JP2006063829A - レーザ点火装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンのトータルとしての熱効率の向上を図ることができるレーザ点火装置を提供する。
【解決手段】 まず、スロットルセンサにおいて、エンジン負荷を算出する(S200)。具体的には、スロットルセンサの信号をエンジンECUに出力し、このスロットルセンサの開閉レベルをエンジン負荷とする。そして、エンジンECUは、スロットルセンサで検出したスロットルセンサの開閉レベルが高いか、すなわちエンジン負荷が高負荷であるか否かを判定する(S210)。エンジンが高負荷でない場合には、点火数を変更しないことで、点火に必要なエネルギーを押さえて燃費を向上させる。一方、エンジン負荷が高い場合には、第1および第2レーザを照射することで燃焼室における点火数を増やし、火炎伝播速度を向上させる(S220)。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両のエンジンにおいてエンジンの燃焼室に導入される可燃混合気の点火をレーザによって行うレーザ点火装置に関する。
従来より、車両のエンジンの点火装置として、レーザを用いたレーザ点火装置が考えられている。このようなレーザ点火装置においては、レーザから照射されたレーザ光をレンズにてエンジンの燃焼室内に集光し、点火および燃焼させる。このとき、燃焼室内におけるレーザ光の焦点の数、すなわち着火源の数が多いほど、着火性が向上すると共に着火後の火炎伝播速度が向上する。これにより、エンジンの効率を高めることができると考えられる。
そこで、複数のレーザ光を燃焼室内に照射し、複数の着火点にて点火する点火装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この点火装置においては、エンジンの気筒ごとに複数のレーザを設置し、それぞれのレーザからレーザ光を燃焼室内に照射して集光することにより、点火数を増やしている。
特開昭55−81272号公報
しかしながら、上記従来の技術では、エンジンの気筒ごとに複数のレーザを設置することで点火数を増やしているが、エンジン条件に応じた点火数や点火エネルギーは制御されていない。ここで、エンジン条件とは、エンジンの回転数やスロットル開閉レベル等のエンジン状態を示すパラメータを指す。
このため、例えばエンジンに対する負荷が比較的低い状態、すなわち吸入空気量が少ない場合や吸気管圧力が低い場合において、燃焼室内における点火数を増加させると、火炎伝播速度向上により熱効率は向上するが、点火に必要な点火エネルギーも増大してしまう。したがって、無駄な点火エネルギーを消費することとなり、エンジンのトータルの熱効率が低下する可能性がある。
逆に、エンジンに対する負荷が高い状態、すなわち吸入空気量が多い状態や吸気管圧力が高い状態において点火数が少ない場合や1点当たりの点火エネルギーが低い場合には、点火しない可能性がある。
本発明は、上記点に鑑み、車両のエンジンの燃焼室内にレーザ光を導くと共に集光することで点火を行うにあたり、エンジン条件に応じてエンジンを点火させることができ、エンジンのトータルの熱効率向上を図ることができるレーザ点火装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、入射されたレーザ光を燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、検出手段にて検出されたエンジン条件に基づき、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動することで燃焼室における点火数を変更する制御手段(40)と、を有することを特徴としている。
このように、エンジン条件を検出し、このエンジン条件に基づき点火数を変更する。これにより、エンジン条件に合った点火数を変更することができる。具体的には、エンジンが駆動しやすい状態にある時には、点火数を減らすことで無駄なエネルギーを削減することができる。逆に、エンジンが駆動しにくい状態にある時には、点火数を増やすことでエンジンを駆動させやすくし、スムーズなエンジン駆動を実現することができる。このように、エンジン条件に応じた点火数制御を行うことで、エンジンのトータルの熱効率、ひいてはエンジンの燃費を向上させることができる。
請求項2に記載の発明では、検出手段は、エンジン条件としてエンジン負荷を検出するようになっており、制御手段は、エンジン負荷が高い場合には、エンジン負荷が低い場合よりも点火数を増やすように、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジン負荷に応じて点火数を増減させる。すなわち、エンジン高負荷時にはエンジン低負荷時よりも点火数を増加させることで、火炎伝播速度を向上させることができ、ひいてはノッキングを回避することができる。また、エンジン低負荷時には、点火数を減らすことで、火炎伝播速度を確保しつつ、最低限の点火エネルギーにて点火することができる。したがって、エンジン負荷に応じて点火数を増減させることで、トータルの熱効率を控除させることができ、ひいては燃費を向上させることができる。
請求項3に記載の発明では、レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、レーザ光照射ユニットにおいては、第1レーザまたは第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、制御手段は、エンジン負荷が高い場合には、第1レーザおよび第2レーザからそれぞれレーザ光を照射し、エンジン負荷が低い場合には、第1レーザおよび第2レーザのうちいずれか一方からレーザ光を照射するようになっていることを特徴としている。
このように、検出手段にて検出されるエンジンのエンジン負荷(例えば、エンジンにおけるスロットルバルブの開閉レベル、吸入空気量、吸気管内の圧力)に基づき、第1レーザおよび第2レーザの照射を制御する。このとき、エンジンが高負荷の場合には、第1および第2レーザを照射して燃焼室における点火数を増やす。これにより、燃焼室内における火炎伝播速度を向上させることができる。一方、エンジンが低負荷の場合には、第1レーザ、第2レーザのうちいずれか一方を照射することで点火数を減らす。これにより、少ない点火数にて点火を行うので燃費を向上させることができる。
以上のように、エンジンのエンジン負荷を検出し、このエンジン負荷のレベルに応じて点火数を増減させることにより、エンジンのトータルの熱効率を向上させることができる。
請求項4に記載の発明では、レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、入射されたレーザ光を燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、検出手段にて検出されたエンジン条件に基づき、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動する制御手段(40)と、を有し、検出手段は、エンジン条件に基づき燃焼室内における着火性を検出するようになっており、制御手段は、着火性が高い場合には、着火性が低い場合よりも点火エネルギーを低く、もしくは点火数を減らす、もしくはその両方の制御を実施するように、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンの燃焼室内における着火性に応じて、点火エネルギー、点火数を制御する。これにより、着火性が高い時には点火エネルギーを低くすることや点火数を減らすことで、最小限のエネルギーで点火することができる。一方、着火性が低い時には点火エネルギーを高くすることや点火数を増やすことで着火性を向上させることができ、スムーズな点火を行うことができる。このような着火性に応じた点火エネルギー制御を行うことで、エンジンの燃費を向上させることができる。
請求項5に記載の発明では、レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、レーザ光照射ユニットにおいては、第1レーザまたは第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、検出手段は、エンジンの失火を検出する失火検出手段を備え、この失火検出手段は、エンジンのエンジン回転数、エンジンの排気管(162)内の排気温度、エンジンの吸気管(152)内の圧力のうち少なくともいずれか1つを検出し、検出したエンジン回転数、排気管内の排気温度、吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ出力するようになっており、制御手段は、エンジン回転数、排気管内の排気温度、吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ入力すると共に、これらの信号に基づき、エンジン回転数、排気管内の排気温度、吸気管内の圧力のうち少なくともいずれか1つの値を求め、求めた値と失火を判定するためのしきい値とを比較し、求めた値がしきい値を超える場合には、エンジンに失火が起こっていると判定し、第1レーザおよび第2レーザを照射することで、エンジンに失火が起こっていると判定した時よりも燃焼室における点火数を増やすようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンの失火が起こる際に生じる物理量の変化、すなわち、エンジン回転数、排気管内の排気温度、吸気管内の圧力のうち少なくともいずれか1つに基づき、エンジンの失火を判定し、失火が起こったときには失火が検出されたときよりも点火数を増加させる。これにより、燃焼室内における着火点数を増やし、着火しやすくさせる。したがって、エンジンの失火を回避することができる。
