発明は、各有機EL素子は、複数の共通層を有し、
各有機EL素子の全ての共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される、前記発光装置に関する。
本発明では、有機EL素子の種類に応じて膜厚の異なる共通層を同一の工程で形成することができるため、少ない工程数で形成することのできる構成を有する複数の有機EL素子を備える発光装置を実現することができる。
本実施形態の発光装置1を模式的に示す平面図である。 発光装置1を模式的に示す断面図である。 有機EL素子の行方向の幅が、m種類の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広い発光装置を模式的に示す図である。 隔壁間に設けられる有機EL素子の種類に応じて、行方向に沿って隔壁間の間隔の広狭が変化する発光装置を模式的に表す平面図である。 複数の有機EL素子の列方向Yの中心間の間隔P1,P2,P3が期的に変動する値に設定された発光装置を模式的に示す平面図である。
以下図面を参照して本発明の実施の一形態について説明する。
本発明の発光装置は、支持基板と、この支持基板上に設けられ、支持基板上において、所定の列方向に所定の間隔を開けて、前記列方向とは方向が異なる行方向に延びる複数本の隔壁と、列方向に隣り合う各隔壁間において、行方向に所定の間隔を開けて設けられる複数の有機EL素子と、を含む発光装置であって、前記複数の有機EL素子は、それぞれ異なる色の光を放つm種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子に分類され、それぞれが、全ての種類の有機EL素子に共通して設けられる共通層と、該共通層を間に介在させて配置される一対の電極とを有し、前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定され、各有機EL素子の共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される。
発光装置は例えば表示装置として利用される。表示装置には主にアクティブマトリクス駆動型の装置とパッシブマトリクス駆動型の装置とがあり、本発明は両方の駆動型の装置に適用可能であるが、本実施形態では一例としてアクティブマトリクス駆動型の表示装置について説明する。
<発光装置の構成>
まず発光装置の構成について説明する。図1は本実施形態の発光装置1を模式的に示す平面図であり、図2は発光装置1を模式的に示す断面図である。発光装置1は主に支持基板2と、この支持基板2上に形成される複数の有機EL素子11と、この複数の有機EL素子11を区分けするために設けられる隔壁3と、各有機EL素子を電気的に絶縁する絶縁膜4とを含んで構成される。
本実施形態では複数の有機EL素子11はそれぞれ支持基板2上においてマトリクス状に整列して配置される。すなわち複数の有機EL素子11はそれぞれ行方向Xに所定の間隔を開けるとともに、列方向Yに所定の間隔を開けて配置される。なお本実施形態では行方向Xおよび列方向Yは、互いに垂直であって、かつそれぞれが支持基板2の厚み方向Zに垂直な方向である。
本実施形態では行方向Xに延在する複数本の隔壁3が支持基板2上に設けられる。この隔壁3は平面視でいわゆるストライプ状に設けられる。各隔壁3はそれぞれ、列方向Yに隣り合う有機EL素子11の間に設けられる。換言すると複数の有機EL素子11は、列方向Yに隣り合う隔壁3間に設けられる。複数の有機EL素子11は各隔壁3間において、行方向Xに所定の間隔を開けて配置されている。以下、列方向Yに隣り合う一対の隔壁と支持基板とによって規定される凹みを、凹部5ということがある。複数本の凹部5はそれぞれ所定の行に対応する。
本実施形態では3種類の複数の有機EL素子が支持基板上に設けられる。すなわち2以上の自然数を表す記号「m」が、本実施形態では数値「3」を表す。m種類(本実施形態では「m=3」)の複数の有機EL素子は、行方向Xには、所定の間隔を開けて同じ種類の有機EL素子が設けられ、列方向には、m種類の有機EL素子を、種類が重複しないように、全種類順列させた所定の並びが、列方向に連続するように反復して並べられており、前記所定の並び順で繰り返し設けられる。例えばカラー表示装置用の発光装置は、(I)赤色の光を放つ複数の有機EL素子11Rが行方向Xに所定の間隔を開けて配置される行、(II)緑色の光を放つ複数の有機EL素子11Gが行方向Xに所定の間隔を開けて配置される行、(III)青色の光を放つ有機EL素子11Bが行方向Xに所定の間隔を開けて配置される行を、この順序で、列方向Yに繰り返し(図1では下方から上方に繰り返し)配置することによって実現される。
