JP2011144395A - 粒鉄の利用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】前処理として微粉砕等を行うことなく塊成化が可能であり、スクラップや粒子サイズが7mmを超える粒鉄などを用いる既存の転炉装入原料と同じ設備を使用することができ、また、転炉への十分な量の装入を行うことができる、粒鉄の利用方法を提供する。
【解決手段】粒子サイズが7mm以下である粒鉄(A)20〜80質量%と、製鋼ダスト(B)80〜20質量%と、(ただし、(A)+(B)=100質量%)を混練し塊成化した後、得られた塊成化物を転炉に装入することを特徴とする、粒鉄の利用方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、粒鉄の利用方法に関し、さらに詳細には、製鋼スラグから回収された粒子サイズが7mm以下である粒鉄を鉄源として利用する、粒鉄の利用方法に関する。
従来、製鉄所における製鋼スラグ処理においては、溶融スラグを固化する固化工程、固化したスラグを100℃程度まで冷却する冷却工程、磁力選鉱に適した粒度に破砕する細粒化工程、磁力選鉱による粒鉄とスラグとの分別工程、ヤードエージングによるスラグの安定化工程などのほかに、粒鉄を製鋼用原料として転炉で使用するリサイクル工程が行われている。通常、製鋼用原料として利用される粒鉄は、粒子サイズが7mmを超える粒子であり、粒子サイズが7mm以下の粒子については、高温の銑鉄に投入すると、高い温度による激しい上昇気流により炎となり飛散するなど、操業上の問題から転炉への装入は行えなかった。
そこで、特許文献1では、溶銑予備処理後であって脱炭精錬前の取鍋内または混銑車内溶銑の表面スラグ上に、粒鉄を上置きするように散布し、粒鉄をスラグに取り込ませることによって、急激な反応を引き起こす溶銑との接触を避け、脱炭精錬で鉄分を溶鋼中に回収する方法が提案されている。
特開2009−144179号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、粒鉄がスラグ層を突き抜けないように、スラグ表面の近い位置に投入シュートを設けるなどして慎重に作業する必要があり、また、溶銑予備処理後のスラグ層の厚みは薄く都度変化するため、粒鉄の投入量を抑える必要があるなどの問題がある。
一方、粒子サイズが7mm以下である粒鉄を造粒等の塊成化手段により、転炉への装入が可能な大きさの原料にすることが考えられる。しかし、粒鉄は、一般的に行われる造粒、例えば、皿型のパン型造粒機による転動造粒やダブルロール成形機によるブリケット成形で処理するには、粒子自体に吸水性がないなど、性状的に塊成化が困難であるだけでなく、粒度分布が粗く、仮にこれら手段による塊成化を行おうとした場合、前処理として微粉砕等が必要になるなどの問題もある。
そこで、本発明は、前処理として微粉砕等を行うことなく塊成化が可能であり、スクラップや粒子サイズが7mmを超える粒鉄などを用いる既存の転炉装入原料と同じ設備を使用することができ、また、転炉への十分な量の装入を行うことができる、粒子サイズが7mm以下である粒鉄の利用方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた。その結果、粒子自体に吸水性がないなど性状的に塊成化が困難な粒子サイズが7mm以下の粒鉄に対して、製鋼ダストを所定量混合することにより、微粉砕等の前処理を行うことなく塊成化が可能となり、また、得られた塊成化物が転炉装入に耐え得る高い強度を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、以下の(1)〜(3)によって達成される。
(1)粒子サイズが7mm以下である粒鉄(A)20〜80質量%と、製鋼ダスト(B)80〜20質量%と、(ただし、(A)+(B)=100質量%)を混練し塊成化した後、得られた塊成化物を転炉に装入することを特徴とする、粒鉄の利用方法。
(2)前記粒鉄(A)と前記製鋼ダスト(B)との合計100質量%に対して、さらに3〜10質量%のフライアッシュ(C)をさらに添加することを特徴とする、上記(1)に記載の粒鉄の利用方法。
(3)材料を内部に貯えるドラムと、前記ドラム内を公転しながら自転し、かつ可変速可能な複数のロータと、を備え、前記ロータがロータ回転軸に対し直角方向に配設された複数の回転羽根を有するミキサーを用いて、前記粒鉄と前記製鋼ダストとを混練し、擬似造粒化した後、転動機を用いて塊成化することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の粒鉄の利用方法。
