JP4942403B2 - レーザー着火装置およびレーザー着火式エンジン - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関、主としてガス燃焼エンジンにおけるレーザー着火装置およびレーザー着火装置を備えたエンジンに関する。
ガス燃焼エンジンにおいては、燃費の向上とNOx発生量の抑制のために、混合気の燃料混合比率を低下させ、燃料ガスをより希薄にして豊富な空気の中で燃焼させる要求がある。しかし、希薄混合ガスは着火性が悪く、従来のスパークプラグによる着火では十分な着火性能が得られず、失火や異常燃焼が起こるため、燃料の希薄化に限度があった。
スパークプラグが燃焼室の壁面付近に存在せざるを得ないため、スパークプラグから燃料に点火しても、燃焼初期のエネルギーが冷たい壁面に吸収され、燃焼を継続させるエネルギーを維持できないことが失火や異常燃焼の原因になっている。また、スパークプラグの焼け付きを防止するため、スパークプラグ自体が燃焼室外に放熱する設計になっているため、スパークプラグによっても火炎が冷却され、失火を引き起こす一因になっている。
また、難燃性の希薄ガスを失火や異常燃焼が起きないように燃焼させ、かつ燃焼率および燃焼速度を向上させるためには燃焼室内に多数の着火点を設けることが望ましいが、スパークプラグによる着火では、スパークプラグの配置位置に制限があるため、着火点が1もしくは2点に限られ、多点から着火させることができなかった。
そこで、燃焼内の壁面から離れた複数の着火点に点火する方法として、燃焼室内に導入したレーザー光のエネルギーを燃料ガスに吸収させて着火するレーザー着火装置を応用する技術が考案されている。たとえば特許文献1にはレーザー光を燃焼室内に導入する光学窓にマイクロレンズを集積したフライアイ型のレンズを設置し、光学窓に照射されるレーザー光を複数の光束に分割して燃焼室内の複数の点に焦点を結ばせるようにしたレーザー式多点着火装置が開示されている。
特許文献1に開示されたレーザー式多点着火装置は、図9に示すように、レーザー発生源から照射され、光ファイバーなどで導入されたレーザー光をエキスパンダーレンズで拡大し、集光レンズおよびコリメートレンズで所定の径を持つ平行光線に整えた後、マイクロレンズアレイに照射している。マイクロレンズアレイは小口径のマイクロレンズを集積した形状になっており、照射されたレーザー光は、マイクロレンズの個数に応じた複数の光束に分割され、それぞれ燃焼室内に焦点を結び、混合気に着火する。
特許文献1に開示された発明によれば、マイクロレンズの焦点距離を適宜選択することにより燃焼室内の任意の深度の点に着火させることができるため、燃焼エネルギーが燃焼室の壁面等に吸収されることが無く、燃焼を確実に維持することができる。また、一つの光学窓から多点に着火することができるため、着火性を向上させることができる。
しかし、開示発明では、焦点位置が光学窓の直下に制限されるため、着火点を燃焼室内の広範囲に分散させるためには光学窓の口径を非常に大きくする必要があり、配置設計上の困難があった。
特開2005−147109号公報
本発明が解決しようとする課題は、レーザー着火装置およびレーザー着火装置を備えたエンジンにおいて、小型の装置で燃焼室内の広範な点を着火点に設定することができる着火装置を提供し、内燃機関の燃費の向上および排出NOxの抑制に寄与することである。
上記課題を解決するため、本発明のレーザー着火装置は、内燃機関のシリンダとピストンにより形成される燃焼室にレーザー光を入射させて、燃焼室内の混合気に点火させるレーザー着火装置であって、シリンダヘッドに設けられ、燃焼室外からのレーザー光を燃焼室内に導入する光学窓と、ピストンの燃焼室側表面上に設けられ、光学窓から入射したレーザー光を燃焼室内に集光して、混合気に着火させる集光ミラーとを備えることを特徴とする。
本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置では、燃焼室内に集光ミラーを備えるため、レーザー光の導入方向と集光ミラーの位置、角度および焦点距離を適切に設定することにより、燃焼室内のほぼすべての点を着火点とすることができる。したがって、混合気の組成や燃焼室の形状などの諸条件に応じて、燃焼効率やエンジン出力を最大とする点を着火点に設定することができ、エンジンの効率が格段に向上する。なお、集光ミラーは、照射されるレーザー光の径や希望する着火点の位置により鏡面の径や凹面曲率等を適宜選択すればよい。
また、集光ミラーの位置や角度を変更するだけでも燃料室内の広範囲の点を着火点とすることができる。したがって、本形態のレーザー着火装置は、レーザー光の導入位置や導入口の口径について配置設計上の自由度が高く、エンジンシリンダのスペース上の制約を容易に回避することができる。
さらに本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置は、集光ミラーを複数備えるとより効果的である。複数備えた集光ミラーにそれぞれレーザー光を照射すれば、燃焼室内の複数の点を着火点とし、混合気を多点から燃焼させることが可能になる。したがって、失火や異常燃焼の可能性が激減し、燃費の向上およびNOx排出量の低下に非常に効果的である。また、着火点の位置関係は集光ミラーの位置、角度やレーザー光の入射方向により設定することができるため、燃焼速度および燃焼効率が最適になるよう着火点の個数および位置を設計することができ、エンジンの燃料効率や出力を向上させることができる。
凹面反射面を1面有する集光ミラーを複数備える代わりに、複数の凹面反射面を備えた鏡面複合体として形成された一個の集光ミラーを備えても良い。集光ミラーの鏡面を複数の面に分割し、個々の分割面を凹面反射面とすることで、一個の集光ミラーで複数の集光ミラーを備えると同等の効果を得ることができる。この場合、凹面反射面をドーム形に突出した、もしくはすり鉢形に窪んだ半球体や多角錐体、多角錐台体の表面に配置すれば、個々の凹面反射面の集光点すなわち着火点をより広範囲に分散させることができる。
例えば、底面が5角形の錐体とし、5側面を凹面反射面とすれば、5面の反射面にそれぞれレーザー光を照射することで5点の着火点から混合気に着火することができる。また、集光ミラーを底面5角形の錐台体とし、上面も凹面反射面とすれば、6面の反射面から6点の着火点を燃焼室内に形成することができる。
本形態の集光ミラーを備える場合、照射するレーザー光を1本とし、レーザー光が集光ミラー全体に入射するようにしてもよい。レーザー光の光束の径を上流の光学系で集光ミラーの径とほぼ一致するように拡幅してから燃焼室内に導入し集光ミラーに照射すると、複数の凹面反射面がレーザー光を複数の光束に分割し、それぞれ集光して焦点を結ぶ。したがって、1本のレーザー光から凹面反射面と同数の着火点を得ることができる。凹面反射面の面数、位置、角度および焦点距離を適切に設定することにより、効率的な多点着火を実現できる。
さらに、集光ミラーを円錐体とし、側面に沿って凹面反射面を環状に形成して円錐体の頂点方向から十分な強度を持つレーザー光を照射すると、レーザー光を燃焼室内に環状に集束させることができる。この集光ミラーを備えた着火装置を用いると、着火点を線状に得ることができるため、着火性能が飛躍的に向上する。
本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置は、集光ミラーを例えば従来のスパークプラグと同様にシリンダヘッドから挿入するモジュールとして作製し集光ミラーがシリンダヘッドから燃焼室内に突出するように形成してもよい。
集光ミラーをシリンダヘッドから挿入する形態とした場合、光ファイバやレーザー伝送管などにより燃焼室外に位置するモジュールの後端部にレーザー光を導入し、モジュール内に備わる光学系によりレーザー光の光束を整えてモジュール先端部に位置する集光ミラーに照射することで、集光ミラーの角度や焦点距離に応じてレーザー光が燃焼室内に集光し、混合気にエネルギーを与えて燃料に着火する。
この形態のレーザー着火装置では、従来のスパークプラグを挿入していたスペースを利用してレーザー着火装置を設置することができるため、エンジンの設計をほとんど変更する必要がなく、従来のエンジンに容易に適用することができる。
さらに、本発明のレーザー着火装置は、ピストンの燃焼室側の表面上に集光ミラーを固着して設置するものである。ピストンに集光ミラーを設置する形態とした場合、ピストンの燃焼室側表面の適切な位置に集光ミラーを設置し、シリンダヘッド等に備えた光学窓から導入したレーザー光をピストン上の集光ミラーに照射することで、集光ミラーが焦点位置にレーザー光を集束させ燃料に着火させる。レーザー光の光軸とピストンの運動軸が平行になるように光学窓と集光ミラーを配置すると、ピストン位置が変化してもレーザー光が確実に集光ミラーに照射されるため、着火タイミングの進角、遅角制御を容易に行うことができる。
従来のスパークイグニッションエンジンでは、スパークプラグがシリンダヘッドから突出していたため、スパークプラグとピストンの干渉により燃焼室の最小体積が制限されていた。しかし、集光ミラーをピストン上に設置した場合、シリンダヘッドには光学窓を備えるだけで着火装置を形成できるので、上死点でシリンダヘッドとピストンをより接近させることができ、圧縮比を増加させることができる。
また、集光ミラーをピストン表面に設置することにより、シリンダヘッドの壁面から離れた位置に着火点を設定することがより容易になるため、壁面に吸収されるエネルギー量を減少させ、失火の可能性を低減することができる。
なお、ピストンの燃焼室側表面を凹面鏡面に加工して集光ミラーとすると、燃焼室内に集光ミラーを突設する必要がなくなり、工作が容易になる。
これらの形態の集光ミラーにおいても、鏡面を複数の凹面反射面として多点着火を行うことが可能であり、効果的であることはいうまでもない。
本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置は、燃焼室内の空間にレーザー光を集光照射し、レーザー光のエネルギーを混合気に吸収させて着火してもよいし、燃焼室内にターゲットを備え、集光ミラーによりレーザー光をターゲットの表面もしくは表面近傍に集光照射して、アブレーションを起こすことにより高温を発生して混合気に着火してもよい。
レーザー光をターゲットの表面もしくはターゲットの近傍に集光させると、空間に集光させる場合に対して数分の1のエネルギーで混合気に着火することができる。したがって、特に、より希薄で着火性の悪い燃料を用いる場合や、エンジン始動初期でシリンダ温度が上がらない状態では、ターゲットを用いることによりレーザー出力を増大させなくても確実に着火させることができるようになる。
通常、燃料のスワーリングを誘発して燃料の混合効率を確保するため、ピストンの燃焼室側表面はバスタブ状に窪んでいる。したがって、ターゲットをピストン上部の内壁面に配し、レーザー光がピストンの内壁面に位置するターゲットに集光するようにしてもよい。また、ピストン内壁面を構成するピストン表面の形成材をターゲットとし、ピストン内壁面に直接レーザー光が集光するようにしてもよい。
以上のように、本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置によれば、燃焼室内の自由な複数の点を着火点とすることができるため、燃焼効率が良く失火や異常燃焼が少ないレーザー着火装置を提供することができる。また、本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置を備えたレーザー着火式エンジンでは、着火性の悪い希薄混合気でも確実に燃焼させることができるため、低燃費、低NOx排出量のエンジンを提供することができる。
なお、本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置は、副室を備える内燃機関に適用することもできる。副室の上面から突出するように集光ミラーを備えた着火モジュールを挿入するか、副室の底面に集光ミラーを配し、副室の上面からレーザー光を照射して副室内に焦点を形成するように集光ミラーによるレーザー着火装置を設置してレーザー着火式エンジンを形成することができる。
副室を備えたレーザー着火式エンジンによれば、主室内の混合気をより希薄化できるのに加え、副室内に噴射する混合気の空燃比も希薄化することができるため、主室内、副室内の混合気を総計した真の空燃比を非常に希薄にすることができる。
以下、図面を用いて、本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置およびレーザー着火式エンジンを詳細に説明する。
図1は本発明の1実施例における集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。ピストン1の上表面中央部が凹面鏡加工されて集光ミラー2となっており、シリンダヘッド3の中央部に光学窓4が備わっている。シリンダヘッド3には吸気バルブ5と排気バルブ6が設けられている。
本実施例のレーザー着火装置では、図示しないレーザー発生装置から発射され、光ファイバーやレーザー伝送管などで導入され、光学系で平行に整えられたレーザー光を光学窓4の上方から集光ミラー2に照射する。集光ミラー2に照射されたレーザー光は集光ミラー2の凹面形状に応じて集束し、焦点位置にエネルギーを集中する。レーザー光の照射前に吸気バルブ5から混合気を燃焼室7内に充満させておけば、焦点位置に集中したレーザー光のエネルギーにより混合気が熱せられ、爆発が起こる。
本実施例のレーザー着火装置では、集光ミラー2の焦点距離を適切に設定することにより燃焼室7のほぼ中央を着火点とすることができる。したがって、シリンダの壁面などに吸収されるエネルギー量を低減することができ、非常に効率的に燃料を燃焼させることができる。
また、シリンダヘッド3からスパークプラグが突出しない為、上死点でピストン1とシリンダヘッド3を肉薄させることができ圧縮比を上げることができる。
図2は本実施例の第2の形態の集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図であり、図3はかかるレーザー着火装置による着火点を示した模式図である。
ピストン1の中央部に集光ミラー2が突設されている。集光ミラー2は4角錐台形をしており、4個の側面と上面がそれぞれ凹面反射面になっている。レーザー光はシリンダヘッド3中央部の光学窓4から導入され、集光ミラー2全体に照射される。照射されたレーザー光は集光ミラー2により5本の光束に分割されて集束し、図3に図示した集光ミラー2を中心とする放射線上の4点と、集光ミラー2の直上の1点に焦点を結ぶ。
本実施例のレーザー着火装置では、混合気を多点から着火することができるため、失火の可能性を減少させることができる。したがって、着火性能に劣る希薄燃料でも確実に燃焼させることができ、空燃比の希薄限界を改善することができる。また、多点から着火することにより燃焼速度が上昇するため、エンジン効率を向上させることができる。
図4は本実施例の第3の形態の集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図であり、図5はかかるレーザー着火装置による着火点を示した模式図である。
本形態の集光ミラー2は円錐台形になっており、上面が凹面反射面になっており、側面が凹面回転体になっている。ピストン1の内壁面はターゲット8になっている。光学窓4から集光ミラー2に照射されたレーザー光は上面に反射される光束と側面に反射される光束に分離する。上面に反射された光束は、集光ミラー2の直上で集束し、燃焼室7内の混合気に吸収されて燃焼を引き起こす。一方、側面に反射された光束は、ターゲット8の表面上にリング状に集束し、アブレーションを起こして高温を発生し、ターゲット8付近の混合気を燃焼させる。
レーザー光をターゲットの表面上に集束させることにより、空間中に集束させた場合に比べて数分の1のエネルギー密度で混合気の燃焼を起こすことができる。したがって、レーザー発生装置が低出力のものでも十分な着火性能を確保できるため、レーザー発生装置にかかる費用を低減することができる。また、より希薄な燃料を燃焼させる場合や、エンジン始動初期でシリンダ温度が上がらない状態でも、ターゲットを用いることで着火の確実性が増す。
なお、ターゲット8は、ターゲットとするためにピストンの形成材とは異なる部材をピストンの内壁面に備えても良いし、ピストンの内壁面を直接ターゲットとしても良い。
さらに、本形態の着火装置では、集光ミラー2を円錐台形としたことで、集光ミラー2の側面に反射された光束がリング状に集束している。これにより、着火点が線状になり、混合気の燃焼機会が飛躍的に増大する。なお、レーザー発生装置の出力を増加させられない場合は、多点着火によっても十分な効果を確保することができる。
図6は本実施例における第4の形態の集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。
シリンダヘッド3の中央部に着火モジュール9が挿入されており、挿入モジュール9の下端には8角錐体の集光ミラー2が備わっている。着火モジュール9の上端には光ファイバーが接続されており、着火モジュール9の上端から下端に掛けて光学系が形成されている。
光ファイバーから入射したレーザー光は光学系により平行光線に整えられ、集光ミラー2の径とほぼ一致する径に拡幅されて集光ミラー2に照射する。集光ミラー2によりレーザー光は8本の光束に分割され、図7に示すように放射状の8点に集束し、混合気を8点から着火する。
なお、本形態のレーザー着火装置によっても、ターゲットを用いたアブレーションを利用して着火することができることは言うまでもない。
本形態のレーザー着火装置では、従来のスパークイグニッションエンジンにおいてスパークプラグが挿入されていたスペースを用いてレーザー着火用の着火モジュールを設置することができるため、エンジンの配置設計をほとんど変更することなく多点着火を実現することができる。したがって、リーンバーンエンジンへの技術移行を容易にし、レーザー着火による低燃費低NOxエンジンの早期実現に寄与することができる。
本実施例の集光ミラーによるレーザー着火装置は、単室式の内燃機関に適用しても希薄燃料を確実に燃焼させることができるため非常に効果的であるが、副室式の内燃機関に適用してもよい。
図8は本実施例の集光ミラーによるレーザー着火装置を副室を備えたエンジンに適用した実施例を示す断面図である。燃焼室7の上部にシリンダヘッド3から突出するように副室10が設けられており、主室11と副室10は噴孔12で連絡している。副室10の上部には着火モジュール9が挿入されており、着火モジュール9内には集光ミラー2が、着火モジュール9の情報には光ファイバーが備わっている。
副室10に混合気を充填した後、着火モジュール9にレーザー光を導入して副室10内に集光させ混合気に着火すると、副室内で燃焼した混合気の火炎が噴孔12から主室11に噴出し、主室11に充填された希薄混合気を急速に燃焼させる。