前記支持基板の厚み方向の一方から見て(以下、平面視でということがある。)、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定される。例えば上記(I)、(II)、(III)の各行では、それぞれ、平面視で、列方向に隣り合う各隔壁間の面積が異なる。(I),(II),(III)の各行の列方向Yの幅は、隣り合う隔壁間の間隔L1,L2,L3によって規定されるが、本実施の形態ではこの隔壁間の間隔L1,L2,L3をそれぞれ異ならせることによって、平面視における隔壁間の面積を異ならせている。すなわち本実施形態では、列方向に隣り合う隔壁に対向する側面が行方向に平らに延在しており、列方向に隣り合う各隔壁間の間隔が、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定されることによって、平面視で、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、有機EL素子の種類ごとに異ならせている。なお列方向に隣り合う隔壁に対向する側面が行方向に平らに延在するとは、所定の幅を有する隔壁が、その幅を維持したまま行方向Xに略直線状に延在していることを意味し、行方向Xに沿って隔壁の幅が変動する図4に示す隔壁とは異なり、行方向Xに沿って隔壁の幅がほぼ変動しないことを意味する。
複数の有機EL素子の列方向Yの中心間の間隔Pは、全て等しくてもよく、また1周期を数値「m」とする周期的に変動する値に設定してもよい。後者の一例を図5に示す。図5に示すように例えば隔壁間の間隔L1,L2,L3は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定されるので、周期的に変動するが(図5では、L1,L2,L3の一組が1周期となる。)、この変動に合わせて、複数の有機EL素子の列方向Yの中心間の間隔P1,P2,P3を周期的に変動させてもよい。この場合、全ての隔壁の列方向Yの幅を等しくすることができる。他方、図1に示すように、複数の有機EL素子の列方向の中心間の間隔Pが全て等しくなるように有機EL素子を設ける場合、隔壁の配置される列方向Yの位置や、隔壁の列方向Yの幅を調整することによって、平面視で、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、有機EL素子の種類ごとに異ならせることができる。この場合、後述するノズルプリンティング法では、有機EL素子の種類にかかわらず等間隔でインキを塗布することができるため、インキの塗布装置の構成およびその調整が容易になる。
本実施形態では支持基板2と隔壁3との間に、各有機EL素子11を電気的に絶縁する格子状の絶縁膜4が設けられる。この絶縁膜4は、行方向Xに延在する複数本の帯状の部材と、列方向Yに延在する複数本の帯状の部材とが一体的に形成されて構成される。格子状の絶縁膜4の開口6は、平面視で有機EL素子に重なる位置に形成される。絶縁膜4の開口6は平面視で例えば小判形、略円形、略楕円形および略矩形などに形成される。前述の隔壁3は、絶縁膜4の一部を構成する、行方向Xに延在する部材上に設けられる。この絶縁膜4は必要に応じて設けられる。例えば絶縁膜4は行方向Xまたは列方向Yに隣り合う有機EL素子間の電気絶縁を確保するために設けられる。なお支持基板の厚み方向Zに流れる電流は、絶縁膜4の開口6が形成されている領域にのみ流れるため、平面視で開口6と重なる領域のみが、それぞれ有機EL素子として機能し、発光する。平面視における有機EL素子の列方向Yおよび行方向Xの幅は、発光する領域によって規定されるため、それぞれ絶縁膜4の開口6の列方向Yおよび行方向Xの幅によって規定される。なお絶縁膜4が設けられない場合、平面視における有機EL素子の列方向Yおよび行方向Xの幅は、後述する一方の電極12の列方向Yおよび行方向Xの幅によって規定される。
有機EL素子11は、それぞれ異なる色の光を放つm種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子に分類され、それぞれが、全ての種類の有機EL素子に共通して設けられる共通層と、該共通層を間に介在させて配置される一対の電極とを有する。また各有機EL素子の一対の電極間にはそれぞれ発光層が設けられている。
共通層は素子の種類ごとにその膜厚が異なる。共通層の膜厚を素子の種類ごとに異ならせるのは、例えば光共振を生じさせる長さに一対の電極間の間隔を調整するために、共通層の膜厚を素子の種類ごとに調整したり、また発光層の種類に応じて最適な共通層の膜厚が存在することがあり、この最適値に合わせて有機EL素子の種類ごとに共通層の膜厚を調整したりすることがあるためである。このように素子の種類ごとにその膜厚を調整することによって、発光層の材料に応じて最適な膜厚の共通層を形成したり、光共振が生じるように一対の電極間の間隔を調整したりすることができる。
共通層には例えば、発光層とは異なる有機層、無機物と有機物とを含む層、および無機層などがある。具体的にはいわゆる正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などが共通層として設けられる。図2には一例として一対の電極12,13と1層の共通層14と1層の発光層15とからなる有機EL素子11を示している。後述するように例えば有機EL素子11は、一対の電極12,13のうちの一方の電極12に相当する陽極、共通層に相当する正孔注入層、発光層、一対の電極12,13のうちの他方の電極13に相当する陰極が、支持基板2側からこの順で積層されて構成される。なお以下では発光層よりも一方の電極12寄りに一層の共通層が配置される構成の有機EL素子について説明するが、本発明はこの構成に限らず、複数の共通層が設けられてもよく、また発光層よりも他方の電極13寄りに共通層が配置されていてもよく、さらには発光層と一方の電極12側との間、及び発光層と他方の電極13側と間の両方に、共通層が配置されていてもよい。