JP2011140250A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】乗り心地性能を維持しつつ、ランフラット耐久性を更に向上させた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による空気入りタイヤ1は、サイドウォール部9におけるトレッド幅方向内側に、サイドウォール部9を補強する補強ゴム層20が設けられ、補強ゴム層20に、補強ゴム層20よりも硬度の低いゴムからなる内部ゴム層21を、補強ゴム層20のトレッド幅方向内側面から補強ゴム層20内部に向かい、かつタイヤ周方向に沿って連続して少なくとも1つ埋設し、内部ゴム層21は、補強ゴム層20のトレッド幅方向内側面から補強ゴム層20内部に向かい、タイヤ径方向断面形状が所定の厚さを有する薄肉部21aと、薄肉部21aに連なり、先端部のタイヤ径方向断面形状が円弧状の厚肉部21bとからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は空気入りタイヤに関し、特に、ランフラット耐久性を向上させた空気入りタイヤに関する。
従来、タイヤがパンクしてもそのまま一定距離を安全に走行(ランフラット走行)できるランフラットタイヤが広く知られている。パンク時におけるランフラットタイヤの耐久性を向上させるために、サイドウォール部のトレッド幅方向内側に備えられる補強ゴム層の厚さを厚く設定することが効果的である。しかし、この場合、タイヤの剛性が高くなりすぎて車両の乗り心地が低下してしまうという問題があった。そこで、補強ゴム層に、補強ゴム層のゴムより硬度が低く、断面形状がくさび状または三角形状の軟ゴムを埋設することにより、補強ゴム層全体の硬度を低くする空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−50719号公報(第3−4頁、第1図)
しかしながら、上述した従来の空気入りタイヤでは、次のような問題があった。すなわち、先端が鋭角に形成されている軟ゴムに対応して、補強ゴム層の凹部も鋭角な部分を含む形状になってしまう。このため、補強ゴム層の鋭角な部分に応力が集中し、補強ゴム層に損傷等が生じる起点となりやすく、ランフラット走行の可能距離(いわゆる、ランフラット耐久性)が低下する可能性があった。
そこで、本発明は、乗り心地を向上させるために補強ゴム層に軟ゴムを埋設した空気入りタイヤにおいて、乗り心地性能を維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させた空気入りタイヤの提供を目的とする。
本発明の第1の特徴は、サイドウォール部(サイドウォール部9)におけるトレッド幅方向内側に、前記サイドウォール部を補強する補強ゴム層(補強ゴム層20)が設けられ、前記補強ゴム層に、前記補強ゴム層よりも硬度の低いゴムからなる内部ゴム層(内部ゴム層21)を、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側面から前記補強ゴム層内部に向かい、かつタイヤ周方向に沿って連続して少なくとも1つ埋設した空気入りタイヤであって、前記内部ゴム層は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側面から前記補強ゴム層内部に向かい、タイヤ径方向断面形状が所定の厚さを有する薄肉部(薄肉部21a)と、前記薄肉部に連なり、先端部のタイヤ径方向断面形状が円弧状の厚肉部(厚肉部21b)からなることを要旨とする。
このような空気入りタイヤによれば、内部ゴム層は、タイヤ内側面側から補強ゴム層内部に向かう薄肉部と、薄肉部に連なり、先端部の形状が円弧状の厚肉部とからなる。このため、補強ゴム層に形成される凹部の最深部は、角部がない円弧状の曲面になり、タイヤ転動時に応力が集中する部位がなくなる。これにより、補強ゴム層内部からの破壊が生じることが抑制され、タイヤのランフラット耐久性を効果的に向上させることができる。
さらに、補強ゴム層のうち内部ゴム層以外の部位は、硬度が高いため、補強ゴム層の剛性を保持できる。また、通常走行時における路面入力による振動は、硬度が低い内部ゴム層によって十分に吸収することができる。このため、乗り心地性能を維持できる。従って、乗り心地性能を維持しつつ、ランフラット耐久性を更に向上させた空気入りタイヤを提供できる。
なお、内部ゴム層は、タイヤ周方向に沿って連続して一体形成されているため、押出成形によって補強ゴム層と同時に成形することも可能なため、高い生産性を維持することができる。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係り、前記内部ゴム層の埋設深さ(h)は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向厚さ(H)の50〜80%であることを要旨とする。
本発明によれば、乗り心地性能は維持しつつ、ランフラット耐久性を向上させた空気入りタイヤを得ることができる。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド幅方向に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る内部ゴム層を模式的に示した断面図である。 本発明の比較評価における比較例の空気入りタイヤのトレッド幅方向に沿った断面図である。