本実施例のレーザー着火式エンジンでは、副室12内で点火した混合気の火炎利用して主室11内の混合気を燃焼させるため、主室11内の混合気については着火性が問題にならない。したがって、主室11内の混合気を非常に希薄にすることができ、燃焼室内の混合気に着火する単室式内燃機関に比べ、リーン限界をより希薄にすることができる。さらに、集光ミラーによるレーザー着火装置を備えたことで、副室10内のパイロット燃料も希薄にすることができるため、主室、副室を総合した真の空燃比を非常に希薄にすることができる。したがって、燃費、低NOxに優れたエンジンを提供することができる。
なお、副室を備えたレーザー着火式エンジンについても、副室の底面に集光ミラーを備える形態や、凹面反射面を多数備えた鏡面複合体で形成された集光ミラーを備える形態を適用することができる。
以上詳細に説明した通り、本実施例の集光ミラーによるレーザー着火装置によれば、燃焼室内の自由な点に着火位置を設定することができると共に、容易に多点着火を実現することができるため、燃焼効率が良く失火や異常燃焼が少ないレーザー着火装置を提供することができる。また、本発明の集光ミラーによるレーザー着火装置を備えたレーザー着火式エンジンでは、着火性の悪い希薄混合気でも確実に燃焼させることができるため、低燃費低NOx排出量のエンジンを提供することができる。
本発明の1実施例における集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。 本実施例の第2の形態における集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。 本実施例の第2の形態にかかるレーザー着火装置による着火点を示した模式図である。 本実施例の第3の形態における集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。 本実施例の第3の形態にかかるレーザー着火装置による着火点を示した模式図である。 本実施例の第4の形態における集光ミラーによるレーザー着火装置の概略断面図である。 本実施例の第4の形態にかかるレーザー着火装置による着火点を示した模式図である。 本実施例の第5の形態にかかる集光ミラーによるレーザー着火装置を副室を備えたエンジンに適用した実施例を示す断面図である。 従来のレーザー着火装置の概略断面図である。
符号の説明
1 ピストン
2 集光ミラー
3 シリンダヘッド
4 光学窓
5 吸気バルブ
6 排気バルブ
7 燃焼室
8 ターゲット
9 着火モジュール
10 副室
11 主室
12 噴孔

Claims (10)

  1. 内燃機関のシリンダとピストンにより形成される燃焼室にレーザー光を入射させて、前記燃焼室内の混合気に点火させるレーザー着火装置であって、
    シリンダヘッドに設けられ、燃焼室外からのレーザ光を前記燃焼室内に導入する光学窓と、
    前記ピストンの燃焼室側表面上に設けられ、前記光学窓から入射したレーザ光を前記燃焼室内に集光して、前記混合気に着火させる集光ミラーとを備える、レーザー着火装置。
  2. 前記集光ミラーが複数の凹面反射面を備え、前記燃焼室内の複数の点に前記レーザー光を集光照射して前記混合気に多点着火することを特徴とする請求項1に記載のレーザー着火装置。
  3. 前記集光ミラーが、前記光学窓から入射したレーザー光を複数の光束に分割して、前記燃焼室内の複数の点に集光する、請求項2に記載のレーザー着火装置。
  4. 前記集光ミラーにより前記燃焼室内の空間に前記レーザー光を集光照射し、該レーザー光のエネルギーを前記混合気に吸収させて着火することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザー着火装置。
  5. 前記燃焼室内にターゲットをさらに備え、前記集光ミラーが、前記光学窓から入射したレーザー光を前記ターゲットの表面もしくは表面近傍に集光して高温を発生させ、前記混合気に着火させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザー着火装置。
  6. 前記ターゲットがピストン表面上に配されていることを特徴とする請求項5に記載のレーザー着火装置。。
  7. ピストン表面の形成材を前記ターゲットとすることを特徴とする請求項6に記載のレーザー着火装置。
  8. 前記集光ミラーがシリンダヘッドから前記燃焼室内に突出して設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー着火装置。
  9. 前記集光ミラーがピストンの燃焼室側表面の少なくとも1領域に形成された凹面鏡面であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー着火装置。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザー着火装置を備えることを特徴とするレーザー着火式エンジン。
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