請求項6に記載の発明では、制御手段は、エンジンに失火が起こっていると判定すると、第1レーザおよび第2レーザのいずれか一方、または両方のレーザ光強度を上げて照射するように、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンに失火が起こった場合、第1レーザおよび第2レーザのいずれか一方、または両方のレーザ強度を上げる。これにより、点火点における点火エネルギーを増大させることができ、着火性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明では、検出手段は、エンジンの冷却水の水温を検出する水温検出手段と、エンジンの吸気管内の圧力を検出する吸気管圧力検出手段と、を備え、これら水温検出手段および吸気管圧力検出手段にてそれぞれ検出した水温および吸気管内の圧力に応じた信号を出力するようになっており、制御手段は、水温および吸気管内の圧力に応じて点火に必要な点火エネルギーを導く三次元マップを有しており、水温および吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ入力すると共に、これらの信号に基づき水温および吸気管内の圧力の値を求め、求めた水温および吸気管内の圧力のそれぞれの値を三次元マップに代入して点火エネルギーを導き、燃焼室内における点火点の点火エネルギーが求めた点火エネルギーとなるように、第1レーザおよび第2レーザを照射するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンの状態、すなわちエンジンの冷却水の水温および吸気管内の圧力の値を三次元マップに代入して点火に必要な点火エネルギーを求める。この三次元マップは、エンジンの冷却水の水温および吸気管内の圧力が高いほど点火エネルギーが低く、エンジンの冷却水の水温および吸気管内の圧力が低いほど点火エネルギーが高くなるように設定されている。したがって、水温および吸気管内の圧力が高いほど、燃焼室内における着火性が向上するため、点火に必要な点火エネルギーを低減することができる。同様に、水温および吸気管内の圧力が低いほど、燃焼室内における着火性が悪くなるため、点火に必要な点火エネルギーを上げて着火性を向上させることができる。
このようにして、エンジンの状態に応じた点火エネルギー制御を行うことにより、エンジンの燃費を向上させることができる。なお、エンジンの冷却水の水温に替えて、吸気管内の吸気温度としても良い。
請求項8に記載の発明では、レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、入射されたレーザ光を燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、検出手段にて検出されたエンジン条件に基づき、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動する制御手段(40)と、を有し、制御手段は、エンジンの始動時には、エンジンを通常運転させる場合よりも点火エネルギーを高く、もしくは点火数を増やす、もしくはその両方の制御を実施するように、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジン始動時には、点火エネルギーを高くする。これにより、エンジン始動時の着火性を向上させることができ、スムーズなエンジン始動を実現することができる。したがって、エンジン始動時にエネルギーを無駄にすることなくエンジンを始動させることができ、燃費を向上させることができる。
請求項9に記載の発明では、レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、レーザ光照射ユニットにおいては、第1レーザまたは第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、検出手段は、エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、イグニッションスイッチのオン状態検出するイグニッションオン検出手段と、イグニッションスイッチのスタート状態を検出するイグニッションスタート検出手段と、を備え、エンジン回転数検出手段は、エンジンのエンジン回転数に応じた信号を出力し、イグニッションオン検出手段は、イグニッションスイッチのオン状態に応じた信号を出力し、イグニッションスタート検出手段はイグニッションスイッチのスタート状態に応じた信号を出力するようになっており、制御手段は、イグニッションオン検出手段からオン状態に応じた信号を入力すると共に第1レーザおよび第2レーザをスタンバイし、イグニッションスタート検出手段からスタート状態に応じた信号を入力すると第1レーザおよび第2レーザからそれぞれレーザ光を照射してエンジンを始動させ、この後、エンジン回転数検出手段にて検出されたエンジン回転数に応じた信号を入力すると共に、この信号に基づきエンジン回転数を求め、求めたエンジン回転数が所定エンジン回転数を超えた場合にはエンジンの始動が完了したと判定し、第1レーザおよび第2レーザのうちいずれか一方を照射停止するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンの始動時において、第1レーザおよび第2レーザをスタンバイしておき、エンジン始動後に第1レーザまたは第2レーザを照射停止する。これにより、エンジン始動の際には、第1および第2レーザを照射することで点火数、すなわち着火点数を増やして着火させやすくすることができる。したがって、エンジンの始動性を向上させることができる。
また、上述のように、エンジン始動後においては、第1および第2レーザのうち一方を照射停止する。これにより、エンジン始動時よりも点火数を減らしているので、燃費を向上させることができる。なお、エンジン始動後、所定時間が経過したか否かを判定することにより、エンジンが始動完了したか否かを判定するようにしても良い。
請求項10に記載の発明では、制御手段は、エンジンの始動が完了しないと判定すると、エンジンの始動が終了したと推定される所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したと判定すると、第1レーザおよび第2レーザの両方またはいずれか一方のレーザ光強度を上げて照射するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジン始動後において、エンジンの始動が完了したと推定される所定時間が経過してもエンジンの始動が完了しないと判定されると、燃焼室における点火数の数が増加されて点火される。これにより、着火性を向上させることができ、エンジンを始動させやすくすることができる。
請求項11に記載の発明では、レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、レーザ光照射ユニットにおいては、第1レーザまたは第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、検出手段は、エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、イグニッションスイッチのオン状態検出するイグニッションオン検出手段と、イグニッションスイッチのスタート状態を検出するイグニッションスタート検出手段と、を備え、エンジン回転数検出手段は、エンジンのエンジン回転数に応じた信号を出力し、イグニッションオン検出手段は、イグニッションスイッチのオン状態に応じた信号を出力し、イグニッションスタート検出手段はイグニッションスイッチのスタート状態に応じた信号を出力するようになっており、レーザ光照射ユニットは、第1レーザから照射されるレーザ光を複数のレンズにて燃焼室に導く第1複眼レンズ(18)を有すると共に、第1レーザから照射されるレーザ光の光路を変更する光路変更ミラー(61〜63)と、光路変更ミラーを介して導かれるレーザ光を燃焼室に一つの焦点として導く単眼レンズ(67)と、を有し、制御手段は、イグニッションオン検出手段からオン状態に応じた信号を入力すると第1レーザをスタンバイし、レーザ光照射ユニットを駆動して第1レーザのレーザ光の光路上に光路変更ミラーを配置して第1レーザから照射されるレーザ光を単眼レンズに導くようにした後、エンジン始動検出手段からスタート信号を入力すると第1レーザからレーザ光を照射し、光路変更ミラーを介して単眼レンズからレーザ光を集光することで点火すると共にエンジンを始動させ、この後、エンジン回転数検出手段にて検出されたエンジン回転数に応じた信号を入力すると共に、この信号に基づきエンジン回転数を求め、求めたエンジン回転数が所定エンジン回転数を超えた場合にはエンジンの始動が完了したと判定し、レーザ光照射ユニットを駆動して光路変更ミラーを第1レーザのレーザ光の光路から外し、第1レーザから照射されるレーザ光を第1複眼レンズに導くようになっていることを特徴としている。
このように、第1レーザから照射されるレーザ光が第1複眼レンズにて複数の焦点として燃焼室に導かれる場合であって、エンジンを始動させる際には、レーザ光を光路変更ミラーにて単眼レンズに導く。そして、エンジンの負荷の大きさに関係なく、レーザ光の焦点を1つ、すなわち着火点を1つとすることで、着火点における点火エネルギーを増大させる。これにより、エンジン始動の際に、着火性を向上させることができ、エンジンの始動性を向上させることができる。
なお、第2レーザから照射されるレーザ光を燃焼室に導くレンズを複眼レンズとし、エンジン始動時には第2レーザのレーザ光を光路変更ミラーにて単眼レンズに導くようにしても良い。
エンジン始動後においては、第1レーザ21から照射されるレーザ光を第1複眼レンズに導くことで点火数を増加させ、点火に必要なエネルギーを押さえつつ、火炎伝搬速度を向上させ、ひいてはエンジンのトータルの熱効率を向上させることができる。
請求項12に記載の発明では、制御手段は、エンジンの始動が完了しないと判定すると、エンジンの始動が終了したと推定される所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過したと判定すると、レーザ光照射ユニットを駆動して光路変更ミラーを第1レーザのレーザ光の光路上に配置しレーザ光を単眼レンズに導くか、または、第1レーザおよび第2レーザの両方またはいずれか一方のレーザ光強度を上げて照射するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジン始動後において、エンジンの始動が完了したと推定される所定時間が経過してもエンジンの始動が完了しないと判定されると、燃焼室における点火数の数が増加されて点火されるか、1点火点で点火される。これにより、着火性を向上させることができ、エンジンを始動させやすくすることができる。
請求項13に記載の発明では、レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、入射されたレーザ光を燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、検出手段にて検出されたエンジン条件に基づき、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動することで燃焼室における点火数を変更する制御手段(40)と、を有し、検出手段は、エンジンのノッキングを検出するようになっており、制御手段は、エンジンのノッキングが検出された場合、ノッキングが検出される前よりも点火数を増やすように、レーザ光照射手段およびレーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンのノッキングに応じて点火数を変更する。これにより、エンジンのノッキングが生じた際には点火数を増やすことでノッキングを回避することができる。このような制御により、エンジンの燃費向上を図ることができる。
