JP2011153385A - 壁紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材層を有し、下記の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層を表面層に設けてなる壁紙を用いる。
【化1】
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
【選択図】なし
Description
さらにかかる技術によれば、EVOHは、有機溶媒・水溶媒にそれぞれ強いという特異的な耐性を有するため、油性・水性のそれぞれの汚れがつきにくいという利点がある。
これは、1,2−ジオール構造単位を有することにより、ポリマー1分子あたりの水酸基数が増加した結果、EVOHの親水性が向上して水分吸収および放出性能が向上し、かつ、かかる1,2−ジオール構造単位が側鎖に存在することで主鎖の性能が保持され、EVOHが本来有する防汚性能を保持することが可能となったものと考えられる。
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
上記の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物について説明する。
本発明で用いる、一般式(1)で示される構造単位を有する変性EVOHは公知のものである。
R1〜R3は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の飽和炭化水素基または水素原子が好ましい。R4〜R5は炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。殊には、R1〜R6がすべて水素で、Xが単結合であるものが好ましい。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2)m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2)mCO−、−CO(C6H4)CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。)。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、さらには炭素数1〜6の炭化水素鎖、特には炭素数1であることが好ましい。
そして、EVOHの最も好ましい構成は、上記構造単位(1a)が1〜2モル%、エチレン含有量が25〜50モル%、およびビニルアルコール由来の構造単位、および残部が酢酸ビニル由来のビニルアセトキシ構造単位からなり、ケン化度が98〜100モル%、MFRが2〜40g/10分(210℃、荷重2160g)であるものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、ビニルエチレンカーボネートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合の阻害要因となって重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
それ以外の部分は、ビニルアルコール構造単位および、残存したビニルエステル由来のアシルオキシ基含有構造単位(および少量の共重合可能なエチレン性不飽和単量体構造単位)である。
なお、本発明におけるケン化度とは、滴定法(JIS K6726)で測定した値であり、ビニルエステル系モノマーのエステル部分と、前記1,2−ジオール構造単位に対応するコモノマーのアシルオキシ部やカーボネート部、アセタール部の総量の水酸基への変化率(モル%)を意味している。
また本発明に使用されるEVOHには、必要に応じて(例えば、EVOH等の樹脂成分に対して10重量%以下)熱安定剤(例えば、酢酸、リン酸、ホウ酸およびそれらの塩、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物)酸化防止剤,滑剤,可塑剤,界面活性剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、無機フィラー、酸素吸収剤、ゲル発生防止剤(例えば、ハイドロタルサイト系化合物などを本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
本発明における壁紙は、基材層を有し上記構造単位(1)を含有するEVOH層を、表面層に設けて構成されている。かかる基材には一般的な壁紙に使用される基材が用いられる。
かかる基材としては、例えば難燃紙、無機質紙、上質紙、薄用紙等の紙;織布、不織布等の布;ガラス繊維;木材;熱可塑性樹脂が挙げられる。壁紙の汎用性の点で、紙および熱可塑性樹脂が好ましい。基材は、これらの少なくとも1つを用いればよく、これらの2種以上を積層する等して同時に用いてもよい。
中でも、強度や取り扱い性等の点から、基材として紙と熱可塑性樹脂を併用することが特に好ましい。
本願発明の壁紙は、一般的な公知の方法で製造することができる。たとえば、(1)上記EVOHのフィルムを作製しておき、基材と該フィルムを張り合わせる方法(ドライラミネート法)、(2)基材に、上記EVOHの溶液または分散液を塗工し、乾燥する方法(コーティング法)、(3)基材に、上記EVOHを溶融ラミネートする方法、および基材が熱可塑性樹脂の場合、EVOHに基材樹脂を溶融ラミネートする方法、(4)基材が熱可塑性樹脂の場合、共押出成形法が挙げられる。中でも、好ましくは(1)ドライラミネート法や(3)溶融ラミネート法(4)共押出成形法が選択される。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して(4)共押出成形法が最も好ましい。
本発明に用いる上記EVOHは成形加工性に優れるため、本発明の壁紙は絞り加工、エンボス加工等の立体成形加工を行った場合でも凹凸模様がつきやすく、かつ余分なしわ等が発生しにくいという利点がある。
