JP2011149038A - 筐体用高光沢アルミニウム塗装材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ筐体用高光沢アルミニウム塗装材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材1及びその製造方法である。筐体用高光沢アルミニウム塗装材1においては、表面粗さRaが0.001〜0.05μmの基材2に塗膜3が電着塗装により形成されている。その製造にあたっては、基材作製工程と電着塗装工程とを行う。基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材2を作製する。電着塗装工程においては、基材2の表面に電着塗装によって塗膜3を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材1及びその製造方法である。筐体用高光沢アルミニウム塗装材1においては、表面粗さRaが0.001〜0.05μmの基材2に塗膜3が電着塗装により形成されている。その製造にあたっては、基材作製工程と電着塗装工程とを行う。基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材2を作製する。電着塗装工程においては、基材2の表面に電着塗装によって塗膜3を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子機器等の筐体に用いられるアルミニウム塗装材及びその製造方法に関する。
パソコン、携帯電話等の電子機器は、電子部品を収容する金属製の筐体を備えている。筐体には、高強度であることが要求される共に、内部に収容される電子部品が発生する熱を効率よく発散できる優れた放熱性が要求される。また、携帯電話やノートパソコン等の携帯用の電子機器用の筐体には、軽量性が要求される。したがって、金属の中でも軽量で伝熱性に優れたアルミニウム合金材からなる筐体が注目されている。
また、筐体は、ユーザーが直接目にして触れる部品である。従来、筐体に用いられるアルミニウム合金材は、手に触れた際に指紋が残るのを避けるために、ショットブラスト等を用いてゆず肌状に表面を荒らした後にアルマイト(登録商標)処理を施したものが用いられていた。
ところが、近年、表面が滑らかで光沢感を有する筐体の高級感ある意匠性が注目されている。
ところが、近年、表面が滑らかで光沢感を有する筐体の高級感ある意匠性が注目されている。
光沢感を有するアルミニウム材は、圧延によって製造することができる。
具体的には、例えば、仕上げの圧延加工において圧延ロールとして鏡面ロールを用いると共に、表面に粘着層を形成した粘着ロールを鏡面ロール又はアルミニウム材に接触させて圧延加工を行って高光沢のアルミニウム材を得る方法が開発されている(引用文献1参照)。かかる方法においては、硬質でアルミニウムとの親和性が弱くかつ方向性のない鏡面ロールによる圧延を行うことができ、さらに粘着ロールにより異物を除去できる。そのため、方向性のない高光沢なアルミニウム材の製造が可能になる。
具体的には、例えば、仕上げの圧延加工において圧延ロールとして鏡面ロールを用いると共に、表面に粘着層を形成した粘着ロールを鏡面ロール又はアルミニウム材に接触させて圧延加工を行って高光沢のアルミニウム材を得る方法が開発されている(引用文献1参照)。かかる方法においては、硬質でアルミニウムとの親和性が弱くかつ方向性のない鏡面ロールによる圧延を行うことができ、さらに粘着ロールにより異物を除去できる。そのため、方向性のない高光沢なアルミニウム材の製造が可能になる。
また、冷間圧延に際し、順次粗度の小さいロールを使用すると共に加工途中で調湿処理を施すことにより高光沢のアルミニウム材を得る方法が開発されている(特許文献2参照)。
さらに、表面の平均粗さRaが0.20〜0.60μm、凹凸の平均間隔Rsmが0.030mm以上、ピークカウントPc(±0.05μm)が250個/cm以下であり、且つ表面に分布する0.5〜30μmの大きさのオイルピットが5×103個/mm2以下である高光沢アルミニウム板が開発されている(特許文献3参照)。
さらに、表面の平均粗さRaが0.20〜0.60μm、凹凸の平均間隔Rsmが0.030mm以上、ピークカウントPc(±0.05μm)が250個/cm以下であり、且つ表面に分布する0.5〜30μmの大きさのオイルピットが5×103個/mm2以下である高光沢アルミニウム板が開発されている(特許文献3参照)。
しかしながら、近年、筐体にはより鏡面に近い非常に高い光沢感が求められており、従来のアルミニウム材では不十分であった。
また、筐体には、高光沢な金属の質感と色彩をあわせもつ意匠性が求められており、筐体用のアルミニウム材には、塗装により塗膜を形成する必要がある。従来開発されていたアルミニウム材では、十分な光沢感と色彩をあわせもつ筐体を得ることはできなかった。
また、筐体には、高光沢な金属の質感と色彩をあわせもつ意匠性が求められており、筐体用のアルミニウム材には、塗装により塗膜を形成する必要がある。従来開発されていたアルミニウム材では、十分な光沢感と色彩をあわせもつ筐体を得ることはできなかった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ筐体用高光沢アルミニウム塗装材及びその製造方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材であって、