請求項14に記載の発明では、レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、レーザ光照射ユニットにおいては、第1レーザまたは第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、検出手段は、エンジンのノッキングを検出するノッキング検出手段を備えており、このノッキング検出手段は、エンジンの振動を検出し、この振動に応じた信号を出力するようになっており、制御手段は、エンジンのノッキングを示すノッキング周波数帯を有しており、振動に応じた信号を入力すると共に、この振動に応じた信号に基づきエンジンの振動の周波数を求め、求めた周波数がノッキング周波数帯に含まれる場合には、エンジンにノッキングが起こっていると判定し、第1レーザおよび第2レーザを照射することで、エンジンにノッキングが起こっていると判定した時よりも燃焼室における点火数を増やすようになっていることを特徴としている。
このように、エンジンのノッキングを検出し、エンジンがノッキングを起こしていると判定したときには、ノッキングが検出されたときよりも点火数を増加させる。これにより、火炎伝播速度を向上させることができる。このため、ノッキングが起こる際に生じる燃焼室内における異常な圧力上昇を回避でき、ひいてはノッキングを回避することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。限定するものではないが、本実施形態に係るレーザ点火装置は、例えばポート噴射エンジンや筒内直接エンジンに適用される。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ点火装置の概略ブロック図である。図1に示されるように、レーザ点火装置は、レーザ照射ユニット10と、第1レーザ21と、第2レーザ22と、第1ドライバ31と、第2ドライバ32と、エンジンECU40と、センサ部50と、を備えて構成されている。
レーザ照射ユニット10は、エンジン100のシリンダヘッド110に設置され、後述する第1および第2レーザ21、22から照射されるレーザ光をエンジン100の燃焼室120に導くものである。このようなレーザ照射ユニット10は、第1ミラー11と、第2ミラー12と、ケース13と、第1両凹レンズ14と、第2両凹レンズ15と、第1平凸レンズ16と、第2平凸レンズ17と、第1複眼レンズ18と、第2複眼レンズ19と、を備えて構成されている。
第1および第2ミラー11、12は、第1および第2レーザ21、22から照射されるレーザ光をケース13内に導くものである。このケース13は筒形状であり、ケース13の一端側に第1および第2両凹レンズ14、15が備えられ、ケース13の内部に第1および第2平凸レンズ16、17が収納され、ケース13の他端側に第1および第2複眼レンズ18、19が備えられている。
第1および第2両凹レンズ14、15は、入射する光を発散させて射出するレンズである。第1および第2平凸レンズ16、17は、入射する光を集光して平行波として射出するレンズである。第1および第2複眼レンズ18、19は、焦点位置の異なる複数のレンズをそれぞれ備えており、入射する光をそれぞれ異なる焦点位置に導くものである。この焦点が、燃焼室120内における点火点(着火点)となる。
上記のように第1および第2複眼レンズ18、19にて第1および第2レーザ21、22から照射されるレーザ光が分割され集光される様子を図2に示す。図2は、エンジン100のシリンダ130内にて往復運動するピストン140側からシリンダヘッド110側を見た図である。なお、図2では、吸気用バルブ151および排気用バルブ161を省略してある。
図2に示されるように、第1および第2複眼レンズ18、19には、それぞれ4つのレンズが形成されており、それぞれのレンズの焦点位置が燃焼室120の任意の位置に配置されるようになっている。具体的には、それらの焦点は、所定の径を有する円CIの周上に位置する。したがって、例えば第1レーザ21からのレーザ光のみが燃焼室120に導かれるようになっている場合にも、第1複眼レンズ18の4つの焦点が上記円CIの周上に配置されることとなり、点火点が偏らないようになっている。第2レーザ22の場合も同様である。以上が、レーザ照射ユニット10の構成である。
このような構成を有するレーザ照射ユニット10においては、図1に示されるように、ケース13の他端側がエンジン100のシリンダヘッド110に一体とされている。
そして、第1レーザ21から照射されたレーザ光は、第1ミラー11にて反射してケース13の一端側に導かれ、第1両凹レンズ14に入射した後、発散されると共に第1平凸レンズ16にて再び平行波とされ、第1複眼レンズ18に入射されると共に燃焼室120のそれぞれ異なる4箇所に分割されて集光される。
同様に、第2レーザ22から照射されたレーザ光は、第2ミラー12にて反射してケース13の一端側に導かれ、第2両凹レンズ15に入射した後、発散されると共に第2平凸レンズ17にて再び平行波とされ、第2複眼レンズ19に入射されると共に燃焼室120のそれぞれ異なる4箇所、詳しくは第1複眼レンズ18の焦点位置以外の位置に分割されて集光される。このようにして、レーザ光が燃焼室120に照射される。
第1および第2レーザ21、22は、レーザ光を発する周知のレーザ光源である。これら第1および第2レーザ21、22から照射されたレーザ光は、それぞれ上記レーザ照射ユニット10の第1および第2ミラー11、12に導かれる。
第1および第2ドライバ31、32は、第1および第2レーザ21、22を照射できるようにスタンバイさせ、それぞれのレーザ21、22からレーザ光を照射させるものである。具体的には、第1および第2ドライバ31、32は、エンジンECU40から入力されるレーザ光照射信号を受けると、そのレーザ光照射信号に基づくレーザ光照射タイミング(すなわち点火タイミング)にてレーザ光が照射されるように各レーザ21、22からレーザ光を照射させる。
なお、第1レーザ21および第1ドライバ31を組み合わせて第1レーザ21としても良い。言い換えると、第1レーザ21に第1ドライバ31を内蔵しても良い。同様に、第2レーザ22および第2ドライバ32を組み合わせて第2レーザ22としても良い。また、第1レーザ21、第1ドライバ31、第2レーザ22、第2ドライバ32は、本発明のレーザ光照射手段に相当する。
エンジンECU40は、エンジン100の状態によって燃焼室120における点火数や点火エネルギーを制御するものであり、CPUやメモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータである。このようなエンジンECU40は、車両の始動時における点火数の制御、エンジン負荷に応じた点火数の制御、燃焼室120の失火に応じた点火数の制御、ノッキングに対する点火数の制御、エンジン状態に応じた点火エネルギーの制御を行う。これら制御については、後で詳しく説明する。なお、エンジンECU40は本発明の制御手段に相当する。
センサ部50は、エンジン状態を検出するセンサ群である。このようなセンサ部50は、イグニッションセンサと、吸気管圧力センサと、エンジン回転数センサと、スロットルセンサと、吸入吸気量センサと、ノックセンサと、水温センサと、油温センサと、吸気管温度センサと、排気管温度センサと、を備えて構成されている。なお、これらセンサ群は、それぞれが所望の位置に設置され、それぞれのセンサにて検出された信号がそれぞれエンジンECU40に出力される。なお、センサ部50は本発明の検出手段に相当する。
イグニッションセンサは、車両のイグニッションスイッチのオンまたはオフを監視するセンサである。キーがキーシリンダに差し込まれ、キーが回されることによってイグニッションスイッチがオンにされると、オン信号がエンジンECU40に出力される。同様に、イグニッションスイッチがスタートにされると、スタート信号がエンジンECU40に出力される。
このように、イグニッションセンサは、イグニッションスイッチのオン状態を検出するイグニッションオン検出手段と、イグニッションスイッチのスタート状態を検出するイグニッションスタート検出手段とを備えていると言える。
吸気管圧力センサは、エンジン100の吸気管152の内部圧力を検出する周知の圧力センサである。このような圧力センサにおいては、圧力検出部としての肉薄のダイヤフラムを有するセンサチップにて圧力媒体(吸入空気)の圧力を検出し、その圧力に応じたレベルの電気信号をエンジンECU40に出力する。エンジンECU40は、吸気管圧力センサから入力される電気信号を圧力値に換算することで、吸気管152の内部の圧力を得る。なお、吸気管圧力センサは、本発明の吸気管圧力検出手段に相当する。
エンジン回転数センサは、エンジン100のエンジン回転数を検出する周知のものである。このようなエンジン回転数センサは、例えばリングギア(またはロータ等)の回転に応じたパルス信号を発生し、エンジンECU40に出力する。そして、エンジンECU40は、エンジン回転数センサから入力されたパルス信号をエンジン回転数に換算することで、エンジン回転数を得る。なお、エンジン回転数センサは、本発明のエンジン回転数検出手段に相当する。
スロットルセンサは、吸気管152の内部に備えられ、燃焼室120に送り込む空気(混合気)の量を調整するスロットルバルブの開閉レベルを検出するものである。このスロットルセンサにて検出されたスロットルバルブの開閉レベルを示す信号がエンジンECU40に出力される。
吸入吸気量センサは、吸気管152内に吸入する空気量を検出するセンサであり、吸気管152内に設置されている。この吸入吸気量センサにおいては、吸気管152内部を流れる空気の流量に基づき、吸入空気量が検出され、エンジンECU40に出力される。
ノックセンサは、エンジン100のノッキング(過早着火)を検出するセンサであり、振動体および振動体の振動を電気信号に変換するピエゾ素子を備えて構成されている。エンジン100が稼動した状態でノッキングが発生すると、ノックセンサの振動体がノッキングに応じた特徴的な周波数で振動する。