本発明によれば、粒鉄に製鋼ダストを配合することで、微細な粒子と粘りとが粒鉄に付与されるため、前処理として微粉砕等を行うことなく、造粒が困難であった粒鉄の塊成化が可能となる。また、粒鉄の塊成化物に含まれる製鋼ダスト由来の微細な金属鉄が酸化する過程で塊成化物の強度が高まり、塊成化物の転炉装入が可能となり、製鋼ダストに含まれる鉄分を回収利用できるようになる。
固体粒子に水を加え混練した場合の状態変化の例を示す図である。 粒鉄に含まれる鉄分の回収利用の流れの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(A)粒鉄
本発明で用いられる粒鉄は、製鋼スラグの破砕・分級によって発生する、粒子サイズが7mm以下のものである。ところで、一般に、固体粒子に水を加え、混練した場合の状態変化は、固相、液相、気相の関係から、図1のように考えられている。特に、造粒は、混練作用によって粒子表面に水が浮き出て、隣接する粒子同士が液面を介して連続的につながった、流動性のない状態であることから、捏和(ねっか)の中でも、より低水分側で起こっていると説明される。しかしながら、粒鉄の粒子は、吸水性が極端に乏しく、捏和の状態を経ることなく、比較的低い水分で分散状態になってしまうため、造粒による塊成化が困難であった。かような問題に対し、本発明では、粒鉄に捏和の状態を生じさせるために製鋼ダストを配合する。
前述のように、本発明で用いられる粒鉄の粒子サイズは7mm以下であれば、特に制限されない。好ましくは3mm以下である。
なお、本発明に係る粒鉄は、例えば粒子サイズが7mm以下であれば、目開き7mmの篩を通過したものを使用すればよい。また、例えば粒子サイズが3mm以下であれば、目開き3mmの篩を通過したものを使用すればよい。
本発明に係る混練時における粒鉄の配合量は、粒鉄と製鋼ダストとの合計量に対して、20〜80質量%、好ましくは30〜75質量%である。この範囲であれば、粒鉄の塊成化が可能となり、また、粒鉄の塊成化物に含まれる製鋼ダスト由来の微細な金属鉄の作用で塊成化物の強度が高まり、転炉装入が可能となる。粒鉄の配合量が20質量%未満であると、磁石への吸着力が低下し、磁力を用いた搬送が難しくなる。一方、粒鉄の配合量が80質量%を超えると、塊成化物を構成する微粒分が不足し、塊成化が十分に進まない。
なお、粒鉄と製鋼ダストとの混練・塊成化により得られる塊成化物中の粒鉄の量は、上記配合量とほぼ等しい。このため、塊成化物中の粒鉄の量は、粒鉄と製鋼ダストとの合計量に対して、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜75質量%である。
(B)製鋼ダスト
本発明で用いられる製鋼ダストとは、高炉から出銑された銑鉄を転炉に流し込み、銑鉄内に酸素を吹き込んで脱炭する過程で、排ガスと共に排出されるもので、一般的に、ベンチュリーで補集され、シックナーで水と分離後フィルタープレスで脱水されることで、含水率が概ね15〜40質量%のケーキ状で発生している。この製鋼ダストは、堆積放置すると、ダストに含まれる微細な金属鉄が酸化し、発熱しながら硬化し始めるが、本発明では、酸化反応が開始前か反応途中である金属鉄を含有する製鋼ダストを使用することが好ましい。金属鉄の含有量が少ない製鋼ダストは、粒子同士の固結が進み、粒度分布が粗い方向に変化していることが多く、粒鉄の造粒効果に乏しいだけでなく、金属鉄の酸化反応による強度発現が劣るため、粒鉄の造粒促進用の材料としては性能が十分ではない場合がある。したがって、本発明では、金属鉄を少なくとも20質量%含有する製鋼ダストを利用することが好ましい。転炉から排出される製鋼ダストは、通常、金属鉄を30質量%以上、好ましくは50質量%以上含むため、そのまま本発明において使用することができる。
本発明に係る混練時における製鋼ダストの配合量は、粒鉄と製鋼ダストとの合計量に対して、80〜20質量%であり、好ましくは70〜25質量%である。この範囲であれば、粒鉄の塊成化が可能となり、また、粒鉄の塊成化物に含まれる製鋼ダスト由来の微細な金属鉄の作用で塊成化物の強度が高まり、塊成化物の転炉装入が可能となる。製鋼ダストの配合量が20質量%未満であると、塊成化物を構成する微粒分が不足し、塊成化が十分に進まない。一方、製鋼ダストの配合量が80質量%を超えると、製造直後の塊成化物の水分が高くなるため、塊成化物が柔らかく崩れ易くなる。
