JP2000212630A - 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法 - Google Patents

電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法

Info

Publication number
JP2000212630A
JP2000212630A JP1237299A JP1237299A JP2000212630A JP 2000212630 A JP2000212630 A JP 2000212630A JP 1237299 A JP1237299 A JP 1237299A JP 1237299 A JP1237299 A JP 1237299A JP 2000212630 A JP2000212630 A JP 2000212630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electric furnace
dust
furnace dust
steelmaking
carburized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP1237299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3035285B1 (ja
Inventor
Masahisa Tate
昌久 楯
Tsutomu Ebisawa
勉 海老沢
Toshio Nayuki
利夫 名雪
Riyougo Yamazaki
良悟 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NK MATEKKU KK
Original Assignee
NK MATEKKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NK MATEKKU KK filed Critical NK MATEKKU KK
Priority to JP1237299A priority Critical patent/JP3035285B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3035285B1 publication Critical patent/JP3035285B1/ja
Publication of JP2000212630A publication Critical patent/JP2000212630A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気炉ダストを新しい製鋼用加炭材として有
効に活用すると共に、その処理量を減少させ、またこれ
に含まれる鉄や亜鉛等有価金属を安価に回収する技術を
開発する。 【解決手段】 電気炉ダスト30〜80wt.%とCD
Q粉等炭材粉20〜70wt.%との配合に、PDA等
バインダーを添加し、混合、加熱、脱水し、成型して製
鋼用加炭材を製造する。加炭材には少なくとも全炭素:
20〜65wt.%、酸化亜鉛:8〜23wt.%を含
ませる。また、この加炭材を当該電気炉で用いて電気炉
ダストをリサイクルする。 【効果】 電気炉はダストのスラグ化により搬出量が低
減し、鉄歩留が向上しコストも下がり、粗亜鉛回収工場
は負荷が軽減し、地球環境改善にも寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電気炉製鋼工場
で発生するダストの処理方法を改善することにより、そ
の処理量を減少させると共に、そのダストに含まれる有
価金属を有利に回収する方法において、特に回収された
酸化亜鉛を含むダスト中の亜鉛濃度を高め、また、電気
製鋼炉その他の鋼スクラップ及び銑鉄を原料として溶解
・精錬する製鋼炉における製鋼用加炭材としてダストを
有効に活用する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製鋼用電気炉精錬においては、通常、主
原料の鉄屑及び造滓剤を溶解しつつ、ランスから炉内溶
鉄中にO2ガスを供給すると共に、コークス粉等の炭材
をメタルおよびスラグ中に吹き込む。吹き込まれた炭材
中のCは、下記作用をする。
【0003】COガス及びCO2ガスへの燃焼による
装入物、溶融金属及び溶融スラグへの熱付加作用をし、
大量のO2ガス使用との組み合わせによる迅速溶解が行
なわれる。従って、また、電力エネルギーの一部代替を
する。なお、この場合、大量のFeOが生成し、スラグ
に入る。
【0004】溶鉄表面に生成した溶融スラグ及び灰分
中の酸化鉄、酸化マンガン及び酸化亜鉛等各種酸化物の
還元材として作用する。
【0005】溶鉄中への加炭作用をする。
【0006】従来、電気炉で用いられる炭材としては、
小塊コークス、コークス粉、CDQ粉(コークス消火設
備捕集粉)、CDQ粉のブリケット、及び鉄粉含有CD
Q粉のブリケット等がある。これらは、酸化物の還元、
COガスやCO2ガスへの燃焼、及び溶鋼への加炭等の
諸反応の反応寄与率が高く、比較的簡単な設備で製造可
能である。そのために現在も広く用いられている。
【0007】一方、電気炉製鋼工場では、集塵機で捕集
したいわゆる電気炉ダストが発生する。その量は凡そ、
粗鋼生産量1t当たり15〜23kg程度と多い。そし
て、電気炉ダストの40%程度は埋め立てによる廃棄処
分が行なわれている。しかし、電気炉ダストにはZnや
Fe等の有価金属が含まれ、Znは酸化亜鉛の形態で回
収処理されて、亜鉛精錬原料である粗酸化亜鉛の原料に
なる。電気炉ダストの共通発生源は、電気炉から発生す
る粉塵であるが、捕集用集塵設備で大別すると、直引ダ
ストと建屋集塵ダストとに分類される。直引ダストは、
電気炉上部の排ガス孔を通して吸引される排ガス中に含
まれるダストである。直引ダストは、電気炉への装入物
である鉄屑、及び石灰やドロマイト等の副原料から発生
するダスト、溶解・精錬工程で使用するO2ガス吹錬に
より酸化生成されるダスト、及び昇熱用に使用する重油
や灯油の燃焼残渣などからなる。表1及び2に、直引ダ
ストの工業分析例及び化学分析例を示す。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】直引ダストには灰分が約85wt.%以
上、揮発分+固定炭素が3〜12wt.%含まれてい
る。また、表2からわかるように、Fe、Zn及びPb
等が多量に含まれており、Znは15〜22wt.%と
多い。これは、最近の鋼材需要により、表面処理鋼板、
特に亜鉛めっき鋼板の使用量が増加し、そのスクラップ
が鋼屑中に占める割合が増加したからである。こうして
主原料として鉄屑を使用する製鋼用電気炉では、電気炉
ダスト中には多量の亜鉛が含まれるに至った。
【0011】また、建屋集塵ダストは、電気炉から洩れ
たガス中に含まれるダスト、電気炉製鋼工場内で発生す
る種々のダスト、例えば購入鉄屑に付着している錆、土
砂の微粉、石灰の微粒子及びコークスの微粒子等、工場
内に浮遊する粉塵が捕捉されたものからなる。従って、
建屋集塵ダストの成分組成はそのダストが集塵された建
屋内浮遊粉塵の種類により変動する。表3に、電気炉の
建屋集塵ダストの化学分析例を示す。
【0012】
【表3】
【0013】建屋集塵ダストにも直引ダスト同様、重金
属元素Fe、Zn及びPbが含まれ、また炭素も含まれ
ている。
【0014】一方、電気炉ダストの埋め立て廃棄には大
きな処理費用がかかる。そこで、電気炉ダスト中の有価
金属を有効活用する処理方法の研究・開発が行なわれて
おり、Zn分の回収技術として次のものがある。
【0015】 現在実施中の亜鉛回収プロセスとし
て、例えば、ウェルツ法や半溶鉱炉法が知られている。
これらはいずれも、亜鉛製錬の原料として必要な亜鉛含
有率が約50wt.%以上が確保された粗酸化亜鉛を製
造するプロセスである。即ち、電気炉ダストに炭材その
他の還元材を供給し亜鉛の酸化物を還元する。即ち、ウ
ェルツ法の場合は、電気炉ダストと炭材等とを混合した
ものをロータリーキルンで加熱し、還元処理して亜鉛を
蒸発させる。また、半溶鉱炉法の場合は、電気炉ダスト
と炭材と造滓材等とを製団して半溶鉱炉に供給し、溶解
し、亜鉛を蒸発させる。こうしていずれの場合も炉外で
空気酸化された酸化亜鉛粉、即ち、粗酸化亜鉛を回収す
るというものである(以下、「先行技術1」という)。
【0016】上記プロセスはいずれもロータリーキルン
や半溶鉱炉のような大がかりな設備を用い、電気炉ダス
トの有効活用処理方法として粗酸化亜鉛の直接製造を行
なうものである。
【0017】 他方、電気炉ダストを上記粗酸化亜鉛
の製造原料とするために、電気炉ダスト中のZn含有率
を濃縮処理するためのプロセスが提案されている。これ
は専用の酸化亜鉛濃縮装置として、溶解炉ないし反応炉
に溶鉄ないし溶銑を保持しておき、これを主として酸化
亜鉛の還元用熱源として利用する方法である。例えば、
特開平9−279265号公報に示されているように、
ダストを還元材としての炭材及び造滓材と共に炉内に添
加し、これに酸素含有ガスを供給する。その際、ダスト
を吹き上げて飛散させないようにするために、炉体側面
のスラグ表面レベルより低い位置に水平方向に設けた羽
口から酸素含有ガスを吹き込む。高温下で還元され蒸発
した亜鉛が炉外で酸化された酸化亜鉛粒子を含むダスト
を回収する方法が開示されている(以下、「先行技術
2」という)。また、特開平9−268332号公報
(以下、「先行技術3」という)及び特開平9−241
718号公報以下、「先行技術4」という)には、上記
ダストと炭材とを配合し、バインダーを添加してブリケ
ットを成型し、これを炉内に予め収容しておいた溶鉄に
投入し、これにより先行技術2と同様、高温下で還元さ
れ蒸発した亜鉛が、炉外で酸化された酸化亜鉛粒子を含
むダストを回収する方法が示されている。しかも、先行
技術2及び3においては、回収されたダスト中の酸化亜
鉛粒子から、粗酸化亜鉛として供給し得る亜鉛含有率が
約50wt.%以上の粒子を分離する工程を必須として
いる。ここで、亜鉛含有率が50wt.%以上の酸化亜
鉛粒子は、例えば、10μm以下という微粒子側に分布
しているので、以降の処理工程で回収されたダストを扱
い易くするためにダストを所定の粒径を境界として分級
する。そのために、集塵装置を直列に2段設けてダスト
を分級捕集する。そして、第1段目で捕集された粒径の
大きいダストについては、上述した処理を再度繰り返
す。この再循環処理の比率は、先行技術2によれば、亜
鉛量換算で約30wt.%にも達する。
