JP2011140616A - 樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体 - Google Patents

樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオレフィン、EVOH及び顔料を含有し、顔料の分散性が良好であって、着色ムラが改善された樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン(A)、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)、エチレン含有量68〜98モル%、酢酸ビニル単位のけん化度20%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)、および顔料(E)を含有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(B/C)が1〜30であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(D/C)が0.1〜15であり、顔料(E)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(E/C)が0.04〜1.2である樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物及び顔料を含有する樹脂組成物に関する。また、当該樹脂組成物からなる多層構造体に関する。
従来、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンに代表される熱可塑性樹脂からなる層と、バリア性に優れるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(以下、EVOHと略称することがある)からなる層とを含む多層構造体は、そのバリア性を活かして各種用途、特に食品包装容器や燃料容器などに広く用いられている。このような多層構造体はフィルム、シート、カップ、トレイ、ボトルなどの各種成形品として用いられる。このとき、上記各種成形品を得る際に発生する端部や不良品等を回収し、溶融成形して熱可塑性樹脂層とEVOH層を含む多層構造体の少なくとも1層として再使用する場合がある。このような回収技術は、廃棄物削減や経済性の点で有用であり、広く採用されている。
しかしながら、熱可塑性樹脂層とEVOH層を含む多層構造体の回収物を再使用する際には、溶融成形時の熱劣化によりゲル化を起こしたり、劣化物が押出機内に付着したりして、長期間の連続溶融成形を行うことが困難であった。さらに、このような劣化物が成形品中にしばしば混入するため、得られる成形品においてフィッシュアイが発生したり、相分離異物(目ヤニ)が発生したりするという問題があった。また、相溶性が悪いため表面に波模様が発生したりする場合もあった。さらに近年では、消費者ニーズの多様化により、外観の良好な着色成形品が求められるために、EVOH層と熱可塑性樹脂層を含む多層構造体が顔料を含む場合が多くなっている。しかしながら、当該多層構造体を回収して再使用した場合に、配合される顔料の分散性が不十分で、着色ムラが発生するという問題が生じていた。
このような問題を解決する方策として、特許文献1には、ポリオレフィン(a);エチレン含有率20〜65モル%、けん化度96モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(b);酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、マイカ及び吸水性無機物から選ばれる少なくとも1種の無機物(c);及びエチレン含有率68〜98モル%、けん化度20モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(d)からなる樹脂組成物が記載されている。そして、この樹脂組成物はポリオレフィン(a)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(b)と無機物(c)との相溶性が著しく改善され、スクリューへの焦げ付き、目ヤニ、押出機の圧力上昇及び、流動異常が著しく改善される。
特許文献2には、熱可塑性樹脂、EVOH、着色剤および高級脂肪酸金属塩からなる樹脂組成物が記載されている。そして、この樹脂組成物によれば、度重なるスクラップリターンや長時間の溶融成形加工においても、着色剤が凝集したようなゲルやブツが発生しないとされている。
特許文献3には、熱可塑性樹脂、EVOH、無機充填剤および高級脂肪酸金属塩からなる樹脂組成物が記載されている。そして、この前記樹脂組成物によれば、度重なるスクラップリターンや長時間の連続運転においても押出機内の樹脂圧力が上昇せず、溶融成形性に優れているとされている。
また、特許文献4には、ポリオレフィン系樹脂層とEVOH層を含む積層体の回収物に、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン含有量70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を含有する樹脂組成物を配合して溶融混練することにより、目ヤニの発生が抑制され、変色が抑制され、外観に優れた成形物が得られるとされている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載された発明では、得られる成形物における顔料の分散性が不十分であって、着色ムラが生じやすく、問題となる場合があった。
特開平3−72541号公報 特開2000−63683号公報 特開2000−53812号公報 特開2009−97010号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ポリオレフィン、EVOH及び顔料を含有し、顔料の分散性が良好であって、着色ムラが改善された樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
