JP2011146206A - ゴム栓及び防水コネクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電線10の芯線11の端末には雌端子20のワイヤバレル25が圧着されるとともに、絶縁被覆12の端末には、外周面にリップ34が周設されたゴム栓30が嵌装されて、同ゴム栓30の前端側に設けられた取付筒部40並びに絶縁被覆12の端末には、雌端子20のインシュレーションバレル26が圧着されている。雌端子20が雌ハウジング50のキャビティ51内に挿入されることに伴い、ゴム栓30がキャビティ51の後端部に嵌着されてリップ34がキャビティ51の内周面に弾性的に密着することでシールするようになっている。ゴム栓30の取付筒部40が、軸方向において高圧縮部43と低圧縮部44とに分かれる形態で形成され、かつ高圧縮部43が前側に配される。
【選択図】図4
Description
なお、電線について銅線を使用した場合も、ゴム栓の取付筒部をインシュレーションバレルで圧着するに当たってゴム栓が後方にずれる懸念は同様に生じるところであり、ハウジングのキャビティの形状等の条件によっては、シール性の低下に繋がるおそれがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ゴム栓によるキャビティのシールを確実に図れるようにするところにある。
(1)前記ゴム栓における前記取付筒部の前記高圧縮部が、前記取付筒部の外周を拡径すること若しくは内周を縮径することで形成されている。取付筒部の外周が拡径されすなわち厚肉とされることで高圧縮部が形成される。取付筒部の内周が縮径されている場合は、電線の絶縁被覆が挿通されることに伴い縮径された部分が盛り上がって拡径された状態となることで高圧縮部が形成される。
取付筒部の内周が前側に向けて次第に縮径したテーパ状となっている場合は、電線の絶縁被覆が挿通されることに伴い、外周が前側に向けて次第に拡径したテーパ状となって盛り上がって高圧縮部が形成される。予め同形状に形成されている場合も含めて、外周が前側に向けて次第に拡径したテーパ状の高圧縮部に対してインシュレーションバレルが圧着されると、テーパ面に作用した圧着力の分力を受けて高圧縮部は前方に伸びやすくなる。
(4)前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記ゴム栓の前記取付筒部の外周に密着される面の前側の角部には、C面が形成されている。高圧縮部のテーパ面が、インシュレーションバレルのエッジに設けられたC面であるテーパ面で押し付けられることになるから、高圧縮部はより確実に前方に逃がされる。
(5)前記電線が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の芯線を備えたアルミ電線である。ゴム栓の後方への飛び出しが生じやすいアルミ電線を使用した場合に、特に有用となる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図5によって説明する。
本実施形態では、アルミ電線10の端末に雌側の端子金具20(以下、雌端子20)が接続され、同雌端子20が雌側のコネクタハウジング50(以下、雌ハウジング50)のキャビティ51内に挿入され、それとともにゴム栓30でキャビティ51の後端部を塞いでシールするようにした防水コネクタが例示されている。
アルミ電線10は、図1に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の素線を複数本を撚り合せた撚り線によって芯線11が形成され、この芯線11の回りが合成樹脂製の絶縁被覆12で覆われた構造となっている。
端子接続部21の内部には、底板22の前縁から折り返されるようにして弾性接触片23が設けられており、同端子接続部21に対して上記した相手の雄端子のタブが前方から挿入され、弾性接触片23と弾性的に接触することにより、雄端子と雌端子20とが電気的に接続されるようになっている。端子接続部21の底面には、ランス孔24が形成されている。
一方、アルミ電線10の残された絶縁被覆12の端末には、後記するゴム栓30が嵌装され、上記したインシュレーションバレル26は、絶縁被覆12の端末並びにゴム栓30の取付筒部40に亘ってかしめ圧着されるものである。インシュレーションバレル26は、例えば、両バレル片26Aがそれぞれの突出端を重ね合わせつつ、ゴム栓30の取付筒部40の外周を左右両側から抱き込むようにして、いわゆるオーバラップ型にかしめられるようになっている。
ゴム栓30は、後側の略2/3の長さ領域が、大径(厚肉)の本体部32となっているとともに、前側の残りの長さ領域が、上記したように雌端子20のインシュレーションバレル26がかしめられる取付筒部40となっている。
