JP2011140957A - レーザ多点着火装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内燃機関のシリンダとピストンにより形成される燃焼室3にレーザ光を入射させて、燃焼室内に充填した燃料ガスに点火させるレーザ多点着火装置であって、燃焼室3の側壁に設けられるレーザ入射端と、レーザ入射端から出射されるレーザ光の出射角を所定時間ごとに変化させる電気光学素子8と、シリンダの内壁におけるレーザ光の出射角に応じた位置に設けられ、入射したレーザ光を反射して燃焼室内の集光点5に集光させる複数の第1反射鏡9とを備える。
【選択図】 図4
Description
スパークプラグを用いた着火装置は、スパークプラグを燃焼室の壁面に接触して設置するため、また焼き付きを防止するためスパークプラグ自体が放熱しやすく設計されているため、点火時の熱エネルギがプラグ金属部から流出し、特に燃焼初期に十分な着火エネルギを安定して供給することが困難である。
また、通常1個ないし2個のスパークプラグにより燃料点火を行うので、燃焼室内のガスが全て燃焼し尽くすまで所定の時間が必要となり、爆発効果が十分でない。さらに複数のプラグを利用するときには、同時点火が難しく、点火タイミングにずれが生じやすい。
また、着火用レーザ光は、半導体レーザやガスレーザを使って電気的に発光させるので点火タイミングの調整が正確にかつ容易に行える。
なお、燃焼率を向上させ燃焼速度を増大して燃費を改善したり、難燃性の希薄ガスを失火や異常燃焼が起きないように燃焼させるためには、燃焼室内に多数の着火点を設けることが好ましい。また、燃焼ムラをなくして燃焼効率を向上させるためには、着火点はできるだけ広い範囲に均等に分散していることが好ましい。
レーザ着火式エンジンでは、1個の高出力レーザを使用してこれを集光することによりエネルギ密度を上昇させてプラズマ化して着火するため、集光途中に存在するレーザ入射用窓におけるエネルギ密度が過多になり窓が破損する危険が生じる。
開示発明は、ビームスプリッタと反射ミラーを使ってレーザ光を複数の光束に分割してから集光レンズとレーザ入射用窓を通して燃焼室内の燃料あるいはターゲットに照射してプラズマ化させ、燃料に着火させる。すると、レーザ入射用窓を透過するときのレーザ光のエネルギ密度が小さくなるので、窓が破損しない。
開示方法は、着火の確実性に注目したもので、分割されたレーザ光束の集光位置が互いに比較的近いところに設定されるので、燃料室全体の燃焼状態に基づく燃焼速度や燃焼効率などには影響しない。
開示装置によれば、多点着火装置の部品点数が顕著に減少し、多数の焦点が生成して着火性を高めるので、ガス燃料を含めた多種類の燃料に対応することができる。
なお、マイクロレンズの焦点距離を選択することにより任意の深さで着火させることができるが、焦点は光学窓の直下に制約され、燃焼室内の広範囲に分散させることができないので、燃焼速度などの調整は困難である。
以上説明したとおり、これらの文献にはレーザ光によって燃焼室内に複数の着火点を形成してガス燃焼を行わせる技術が記載されている。しかし、着火点の位置を特定してこれらの着火点にレーザエネルギを分配することにより効果を上げる技術事項には言及されていない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、レーザ装置を用いて燃焼室の空間中の適切な位置に複数の着火点が生成するようにして、燃焼の均質性や燃焼効率を向上させた内燃機関のレーザ多点着火装置を提供することである。
本発明により、レーザを効率的に利用することができ、またレーザ挿入窓は1個あれば足りるので構造が単純になり、コストが低減する。
そこで、本発明のレーザ多点着火装置は、出射光の放射方向を瞬時に変化させることができる電気光学素子を用いることにより、各球体中心と出射端をそれぞれ焦点とする回転楕円体を想定してレーザ照射部分にその反射面を形成するようにした。
なお、レーザ光が平行光に近い場合は、反射鏡はレーザ光の光軸を軸とし着火点を焦点とする回転放物面とすることが好ましい。このように、レーザ光の性質に基づいて最適な反射鏡形状を選択することができる。
なお、電気光学素子による出射方向の切り替えは、現状では数nm以下で実行できるものがあるので、実質的に同時着火を達成することができる。
また、球体同士の位置関係に関わらず、レーザ入射端と各球体焦点の位置だけを使って各反射鏡を設計することは、装置の簡便性を向上させ構造的な堅牢性を向上させる効果がある。さらに、電気光学素子を用いてレーザ光を分配することにより、多数のレーザ発生装置およびレーザ入射端を使うことを避けて経済的に装置を構成することができる。
また、最密充填する球体は2段以上あってもよいことはいうまでもない。この場合は、レーザ入射端を段ごとに設けることが装置構成上簡単である。なお、球体の充填方法は最密充填が好ましいが、最密でなくてもそれに対応するほぼ同等の効果が得られる。
本発明は、特に燃料の希薄な条件での運転に対して有効である。また、エンジンの主燃焼部のみならず、副室においても燃料の希薄な運転に対して有効であることはいうまでもない。