次に、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[実施形態]
本実施形態においては、(1)空気入りタイヤの構成、(2)内部ゴム層21の詳細構成、(3)比較評価、(4)作用・効果、(5)その他の実施形態について説明する。
(1)空気入りタイヤの構成
図1は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤ1のトレッド幅方向及びタイヤ径方向に沿った一部断面図である。
空気入りタイヤ1は、タイヤがパンクしてもそのまま一定距離を安全に走行(ランフラット走行)できるランフラットタイヤである。なお、空気入りタイヤ1には、空気でなく、窒素ガスなどの不活性ガスを充填してもよい。
空気入りタイヤ1は、トレッド幅方向に離間して配置された一対の円環状のビードコア2,2と、これらのビードコア同士2,2をトロイダル状に結ぶタイヤの骨格となるカーカス3と、該カーカス3の幅方向中央部に配置されたクラウン部3aの上に配設されたベルト層4と、ベルト層4の幅方向端部を径外側から覆うベルト保護層5を備えている。
また、空気入りタイヤ1のトレッド幅方向の中央部には、カーカス3のクラウン部3a、ベルト層4、ベルト保護層5およびこれらを覆うトレッドゴムからなるトレッド部6が形成されている。トレッド部6には、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝7が形成され、トレッド部6の左右両側には、ショルダー部8,8、サイドウォール部9,9およびビード部10,10が一対に設けられている。
サイドウォール部9のトレッド幅方向内側には、断面が略三日月状に形成された補強ゴム層20が設けられている。補強ゴム層20は、タイヤ径方向外側の径外端20aの幅寸法が狭くなっており、この径外端20aからタイヤ径方向内側に向かうにつれて徐々に幅寸法が広がって形成され、タイヤの断面高さの略中央部分において最も幅寸法が大きくなり、径内端20bに向かうにつれて徐々に幅寸法が狭くなるように形成されている。
補強ゴム層20に、補強ゴム層20よりも硬度の低いゴムからなる内部ゴム層21を、補強ゴム層20のトレッド幅方向内側面から補強ゴム層20内部に向かい、かつタイヤ周方向に沿って連続して少なくとも1つ埋設している。内部ゴム層21は、タイヤ径方向に沿って少なくとも複数配設され、かつ、幅方向長さが略同一に設定されている。例えば、本実施形態においては、内部ゴム層21は、タイヤ径方向に沿って5本配設されている。なお、内部ゴム層21は、タイヤの最大幅位置を中心にタイヤ径方向に15mm間隔で3つ配置されていることが好ましい。
(2)内部ゴム層21の詳細構成
次に、内部ゴム層21について、図1、2を用いて更に説明をする。図2は、図1の内部ゴム層21を拡大して模式的に示した断面図である。
内部ゴム層21は、薄肉部21aと、厚肉部21bとから一体形成されている。薄肉部21aは、トレッド幅方向内側面から補強ゴム層20内部に向かい、タイヤ径方向断面形状が所定の厚さを有する。厚肉部21bは、薄肉部21aに連なる先端部のタイヤ径方向断面形状が円弧状である。
薄肉部21aは、タイヤ径方向の厚さが略一定である。厚肉部21bは、曲率直径がRの略円弧状に形成されている。なお、薄肉部21aの厚さWは、内部ゴム層21のタイヤ内側面からの深さhの5〜50%、厚肉部21bの曲率直径Rは、薄肉部21aの厚さWの2倍が好ましい。また、内部ゴム層21の硬度は、補強ゴム層20よりも低く(軟らかく)設定されている。具体的には、内部ゴム層21の硬度は、JIS−A硬さが40〜55に設定することが好ましく、補強ゴム層20の硬度はJIS−A硬さが75〜90に設定することが好ましい。さらに、内部ゴム層21のタイヤ内側面からの深さhは3mm以上で、かつ補強ゴム層20の暑さHの50〜80%であることが好ましい。
(3)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係る空気入りタイヤを用いて行った比較評価について説明する。具体的には、(3.1)評価方法、(3.2)評価結果について、説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
(3.1)評価方法
比較例および実施例に係る空気入りタイヤを用いて、(3.1.1)乗り心地性評価、(3.1.2)騒音性評価、(3.1.3)ランフラット耐久性評価を行った。空気入りタイヤに関するデータは、以下に示す条件において、測定された。
・ タイヤサイズ :225/50R18
・ リムホイールサイズ :JATMA規格に定める標準リム
・ 荷重条件 :最大負荷能力に相当する荷重
・ 内圧 :最大負荷能力に対応する空気圧
・ 評価車両 :FFセダン(排気量2000cc)
比較例に係る空気入りタイヤ101は、図3に示すように、補強ゴム層120に内部ゴム層を設けていない。実施例に係る空気入りタイヤは、実施形態に係る空気入りタイヤ1と同一のタイヤである。
(3.1.1)乗り心地性評価
評価方法;平滑なドラム上に設置された矩形のクリートを乗り越えたときのタイヤ上下方向における、軸力のP−P(Peak to Peak値)を測定した。なお、比較例の評価結果を100として、他の評価結果を指数化して示した。評価結果は、数値が大きい程、乗り心地が優れることを示す。
(3.1.2)騒音性評価
評価方法;各空気入りタイヤを装着した車両を用いて、ロードノイズ試験路を走行し、運転者の耳元測近音を測定する車内音計測を行った。
(3.1.3)ランフラット耐久性評価
