[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10について説明する。
図1には、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の全体構成が示されている。この図に示されるように、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10は、点火手段としての点火栓12と、レーザ手段としてのレーザユニット14と、を備えている。
点火栓12は、中心電極16と、接地電極18と、中心電極16を取り囲んで設けられると共に接地電極18と一体的に構成された接地部20と、中心電極16と接地部20との間に設けられた絶縁部22と、を有して構成されている。
レーザユニット14は、レーザ光23を発振するレーザ光源24と、レーザ光源24から発振されたレーザ光23を集光してレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるための光学系28と、を有して構成されている。光学系28には、レンズ30が備えられている。
また、このレーザ誘起型火花放電点火装置10では、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにレンズ30の位置が設定されている。
ここで、図22には、このレーザ誘起型火花放電点火装置10における中心電極16及び接地電極18間の印加電圧とレーザ光源24からレーザ光23が発振されるタイミングとの関係が示されている。
この図に示されるように、このレーザ誘起型火花放電点火装置10では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の印加電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。
次に、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の作用及び効果について説明する。
図1に示されるように、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊が生じることで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に火花放電32が誘起される。
ここで、一般に、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすると、中心電極16及び接地電極18間の放電要求電圧が高くなる。つまり、中心電極16及び接地電極18間の電圧を高くしないと中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が形成されずに中心電極16と接地部20との間にリークが生じる。
ところが、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10によれば、図22に示されるように、中心電極16及び接地電極18間の印加電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるので、このレーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊が生じることで、中心電極16及び接地電極18間の放電要求電圧(絶縁破壊電圧)を低くすることができる。逆に、従来の火花点火装置と同等の電圧を中心電極16及び接地電極18間に印加すれば、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
このように、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。従って、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることで、点火で生じる火炎核から各電極への冷却損失を低く抑えることができ、これにより希薄混合気でも安定した点火を行うことができる。しかも、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることで、火花放電32の長さを長くすることができるので、例えば直噴ガソリンエンジン等での混合気濃度の空間変動に対する追従性が向上し、点火できる空間的な確率を確保できると共に、火花放電32による点火を基本とするので、点火できる時間的な確率も確保できる。
さらに、本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の放電要求電圧を低くすることができるので、例えば高い放電要求電圧が要求される過給エンジン等での点火系の耐久性や信頼性を高めることができる。また、火花放電32による点火を基本とするので、従来のレーザ光23により点火させるレーザ点火装置に比べて少ないレーザエネルギで装置を構成することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110について説明する。
図2には、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110の全体構成が示されている。本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図2に示されるように、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110において、レーザユニット14のレーザ光源24は、一対のレーザ光23を発振する構成とされている。また、レーザユニット14には、レーザ光源24から発振されたレーザ光23をそれぞれ集光して一対のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるための光学系28が一対備えられている。各光学系28には、レンズ30がそれぞれ備えられている。
また、このレーザ誘起型火花放電点火装置110では、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように各レンズ30の位置が設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置110では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24から一対のレーザ光23が発振されて一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12よりも、中心電極16及び接地電極18間の距離が長く設定されている。
次に、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110の作用及び効果について説明する。
本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110では、レーザユニット14から一対のレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、この一対のレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上における二箇所の位置に絶縁破壊が生じることで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に火花放電32が誘起される。これにより、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
このように、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110によれば、一対のレーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を複数生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失をより一層低く抑えることができるので、希薄混合気でもより安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方をより一層確保できる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第二実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置110の変形例について説明する。
上記実施形態においては、レーザ光源24が3つ以上のレーザ光23を発振する構成とされると共に、このレーザ光23の数に対応して3つ以上の光学系28が備えられることで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に3個以上のレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにしても良い。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210について説明する。
図3には、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210の全体構成が示されている。本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図3に示されるように、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210では、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにレンズ30の位置が設定されている。