つまり、ノックセンサはエンジン100の振動を検出し、振動に応じた電気信号をエンジンECU40に出力する。そして、エンジンECU40は、上記ノックセンサから電気信号を入力して周波数に変換する。エンジンECU40には、あらかじめノッキングをあらわすノッキング周波数帯が記憶されており、ノックセンサにて得られた周波数があらかじめ記憶されたノッキング周波数帯に含まれるか否かをモニタする。なお、ノックセンサは、本発明のノッキング検出手段に相当する。
水温センサは、エンジン100を冷却する冷却水の温度を測定する温度センサであり、冷却水経路の所望の位置に設置されている。油温センサは、エンジン100の内部において各部品を潤滑するための油の温度を検出するものである。これら水温センサおよび油温センサにて検出された信号はエンジンECU40に出力され、エンジンECU40にて水温、油温に変換される。これら水温および油温センサは、例えばサーミスタにて構成される。なお、水温センサは、本発明の水温検出手段に相当する。
排気管温度センサは、エンジン100の排気管162内の温度を測定するものであり、例えばサーミスタにて構成される周知の温度センサである。これら排気管温度センサにおいては、その温度検出部がエンジン100の排気管162内に露出するように排気管162に設置される。排気管温度センサにて検出された信号はエンジンECU40に出力され、エンジンECU40にて温度に変換される。なお、この排気管温度センサと、上記したエンジン回転数センサ、そして吸気管圧力センサは、本発明の失火検出手段に相当する。
以上が、本実施形態に係るレーザ点火装置の構成である。なお、上記構成は、エンジンECU40やノックセンサ、水温センサ等、1つのエンジン100に対して共通とすることができる構成要素を除いてそれぞれ気筒ごとに用意される。続いて、上記レーザ点火装置のエンジンECU40が行う点火数の制御、点火エネルギーの制御について説明する。
まず、エンジン100の始動時における点火数の制御について説明する。エンジン100を始動させる際には、燃焼室120における点火数を増やすことで着火性を向上させ、エンジン100をスムーズに始動させる。このことについて図3を参照して説明する。図3は、エンジン100の始動時における点火数の制御内容を示したフローチャートである。このフローチャートは、エンジンECU40に電源が供給されると開始される。
ステップS100では、イグニッションスイッチ(以下、IGと記す。)がオンとされたか否かが判定される。すなわち、搭乗者によってキーがキーシリンダに差し込まれ、キーが回されることによりIGがオンとされたか否かが判定される。これは、イグニッションスイッチから出力されるオン信号がエンジンECU40に入力されたか否かを判定することによりなされる。
そして、IGのオン信号がエンジンECU40に入力され、IGがオンとされたと判定されると、ステップS110に進む。IGのオン信号が入力されない場合にはステップS100に戻り、再びIGのオン信号が入力されたか否かを判定する。
ステップS110では、第1レーザ21および第2レーザ22の照射準備がなされる。つまり、第1および第2ドライバ31、32が稼動され、第1および第2レーザ21、22からレーザ光を照射できるようにする。
ステップS120では、IGがスタートとされたか否かが判定される。すなわち、キーが回されてIGが「START(ST)」とされたか否かが判定される。これは、IGからエンジンECU40にスタート信号が入力されたか否かを判定することによりなされる。
そして、IGのスタート信号がエンジンECU40に入力されたと判定されるとステップS130に進む。一方、IGのスタート信号がエンジンECU40に入力されない場合にはステップS120に戻り、再びIGがスタートとされたか否かが判定される。
ステップS130では、エンジン100が始動される。具体的には、第1および第2レーザ21、22からレーザ光を照射するためのレーザ光照射信号がエンジンECU40から第1および第2ドライバ31、32に出力される。そして、レーザ光照射信号が入力された第1および第2ドライバ31、32によって第1および第2レーザ21、22からレーザ光が照射される。
このように、第1および第2レーザ21、22からそれぞれレーザ光を照射し、燃焼室120内における点火数を増やしてエンジンを始動させやすくする。
ステップS140では、エンジン始動完了したか否かが判定される。つまり、本ステップにおいては、ステップS130にてエンジン100が始動された後、エンジン回転数が所定回転数に達したか否かが判定される。つまり、エンジン100が始動され、しばらくするとエンジン回転数が一定となってエンジン100が安定して稼動するため、エンジン回転数センサにて検出したエンジン回転数をモニタすることにより、エンジン100の始動が完了したか否かを判定できる。したがって、エンジン回転数が所定回転数に達した場合には、エンジン100の始動は完了したと判定され、ステップS150に進む。一方、エンジン回転数が所定回転数に達しない場合には、再びステップS130に戻り、エンジン100を始動する。
なお、本ステップにおいては、エンジン回転数をモニタすることによりエンジン100の始動が完了したか否かを判定しているが、ステップS130にてエンジン100を始動した後、所定時間後にエンジン100の始動が完了したと判定してもよい。
ステップS150では、第2レーザ22の照射が停止される。上記ステップS140にてエンジン100の始動が完了したと判定されたので、エンジン100を始動させるための多くの点火数は必要なくなる。したがって、第1および第2レーザ21、22のうち、第2レーザ22のレーザ光照射を停止する。これは、エンジンECU40から第2ドライバ32に第2レーザ22を停止する旨の信号が出力され、この信号が入力された第2ドライバ32にて第2レーザ22のレーザ光照射が停止されることによりなされる。なお、第1レーザ21を照射停止としても良い。
以上のようにして、エンジン100の始動時における点火数、すなわち着火点数を増加させる。このようにして、エンジン100の始動性を向上させる。
続いて、エンジン100の始動後における点火数または点火エネルギーの制御について説明する。
まず、エンジン100にかかる負荷によって点火数を変更し、エンジン100の出力を上げる作動について説明する。そこで、エンジン100にかかる負荷について説明しておく。エンジン100では、吸気された空気が吸気管152から吸気用バルブ151を介して燃焼室120に送り込まれる。このとき、吸気管152内の圧力や吸入吸気量が多いほど、エンジン100にかかる負荷が大きくなる。
ここで、点火数と火炎伝播速度との関係、点火数と必要点火エネルギーとの関係を図4に示す。なお、必要点火エネルギーとは、点火に必要なエネルギーを指す。
点火数と火炎伝播速度との関係においては、点火数が1〜4の場合、火炎伝播速度は急激に増加し、点火数が4を超えるとほぼ一定となる。一方、点火数と必要点火エネルギーとの関係においては、点火数が増えるほど点火に必要なエネルギーは増大する。すなわち、エンジン100の負荷が低いかまたは中程度の場合には、必要点火エネルギーが低くても火炎伝播速度が高い点火数(3〜5点)とすることで燃費向上を図る。一方、エンジン100の負荷が高い場合には、点火に必要なエネルギーは高くなるが、高い火炎伝播速度を確保して熱効率を上げ、ひいてはノッキングの回避を図る。
以下、図5を参照して、点火数の制御について説明する。図5は、エンジン100の負荷による点火数制御の内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、上記図3に示されるフローチャートが終了した後、実行される。
ステップS200では、エンジン100の負荷が算出される。具体的には、センサ部50のスロットルセンサの信号がエンジンECU40に入力される。本実施形態では、このスロットルセンサの開閉レベルをエンジン100の負荷のレベルとみなし、スロットルセンサの値が最大の場合(スロットルバルブが全開の状態)をエンジン100の負荷が最大になっているとする。そして、スロットルセンサにより、スロットルバルブの開閉レベルが検出され、その信号がエンジンECU40に入力される。
なお、このエンジン100の負荷は、吸入空気量センサによって検出される吸入空気量や、吸気管圧力センサによって検出される吸気管152内の圧力値に基づき、エンジン100にかかる負荷を算出するようにしても良い。
ステップS210では、エンジン100が高負荷になっているか否かが判定される。これは、上記ステップS200にて検出されたスロットルセンサの値に基づき判定される。すなわち、スロットルバルブが全開になっている状態を100%としたとき、スロットルバルブが50%開いている場合の値をしきい値とする。そして、スロットルセンサにて検出された値がこのしきい値を超える(スロットルバルブが50%以上開いている)場合にはステップS220に進む。一方、スロットルセンサにて検出された値がこのしきい値を超えない場合にはステップS200に戻り、再びエンジン100の負荷が算出される。
ステップS220では、点火数が増加される。すなわち、第1レーザ21のみで点火されていた状態に、第2レーザ22による点火を加えることで、点火数が増やされる。これは、エンジンECU40から第2ドライバ32にレーザ光照射信号が出力され、第2ドライバにて第2レーザ22からレーザ光が照射されることによりなされる。
ステップS220にて点火数が増加されると、再びステップS200に戻り、図5に示されるフローチャートが繰り返される。本実施形態では、ステップS220において例えば所定時間だけ点火数を増やし、再び第1レーザ21のみの点火に戻している。
こうして、エンジン100の負荷状態に応じて点火数を変更し、エンジン100の負荷に合った点火数にてエンジン100を稼動させている。すなわち、エンジン負荷が高負荷時には、低負荷時よりも点火数を増加させ、火炎伝播速度を向上させている。
次に、燃焼室120内にて失火が生じた場合における点火数の制御について図6および図7を参照して説明する。図6は、燃焼室120内における失火に応じた点火数制御の内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、上記図3に示されるフローチャートが終了した後実行され、図5に示されるフローチャートと並行して実行される。
ステップS300では、エンジン失火が検出される。つまり、エンジン100が稼動している場合において、エンジン100の稼動状態を表すパラメータを検出する。具体的には、センサ部50のエンジン回転数センサ、排気管温度センサ、吸気管圧力センサにてそれぞれエンジン回転数、排気管162内の排気温度、吸気管152内の圧力を示す信号が検出され、それぞれエンジンECU40にて数値に変換される。