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に上記塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に上記塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
第2の発明は、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造する方法であって、
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面に電着塗装によって塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項5)。
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面に電着塗装によって塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項5)。
第1の発明の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に電着塗装により上記塗膜が形成されている。
そのため、上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、鏡面のような非常に高い光沢感と、塗膜による色彩感とを併せもつことができる。
そのため、上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、鏡面のような非常に高い光沢感と、塗膜による色彩感とを併せもつことができる。
即ち、上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材においては、0.001〜0.05μmという表面粗さRaが非常に小さく、光沢感の高い上記基材の表面に、電着塗装により上記塗膜が形成されている。そのため、上記基材が示す高光沢性が上記塗膜によってほとんど損なわれることがない。それ故、上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩感を発揮することができる。
また、電着塗装により上記塗膜が形成されているため、上記のごとく非常に小さな表面粗さを有する上記基材に対しても密着性よく塗膜を形成させることができる。
また、電着塗装により上記塗膜が形成されているため、上記のごとく非常に小さな表面粗さを有する上記基材に対しても密着性よく塗膜を形成させることができる。
第2の発明においては、上記基材作製工程と上記電着塗装工程とを行うことにより上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造する。
上記基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材を作製する。このようにして、鏡面のような非常に高い光沢感を有する基材を得ることができる。
上記基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材を作製する。このようにして、鏡面のような非常に高い光沢感を有する基材を得ることができる。
上記電着塗装工程においては、上記基材の表面に電着塗装によって塗膜を形成する。上記塗膜は電着塗装により上記基材の表面に形成しているため、上記塗膜によって上記基材が有する優れた光沢感が損なわれることを防止することができる。また、上記のごとく表面粗さの非常に小さな上記基材に対しても密着性よく上記塗膜を形成させることができる。そのため、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造することができる。
本発明の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、アルミニウム合金からなる表面粗さRa0.001〜0.05μmの基材を有する。ここで、「アルミニウム合金」は、AlとAl以外の金属元素を含むアルミニウム合金だけでなく、純アルミニウムを含む概念である。
上記基材の表面粗さRaが0.05μmを超える場合には、塗装後の光沢性が不十分になるおそれがある。
また、光沢性の観点からは上記表面粗さRaは小さければ小さい程よいが、Ra0.001μm未満の基材は、工業的な生産が困難になる。
また、光沢性の観点からは上記表面粗さRaは小さければ小さい程よいが、Ra0.001μm未満の基材は、工業的な生産が困難になる。
また、上記基材は、純度99.5質量%以上の純アルミニウム、又は少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
また、純アルミニウムからなる上記基材を採用した場合には、圧延による転写や機械的研磨だけでなく、化学研磨あるいは電解研磨によって表面粗さRaを0.001〜0.05μmに調整することが可能になる。上記基材がアルミニウム以外の不純物を多く含有する場合には、製造過程において材料中に金属間化合物が多数晶出又は析出し、研磨時に材料中の金属間化合物が溶解したり、或いは抜け落ちたりするおそれがある。その結果、微小な凹凸が発生し、表面粗さを十分に低くすることが困難になるおそれがある。材料そのものの強度が不要な場合には、純度99.7質量%以上の純アルミニウムを採用することもできる。この場合には、例えば大型の筐体用であり基材の厚みを大きくすることにより剛性を確保することも可能になる。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