上記課題は、ポリオレフィン(A)、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)、エチレン含有量68〜98モル%、酢酸ビニル単位のけん化度20%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)、および顔料(E)を含有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(B/C)が1〜30であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(D/C)が0.1〜15であり、顔料(E)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(E/C)が0.04〜1.2である樹脂組成物を提供することによって解決される。
このとき、樹脂組成物が、脂肪酸金属塩(F)を含有し、脂肪酸金属塩(F)と顔料(E)の質量比(F/E)が0.1〜3であることが好適である。顔料(E)が、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料およびフタロシアニン系顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機系顔料であることも好適である。また、顔料(E)が、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、カーボンブラック、鉛系顔料、カドミウム系顔料、コバルト系顔料、鉄系顔料、クロム系顔料、群青および紺青からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機系顔料であることも好適である。
また、上記課題は、ポリオレフィン(A)および顔料(E)を含有する樹脂組成物からなる層とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)からなる層を含む多層構造体の回収物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる回収助剤とを溶融混練する、上記樹脂組成物の製造方法を提供することによっても解決される。
また、上記課題は、上記樹脂組成物からなる層と、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる層の少なくとも2層を含む多層構造体を提供することによっても解決される。
本発明の樹脂組成物を溶融成形することにより、ポリオレフィン、EVOH及び顔料を含有する樹脂組成物からなり、顔料の分散性が良好であって、着色ムラが改善された成形品、特に多層構造体を提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン(A)、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(以下、EVOHと略称することがある)(B)、エチレン含有量68〜98モル%、酢酸ビニル単位のけん化度20%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(以下、S−EVOHと略称することがある)(C)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAcと略称することがある)(D)、および顔料(E)を含有する。
本発明で用いられるポリオレフィン(A)は、ポリエチレン(低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など);エチレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類またはアクリル酸エステルを共重合したエチレン系共重合体;ポリプロピレン;プロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したプロピレン系共重合体;ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、上述のポリオレフィンに無水マレイン酸を作用させた変性ポリオレフィン;アイオノマー樹脂などを含んでいる。中でも、ポリオレフィン(A)として、ポリプロピレン、プロピレン系共重合体などのポリプロピレン系樹脂、またはポリエチレン、エチレン系共重合体などのポリエチレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリオレフィン(A)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いられるEVOH(B)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位をけん化して得られたものである。エチレン含有量が少なく、かつ酢酸ビニル単位のけん化度が高いEVOHは、ポリオレフィンとの相容性が不良となりやすい。一方、EVOHのエチレン含有量が多すぎる場合には、ガスバリア性が低下する。また、酢酸ビニル単位のけん化度が低いEVOHは、EVOH自体の熱安定性が不良となりやすい。このような観点から、本発明で用いるEVOH(B)のエチレン含有量は20〜65モル%である。エチレン含有量は25モル%以上であることが好ましい。また、エチレン含有量は55モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましい。一方、EVOH(B)の酢酸ビニル単位のけん化度は96%以上であるが好ましく、98%以上であるがより好ましく、99%以上であるのがさらに好ましい。特に、エチレン含有量が20〜65モル%であり、かつけん化度が99%以上のEVOHは、ポリオレフィン(A)と積層して用いることにより、バリア性に優れる容器類が得られるので、本発明で特に好適に用いられる。
EVOH(B)は、本発明の効果を阻害しない範囲、一般的には5モル%以下の範囲で、他の重合性単量体を含んでいてもよい。このような重合性単量体としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン;(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;アルキルビニルエーテル;N−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミドまたはその4級化物、N−ビニルイミダゾールまたはその4級化物、N−ビニルピロリドン、N,N−ブトキシメチルアクリルアミド、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランなどが挙げられる。