なお一対の電極12,13のうちのいずれか1つの電極は、発光層から放たれる光を透過して外界に出射させるために、光透過性を示す部材によって構成される。なお光透過性を示す電極であっても、電極に入射する光の全てを透過するわけではなく、その一部は反射される。そのためたとえ光透過性を示す電極で一方の電極12を構成したいわゆるボトムエミッション型の有機EL素子であったとしても、一方の電極12によって一旦反射され、さらに他方の電極13によって反射された光と、発光層から放たれる光とが共振するため、図2に示す共通層の膜厚を調整することによって、光共振を生じさせることが可能である。また当然ながら、光透過性を示す電極によって他方の電極13を構成したいわゆるトップエミッション型の有機EL素子の場合には、図2に示す共通層の膜厚を調整することによって、一方の電極12で反射される光の光路長を調整することができるため、光共振を生じさせることができる。
一対の電極は、陽極と陰極とから構成される。陽極および陰極のうちの一方の電極は、一対の電極のうちの一方の電極12として支持基板2寄りに配置され、陽極および陰極のうちの他方の電極は、一対の電極のうちの他方の電極13として、一方の電極12よりも支持基板2から離間して配置される。
本実施形態の発光装置1はアクティブマトリクス型の装置なので、一方の電極12は、有機EL素子11ごとに個別に設けられる。例えば一方の電極12は板状であって、平面視で略矩形状に形成される。一方の電極12は、各有機EL素子が設けられる位置に対応してマトリクス状に支持基板2上に設けられ、それぞれが、行方向Xに所定の間隔を開けるとともに、列方向Yに所定の間隔を開けて配置される。すなわち一方の電極12は平面視で、列方向Yに隣り合う隔壁3の間に設けられ、各隔壁3間において、行方向Xに所定の間隔を開けて配置されている。本実施形態では一方の電極12は平面視で、前述した絶縁膜4の開口6とほぼ同じ形状に形成され、この開口6よりも幅広に形成される。
前述した格子状の絶縁膜4は平面視で一方の電極12を除く領域に主に形成され、その一部が一方の電極12の周縁を覆って形成されている。換言すると絶縁膜4には一方の電極12上に開口6が形成されている。この開口6によって一方の電極12の表面が絶縁膜4から露出する。また前述した複数本の隔壁3は、絶縁膜4の一部を構成する行方向Xに延在する複数本の帯状の部材上に設けられる。
共通層は隔壁3に挟まれた領域において行方向Xに延在する。すなわち共通層は、列方向Yに隣り合う隔壁3によって規定される凹部5に、帯状に形成される。そして各有機EL素子の共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される。なお共通層は後述するように、共通層となる材料を含むインキを凹部5に塗布成膜し、さらにこれを固化することによって形成される。そして各凹部5には等しい量のインキが供給されるため、平面視における隔壁間の面積が広いほど、当該隔壁間に形成される共通層の膜厚は薄くなり、逆に、隔壁間の面積が広いほど、当該隔壁間に形成される共通層の膜厚は厚くなる。図2ではL1>L2>L3の関係を満たすため、各共通層14は、「L1間の膜厚」<「L2間の膜厚」<「L3間の膜厚」となる。
発光層は共通層と同様に、隔壁3に挟まれた領域に行方向Xに延在する。すなわち発光層は、列方向Yに隣り合う隔壁3によって規定される凹部5に、帯状に形成される。なお本実施形態では発光層15は共通層14に積層されて設けられる。
カラー表示装置の場合、上述したように例えば赤色、緑色および青色のいずれか1種の光を放つ3種類の有機EL素子を支持基板2上に設ける必要がある。本実施形態では発光層の種類を異ならせることによって、赤色、緑色および青色のいずれか1種の光を放つ3種類の有機EL素子を作製する。そのため(i)赤色の光を放つ発光層が設けられる行、(ii)緑色の光を放つ発光層が設けられる行、(iii)青色の光を放つ発光層が設けられる行の3種類の行を、この順序で、列方向Yに繰り返し(図1では下方から上方に繰り返し)配置する。すなわち赤色の光を放つ発光層、緑色の光を放つ発光層、および青色の光を放つ発光層は、それぞれが列方向Yに2行の間隔を開けて行方向Xに延びる帯状の層として順次共通層上に積層される。
一対の電極のうちの他方の電極13は発光層15上に設けられる。なお本実施形態では他方の電極13は複数の有機EL素子にまたがって連続して形成され、複数の有機EL素子に共通の電極として設けられる。すなわち他方の電極13は、発光層上だけでなく隔壁3上にも形成され、発光層15上の電極と隔壁3上の電極とが連なるように一面に形成される。
<発光装置の製造方法>
次に表示装置の製造方法について説明する。
まず支持基板2を用意する。アクティブマトリクス型の表示装置の場合、この支持基板2として、複数の有機EL素子を個別に駆動する駆動回路が予め形成された基板を用いることができる。例えばTFT(Thin Film Transistor)基板を支持基板として用いることができる。
(一対の電極のうちの一方の電極を支持基板上に形成する工程)