基材層として紙を用いる場合、その坪量は通常50〜300g/m2である。基材層として熱可塑性樹脂を用いる場合、その厚みは、通常10〜1000μm、好ましくは30〜700μm、特に好ましくは50〜500μmである。
なお、基材層として紙と熱可塑性樹脂を併用する場合、および、紙や熱可塑性樹脂をそれぞれ複数層用いる場合には、それぞれの単独層の厚みが、上記の範囲であることが好ましい。
さらに、基材として熱可塑性樹脂を用いる場合の厚み比は、それぞれ各層を足しあわせた状態で、熱可塑性樹脂/上記EVOHとして通常1/10〜6/10である。
EVOHとして上記構造単位(1a)を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物(エチレン組成38モル%,ケン化度99.6モル%,上記構造単位(1a)含有量1.5モル%,MFR 4g/10分(210℃、荷重2160g),密度1.17g/cm3)を用いた。
押出機:直径(D)=40mm、 L/D=28
スクリーンパック:90/120/90 メッシュ
スクリュ回転数 : 80 rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=150/200/220/220/220/220
−℃
吐出量:16kg/hr
引取速度:10m/min
冷却温度:50℃
押出機:直径(D)=40mm、 L/D=28
スクリーンパック:90/120/90 メッシュ
スクリュ回転数 : 80 rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6−D=150/200/220/220/220/220
−℃
吐出量:16kg/hr
引取速度:3m/min
冷却温度:50℃
これらのフィルムを用いて以下のように防汚試験および吸放湿試験を行った。
<耐水性汚れ試験>
厚み60μmのフィルム表面に油性アルコールインク(JOINTEX 油性ツインマーカー H027J 細字 黒色)にて直径25mmの円を描き、その円内に温度80℃のコーヒー(KEURIG コーヒー抽出機 KFE B40Jにてベーシックローストを約140ml抽出)を均一に塗布した。該フィルムを23℃、50%RH条件下で1時間自然乾燥させた後、円の半分を透明な粘着テープでマスキングした。
水で湿らせた布でマークした円内を拭い取り、フィルムの状態を観察した。
○・・・ほぼ完全に汚れは取り除かれ、着色がなかった
△・・・汚れは取り除かれているが、やや着色が残っている
×・・・汚れと着色はマスキングされた部位と同程度に残っている
厚み60μmのフィルムの表面に油性インク(ぺんてるペン 油性 中字 赤色)にて直径25mmの円を描き、その円内を同インクで均一に塗りつぶした。該フィルムを23℃、50%RH条件下で10分間自然放置させた後、円の半分を透明な粘着テープでマスキングした。
キシレンで湿らせた布でマークした円内を拭い取り、フィルムの状態を観察した。
○・・・ほぼ完全に汚れは取り除かれ、着色がなかった
△・・・汚れは取り除かれているが、やや着色が残っている
×・・・汚れと着色はマスキングされた部位と同程度に残っている
厚み60μmのフィルムの表面に油性アルコールインク(JOINTEX 油性ツインマーカー H027J 細字 黒色)にて直径25mmの円を描き、その円内を同インクで均一に塗りつぶした。該フィルムを23℃、50%RH条件下で10分間自然放置させた後、円の半分を透明な粘着テープでマスキングした。
キシレンで湿らせた布でマークした円内を拭い取り、フィルムの状態を観察した。
○・・・ほぼ完全に汚れは取り除かれ、着色がなかった
△・・・汚れは取り除かれているが、やや着色が残っている
×・・・汚れと着色はマスキングされた部位と同程度に残っている
厚み200μmのフィルムを100mmx100mmのサイズに切り出し、該サンプルを500mlビーカーに入れたイオン交換水に浸漬し、1日後の吸水量より吸水速度を求めた。
また、6日後にフィルムを取り出し飽和吸水率を求めた。さらに、23℃、50%RHの条件下で1日間自然乾燥させた際の放水速度を求めた。
未変性のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン組成38モル%,ケン化度99.6モル%, MFR 4g/10分(210℃、荷重2160g),密度1.17g/cm3)を用いた以外は実施例1と同様にフィルムを作成し、同様に評価した。
結果を表1および2に示す
また、吸放湿試験では本発明の壁紙が有する変性EVOHが、高い親水能力を有し、環境調整能力に優れることが示された。
Claims (5)
- 基材層を有し、下記の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物層を表面層に設けてなる壁紙。
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。] - 基材として紙を用いることを特徴とする請求項1記載の壁紙。
- 基材として熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2記載の壁紙。
- 基材としてポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体から選ばれた少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項3記載の壁紙。
- 上記の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有するエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物層が表層であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の壁紙。
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