また、純アルミニウムからなる上記基材を採用した場合には、圧延による転写や機械的研磨だけでなく、化学研磨あるいは電解研磨によって表面粗さRaを0.001〜0.05μmに調整することが可能になる。上記基材がアルミニウム以外の不純物を多く含有する場合には、製造過程において材料中に金属間化合物が多数晶出又は析出し、研磨時に材料中の金属間化合物が溶解したり、或いは抜け落ちたりするおそれがある。その結果、微小な凹凸が発生し、表面粗さを十分に低くすることが困難になるおそれがある。材料そのものの強度が不要な場合には、純度99.7質量%以上の純アルミニウムを採用することもできる。この場合には、例えば大型の筐体用であり基材の厚みを大きくすることにより剛性を確保することも可能になる。
また、携帯用の電子機器等のように小型の筐体に用いる場合には、上述のごとく少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなる基材を採用することが好ましい。Mgは、アルミニウム中に固溶し易いことから固溶体硬化の役割を果たし、材料強度を向上させることができる。具体的には、アルミニウム合金としては、例えばAA5252、又はAA5657を採用することができる。
Mgの含有量が0.5質量%未満の場合には、材料強度の向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、6質量%を超える場合には、鋳造時に粗大なAl−Mg−Si系晶出物が生成し、基材の表面光沢が劣化するおそれがある。より好ましくは、Mg含有量は0.5〜3質量%がよい。
Mgの含有量が0.5質量%未満の場合には、材料強度の向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。一方、6質量%を超える場合には、鋳造時に粗大なAl−Mg−Si系晶出物が生成し、基材の表面光沢が劣化するおそれがある。より好ましくは、Mg含有量は0.5〜3質量%がよい。
上記基材の厚みは、0.1〜2mmであることが好ましい(請求項3)。
基材の厚みが0.1mm未満の場合には、筐体用として十分な強度を発揮することが困難になるおそれがある。一方、2mmを超える場合には、成形性が損なわれるおそれがある。より好ましくは、上記基材の厚みは0.3〜1mmがよい。
基材の厚みが0.1mm未満の場合には、筐体用として十分な強度を発揮することが困難になるおそれがある。一方、2mmを超える場合には、成形性が損なわれるおそれがある。より好ましくは、上記基材の厚みは0.3〜1mmがよい。
上記塗膜は、電着塗装により形成されている。
上記電着塗装としては、カチオン電着塗装又はアニオン電着塗装を採用することができる。
好ましくは、アニオン電着塗装がよい。この場合には、塗料の付きまわりがよく、鮮明で多種の色調を得ることができる。
上記電着塗装としては、カチオン電着塗装又はアニオン電着塗装を採用することができる。
好ましくは、アニオン電着塗装がよい。この場合には、塗料の付きまわりがよく、鮮明で多種の色調を得ることができる。
上記塗膜の厚みは5〜50μmであることが好ましい(請求項4)。
塗膜の厚みが5μm未満の場合には、塗膜による表面保護の効果が得られにくく、耐傷付き性が劣化するおそれがある。一方、50μmを超える場合には、光沢性が低下するおそれがある。より好ましくは上記塗膜の厚みは10〜20μmがよい。
塗膜の厚みが5μm未満の場合には、塗膜による表面保護の効果が得られにくく、耐傷付き性が劣化するおそれがある。一方、50μmを超える場合には、光沢性が低下するおそれがある。より好ましくは上記塗膜の厚みは10〜20μmがよい。
上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、基材作製工程と電着塗装工程とを行うことにより製造することができる。
上記基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材を作製する。
上記基材の表面粗さRaの数値範囲の臨界意義は上述の通りである。
上記基材作製工程においては、圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材を作製する。
上記基材の表面粗さRaの数値範囲の臨界意義は上述の通りである。
圧延による転写により上記基材を作製する場合においては、圧延ロールの仕上げは、フィルム研磨及び/又はキスロール研磨により行うことが好ましい。砥石による研磨では、ロール自体の粗さにより、基材の表面粗さRaを上記のごとく小さい値に制御することが困難になる。
また、最終仕上げ圧延は、圧延油を使用せずに、ドライな状態で行うことが好ましい。圧延油を用いた場合には、仕上げ圧延した基材の表面にオイルピットが発生し、表面粗さが大きくなってしまうおそれがある。
また、最終仕上げ圧延は、圧延油を使用せずに、ドライな状態で行うことが好ましい。圧延油を用いた場合には、仕上げ圧延した基材の表面にオイルピットが発生し、表面粗さが大きくなってしまうおそれがある。
また、化学研磨においては、硝酸を用いたリン酸−硝酸法やKaiser法、又は硫酸を用いたAlupol法等を採用することができる。
また、電解研磨においては、Erftwerk法又はAluflex法を採用することができる。
