JP5803307B2 - 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 - Google Patents
水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5803307B2 JP5803307B2 JP2011130733A JP2011130733A JP5803307B2 JP 5803307 B2 JP5803307 B2 JP 5803307B2 JP 2011130733 A JP2011130733 A JP 2011130733A JP 2011130733 A JP2011130733 A JP 2011130733A JP 5803307 B2 JP5803307 B2 JP 5803307B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transfer
- water
- film
- layer
- metal thin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Decoration By Transfer Pictures (AREA)
Description
こうした装飾方法として、水圧を利用した水圧転写法が知られている。この水圧転写法は、水溶性あるいは水膨潤性の水溶性フィルムに、所望の装飾層を印刷した転写フィルムを用意し、該転写フィルムの装飾層に、有機溶剤からなる活性剤組成物を塗布して、該装飾層を膨潤、粘着化させる(これを活性化という)。その前又は後に、前記転写フィルムを転写用の装飾層(印刷層)面を上面にして、水面上に浮遊させ、次いで、該転写フィルム上に被転写体となる物品を押圧して、水圧によって転写フィルムを被転写体の装飾処理をすべき被転写面に密着させた後、水溶性フィルムを除去して装飾層を転写する(例えば、特許文献1参照)。
これに対して、特許文献2においては、パール感を呈する印刷模様層を形成するため、被転写体である合成樹脂成形体に予めガラス繊維を添加し、その合成樹脂成形体の表面に水圧転写法により印刷模様層を転写することが提案されている。しかし、この方法では、合成樹脂成形体の材質が制限され、合成樹脂成形体作製が煩雑であった。
しかしながら、蒸着金属層は光輝性が高いという優れた性質を有するが、水圧転写シートの透明樹脂層を膨潤、粘着化させる際に、透明樹脂層と同じように延びないため、不均一な割れ(クラック)が生じ、かえって美感を損ねるという問題があった。
すなわち、本発明は、
(1)水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されている水圧転写フィルムであって、該転写調整層がポリビニルピロリドン樹脂を含むことを特徴とする水圧転写フィルム、
(2)水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されている水圧転写フィルムの製造方法であって、該水溶性フィルムの上にポリビニルピロリドン樹脂を含む該転写調整層を積層する工程(A)と、該転写調整層表面に該金属薄膜層を形成する工程(B)と、該工程(A)の後かつ該工程(B)の前において、又は該工程(B)の後において、エンボス加工を施し凹凸模様を形成する工程(C)とを有する水圧転写フィルムの製造方法、及び
(3)下記の工程(a)〜(c)を順に有する加飾成形品の製造方法、
工程(a):水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されており、該転写調整層がポリビニルピロリドン樹脂を含むことを特徴とする水圧転写フィルムを該水溶性フィルム側が水面側に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該金属薄膜層に活性剤組成物を塗布する活性剤塗布工程
工程(b):該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該金属薄膜層を被転写体の被転写面に密着させる工程
工程(c):該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルム及び転写調整層を除去する脱膜工程
を提供するものである。
本発明の水圧転写フィルム1は、水溶性フィルム2と、水溶性フィルム2上の転写調整層3と、転写調整層3上の金属薄膜層4とを有し、転写調整層3と金属薄膜層4との間に凹凸模様5が形成されている水圧転写フィルム1であって、転写調整層3がポリビニルピロリドン樹脂を含むことを特徴とする。
本発明に係る水溶性フィルムとしては、水溶性又は水膨潤性を有するものであれば良く、従来水圧転写フィルムとして一般に使用されている水溶性フィルムの中から、適宜選択して用いることができる。