また、EVOH(B)のメルトインデックス(MI;190℃、2160g荷重下で測定)は0.1g/10分以上、好適には0.5g/10分以上であり、また100g/10分以下、好適には50g/10分以下、最適には30g/10分以下であることが望ましい。このとき、EVOH(B)の分散性の観点から、EVOH(B)のMIをMI(B)、ポリオレフィン(A)のMI(190℃、2160g荷重下で測定)をMI(A)としたときの比[MI(B)/MI(A)]は0.1〜100であることが好ましく、0.3〜50であることがより好ましい。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
本発明で用いられるS−EVOH(C)は、エチレン含有量68〜98モル%、酢酸ビニル単位のけん化度20%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物であり、エチレン含有量が高く、ポリオレフィン(A)およびEVOH(B)の相容性を顕著に改善する効果がある。S−EVOH(C)のエチレン含有量は70モル%以上であるのが好ましく、一方、96モル%以下であることが好ましく、94モル%以下であることがより好ましい。また、酢酸ビニル単位のけん化度は30%以上であるのがより好ましく、40%以上であるのがさらに好ましい。けん化度の上限には特に限定はなく、99モル%以上であってもよく、実質的にほぼ100%のけん化度のものも使用できる。エチレン含有量が68モル%未満である場合、98モル%を超える場合、または酢酸ビニル単位のけん化度が20%未満の場合では、ポリオレフィン(A)およびEVOH(B)の相容性改善の効果が不十分である。
S−EVOH(C)のエチレン含有量は、EVOH(B)のエチレン含有量より高い。ポリオレフィン(A)およびEVOH(B)の相容性改善の観点から、S−EVOH(C)のエチレン含有量とEVOH(B)のエチレン含有量との差は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
S−EVOH(C)のMI(190℃、2160g荷重下で測定)は0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることがより好ましく、1g/10分以上であることがさらに好ましい。一方、S−EVOH(C)のMIは、100g/10分以下であることが好ましく、50g/10分以下であることがより好ましく、30g/10分以下であることがさらに好ましい。なお、S−EVOH(C)は不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されていてもよく、かかる不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸;前記した酸のメチルエステルまたはエチルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
本発明で用いられるEVAc(D)は、エチレンと酢酸ビニルを公知の方法にて重合したランダム共重合体のほか、さらに他のモノマーを共重合した三元共重合体や、グラフト化などにより変性した変性EVAcであってもよい。EVAc(D)の酢酸ビニル単位の含有量は、2〜40モル%であることが好適であり、5〜25モル%であることがより好ましい。酢酸ビニル単位の含有量が2モル%未満、あるいは40モル%を超えると、EVOH(B)の分散性の改善に十分な効果が得られないことがある。また、EVAc(D)のメルトインデックス(MI;190℃、2160g荷重下で測定)は0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.5〜30g/10分であることがより好ましく、1〜20g/10分であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる顔料(E)は、特に限定されないが、目的とする多層構造体の色に応じて各種有機系顔料や無機系顔料が採用される。有機系顔料としては、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料およびフタロシアニン系顔料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。無機系顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、カーボンブラック、鉛系顔料、カドミウム系顔料、コバルト系顔料、鉄系顔料、クロム系顔料、群青および紺青等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
本発明の樹脂組成物を構成する成分として、上記してきたポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)、および顔料(E)以外に、脂肪酸金属塩(F)を配合することが好ましい。脂肪酸金属塩(F)としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの炭素数10〜26の高級脂肪族の金属塩、特に周期律表第1族、第2族または第3族の金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。また、上記した脂肪酸の亜鉛塩、鉛塩を用いることもできる。これらの中で、カルシウム塩、マグネシウム塩などの周期律表第2族の金属塩は、少量の添加で本発明の効果を奏する。
本発明の樹脂組成物を構成する成分として、上記してきたポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)、および顔料(E)以外に、ハイドロタルサイト(G)を配合することが好ましい。ハイドロタルサイト(G)としては、
Al(OH)2x+3y−2z(A)・aH
(MはMg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Pb、Snの1つ以上を表わし、AはCOまたはHPOを表わし、x、y、zは正数であり、aは0または正数であり、2x+3y−2z>0である)
で示される複塩であるハイドロタルサイトを好適なものとして挙げることができる。
