JP2011149731A - プラスチックシンチレータ部材の製造方法及び放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射線検出器10は、表面が平坦化処理されたプラスチックシンチレータ1と、蛍光を電気信号に変換する光電子増倍管4と、反射層9、遮光層12及び保護層13の順で積層される積層薄膜11と、プラスチックシンチレータ1及び光電子増倍管4の遮光を行う遮光ケース3とを備え、反射層9がプラスチックシンチレータ1の表面に直接形成されている。
【選択図】図8
Description
この(1)式を用いて窓材3枚の厚さ(mg・cm−2)を計算すると、以下のようになる。
アルミニウム蒸着層の厚さ(mg・cm−2):300Å×6層×2.7(mg・cm−3)=0.049
但し、ポリエステル密度:1.14mg・cm−3、アルミニウム密度:2.70mg・cm−3
従って、両者の厚さ(mg・cm−2)の比は42:1となっており、アルミニウム蒸着層56よりも透明樹脂フィルム層55が支配的であることが分かる。透明樹脂フィルム層56をより薄くすることも考えられるが、当然ながら強度は更に低下してしまう。
図1は、本発明に係るプラスチックシンチレータ部材の製造方法の第1の実施の形態を示す断面図である。
例えば、β線検出を目的としたプラスチックシンチレータ1は、バックグラウンド線種であるγ線の反応確率を抑制するために薄く加工されており、その厚さはおよそ0.1mm〜0.4mmであり、望ましくは0.2mmである。このような薄く加工されたプラスチックシンチレータ1は外力に対して脆くなっているので、プラスチックシンチレータ1と補強部材2とを接合し、一体化させることによって強度が確保される。
補強部材2は、プラスチックシンチレータの発する蛍光を透過できるように例えば無色透明アクリル系樹脂で形成され、その面サイズはプラスチックシンチレータ1と同じか、或いは多少大きめとすることが望ましい。プラスチックシンチレータ1の面サイズが600mm×300mmとした場合、補強材の厚みは3mm〜5mm程度で必要十分な強度が得られる。あまり厚くすると、蛍光の吸収が大きくなり感度低下を招く可能性がある。
プラスチックシンチレータ1と補強部材2との接合に用いる接合剤は、例えばBC600(サンゴバン株式会社)、アロンアルファ(R)201(東亞合成株式会社)などが適用できる。この接合剤を介して補強部材2にプラスチックシンチレータ1を全面接着する。このとき、接着層に接着剤の余剰分や気泡、異物が混入しないように留意する。接着剤の余剰分や気泡を排除するには、プラスチックシンチレータ1にポリエチレンなどの保護フィルムを敷いてその上からローラなどで押し出すと比較的容易である。
ここで、プラスチックシンチレータ1には、図1(a)に示すように、製造過程でその表面に付着したと考えられる数μm程度から10μmを超えるような複数の異物5aが、プラスチックシンチレータ1の表面に存在(一部は埋め込まれた状態となって存在)している場合がある。
溶剤6は、例えばプラスチックシンチレータ1に対して良溶媒となる成分を含むケトン系の溶剤であり、シクロヘキサノンなどが適用できる。
(研磨材7を用いた研磨による平坦化処理)
図2は、本発明に係るプラスチックシンチレータ部材の製造方法の第2の実施の形態を示す断面図である。
(研磨材7を用いた研削による平坦化処理)
図3は、本発明に係るプラスチックシンチレータ部材の製造方法の第3の実施の形態を示す断面図である。
(平坦化されたプラスチックシンチレータ1の表面に反射層の直接形成)
本実施の形態では、第1〜第3の実施の形態のいずれかの平坦化処理方法で平坦化されたプラスチックシンチレータ1の表面に、図4に示すように、反射層9を直接形成する。
(2)式より、
420nm÷4=1.48×d
d=0.07μm
例えば、スパッタリング装置を用い、上記最低膜厚の3倍程度の0.2μm膜厚のアルミニウムをプラスチックシンチレータ1の表面に成膜する場合、15分以内で成膜することができる。このとき、プラスチックシンチレータ1に生じる温度は40℃未満であり、熱による変形、劣化は生じない。
(平坦化されたプラスチックシンチレータ1表面に積層薄膜11の直接形成)
本実施の形態では、図5に示すように、第1〜第3の実施の形態のいずれかの平坦化処理方法で平坦化されたプラスチックシンチレータ1の表面に、積層薄膜11を直接形成する。この積層薄膜11は、反射層9、遮光層12及び保護層13から構成される。
反射層9がアルミニウム蒸着層の場合、成膜欠陥に起因するピンホールが確率的に存在する。また、アルミニウム蒸着層は脆く、気中に長期間晒すと劣化しやすい。また、反射層9が酸化チタンの場合は、全体的に光が透過して十分な遮光が得られない。このため、反射層9の全表面上に遮光層12が積層される。
保護層13は、遮光層12の全表面上に積層される。ここで、窓材の損傷は、製造時や運用時の偶発事故とは別に、人が興味本位に爪先や鉛筆、シャープペンシルの芯先で突いたり、引っ掻いたりなどしたこと、も要因の一つであると言われている。
(平坦化されたプラスチックシンチレータ1表面に積層薄膜11’の直接形成)
本実施の形態では、図6に示すように、第1〜第3の実施の形態のいずれかの平坦化処理方法で平坦化されたプラスチックシンチレータ1の表面に、積層薄膜11’を直接形成する。この積層薄膜11’は、反射層9及び遮光層12’から構成される。