次に、用意した支持基板2上に複数の一方の電極12をマトリクス状に形成する。一方の電極12は、例えば支持基板2上に一面に導電性薄膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法を用いてマトリクス状にパターニングすることにより形成される。また例えば一方の電極12が形成されるパターンに対応する部位に開口が形成されたマスクを支持基板2上に配置し、このマスクを介して支持基板2上の所定の部位に導電性材料を選択的に堆積することにより、一方の電極12をパターン形成してもよい。一方の電極12の材料については後述する。なお本工程では一方の電極12が予め形成された支持基板を用意してもよい。
次に本実施形態では支持基板2上に絶縁膜4を格子状に形成する。絶縁膜4は有機物または無機物によって構成される。絶縁膜を構成する有機物としてはアクリル樹脂、フェノール樹脂、およびポリイミド樹脂などの樹脂を挙げることができる。また絶縁膜を構成する無機物としてはSiO、SiNなどを挙げることができる。
有機物からなる絶縁膜を形成する場合、まず例えばポジ型またはネガ型の感光性樹脂を一面に塗布し、所定の部位を露光、現像する。さらにこれを硬化することによって、所定の部位に開口6が形成された絶縁膜4が形成される。なお感光性樹脂としてはフォトレジストを用いることができる。また無機物からなる絶縁膜を形成する場合、無機物からなる薄膜をプラズマCVD法やスパッタ法などによって一面に形成する。次に所定の部位に開口6を形成することにより絶縁膜4が形成される。開口6は例えばフォトリソグラフィ法によって形成される。この開口を形成することにより一方の電極12の表面が露出する。
次に本実施形態では複数本のストライプ状の隔壁3を絶縁膜4上に形成する。隔壁3は例えば絶縁膜の材料として例示した材料を用いて、絶縁膜を形成する方法と同様にしてストライプ状に形成することができる。なお本実施形態では各隔壁3は、上述したように隔壁3の間隔L1,L2,L3が、当該隔壁3間に設けられる有機EL素子11の種類に応じた間隔になるように形成される。
隔壁および絶縁膜の形状、並びにその配置は、画素数および解像度などの表示装置の仕様、並びに製造の容易さなどに応じて適宜設定される。例えば隔壁3の列方向Yの幅T1は、5μm〜50μm程度であり、隔壁3の高さT2は、0.5μm〜5μm程度であり、列方向Yに隣り合う隔壁3間の間隔T3、すなわち凹部5の列方向Yの幅T3は、10μm〜200μm程度である。また絶縁膜4に形成される開口の行方向Xおよび列方向Yの幅は、それぞれ10μm〜400μm程度である。
(共通層を形成する工程)
次に本実施形態では一方の電極12上に共通層を形成する。本工程では、共通層となる材料を含む液柱状のインキを前記所定の行上に供給しつつ、インキが供給される位置を前記行方向に移動することによって、所定の行の共通層を塗布成膜し、前記共通層を形成する。すなわちいわゆるノズルプリンティング法によって共通層を形成する。
ノズルプリンティング法ではいわゆる一筆書きで各行(凹部)にインキを供給する。例えば支持基板2の上方に配置されるノズルから液柱状のインキを吐出しつつ、ノズルを行方向Xに往復移動させるとともに、ノズルの往復移動の折り返しの際に、支持基板を列方向に1行分(図1ではPで示される間隔)だけ移動させることによって、各行にインキを順次供給する。具体的にはノズルから液柱状のインキを吐出したまま、(1)所定の行上において、行方向Xの一端から他端に向けてノズルを移動し(往路)、(2)支持基板を列方向Yに1行分だけ移動させ(折り返し)、(3)所定の行上において、行方向Xの他端から一端に向けてノズルを移動し(復路)、(4)支持基板を列方向Yに1行分だけ移動させ(折り返し)る、これら(1)〜(4)の動作をこの順序で繰り返すことによって、全ての行に順次インキを供給する。なお図5に示す例では、ノズルの往復移動の折り返しの際に、P1,P2,P3の順で繰り返し支持基板を列方向に移動させればよい。
このように一筆書きで各行(凹部)にインキを供給することによって、各行に等しい量のインキが供給される。図1に示すように、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに異なるため、各行に等しい量のインキが供給されると、これが固化した後の共通層の膜厚は隔壁間の面積に応じた値となる。すなわち隔壁間の面積が広いほど、当該隔壁間に形成される共通層の膜厚は薄くなり、逆に、隔壁間の面積が広いほど、当該隔壁間に形成される共通層の膜厚は厚くなる。そのため有機EL素子の種類ごとにインキを塗り分けることなく、有機EL素子の種類ごとに共通層の膜厚を異ならせることができる。
共通層は、隔壁間に供給されたインキを固化することによって形成することができる。薄膜の固化は、例えば溶媒を除去することによって行うことができる。溶媒の除去は、自然乾燥、加熱乾燥および真空乾燥などによって行うことができる。また光や熱などのエネルギーを加えることによって重合する材料を含むインキを用いた場合、隔壁間にインキを供給した後に光や熱などのエネルギーを加えることによって薄膜を固化してもよい。