上記ハイドロタルサイト中、MとしてはMg、CaまたはZnが好ましく、これらの2つ以上の組み合わせがより好ましい。これらハイドロタルサイトの中でも特に好適なものとしては次のようなものが例示できる。
MgAl(OH)16CO・4H
MgAl(OH)20CO・5H
MgAl(OH)14CO・4H
Mg10Al(OH)22(CO・4H
MgAl(OH)16HPO・4H
CaAl(OH)16CO・4H
ZnAl(OH)16CO・4H
MgZnAl(OH)12CO・2.7H
MgZnAl(OH)20CO・1.6H
MgZn1.7Al3.3(OH)20(CO1.65・4.5H
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)、および顔料(E)を含有し、かつEVOH(B)とS−EVOH(C)の質量比(B/C)が1〜30であり、EVAc(D)とS−EVOH(C)の質量比(D)/(C)が0.1〜15であり、顔料(E)とS−EVOH(C)の質量比(E/C)が0.04〜1.2である。
本発明の樹脂組成物中のポリオレフィン(A)とEVOH(B)の質量比(A/B)は、3〜99.5であることが好適である。質量比(A/B)が3よりも小さい場合、つまり、EVOH(B)が多く存在する場合には、ポリオレフィン(A)中のEVOH(B)の分散性が不十分となり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こりやすくなる。一方、質量比(A/B)が99.5よりも大きい場合、本発明の樹脂組成物を回収技術に適用しても、再利用による廃棄物の削減効果と経済性に劣る。質量比(A/B)は、4〜99の範囲にあることがより好適である。
EVOH(B)とS−EVOH(C)の質量比(B/C)は、1〜30であることが必要である。質量比(B/C)が30よりも大きい場合、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こる。質量比(B/C)は、18以下であることが好適である。一方、質量比(B/C)が1未満となる程S−EVOH(C)の比率を多くしても、分散性の更なる向上は得られない傾向がある。質量比(B/C)は2以上であることが好適である。
EVAc(D)とS−EVOH(C)の質量比(D/C)は、0.1〜15であることが必要である。質量比(D/C)が15よりも大きい場合、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こる。質量比(D/C)は、(7)以下であることが好適である。一方、質量比(D/C)が0.1よりも小さい場合、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こる。質量比(D/C)は、1以上であることが好適である。
顔料(E)とS−EVOH(C)の質量比(E/C)は、0.04〜1.2であることが必要である。質量比(E/C)が1.2よりも大きい場合、顔料(E)の凝集に由来する分散不良が生じ、着色ムラが起こる。質量比(E/C)は、0.8以下であることが好適である。質量比(E/C)が0.04よりも小さい場合、かえって顔料(E)の分散がS−EVOH(C)によって阻害され、着色ムラが起こる。その結果、質量比(E/C)は、0.1以上であることが好適である。
本発明の樹脂組成物はポリオレフィン(A)マトリクス中にEVOH(B)の粒子が分散した構造を有していることが好ましい。EVOH(B)の分散粒子径は2μm以下であることが好ましく、0.1〜1.5μmであることがより好ましい。分散粒子径が2μmよりも大きい場合、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こる傾向がある。
本発明の樹脂組成物に脂肪酸金属塩(F)が構成成分として存在する場合、脂肪酸金属塩(F)と顔料(E)の質量比(F/E)は、0.1〜3であることが好ましい。質量比(F/E)が3よりも大きい場合、顔料の分散性が不十分になり、着色ムラが生じるおそれがある。質量比(F/E)は、2.8以下であることがより好適である。一方、質量比(F/E)が0.1よりも小さい場合、顔料(E)の凝集に由来するフィッシュアイが発生するおそれがある。質量比(F/E)は、0.2以上であることがより好適である。
また、本発明の樹脂組成物中のS−EVOH(C)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.2〜2質量部であることが好適である。S−EVOH(C)の配合量が多い場合、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こるおそれがある。S−EVOH(C)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して1.5質量部以下であることがより好適である。一方、S−EVOH(C)の配合量が少ない場合にも、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こるおそれがある。S−EVOH(C)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.3質量部以上であることがより好適である。
EVAc(D)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.2〜10質量部であることが好適である。EVAc(D)の配合量が多い場合、力学的物性が低下するおそれがある。EVAc(D)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して3質量部以下であることがより好適である。一方、EVAc(D)の配合量が少ない場合には、EVOH(B)の分散性が不十分であり、顔料(E)の分散不良が生じ、着色ムラが起こるおそれがある。EVAc(D)の配合量はポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して1質量部以上であることがより好適である。