評価方法;各空気入りタイヤを装着した車両を用いて、ISO規格で規定される条件(室温が30°、荷重が正規荷重の65%、および速度が80km/h)のもとで車両を走行させて、タイヤが損傷するまでの走行距離を測定した。
(3.2)評価結果
各空気入りタイヤの評価結果について、表1を参照しながら説明する。
Figure 2011140250
表1に示すように、実施例に係る空気入りタイヤは、比較例に係る空気入りタイヤに対して、ランフラット耐久性が同等で、低振動騒音性および乗り心地性が良好であることが確認された。
(4)作用・効果
以上説明したように、本実施形態によれば、内部ゴム層21は、タイヤ内側面側から補強ゴム層20内部に向かう薄肉部21aと、薄肉部21aに連なり、先端部の形状が円弧状の厚肉部20bとからなる。このため、補強ゴム層20に形成される凹部の最深部は、角部がない円弧状の曲面になり、タイヤ転動時に応力が集中する部位がなくなる。これにより、補強ゴム層20内部からの破壊が生じることが抑制され、例えば、補強ゴム層20や内部ゴム層21に亀裂等の破損が発生することがなくなる。すなわち、タイヤのランフラット耐久性を効果的に向上させることができる。
さらに、補強ゴム層20のうち内部ゴム層21以外の部位は、硬度が高いため、補強ゴム層20の剛性を保持できる。また、通常走行時における路面入力による振動は、硬度が低い内部ゴム層21によって十分に吸収することができる。このため、乗り心地性能を維持できる。従って、乗り心地性能を維持しつつ、ランフラット耐久性を更に向上させた空気入りタイヤ1を提供できる。
なお、内部ゴム層21は、タイヤ周方向に沿って連続して一体形成されているため、押出成形によって補強ゴム層20と同時に成形することも可能なため、高い生産性を維持することができる。
本実施形態によれば、内部ゴム層21の埋設深さhは、補強ゴム層20のトレッド幅方向厚さHの50〜80%にしている。したがって、内部ゴム層21の埋設深さhを補強ゴム層20のトレッド幅方向厚さHの50%以上とすることで、乗り心地を十分に改善でき、また、内部ゴム層21の埋設深さhを補強ゴム層20のトレッド幅方向厚さHの80%以下とすることで、ランフラット耐久性が不足することを防止できる。
なお、内部ゴム層21のタイヤ内側面からの深さhが、補強ゴム層20の厚さHの50%未満の場合は、車両の乗り心地の改善が不十分であり、80%を超えるとランフラット耐久性が不足する可能性がある。
また、ランフラット耐久性の向上を考慮して、内部ゴム層21の埋設深さhは、3mm以上、薄肉部21aの厚さWは、内部ゴム層21の埋設深さhの5〜50%、厚肉部21bの直径Rは、前記薄肉部21aの厚さWの2倍にしている。
さらに、ランフラット耐久性の向上を考慮して、内部ゴム層21は、タイヤ最大幅位置を中心に15mm間隔で少なくとも3つ配置している。
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。上述した実施形態では、内部ゴム層21の埋設深さは、補強ゴム層20のトレッド幅方向の厚さの50〜80%であるが、本発明は、これに限られず、この範囲以外であっても構わない。
上述した実施形態では、内部ゴム層21の埋設深さは3mm以上、薄肉部21aの厚さは、内部ゴム層21の埋設深さの5〜50%、厚肉部21bの直径は、薄肉部21aの厚さの2倍であるが、本発明は、これに限られず、この範囲以外であっても構わない。
上述した実施形態では、内部ゴム層21は、タイヤ最大幅位置を中心に15mm間隔で少なくとも3つ配置されているが、これに限られず、この間隔以外でも構わないし、3つ配置されていなくてもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
R…曲率直径、R…直径、1…空気入りタイヤ,2…ビードコア、3…カーカス、3a…クラウン部、4…ベルト層、5…ベルト保護層、6…トレッド部、7…周方向溝、8…ショルダー部、9…サイドウォール部、10…ビード部、20…補強ゴム層、20a…径外端、20b…厚肉部、20b…径内端、21…内部ゴム層、21a…薄肉部、21b…厚肉部、101…空気入りタイヤ、120…補強ゴム層

Claims (2)

  1. サイドウォール部におけるトレッド幅方向内側に、前記サイドウォール部を補強する補強ゴム層が設けられ、前記補強ゴム層に、前記補強ゴム層よりも硬度の低いゴムからなる内部ゴム層を、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側面から前記補強ゴム層内部に向かい、かつタイヤ周方向に沿って連続して少なくとも1つ埋設した空気入りタイヤにおいて、
    前記内部ゴム層は、前記補強ゴム層のトレッド幅方向内側面から前記補強ゴム層内部に向かい、タイヤ径方向断面形状が所定の厚さを有する薄肉部と、前記薄肉部に連なり、先端部のタイヤ径方向断面形状が円弧状の厚肉部とからなる空気入りタイヤ。
  2. 前記内部ゴム層の埋設深さは、前記補強ゴム層のトレッド幅方向の厚さの50〜80%である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20130056127A1 (en) * 2011-09-02 2013-03-07 Damien Albert Ghislain Schreurs Self-supporting pneumatic tire
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