本実施形態では1本のノズルを用いてインキを塗布する工程について説明したが、他の実施形態では1本に限らず複数本のノズルを用いてインキを塗布してもよい。また本実施形態では1層の共通層をノズルプリンティング法で形成したが、複数の共通層が1つの有機EL素子に設けられる場合には、複数ある共通層のうちの少なくとも1層の共通層を上述したノズルプリンティング法によって形成すればよく、また複数の共通層を上述したノズルプリンティング法によって形成してもよい。
(発光層を形成する工程)
前述したようにカラー表示装置に用いられる発光装置を作製する場合、3種類の有機EL素子を作製するために、例えば発光層の材料を塗り別ける必要がある。3種類の発光層を行ごとに形成するためには、赤色の光を放つ材料を含む赤インキ、緑色の光を放つ材料を含む緑インキ、青色の光を放つ材料を含む青インキを、それぞれ列方向Yに2行の間隔を開けて塗布する必要がある。例えば赤インキ、緑インキ、青インキを所定の行に順次塗布することによって各発光層を塗布成膜することができる。赤インキ、緑インキ、青インキを所定の行に順次塗布する方法としては、印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法などの所定の塗布法が挙げられる。例えば前述した共通層を形成する方法において、ノズルの往復移動の折り返しの際に、支持基板を列方向に3行分(図1では3×Pで示される間隔)だけ移動させることによって、各行にインキを順次供給し、共通層を形成する方法と同様の方法で発光層を形成してもよい。
発光層を形成した後、必要に応じて所定の有機層などを所定の方法によって形成する。これらは印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法などの所定の塗布法、さらには所定の乾式法を用いて形成してもよい。
(一対の電極のうちの他方の電極を形成する工程)
次に他方の電極を形成する。前述したように本実施形態では他方の電極を支持基板上の全面に形成する。これによって複数の有機EL素子を基板上に形成することができる。
以上説明したように、支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定することによって、ノズルプリンティング法を用いて各行に等しい量のインキを供給したとしても、有機EL素子の種類ごとに共通層の膜厚を異ならせることができる。従来の技術では有機EL素子の種類ごとにインキを塗り分けて共通層の膜厚を調整していたところを、本発明では有機EL素子の種類ごとにインキを塗り分けることなく、有機EL素子の種類ごとに共通層の膜厚を異ならせることができるため、従来の技術に比べて工程数を削減することができる。
また各隔壁が、列方向に隣り合う隔壁に対向する側面が行方向に平らに延在しており、隔壁間の間隔を調整することによって、列方向に隣り合う各隔壁間の面積が、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定される場合(図1参照)、隔壁の側面が凹凸ではなく平らに形成される。このような側面が平らな隔壁間に、塗布法によって薄膜を形成することにより平坦な膜(共通層および発光層など)を得ることができる。共通層または発光層を塗布法によって形成する際には、インキが徐々に乾燥して固化し、隔壁の側面に沿って膜が形成されるので、隔壁の側面は平らな方が、平坦な膜が得られるからである)。
また前記複数の有機EL素子が、列方向には、有機EL素子の列方向の中心間の間隔が等しくなるように、所定の間隔をあけて配置される場合、ノズルプリンティング法では、有機EL素子の種類にかかわらず等間隔(図1ではPで示される間隔)でインキを塗布することができるので、インキの塗布装置の構成およびその調整が容易になる。
また前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の共通層の膜厚が、有機EL素子に光共振が生じる膜厚となるように設定されることが好ましい。光共振は一対の電極の間隔を調整することによって生じさせることができ、この一対の電極間の間隔は共通層の膜厚の調整によって調整することができる。すなわち共通層の膜厚を調整することによって光共振を生じさせることができる。なお本明細書において光共振とは、電極で反射される反射光と、発光層から放たれる光とが強め合う、または反射光同士が強め合うことによって、特定の波長の光強度を強める作用を意味する。そして光共振が生じるように共通層の膜厚を調整することによって、スペクトルを狭帯化するとともに、発光効率を向上することができる。たとえば光共振は、電極によって反射されて発光層に戻ってくる光と、発光層から放たれる光との位相差が2π(ラジアン)の整数倍となるように、共通層の膜厚を調整すればよい。
また前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の発光波長が短いほど、広く設定されることが好ましい。以下、前述の実施形態に則して説明する。発光波長は、青が最も短く、緑が中間の長さであり、赤が最も長い。そのため、青色の光を放つ有機EL素子11B、緑色の光を放つ有機EL素子11G、赤色の光を放つ有機EL素子11Rがそれぞれ設けられる隔壁間の面積を、面積SB、面積SG、面積SRとすると、「面積SB」>「面積SG」>「面積SR」の関係を満たす。