顔料(E)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.03〜10質量部であることが好適である。顔料(E)の配合量が多い場合、顔料(E)の凝集に由来するフィッシュアイが発生するおそれがある。顔料(E)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して8質量部以下であることがより好適である。一方、顔料(E)の配合量が少ない場合、顔料の分散性が不十分になり、着色ムラが生じるおそれがある。顔料(E)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.1質量部以上であることがより好適である。
脂肪酸金属塩(F)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好適である。脂肪酸金属塩(F)の配合量が多い場合、色相が悪化するおそれがある。脂肪酸金属塩(F)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.8質量部以下であることがより好適である。一方、脂肪酸金属塩(F)の配合量が少ない場合、EVOH(B)の凝集に由来するフィシュアイが発生するおそれがある。脂肪酸金属塩(F)の配合量は、ポリオレフィン(A)とEVOH(B)の合計量100質量部に対して0.03質量部以上であることがより好適である。
また、本発明の樹脂組成物に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、または他の高分子化合物を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては次の様なものが挙げられる。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)など。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなど。
可塑剤:ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルなど。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックスなど。
滑剤:エチレンビスステアリン酸アミド、ブチルステアレートなど。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウムなど。
また、他の多くの高分子化合物も、本発明の作用効果が阻害されない程度に本発明の樹脂組成物に配合することもできる。
次に、ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)、および顔料(E)を混合して、本発明の樹脂組成物を得る方法、および当該樹脂組成物の成形方法について述べる。
本発明の樹脂組成物を得るための各成分の混合手段としては、リボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサーなどが例示される。
本発明の樹脂組成物を得るための混合方法について特に制限はなく、ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)および顔料(E)を一度にドライブレンドして溶融混練する方法;ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)および顔料(E)の一部を予め溶融混練してから、他の成分を配合して溶融混練する方法;ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)および顔料(E)の一部を含有する多層構造体と、他の成分を配合して溶融混練する方法が挙げられる。
中でも、ポリオレフィン(A)、EVOH(B)および顔料(E)を含有する多層構造体からなる成形物を得る際に発生する端部や不良品を回収したスクラップと、S−EVOH(C)とEVAc(D)とを溶融混練する方法が好適である。このように、回収されたスクラップを溶融混練する際に配合される添加剤を回収助剤といい、ここでは、S−EVOH(C)とEVAc(D)の混合物が回収助剤として用いられる。このとき、S−EVOH(C)とEVAc(D)とを予め溶融混練して、それらを含有する樹脂組成物としてからスクラップに添加することが好ましい。このような回収助剤は、好適にはペレット形状でスクラップに配合される。スクラップは、適当な寸法に粉砕しておくことが好ましく、粉砕されたスクラップに対してペレット形状の回収助剤をドライブレンドしてから溶融混練するのが、本発明の樹脂組成物の好適な製造方法である。なお、スクラップとしては、一つの成形物から得られるスクラップを用いてもよいし、二つ以上の成形物から得られる関連するスクラップを混合して使用してもよい。
特に好適な実施態様は、ポリオレフィン(A)および顔料(E)を含有する樹脂組成物からなる層とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)からなる層を含む多層構造体の回収物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる回収助剤とを溶融混練する方法である。
さらに、本発明の樹脂組成物の原料とされるスクラップが、回収物層を含有する多層構造体からなるものであってもよい。すなわち、回収物から得られた樹脂組成物からなる回収物層を含有する多層構造体からなる成形品を製造し、その成形品のスクラップ回収物を、再び同様の多層構造体における回収物層の原料として用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が、ポリオレフィン(A)、EVOH(B)、S−EVOH(C)、EVAc(D)および顔料(E)以外の成分を含む場合、それらの成分を配合する方法は特に限定されず、上述の(A)〜(E)の各成分と同様の操作で配合することができる。中でも、本発明の樹脂組成物が脂肪酸金属塩(F)を含有する場合、S−EVOH(C)とEVAc(D)に加えて回収助剤として用いることが好適である。また、本発明の樹脂組成物がハイドロタルサイト(G)を含有する場合にも、S−EVOH(C)とEVAc(D)に加えて回収助剤として用いることが好適である。このような回収助剤の製造方法は、前述と同様の方法が採用される。
本発明の樹脂組成物は、周知の溶融押出成形機、圧縮成形機、トランスファ成形機、射出成形機、吹込成形機、熱成形機、回転成形機、ディップ成形機などを使用して、フィルム、シート、チューブ、ボトル、カップなどの任意の成形品に成形することができる。成形に際しての押出温度は、本発明の樹脂組成物を構成するポリオレフィン(A)の種類、ポリオレフィン(A)およびEVOH(B)のメルトインデックス、ポリオレフィン(A)およびEVOH(B)の組成比または成形機の種類などにより適宜選択されるが、多くの場合170〜350℃の範囲である。