水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白質、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、酢酸ビニルとイタコン酸との共重合体、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の各種水溶性ポリマーが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。なお、水溶性フィルムには、マンナン、キサンタンガム、グアーガム等のゴム成分が添加されていてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の添加剤の配合量等を変えることにより、水溶性フィルムに対して転写用の印刷層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さ等を適宜調節することができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤して軟化しつつもフィルムとして存続することが好ましい。フィルムとして存続している状態にあるときに水圧転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の印刷層の過度の流動、変形を防止することができるからである。
本発明に係る転写調整層3は、ポリビニルピロリドン樹脂を含むことを要する。転写調整層3は、ポリビニルピロリドン樹脂単独からなるものであっても良いし、ポリビニルピロリドン樹脂を含む樹脂組成物であっても良い。
ポリビニルピロリドン樹脂は、N−ビニル−2−ピロリドンの重合した高分子化合物であり、水に溶解し、良好な水膨潤性を有する。このポリビニルピロリドン樹脂を用いることにより、水圧転写時に転写調整層3が適度な速度で膨潤するので、金属薄膜層4が不均一に割れ(クラック)が生じにくく、均一な微細な割れ(クラック)を生じることとなる。これにより、金属薄膜層4が均一で微細な割れ(クラック)を良好に維持できるので、被転写体である加飾成形品は優れた光輝性を奏することができる。
また、ポリビニルピロリドン樹脂は、水膨潤速度が早過ぎないので、水圧転写フィルムを水面上に浮遊させた後、活性剤塗布工程(a)の適度な時間を確保して被転写体に転写することができる。
上記のポリビニルピロリドン樹脂を含む樹脂組成物には、ポリビニルピロリドン樹脂に、所望により、上記の水溶性ポリマーが添加されても良いし、マンナン、キサンタンガム、グアーガム等のゴム成分が添加されていてもよい。これらの添加により、水膨潤速度を所望する水圧転写工程に最適になるように調整することができる。
本発明に係る金属薄膜層4の材料としては、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、銅、金、銀、スズ、亜鉛、黄銅、ステンレス等の金属、合金、金属酸化物等を使用することができる。金属酸化物としては酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等が挙げられる。これらのうち、アルミニウムが割れ(クラック)を均一に生じさせる観点から好ましい。金属薄膜層4の厚さは通常100〜800Åであることが好ましく、200〜600Åであることがさらに好ましい。金属薄膜層4の厚さが上記範囲内であると、割れ(クラック)幅として1〜120μmという微細な割れ(クラック)を均一に生じさせることができる。
本発明においては、所望により、絵柄印刷層(図示しない)を転写調整層3と金属薄膜層4との間に設けることができる。絵柄印刷層のバインダー樹脂は転写調整層3と同じ樹脂を用いることが好ましい。着色剤は、従来から通常使用されているものが用いられる。
本発明に係る凹凸模様5としては、光輝性意匠表現に応じたものとすれば良く、特に限定されるものではない。例えば、万線状溝、木目導管溝、木目年輪模様、砂目模様、石目模様、金属結晶面模様、布目模様、梨地模様、皮絞模様、マット面模様、ヘアライン模様、スピン調模様、文字、記号、幾何学図形等が挙げられる。凹凸模様の深さは3〜50μmとすることが、割れ(クラック)を均一に生じさせることができ、高い光輝性を有する、良好な意匠性の成形品が得られる観点から好ましい。また、同様の観点から、より好ましくは10〜40μmであり、さらに好ましくは20〜40μmである。ここで、本発明において凹凸模様5の深さは、凹凸模様の凹部の深さのことである。ここで、凹部の深さは、転写調整層と金属薄膜層との界面を略直線とみたときの、該直線からの深さの最大値をとする。
また、凹凸模様5の幅は、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜40μmである。凹凸模様5の幅が上記範囲内であることにより、クラック(割れ)幅として1〜120μmという微細なクラック(割れ)を均一に生じさせることができる。ここで、本発明において凹凸模様5の幅は、凸部自体の幅のことである。
また、凹凸模様5は、エンボス加工により好適に設けることができる。
本発明の水圧転写フィルム1の製造方法は、水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されている水圧転写フィルムの製造方法であって、該水溶性フィルムの上にポリビニルピロリドン樹脂を含む該転写調整層を積層する工程(A)と、該転写調整層表面に該金属薄膜層を形成する工程(B)と、該工程(A)の後かつ該工程(B)の前において、又は該工程(B)の後において、エンボス加工を施し凹凸模様を形成する工程(C)とを有する。