中間層の膜厚は、隔壁間の面積とは逆に、面積が広いほど薄く、面積が狭いほど厚くなる。そのため、有機EL素子11B、有機EL素子11G、有機EL素子11Rの各中間層の膜厚をそれぞれ、膜厚LB、膜厚LG、膜厚LRとすると、「膜厚LB」<「膜厚LG」<「膜厚LR」の関係を満たす。
そして光が共振するときの一対の電極間の間隔は、離散的に存在するが、そのうちで最も短い間隔は、発光波長が短いほど短い。そのため光共振を生じさせるには、「膜厚LB」<「膜厚LG」<「膜厚LR」の関係を満たすことが好ましく、各隔壁間の面積を、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の発光波長が短いほど、広く設定することによって、光が共振するときの一対の電極間の間隔と光波長との関係と同様に、一対の電極間の間隔を、有機EL素子の発光波長が短いほど、短くすることができる。
また前記有機EL素子は、その行方向の幅が、m種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広いことが好ましい。なお素子寿命とは、有機EL素子を定電流駆動したときに、駆動開始時から、輝度が初期輝度の80%に低下するまでに要した時間を意味する。他の実施形態として、有機EL素子の行方向の幅が、m種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広い発光装置を、図3に模式的に示す。前述したように、平面視における有機EL素子の列方向Yおよび行方向Xの幅は、発光する領域によって規定されるため、平面視における有機EL素子の列方向Yおよび行方向Xの幅は、それぞれ絶縁膜4の開口6の列方向Yおよび行方向Xの幅によって規定される。そのためm種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広くなるように、絶縁膜4の開口6の列方向Yの幅を設定すればよい。例えば青色の光を放つ有機EL素子の素子寿命が最も短く、緑色の光を放つ有機EL素子の素子寿命が次に短く、赤色の光を放つ有機EL素子の素子寿命が最も長い場合、青色の光を放つ有機EL素子の列方向Yの幅を最も長く、緑色の光を放つ有機EL素子の列方向Yの幅を次に長く、赤色の光を放つ有機EL素子の列方向Yの幅を最も短くすればよい。このように有機EL素子の幅を規定することによって、素子寿命が短い素子ほどその発光面積を大きくし、単位面積当たりの発光量を低減することによって、駆動時の負荷を低減することができる。これによって素子寿命が短い素子の素子寿命を、他の有機EL素子の素子寿命に合わせて長くすることができる。
特に発光波長の短い有機EL素子ほど素子寿命が短い傾向にあるため、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の発光波長が短いほど、広く設定するとともに、前記有機EL素子は、その行方向の幅が、m種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものを、最も広くすることができ、光共振を生じさせるとともに、素子寿命が短い素子の素子寿命を、他の有機EL素子の素子寿命に合わせて長くすることができる。
またさらに他の実施形態では、各有機EL素子は、複数の共通層を有し、各有機EL素子の全ての共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定されることが好ましい。従来の技術としては、電極間に設けられる所定の一層の膜厚を調整することによって、一対の電極間の距離を調整する方法が知られているが、本実施形態では、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定することによって、各有機EL素子の全ての共通層の膜厚を、有機EL素子の種類ごとに調整することができる。このように複数の共通層を全て少しずつ調整することによって、所定の一層の膜厚のみを調整する従来の技術に比べて、各共通層の膜厚の調整量を少なくすることができる。これによって、共通層の膜厚を調整することに起因する素子特性への影響を抑制することができる。
また他の実施形態では、隔壁間に設けられる有機EL素子の種類に応じて、行方向に沿って隔壁間の間隔の広狭が変化するようにしてもよい。他の実施形態の一例として、隔壁間に設けられる有機EL素子の種類に応じて、行方向に沿って隔壁間の間隔の広狭が変化する発光装置を模式的に表す平面図を図4に示す。
図4に示すように、本実施形態では隔壁の側面に行方向Xに沿って凹凸を形成する。例えば平面視における各凸部の大小を、有機EL素子の種類ごとに設定することによって、列方向に隣り合う各隔壁間の面積を、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定することができる。具体的には平面視で、各隔壁間の面積を小さくする場合には、各凸部の面積を大きくし、各隔壁間の面積を大きくする場合には、各凸部の面積を小さくすればよい。なお図4では、所定の行に臨む一対の隔壁の側面の両方に、凹凸を形成しているが、凹凸は、一対の隔壁の側面の一方のみに設けてもよい。また全ての隔壁の側面に凹凸を形成してもよいが、図4に示すように、所定の行に臨む一対の隔壁の側面の両方が平坦な隔壁を設けてもよい。