(プラスチックシンチレータ1の表面に立体構造パターンの形成)
第1の実施の形態で使用した溶剤6による平坦化処理を施したプラスチックシンチレータ1の表面は、溶剤6の塗布によって表面層が膨張し、プラスチックシンチレータ1が変形することがある。
(平坦化されたプラスチックシンチレータ1表面に積層薄膜11を直接形成した放射線検出器10)
図8(a)、(b)は、本発明に係る放射線検出器の一実施の形態を示す断面図である。
(放射線入射窓面の上部に保護部材を形成した放射線検出器20)
本発明に係る放射線検出器の他の実施の形態について、図9及び図10を参照して説明する。
2… 透明補強部材
3… 遮光ケース
4… 光電子増倍管
5a…異物
5b…表面キズ・空孔
6… 溶剤
6a…溶解層
7… 研磨材
8… 回転器
9… 反射層
10…放射線検出器
11…積層薄膜
12…遮光層
13…保護層
15…立体構造パターン
17…保護格子
19…つなぎ目
20…放射線検出器
Claims (17)
- 放射線の入射により蛍光を発光するプラスチックシンチレータの放射線入射面を平坦化処理する工程と、
前記平坦化処理されたプラスチックシンチレータの前記放射線入射面に、遮光性を有する反射層を直接形成する工程と、
を備えることを特徴とするプラスチックシンチレータ部材の製造方法。 - 前記平坦化処理する工程は、
前記プラスチックシンチレータの材質を溶解させる溶剤を用いて、前記プラスチックシンチレータの表面を溶解させる工程と、
前記プラスチックシンチレータの表面から前記溶剤を除去する工程と、
前記プラスチックシンチレータを軟化温度未満で乾燥する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。 - 前記乾燥する工程は、真空内で乾燥することを特徴とする請求項2記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 前記平坦化処理する工程は、
前記プラスチックシンチレータの前記放射線入射面を研磨材で研磨する工程と、
前記研磨されたプラスチックシンチレータの表面を洗浄する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。 - 前記平坦化処理する工程は、
前記プラスチックシンチレータの放射線入射面を研磨材で研削する工程と、
前記研削されたプラスチックシンチレータの表面を洗浄する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。 - 前記反射層の表面に、前記反射層とは異なる材質の遮光層を積層する工程を更に備えることを特徴とする請求項1記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 前記遮光層の表面に、前記遮光層を保護するための保護層を積層する工程を更に備えることを特徴とする請求項6記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 前記溶剤を除去する工程の後に、前記プラスチックシンチレータの放射線入射面の表面に、立体構造のパターンを形成する工程を更に備えることを特徴とする請求項2記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 前記プラスチックシンチレータの片面に、前記プラスチックシンチレータの発する蛍光を透過する補強部材が形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 前記溶剤を除去する工程の後に、前記補強部材における前記プラスチックシンチレータを接合する面の反対側の面に、立体構造のパターンを形成する工程を更に備えることを特徴とする請求項9記載のプラスチックシンチレータ部材の製造方法。
- 表面が平坦化処理された、放射線の入射により蛍光を発光するプラスチックシンチレータと、
前記蛍光を電気信号に変換するセンサと、
遮光性を有する反射層を少なくとも有し、前記反射層が前記プラスチックシンチレータの表面に直接形成された積層薄膜と、
前記プラスチックシンチレータと前記センサの遮光を行うケースと、
を備えたことを特徴とする放射線検出器。 - 前記積層薄膜は、前記プラスチックシンチレータ側から、反射層、遮光層及び保護層の順で積層されていることを特徴とする請求項11記載の放射線検出器。
- 前記保護層は、更に遮光性材料としてカーボンブラック又はチタンブラックを含有した樹脂層であって、前記遮光層を兼ねていることを特徴とする請求項12記載の放射線検出器。
- 前記プラスチックシンチレータの裏面側には、透明性を有する補強部材が設けられていることを特徴とする請求項11記載の放射線検出器。
- 前記積層薄膜の表面に、複数の開口部を有する金属の保護格子を設けたことを特徴とする請求項11記載の放射線検出器。
- 前記保護格子が複数の前記プラスチックシンチレータのつなぎ目と重なるように取り付けられることを特徴とする請求項15記載の放射線検出器。
- 前記保護格子は導電性の物質からなり、前記保護格子が前記積層薄膜の表面と電気的に接続され、かつ、接地されていることを特徴とする請求項15記載の放射線検出器。
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