本発明の好適な実施様態は、上記樹脂組成物からなる層と、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる層の少なくとも2層を含む多層構造体である。その層構成の適当な例としては、本発明の樹脂組成物をc、ポリオレフィンをa、EVOHをb、接着性樹脂をadで表わすと、例えば次のような層構成として表される。ここでadとしては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。
3層 c/ad/b
4層 a/c/ad/b
5層 c/ad/b/ad/c、a/ad/b/ad/c
6層 a/c/ad/b/ad/a、c/a/ad/b/ad/a、c/a/ad/b/ad/c、a/c/ad/b/ad/c
7層 a/c/ad/b/ad/c/a
またこのような多層構造体のスクラップを溶融混練することによって本発明の樹脂組成物を得ることもできる。したがって多層構造体にad層が存在する場合には、本発明の樹脂組成物中に接着性樹脂(ad)が構成成分として含まれることになる。
多層構造体の製造方法としては、樹脂層の種類に対応する数の押出機を使用し、この押出機内で溶融された樹脂の流れを重ねあわせた層状態で同時押出成形する、いわゆる共押出成形により実施する方法が好適である。別の方法として、押出コーティング、ドライラミネーションなどの成形方法も採用され得る。また、本発明の樹脂組成物の単独成形品または本発明の樹脂組成物を含む多層構造体を一軸延伸、二軸延伸またはブロー延伸などの延伸を実施することにより、力学的物性、ガスバリア性などに優れる成形物を得ることができる。
上記の層構成の多層構造体は、ガスバリア性に優れたEVOHを含有しているので、ガスバリア性の要求される食品、医薬品、医療用具などの包装材として有用である。
本発明の樹脂組成物は、EVOHの分散性が高く、顔料の分散性が高いことから、着色ムラが改善された成形物を提供することができる。力学的物性やガスバリア性に優れ、外観の美麗な成形物が得られることから、その工業的意義は大きい。
本実施例では以下の原料を使用した。なお、以下の製造例、実施例および比較例において、(部)は特に断わりのない限り質量基準で表したものである。
[ポリオレフィン(A)]
A−1:ポリプロピレン[密度0.90g/cm、メルトインデックス1.4g/10分(ASTM−D1238、230℃、2160g荷重)]
[EVOH(B)]
B−1:エチレン含有量32モル%、けん化度99.7モル%、含水フェノール中30℃における極限粘度1.1dL/g、密度1.15g/cm3、メルトインデックス1.6g/10分(ASTM−D1238、190℃、2160g荷重)
[S−EVOH(C)]
C−1:エチレン含有量89モル%、けん化度97モル%、メルトインデックス5.1g/10分(ASTM−D1238、190℃、2160g荷重)
[EVAc(D)]
D−1:酢酸ビニル含有量19質量%、メルトインデックス2.5g/10分(ASTM−D1238、190℃、2160g荷重)
[顔料(E)]
E−1:酸化チタン、白色無機顔料
[脂肪酸金属塩(F)]
F−1:ステアリン酸カルシウム
[ハイドロタルサイト(G)]
G−1:協和化学工業株式会社製、「ZHT−4A」
[その他]
接着性樹脂:密度0.90g/cm、メルトインデックス3.2g/10分(ASTM−D1238、230℃、2160g荷重)三菱化学株式会社製、「モディックAP P604V」(ポリプロピレン用銘柄)
酸化防止剤:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
実施例で得られた多層フィルムの回収物層に含まれるEVOH(B)粒子の分散粒子径、多層フィルムの白色度、及び熱成形容器の着色ムラは、それぞれ以下の方法で測定を行なった。
[回収物層に含まれるEVOHの分散粒子径]
多層フィルムを該フィルム面と直角の方向にミクロトームで丁寧に切断し、さらにメスを用いて回収物層を取り出した。露出した断面に減圧雰囲気下で白金を蒸着した。白金が蒸着された断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10000倍に写真撮影し、この写真中のEVOH(B)の粒子20個程度を含む領域を選択し、該領域中に存在する各々の粒子像の粒径を測定し、その平均値を算出して、これを分散粒子径とした。なお、各々の粒子の粒径については、写真中に観察される粒子の長径(最も長い部分)を測定し、これを粒径とした。上記フィルムの切断は押出方向に垂直に行い、切断面に対して、垂直方向からの写真撮影を行った。
[多層フィルムの白色度]
多層フィルムをASTM E313の方法に従って分光色差計(日本電子工業株式会社製、Spectro Color Meter SE2000)を用いて測定した。白色度は顔料(E)が酸化チタンの場合のみに適用した。白色度が高いということは、顔料が樹脂組成物中で良好に分散していることを示している。
[熱成形容器の着色ムラ]
熱成形容器をランダムに5個用意し、各容器の側面を蛍光灯に透かし、以下の様相となっていることを目視で確認した。
A:すべての容器で陰影が全く見当たらない。
B:目を凝らすと陰影が数箇所見つけられる。
C:陰影が見つけられる。
以下の方法にしたがって、マスターバッチ(MB1〜MB7)を得た。
MB1
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=25/67.5/5/2.5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した。得られた混合物を30mmφの同方向二軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30N)を用いて200℃の押出温度で溶融混練した後ペレット化し、マスターバッチ(MB1)を得た。
MB2
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=10/82.5/5/2.5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した以外はMB1と同様に実施し、マスターバッチ(MB2)を得た。