【0018】上述した通り、先行技術2〜4において
は、溶鉄あるいは溶銑といった溶融金属を別途予め準備
しておき、これを熱源としてダスト中酸化亜鉛及び酸化
鉄の還元反応を起こさせるようにダストの濃縮処理工程
を構成している。このように溶融金属を溶解し・保持す
るための専用炉とその付帯設備を設ける必要がある。即
ち、多くの設備費及び運転費が新たにかかる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の電気炉
ダストの処理方法には次の問題がある。先ず、電気炉ダ
スト中のZn分を有効な資源として活用するためのZn
分濃縮技術には、次の問題がある。
【0020】(1)上述した電気炉ダストの資源利用技
術はいずれも、ダスト中のZn含有率を50wt.%以
上に濃縮することを直接の課題にしたものであり、亜鉛
製錬の原料としての粗酸化亜鉛を製造することを目的と
するものである。先行技術1のウェルツ法等は、それが
専門の工場のロータリーキルンで処理されている。先行
技術2〜4では、そのための溶鉄又は溶銑を収容する専
用の溶解炉又は反応炉を要し、しかも大がかりな回収設
備、例えばダストの粒度分級のために複数基の集塵機を
別途設けている。そのために、設備費及び運転費が膨大
になる。また、先行技術1〜4によるダスト処理を委託
する場合でも、処理費と運搬費とが大きくかかる。かか
る現状より、多くの電気炉ダストは法規制に基づき、上
述したように埋め立てにより廃棄処分されている。従っ
て、電気炉ダストより亜鉛や鉄等の有価金属を、安価に
回収・処理する技術の開発が望まれている。
【0021】(2)また、電気炉ダスト中の有価金属の
酸化物を還元・回収するために、電気炉ダストの含有物
質形態として、電気炉ダスト単味にバインダーを添加し
てブリケットやペレットに成型したものがある。この場
合は、コークス粉等の還元材が成形物中にはわずかしか
含まれていないので、ダスト中酸化亜鉛や酸化鉄等に対
する還元材を別途、成型物の系外から供給する必要があ
る。この際還元材を供給してもダストが微粉粒子であ
り、飛散し易いので還元材との接触反応界面積を十分大
きく確保することができない。また、電気炉ダストにコ
ークス粉を還元材として配合し、バインダーを添加して
成型したものも開示されている。この場合、これを電気
炉に装入した場合、成型物中のコークス割合が比較的少
ないと、成型物の強度が小さく、そのため電気炉に投入
したときに粉化・飛散して電気炉ダストの炉内での溶融
スラグ化割合が減る。その結果、鉄分の還元回収歩留は
低下するし、また酸化亜鉛の還元・蒸発後の雰囲気再酸
化による集塵ダストへのZn濃度の濃縮の割合が低下
し、Zn回収の目的に寄与しない。従って、電炉ダスト
の再処理が必要となり、コストアップとなる。
【0022】次に、電気炉ダストの扱いや処分に付いて
下記問題がある。
【0023】(3)上述した通り、電気炉ダストの処理
は従来、その半分近くが無公害化処理された後に埋め立
て廃棄処分がなされている。しかしながら、この無公害
化処分には多額のコストがかかり、そのコスト削減が緊
急重要な問題となっている。ところが、そのような処理
コストの安価な技術は開発されていない。
【0024】(4)一方、電気炉ダストは、その粒度が
微粒であるために、ハンドリング上極めて扱いにくいと
いう問題もある。電気炉ダストの粒子は微粒であるため
に発塵し易く、飛散して周囲を汚染したり、吸湿し易
く、泥化すると水分は抜け難いので、取扱いが厄介であ
る。従ってまた、貯留や搬送にも費用がかかる。
【0025】そこで、本発明者等は、上記諸問題のすべ
てを解決するための技術を開発することをこの発明の目
的とした。即ち、(イ)新たに溶解炉あるいは反応炉や
微粉粒度分級用の集塵機並びにその付帯設備等、高価な
設備が不要であり、また予め溶融金属を準備する必要が
なく、設備費及び運転費共に安価な既設の設備を活用し
て電気炉ダストの処理と活用とのトータルプロセスを創
案し、これにより電気炉ダストの画期的処理方法を開発
し、また、(ロ)微粉粒子である電気炉ダストをハンド
リングし易い形態に変え、また減容化して運搬費を安価
にし、(ハ)しかも、電気炉ダストの活用方法として、
電気炉ダストに含まれる有価金属を単に濃縮・回収し、
ZnやFe等金属資源の節減をするだけでなく、上記
(イ)のトータルプロセスにおいて、電気炉ダストを製
鋼用加炭材の製造原料としても活用することにより、電
気炉製鋼プロセスにおける製造コスト低減にも寄与し得
る、電気炉製鋼における新しい製鋼用加炭材を開発する
ことを目的とした。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から問題解決の検討を行なった。その結果、電気炉
ダストの処理・活用技術として、その適用対象製造品と
その製造工程を含む電気炉ダストのリサイクルプロセス
について検討及び実験を重ねた。下記〔1〕及び〔2〕
の2項目の検討及び基礎試験・調査を行なった。
【0027】〔1〕電気炉ダストの活用対象 電気炉ダストの資源化活用技術として、電気炉製鋼にお
ける新しい製鋼用加炭材の製造技術開発を行なうことが
望ましいと考えた。この着眼に至る検討過程は次の通り
である。
【0028】〔1〕−1.電気炉ダストの適用製造品の
検討 先ず、電気炉ダストは微粉粒子であるために電気炉への
装入時及び装入後の炉内上昇気流により、飛散して電
気炉ダストの装入歩留が低下し易いので、これを抑制す
る手段をとる必要がある。また、電気炉ダスト中に含
まれる酸化亜鉛及び酸化鉄を炭材で還元するには、電気
炉ダストと炭材との接触界面積率をできるだけ大きくす
るのが望ましい。一方、炭材側条件としても電気炉ダス
ト側条件に対応して、比表面積を大きくとることが望
ましいから、例えば粉粒状炭材である粉コークスやCD
Q粉等が適している。このように、装入歩留の低下回
避、反応物質間の反応界面積の増大及びその安定化を図
ることにより、電気炉ダスト中の亜鉛酸化物や鉄酸化物
の還元反応速度を上げると共に高還元率を達成するため
に、電気炉ダストと粉粒状炭材とをよく混合し、適当
な大きさに成形して電気炉に装入するのが望ましい。な
お、粉コークスやCDQ粉は、安価であり供給も安定し
ているので粉粒状炭材として原料需給上及びコスト的に
も好適であると考えた。
【0029】一方、屑鉄(鋼スクラップ)を主原料とす
る従来の電気炉製鋼工程においては、溶解期、酸化精錬
期及び還元精錬期を通じて炭素含有物質を炉内に供給す
る。この炭素含有物質の供給は、溶解期及び各精錬期に
おいて、溶融スラグ中のFeやMn等金属の酸化物を還
元するため、及び酸化精錬終点時における溶鋼のC含有
率を目標値に調整するために行なうものである。このC
供給量は、通常の電気炉製鋼操業においては、およそ2
0kg/t−steel程度とかなり多量である。ま
た、炭素含有物質の供給形態としては通常、ブリケット
やペレット等に成形された炭素含有物質であるいわゆる
加炭材を装入したり、粉コークス等の粉粒状炭素含有物
質をキャリアーガスと共に吹込んだり、アーク電極の消
耗や溶鋼の成分調整用合金鉄添加に伴なうCの付随的供
給が行なわれている。C含有物質の内、上記加炭材の種
類及びその性状諸元は一般に、各電気炉製鋼工場により
異なっている。そして、この加炭材の適正な供給量は、
当該操業において使用される原料、造滓剤、O2ガス及
び燃料の種類とその配合割合、並びに溶製鋼種・目標成
分組成等により異なっている。電気炉製鋼操業における
加炭材供給に関するこのような現状に鑑み、この発明で
は、本発明加炭材の単独使用による操業は勿論のこと、
上述した広範囲の性状諸元の加炭材との併用も可能であ
る加炭材を製造することが重要であると考えた。また、
加炭材の原料調達に関しても極力安価な副生物を用い、
製造コストの低減を図ることにした。
【0030】上記検討を受けて、電気炉ダストと粉粒状
炭材とを主原料とした電気炉製鋼における製鋼用加炭材
の製造技術を開発すべく下記基礎実験を行ない、本発明
をするに至る知見を得た。
【0031】〔1〕−2.基礎実験及びそれから得られ
た知見 (a)製鋼用加炭材の還元基礎実験 通常の電気炉製鋼操業時に発生した電気炉ダストと、通
常の高炉用コークス炉操業時に発生したCDQ粉(コー
クス消火設備捕集粉)とを所定割合で配合し、これに適
量のバインダーを添加し、十分に混合し、加熱し、そし
て脱水し、得られた粉粒状半成品を所定寸法のブリケッ
ト又はペレットに成型して、製鋼用加炭材を2種類試験
製造した。そして、加炭材中に含まれる金属酸化物の還
元実験を行なった。表4に、上記加炭材の製造に使用し
た電気炉ダスト及びCDQ粉の成分組成を示す。
【0032】
【表4】
【0033】上記2種類の加炭材のうち一方の加炭材N
o. BCA−40は、電気炉ダスト:40wt.%と
CDQ粉:60wt.%とを配合し、これにバインダー
としてPDA(プロパン・ディ・アスファルティング・
アスファルト)を配合原料の6wt.%添加して、個重
約35g、体積約18.2cc/個、そして気孔率約1
1%のブリケットに成形した。また他方の加炭材No.
PCB−85は、電気炉ダスト:85wt.%とCD
Q粉:15wt.%とを配合し、これにバインダーとし
て水を配合原料の約15wt.%添加して、個重約0.
8g、体積約0.4cc/個、そして気孔率約27%の
ペレットに成形した。
【0034】還元実験条件は、電気炉製鋼操業において
加炭材を使用する態様に近づけるように設定した。即
ち、炉内温度を1000℃に保持したN2ガス雰囲気抵
抗加熱炉内に試料を装入し、投入電力を試料装入時の電
力に保持しつつ30分間、加炭材中の酸化亜鉛及び酸化
鉄等金属酸化物を、CDQ粉中炭素により還元する反応
を行なわせた。そして、炉内をN2ガスでブローしてZ
nOの還元・蒸発により生成した金属Zn蒸気の再酸化
で生成するZnO微粒子が降下して、残留試料表面に積
もるのを防止した。実験中、加炭材No. BCA−4
0の実験初期には、バインダーPDAの分解生成物の一
部と考えられる黒煙が吹き出し、強還元性雰囲気になっ
たが、水バインダー使用の加炭材No. PCB−85
においてはそれは認められなかった。
【0035】また、実験後の残留加炭材試料の外観状態
は、いずれの試料も、加炭材中の金属酸化物の還元反応
の影響により、実験前の外観状態に比べて著しくポーラ
スになっていた。しかしながら、上記還元反応時に熱シ
ョックにより粉砕・飛散したと見られるような粉粒状物
は、その残留試料の周辺に僅かに認められたにすぎなか
った。
【0036】供試料の重量は、加炭材No. BCA−
40がブリケット1個分の35.33g、加炭材No.