工程(A)において、転写調整層3は、公知の塗布方法又は印刷方法、水溶性フィルムとの共押出法、あるいは樹脂フィルムを水溶性フィルム2にラミネートすることにより水溶性フィルム2の上に積層される。
公知の塗布方法としては、グラビアコート、リバースコート等が挙げられ、公知の印刷方法としては、グラビア印刷等が挙げられる。
工程(B)において、金属薄膜層4は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の金属蒸着方法、あるいは上記の金属薄膜層4を形成する金属種の金属粉末とバインダー樹脂とを含む金属ペーストを塗布し、乾燥させることにより形成することができる。本発明においては、金属蒸着方法により形成することが好ましい。
凹凸模様を形成する工程(C)において施されるエンボス加工は、通常80〜125℃の温度で、20〜100ton/m2、好ましくは20〜60ton/m2の圧力を加えてエンボス加工装置により行なわれ、所望する凹凸模様5を形成する。
工程(C)は、工程(A)の後かつ工程(B)の前において、又は工程(B)の後において行なわれる。加工のし易さの観点から、エンボス加工は工程(A)の後かつ工程(B)の前において転写調整層3の表面に施されることが好ましい。
なお、所望により絵柄印刷層を設ける場合は、エンボス加工は絵柄印刷層を設けた後に施される。
本発明の加飾成形品の製造方法は、水溶性フィルム2、転写調整層3、及び金属薄膜層4を有する本発明の水圧転写フィルム1を該水溶性フィルム2側が水面側に向くように水面に浮遊させて該金属薄膜層4を被転写体に転写する製造方法であって、該水圧転写フィルム1を水面に浮遊させる前又は後に、該金属薄膜層4に活性剤組成物を塗布する活性剤塗付工程(a)、該工程(a)を経た水圧転写フィルム1上に被転写体を押圧し、水圧によって該金属薄膜層4を被転写体の被転写面に密着させる工程(工程(b))、及び該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルム2及び転写調整層3を除去する脱膜工程(c)を有することを特徴とするものである。
活性剤塗布工程(a)は、水圧転写フィルム1を水面に浮遊させる前又は後に、金属薄膜層4に活性剤組成物を塗布する工程である。この工程で、金属薄膜層4に活性剤を塗布することにより、該金属薄膜層4の表面が荒れ、被転写体と密着しやすくなる。水圧転写フィルム1の水溶性フィルム2側が水面側に向くように水面上に浮遊させる。水圧転写フィルム1を水面に浮遊させるには、枚葉の印刷物を1枚ずつ浮遊させてもよく、また水を一方向に流し、その水面上に連続帯状の水圧転写フィルムを、連続的に供給して浮遊させてもよい。
活性剤組成物は、水圧転写フィルム1における転写用の金属薄膜層4を荒らすことができ、かつ後述する被転写体の表面を溶解させる機能を有する組成物であれば特に制限はなく、また、被転写体の被転写面に金属薄膜層4を転写させるまで蒸発しないような性状を有することが好ましい。このような活性剤組成物としては、例えばエステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、及び樹脂を含む組成物が好ましく挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、シュウ酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルなどが好ましく挙げられる。
アセチレングリコール類としては、メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、エチルカルビトールアセテート、プロピルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが好ましく挙げられる。
エーテル類としては、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソアミルセロソルブなどが好ましく挙げられる。
また、樹脂としては、アクリレート系単量体の単独又は共重合体などの熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸アルキッド樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、なかでも熱硬化性樹脂が好ましい。
本発明で用いられる活性剤組成物の好ましい各組成の含有量は、エステル類は5〜40質量%、アセチレングリコール類は40〜80質量%、エーテル類は5〜30質量%、及び樹脂は1〜20質量%程度である。
工程(b)は、工程(a)を経た水圧転写フィルム1上に被転写体を押圧し、水圧によって該金属薄膜層4を被転写体の被転写面に密着させる工程である。
水圧転写フィルム1を浮かべ水圧を印加するための水は、該水圧転写フィルム1の水溶性フィルム2の種類などに応じ、適宣水温を調整するのがよく、好ましくは25〜50℃程度、より好ましくは25〜35℃である。
また、本発明の水圧転写フィルム1と被転写体との転写時間は、20〜120秒程度が好ましく、より好ましくは30〜60秒程度である。クラック幅を広くするには、塗布量を多めにすればよく、水温は高めにすればよく、また転写時間は長めとすればよい。ここで、転写時間とは、本発明の転写フィルム1を水に浮遊させてから、被転写体への転写が完了するまでの時間のことである。