ゴム栓30の中心孔31は、取付筒部40内ではアルミ電線10の絶縁被覆12がほぼ緊密に挿通される径を有し、本体部32の後半部分内ではさらに小径であり、またその間の位置には、図示2条の内リップ35が前後に間隔を開けて形成されている。
また、キャビティ51の後部側には、全長の半分弱の領域に亘り断面円形をなすシール部55が形成されている。このシール部55は詳細には、上記したゴム栓30の外リップ34の外径よりも所定寸法小さい内径を持った等径部56により構成されている。また、シール部55の後端には、開口縁に向けて先開きのテーパ状をなす誘い込み用のガイド部57が、等径部56と連設された形態で形成されている。
この取付筒部40におけるかしめ部42は、長さ方向のほぼ中央部を挟んで前半部と後半部とに分けられており、後半部は外径が一定であり、それに対して前半部は、後半部との境目が後半部と同じ外径であってそこから前方に向けて次第に拡径されている。
言い換えると、前半部は前方に向けて次第に厚肉となったテーパ状に形成され、高圧縮部43となっており、後半部は相対的に一定の薄肉の低圧縮部44となっている。
図1に示すように、アルミ電線10の端末に対してゴム栓30が先通しされ、ゴム栓30が一旦後方に退避された状態でアルミ電線10の絶縁被覆12の端末が皮剥きされ(同図の鎖線に示す部分)、芯線11の端末が所定長さに亘って露出状態とされる。そののち図2に示すように、ゴム栓30が前方に移動されて、取付筒部40が残された絶縁被覆12の端末の外周に嵌められた状態となる。
また、インシュレーションバレル26を取付筒部40に圧着した場合には同取付筒部40に軸方向の伸びが生じるのであるが、仮に取付筒部40のかしめ部42が全長に亘って同じ肉厚であり、上記のようにかしめ部42の前端側に圧着されると、取付筒部40は主に後方に向けて伸び、ゴム栓30がさらに後方に押しやられる結果となる。高い保持力を確保するためにインシュレーションバレル26を高荷重で圧縮するほど、伸びは大きくなる。
ここで上述したように、ゴム栓30について、インシュレーションバレル26の圧着に伴う取付筒部40の後方への伸びは無視できる程度に規制できるから、雌ハウジング50のキャビティ51のシール部55における等径部56に関し、ワイヤバレル25の伸びと、インシュレーションバレル26の取付筒部40に対する圧着位置によって生じるゴム栓30の後方へのずれを吸収するべく長さを確保しさえすれば、ゴム栓30は、後側を含めて両外リップ34ともキャビティ51のシール部55における等径部56内に入り込んだ位置に保持される。これにより両外リップ34は、キャビティ51の内周面に対して十分な圧縮量を持って密着することができ、ひいてはアルミ電線10とキャビティ51間のシールを確実に取ることができる。
端的には、雌ハウジング50の大型化を極力抑えた上で、ゴム栓30によるシール機能を確実に果たすことができる。
図6は、本発明の実施形態2を示す。この実施形態2では、雌端子20のインシュレーションバレル26における下側に重ねられるバレル片26A、すなわちゴム栓30の取付筒部40のかしめ部42と密着する側のバレル片26Aにおいて、その裏面の前側の角部にC面28が形成されている。
ゴム栓30の形状を含めて、他の構造については上記実施形態1と同様である。
本発明の実施形態3を図7及び図8によって説明する。
この実施形態3では、ゴム栓30Aの取付筒部60のかしめ部62について、実施形態1とは逆に内周側の形状に工夫が凝らされている。すなわち、図7に示すように、取付筒部60のかしめ部62における内周面において、長さ方向のほぼ中央部を挟んだ後半部では内径が一定であり、それに対して前半部は、後半部との境目が後半部と同じ内径であってそこから前方に向けて次第に縮径されている。言い換えると、かしめ部62の前半部の内面に、前方に向けて次第に厚肉となったテーパ状の部分63が形成されている。
その他の構造については、実施形態1に例示したゴム栓30と同様であり、同一機能有する部分、部位については、同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
その結果、実施形態1と同様に、インシュレーションバレル26が取付筒部60のかしめ部62、特にその前側に圧着された場合にも、前側の高圧縮部43が主に圧縮されることで前方に逃げようとし、なおかつテーパ面43Aに作用する圧着力の分力を受けることによってほとんど前方にのみ伸び、ゴム栓30Aが後方に押しやられることが規制される。
図9及び図10は、本発明の実施形態4を示す。この実施形態4のゴム栓30Bは、上記実施形態3のゴム栓30Aに対し、取付筒部60のかしめ部62Bにおける低圧縮部44である後半部の外周面に、複数個の凹部65が所定の角度間隔を開けて全周に亘って形成されている。