また平面視で、列方向Yの一方に隣り合う隔壁に向けて突出する凸部は、例えば行方向Xに隣り合う有機EL素子と有機EL素子との間に設けることが好ましい。隔壁に凸部を設けることによって有機EL素子の設けられる領域が制限されることもありうるが、素子間に凸部を設けることによって、有機EL素子の設けられる面積が制限されることを可能な範囲で抑制することができ、結果として開口率の低下を抑制することができる。
以上の実施形態では2以上の自然数を表す記号「m」が、数値「3」を表すものとして説明したが、mは2でも4以上でもよい。例えばm=4とした場合に、光の3原色である赤・緑・青の光に加えて、赤・緑・青の3色のうちの1色ではあるが、スペクトルが他の1色と少し異なる色の光を放つ有機EL素子を設けてもよい。具体的には赤色、緑色の光を放つ有機EL素子に加えて、深い青色、浅い青色の光を放つ有機EL素子を設けてもよい。すなわち同じ青色ではあってもスペクトルが互いに異なる深い青色、浅い青色の光を放つ2種類の有機EL素子を設けてもよい。この場合、青色の光を放つ有機EL素子を2種類設けることになるが、その構成としては以下のものが考えられる。種類が互いに異なる青色材料を用いて形成された種類の異なる発光層を有する2種類の有機EL素子。同じ青色材料から形成された種類の同じ発光層を有するが、共通層の膜厚が互いに異なる2種類の有機EL素子。後者の素子は、共通層の膜厚が互いに異なるため、共振周波数が異なり、結果として出射する光のスペクトルが互いに異なる。
例えば同じ青であっても、深い青色の光を放つ有機EL素子と、浅い青色の光を放つ有機EL素子とで、発光効率や素子寿命などの素子特性に差がある場合があるが、通常の発光では、深い青色および浅い青色のうちで、素子特性の高い一方の青色の有機EL素子を発光させておき、特に他方の青色が必要となるときにのみ、特性の低い他方の青色の有機EL素子を発光させてもよい。
<有機EL素子の構成>
以下、有機EL素子の構成について説明する。前述したように有機EL素子には種々の層構成がある。以下では有機EL素子の層構造、各層の構成、および各層の形成方法の一例について説明する。
有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に配置される発光層が設けられる。陽極と陰極との間には、発光層に限らずに、発光層とは異なる有機層が設けられてもよく、さらには無機層が設けられる場合もある。これら発光層とは異なる層として、本実施形態ではm種類の有機EL素子に共通する共通層が電極間に設けられる。有機層を構成する有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、また低分子化合物と高分子化合物との混合物でもよいが、高分子化合物が好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10である高分子化合物が好ましい。有機層を塗布法によって形成する際には溶媒への溶解性が良好な有機物が好ましいが、一般的に高分子化合物は低分子化合物に比べて溶媒への溶解性が良好なためである。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。これら陰極と発光層との間に設けられる層、および陽極と発光層との間に設けられる層は、共通層として、全ての有機EL素子に共通して設けることができる。なおこれら共通層のうちで塗布法によって形成することができる共通層は、前述した本発明の液柱状のインキを塗布する方法によって形成することが好ましい。
有機EL素子の素子構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
さらに有機EL素子は、2層以上の発光層を有していてもよく、また2層以上の発光層を有し、電荷を発生する電荷発生層を発光層間に介在させたいわゆるマルチフォトン型の素子を構成してもよい。
有機EL素子は、封止のための封止膜または封止板などの封止部材でさらに覆われていてもよい。
本実施形態の有機EL素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。また有機EL素子は、陽極および陰極のうちで、陽極を支持基板寄りに配置し、陰極を支持基板から離間した位置に配置してもよく、また逆に陰極を支持基板寄りに配置し、陽極を支持基板から離間した位置に配置してもよい。具体的には上記a)〜p)の構成において、左側の層から順に支持基板に各層を積層してもよく、逆に右側の層から順に支持基板に各層を積層してもよい。
次に有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法についてより具体的に説明する。
<支持基板>
支持基板には例えばガラス、プラスチック、およびシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。また有機EL素子をその上に形成するための支持基板として、予め電気回路が形成された基板を用いてもよい。なおボトムエミッション型の素子を搭載する場合、支持基板としては光透過性を示す部材が用いられる。
<陽極>