また、機械的研磨は、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、シリコンカーバイド、アルミナ等からなる平均粒径0.01〜5μmの研磨微粉を用いた湿式研磨により行うことができる。
また、電解研磨においては、Erftwerk法又はAluflex法を採用することができる。
また、機械的研磨は、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、シリコンカーバイド、アルミナ等からなる平均粒径0.01〜5μmの研磨微粉を用いた湿式研磨により行うことができる。
上記基材としては、純度99.5質量%以上の純アルミニウム、又は少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなる基材を採用することが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
上記基材としては、厚み0.1〜2mmのものを採用することが好ましい(請求項7)。この場合には、優れた強度及び成形性を兼ね備えた筐体用高光沢アルミニウム塗装材を得ることができる。
次に、上記電着塗装工程においては、上記基材の表面に電着塗装によって塗膜を形成する。
電着塗装においては、例えば顔料、水溶性樹脂、硬化剤、及び水等を含有する電着塗料を用いることができる。
電着塗装においては、例えば顔料、水溶性樹脂、硬化剤、及び水等を含有する電着塗料を用いることができる。
電着塗装においては、上述の如く、カチオン電着塗装又はアニオン電着塗装を採用することができ、好ましくはアニオン電着塗装がよい。
アニオン電着塗装においては、例えば電着槽内で基材を電着塗料に浸漬し、基材を陽極とし、電着槽内に設置した極板を陰極として、電極間に電流を流すことにより、基材の表面に塗膜を析出させることができる。
一方、カチオン電着塗装においては、基材と極板の電極を入れ換えて、基材を陰極とし、極板を陽極とし、電極間に電流を流すことにより、基材の表面に塗膜を析出させることができる。
アニオン電着塗装においては、例えば電着槽内で基材を電着塗料に浸漬し、基材を陽極とし、電着槽内に設置した極板を陰極として、電極間に電流を流すことにより、基材の表面に塗膜を析出させることができる。
一方、カチオン電着塗装においては、基材と極板の電極を入れ換えて、基材を陰極とし、極板を陽極とし、電極間に電流を流すことにより、基材の表面に塗膜を析出させることができる。
上記電着塗装工程においては、厚み5〜50μmで上記塗膜を形成することが好ましい(請求項8)。上記塗膜の厚みの臨界意義については上述の通りである。より好ましくは10〜20μmがよい。
上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、パソコン及び携帯電話等の電子機器の筐体に用いることができる。
上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつという優れた意匠性を示しつつ、内蔵する電子部品から発生する熱を優れた放熱性で放熱できるという優れた特徴を発揮することができる。
上記筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつという優れた意匠性を示しつつ、内蔵する電子部品から発生する熱を優れた放熱性で放熱できるという優れた特徴を発揮することができる。
(実施例1)
次に、本発明の筐体用高光沢アルミニウム塗装材の実施例について、図1を用いて説明する。
図1に示すごとく、本発明の実施例にかかる筐体用高光沢アルミニウム塗装材1は、アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する。筐体用高光沢アルミニウム塗装材1においては、表面粗さRaが0.001〜0.05μmの基材2に塗膜3が電着塗装により形成されている。
次に、本発明の筐体用高光沢アルミニウム塗装材の実施例について、図1を用いて説明する。
図1に示すごとく、本発明の実施例にかかる筐体用高光沢アルミニウム塗装材1は、アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する。筐体用高光沢アルミニウム塗装材1においては、表面粗さRaが0.001〜0.05μmの基材2に塗膜3が電着塗装により形成されている。
本例においては、基材2として、JISA1070(純度99.7%)の純アルミニウムからなる調質H18のアルミニウム板材を用いた。板厚は0.3mmである。
また、塗膜3は、アニオン電着塗装により形成されており、赤色を呈している。塗膜の膜厚は15μmである。
また、塗膜3は、アニオン電着塗装により形成されており、赤色を呈している。塗膜の膜厚は15μmである。
また、本発明の実施例にかかる筐体用高光沢アルミニウム塗装材1は、基材作製工程と電着塗装工程とを行うことにより作製する。
基材作製工程においては、圧延による転写により、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材2を作製する。
電着塗装工程においては、基材2の表面に電着塗装によって塗膜3を形成する。
基材作製工程においては、圧延による転写により、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる基材2を作製する。
電着塗装工程においては、基材2の表面に電着塗装によって塗膜3を形成する。