MB3
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=25/71.5/1/2.5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した以外はMB1と同様に実施し、マスターバッチ(MB3)を得た。
MB4
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=25/52.5/20/2.5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した以外はMB1と同様に実施し、マスターバッチ(MB4)を得た。
MB5
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=5/85/5/5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した以外はMB1と同様に実施し、マスターバッチ(MB6)を得た。
MB6
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、ハイドロタルサイト(G)としてG−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/G−1/酸化防止剤=85/5/5/5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した以外はMB1と同様に実施し、マスターバッチ(MB7)を得た。
MB7
S−EVOH(C)としてC−1、EVAc(D)としてD−1、脂肪酸金属塩(F)としてF−1、酸化防止剤を用い、C−1/D−1/F−1/酸化防止剤=25/70/5/0.2の質量比になるようにドライブレンドで配合した。得られた混合物を30mmφの同方向二軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30N)を用いて200℃の押出温度で溶融混練した後ペレット化し、マスターバッチ(MB7)を得た。
実施例1
[回収物の製造]
最外層にポリオレフィン(A)としてA−1、最内層にEVOH(B)としてB−1、接着性樹脂層に「モディックAP P604V」を用い、フィードブロックダイにてポリオレフィン層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン層=200μ/20μ/20μ/20μ/200μの3種5層共押出を行い、多層フィルムを作成した。フィードブロックへのそれぞれの樹脂の供給は、ポリオレフィン層は32mmφ押出機、接着性樹脂層は25mmφ押出機、EVOH層は20mmφ押出機をそれぞれ使用し、また押出の温度は各樹脂とも220℃、ダイス部、フィードブロック部も220℃で行った。
続いて、得られた多層フィルムを径8mmφメッシュの粉砕機で粉砕して回収物を得た。得られた回収物の質量比は、ポリオレフィン(A−1)/EVOH(B−1)/接着性樹脂=85.9/5.5/8.6であった。
[顔料入り多層構造体の作成]
最外層に、回収物、マスターバッチ(MB1)および顔料(E−1)を、回収物/マスターバッチ(MB1)/顔料(E−1)=100/3/0.3の質量比でドライブレンドした混合物を用い、最内層に、EVOH(B−1)、接着性樹脂層に接着性樹脂を用い、フィードブロックダイにて混合物層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/混合物層=200μ/20μ/20μ/20μ/200μの3種5層共押出を行い、多層フィルムを作成した。フィードブロックへのそれぞれの樹脂の供給は、混合物層は32mmφ押出機、接着性樹脂層は25mmφ押出機、EVOH層は20mmφ押出機をそれぞれ使用し、また押出の温度は各樹脂とも220℃、ダイス部、フィードブロック部も220℃で行った。
多層フィルムの白色度、ならびに混合物層のEVOH(B)の粒径を測定した。結果を表1にまとめて記載する。
得られた多層フィルムを熱成形することにより、熱成形容器を得た。成形条件を以下に示す。
熱成形機:真空圧空深絞り成形機FX−0431−3型(浅野製作所製)
圧縮空気圧:5kgf/cm
金型形状(丸カップ形状):上部75mmφ、下部60mmφ、深さ75mm、絞り比S=1.0
金型温度 :70℃
シート温度:130℃
ヒーター温度:400℃
プラグ寸法 :45φ×65mm
プラグ温度 :120℃
得られた熱成形容器の着色ムラを評価した。結果条件を表1にまとめて記載する。
実施例2
マスターバッチ(MB1)の替わりにマスターバッチ(MB2)を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
実施例3
マスターバッチ(MB1)の替わりにマスターバッチ(MB3)を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
実施例4
マスターバッチ(MB1)の替わりにマスターバッチ(MB4)を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
実施例5
最外層に、回収物、マスターバッチ(MB1)および顔料(E−1)を、回収物/マスターバッチ(MB1)/顔料(E−1)=100/3/0.05の質量比でドライブレンドした混合物を用いて共押出成形したこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
実施例6
実施例1において、多層構造体の層の厚みをポリオレフィン層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン層=200μ/20μ/4μ/20μ/200μとしたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。なお、回収物の各成分の質量比は、ポリオレフィン(A−1)/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B−1)/接着性樹脂=89.9/1.1/9であった。結果を表1にまとめて記載する。
実施例7
マスターバッチ(MB1)の替わりにマスターバッチ(MB7)を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