PCB−85がペレット43個分の36.00gであ
る。還元反応実験終了後、試料を炉内から取り出して室
温まで水中で急速冷却及びArガスによる通風乾燥をし
た。上記実験条件は、通常の電気炉製鋼操業における炉
内への第1回目鋼スクラップ及び造滓材装入後に、上記
No. の加炭材を装入する場合を想定し、これらの加
炭材の反応挙動を推定することを目的として設定したも
のである。即ち、ここで留意すべき点は、通常の電気炉
操業における加炭材供給時期と同様に、本発明で予定す
る加炭材の供給時期は、初装入時期と電気炉通電後の装
入物の加熱・溶解時期とに原則として通常2〜3回に分
割投入するものであり、このように、本発明加炭材の供
給時期を定めるのが望ましい。その理由は、ブリケット
のような成形加炭材が溶融スラグや溶融金属の高温融体
との急激な接触により著しく激しいボイリングにより粉
砕され、飛散して、加炭材中電気炉ダスト還元目的が減
殺されるのを防止するためである。表5に、加炭材N
o.BCA−40及びNo.PCB−85の成分組成を
示す。
【0037】
【表5】
【0038】還元実験終了後に残留した加炭材試料につ
いて、その残留重量測定、成分組成分析、並びに見掛比
重及び気孔率測定を行ない、還元実験前の測定値と比較
した。表6に、還元前後の試料重量及び成分組成の変化
を、また表7に、還元実験前後の試料の重量(個重)、
見掛比重及び気孔率の変化を示す。なお、表7には、両
試料内部のダストとCDQ粉との固体体積接触比の比較
データを示した。
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】(b)実験結果の考察、知見 実験結果によれば、試料重量はいずれも約3分に2に減
少しているが、還元実験終了後の残留試料の前記外観状
態の観察によれば、還元中の試料の飛散、消失は少ない
と思われる。この飛散、消失量が少ないことを実験結果
より検証する。試料中の全Fe重量、並びにCaO+S
iO2+Al23+MgO(≡ΣSLとおく)の重量を
トレーサーとみなして還元実験前後の重量減少量をまと
めると、表8の通りである。加炭材No.BCA−40
及びPCB−85のいずれの試料においてもその減少量
は、全Feで推定すると初期試料重量の4〜5%、また
ΣSLで推定すると、初期試料重量の6〜7%であって
小さいので、この検討においては還元実験中の試料の飛
散、消失量は無視することにした。
【0042】
【表8】
【0043】さて、還元実験前後の試料中酸化鉄の重量
挙動をみると、還元実験後のFe23及びFeO共に0
gになり、Fe−酸化物は実質的に100%還元されて
いる。これに対して、酸化亜鉛の重量挙動をみると、還
元実験後においても相当量が残留している。表6の実験
データを用い、ZnOの還元率:R(ZnO)を式:R
(ZnO)=(ΔZnO/ZnO(initial))×10
0で算出した(但し、ΔZnO:ZnOの減少重量、Z
nO(initial):還元前ZnOの重量)。
【0044】ZnOの還元率は次の通りである: 試料BCA−40の場合:73.3% 試料PCB−85の場合:38.9%
【0045】次に、上記実験結果を熱力学的に考察して
還元に要するC量を推定し、一方、別途に各種原料配合
比の加炭材を試験製造し、電気炉製鋼操業において試験
使用し、その結果を考慮することにより、本発明で製造
しようとする加炭材の原料である電気炉ダストと炭材粉
との望ましい配合割合を決めるための知見を得た。その
経過を次に説明する。
【0046】Fe酸化物及びZn酸化物の炭素による還
元反応:還元実験におけるFe酸化物及びZn酸化物の
還元に要したC量を実験結果を用いて推定した。
【0047】Fe23、Fe34及びFeOの炭素C
(s)による還元反応式は、酸化鉄が還元されてCOが
生成する場合の下記(a−1)〜(a−3)式、並びに
CO2が生成する場合の下記(b−1)〜(b−3)式
のいずれかである。このように、C(s)による還元反
応を考えるのは、炭素C(s)が多量に共存している系
の還元実験だからである。即ち、COが生成する場合の
反応は、 3Fe23(s)+C(s)=2Fe34(s)+CO(g) ΔG=32920−54.75 T ……(a−1) Fe34(s)+C(s)=3FeO(s)+CO(g) ΔG=47920−50.85T ……(a−2) FeO(s)+C(s)=Fe(s)+CO(g) ΔG=35350−35.90T ……(a−3) であり、上記(a−1) 〜(a−3)式より下記
(A)式が導かれる。
【0048】 Fe23(s)+3C(s)=2Fe(s)+3CO(g) ΔG=113620−123.89T ……(A) 従って、加炭材中のFe23(s)が炭素(s)によっ
て還元され、COが生成する場合であって、(A)式で
まとめられる。
【0049】一方、鉄酸化物が炭素C(s)により還元
されてCO2 が生成する場合の反応は、 6Fe23(s)+C(s)=4Fe34(s)+CO2(g) ΔG=25040−67.44T ……(b−1) 2Fe34(s)+C(s)=6FeO(s)+CO2(g) ΔG=55040−60.00T ……(b−2) 2FeO(s)+C(s)=2Fe(s)+CO2(g) ΔG=29900−30.1T ……(b−3) であり、上記(b−1)〜(b−3)式より下記(B)
式が導かれる。
【0050】 2Fe23(s)+3C(s)=4Fe(s)+3CO2(g) ΔG=104840−122.68T ……(B) 従って、加炭材中のFe23(s)が炭素C(s)によ
って還元され、CO2が生成する場合であって、(B)
式にまとめられる。
【0051】以上より、本実験温度である1000℃に
おいては、試料中Fe23は試料中炭材粉により十分に
還元され得る還元ポテンシャルの雰囲気下に存在する。
次に、上記Fe23の還元に要するCの化学当量は、
(A)及び(B)式のいずれに従うかについて考える
と、下記理由により、実質的には(A)式に従うと考え
てよい。即ち、加炭材中のFeOのCによる還元反応
は、(a−3)式のFeO(s)+C(s)=Fe
(s)+CO(g)、又は、(b−3)式の2FeO
(s)+C(s)=2Fe(s)+CO2(g)のいず
れかにより行なわれると考えられる。
【0052】一方、加炭材中のZnOの炭素C(s)に
よる還元反応は、Znの沸点が906℃であることを考
えると、本実験の初期設定温度:1000℃を考慮し
て、下記(C)式に従うものと推察する。
【0053】 ZnO(s)+C(s)=Zn(g)+CO(g) ΔG=88720+10.35TlogT−103.33T ……………(C)
【0054】以上の推察を証明するために、還元実験前
後における加炭材試料の分析で得られたFe酸化物の成
分であるFe23及びFeO、並びにZn酸化物の成分
であるZnOの組成分析値を用いて、加炭材に含まれる
電気炉ダスト中のFe23、FeO及びZnOの還元率
を次のようにして算定した。前述した通り、実験中にお
ける試料の飛散・消失は無視し得る程度に少ないので、
還元実験前後における炭素についてのマスバランスを考
えた。即ち、還元実験前後の試料中Fe23、FeO及
びZnOの減少量分を還元するのに要するC当量の和の
算定重量P(g)と、試料中Cの分析による実測減少重
量Q(g)とを比較すると、表9に示す通りである。
【0055】
【表9】
【0056】試料PCB−85については、実測重量Q
は算定重量Pに近く、その差Q−Pは0.118gで、
(Q−P)/Q=4.2%と小さい。従って、酸化物の
実測重量Qは算定重量Pに近いので、試料中のFe
23、FeO及びZnOの減少量分は大部分がCにより
還元されたものであると考えることができる。
【0057】これに対して、試料BCA−40について
は、加炭材にバインダーとしてPDA(分解温度:24
0℃)が添加されており、実験中の観察によれば、実験
初期に黒煙の噴出がみられたことより、PDAの分解に
より生成した炭化水素系ガス、CO、すす及び水素が発
生したと考えられる。PDAに含まれるC重量は1.7
49gと算出されるので、これを加味して、計算値と実
測値との差を求めると、0.171gとなり、(Q−
P)/Q=5.1%と小さくなる。このように、PDA
を上記のように扱えば、試料BCA−40の場合も酸化
物の実測重量Qは算定重量Pに近いので、試料中のFe
23、FeO及びZnOの減少量分は大部分がCにより
還元されたものであると考えることができる。
【0058】上記考察と、加炭材試料BCA−40及び
PCB−85のいずれの試料においても、還元後の試料
中にはFe23及びFeOは残存せず、Fe成分は全重
量が金属Feの形態であることとを考えると、加炭材試
料BCA−40及びPCB−85のいずれの試料におい
ても、試料中Fe23及びFeOはいずれも全量が、そ
れぞれFe23(s)+3C(s)=2Fe(s)+3
CO(g)、及び、FeO(s)+C(s)=Fe
(s)+CO(g)に従って還元され、また、ZnOは
その減少重量の全量が、反応式ZnO(s)+C(s)
=Zn(g)+CO(g)に従って還元されたものとし
て扱ってよいことが明らかとなった。
【0059】以上の如く、還元前後のCのマスバランス
に従って検討した結果、(a−1)〜(a−3)及び
(C)に従ってそれぞれの酸化物の還元反応が進行して
いると考えてよいことがわかった。
【0060】上述した通り、還元実験における加炭材中
のFe酸化物の還元率は、100%であったが、Zn酸
化物の還元率は前記の通り、試料BCA−40の場合:
73.3%、試料PCB−85の場合:38.9%であ
った。一方、本発明者等の別途の実操業現場試験によれ
ば、電気炉製鋼の実操業においては、従来、鋼スクラッ
プから電気炉系内に混入したZn成分は、その大部分が
電気炉ダスト中に入り、電気炉スラグに入る割合は少量
であることが判明した。即ち、電気炉酸化精錬期及び還
元精錬期の溶融スラグサンプルの分析結果より、スラグ
に移行・残留するZn分を算定すると、電気炉へ装入し
たインプットZn量の0.3wt.%程度と僅かであっ
た。従って、本発明で予定している電気炉ダストと炭材
粉とを配合した成形状加炭材を、電気炉操業の装入時期
から溶解初期の間に装入した場合にも、加炭材中のZn
酸化物が精錬終了後の溶融スラグ中に含まれるであろう
割合は極めて少量であると推定される。しかしながら、
本発明者等は、ダスト中のZn酸化物ZnO(s)の炭
素C(s)による還元率を、本還元実験の方法による評
価方法で50%程度以上に確保することにより、実操業
において本発明で予定している加炭材を使用したヒート
を、従来の操業ヒートと同様に安定して操業することが
できるとの予測をした。そして、実操業試験における製
鋼所要時間、電力原単位等の操業成績、並びに加炭材を
原料装入時及び溶解期に装入する場合の通電遮断発生等
の操炉性を勘案して、上記予測が妥当であることがわか
った。なお、この実操業試験の結果は、実施例の項で説
明する。
【0061】そこで、加炭材中電気炉ダストに含まれる
酸化物の還元実験において、ZnO(s)の還元率が5
0%以上となるような、電気炉ダストと炭材粉との配合
割合を、次のようにして求めた。
【0062】上記還元実験の供試材である加炭材No.