以下、本例の筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法につき、詳細に説明する。
まず、基材2として、JISA1070(純度99.7%)の純アルミニウムからなる調質H18のアルミニウム板材(板厚0.3mm)を作製した。
アルミニウム板材は、仕上げ冷間圧延を圧延油を用いず行い、無潤滑圧延により作製した。本例においては、キスロール研磨により仕上げを行った。
まず、基材2として、JISA1070(純度99.7%)の純アルミニウムからなる調質H18のアルミニウム板材(板厚0.3mm)を作製した。
アルミニウム板材は、仕上げ冷間圧延を圧延油を用いず行い、無潤滑圧延により作製した。本例においては、キスロール研磨により仕上げを行った。
次に、水溶性樹脂としての水溶性アクリル樹脂と硬化剤としてのメラミン樹脂と水等を含有する赤色用のアニオン電着塗料(固形分:10質量%)を準備した。次いで、電着槽中でアニオン電着塗料に基材を浸漬し、アニオン電着塗装を行った。電着塗装は、電着浴温度:25℃、塗装電圧:100V、乾燥膜厚:15μm、焼付け条件:180℃×30分という条件で行った。
このようにして、図1に示すごとく、アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材1を作製した。
このようにして、図1に示すごとく、アルミニウム合金からなる基材2と、その表面に形成された塗膜3とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材1を作製した。
本例においては、基材作製工程において表面粗さRaの異なる5種類の基材2を作製し、これらの基材2の表面に電着塗装により塗膜3を作製して5種類のアルミニウム塗装材1(試料E1〜試料E3、試料C1、及び試料C2)を作製した。
各試料について、塗膜の厚み、電着塗装前の基材の表面粗さRa、及び電着塗装後の表面粗さRaを後述の表1に示す。表面粗さRaとしては、JISB0601における平均粗さRaを、JISB0651に準拠した触針式表面粗さ測定器を用いて測定した。
各試料について、塗膜の厚み、電着塗装前の基材の表面粗さRa、及び電着塗装後の表面粗さRaを後述の表1に示す。表面粗さRaとしては、JISB0601における平均粗さRaを、JISB0651に準拠した触針式表面粗さ測定器を用いて測定した。
また、本例においては、試料E1〜試料E3とは塗膜の膜厚を変えた2種類のアルミニウム塗装材(試料E4及び試料E5)を作製した。試料E4及び試料E5は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、電着塗装によりそれぞれ47μm及び58μmの厚み(乾燥膜厚)で塗膜を形成した。厚みを変更した点を除いては、上述の試料E1〜試料E3と同様にして作製した。
また、比較用として、電着塗装の代わりに焼付けにより塗膜を形成したアルミニウム塗装材(試料C3)を作製した。試料C3は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、ポリエチレン樹脂を樹脂成分とする塗料を温度200℃で30分間焼付けることにより作製した。乾燥後の塗膜の膜厚が15μmとした。
また、比較用として、電着塗装の代わりに焼付けにより塗膜を形成したアルミニウム塗装材(試料C3)を作製した。試料C3は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、ポリエチレン樹脂を樹脂成分とする塗料を温度200℃で30分間焼付けることにより作製した。乾燥後の塗膜の膜厚が15μmとした。
次に、各試料(試料E1〜試料E5、及び試料C1〜試料C3)について、光沢性を評価するために正反射率を測定した。
正反射率は、塗装後の各試料について、JISZ8741に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
正反射率は、塗装後の各試料について、JISZ8741に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
表1より知られるごとく、試料E1〜試料E5は、塗膜による赤色の色彩を呈しつつ75%以上という非常に高い正反射率を示し、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ意匠性に優れたものであった。これに対し、表面粗さの大きな試料C1及び試料C2は、正反射率が不十分で光沢感が不十分であった。また、電着塗装ではなく焼付けにより塗膜を形成した試料C3は、塗装後に表面粗さRaが著しく大きくなり、正反射率が不十分であった。
したがって、表面粗さRa0.001〜0.05μmの基材に、電着塗装により塗膜を形成することにより、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ意匠性に優れた筐体用高光沢アルミニウム塗装材(試料E1〜試料E5)が得られることがわかる。
また、表1の試料E2、試料E4、及び試料E5の結果から知られるごとく、塗膜の膜厚を大きくすると正反射率が低下する傾向にある。よって、十分に高い光沢感を維持するためには、塗膜の厚みは50μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。