本発明で用いられる被転写体としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、繊維系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂、あるいはこれらを混合した樹脂のほか、鉄、アルミニウム、銅などの金属、陶磁器、ガラス、琺瑯などのセラミックス、木材などの材料からなる構造体を使用することができる。
また、被転写面の形状は、平面形状である二次元形状であってもよいし、凹凸形状や曲面形状などの三次元形状であってもよい。これらの中で、通常、樹脂製構造体が多用される。この樹脂製構造体は、成型時において離型剤が付着するとともに、ゴミや脂分なども付着することがあり、水圧転写フィルムの印刷層を密着性よく転写させるために、予め脱脂液により被転写面を清浄化しておくことが好ましい。
脱膜工程(c)は、被転写体の被転写面に密着した印刷物の水溶性フィルム2及び転写調整層3を除去する工程である。
水溶性フィルム2及び転写調整層3の除去は、例えば、水を用いてシャワー洗浄することで行うことができる。この工程(c)により、被転写面に付着している水溶性フィルム2及び転写調整層3は除去される。なお、シャワー洗浄の条件は、水溶性フィルム2や転写調整層3を形成する材料などにより異なるが、通常は水温15〜60℃程度、洗浄時間10秒〜5分程度が好ましい。そして、工程(c)の後、被転写体を十分乾燥し水分を蒸発させれば、被転写体の被転写面に転写された金属薄膜層14によって、所望の意匠が付与された樹脂成形品が得られる。
工程(d)は、所望により転写された金属薄膜層上に、保護膜を形成する工程である。
工程(d)においては、前記工程(c)にて被転写体の被転写面に転写された金属薄膜層に対し、表面強度向上、表面保護、表面艶調整などのために必要に応じ塗装を施し、保護膜を形成することができる。保護膜としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂など、具体的にはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂などを含む樹脂組成物により形成されるものが好ましく挙げられる。
転写の際にクラック(割れ)幅として1〜120μmという微細なクラック(割れ)を均一に生じさせるには、凹凸模様5の深さが3〜50μmであることが最も重要であるが、この微細クラック(割れ)幅の調整は、凹凸模様5の深さをはじめとし、例えば、凹凸模様5の周期幅(ピッチ)や幅の選定、転写調整層3を形成する樹脂の選定及びその厚さ、金属薄膜層4の厚さの選定などにより行うことができる。例えば、凹凸模様5の深さをより深めとすると、クラック幅は広くなる傾向にあり、またクラック幅を広めにしたい場合は、凹凸模様5の周期幅(ピッチ)や幅は広めにすればよく、金属薄膜層4の厚さをより厚くすればよく、また転写調整層3の厚さを厚くすればよい。
なお、各例で得られた水圧転写フィルムを使用した加飾成形品について以下に示す性能評価を行った。
(1)金属薄膜層の割れ(クラック)状態
水圧転写フィルムの金属薄膜層表面に、下記組成の活性剤組成物を3g/m2塗布し、スムージングロールで該活性剤組成物を均一にし、転写調整層3及び金属薄膜層4の活性剤塗布工程(a)を経た後、水圧転写フィルムに被転写体を押圧し、水圧によって金属薄膜層を被転写体の被転写面に密着させる工程(b)を経て、脱膜工程(c)の後に得られた加飾成形品の表面状態を顕微鏡により倍率100倍に拡大して観察し下記の基準で評価した。
(活性剤組成物の組成)
フタル酸系アルキッド樹脂 6質量部
マイクロシリカ(顔料) 2質量部
フタル酸ジブチル 17質量部
溶剤(ブチルカルビトールアセテート) 60質量部
溶剤(ブチルセロソルブ) 15質量部
(評価基準)
○: 均一な微細クラックであった。
△: 微細クラックであったが、大きさが不均一であった。
×: 大きなクラックが発生した。
××: クラックが発生せず、金属薄膜層が延びなかった。
上記脱膜工程(c)の後に得られた加飾成形品の表面状態を目視により観察し下記の基準で評価した。
○: 均一に凹凸模様が転写されており、模様の歪みがない。
△: 転写された凹凸模様の一部に模様歪みがあった。
×: 転写された凹凸模様の大部分に模様歪みがあった。又は金属薄膜層が延びず、転写できなかった。
水溶性フィルムとして、PVAフィルム(厚さ30μm)を用い、その片面にポリビニルピロリドン樹脂を塗布量3g/m2で、グラビアコートし、厚さ2μmの転写調整層を設けた。次に、エンボス加工装置を用いて、圧力50ton/m2、温度110℃で転写調整層の表面側からエンボス加工して、深さ20μmの凹凸模様を形成した。次いで、真空蒸着方法にて、転写調整層の凹凸模様の上にアルミニウム金属を厚さ350Åの金属薄膜層を形成した。得られた水圧転写フィルムの金属薄膜層の割れ(クラック)状態と転写性を上記の方法で性能評価した。結果を第1表に示す。
転写調整層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして水圧転写フィルムを得た。得られた水圧転写フィルムの金属薄膜層の割れ(クラック)状態と転写性を上記の方法で性能評価した。結果を第1表に示す。