また、このレンズ30の位置は、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由するように設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置210では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12と同等の中心電極16及び接地電極18間の距離(厳密には本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の場合よりも限界距離はやや短い)を有する構成とされている。
次に、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210の作用及び効果について説明する。
本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、レーザブレークダウンプラズマ26を経由するように中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が誘起される。これにより、火花放電32を屈曲形状とすることができると共に、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。
このように、本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失を低く抑えることができるので、希薄混合気でも安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方を確保できる。
また、レンズ30の位置を変更してレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を変えるだけで、火花放電32の屈曲形状を自在に変更することができる。従って、例えば、混合気の空間変動や濃度分布等に応じて火花放電32の屈曲形状を設定すれば、混合気を最適に燃焼させることが可能となる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310について説明する。
図4には、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310の全体構成が示されている。本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310は、上述の本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図4に示されるように、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310では、第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210よりも、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)にさらに外れた位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにレンズ30の位置が設定されている。
また、このレンズ30の位置は、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由しないが、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊が生じ得る(電界条件が変化し得る)位置に設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置310では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12と同等の中心電極16及び接地電極18間の距離(厳密には本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の場合よりも限界距離はやや短い)を有する構成とされている。
次に、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310の作用及び効果について説明する。
本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に火花放電32が誘起される。これにより、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
このように、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失を低く抑えることができるので、希薄混合気でも安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方を確保できる。
また、レーザブレークダウンプラズマ26は、火花放電32とは空間的に離れた場所で独立して存在できる。このため、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由しなくても、このレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することもできる。従って、このレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することで、このレーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで、多点点火とすることが可能となる。
また、レーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで多点点火とした場合には、火炎核が空間的に離れた複数の位置で生成されるため、初期火炎も複数でき混合気の燃焼を速めることができる。また、いずれかの点火位置で点火に失敗しても、他の位置での点火が成功すれば、混合気の燃焼は成立するため、希薄混合気の場合やEGRを多量に行っている場合など、特に混合気の着火が難しくなる条件での着火性を大幅に向上させることができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310の変形例について説明する。
上記実施形態においては、レーザ光源24が複数のレーザ光23を発振する構成とされると共に、このレーザ光23の数に対応して複数の光学系28が備えられることで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置に複数のレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにしても良い。
また、上述のように、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上から外れた位置に複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるようにした場合に、火花放電32が各レーザブレークダウンプラズマ26を経由しなくても、複数のレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊を生じさせる(電界条件を変化させる)ことができれば、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
また、各レーザブレークダウンプラズマ26は、火花放電32とは空間的に離れた場所で独立して存在できる。このため、火花放電32が各レーザブレークダウンプラズマ26を経由しなくても、この複数のレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することもできる。従って、この複数のレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することで、この複数のレーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで、より多くの点火位置を有する多点点火とすることが可能となる。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410について説明する。
図5(A)〜(C)には、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410の全体構成が示されている。なお、図5(A)、(B)、(C)には、レーザ誘起型火花放電点火装置410におけるレンズ30の位置の第一設定例、第二設定例、第三設定例がそれぞれ示されている。
本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図5に示されるように、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410において、レーザユニット14のレーザ光源24は、一対のレーザ光23を発振する構成とされている。また、レーザユニット14には、レーザ光源24から発振されたレーザ光23をそれぞれ集光して一対のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるための光学系28が一対備えられている。各光学系28には、レンズ30がそれぞれ備えられている。
また、このレーザ誘起型火花放電点火装置410では、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置に一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように各レンズ30の位置が設定されている。
つまり、図5(A)に示される第一設定例では、各レンズ30の位置が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対しレンズ30と反対側に各レーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように設定されている。
また、図5(B)に示される第二設定例では、一方のレンズ30の位置が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対しレンズ30と反対側にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように設定されており、他方のレンズ30の位置が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対しレンズ30側にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように設定されている。
さらに、図5(C)に示される第三設定例では、各レンズ30の位置が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対しレンズ30側に各レーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように設定されている。
また、この各レンズ30の位置は、火花放電32が各レーザブレークダウンプラズマ26を経由するように設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置410では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24から一対のレーザ光23が発振されて一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12よりも、中心電極16及び接地電極18間の距離が長く設定されている。
次に、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410の作用及び効果について説明する。
本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410では、レーザユニット14から一対のレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置に一対のレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、この一対のレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向に外れた二箇所の位置に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、各レーザブレークダウンプラズマ26を経由するように中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が誘起される。これにより、火花放電32を複数の屈曲部を有する屈曲形状とすることができると共に、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くすることができる。
このように、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410によれば、一対のレーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失をより一層低く抑えることができるので、希薄混合気でもより安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方をより一層確保できる。
また、図5(A)〜(C)に示されるように、一対のレンズ30の位置を変更して一対のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を変えるだけで、火花放電32の屈曲形状を自在に変更することができる。従って、例えば、混合気の空間変動や濃度分布等に応じて火花放電32の屈曲形状を設定すれば、混合気を最適に燃焼させることが可能となる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410の変形例について説明する。
上記実施形態では、火花放電32が複数のレーザブレークダウンプラズマ26の全てを経由するようになっていたが、火花放電32が複数のレーザブレークダウンプラズマ26のうちいずれかを経由しないようにしても良い。
この場合でも、火花放電32が経由しないレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊を生じさせる(電界条件を変化させる)ことができれば、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
また、レーザブレークダウンプラズマ26は、火花放電32とは空間的に離れた場所で独立して存在できる。このため、火花放電32が経由しないレーザブレークダウンプラズマ26があっても、このレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用すれば、このレーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで、より多くの点火位置を有する多点点火とすることが可能となる。
また、上記実施形態では、複数のレーザブレークダウンプラズマ26をいずれも中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上から外れた位置に生じさせていたが、複数のレーザブレークダウンプラズマ26の少なくとも一つを中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上から外れた位置に生じさせるようにしても良い。つまり、複数のレーザブレークダウンプラズマ26のうちいくつかを中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に生じさせるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、レーザ光源24が3つ以上のレーザ光23を発振する構成とされると共に、このレーザ光23の数に対応して3つ以上の光学系28が備えられることで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上からこの線Lの直交方向(Z方向)に外れた位置に3個以上のレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるようにしても良い。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510について説明する。
図6には、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510の全体構成が示されている。本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図6に示されるように、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510では、接地電極18に対する中心電極16と反対側の位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように光学系28の位置が設定されている。
また、この光学系28の位置は、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由しないが、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊が生じ得る(電界条件が変化し得る)位置に設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置510では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510において、点火栓12は、上述の本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510における点火栓12と同等の中心電極16及び接地電極18間の距離(厳密には本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の場合よりも限界距離はやや短い)を有する構成とされている。
次に、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510の作用及び効果について説明する。
本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで接地電極18に対する中心電極16と反対側の位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に火花放電32が誘起される。これにより、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
このように、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失を低く抑えることができるので、希薄混合気でも安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方を確保できる。
また、レーザブレークダウンプラズマ26は、火花放電32とは空間的に離れた場所で独立して存在できる。このため、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由しなくても、このレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することもできる。従って、このレーザブレークダウンプラズマ26を点火に利用することで、このレーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで、多点点火とすることが可能となる。
また、レーザブレークダウンプラズマ26と火花放電32とで多点点火とした場合には、火炎核が空間的に離れた複数の位置で生成されるため、初期火炎も複数でき混合気の燃焼を速めることができる。また、いずれかの点火位置で点火に失敗しても、他の位置での点火が成功すれば、混合気の燃焼は成立するため、希薄混合気の場合やEGRを多量に行っている場合など、特に混合気の着火が難しくなる条件での着火性を大幅に向上させることができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第六実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置510の変形例について説明する。
上記実施形態においては、中心電極16に対する接地電極18と反対側の位置にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように光学系28の位置が設定されていても良い。
[第七実施形態]
次に、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610について説明する。
図7には、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610の全体構成が示されている。本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図7に示されるように、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610では、中心電極16の表面上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されるように光学系28の位置が設定されている。
また、この光学系28の位置は、レーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16の周辺部(つまり中心電極16及び接地電極18間)に絶縁破壊が生じ得る(電界条件が変化し得る)位置に設定されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置610では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12と同等の中心電極16及び接地電極18間の距離(厳密には本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の場合よりも限界距離はやや短い)を有する構成とされている。
次に、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610の作用及び効果について説明する。
本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで中心電極16の表面上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16の周辺部(つまり中心電極16及び接地電極18間)に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に火花放電32が誘起される。これにより、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くしても、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を生じさせることができる。
このように、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失を低く抑えることができるので、希薄混合気でも安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方を確保できる。
また、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610によれば、中心電極16の表面上(すなわち、固体表面上)にレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせることで、レーザ光23の吸収率が高まり、例えば図1に示されるように空間中にレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる場合に比して、レーザエネルギのロスを抑制することができる(つまり、レーザの透過を抑制できる)。これにより、より一層少ないレーザエネルギでレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせることができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610の変形例について説明する。
図8乃至図10には、本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610の変形例が示されている。
上記実施形態では、中心電極16の表面上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されていたが、図8に示されるように、接地電極18の表面上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されても良く、また、図9に示されるように、中心電極16の表面上と接地電極18の表面上にそれぞれレーザブレークダウンプラズマ26が形成されても良い。
また、図10に示されるように、レーザユニット14が、光学系28に回転可能なウェッジ基盤34を備えた構成とされると共に、このウェッジ基盤34を回転させることで、中心電極16にレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる第一態様(図10(A))と、接地電極18にレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる第二態様(図10(B))とに切替可能とされていても良い。
このように、中心電極16にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される第一態様(図10(A))と、接地電極18にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される第二態様(図10(B))とに切り替えることができるようにした場合には、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が誘起されるように中心電極16及び接地電極18の最適な方にレーザブレークダウンプラズマ26を形成することができる。
[第八実施形態]
次に、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710について説明する。
図11には、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710の全体構成が示されている。本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図11に示されるように、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710において、光学系28に備えられたレンズ30は、図示しない移動機構等によって中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に移動可能とされている。そして、これにより、レーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に変更可能とされている。
つまり、図11(A)では、レンズ30が中間位置に位置されており、これにより、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されている。
また、図11(B)では、レンズ30が下限位置に位置されており、これにより、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対するレンズ30と反対側にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されている。
また、図11(C)では、レンズ30が上限位置に位置されており、これにより、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lに対するレンズ30側にレーザブレークダウンプラズマ26が形成されている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置710では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12と同等の中心電極16及び接地電極18間の距離(厳密には図11(B),図11(C)の場合は本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10の場合よりも限界距離はやや短い)を有する構成とされている。
次に、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710の作用及び効果について説明する。
本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710では、レーザユニット14からレーザ光23が出射されることで中心電極16及び接地電極18間にレーザブレークダウンプラズマ26が形成される。そして、このレーザブレークダウンプラズマ26により中心電極16及び接地電極18間に絶縁破壊が生じる(電界条件が変化する)ことで、レーザブレークダウンプラズマ26を経由するように中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が誘起される。
また、レンズ30を中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に移動させることで、レーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に変更することができる。これにより、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くしつつ、火花放電32の形状をフレキシブルに可変することができる。
このように、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710によれば、レーザブレークダウンプラズマ26により絶縁破壊を生じさせることで、中心電極16及び接地電極18間の距離を長くすることができる。これにより、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失を低く抑えることができるので、希薄混合気でも安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方を確保できる。
また、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710によれば、レンズ30を移動させることでレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を変更することができる。これにより、例えば、中心電極16及び接地電極18間に火花放電32が誘起されるように最適な位置にレーザブレークダウンプラズマ26を形成したり、また、このレーザブレークダウンプラズマ26を経由させることで火花放電32の形状をフレキシブルに可変したりすることができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710の変形例について説明する。
図12には、本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710の変形例が示されている。
図12に示される変形例では、レーザ光源24が、一対のレーザ光23を発振する構成とされると共に、レーザ光源24から発振された一対のレーザ光23をそれぞれ集光して一対のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるための光学系28が一対備えられている。また、各光学系28のレンズ30は、それぞれ独立して中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に移動可能とされている。
このようにすれば、火花放電32を複数の屈曲部を有する屈曲形状とすることができると共に、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらに長くすることができる。また、各レーザブレークダウンプラズマ26を経由させることで火花放電32の形状をよりフレキシブルに可変することができる。
なお、この場合に、レーザユニット14が、複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置の少なくとも一つを、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に変更可能とされていても良い。
[第九実施形態]
次に、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810について説明する。
図13には、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810の全体構成が示されている。本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、以下の如く構成が変更されている。
つまり、図13に示されるように、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810において、点火栓12は、互いに向き合うように対向配置された第一電極部36と第二電極部38とを有して構成されている。
第一電極部36は、中心電極16と、中心電極16を取り囲んで設けられた接地部20と、中心電極16と接地部20との間に設けられた絶縁部22と、を有して構成されている。
中心電極16の先端部は、絶縁部22から第二電極部38側に突出されており、絶縁部22の先端部は、接地部20から第二電極部38側に突出されている。また、絶縁部22の接地部20からの突出部22Aは、中心電極16と接地部20との間に火花放電32が生じることを抑制する長さL1に設定されている。また、第二電極部38には、接地電極18が設けられている。
そして、このレーザ誘起型火花放電点火装置810では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24からレーザ光23が発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が形成される(図22参照)。
なお、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810において、点火栓12は、上述の本発明の第一実施形態乃至第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10における点火栓12よりも、中心電極16及び接地電極18間の距離がさらにより長く設定されている。
次に、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810の作用及び効果について説明する。
本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810によれば、接地部20と中心電極16との間に設けられた絶縁部22の接地部20からの突出部22Aは、中心電極16と接地部20との間に火花放電32が生じることを抑制する長さL1に設定されている。このため、中心電極16と接地部20との間に火花放電32(つまりリーク)が生じることを抑制して、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらにより長くすることができる。従って、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらにより長くすることで、点火で生じる火炎核から電極への冷却損失をより一層低く抑えることができるので、希薄混合気でもより安定した点火を行うことができ、しかも、点火できる空間的な確率及び時間的な確率の両方をより一層確保できる。
また、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらにより長くすることで、中心電極16及び接地電極18間に生じさせるレーザブレークダウンプラズマ26の数を容易に増やすことができ、中心電極16及び接地電極18間に生じる火花放電32の形状の自由度もさらに高くすることができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810の変形例について説明する。
図14には、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810の変形例が示されている。
図14に示される変形例では、レーザ光源24が、一対のレーザ光23を発振する構成とされると共に、レーザ光源24から発振された一対のレーザ光23をそれぞれ集光して一対のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせるための光学系28が一対備えられている。また、各光学系28のレンズ30は、それぞれ独立して中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向と直交する方向(Z方向)に移動可能とされている。
このようにすれば、火花放電32を複数の屈曲部を有する屈曲形状とすることができると共に、中心電極16及び接地電極18間の距離をさらにより長くすることができる。
なお、上述の本発明の第一実施形態乃至第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置における点火栓12が、本発明の第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810における点火栓12の如く構成されていても良いことは勿論である。
[第十実施形態]
次に、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910について説明する。
図15には、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910が示されている。本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、レーザ光源24(図1参照)から発振されるレーザ光23の回数が変更されている。
なお、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910において、図1に示されるレーザユニット14の構成は、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同一とされており、図15では、レーザユニット14の図示が省略されている。
ここで、図23には、このレーザ誘起型火花放電点火装置910における中心電極16及び接地電極18間の印加電圧とレーザ光源24(図1参照)からレーザ光が発振されるタイミングとの関係が示されている。
この図に示されるように、このレーザ誘起型火花放電点火装置910では、不図示の制御装置等によって制御されることにより、中心電極16及び接地電極18間の印加電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間の期間Tにレーザ光源24(図1参照)からレーザ光が複数回発振されてレーザブレークダウンプラズマ26が複数回形成される。
つまり、図23では、一例として、期間T内における第一のタイミングt1で第一回目のレーザ光が発振され、期間T内における第二のタイミングt2で第二回目のレーザ光が発振されている。
なお、期間T内におけるレーザ光の発振回数は、2回以上10回以下が好適である。また、第二回目以降のレーザ光の発振間隔は10μs以上10ms以下が好適である。
次に、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810の作用及び効果について説明する。
図15(A)に示されるように、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間に第一回目のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせることで中心電極16及び接地電極18間に火花放電32を誘起させた場合でも、例えば、図15(B)に示されるように、内燃機関のシリンダ内に気流等が生じる場合には、この火花放電32が内燃機関内の気流等によって湾曲されてしまい、結果的に放電経路が長くなることで、図15(C)に示される如く火花放電32が吹き消えてしまうことが想定される。
この点、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置810によれば、上述のように、中心電極16及び接地電極18間の電圧が印加開始電圧から絶縁破壊電圧に達するまでの間にレーザブレークダウンプラズマ26を複数回生じさせるので、例えば、図15(A)に示される第一回目のレーザブレークダウンプラズマ26によって誘起された火花放電32が消えてしまっても(若しくは火花放電32の誘起に失敗してしまっても)、図15(D)に示される第二回目(若しくは第二回目以降)のレーザブレークダウンプラズマ26によって火花放電32を再び誘起させることができる。これにより、着火性を向上することができる。
なお、上記以外の作用及び効果については、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10と同様であるので、その説明は本発明の第一実施形態を参照することとして省略する。
次に、本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910の変形例について説明する。
本発明の第十実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置910では、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10に対し、レーザ光源24(図1参照)から発振されるレーザ光23の回数が変更されていていたが、上述の本発明の第二実施形態乃至第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置に対し、レーザ光源24(図1参照)から発振されるレーザ光23の回数が変更されていても良いことは勿論である。
[第一応用例]
次に、本発明の第一応用例について説明する。
上述の本発明の第一実施形態乃至第九実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置において、光学系28と点火栓12とは、別々に設けられていたが、一体的に設けられていても良い。
ここで、図16,図17には、本発明の第一応用例が示されている。例えば、図16に示されるように、上述の本発明の第三実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置210において、光学系28と点火栓12とは、一体的に設けられていても良い。
また、図17に示されるように、上述の本発明の第七実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置610の変形例(図10参照)において、光学系28と点火栓12とは、一体的に設けられていても良い。
このようにすれば、配置スペースの省略化や配置構造の簡略化を図ることができる。
[第二応用例]
次に、本発明の第二応用例について説明する。
図18には、本発明の第二応用例が示されている。例えば、この図に示されるように、上述の本発明の第一実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置10において、点火栓12が第一電極部36及び第二電極部38を備える構成とされると共に、内燃機関40のピストン42のストローク方向(Z方向)に対する直交方向(X方向)と中心電極16及び接地電極18間を結ぶ方向とが平行となるように中心電極16及び接地電極18が配置され、且つ、レーザユニット14が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上にレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
なお、この場合に、レーザユニット14は、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
このようにすれば、ピストン42のストローク方向(Z方向)に対する直交方向(X方向)に沿って火花放電32を形成することができるので、ピストン42のストローク方向に対する直交方向に沿って火炎核を形成することができる。
[第三応用例]
次に、本発明の第三応用例について説明する。
図19には、本発明の第三応用例が示されている。例えば、この図に示されるように、上述の本発明の第五実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置410において、点火栓12が第一電極部36及び第二電極部38を備える構成とされると共に、レーザユニット14が、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線Lよりも内燃機関40におけるピストン42側で、且つ、火花放電32が各レーザブレークダウンプラズマ26を経由する位置に、複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
なお、この場合に、レーザユニット14は、中心電極16及び接地電極18間を結ぶ線L上に一つのレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
このようにすれば、中心電極16及び接地電極18をピストン42からストローク方向(Z方向)に離して配置した場合でも、火花放電32をピストン42に近づけた位置で形成することができる。
[第四応用例]
次に、本発明の第四応用例について説明する。
図20には、本発明の第四応用例が示されている。例えば、この図に示されるように、上述の本発明の第四実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置310において、中心電極16及び接地電極18が、内燃機関40における燃料噴射領域Aから外れた位置に配置され、レーザユニット14が、燃料噴射領域A内で、且つ、火花放電32がレーザブレークダウンプラズマ26を経由する位置に、レーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
なお、この場合に、レーザユニット14は、燃料噴射領域A内で、且つ、火花放電32が各レーザブレークダウンプラズマ26を経由する位置に、複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる構成とされていても良い。
このようにすれば、例えば直噴ガソリンエンジン等の内燃機関40において、燃料噴射領域Aから外れた位置に中心電極16及び接地電極18を設定した場合でも、燃料噴射領域A内に火花放電32を生じさせることができるので、点火位置を着火に最適な混合気中に設定することができる。
[第五応用例]
次に、本発明の第五応用例について説明する。
図21には、本発明の第五応用例が示されている。例えば、この図に示されるように、上述の本発明の第八実施形態に係るレーザ誘起型火花放電点火装置710において、レーザユニット14が、図示しない制御装置等によって制御されることにより、レーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を、車両の運転状況(例えば、エンジン回転数等)に応じて変更可能とされていても良い。
なお、この場合に、レーザユニット14は、複数のレーザブレークダウンプラズマ26を生じさせると共に、各レーザブレークダウンプラズマ26を生じさせる位置を、車両の運転状況(例えば、エンジン回転数等)に応じて変更可能とされていても良い。
このようにすれば、点火位置を車両の運転状況に応じて最適な位置に制御することができる。