BCA−40及びPCB−85のそれぞれについて、当
該加炭材に含まれるC量の内、ZnOの還元用として見
掛け上反応し得るC量〔C〕Zn,eqを下記(E)式に基
づき、表5に示した各加炭材の成分組成を用いて算出し
た。
【0063】 〔C〕Zn,eq=T.〔C〕−〔C〕Fe-O…………………………(E) 但し、〔C〕Zn,eq:加炭材中のZnO還元用見掛けC
量(wt.%) T.〔C〕 :加炭材中の全炭素量の分析値(wt.
%) 〔C〕Fe-O :加炭材中のFe23及びFeOを還元す
るに要するC当量の算定値(wt.%)
【0064】ここで、〔C〕Zn,eqには燃焼して発熱す
る部分及び加炭用Cも含まれている。このZnO還元用
の見掛けC量〔C〕Zn,eqと、前記で求めたZnOの還
元率αとの関係を図1にプロットした。図1には、加炭
材No.BCA−40及びPCB−85の実験データ点
51及びP10の他に、C量〔C〕=0の場合にはZnO
の還元率=0に収束するとみなした点P0の3点をプロ
ットし、〔C〕Zn,eqとαとの関係を曲線Aで推定し
た。そして、曲線Aを用いてZnOの還元率α=50%
になるZnO還元用の見掛けC量〔C〕Zn,eq:xa,c
求めると、xa,c=18.0wt.%となる。そこで、
これを満たす加炭材の原料配合を、下記(F)式に基づ
き、表4に例示した電気炉ダストと炭材粉としてのCD
Q粉との成分組成を用いて算定すると、 電気炉ダスト:80.7wt.% CDQ粉 :19.3wt.% (但し、PDA中のC%=82.5wt.%、PDAの
配合率(%)=9%とする。)が得られる。従って、電
気炉ダストとCDQ粉との配合割合は、電気炉ダストを
80wt.%以下にすればよいとの知見を得た。
【0065】上記において、 〔C〕Zn,eq={〔C〕EFD(XEFD/100)+〔C〕CDQ(XCDQ/100)+ 〔C〕PDA(XPDA/100)}−{〔C〕Fe2O3+〔C〕FeO}………(F) 但し、〔C〕Zn.eq:加炭材中のZnO還元用見掛けC
量(wt.%) 〔C〕EFD :電気炉ダスト中のC含有率(wt.
%) 〔C〕CDQ :CDQ粉中のC含有率(wt.%) XEFD :電気炉ダストの配合率(wt.%) XCDQ :CDQ粉の配合率(wt.%) XPDA :PDA配合率(wt.%) XEFD+XCDQ+XPDA=100 〔C〕Fe2O3 :加炭材中のFe23の還元用C当量(w
t.%) 〔C〕FeO :加炭材中のFeOの還元用C当量(w
t.%)
【0066】なお、上記(F)式からわかるように、還
元材としてCDQ粉以外の炭材粉を使用した場合には、
〔C〕CDQの値が変化する。また、電気炉ダストの成分
組成もその発生源により若干変化する。従って、上述し
た加炭材の原料配合における電気炉ダストの配合割合も
それらに応じて変化する。しかしながら、炭材粉として
安価且つ安定供給されうるものとしてのコークス粉等及
び電気炉ダスト中のC含有率は、本発明者等の経験によ
れば、ほぼ表2及び4に示した成分組成で代表できるも
のと考えられる。また、一般的に電気炉製鋼における加
炭材は、その機能を考慮した場合、原料中のC含有率
(%)、バインダーとしてのPDAの配合率(%)が変
化して、C含有率が1%程度変動しても目的達成が不可
能となる性格のものではない。従って、実際的に考え
て、本発明では電気炉ダストとCDQ粉との配合割合に
おいて、電気炉ダストを80wt.%以下に限定するの
が適切である。
【0067】〔2〕電気炉ダストの望ましいリサイクル
プロセス 本発明者等は下記条件を満たすような電気炉ダストのリ
サイクルプロセスを検討した。
【0068】(a)電気炉工場全域における電気炉ダス
トのハンドリング量を少なくすると共に、亜鉛回収専門
会社の工場への電気炉ダストの運搬量を減らして、トー
タルの運搬費を減らし、また、上記亜鉛回収工場におけ
る処理効率を上げてそのコストを低減するために、電気
炉工場側において電気炉ダスト中のZn分を安価に安定
して濃縮し得ること、(b)当該電気炉工場で発生した
電気炉ダストの処理工程の一部として、当該電気炉ダス
トを原料として製造した製鋼用加炭材を、当該電気炉製
鋼操業において使用することにより、当該電気炉から発
生する電気炉ダストのリサイクルが一層安定すること、
(c)従来設備の利用が可能で、新たな設備投資は最小
限にすること、の3点を満たすプロセスを検討した。
【0069】先ず、表1〜3に示した電気炉ダストの成
分組成とその微粉性状に注目して、下記工程を着想し
た。
【0070】従来、Zn含有率15〜20wt.%程度
の電気炉ダストを、電気炉工場から粗酸化亜鉛回収工場
へ運搬し処理している。この運搬量を削減すると共に、
電気炉ダスト中のZnO含有率を濃縮して粗酸化亜鉛回
収工場における操業効率をあげる。これを実施するため
に、当該電気炉の操業プロセス自身を活用した方法でZ
nOを濃縮する。
【0071】(イ)電気炉から発生するダストを電気集
塵機等で直引ダスト及び建屋集塵ダストとして捕集し、
この電気炉ダストに還元材として安価なコークス粉ある
いはコークス消火設備捕集粉(CDQ粉)等の炭材粉を
混ぜて混合し、バインダーを添加してブリケット等の成
型品を作る。当該ブリケット中に含まれる炭素には、当
該ブリケット中の電気炉ダストに含有される亜鉛酸化物
及び鉄酸化物の還元機能をもたせる他に、従来の電気炉
製鋼操業で一般的に使用している加炭材中の炭素と同じ
機能をもたせる。
【0072】この際留意すべき点は、電気炉の主原料が
溶解しない固体装入物である時点で添加を開始し、主原
料装入毎に当該加炭材を添加する。即ち、炉内に溶鉄、
溶銑の存在を必要としない。電気炉ダスト中の上記金属
酸化物を固体状態の段階から還元を開始する機能を与え
ている。従って、酸化物還元に要するC当量分の炭素量
の他に、燃焼による当該加炭材自身の昇温用の炭素量、
及び上記還元反応を進行させるのに必要な還元エネルギ
ー分の炭素量も必要である。固体状態の電気炉ダスト段
階から還元を開始させる理由は、本発明の加炭材を使用
しても、電気炉製鋼時間及び電力原単位が従来水準と同
じ程度に収まるようにするためである。一方、固体状態
では還元未完了であった電気炉ダスト部分は引き続き電
気炉溶融スラグへ移行後に加炭材中の炭素分で還元され
得るだけのC量を加炭材に含有させておく。加炭材中の
更に余剰となった炭素は、スラグ中FeOやMnO等の
還元にも使われ、一部は溶融金属に溶け込み加炭され
る。こうした機能を備えた加炭材に設計することによ
り、従来の電気炉製鋼操業において、加炭材以外の手段
により炉内に供給していたC量、例えば、コークス粉の
炉内吹込み、電極からの炭素の溶け込み、及び合金鉄か
らの炭素の溶け込み分等、従来の安定操業時の炭素バラ
ンスを特に変更する必要がなくなる。
【0073】(ロ)上記製鋼用加炭材を当該電気炉に装
入し、当該加炭材を構成する電気炉ダスト中のFe酸化
物を還元して金属Feを生成させると共に、Zn酸化物
を還元して生成したZn蒸気を炉上部雰囲気で自然酸化
させて微粒ZnO粉を生成させる。金属Feは後に鋼浴
に移行させ、ZnO粉は集塵機で捕捉して電気炉ダスト
に移行させ、電気炉ダストの非リサイクル時に比べて電
気炉ダストにZn分を濃縮させる。
【0074】(ハ)電気炉ダスト中のCaO、Si
2、Al23及びMgO等を溶解・酸化期に、炉内溶
融スラグに移行させる。結果としてダスト量を削減す
る。
【0075】(ニ)加炭材の主原料として、亜鉛を含有
するスクラップの溶解・精錬時に発生した電気炉ダスト
と、安価で反応性のよいCDQ粉のようなコークス粉と
を用い、所定の配合割合の原料粉に所定のバインダーを
添加して成形する。
【0076】こうして、当該電気炉ダスト中には亜鉛が
濃縮し、しかも当該電気炉から搬出されるべき電気炉ダ
ストの量も減る。従って、電気炉工場側に電気炉の他
に、専用の酸化亜鉛濃縮用炉を設ける必要はなく、ある
いは電気炉工場から亜鉛回収工場への電気炉ダストの運
搬量が減る。他方、亜鉛回収工場側においても、従来よ
りも亜鉛が濃縮した電気炉ダストを処理すればよいか
ら、処理操業上の負荷が減り、処理コストが削減され
る。
【0077】上記工程を実施するのに適した電気炉ダス
トのリサイクルフローの例を、図2に示す。電気炉製鋼
工場から発生した電気炉ダストの相当の部分をリサイク
ルし、残部はそのまま従来通り、専門の粗酸化亜鉛回収
工場へ搬送しZnを回収する。リサイクルした電気炉ダ
ストはCDQ粉と配合し、バインダーを添加してブリケ
ット化して加炭材を製造する。当該電気炉製鋼操業にお
いてこの加炭材を使用する。
【0078】上述した電気炉ダストのリサイクルフロー
で製鋼用加炭材を製造すれば、製鋼用の当該電気炉を亜
鉛回収用溶解炉に相当する設備と見なすことができるこ
と、電気炉工場から粗酸化亜鉛回収工場まで電気炉ダス
トを搬送する運搬費が大幅に低減すること、粗酸化亜鉛
回収工場に供給される電気炉ダスト中の亜鉛含有率が上
昇し、粗酸化亜鉛回収工場における処理効率が向上し、
合理化される。
【0079】次に、本発明者等は、電気炉ダストの配合
割合を種々の水準に変化させた加炭材を試作し、圧潰強
度及びトロンメル値の測定、及びスラグ中の高融点鉱物
の生成有無の試験を行なった。その結果、電気炉ダスト
の配合割合を5〜85の範囲内にすれば、諸特性値に問
題のない加炭材が得られるとの知見を得た。表10に、
試験結果を示す。
【0080】
【表10】
【0081】但し、電気炉ダストの最大配合割合につい
ては別途、前述した通り、電気炉ダスト中ZnOの固体
状態における還元率を50%以上にすることにより、電
気炉の操業成績を確保するとの観点から、ダスト配合割
合を80%以下にするのが望ましい。
【0082】また、電気炉ダストの最小配合割合は、電
気炉ダストリサイクルフローに関する実操業を考慮した
検討から、下記の通り、30%以上であることが望まし
い。即ち、本発明者等は、素鋼を3.5万t/月製造す
る電気炉操業について検討した。電気炉ダストは約80
0t/月発生する。この場合、ダスト処理費用の低減及
びダストに含まれているFe分及びZn分の回収をして
所定のリサイクル効果を達成するためには、電気炉ダス