実施例8
実施例1の回収物の製造において、最外層にポリオレフィン(A−1)および顔料(E−1)をポリオレフィン(A−1)/顔料(E−1)=100/0.3の質量比でドライブレンドした顔料入りポリオレフィン、最内層にEVOH(B)としてB−1、接着性樹脂層に「モディックAP P604V」を用い、フィードブロックダイにてポリオレフィン層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン層=200μ/20μ/20μ/20μ/200μの3種5層共押出を行い、多層フィルムを作成したこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
比較例1
マスターバッチ(MB1)の替わりにマスターバッチ(MB5)を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
比較例2
実施例1において、多層構造体の層の厚みをポリオレフィン層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリオレフィン層=200μ/20μ/120μ/20μ/200μとしたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。なお、回収物の各成分の質量比は、ポリオレフィン(A−1)/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B−1)/接着性樹脂=67.4/25.8/6.7であった。結果を表1にまとめて記載する。
比較例3
実施例1において、マスターバッチ(MB1)の代わりにマスターバッチ(MB6)を使用したこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する
比較例4
実施例1において、最外層に、回収物、マスターバッチ(MB1)および顔料(E−1)を、回収物/マスターバッチ(MB1)/顔料(E−1)=100/3/0.025の質量比でドライブレンドした混合物を用いたこと以外は、実施例1と同様に多層フィルムを作成し、熱成形容器を得て、評価した。結果を表1にまとめて記載する。
Figure 2011140616
上記結果によると、EVOH(B)/S−EVOH(C)の質量比(B/C)、EVAc(D)/S−EVOH(C)の質量比(D/C)、顔料(E)/S−EVOH(C)の質量比(E/C)がすべて請求項の範囲内にある実施例1は、EVOH(B)の粒径が小さく、その分散性が良好であり、白色度の優れた、着色ムラのない成形物が得られた。
マスターバッチ中のS−EVOH(C)の量が少ない比較例1、多層構造体においてEVOH(B)の厚みが大きく、その結果、EVOH(B)の量が多い比較例2、マスターバッチ中のS−EVOH(C)の量が多い比較例3は、いずれも樹脂組成物中のEVOH(B)の粒径が大きくなり、着色ムラがあり、白色度も不十分であった。顔料(E)の量が少ない比較例4では、EVOH(B)の粒径は小さかったが、顔料の分散性が不十分であったために着色ムラがあり白色度も不十分であった。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン(A)、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)、エチレン含有量68〜98モル%、酢酸ビニル単位のけん化度20%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)、および顔料(E)を含有し、かつエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(B/C)が1〜30であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(D/C)が0.1〜15であり、顔料(E)とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)の質量比(E/C)が0.04〜1.2である樹脂組成物。
  2. さらに脂肪酸金属塩(F)を含有し、脂肪酸金属塩(F)と顔料(E)の質量比(F/E)が0.1〜3である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 顔料(E)が、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料およびフタロシアニン系顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機系顔料であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 顔料(E)が、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、カーボンブラック、鉛系顔料、カドミウム系顔料、コバルト系顔料、鉄系顔料、クロム系顔料、群青および紺青からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機系顔料であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  5. ポリオレフィン(A)および顔料(E)を含有する樹脂組成物からなる層とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(B)からなる層を含む多層構造体の回収物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(C)およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(D)を含有する樹脂組成物からなる回収助剤とを溶融混練する請求項1〜4のいずれか記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物からなる層と、エチレン含有量20〜65モル%、酢酸ビニル単位のけん化度96%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなる層の少なくとも2層を含む多層構造体。
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