ステップS310では、失火が発生したか否かが判定される。すなわち、上記ステップS300にて検出されたエンジン100のエンジン回転数、排気管162内の排気温度、吸気管152内の圧力値に基づき、失火が発生したか否かが判定される。図7は、エンジン回転数、排気管162内の排気温度、吸気管152内の圧力をそれぞれ時間に対してプロットした図である。図7(a)は時間に対するエンジン回転数、図7(b)は時間に対する排気管162内の排気温度、図7(c)は時間に対する吸気管152内の圧力を示している。
失火は、次のように判定される。図7(a)に示されるように、安定して出力されていたエンジン回転数が失火により一時的に減少し、再び元の安定値に戻るようになっている。したがって、エンジン回転数にしきい値を設け、エンジン回転数がこのしきい値を超えた場合に失火が起こったと判定する。
同様に、図7(b)に示されるように、排気管162内の排気温度が所定周期で振動しているが、失火が起こるとその周期が崩れる。したがって、排気管162内の排気温度に所望のしきい値を設け、排気温度がこのしきい値を超えるタイミングを計測し、そのタイミングが狂った場合には失火が起こったと判定する。
さらには、図7(c)に示されるように、安定していた吸気管152内の圧力が、失火により一時的に高くなる。したがって、吸気管152内の圧力に対してしきい値を設け、吸気管152内の圧力がこのしきい値を超える場合には失火が起こったと判定する。
このような失火の判定は、上記図7(a)〜(c)に示されるいずれか1つに基づき判定される。本実施形態では、エンジン回転数をモニタすることにより、失火が判定される。なお、図7(a)〜(c)に示されるすべてのパラメータに基づき失火を判定するようにしても良い。この場合、より確実に失火を判定することができる。
以上のようにして失火が起こったと判定された場合にはステップS320に進む。一方、失火は起こっていないと判定されると、再びステップS300に戻り、エンジン失火が検出される。
ステップS320では、点火数が増やされる。本ステップは、図5に示されるステップS220と同様の処理がなされる。こうして、エンジン100の失火に伴う点火数の制御がなされると、再びステップS300に戻り、エンジン状態が検出され、失火がモニタされる。
以上のようにして、エンジン100において失火が生じた場合に、点火数を増やして燃焼室120内における燃焼を促進し、失火を回避する。
次に、エンジン100のノッキングに対する点火数制御について、図8を参照して説明する。図8は、エンジン100のノッキングに対する点火数制御の内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、上記図3に示されるフローチャートが終了した後実行され、図5および図6に示されるフローチャートと並行して実行される。
ステップS400では、エンジン100のノッキング状態が検出される。具体的には、センサ部50のノックセンサにて検出された信号がエンジンECU40に入力され、ノックセンサにて検出されたエンジン100の振動の周波数が得られる。
ステップS410では、ノッキングが発生したか否かが判定される。すなわち、上記ステップS400にて得られたエンジン100の振動の周波数が、エンジンECU40にあらかじめ記憶されているノッキングをあらわすノッキング周波数帯に含まれるか否かが判定される。そして、ノックセンサにて得られたエンジン100の振動がノッキングの振動であると判定されるとステップS420に進む。一方、ノックセンサにて得られたエンジン100の振動はノッキングの振動に該当しないと判定されるとステップS400に戻り、再びノッキング状態が検出される。
ステップS420では、点火数が増やされる。本ステップは、図5に示されるステップS220と同様の処理がなされる。こうして、エンジン100のノッキングに伴う点火数の制御がなされると、再びステップS400に戻り、ノッキング状態が検出される。
以上のようにして、エンジン100のノッキングに応じた点火数制御を行うことにより、エンジン100のノッキングを回避する。
続いて、エンジン100の状態に応じた点火エネルギーの制御について説明する。上記のように、点火数を制御してエンジン100を稼動させる際、点火に必要な点火エネルギーを算出し、点火エネルギーに無駄のない点火を行う。
ここで、エンジン100の状態とは、エンジン100の温度(エンジン100の冷却水の水温または吸気管152内の温度)やエンジン100内の圧力(吸気管152内の圧力)を指す。つまり、エンジン100の水温、吸気温度、吸気管152内の圧力が高いほど、燃焼室120内における着火性が向上するため、点火に必要な点火エネルギーを低減することができる。本実施形態では、エンジン100の状態をエンジン冷却水の温度および吸気管152内の圧力によってモニタする。
この点火エネルギーの算出について図9および図10を参照して説明する。図9は、エンジン100の状態に応じた点火エネルギーの制御内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、上記図3に示されるフローチャートが終了した後に実行され、図5、図6、図8に示されるフローチャートと並行して実行され、本フローチャートによって算出された点火エネルギーがそれぞれの点火数制御の際に採用される。
ステップS500では、エンジン100の状態が検出される。すなわち、水温センサによってエンジン100を冷却する冷却水の水温に応じた信号が検出される。また、吸気管圧力センサによって吸気管152内の圧力に応じた信号が検出される。これらの信号はエンジンECU40にそれぞれ出力され、それぞれ冷却水の水温および吸気管152内の圧力に変換される。
ステップS510では、ステップS500にて得られた冷却水の水温および吸気管152内の圧力に基づき、点火に必要な点火エネルギーが算出される。このことについて、図10を参照して説明する。図10は、必要点火エネルギーの三次元マップを示した図である。上述のように、エンジン100の水温、吸気管152内の圧力が高いほど、着火性が上がり、点火に必要な点火エネルギーは低く済む。したがって、図10の三次元マップに示されるように、エンジン100の冷却水の水温(T)の上昇および吸気管152内の圧力(P)の上昇に伴い、必要な点火エネルギーが低くなる。逆に、エンジン100の水温(T)および吸気管152内の圧力(P)が低いほど、エンジン100における着火性が悪化するので必要な点火エネルギーは上昇する。
このように、あらかじめ、エンジン100の水温(T)および吸気管152内の圧力(P)に応じた必要点火エネルギーを算出しておき、図10に示される三次元マップとしてエンジンECU40に記憶させておく。そして、本ステップにおいて、ステップS500にて得られたエンジン100の冷却水の水温(T)および吸気管152内の圧力(P)の値を用いて図10に示される三次元マップから必要な点火エネルギー(E)を求める。
ステップS520では、点火エネルギーが変更される。具体的には、エンジンECU40が第1または第2ドライバ31、32に対して、第1および第2レーザ21、22のレーザ光の強度を変更させる。このようにして、最適な点火エネルギーとする。
なお、点火エネルギーを変更する場合、例えば第1レーザ21のみ、または、第2レーザ22のみ、というように、いずれか一方のレーザ光の強度を変更することで、点火エネルギーを変えても良い。
点火エネルギーを変更した後、再びステップS500に戻り、エンジン100の状態が測定され、随時エンジン100の状態に応じた点火エネルギーに変更される。以上のようにして、エンジン100の状態に応じた点火エネルギー制御を行うことにより、エンジン100の燃費向上を図る。
なお、上記図3、図5、図6、図8、図9に示される点火数制御、点火エネルギー制御は、それぞれを組み合わせて実施しても良いし、いずれか1つを実施するようにしても良い。
以上説明したように、本実施形態では、エンジンの状態、すなわちエンジン100にかかる負荷やエンジン100の始動時に応じて点火数や点火エネルギーを制御している。
このように、エンジン100の負荷(エンジン100におけるスロットルバルブの開閉レベル、吸入空気量、吸気管内の圧力)が高負荷の場合には、第1および第2レーザ21、22を照射して燃焼室120における点火数を増やすことで燃焼室120内における火炎伝播速度を向上させることができる。これにより、ノッキングも防止できる。一方、エンジン100の負荷が低負荷の場合には、第1および第2レーザ21、22のうちいずれか一方を照射して点火数を減らすことより、燃費を向上させることができる。以上のように、エンジン100にかかる負荷に応じて点火数を変更することでエンジン100のトータルの熱効率を向上させることができる。
また、エンジン100の失火が起こったときには点火数を増加させる。これにより、燃焼室120内における着火点数を増やして着火させやすくさせる。これにより、エンジン100の失火を回避することができる。同様に、エンジン100がノッキングを起こしていると判定したときには、点火数を増やすことにより、火炎伝播速度を向上させることができる。これにより、エンジン100のノッキングを防止することができる。
さらに、本実施形態では、点火エネルギーを制御している。すなわちエンジン100の冷却水の水温および吸気管152内の圧力の値を図10に示される三次元マップに代入することで点火に必要な点火エネルギーを得ることができる。これにより、水温および吸気管152内の圧力が高いときには、燃焼室120内における着火性が向上するため、点火に必要な点火エネルギーを低減することができる。同様に、水温および吸気管内の圧力が低いときには、燃焼室120内における着火性が悪くなるため、点火に必要な点火エネルギーを上げて着火性を向上させることができる。このようにして、エンジン100の状態に応じた点火エネルギー制御を行うことにより、エンジン100の熱効率を上げ、燃費を向上させることができる。
また、エンジン100の始動時に点火数を制御する。つまり、エンジン100の始動の際には、第1および第2レーザ21、22を照射することで点火数、すなわち着火点数を増やして着火させやすくすることができる。このようにして、エンジン100の始動性を向上させることができる。そして、エンジン100の始動後においては、第2レーザ22を照射停止することで燃焼室120内における点火数を減らすことで燃費を向上させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、エンジン100の始動時において、エンジンの負荷の大きさに関係なくエンジンを作動させる。すなわち、着火点を1点に集中させて着火点1点当たりの点火エネルギーを増大させる。