ト発生量800t/月の約25%、即ち200tをリサ
イクルすることが必要であるとの試算結果を得た。一
方、電気炉の従来の通常操業において使用する加炭材で
供給するC量は、例えば、10.37kg/t−ビレッ
トであるから、これを表4に例示したC含有率89w
t.%のCDQ粉でまかなうとすれば、必要なCDQ粉
量QCDQは月間凡そ、(10.37kg/t−BT/
0.89)×(35000t−BT/0.99t−BT
/t−溶鋼)≒412tと算出される。従って、加炭材
原料配合における電気炉ダストの配合率は、{200/
(200+412)}×100=32.7wt.%とな
る。上記試算結果より、電気炉ダストの配合割合はほ
ぼ、30wt.%以上にするのが適しているとの知見を
得た。
【0083】この発明は上述した諸知見に基づきなされ
たものであり、その要旨は次の通りである。
【0084】請求項1記載の製鋼用加炭材の製造方法
は、電気炉ダストと炭材粉とからなる配合原料を調製
し、これにバインダーを添加し、混合し、加熱し、そし
て脱水し、得られた粉粒状半成品を成型機により成型す
る製鋼用加炭材の製造方法であって、上記配合原料とし
て、上記電気炉ダストが30〜80wt.%の範囲内で
残部20〜70wt.%が上記炭材粉からなる構成と
し、この配合原料に対して当該配合原料の5〜10w
t.%の範囲内のバインダーを添加することに特徴を有
するものである。
【0085】請求項2記載の製鋼用加炭材の製造方法
は、請求項1記載の製造方法の発明において、上記炭材
粉としてコークス消火設備捕集粉を、そして上記バイン
ダーとしてプロパン・ディ・アスファルティング・アス
ファルト(PDA)を用いることに特徴を有するもので
ある。
【0086】請求項3記載の製鋼用加炭材は、請求項1
に記載された発明の方法により製造され、そして、少な
くとも炭素:20〜65wt.%及び酸化亜鉛:8〜2
3wt.%を含むことに特徴を有するものである。
【0087】なお、請求項3の発明において、加炭材の
成分組成を上述した通り、全炭素含有率を20から65
wt.%、酸化亜鉛含有率を8から23wt.%と限定
した理由は、次の通りである。
【0088】即ち、(1)当該成分組成は、この発明の
加炭材の製造における各原料およびバインダーの配合割
合に基づき得られたものであること、および、(2)こ
のようにして得られた上記成分組成の加炭材を製鋼用電
気炉操業試験において使用した結果、この発明の加炭材
中の炭素がなすべき機能、即ち、当該加炭材中の電気炉
ダストに含まれる鉄および亜鉛等の有価金属酸化物の還
元用炭素、電気エネルギーによる熱源の一部代替えとし
ての炭素源物質、および、溶鋼への炭素添加源物質の各
機能を十分に発揮していること、更に、当該加炭材中の
酸化亜鉛が還元されて、電気炉ダスト中の亜鉛濃化が十
分に行われていることによる。
【0089】請求項4記載の製鋼用加炭材は、請求項3
記載の加炭材の発明において、上記炭材粉としてコーク
ス消火設備捕集粉を、そして上記バインダーとしてプロ
パン・ディ・アスファルティング・アスファルト(PD
A)を用いることに特徴を有するものである。
【0090】請求項5記載の電気炉ダストのリサイクル
方法は、製鋼用電気炉から発生するダストを集塵し、集
塵された電気炉ダストに含まれる有価金属元素の酸化物
を還元し、その有価金属を金属資源として活用する電気
炉ダストのリサイクル方法であって次の特徴を有するも
のである。即ち、原料として、少なくとも上記電気炉ダ
ストの少なくとも一部を使用し、これと炭素含有物質か
らなる還元材とを含む原料を調製し、この調製された配
合原料を塊状に成型して、電気炉製鋼工程で使用するた
めの製鋼用加炭材を製造する。こうして製造された製鋼
用加炭材を上記製鋼用電気炉の操業において使用するこ
とにより、当該製鋼用電気炉を上記有価金属の酸化物を
還元する装置として活用する。このようにして、上記有
価金属の酸化物を還元する装置を別途設置しないことと
するものである。
【0091】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を図
2に示した電気炉ダストの概略リサイクルフローを参照
しながら説明する。
【0092】素鋼生産能力WM(t/月)の電気炉1か
ら発生した電気炉ダストWd(t/月)の内、α(%)
を加炭材の原料としてリサイクルし、残りの100−α
(%)を専門の粗酸化亜鉛回収工場2向けに搬出する。
リサイクルした電気炉ダストをCDQ粉やコークス粉等
の炭材粉WC(t/月)と所定比率で配合し、粉体混練
装置3に装入し、PDA等のバインダーWb(t/月)
を添加して混合・加熱・脱水し、こうして調製された粉
粒状半成品を所定の粉体成型機4でブリケットやペレッ
トに成型して、製鋼用加炭材Waを製造する。
【0093】電気炉ダストはその発生量Wdの内約25
%以上をリサイクルし、その経済的効果を確保する。リ
サイクルした電気炉ダストを30〜80wt.%の範囲
内でCDQ粉等の炭材粉と配合する。これを粉体混練装
置3に装入し、配合原料の5〜10wt.%の範囲内の
バインダーを添加する。バインダーとしては、水、PD
A、ピッチ、タール、澱粉、PVA、CMC及びセメン
ト等が適している。粉体混練装置3として高速回転翼付
き混練機を用いれば、同一容器内で混合・加熱・脱水を
短時間で行なうことができて効率的である。当該混練機
及び成型機で製造した加炭材成品の物理的特性値とし
て、圧潰強度:35kg/個以上、トロンメル値:85
%以上のものが望ましく、スラグ中に高融点鉱物が生成
しないように、高融点鉱物成分が既にリメルトされ、ス
ラグ化された電気炉ダスト、CDQ粉中の灰分で調整す
る。
【0094】加炭材の原料配合割合において、電気炉ダ
ストの比率を30wt.%以上に制限する理由は、電気
炉ダストのリサイクル効果を確保する観点からである。
一方、その比率を80wt.%以下に制限する理由は、
加炭材中のFe酸化物及びZn酸化物の還元を固体状態
において、Fe酸化物の還元率を100%、Zn酸化物
の還元率を50%以上に調整し、しかもこの加炭材を従
来の加炭材と同様、電気炉操業上安定して使用すること
ができる条件を満たすことにある。その詳細は前述した
通りである。バインダーの添加量を配合原料の5〜10
wt.%の範囲内に制限する理由は、加炭材成品の圧潰
強度やトロンメル値が上記範囲条件を満たすためであ
り、バインダーの種類により最適値がきまる。その最適
値は物理試験により定める。
【0095】加炭材の原料中、炭材粉としては、固定炭
素の含有率が高く、鋼材及びスラグに対する有害元素の
含有率が低く、安価で安定供給可能なものが望ましい。
この観点から、CDQ粉、コークス粉、コークブリーズ
あるいは石油コークス等がよい。また、バインダーとし
てはPDAが特に望ましい理由は、PDAは炭素質が8
2.5%と高く、軟化点が約63℃と使い易く、常温で
固体であること、撥水性があること、成型後高い圧縮強
度を有し、粉化しにくいことによる。また、炉内で加熱
を受けると還元ガスを放出するが、成型ブリケットは粉
化することなく、高温までその形状を維持することによ
る。
【0096】このようにして製造された加炭材の成分組
成は、原料に使用する電気炉ダスト及び炭材粉の成分組
成により若干変化するが、炭素は20〜65wt.%の
範囲内、及び、酸化亜鉛は8〜23wt.%を含む。こ
れら両成分が上記範囲内にあれば、電気炉ダストのリサ
イクルによる経済的効果が確保される。
【0097】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。
【0098】〔1〕加炭材の製造試験とその使用試験 (1)試験方法 素鋼を3.5万t/月製造し、平均良塊74.9t/ヒ
ートを鋳造する電気炉製鋼工場から発生する電気炉ダス
トと、高炉用コークス工場から発生するCDQ粉とを原
料とし、各種比率の配合原料にPDAをバインダーとし
て適量添加し、図2に示した製造フローにより電気炉製
鋼用加炭材を試験製造した。原料配合比は電気炉ダスト
とCDQ粉との重量比率を、30:70から85:15
までの6水準で、PDAを上記配合原料に対して6から
9wt.%の範囲内で添加した。粉体混練装置として高
速回転翼付き混練機を用い、同一容器内で混合・加熱・
脱水を行ない、ブリケット成型機又はペレタイザーで成
型した。但し、ペレタイザーは、上記原料配合比85:
15の場合のみに使用した。原料の成分組成は、表4に
示したものと同じである。
【0099】表11に、加炭材の原料配合割合とバイン
ダー添加量、及び加炭材の計算成分組成を示す。代表的
加炭材として、電気炉ダストとCDQ粉の配合比が4
0:60の加炭材(No.BCA−40)については成
分組成分析値を示す。また、表12に、同じく試験で使
用した加炭材No.BCA−40、本発明の範囲外の加
炭材No.PCB−85、及び従来の加炭材であるN
o.BCの個重、体積、気孔率、圧潰強度及びトロンメ
ル値を併記した。なお、No.BCはCDQ粉のみにバ
インダーを添加したものであり、その組成は、全炭素:
85wt.%、灰分:10wt.%、揮発分:4wt.
%である。
【0100】
【表11】
【0101】
【表12】
【0102】表11及び表12に示した各加炭材を、電
気炉製鋼における加炭材として使用した。試験加炭材の
使用方法は、電気炉ダストを配合した加炭材を単独で又
は従来の加炭材No.BCと併用し、電気炉への原料装
入時及びこれに続く溶解初期に2回の合計3回に分けて
添加した。溶製鋼種はC濃度:0.2wt.%構造用炭
素鋼であり、本加炭材使用試験操業は、当該鋼種の従来
の標準溶製基準に準じた操業を行なった。当該標準溶製
基準による電気炉操業時のC量のマスバランスシートに
よれば、酸化精錬期(溶解期を含む)に炉内に供給する
C量は、屑鉄及び銑鉄からなる主原料、加炭材(加炭材
No.BC)、炉内への吹込み炭素粉及び電極から供給
される合計19.62kg/t−ビレット(以下、「t
−BT」)であり、この内、加炭材から供給されるC量
は、10.37kg/t−BTである。そして、酸化精
錬期末時点における溶融金属(溶鋼)中のC量は、0.