なお、粒鉄と製鋼ダストとの混練・塊成化により得られる塊成化物中の製鋼ダストの量は、上記配合量とほぼ等しい。このため、塊成化物中の製鋼ダストの量は、粒鉄と製鋼ダストとの合計量に対して、好ましくは80〜20質量%、より好ましくは70〜25質量%である。
また、製鋼ダストのうち、酸化反応が完全に進んだ鉄を含む酸化ダストについては、造粒促進効果は低いが、含水率が製鋼ダストに比べ低いため、粒鉄の粒度分布の補正や塊成化の際の水分調整材として配合することが出来る。
(C)フライアッシュ
本発明では、製鋼ダストに加えて、粒鉄の造粒性をさらに高めるために、石炭由来のフライアッシュをさらに添加することができる。フライアッシュの微細な粒子が、粒鉄の造粒性をさらに促進するだけでなく、フライアッシュ中の酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等が製鋼ダスト由来の微細な金属鉄と複合されることで、粒鉄の塊成化物の強度(圧壊強度)がさらに高まる。
前記フライアッシュの添加量は、粒鉄と製鋼ダストとの合計100質量%に対して3〜10質量%が好ましく、3.3〜9質量%がより好ましい。添加量が上記範囲であれば、十分な造粒促進効果が得られ、また、粒鉄の塊成化物の強度(圧壊強度)がさらに高まる。
また、フライアッシュに代えて、あるいはフライアッシュに加えて、粒鉄と製鋼ダストとの合計100質量%に対して好ましくは5〜10質量%程度のセメントを添加して塊成化物を作製し、塊成化物の強度を高めることも可能である。さらに、例えば、フライアッシュを10質量%用いる場合において、そのフライアッシュの一部をセメントに置き換えることによっても、塊成化物の強度を高めることができる。
本発明に係る塊成化物の製造方法は、特に制限されず、例えば、粒鉄、製鋼ダスト、および必要に応じてフライアッシュを均一に混練した後に塊成化する。さらに必要に応じて、水を添加してもよい。塊成化方法も特に制限されず、例えば、ハンドミキサー、高速攪拌型造粒ミキサーなどを用いて上記各成分を攪拌混合し造粒した後、ドラム型容器を用いて転動する方法が挙げられる。
塊成化の際に水を添加する場合の添加量は、例えば、塊成化物の仕上がり含水率として好ましくは5〜17質量%となるように不足する水量を添加する。
本発明においては、ケーキ状の製鋼ダストを解砕しながら造粒できる、例えば、特許3703640号公報に示されるような高速攪拌型の造粒ミキサーも好適に利用される。この高速攪拌型の造粒ミキサーは、材料を内部に貯えるドラムと、該ドラム内を公転しながら自転し、かつ可変速可能な複数のロータと、を備えており、前記ロータがロータ回転軸に対し直角方向に配設された複数の回転羽根を有するミキサーである。
かような造粒ミキサーは、ミキサーのロータに具備された回転羽根によって、脱水ケーキ状の製鋼ダストを細かく解砕しながら、強制的に製鋼ダストと粒鉄とを混合していく。したがって、短時間でほぼ均一な擬似造粒物を製造でき、さらに、転動機を通すことによって、擬似造粒物が未造粒の混合物や粒子の粗い粒鉄を巻き込みながら塊成化するため、表面が滑らかで、粉分の少ない、歩留りのよい塊成化物が得られる。
前記造粒ミキサーのさらに具体的な例としては、例えば、株式会社北川鉄工所製のペレガイア(登録商標)が挙げられる。
転動機としては、上記の働きをするものであれば、いかなる形状のものでも使用することができ、例えば、横置きのドラムを回転させるドラム型転動機を使用することができる。
上記のような方法により得られた粒鉄の塊成化物中の、粒子サイズが10mm以上である造粒物の含有量は、41〜100質量%であることが好ましい。また、塊成化物中の含水率(塊成化直後の含水率)は、5〜20質量%であることが好ましく、7〜17質量%であることがより好ましい。
上記の方法により得られた粒鉄の塊成化物は、スクラップまたは粒子サイズが7mmを超える粒鉄で使用する既存の投入設備を使用して、転炉への装入が可能となる。また、該塊成化物は、半日以上養生することでより強度が上がりうる。転炉へ装入された塊成化物は、微粒分が少ないため、炎となり飛散する等の問題を起こすことがほとんどなく、溶銑上に落下し溶解されることで、図2に示すような流れで、粒鉄に含まれる鉄分の回収利用が達成される。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