図1は本発明の第1実施例に係るレーザ多点着火装置の構成を模式的に示した透視図、図2は第1実施例を適用した燃焼室における着火点と反射鏡の配置関係を模式的に示した平面図、図3は第1実施例の反射鏡の機能を説明する図面、図4は本発明の第2実施例にかかるレーザ多点着火装置の着火点と反射鏡の配置関係を模式的に示した平面図、図5は本発明の第3実施例にかかるレーザ多点着火装置の着火点と反射鏡の配置関係を模式的に示した平面図である。
本実施例のレーザ多点着火装置は、着火時にシリンダ1とピストン2により形成される燃焼室3に内包され互いに接する複数の球体6を想定し、その球体の中心5が着火点となるようにレーザ光の光路を形成させる。
球体中心5は燃焼室3のほぼ中間の高さに相互に等間隔をおいて配置されることになる。
シリンダCyの内側に向けてレーザ光を放出するレーザ入射装置Rが設けられ、シリンダCyの内壁に沿った位置に反射鏡M1,M2,M3が設けられる。レーザ光は、レーザ入射装置R内の1点から狭い放射角内で放射状に放出され、反射鏡M1により焦点O1に集光し、焦点を通過後に広がって次の反射鏡M2に入射し反射して2番目の焦点O2に集光し、さらに3番目の反射鏡M3で反射して3番目の焦点O3に集光する。
焦点O1,O2,O3はそれぞれ着火点5となる。
回転楕円体Eは2個の焦点F,F’を有するが、焦点を結ぶ直線を回転軸として形成された回転楕円体の表面裏側を反射面Mとすると、一方の焦点Fから放出される光は反射面Mで反射して他方の焦点F’を通るという性質がある。
さらに多数の着火点がある場合にも、同様に回転楕円体を想定して適合する反射鏡を設けることにより、順次レーザ光の焦点を着火点に形成することができる。
また、図面等には、3個の仮想球体6が互いに接するように配置した場合が記載されているが、球体の数に制約がないことは勿論である。また、球体は単層に配置されているが、複層に重なるように配置されていてもよいことはいうまでもない。
第2実施例では、電気光学素子8を用いて燃焼室3にレーザ光を入射する。ここで用いる電気光学素子8は、素子に入射したレーザ光を印加電圧に従って出射角を切り替えて放出する機能を有する。現在では、射出角を数10nsで切り替えることが可能である。
電気光学素子8を介して入射するレーザ光は、壁面に設置される複数の反射鏡9に向かうように設定された方向に順次切り替えられる。
反射鏡9は、入射レーザ光の性状に従って、回転楕円体面、回転放物体面、非線形面などの凹面鏡を選択し、光軸を適宜な方向に向けて設置される。反射鏡9に入射したレーザ光は、反射して収束し、それぞれの着火点5に焦点を結んで、燃焼室内の燃料ガスに点火する。
これに対して、第2実施例に係る多点着火装置は、着火点ごとに独立した光学系を備えるようにして、エンジン設計を容易化し、堅牢で確実な構造にしたものである。第2実施例に係る多点着火装置は、電気光学素子を利用するため、着火点ごとに独立の光学系を使用して多点着火をさせるにもかかわらず、燃焼室3に1個のレーザ導入孔を設けることで足りる。
第3実施例でも、第2実施例と同様に電気光学素子8を用いて燃焼室3にレーザ光を入射するが、電気光学素子8を介して順次切り替えて壁面に設置された反射鏡9に向かうレーザ光は、それぞれ反射して収束し初めの着火点5で焦点を結んだ後に、残った光エネルギを保持するレーザ光がその着火点を通過して別の反射鏡10に入射して反射し収束して次の着火点5’で焦点を結ぶように配置される。このように、1本のレーザ光が照射方向を順次切り替えて放射され、その照射方向ごとに複数の位置で焦点を結んで燃料ガスに着火するようになっている。
着火用レーザ光は着火点を順次通過するごとにエネルギを消耗するので、レーザ出力に対して着火が不安定にならない着火点の数だけ直列結合した光学系を、必要な数だけ配置して、電気光学素子によりレーザ光を切り替えて、多点着火させる。第3実施例によれば、レーザ光の分岐数をより少なく抑えることができるので、電気光学素子の構造が簡単になり、装置がより堅牢になる。
2 ピストン
3 燃焼室
4 レーザ入射装置
5,5’ 着火点
6 球体
7 反射鏡
8 電気光学素子
9 反射鏡
10 反射鏡
Claims (4)
- 内燃機関のシリンダとピストンにより形成される燃焼室にレーザ光を入射させて、前記燃焼室内に充填した燃料ガスに点火させるレーザ多点着火装置であって、
前記燃焼室の側壁に設けられるレーザ入射端と、
前記レーザ入射端から出射されるレーザ光の出射角を所定時間ごとに変化させる電気光学素子と、
前記シリンダの内壁における前記レーザ光の出射角に応じた位置に設けられ、入射した前記レーザ光を反射して前記燃焼室内に集光させる複数の第1反射鏡とを備える、レーザ多点着火装置。 - 前記シリンダの内壁に設けられ、前記第1反射鏡で反射されたレーザ光をさらに反射して前記燃焼室内に集光させる複数の第2反射鏡を備える、請求項1記載のレーザ多点着火装置。
- 前記燃焼室内における集光点を中心とする同一半径を有する仮想球体を想定したとき、各前記第1反射鏡は、前記仮想球体が前記燃焼室内を充填するように配置される、請求項1記載のレーザ多点着火装置。
- 前記レーザ入射端の位置と前記燃焼室内の集光点の位置を結ぶ直線を回転軸とし前記第1反射鏡を通る回転楕円体を想定したとき、前記レーザ入射端及び前記集光点が、前記仮想回転楕円体の焦点位置に配置される、請求項1記載のレーザ多点着火装置。
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