75kg/t−BTである。
【0103】試験用加炭材の添加量決定の基準は、上記
C量のマスバランスに基づき、従来の加炭材(No.B
C)に代替した分の試験加炭材が、(イ)当該加炭材に
含まれる電気炉ダスト中のFe酸化物(Fe23及びF
eO)の全量と、Zn酸化物(ZnO)の内、図1中に
示した曲線Aを用いて推定されるZnOの還元率α
(%)分とを固体状態で還元するのに要するC量、
(ロ)当該各酸化物の還元反応進行に要する反応エネル
ギー(ΔH)分のC量、(ハ)当該加炭材を所定の温度
Tまで加熱するのに要する熱量(QT)分のC量、
(ニ)溶鋼成分への加炭用C量、及び(ホ)上記(ロ)
と(ハ)を除く電力エネルギーの一部代替をするC量の
合計を確保するようにした。
【0104】ここで、上記(イ)項の各酸化物の還元反
応は、それぞれ前述した(A)、(a−3)及び(C)
式に従うものとし、(ロ)項の反応エネルギー(ΔH)
はそれぞれ下記(G−1)、(G−2)及び(G−3)
式を用い、そして(ハ)項の必要熱量QT は下記(H)
式に基づき算出した。
【0105】 ΔHFe2O3 =670kcal/kg−Fe23 …………(G−1) ΔHFeO =370kcal/kg−FeO …………(G−2) ΔHZnO =−345kcal/kg−ZnO …………(G−3) QT =0.41kcal/kg−加炭材 …………(H)
【0106】電気炉製鋼操業における炉内反応特性から
考えて、試験加炭材の使用操業試験の還元精錬期におけ
る加炭材中Cの挙動は、従来の標準操業条件における従
来の加炭材中Cの挙動と同じであるとみなして差し支え
ない。従って、試験操業は、酸化精錬期終了までの反応
挙動が重要となる。
【0107】表13および表14に、試験加炭材及び従
来加炭材(加炭材No.BC)の使用条件、並びに主な
電気炉操業条件及び操業成績を示す。但し、加炭材N
o.PCB−85の使用操業試験は、Cの含有率が1
6.2wt.%と低く、製鋼操業に必要なC=10.3
7kg/tを確保するには、加炭材No.PCB−85
単味では64kg/tと高い添加量が必要になり、加炭
材No.BCA−80と類似するため行なわなかった。
【0108】
【表13】
【0109】
【表14】
【0110】(2)試験結果 以下、上記各操業試験結果について説明する。
【0111】〔比較例1 加炭材No.BC〕従来の標
準操業条件において従来の加炭材を使用した場合であ
る。加炭材は酸化精錬期までに全量添加され、その使用
量は12.2kg/t−BTであり、加炭材から供給さ
れる固定C量は、前述した通り10.37kg/t−B
Tである。標準操業においてスラグ量は58.7kg/
t−BTであり、酸化精錬期のスラグ塩基度CaO/S
iO2は、1.59である。製鋼時間は61分、酸化精
錬期(溶解期を含む。以下同じ)の電力原単位は320
kW/t−BTである。
【0112】以下の試験加炭材使用の操業においては、
スラグ塩基度及び基本操業条件を上記標準操業条件にあ
わせる。また、試験加炭材使用に対する操業性は、これ
までの説明により、酸化精錬期末までに注目し、操業成
績の評価は適宜ヒート単位で行ない、従来加炭材No.
BC使用時の場合と比較した。
【0113】〔実施例1 加炭材No.BCA−80
その1〕加炭材No.BCA−80を14kg/t−B
T、従来加炭材のNo.BCを9.17kg/t−BT
の合計23.17kg/t−BTを添加した。加炭材添
加に伴う操業性に問題はなかった。標準操業時のスラグ
塩基度:1.59における石灰原単位は17.4kg/
t−BTである。これに対して、加炭材中電気炉ダスト
の灰分及びそれに含まれるSiO2分の混入を考慮し、
スラグ塩基度を標準値1.59にあわせるために、石灰
を1.3kg/t−BT追加添加した。またスラグ生成
量は6.25kg/t−BTだけ増加した。一方、製鋼
時間は62分で標準の61分と殆ど変化なかったが、酸
化精錬期の電力原単位は325kWh/t−BTで標準
の320kWh/t−BTより若干増加した。また、溶
鋼歩留((f/e)×100%(但し、f:出鋼した溶
鋼量、e:装入量=(主原料+合金鉄+加炭材No.B
CA−80中のFe分。以下同じ)は、標準操業時で、
f=75,950kg、e=80,290kgより、
(f/e)×100=94.6%よりも+0.2%高く
なった。これは、加炭材中電気炉ダストに含まれるFe
酸化物の還元により生成した金属Feが酸化精錬期及び
還元精錬期を経て溶鋼に移行したためであると考えられ
る。
【0114】〔実施例2 加炭材No.BCA−80
その2〕加炭材No.BCA−80を7kg/t−B
T、従来加炭材のNo.BCを10.5kg/t−BT
の合計17.5kg/t−BTを添加した。加炭材添加
に伴う操業性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値
1.59にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰
分中SiO2分の混入を考慮して、石灰添加量は標準時
の石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.16kg
/t−BT追加した。またスラグ生成量は3.64kg
/t−BTだけ増加した。製鋼時間及び酸化精錬期の電
力原単位は標準操業と変わらなかった。また、溶鋼歩留
は標準操業時よりも+0.1%高くなった。これは、加
炭材中電気炉ダストに含まれるFe酸化物の還元により
生成した金属Feが溶鋼に移行したためであると考えら
れる。なお、以降の実施例4〜10のいずれにおいても
溶鋼歩留が高くなった。その理由は上記と同じである。
【0115】〔実施例3 加炭材No.BCA−80
その3〕加炭材としてNo.BCA−80のみを使用
し、62kg/t−BT添加した。加炭材添加量が多い
ので、1回当たりの添加量を抑制するため、3回に等分
して添加した。それにもかかわらず、加炭材添加に伴う
操業性の問題として、加炭材添加後、電極と当該加炭材
と屑鉄との間に加炭材が堆積し、通電遮断現象がしばし
ば発生した。溶解後期から溶落にかけ、激しいボイリン
グが起き、鉄分を含む多量のスラグが流出した。これに
より鉄ロスが生じた。製鋼時間は71分かかり、標準の
61分より大幅に延長した。また、酸化精錬期の電力原
単位は338kWh/t−BTとなり標準操業時より1
8kWh/t−BT増加した。なお、スラグ塩基度を標
準値1.59にあわせるために、石灰添加量は標準時の
石灰原単位17.4kg/t−BTに、2.22kg/
t−BT追加した。またスラグ生成量は標準操業時より
24.2kg/t−BTだけ増えて82.9kg/t−
BTとなり、大幅に増加した。これらの結果より、加炭
材No.BCA−80の単独使用は不適当であり、従来
の加炭材No.BCと併用することにより、添加総量を
下げる必要がある。なお、溶鋼歩留は標準操業時より
も、−0.6%となり、高くならなかった。
【0116】〔実施例4 加炭材No.BCA−65
その1〕加炭材No.BCA−65を17kg/t−B
T、従来加炭材のNo.BCを6kg/t−BTの合計
23kg/t−BTを添加した。加炭材添加に伴う操業
性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値1.59に
あわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰分及びそれ
に含まれるSiO2分の混入を考慮して、石灰添加量は
標準時の石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.3
kg/t−BT追加した。またスラグ生成量は6.27
kg/t−BTだけ増加した。製鋼時間は62分で標準
操業と殆ど変わらないが、酸化精錬期の電力原単位は3
25kWh/t−BTで標準操業時の320kWh/t
−BTよりも若干増えた。なお、溶鋼歩留は標準操業時
よりも+0.2%高くなった。
【0117】〔実施例5 加炭材No.BCA−65
その2〕加炭材としてNo.BCA−65のみを使用
し、34kg/t−BT添加した。加炭材添加に伴う操
業性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値1.59
にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰分及びそ
れに含まれるSiO2分の混入を考慮して、石灰添加量
は標準時の石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.
5kg/t−BT追加した。またスラグ生成量は11.
51kg/t−BTだけ増加した。製鋼時間は64分で
標準操業より若干延長した。酸化精錬期の電力原単位は
329kWh/t−BTで標準操業時の320kWh/
t−BTよりも増加した。試験加炭材No.BCA−6
5で加炭材の全量を賄う本試験条件であれば、実操業の
継続可能性は十分にある。なお、溶鋼歩留は標準操業時
よりも+0.4%高くなった。
【0118】〔実施例6 加炭材No.BCA−50〕
加炭材としてNo.BCA−50のみを使用し、24k
g/t−BT添加した。加炭材添加に伴う操業性に問題
はなかった。スラグ塩基度を標準値1.59にあわせる
ために、加炭材中電気炉ダストの灰分及びそれに含まれ
るSiO2分の混入を考慮して、石灰添加量は標準時の
石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.2kg/t
−BT追加した。またスラグ生成量は6.96kg/t
−BTだけ増加した。製鋼時間は63分で標準操業より
若干延長し、酸化精錬期の電力原単位も325kWh/
t−BTで標準操業時の320kWh/t−BTよりも
若干増えた。なお、溶鋼歩留は標準操業時よりも+0.
4%高くなった。
【0119】〔実施例7 加炭材No.BCA−40
その1〕加炭材としてNo.BCA−40のみを使用
し、20kg/t−BT添加した。加炭材添加に伴う操
業性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値1.59
にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰分及びそ
れに含まれるSiO2分の混入を考慮して、石灰添加量
は標準時の石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.
2kg/t−BT追加した。またスラグ生成量は5.2
6kg/t−BTだけ増加した。製鋼時間は62分で標
準操業時と殆ど変わらなかったが、酸化精錬期の電力原
単位は324kWh/t−BTで標準操業時よりも若干
増えた。なお、溶鋼歩留は標準操業時よりも+0.4%
高くなった。
【0120】〔実施例8 加炭材No.BCA−40
その2〕加炭材としてNo.BCA−40のみを使用
し、27kg/t−BT添加した。加炭材添加に伴う操
業性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値1.59
にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰分及びそ
れに含まれるSiO2分の混入を考慮して、石灰添加量
は標準時の石灰原単位17.4kg/t−BTに、1.
6kg/t−BT追加した。またスラグ生成量は7.0
9kg/t−BTだけ増加した。加炭材添加に伴う余剰
のC量が多く、溶落〔C〕%が高くなり、脱炭に時間を
要し、製鋼時間は63分で標準操業時の61分より延長
した。また、酸化精錬期の電力原単位は326kWh/
t−BTとなり、標準操業時より6kWh/t−BT増
加した。なお、溶鋼歩留は標準操業時よりも+0.2%
高くなった。
【0121】〔実施例9 加炭材No.BCA−30
その1〕加炭材としてNo.BCA−30のみを使用
し、16.5kg/t−BT添加した。加炭材添加に伴
う操業性に問題はなかった。スラグ塩基度を標準値1.
59にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの灰分及
びそれに含まれるSiO2分の混入を考慮して、石灰添
加量は標準時の石灰原単位17.4kg/t−BTに、
1.0kg/t−BT追加した。またスラグ生成量の増
加は加炭材の電気炉ダスト配合割合が30wt.%と低
いので、3.93kg/t−BTの増加に留まった。そ
のため、熱負荷も小さくて済み、製鋼時間は標準操業時
と同じく61分で、酸化精錬期の電力原単位も320k
Wh/t−BTとなった。しかも、溶鋼歩留は標準操業
時よりも+0.1%高くなった。
【0122】〔実施例10 加炭材No.BCA−30
その2〕加炭材としてNo.BCA−30のみを使用
し、20kg/t−BT添加した。スラグ塩基度を標準
値1.59にあわせるために、加炭材中電気炉ダストの
灰分及びそれに含まれるSiO2分の混入を考慮して、
石灰添加量は標準時の石灰原単位17.4kg/t−B
Tに、1.3kg/t−BT追加した。またスラグ生成
量は4.75kg/t−BTだけ増加した。加炭材添加
に伴う余剰のC量が多すぎたために溶け落ち後の溶鋼脱
炭に時間を要し、製鋼時間は標準操業時よりも2分延長
して63分となり、また酸化精錬期の電力原単位も32
4kWh/t−BTとなり、標準操業時より4kWh/
t−BT増加した。なお、溶鋼歩留は標準操業時よりも
+0.1%高くなった。
【0123】なお、実施例1〜10のいずれの試験にお
いても、試験加炭材中ダストに含まれる灰分の内、還元
精錬期末までに還元されなかったものは炉内溶融スラグ
に吸収される。従って、この分だけ電気炉ダストは粉体
からスラグに減容化された。
【0124】(3)電気炉ダストのリサイクルによる総
合効果 以上の結果より、この発明による加炭材を電気炉製鋼操
業に使用した場合、その添加量及び従来加炭材との併用
の有無により、操業性及び電力原単位等の変化の定量的
データを得た。そこで、電気炉ダストのリサイクルによ
る総合効果を試算する。総合効果の評価は、標準操業条
件下で従来の加炭材No.BCを使用した比較例1の操
業成績を基準とした。
【0125】表15に総合効果の試算結果を示す。
【0126】
【表15】
【0127】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば下
記効果を発揮する。
【0128】 電気炉工場から搬出されるダスト量が
低減する。 電気炉における鉄歩留が向上する(+0.1〜0.
4%程度)。 電気炉ダスト中のZnを、特別な溶解炉等の設備を
用いず、当該電気炉での通常操業において濃縮すること
ができる(Zn=20%から31%に濃縮)。 電気炉ダスト中のZnを濃縮するための専用濃縮炉
は不要である。 微粉状の電気炉ダストをスラグ化して、減容化し且
つ扱い易いものにすることができる。 本発明品は、従来から常用していた製鋼用加炭材製
造設備の活用のみで製造でき、設備の稼働率も向上す
る。 電気炉ダスト中のZnの濃度上昇に伴い、既存のZ
n回収工場の負荷が軽減される。 電気炉ダスト中のZn資源の回収量が増加すると共
に、電気炉ダストの廃棄処分量が減少し、環境改善に寄
与する。 この発明は上記効果を発揮する製鋼用加炭材及びそ
の製造方法を提供すると共に、電気炉ダストの効果的な
リサイクル方法を提供することができ、工業上有用な効
果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加炭材に含まれるZnOを還元するのに使われ
得る見掛け上の炭素含有率と、ZnOの還元率との関係
を推定するグラフである。
【図2】本発明の製鋼用加炭材を製造するのに適した電
気炉ダストの概略リサイクルフローを示す図である。
【符号の説明】
1 電気炉 2 粗酸化亜鉛回収工場 3 粉体混練装置 4 粉体成型機 5 電気炉ダスト 6 炭材粉 7 バインダー 8 製鋼用加炭材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月26日(1999.11.
26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】(2)また、電気炉ダスト中の有価金属の
酸化物を還元・回収するために、電気炉ダストの含有物
質形態として、電気炉ダスト単味にバインダーを添加し
てブリケットに成型したり、ペレットに造粒したものが
ある。この場合は、コークス粉等の還元材が成形物中に
はわずかしか含まれていないので、ダスト中酸化亜鉛や
酸化鉄等に対する還元材を別途、成型物又は造粒物の系
外から供給する必要がある。この際還元材を供給しても
ダストが微粉粒子であり、飛散し易いので還元材との接
触反応界面積を十分大きく確保することができない。ま
た、電気炉ダストにコークス粉を還元材として配合し、
バインダーを添加して成型したものも開示されている。
この場合、これを電気炉に装入した場合、成型物中のコ
ークス割合が比較的少ないと、成型物の強度が小さく、
そのため電気炉に投入したときに粉化・飛散して電気炉
ダストの炉内での溶融スラグ化割合が減る。その結果、
鉄分の還元回収歩留は低下するし、また酸化亜鉛の還元
・蒸発後の雰囲気再酸化による集塵ダストへのZn濃度
の濃縮の割合が低下し、Zn回収の目的に寄与しない。
従って、電炉ダストの再処理が必要となり、コストアッ
プとなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】一方、屑鉄(鋼スクラップ)を主原料とす
る従来の電気炉製鋼工程においては、溶解期、酸化精錬
期及び還元精錬期を通じて炭素含有物質を炉内に供給す
る。この炭素含有物質の供給は、溶解期及び各精錬期に
おいて、溶融スラグ中のFeやMn等金属の酸化物を還
元するため、及び酸化精錬終点時における溶鋼のC含有
率を目標値に調整するために行なうものである。このC
供給量は、通常の電気炉製鋼操業においては、およそ2
0kg/t−steel程度とかなり多量である。ま
た、炭素含有物質の供給形態としては通常、ブリケット
に成型されたり、ペレットに造粒されたりした炭素含有
物質であるいわゆる加炭材を装入したり、粉コークス等
の粉粒状炭素含有物質をキャリアーガスと共に吹込んだ
り、アーク電極の消耗や溶鋼の成分調整用合金鉄添加に
伴なうCの付随的供給が行なわれている。C含有物質の
内、上記加炭材の種類及びその性状諸元は一般に、各電
気炉製鋼工場により異なっている。そして、この加炭材
の適正な供給量は、当該操業において使用される原料、
造滓剤、O2 ガス及び燃料の種類とその配合割合、並
びに溶製鋼種・目標成分組成等により異なっている。電
気炉製鋼操業における加炭材供給に関するこのような現
状に鑑み、この発明では、本発明加炭材の単独使用によ
る操業は勿論のこと、上述した広範囲の性状諸元の加炭
材との併用も可能である加炭材を製造することが重要で
あると考えた。また、加炭材の原料調達に関しても極力
安価な副生物を用い、製造コストの低減を図ることにし
た。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】〔1〕−2.基礎実験及びそれから得られ
た知見 (a)製鋼用加炭材の還元基礎実験 通常の電気炉製鋼操業時に発生した電気炉ダストと、通
常の高炉用コークス炉操業時に発生したCDQ粉(コー
クス消火設備捕集粉)とを所定割合で配合し、これに適
量のバインダーを添加し、十分に混合し、加熱し、そし
て脱水し、得られた粉粒状半成品を所定寸法のブリケッ
に成型して、又はペレットに造粒して、製鋼用加炭材
を2種類試験製造した。そして、加炭材中に含まれる金
属酸化物の還元実験を行なった。表4に、上記加炭材の
製造に使用した電気炉ダスト及びCDQ粉の成分組成を
示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】上記2種類の加炭材のうち一方の加炭材N
o. BCA−40は、電気炉ダスト:40wt.%とC
DQ粉:60wt.%とを配合し、これにバインダーと
してPDA(プロパン・ディ・アスファルティング・ア
スファルト)を配合原料の6wt.%添加して、個重約
35g、体積約18.2cc/個、そして気孔率約11
%のブリケットに成型した。また他方の加炭材No. PC
B−85は、電気炉ダスト:85wt.%とCDQ粉:
15wt.%とを配合し、これにバインダーとして水を
配合原料の約15wt.%添加して、個重約0.8g、
体積約0.4cc/個、そして気孔率約27%のペレッ
トに造粒した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】(b)実験結果の考察、知見 実験結果によれば、試料重量はいずれも約3分の2に減
少しているが、還元実験終了後の残留試料の前記外観状
態の観察によれば、還元中の試料の飛散、消失は少ない
と思われる。この飛散、消失量が少ないことを実験結果
より検証する。試料中の全Fe重量、並びにCaO+S
iO2+Al23+MgO(≡ΣSLとおく)の重量を
トレーサーとみなして還元実験前後の重量減少量をまと
めると、表8の通りである。加炭材No.BCA−40及
びPCB−85のいずれの試料においてもその減少量
は、全Feで推定すると初期試料重量の4〜5%、また
ΣSLで推定すると、初期試料重量の6〜7%であって
小さいので、この検討においては還元実験中の試料の飛
散、消失量は無視することにした。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】請求項1記載の製鋼用加炭材の製造方法
は、電気炉ダストと炭材粉とからなる配合原料を調製
し、これにバインダーを添加し、混合し、加熱し、そし
て脱水し、得られた粉粒状半成品を成型機により成型す
る製鋼用加炭材の製造方法であって、上記配合原料とし
て、上記電気炉ダストが30〜80wt.%の範囲内で
残部20〜70wt.%が上記炭材粉からなる構成と
し、この配合原料に対して当該配合原料の5〜10w
t.%の範囲内の炭化水素系バインダーを添加し、当該
炭化水素系バインダーの添加量は5〜10wt.%の範
囲内において、上記電気炉ダストの配合割合を増やすと
共に増やすことに特徴を有するものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正内容】
【0085】請求項2記載の製鋼用加炭材の製造方法
は、請求項1記載の製造方法の発明において、上記炭材
粉としてコークス消火設備捕集粉を、そして上記炭化水
素系バインダーとしてプロパン・ディ・アスファルティ
ング・アスファルト(PDA)を用いることに特徴を有
するものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正内容】
【0089】請求項4記載の製鋼用加炭材は、電気炉ダ
ストと炭材粉とからなる配合原料を調製し、これにバイ
ンダーを添加し、混合し、加熱し、そして脱水し、得ら
れた粉粒状半成品が成型機により成型された製鋼用加炭
材であって、上記配合原料として、上記電気炉ダストが
30〜80wt.%の範囲内で残部20〜70wt.%
の範囲内が上記炭材粉からなる構成とし、上記配合原料
に対して当該配合原料の5〜10wt.%の範囲内の炭
化水素系バインダーを添加して製造され、当該炭化水素
系バインダーの添加量は5〜10wt.%の範囲内にお
いて、上記電気炉ダストの配合割合を増やすと共に増や
して製造され、そして少なくとも全炭素(T.C):2
0〜65wt.%、及び、酸化亜鉛:8〜23wt.%
を含むことに特徴を有するものであるそして、請求項
5記載の製鋼用加炭材は、請求項3又は4記載の加炭材
の発明において、上記炭材粉としてコークス消火設備捕
集粉を、そして上記バインダーとしてプロパン・ディ・
アスファルティング・アスファルト(PDA)を用いる
ことに特徴を有するものである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正内容】
【0090】請求項6記載の電気炉ダストのリサイクル
方法は、製鋼用電気炉から発生するダストを集塵し、集