このゴム栓30Bによれば、取付筒部60のかしめ部62Bにおける低圧縮部44がさらに薄肉となることで、インシュレーションバレル26が当該低圧縮部44に圧着された場合の圧縮量がさらに減少し、もって後方へ逃がされることすなわち後方への伸びがさらに規制される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ゴム栓の取付筒部に設ける高圧縮部と低圧縮部とは、ほぼ半分ずつの長さに形成したのであるが、その長さの比率は、任意に設定できる。
(2)上記実施形態では高圧縮部をテーパ状に形成したのであるが、高圧縮部について低圧縮部よりも厚肉の等径のものに形成し、高圧縮部と低圧縮部とを段差状に設けてもよい。
(4)実施形態4に例示したところの取付筒部の低圧縮部に凹部を設ける形態として、全周に亘る円周溝を形成するようにしてもよい。
(5)実施形態1のゴム栓においても、低圧縮部に凹部を設けるようにしてもよい。
(7)ゴム栓の取付筒部にインシュレーションバレルを圧着した場合に取付筒部に伸びが生じる事情は、銅または銅合金製の芯線を備えた銅電線にゴム栓が嵌着された場合も同様であるから、本発明は電線として銅電線を使用した場合にも適用して実効を得ることができる。
11…芯線
12…被覆電線
20…雌端子(端子金具)
25…ワイヤバレル
26…インシュレーションバレル
26A…バレル片
28…C面
30,30A,30B…ゴム栓
34…外リップ(リップ)
40…取付筒部
42…かしめ部
43…高圧縮部
43A…テーパ面
44…低圧縮部
50…雌ハウジング(コネクタハウジング)
51…キャビティ
60…取付筒部
62,62B…かしめ部
65…凹部
Claims (9)
- 電線の端末に端子金具とともに固着され、前記端子金具がコネクタハウジングのキャビティ内に挿入されることに伴い前記キャビティの後端部に嵌着されて外周面に設けられたリップが前記キャビティの内周面に弾性的に密着してシールするゴム栓であって、
当該ゴム栓の前端には前記電線における絶縁被覆の端末に嵌装されて、この絶縁被覆の端末ともども前記端子金具に設けられたインシュレーションバレルが圧着される取付筒部が設けられ、この取付筒部は、軸方向において高圧縮部と低圧縮部とに分かれる形態で形成され、かつ高圧縮部が前側に配されていることを特徴とするゴム栓。 - 前記取付筒部の前記高圧縮部が、この取付筒部の外周を拡径すること若しくは内周を縮径することで形成されていることを特徴とする請求項1記載のゴム栓。
- 前記高圧縮部は、前記外周が前側に向けて次第に拡径したテーパ状に、若しくは前記内周が前側に向けて次第に縮径したテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のゴム栓。
- 前記取付筒部における前記低圧縮部の外面には凹部が周設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のゴム栓。
- 金属製の芯線を絶縁被覆で覆った電線における前記芯線の端末には端子金具のワイヤバレルが圧着されるとともに、前記絶縁被覆の端末には、外周面にリップが周設されたゴム栓が嵌装されて、同ゴム栓の前端側に設けられた取付筒部並びに前記絶縁被覆の端末には、前記端子金具のインシュレーションバレルが圧着されており、前記端子金具がコネクタハウジングに設けられたキャビティ内に挿入されることに伴い前記ゴム栓が前記キャビティの後端部に嵌着されて前記リップが前記キャビティの内周面に弾性的に密着することでシールするようにした防水コネクタにおいて、
前記ゴム栓の前記取付筒部が、軸方向において高圧縮部と低圧縮部とに分かれる形態で形成され、かつ高圧縮部が前側に配されていることを特徴とする防水コネクタ。 - 前記ゴム栓における前記取付筒部の前記高圧縮部が、前記取付筒部の外周を拡径すること若しくは内周を縮径することで形成されていることを特徴とする請求項5記載の防水コネクタ。
- 前記ゴム栓における前記取付筒部の前記高圧縮部は、前記取付筒部の前記外周が前側に向けて次第に拡径したテーパ状に、若しくは前記取付筒部の前記内周が前側に向けて次第に縮径したテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の防水コネクタ。
- 前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記ゴム栓の前記取付筒部の外周に密着される面の前側の角部には、C面が形成されていることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
- 前記電線が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の芯線を備えたアルミ電線であることを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか一項に記載の防水コネクタ。
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