本例の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、パソコン及び携帯電話等の電子機器の筐体に用いることができる。
また、表1の試料E2、試料E4、及び試料E5の結果から知られるごとく、塗膜の膜厚を大きくすると正反射率が低下する傾向にある。よって、十分に高い光沢感を維持するためには、塗膜の厚みは50μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。
本例の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、パソコン及び携帯電話等の電子機器の筐体に用いることができる。
1 筐体用高光沢アルミニウム塗装材
2 基材
3 塗膜
2 基材
3 塗膜
第1の発明は、電子機器の筐体に用いられ、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材であって、
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に厚み5〜50μmの上記塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に厚み5〜50μmの上記塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
第2の発明は、電子機器の筐体に用いられ、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造する方法であって、
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面に電着塗装によって厚み5〜50μmの塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項4)。
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面に電着塗装によって厚み5〜50μmの塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項4)。
上記塗膜の厚みは5〜50μmであることが好ましい。
塗膜の厚みが5μm未満の場合には、塗膜による表面保護の効果が得られにくく、耐傷付き性が劣化するおそれがある。一方、50μmを超える場合には、光沢性が低下するおそれがある。より好ましくは上記塗膜の厚みは10〜20μmがよい。
塗膜の厚みが5μm未満の場合には、塗膜による表面保護の効果が得られにくく、耐傷付き性が劣化するおそれがある。一方、50μmを超える場合には、光沢性が低下するおそれがある。より好ましくは上記塗膜の厚みは10〜20μmがよい。
上記基材としては、純度99.5質量%以上の純アルミニウム、又は少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなる基材を採用することが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
この場合には、上記基材の光沢性をより向上させることができる。
上記基材としては、厚み0.1〜2mmのものを採用することが好ましい(請求項6)。この場合には、優れた強度及び成形性を兼ね備えた筐体用高光沢アルミニウム塗装材を得ることができる。
上記電着塗装工程においては、厚み5〜50μmで上記塗膜を形成することが好ましい。上記塗膜の厚みの臨界意義については上述の通りである。より好ましくは10〜20μmがよい。
また、本例においては、試料E1〜試料E3とは塗膜の膜厚を変えた2種類のアルミニウム塗装材(試料E4及び試料C3)を作製した。試料E4及び試料C3は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、電着塗装によりそれぞれ47μm及び58μmの厚み(乾燥膜厚)で塗膜を形成した。厚みを変更した点を除いては、上述の試料E1〜試料E3と同様にして作製した。
また、比較用として、電着塗装の代わりに焼付けにより塗膜を形成したアルミニウム塗装材(試料C4)を作製した。試料C4は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、ポリエチレン樹脂を樹脂成分とする塗料を温度200℃で30分間焼付けることにより作製した。乾燥後の塗膜の膜厚が15μmとした。
また、比較用として、電着塗装の代わりに焼付けにより塗膜を形成したアルミニウム塗装材(試料C4)を作製した。試料C4は、試料E2と同様の表面粗さRa0.01の基材に対して、ポリエチレン樹脂を樹脂成分とする塗料を温度200℃で30分間焼付けることにより作製した。乾燥後の塗膜の膜厚が15μmとした。
次に、各試料(試料E1〜試料E4、及び試料C1〜試料C4)について、光沢性を評価するために正反射率を測定した。
正反射率は、塗装後の各試料について、JISZ8741に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
正反射率は、塗装後の各試料について、JISZ8741に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
表1より知られるごとく、試料E1〜試料E4は、塗膜による赤色の色彩を呈しつつ76%以上という非常に高い正反射率を示し、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ意匠性に優れたものであった。これに対し、表面粗さの大きな試料C1及び試料C2は、正反射率が不十分で光沢感が不十分であった。また、電着塗装ではなく焼付けにより塗膜を形成した試料C4は、塗装後に表面粗さRaが著しく大きくなり、正反射率が不十分であった。