塵された電気炉ダストに含まれる有価金属元素の酸化物
を還元し、その有価金属を金属資源として活用する電気
炉ダストのリサイクル方法であって次の特徴を有するも
のである。即ち、原料として、少なくとも上記電気炉ダ
ストの少なくとも一部を使用し、これと炭素含有物質か
らなる還元材とを含む原料を調製し、この調製された配
合原料を塊状に成型して、電気炉製鋼工程で使用するた
めの製鋼用加炭材を製造する。こうして製造された製鋼
用加炭材を上記製鋼用電気炉の操業において使用するこ
とにより、当該製鋼用電気炉を上記有価金属の酸化物を
還元する装置として活用する。このようにして、上記有
価金属の酸化物を還元する装置を別途設置しないことと
するものである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正内容】
【0098】〔1〕加炭材の製造試験とその使用試験 (1)試験方法 素鋼を3.5万t/月製造し、平均良塊74.9t/ヒ
ートを鋳造する電気炉製鋼工場から発生する電気炉ダス
トと、高炉用コークス工場から発生するCDQ粉とを原
料とし、各種比率の配合原料にPDAをバインダーとし
て適量添加し、図2に示した製造フローにより電気炉製
鋼用加炭材を試験製造した。原料配合比は電気炉ダスト
とCDQ粉との重量比率を、30:70から85:15
までの6水準で、PDAを上記配合原料に対して6から
9wt.%の範囲内で添加した。粉体混練装置として高
速回転翼付き混練機を用い、同一容器内で混合・加熱・
脱水を行ない、ブリケット成型機で成型するか、又はペ
レタイザーで造粒した。但し、ペレタイザーは、上記原
料配合比85:15の場合のみに使用した。原料の成分
組成は、表4に示したものと同じである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 良悟 埼玉県児玉郡神川町渡瀬 269−1 Fターム(参考) 4K001 AA10 AA20 AA30 BA14 CA09 4K013 EA00 EA30 EA39 4K014 CB03 CB07 CB09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気炉ダストと炭材粉とからなる配合原
    料を調製し、これにバインダーを添加し、混合し、加熱
    し、そして脱水し、得られた粉粒状半成品を成型機によ
    り成型する製鋼用加炭材の製造方法であって、前記配合
    原料として、前記電気炉ダストが30〜80wt.%の
    範囲内で残部20〜70wt.%の範囲内が前記炭材粉
    からなる構成とし、前記配合原料に対して当該配合原料
    の5〜10wt.%の範囲内の前記バインダーを添加す
    ることを特徴とする、電気炉ダストを含有する製鋼用加
    炭材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記炭材粉としてコークス消火設備捕集
    粉を、そして前記バインダーとしてプロパン・ディ・ア
    スファルティング・アスファルト(PDA)を用いるこ
    とを特徴とする、請求項1記載の電気炉ダストを含有す
    る製鋼用加炭材。
  3. 【請求項3】 電気炉ダストと炭材粉とからなる配合原
    料を調製し、これにバインダーを添加し、混合し、加熱
    し、そして脱水し、得られた粉粒状半成品が成型機によ
    り成型された製鋼用加炭材であって、前記配合原料とし
    て、前記電気炉ダストが30〜80wt.%の範囲内で
    残部20〜70wt.%の範囲内が前記炭材粉からなる
    構成とし、前記配合原料に対して当該配合原料の5〜1
    0wt.%の範囲内の前記バインダーを添加して製造さ
    れ、そして少なくとも全炭素(T.C):20〜65w
    t.%、及び、酸化亜鉛:8〜23wt.%を含むこと
    を特徴とする電気炉ダストを含有する製鋼用加炭材。
  4. 【請求項4】 前記炭材粉としてコークス消火設備捕集
    粉を、そして前記バインダーとしてプロパン・ディ・ア
    スファルティング・アスファルト(PDA)を用いるこ
    とを特徴とする、請求項3記載の電気炉ダストを含有す
    る製鋼用加炭材。
  5. 【請求項5】 製鋼用電気炉から発生するダストを集塵
    し、集塵された電気炉ダストに含まれる有価金属元素の
    酸化物を還元し、前記有価金属を金属資源として活用す
    る電気炉ダストのリサイクル方法において、前記電気炉
    ダストの少なくとも一部と、炭素含有物質からなる還元
    材とを含む原料を調製し、この調製された配合原料を塊
    状に成型して、電気炉製鋼工程で使用する製鋼用加炭材
    を製造し、こうして製造された前記製鋼用加炭材を前記
    製鋼用電気炉の操業において使用することにより、当該
    製鋼用電気炉を前記有価金属の酸化物を還元する装置と
    して活用することを特徴とする、電気炉ダストのリサイ
    クル方法。
JP1237299A 1999-01-20 1999-01-20 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法 Expired - Lifetime JP3035285B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1237299A JP3035285B1 (ja) 1999-01-20 1999-01-20 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1237299A JP3035285B1 (ja) 1999-01-20 1999-01-20 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3035285B1 JP3035285B1 (ja) 2000-04-24
JP2000212630A true JP2000212630A (ja) 2000-08-02

Family

ID=11803447

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1237299A Expired - Lifetime JP3035285B1 (ja) 1999-01-20 1999-01-20 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3035285B1 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100507667B1 (ko) * 2000-12-22 2005-08-10 주식회사 포스코 전기로 더스트의 재활용 방법
JP2008291293A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Sotetsu Metal Kk 電気炉製鋼用加炭材の製造方法
JP2010235962A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Nippon Steel Corp 電気炉ダストのリサイクル方法
JP2011144395A (ja) * 2010-01-12 2011-07-28 Sangyo Shinko Kk 粒鉄の利用方法
KR101443355B1 (ko) * 2013-04-30 2014-09-24 현대제철 주식회사 용선예비처리공정의 제강분진을 재활용한 전로 가탄 방법
JP2017186607A (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 Jfe条鋼株式会社 電気炉精錬方法
WO2020116643A1 (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 日本製鉄株式会社 加炭材およびそれを用いた加炭方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114058782A (zh) * 2021-11-10 2022-02-18 天津喆丰环保科技有限公司 一种电弧炉炼钢除尘灰的处理方法及处理系统

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100507667B1 (ko) * 2000-12-22 2005-08-10 주식회사 포스코 전기로 더스트의 재활용 방법
JP2008291293A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Sotetsu Metal Kk 電気炉製鋼用加炭材の製造方法
JP2010235962A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Nippon Steel Corp 電気炉ダストのリサイクル方法
JP2011144395A (ja) * 2010-01-12 2011-07-28 Sangyo Shinko Kk 粒鉄の利用方法
KR101443355B1 (ko) * 2013-04-30 2014-09-24 현대제철 주식회사 용선예비처리공정의 제강분진을 재활용한 전로 가탄 방법
JP2017186607A (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 Jfe条鋼株式会社 電気炉精錬方法
WO2020116643A1 (ja) * 2018-12-07 2020-06-11 日本製鉄株式会社 加炭材およびそれを用いた加炭方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3035285B1 (ja) 2000-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1290232B1 (en) Method of producing a metallized briquette
CA2075794C (en) Treatment of wastes
JP5297077B2 (ja) フェロモリブデンの製造方法
CN103429768B (zh) 复合制品及制备方法
JP5397021B2 (ja) 還元鉄製造方法
KR930001334B1 (ko) 아연을 함유하는 금속성 더스트 및 슬러지의 활용방법
JP2010111941A (ja) フェロバナジウムの製造方法
KR100210649B1 (ko) 더스트로부터 산화아연을 회수하는 방법 및 그 장치
US6342089B1 (en) Direct reduced iron pellets
JP3679084B2 (ja) 溶融金属製造用原料の製造方法および溶融金属の製造方法
JP3035285B1 (ja) 電気炉ダスト含有製鋼用加炭材の製造方法及びそれにより得られる製鋼用加炭材並びに電気炉ダストのリサイクル方法
CN102344981A (zh) 含硼铁精矿铁硼分离直接还原工艺
JP2008274362A (ja) フェロモリブデンの製造方法
Agrawal et al. Productive recycling of basic oxygen furnace sludge in integrated steel plant
KR20060104255A (ko) 폐타이어를 열원 및 환원제로 이용하는 선철제조방법 및 장치
KR20090110832A (ko) 티타늄을 함유한 몰딩된 바디
JP2011246760A (ja) フェロモリブデンの製造方法およびフェロモリブデン
JPH11152511A (ja) 製鋼炉ダストの処理方法及びダストペレット
JP6710564B2 (ja) 電気炉精錬方法
LUPU et al. Research regarding the capitalization of the waste resulted from the steel industry
JP2007146217A (ja) 製鋼法及び製鋼用精錬設備
JPH09316512A (ja) 酸化鉄ブリケットを副原料として使用する鋼の溶製方法
JP5396991B2 (ja) 高亜鉛含有鉄鉱石を用いた粒鉄製造方法
US20180320245A1 (en) Cokeless sinter blend compositions
JP2007009240A (ja) 転炉ダストの再利用方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140218

Year of fee payment: 14

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term