粒子サイズが7mm以下である粒鉄の塊成化について、製鋼ダストの造粒促進効果を確認するため、ハンドミキサーとドラム型容器とを使用した転動による造粒試験を実施した。粒子サイズが7mm以下である粒鉄と製鋼ダストを、下記表2に記載の配合量にて2Lの金属製容器に測り取り、ハンドミキサーにて攪拌混合しながら、造粒可能な状態になるまで水を添加し、造粒を行った。続いて、ドラム型容器内で転動させることで塊成化させた。なお、使用した粒鉄の粒度分布は、下記表1に示すものであった。また、製鋼ダストは、製鋼ダストの総質量に対して金属鉄を30質量%含むものであった。
含水率は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製)を用いて測定した。
また、粒度分布は、各目開きの篩を用いた分級を行い、下記表1に記載の粒子サイズの範囲に入る粒子の質量を測定し、決定した。
塊成化の評価は、目視により粒子サイズを確認しながら、10mm以上の造粒物を選り分けた。そして、粒子サイズが10mm以上の造粒物の質量を測定し、粒子サイズ10mm以上の造粒物の割合が0質量%〜40質量%であるものを×、41質量%〜70質量%であるものを△、71質量%〜100質量%であるものを〇とした。
得られた塊成化物についての評価結果を表2に示す。
Figure 2011144395
Figure 2011144395
表2に示す結果から、製鋼ダストを、20質量%以上の量で配合することにより粒鉄の造粒性が高まり、塊成化することが分かる。
(実施例4〜5、比較例4〜5)
塊成化の評価がそれぞれ△および×となった実施例1および比較例3の配合に対して、フライアッシュをさらに添加し、塊成化させた。配合比は下記表3に示す配合比とし、塊成化は実施例1と同様の方法で行った。
上記表2と同様に、含水率および塊成化の評価を行った結果を下記表3に示す。なお、塊成化の評価は、粒子サイズ10mm以上の造粒物の割合が0質量%〜40質量%であるものを×、41質量%〜70質量%であるものを△、71質量%〜100質量%であるものを〇とした。また、それぞれのサンプルについて、圧壊強度(粒子に力をかけていき、粒子が崩壊する際の荷重)を測定し、実施例1の塊成化物の圧壊強度を100とした場合の値で示した。なお、圧壊強度は、圧壊強度計 ZP−500N(株式会社イマダ製)を用いて測定した。
Figure 2011144395
表3の結果から明らかなように、製鋼ダストに加え、フライアッシュを3〜10質量%加えることにより、粒鉄の造粒性がさらに良くなり、また、強度も向上することが分かる。
(実施例6)
表1に記載の粒度分布を有する粒子サイズ7mm以下の粒鉄に対して、酸化反応が終了した酸化ダストを粒鉄と同じ量添加し、ハンドミキサーで攪拌しながら加水したが、造粒性の向上は見られず、砂状となった。そこで、さらに製鋼ダストを20質量%の配合で添加し、評価した際の結果を下記表4に示す。表4から明らかなように、製鋼ダストを配合することによって、塊成化できることが分かる。
Figure 2011144395
(実施例7)
上記実施例6で得られた塊成化物に対して、さらにセメントを6質量%添加した配合で、高速撹拌型造粒ミキサー(商品名:ペレガイア(登録商標)VZ−500、株式会社北川鉄工所製)と、直径1,600mm、長さ36,000mmのドラム型転動機(株式会社北川鉄工所製)とを用い、粒鉄の塊成化物を20t製造した。2日間養生後、転炉に1t/チャージで塊成化物を装入したが、炎が上がることもなく、安定した操業を行うことができた。

Claims (3)

  1. 粒子サイズが7mm以下である粒鉄(A)20〜80質量%と、
    製鋼ダスト(B)80〜20質量%と、
    (ただし、(A)+(B)=100質量%)
    を混練し塊成化した後、得られた塊成化物を転炉に装入することを特徴とする、粒鉄の利用方法。
  2. 前記粒鉄(A)と前記製鋼ダスト(B)との合計100質量%に対して、さらに3〜10質量%のフライアッシュ(C)をさらに添加することを特徴とする、請求項1に記載の粒鉄の利用方法。
  3. 材料を内部に貯えるドラムと、前記ドラム内を公転しながら自転し、かつ可変速可能な複数のロータと、を備え、前記ロータがロータ回転軸に対し直角方向に配設された複数の回転羽根を有するミキサーを用いて、前記粒鉄と前記製鋼ダストとを混練し、擬似造粒化した後、転動機を用いて塊成化することを特徴とする、請求項1または2に記載の粒鉄の利用方法。
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