比較例2においては転写調整層の材料をウレタン樹脂に変更し、比較例3においては転写調整層の材料を硝化綿樹脂に変更し、比較例4においては転写調整層の材料を塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2〜4の水圧転写フィルムを得た。得られた水圧転写フィルムの金属薄膜層の割れ(クラック)状態と転写性を上記の方法で性能評価した。結果を第1表に示す。
2 水溶性フィルム
3 転写調整層
4 金属薄膜層
5 凹凸模様
Claims (4)
- 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されている水圧転写フィルムであって、該転写調整層がポリビニルピロリドン樹脂を含むことを特徴とする水圧転写フィルム。
- 水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されている水圧転写フィルムの製造方法であって、該水溶性フィルムの上にポリビニルピロリドン樹脂を含む該転写調整層を積層する工程(A)と、
該転写調整層表面に該金属薄膜層を形成する工程(B)と、
該工程(A)の後かつ該工程(B)の前において、又は該工程(B)の後において、エンボス加工を施し凹凸模様を形成する工程(C)とを有する水圧転写フィルムの製造方法。 - 下記の工程(a)〜(c)を順に有する加飾成形品の製造方法。
工程(a):水溶性フィルムと、該水溶性フィルム上の転写調整層と、該転写調整層上の金属薄膜層とを有し、該転写調整層と該金属薄膜層との間に凹凸模様が形成されており、該転写調整層がポリビニルピロリドン樹脂を含むことを特徴とする水圧転写フィルムを該水溶性フィルム側が下向きで水面側に向くように水面に浮遊させる前又は後に、該金属薄膜層に活性剤組成物を塗布する活性剤塗布工程
工程(b):該工程(a)を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって該金属薄膜層を被転写体の被転写面に密着させる工程
工程(c):該被転写体の被転写面に密着した水溶性フィルム及び転写調整層を除去する脱膜工程 - 工程(c)の後に、さらに下記の工程(d)を有する請求項3に記載の加飾成形品の製造方法。
工程(d):金属薄膜層上に、保護膜を形成する工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011130733A JP5803307B2 (ja) | 2011-06-10 | 2011-06-10 | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011130733A JP5803307B2 (ja) | 2011-06-10 | 2011-06-10 | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013000893A JP2013000893A (ja) | 2013-01-07 |
JP5803307B2 true JP5803307B2 (ja) | 2015-11-04 |
Family
ID=47669992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011130733A Active JP5803307B2 (ja) | 2011-06-10 | 2011-06-10 | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5803307B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6350176B2 (ja) * | 2014-09-26 | 2018-07-04 | 大日本印刷株式会社 | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 |
JP6084758B2 (ja) * | 2014-12-01 | 2017-02-22 | 株式会社タイカ | 水圧転写方法及び水圧転写シート |
JP6380578B2 (ja) * | 2017-03-06 | 2018-08-29 | 大日本印刷株式会社 | 水圧転写フィルム |
JP7185253B2 (ja) * | 2018-03-29 | 2022-12-07 | 株式会社タイカ | 水圧転写方法及びこの方法に用いられる活性剤 |
JP6721003B2 (ja) * | 2018-06-05 | 2020-07-08 | 大日本印刷株式会社 | 水圧転写フィルム |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07419B2 (ja) * | 1991-08-01 | 1995-01-11 | 株式会社麗光 | 3次曲面用転写材料 |
JP2000318391A (ja) * | 1999-05-10 | 2000-11-21 | Dainippon Printing Co Ltd | 曲面印刷用転写フィルムおよびその製造方法 |