図11は、第2実施形態に係るレーザ点火装置の概略ブロック図である。図11に示されるように、レーザ点火装置は第1実施形態における構成に加えて、始動時点火用ミラー61〜63と、第3平凸レンズ65と、第4平凸レンズ67と、を備えて構成されている。これら、始動時点火用ミラー61〜63、第3および第4平凸レンズ65、67は、エンジン100の始動時のみに用いられる。なお、図11において、第2レーザ22、第1および第2ミラー11、12は省略してある。
始動時点火用ミラー61〜63は、エンジン100の始動時において、第1レーザ21のレーザ光をケース13内の第3平凸レンズ65に導くためのミラーである。これら始動時点火用ミラー61〜63は、レーザ照射ユニット10に備えられ、図示しないモータ等の駆動手段が備えられている。この駆動手段はエンジンECU40によって駆動される。これにより、始動時点火用ミラー61〜63の配置位置が変更される。なお、始動時点火用ミラー61〜63は、本発明の光路変更ミラーに相当する。
すなわち、始動時点火用ミラー61〜63は、エンジン100の始動時において第1レーザ21と第1ミラー11との間に挿入されることにより、第1レーザ21から照射されるレーザ光をケース13内の第3平凸レンズ65に導く。
なお、第2レーザ22から照射されるレーザ光を始動時点火用ミラー61〜63にて第3および第4平凸レンズ65、67に導くようにしても良い。
第3および第4平凸レンズ65、67は、レーザ照射ユニット10のケース13内に配置され、上記始動時点火用ミラー61〜63から導かれる第1レーザ21のレーザ光を燃焼室120に導くレンズである。ここで、第3平凸レンズ65はケース13の一端側、第4平凸レンズ67はケース13の他端側に配置される。
図12は、エンジン100のシリンダ130内にて往復運動するピストン140側からシリンダヘッド110側を見た図である。なお、図12では、吸気用バルブ151および排気用バルブ161を省略してある。図12に示されるように、第1および第2複眼レンズ18、19に加えて、第4平凸レンズ67がケース13の他端側に設置されている。第4平凸レンズ67は1つの焦点をもつ単眼レンズであるので、第1レーザ21から照射されるレーザ光がこの第4平凸レンズ67にて1点に集光されることとなる。
上記のような構成を有するレーザ点火装置において、エンジン100の始動時における点火エネルギー制御について、図13を参照して説明する。図13は、エンジン100の始動時における点火エネルギー制御の内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、エンジンECU40に電源が供給されると開始される。
ステップS600では、IGがオンとされたか否かが判定される。本ステップにおいては、図3に示されるステップS100と同様の処理がなされる。
ステップS610では、第1レーザ21の照射準備がなされる。つまり、第1ドライバ31がスタンバイされ、第1レーザ21からレーザ光を照射できるようにする。
ステップS620では、始動時点火用ミラー61〜63が配置される。具体的には、レーザ照射ユニット10において、始動時点火用ミラー61〜63に備えられた駆動手段にて始動時点火用ミラー61〜63を移動させ、第1レーザ21から照射されるレーザ光を第3平凸レンズ65に導くようにする。
ここで、エンジン状態からエンジン100の始動時における点火エネルギーを求める。このことについて、図14を参照して説明する。図14は、エンジン100の冷却水の水温と始動時点火エネルギーとの関係を示した図である。上述のように、エンジン100が冷えている状態では、点火の際の着火性は悪く、点火エネルギーも必要となる。したがって、エンジンECU40にて、エンジン100の冷却水の水温からエンジン100の始動に必要な点火エネルギーを算出し、算出した点火エネルギーにて点火できるようにする。
ステップS630では、エンジン100が始動されたか否かが判定される。本ステップにおいては、図3に示されるステップS120と同様の処理がなされる。
ステップS640では、エンジン100が始動される。具体的には、エンジンECU40から第1ドライバ31にレーザ光照射信号が出力され、第1ドライバ31にて第1レーザ21からレーザ光が照射される。このとき、第1レーザ21から照射されたレーザ光は、始動時点火用ミラー61〜63、第3および第4平凸レンズ65、67を介して燃焼室120内に照射される。そして、レーザ光は第4平凸レンズ67によって1点に集光し、レーザ光を1点に集中させる。これにより、第4平凸レンズ67の焦点における点火エネルギーを上げて、着火性を向上させる。
なお、本ステップにおいて照射されるレーザ光の強度は、ステップS620にて求められた点火エネルギーに対応した値となっている。
ステップS650では、エンジン始動完了したか否かが判定される。本ステップにおいては、図3に示されるステップS140と同様の処理がなされる。
ステップS660では、始動時点火用ミラー61〜63が移動させられる。すなわち、エンジン100の始動時における点火が終了したため、点火の際に高い点火エネルギーを必要としない。したがって、エンジンECU40によって始動時点火用ミラー61〜63に備えられた駆動手段が駆動され、始動時点火用ミラー61〜63が第1レーザ21のレーザ光の光路から外される。これにより、第1レーザ21のレーザ光は第1ミラー11に照射され、通常の点火がなされることとなる。
以上のようにして、エンジン100の始動時における点火エネルギー、すなわち着火点1点当たりの点火エネルギーを増加させ、エンジン100を始動させやすくする。このようにして、エンジン100の始動時における着火性を向上させる。
つまり、エンジン100の始動時においては、エンジン100の負荷に関係なく、1点火点当たりの点火エネルギーを増大させて着火しやすいようにしている。こうして、エンジン100の始動性を向上させている。
以上説明したように、本実施形態では、エンジン100の始動時において、第1レーザ21から照射されるレーザ光を始動時点火用ミラー61〜63にて第4平凸レンズ67に導いている。これにより、燃焼室120内における点火点、すなわち着火点を1つとし、一着火点における点火エネルギーを増大させることができる。したがって、エンジン100の始動の際に、点火点における着火性を向上させることができ、エンジン100の始動性を向上させることができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1および第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、エンジン100の始動時において、始動時間が一定時間を超える場合の点火エネルギーを制御する。すなわち、エンジン100を始動させるために燃焼室120内にて点火を行っているが、点火していない場合に対応するための点火エネルギー制御である。なお、本実施形態にかかるレーザ点火装置は、上記第1および第2実施形態に係るレーザ点火装置の構成と同様である。
図15は、エンジン100の始動時間が一定時間を超える場合の点火エネルギー制御の内容を表したフローチャートである。このフローチャートは、エンジンECU40に電源が供給されると開始される。
ステップS700、S710、S720では、上記したステップS100、S610、S120と同様の処理がなされる。
ステップS730では、エンジン100が始動される。本実施形態では、第1レーザ21のみでエンジン100を始動させる。すなわち、エンジンECU40からレーザ光照射信号が第1ドライバ31に出力され、レーザ光照射信号が入力された第1ドライバ31によって第1レーザ21からレーザ光が照射される。これにより、燃焼室120にて点火されることで燃焼が開始される。
ステップS740では、エンジン始動完了したか否かが判定される。本ステップでは、図3に示されるステップS140と同様の処理がなされる。そして、本ステップにおいて、エンジン始動完了したと判定されるとエンジン100は正常に始動したと判定され、フローチャートは終了する。一方、エンジン始動完了しないと判定されると、ステップS750に進む。
ステップS750では、エンジン始動後、所定時間が経過したか否かが判定される。ここで、所定時間とは、エンジン100の始動が終了したと推定される時間に相当し、例えば1秒である。そして、エンジン始動後、所定時間が経過したと判定されると、ステップS760に進む。一方、エンジン始動後、所定時間が経過していないと判定されると、再びステップS730に戻りエンジン100の始動がなされる。
ステップS760では、点火エネルギーが上げられる。具体的には、ステップS620の処理がなされ、燃焼室120に照射されるレーザ光の焦点の数を1つとし、点火点1点当たりの点火エネルギーを増大させる。こうして、着火性を向上させてエンジン100を始動させやすくする。
ステップS770では、エンジン始動完了したか否かが判定される。本ステップでは、ステップS740と同様の処理がなされる。そして、本ステップにおいて、エンジン始動完了しないと判定されると、ステップS760に戻り、さらに点火エネルギーが上げられる。なお、さらなる点火エネルギーの増大として、例えば、第1レーザ21から照射されるレーザ光の強度を上げることや、第2レーザ22が照射されること等がある。これらの方法によって点火エネルギーを上げてエンジン100を始動させやすくする。
一方、エンジン始動完了したと判定されるとエンジン100は正常に始動したと判定され、フローチャートは終了する。
以上のように、エンジン100を始動させてからのエンジン回転数および経過時間によって、エンジン100が正常に始動したかを判定し、エンジン100が正常に始動しない場合には点火エネルギーを増大させて着火性を向上させ、エンジン100の始動性を向上させる。
以上説明したように、本実施形態では、エンジン100の始動後に、エンジン100が始動したと推定される時間が経過してもエンジン100が始動しないと判定されたとき、点火エネルギーを増大させる制御がなされている。このように、燃焼室120における点火点の点火エネルギーを上げることにより、着火性を向上させることができる。したがって、エンジン100を始動させやすくすることができる。
(他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態に示されるレーザ点火装置の構成は、一例を示すものであり、上記構成に限定されるものではない。例えば、1本のみのレーザで制御することも可能であり、3本以上のレーザを制御するようにしても良い。同様に、上記第1〜第3実施形態に示される点火数制御および点火エネルギー制御の各フローチャートは一例を示すものであり、各制御が上記フローチャートに限定されることはない。
上記第1〜第3実施形態において、第1および第2複眼レンズ18、19の各焦点が図2に示されるように、円CIの周上に位置するように配置されているが、各焦点の位置は、円CIの周上に限るものではない。
上記第1実施形態では、点火エネルギーを変更するために、第1レーザ21、第2レーザ22のそれぞれのレーザ光の強度を変更していた。しかしながら、例えば点火エネルギーを変更する際、図11に示されるように、第1レーザ21から照射されるレーザ光を1点に集光することで、1点火点当たりの点火エネルギーを上げるようにしても良い。
上記第1実施形態のステップS220(図5)、ステップS320(図6)、ステップS420(図8)において、吸気管152内の圧力、吸気管152内の温度、エンジン100の油温または水温、エンジン回転数に基づき点火数を変更するようにしても良い。図16は、点火数の変更マップを示した図である。図16(a)は吸気管152内の吸気温度と吸気管152内の圧力との関係、図16(b)はエンジン100の油温または水温と吸気管152内の圧力との関係、図16(c)はエンジン回転数と吸気管152内の圧力との関係との関係をそれぞれ示した図である。
このように、あらかじめエンジンECU40に上記図16に示される点火数変更マップを記憶させておき、エンジンの状態(図16においては、吸気管152内の圧力、吸気管152内の吸気温度、エンジン100の油温または水温、エンジン回転数)をそれぞれセンサにて測定し、それぞれの測定値に基づき点火数を変更するようにしても良い。
上記第1実施形態のステップS110(図3)では、第1および第2レーザ21、22からそれぞれレーザ光を照射する照射準備を行っている。ここで、図示しないが、2枚のミラー(一方はハーフミラー)を用意し、第2レーザ22から照射されるレーザ光を2枚のミラーを介して、第1レーザ21から照射されるレーザ光に重ね合わせるようにすることで、1点当たりの点火エネルギーを上げるようにしても良い。エンジン100の始動後においては、ステップS150(図3)にて2枚のミラーを外す。
上記第1〜第3実施形態では、第1および第2レーザ21、22の2本のレーザを用いているが、1本のレーザにて点火数を制御することもできる。図17は、レーザ光照射手段である第3レーザ23にて点火数を制御する様子を示した概略ブロック図である。図17に示されるように、第3レーザ23から照射されるレーザ光を、ハーフミラー71にて第2および第3ミラー12、72に導き、第3ミラー72にて反射したレーザ光を第1ミラー11に導くようにする。そして、ハーフミラー71を例えばモータ等により移動させることにより、燃焼室120内における点火数を変更することができる。
上記第1〜第3実施形態で採用される第1および第2複眼レンズ18、19には、それぞれ4つずつレンズが形成されているが、レンズの数はこれに限るものではない。例えば、レンズが3つ形成された第1複眼レンズ18、レンズが5つ形成された第2複眼レンズ19を用いてもよい。図18は、レンズの数がそれぞれ異なる第1および第2複眼レンズ18、19をケース13に設置した場合に、ピストン140側からシリンダヘッド110側を見た図である。この図に示されるように、レンズの数が異なっていても、それぞれの焦点位置が重ならないようになっている。このように、第1および第2複眼レンズ18、19にそれぞれ形成されるレンズの数を任意に変更しても良い。もちろん、レンズの焦点を所定の径を有する円の周上に位置させなくても良い。
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
本発明の第1実施形態に係るレーザ点火装置の概略ブロック図である。 図1においてピストン側からシリンダヘッド側を見た図である。 エンジンの始動時における点火数の制御内容を示したフローチャートである。 点火数と火炎伝播速度との関係、点火数と必要点火エネルギーとの関係を示した図である。 エンジンの負荷による点火数制御の内容を表したフローチャートである。 燃焼室内における失火に応じた点火数制御の内容を表したフローチャートである。 エンジン回転数、排気管内の排気温度、吸気管内の圧力をそれぞれ時間に対してプロットした図である。 エンジンのノッキングに対する点火数制御の内容を表したフローチャートである。 エンジン状態に応じた点火エネルギーの制御内容を表したフローチャートである。 必要点火エネルギーの三次元マップを示した図である。 第2実施形態に係るレーザ点火装置の概略ブロック図である。 図11において、エンジンのシリンダ内にて往復運動するピストン側からシリンダヘッド側を見た図である。 エンジンの始動時における点火エネルギー制御の内容を表したフローチャートである。 エンジンの冷却水の水温と始動時点火エネルギーとの関係を示した図である。 エンジンの始動時間が一定時間を超える場合の点火エネルギー制御の内容を表したフローチャートである。 点火数の変更マップを示した図である。 第3レーザにて点火数を制御する様子を示した概略ブロック図である。 レンズの数がそれぞれ異なる第1および第2複眼レンズをケースに設置した場合に、ピストン側からシリンダヘッド側を見た図である。
符号の説明
10…レーザ照射ユニット、11…第1ミラー、12…第2ミラー、13…ケース、
14…第1両凹レンズ、15…第2両凹レンズ、16…第1平凸レンズ、
17…第2平凸レンズ、18…第1複眼レンズ、19…第2複眼レンズ、
21…第1レーザ、22…第2レーザ、23…第3レーザ、
31…第1ドライバ、32…第2ドライバ、40…エンジンECU、50…センサ部、
61〜63…始動時点火用ミラー、65…第3平凸レンズ、67…第4平凸レンズ、
71…ハーフミラー、72…第3ミラー、
100…エンジン、110…シリンダヘッド、120…燃焼室、130…シリンダ、
140…ピストン、CI…円。

Claims (14)

  1. レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで前記燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、
    前記レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、
    前記レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、前記入射されたレーザ光を前記燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、
    前記エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、
    前記検出手段にて検出された前記エンジン条件に基づき、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動することで前記燃焼室における点火数を変更する制御手段(40)と、を有することを特徴とするレーザ点火装置。
  2. 前記検出手段は、前記エンジン条件としてエンジン負荷を検出するようになっており、
    前記制御手段は、前記エンジン負荷が高い場合には、前記エンジン負荷が低い場合よりも点火数を増やすように、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ点火装置。
  3. 前記レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、
    前記レーザ光照射ユニットにおいては、前記第1レーザまたは前記第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、
    前記制御手段は、前記エンジン負荷が高い場合には、前記第1レーザおよび前記第2レーザからそれぞれレーザ光を照射し、前記エンジン負荷が低い場合には、前記第1レーザおよび前記第2レーザのうちいずれか一方からレーザ光を照射するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のレーザ点火装置。
  4. レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで前記燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、
    前記レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、
    前記レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、前記入射されたレーザ光を前記燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、
    前記エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、
    前記検出手段にて検出された前記エンジン条件に基づき、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動する制御手段(40)と、を有し、
    前記検出手段は、前記エンジン条件に基づき前記燃焼室内における着火性を検出するようになっており、
    前記制御手段は、前記着火性が高い場合には、前記着火性が低い場合よりも点火エネルギーを低く、もしくは点火数を減らす、もしくはその両方の制御を実施するように、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴とするレーザ点火装置。
  5. 前記レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、
    前記レーザ光照射ユニットにおいては、前記第1レーザまたは前記第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、
    前記検出手段は、前記エンジンの失火を検出する失火検出手段を備え、この失火検出手段は、前記エンジンのエンジン回転数、前記エンジンの排気管(162)内の排気温度、前記エンジンの吸気管(152)内の圧力のうち少なくともいずれか1つを検出し、検出した前記エンジン回転数、前記排気管内の排気温度、前記吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ出力するようになっており、
    前記制御手段は、前記エンジン回転数、前記排気管内の排気温度、前記吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ入力すると共に、これらの信号に基づき、前記エンジン回転数、前記排気管内の排気温度、前記吸気管内の圧力のうち少なくともいずれか1つの値を求め、求めた値と前記失火を判定するためのしきい値とを比較し、求めた値が前記しきい値を超える場合には、前記エンジンに失火が起こっていると判定し、前記第1レーザおよび前記第2レーザを照射することで、前記エンジンに失火が起こっていると判定した時よりも前記燃焼室における点火数を増やすようになっていることを特徴とする請求項4に記載のレーザ点火装置。
  6. 前記制御手段は、前記エンジンに失火が起こっていると判定すると、前記第1レーザおよび前記第2レーザのいずれか一方、または両方のレーザ光強度を上げて照射するように、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴とする請求項5に記載のレーザ点火装置。
  7. 前記検出手段は、前記エンジンの冷却水の水温を検出する水温検出手段と、前記エンジンの前記吸気管内の圧力を検出する吸気管圧力検出手段と、を備え、これら水温検出手段および吸気管圧力検出手段にてそれぞれ検出した前記水温および前記吸気管内の圧力に応じた信号を出力するようになっており、
    前記制御手段は、前記水温および前記吸気管内の圧力に応じて点火に必要な点火エネルギーを導く三次元マップを有しており、前記水温および前記吸気管内の圧力に応じた信号をそれぞれ入力すると共に、これらの信号に基づき前記水温および前記吸気管内の圧力の値を求め、求めた水温および吸気管内の圧力のそれぞれの値を前記三次元マップに代入して点火エネルギーを導き、前記燃焼室内における点火点の点火エネルギーが求めた点火エネルギーとなるように、前記第1レーザおよび前記第2レーザを照射するようになっていることを特徴とする請求項5または6に記載のレーザ点火装置。
  8. レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで前記燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、
    前記レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、
    前記レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、前記入射されたレーザ光を前記燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、
    前記エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、
    前記検出手段にて検出された前記エンジン条件に基づき、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動する制御手段(40)と、を有し、
    前記制御手段は、前記エンジンの始動時には、前記エンジンを通常運転させる場合よりも点火エネルギーを高く、もしくは点火数を増やす、もしくはその両方の制御を実施するように、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴とするレーザ点火装置。
  9. 前記レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、
    前記レーザ光照射ユニットにおいては、前記第1レーザまたは前記第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、
    前記検出手段は、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、イグニッションスイッチのオン状態検出するイグニッションオン検出手段と、前記イグニッションスイッチのスタート状態を検出するイグニッションスタート検出手段と、を備え、
    前記エンジン回転数検出手段は、前記エンジンのエンジン回転数に応じた信号を出力し、前記イグニッションオン検出手段は、前記イグニッションスイッチのオン状態に応じた信号を出力し、前記イグニッションスタート検出手段は前記イグニッションスイッチのスタート状態に応じた信号を出力するようになっており、
    前記制御手段は、前記イグニッションオン検出手段から前記オン状態に応じた信号を入力すると共に前記第1レーザおよび前記第2レーザをスタンバイし、前記イグニッションスタート検出手段から前記スタート状態に応じた信号を入力すると前記第1レーザおよび前記第2レーザからそれぞれレーザ光を照射して前記エンジンを始動させ、この後、前記エンジン回転数検出手段にて検出された前記エンジン回転数に応じた信号を入力すると共に、この信号に基づきエンジン回転数を求め、求めたエンジン回転数が所定エンジン回転数を超えた場合には前記エンジンの始動が完了したと判定し、前記第1レーザおよび前記第2レーザのうちいずれか一方を照射停止するようになっていることを特徴とする請求項8に記載のレーザ点火装置。
  10. 前記制御手段は、前記エンジンの始動が完了しないと判定すると、前記エンジンの始動が終了したと推定される所定時間が経過したか否かを判定し、前記所定時間が経過したと判定すると、前記第1レーザおよび前記第2レーザの両方またはいずれか一方のレーザ光強度を上げて照射するようになっていることを特徴とする請求項9に記載のレーザ点火装置。
  11. 前記レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、
    前記レーザ光照射ユニットにおいては、前記第1レーザまたは前記第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、
    前記検出手段は、前記エンジンのエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、イグニッションスイッチのオン状態検出するイグニッションオン検出手段と、前記イグニッションスイッチのスタート状態を検出するイグニッションスタート検出手段と、を備え、
    前記エンジン回転数検出手段は、前記エンジンのエンジン回転数に応じた信号を出力し、前記イグニッションオン検出手段は、前記イグニッションスイッチのオン状態に応じた信号を出力し、前記イグニッションスタート検出手段は前記イグニッションスイッチのスタート状態に応じた信号を出力するようになっており、
    前記レーザ光照射ユニットは、前記第1レーザから照射されるレーザ光を複数のレンズにて前記燃焼室に導く第1複眼レンズ(18)を有すると共に、
    前記第1レーザから照射されるレーザ光の光路を変更する光路変更ミラー(61〜63)と、前記光路変更ミラーを介して導かれる前記レーザ光を前記燃焼室に一つの焦点として導く単眼レンズ(67)と、を有し、
    前記制御手段は、前記イグニッションオン検出手段から前記オン状態に応じた信号を入力すると前記第1レーザをスタンバイし、前記レーザ光照射ユニットを駆動して前記第1レーザのレーザ光の光路上に前記光路変更ミラーを配置して前記第1レーザから照射されるレーザ光を前記単眼レンズに導くようにした後、前記エンジン始動検出手段から前記スタート信号を入力すると前記第1レーザからレーザ光を照射し、前記光路変更ミラーを介して前記単眼レンズから前記レーザ光を集光することで点火すると共に前記エンジンを始動させ、この後、前記エンジン回転数検出手段にて検出された前記エンジン回転数に応じた信号を入力すると共に、この信号に基づきエンジン回転数を求め、求めたエンジン回転数が所定エンジン回転数を超えた場合には前記エンジンの始動が完了したと判定し、前記レーザ光照射ユニットを駆動して前記光路変更ミラーを前記第1レーザのレーザ光の光路から外し、前記第1レーザから照射されるレーザ光を前記第1複眼レンズに導くようになっていることを特徴とする請求項8に記載のレーザ点火装置。
  12. 前記制御手段は、前記エンジンの始動が完了しないと判定すると、前記エンジンの始動が終了したと推定される所定時間が経過したか否かを判定し、前記所定時間が経過したと判定すると、前記レーザ光照射ユニットを駆動して前記光路変更ミラーを前記第1レーザのレーザ光の光路上に配置し前記レーザ光を前記単眼レンズに導くか、または、前記第1レーザおよび前記第2レーザの両方またはいずれか一方のレーザ光強度を上げて照射するようになっていることを特徴とする請求項11に記載のレーザ点火装置。
  13. レーザ光をエンジン(100)の燃焼室(120)に導くと共に集光することで前記燃焼室に導入される可燃混合気に点火するレーザ点火装置であって、
    前記レーザ光を発するレーザ光照射手段(21、31、22、32、23)と、
    前記レーザ光照射手段にて照射されるレーザ光が入射されると共に、前記入射されたレーザ光を前記燃焼室に一点ないし多点にて集光するレーザ光照射ユニット(10)と、
    前記エンジンのエンジン条件を検出する検出手段(50)と、
    前記検出手段にて検出された前記エンジン条件に基づき、前記レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動することで前記燃焼室における点火数を変更する制御手段(40)と、を有し、
    前記検出手段は、前記エンジンのノッキングを検出するようになっており、
    前記制御手段は、前記エンジンのノッキングが検出された場合、前記ノッキングが検出される前よりも点火数を増やすように、レーザ光照射手段および前記レーザ光照射ユニットを駆動するようになっていることを特徴とするレーザ点火装置。
  14. 前記レーザ光照射手段として第1レーザ(21、31)および第2レーザ(22、32)を有し、
    前記レーザ光照射ユニットにおいては、前記第1レーザまたは前記第2レーザから照射されるレーザ光がそれぞれ入射されるようになっており、
    前記検出手段は、前記エンジンのノッキングを検出するノッキング検出手段を備えており、このノッキング検出手段は、前記エンジンの振動を検出し、この振動に応じた信号を出力するようになっており、
    前記制御手段は、前記エンジンのノッキングを示すノッキング周波数帯を有しており、前記振動に応じた信号を入力すると共に、この振動に応じた信号に基づき前記エンジンの振動の周波数を求め、求めた周波数が前記ノッキング周波数帯に含まれる場合には、前記エンジンにノッキングが起こっていると判定し、前記第1レーザおよび前記第2レーザを照射することで、前記エンジンにノッキングが起こっていると判定した時よりも前記燃焼室における点火数を増やすようになっていることを特徴とする請求項13に記載のレーザ点火装置。
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