発光層から放たれる光が陽極を通って出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、このような材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶液の溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリンティング法などの塗布法を挙げることができ、正孔注入層は、上述したノズルプリンティング法によって形成することが好ましい。
正孔注入層の膜厚は、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶液の溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば正孔注入層を溶液から成膜する際に用いられる溶液の溶媒として例示したものを用いることができる。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、正孔輸送層は、上述したノズルプリンティング法によって形成することが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、またはこの有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
発光材料の成膜方法としては、印刷法、インクジェットプリント法、ノズルプリンティング法などを挙げることができる。たとえば上述したようにノズルプリンティング法によってm種類の色ごとにインキを塗り分けることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたもの、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたものを挙げることができる。
1 発光装置
2 支持基板
3 隔壁
4 絶縁膜
5 凹部
6 開口
11 有機EL素子
12 一方の電極
13 他方の電極
14 共通層
15 発光層

Claims (9)

  1. 支持基板と、
    この支持基板上に設けられ、支持基板上において、所定の列方向に所定の間隔を開けて、前記列方向とは方向が異なる行方向に延びる複数本の隔壁と、
    列方向に隣り合う各隔壁間において、行方向に所定の間隔を開けて設けられる複数の有機EL素子と、を含む発光装置であって、
    前記複数の有機EL素子は、それぞれ互いに異なる色の光を放つm種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子に分類され、それぞれが、全ての種類の有機EL素子に共通して設けられる共通層と、該共通層を間に介在させて配置される一対の電極とを有し、
    前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定され、
    各有機EL素子の共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される、発光装置。
  2. 前記m種類の複数の有機EL素子は、
    行方向には、所定の間隔を開けて同じ種類の有機EL素子が設けられ、
    列方向には、m種類の有機EL素子を全種類順列させた所定の並びが、列方向に連続するように反復して並べられている、請求項1記載の発光装置。
  3. 各隔壁は、列方向に隣り合う隔壁に対向する側面が行方向に平らに延在しており、
    列方向に隣り合う各隔壁間の間隔は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類ごとに設定される、請求項1または2記載の発光装置。
  4. 前記複数の有機EL素子は、列方向には、有機EL素子の列方向の中心間の間隔が等しくなるように、所定の間隔をあけて配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の発光装置。
  5. 列方向に隣り合う各隔壁間の間隔は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の種類に応じて、行方向に沿ってその広狭が変化する、請求項1または2記載の発光装置。
  6. 前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の共通層の膜厚が、有機EL素子に光共振が生じる膜厚となるように設定される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
  7. 前記支持基板の厚み方向の一方から見て、列方向に隣り合う各隔壁間の面積は、当該隔壁間に設けられる有機EL素子の発光波長が短いほど、広く設定される、請求項1〜6のいずれかに記載の発光装置。
  8. 前記有機EL素子は、その行方向の幅が、m種類(記号「m」は2以上の自然数を表す。)の素子のうちで最も素子寿命の短いものが、最も広い、請求項1〜7のいずれか1つに記載の発光装置。
  9. 各有機EL素子は、複数の共通層を有し、
    各有機EL素子の全ての共通層の膜厚は、前記厚み方向の一方から見た隔壁間の面積に応じて設定される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の発光装置。
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