したがって、表面粗さRa0.001〜0.05μmの基材に、電着塗装により塗膜を形成することにより、鏡面に匹敵する高い光沢感と色彩を併せもつ意匠性に優れた筐体用高光沢アルミニウム塗装材(試料E1〜試料E4)が得られることがわかる。
また、表1の試料E2、試料E4、及び試料C3の結果から知られるごとく、塗膜の膜厚を大きくすると正反射率が低下する傾向にある。よって、十分に高い光沢感を維持するためには、塗膜の厚みは50μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。
本例の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、パソコン及び携帯電話等の電子機器の筐体に用いることができる。
また、表1の試料E2、試料E4、及び試料C3の結果から知られるごとく、塗膜の膜厚を大きくすると正反射率が低下する傾向にある。よって、十分に高い光沢感を維持するためには、塗膜の厚みは50μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。
本例の筐体用高光沢アルミニウム塗装材は、パソコン及び携帯電話等の電子機器の筐体に用いることができる。
第1の発明は、電子機器の筐体に用いられ、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材であって、
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に厚み5〜50μmの上記塗膜がアニオン電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に厚み5〜50μmの上記塗膜がアニオン電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材にある(請求項1)。
第2の発明は、電子機器の筐体に用いられ、アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造する方法であって、
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面にアニオン電着塗装によって厚み5〜50μmの塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項5)。
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面にアニオン電着塗装によって厚み5〜50μmの塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法にある(請求項5)。
Claims (8)
- アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材であって、
表面粗さRaが0.001〜0.05μmの上記基材に上記塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材。 - 請求項1に記載の筐体用高光沢アルミニウム塗装材において、上記基材は、純度99.5質量%以上の純アルミニウム、又は少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材。
- 請求項1又は2に記載の筐体用高光沢アルミニウム塗装材において、上記基材の厚みは、0.1〜2mmであることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の筐体用高光沢アルミニウム塗装材において、上記塗膜の厚みは5〜50μmであることを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材。
- アルミニウム合金からなる基材と、その表面に形成された塗膜とを有する筐体用高光沢アルミニウム塗装材を製造する方法であって、
圧延による転写、化学研磨、電解研磨、又は機械研磨のいずれかにより、表面粗さRaが0.001〜0.05μmのアルミニウム合金からなる上記基材を作製する基材作製工程と、
上記基材の表面に電着塗装によって塗膜を形成する電着塗装工程とを有することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法。 - 請求項5に記載の製造方法において、上記基材としては、純度99.5質量%以上の純アルミニウム、又は少なくともMgを0.5〜6質量%含有するアルミニウム合金からなる基材を採用することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法。
- 請求項5又は6に記載の製造方法において、上記基材としては、厚み0.1〜2mmのものを採用することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法において、上記電着塗装工程においては、厚み5〜50μmで上記塗膜を形成することを特徴とする筐体用高光沢アルミニウム塗装材の製造方法。
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