JP4382964B2 (ja) * | 2000-05-18 | 2009-12-16 | 日本デコール株式会社 | 水圧転写シート及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-06-10 JP JP2011130733A patent/JP5803307B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013000893A (ja) | 2013-01-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5942345B2 (ja) | 水圧転写フィルム及び加飾成形品の製造方法 | |
JP5810798B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びそれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
WO2014157316A1 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 | |
JP5803307B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP6350176B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 | |
JP5790378B2 (ja) | 水圧転写フィルム、その製造方法並びにこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP6357828B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 | |
JP6245026B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 | |
JP6205786B2 (ja) | 水圧転写フィルム製造用転写箔、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 | |
JP2013000895A (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP5803308B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP5887722B2 (ja) | 水圧転写シート製造用転写箔、水圧転写シート及びその製造方法、並びに加飾成形品の製造方法 | |
JP6205787B2 (ja) | 水圧転写フィルム製造用転写箔、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 | |
JP6102158B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP5810797B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びそれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP6094123B2 (ja) | 水圧転写フィルム、加飾成形品及び加飾成形品の製造方法 | |
JP6485156B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品 | |
JP6264484B2 (ja) | 水圧転写フィルム | |
JP6380578B2 (ja) | 水圧転写フィルム | |
JP6721003B2 (ja) | 水圧転写フィルム | |
JP7087562B2 (ja) | 水圧転写フィルム及びその製造方法 | |
JP6550853B2 (ja) | 加飾成形品及びその製造方法 | |
JP7052272B2 (ja) | 水圧転写フィルム及び加飾成形品の製造方法 | |
JP2015066785A (ja) | 水圧転写フィルム用活性剤組成物、及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 | |
JP2020049912A (ja) | 水圧転写フィルム、加飾成形品の製造方法及び加飾成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140417 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150212 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150217 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150413 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150804 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150817 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Ref document number: 5803307 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |