JP2011140145A - 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】共通液室から複数の圧力室に液体が分配される構成において、噴射特性を良好にすることが可能な液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジ等のインク供給源からのインクが導入されるインク導入路と、複数の圧力室に供給するインクが導入される共通液室32との間に両者に連通する中間液室30が形成され、中間液室は、インク導入路に通じる導入口31と、共通液室側に開口する噴出口40と、を有し、噴出口は、共通液室の一端部から他端部まで圧力室列設方向に沿って形成された。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッド、及び、これを備えた液体噴射装置に関するものであり、特に、液体導入路、共通液室、個別供給路、及び圧力室を通ってノズルに至る一連の液体流路を有する液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射させる装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドから液体状のインクをインク滴として噴射させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶パネル向けのカラーフィルター、有機EL素子、薄膜トランジスターの形成等にも液体噴射ヘッドが応用されている。
上記の液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッドには、インクの種類(色など)毎に、複数のノズルからなるノズル群(ノズル列)が設けられており、各ノズルはそれぞれに対応する圧力室に連通している。また、記録ヘッドには、複数の圧力室に分配するためのインクが導入される共通液室(リザーバー又はマニホールドとも言う)が設けられている。この共通液室は、平面視で圧力室の列設方向に延びており、所定の幅(圧力室列設方向に直交する方向の幅)と深さを持った空部となっている。一般的な共通液室では、液体導入路との接続口である導入口が圧力室列設方向の中央部に位置付けられている。そして、インクカートリッジなどの液体供給源からのインクが液体導入路を通じて共通液室に導入され、この共通液室から個別供給路を通じて各圧力室に分配されるようになっている。そして、圧電素子などの圧力発生手段を駆動することにより圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズルからインクを噴射する(例えば、特許文献1参照)。
上記共通液室を有する記録ヘッドでは、インク流路内に気泡が侵入すると、この気泡によりインク噴射時の圧力変化が吸収されたりすることによって、ノズルから噴射されるインクの飛翔速度や量が低下する等の噴射不安定が生じる虞があるため、液体導入路の構造や共通液室の形状を工夫することにより、気泡の排出性が高められている。例えば、共通液室の平面形状に関し、圧力室列設方向の両端に向かう程、圧力室列設方向に直交する方向の幅が次第に狭くなるように両端側をテーパー形状にすることで、共通液室の両端部で気泡が滞留しないように構成されている。
特開2003−063010号公報
図6は従来の共通液室周辺の構成の一例を示す平面図である。従来の共通液室では、導入口52から導入されたインクの流れが、圧力室列設方向の端部に向けて流線A及びBのようになる。このような従来の構成では以下のような問題があった。共通液室51において、例えば、ある圧力室53に通じる個別供給路54が気泡Xにより塞がれている場合、この圧力室53に対応するノズル55におけるインクの噴射が不安定になる虞があるが、この気泡Xが導入口52から共通液室51の端部へ流れるインクの流線Aに乗って他の圧力室の個別供給路まで移動した場合、当該圧力室に対応するノズルにおけるインクの噴射が不安定になってしまう。即ち、気泡の移動により噴射の不安定なノズルが伝播するという問題がある。また、導入口52からより遠い位置、即ち、圧力室列設方向の端部にある圧力室では、導入口から流れてくる過程で生じる圧力損失により、導入口52に近い圧力室と比べてインクの噴射が不安定になる虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、共通液室から複数の圧力室に液体が分配される構成において、噴射特性を良好にすることが可能な液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体導入路、共通液室、個別供給路、及び圧力室を通ってノズルに至る一連の液体流路を有し、前記液体導入路を通じて液体供給源からの液体を前記共通液室に導入し、当該共通液室の液体を、前記個別供給路を通じて複数の圧力室に分配し、圧力発生手段の駆動により圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
前記液体導入路と前記共通液室との間に両者に連通する中間液室が形成され、
前記中間液室は、前記液体導入路に通じる導入口と、前記共通液室側に開口する噴出口と、を有し、
前記噴出口は、前記圧力室列設方向に沿って形成されたことを特徴とする。
上記構成において、前記噴出口における圧力損失が、前記導入口から前記中間液室の圧力室列設方向における端部に至るまでの圧力損失よりも大きい構成を採用することが望ましい。
本発明によれば、液体導入路と共通液室との間に中間液室が形成され、この中間液室が導入口と噴出口を有し、噴出口が圧力室列設方向に沿って形成されたので、中間液室側から噴出口を介して共通液室側に供給された液体は、中間液室を有さない従来の構成と比較して、各個別供給路に向けて圧力室列設方向に直交する方向(圧力室長手方向)に対してより平行に近い流れとなる。その結果、共通液室において圧力室列設方向に沿った液体の流れが生じ難くなり、共通液室内に気泡が侵入したとしても、当該気泡が液体の流れに乗って個別供給路間を移動することが抑制され、噴射が不安定なノズルが伝播することが防止される。また、各個別供給路に対してより均一な流速で液体が供給されるので、圧力室列設方向の端部に位置する圧力室に対応するノズルから噴射される液体の量や飛翔速度が、中央部のノズルの場合と比べて低下する不具合が防止される。したがって、本発明によれば、各ノズルにおける噴射特性を良好にすることが可能となる。
また、上記構成において、前記噴出口の圧力室列設方向における端部の圧力損失が、当該噴出口の圧力室列設方向における中央部の圧力損失よりも小さい構成を採用することができる。
この構成によれば、噴出口の圧力室列設方向端部の圧力損失が、噴出口の圧力室列設方向中央部の圧力損失よりも小さくすることにより、導入口から遠い圧力室列設方向端部での液体の供給圧力が、中央部と比べて低下することがより確実に抑制される。その結果、圧力室列設方向端部に位置する圧力室に対応するノズルから噴射される液体の量や飛翔速度等の噴射特性が低下することがより確実に防止される。
また、上記各構成において、前記共通液室の圧力室列設方向の端面と前記中間液室の圧力室列設方向の端面とが同一面上に揃っている構成を採用することが望ましい。
さらに、上記各構成において、前記共通液室の圧力室列設方向の端面が、前記個別供給路に対して平行である構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、共通液室の圧力室列設方向の両端面が、個別導入路に対して平行であるので、従来の共通液室のように圧力室列設方向の両端部がテーパー形状となっている構成と比較して、共通液室における圧力室列設方向両端部の液体の流れを個別導入路に対してより平行に近づけることができる。
また、上記構成において、前記噴出口の底部と前記個別供給路の底部とが同一面上にあることが望ましい。
この構成によれば、噴出口の底部と個別供給路の底部とが同一面上にあるので、噴出口をエッチング処理によって形成する際には、個別供給路と同時に加工することができる。
上記各構成において、前記噴出口が、前記共通液室の一端部から他端部まで前記圧力室列設方向に沿ってスリット状に形成される構成を採用することができる。
また、前記噴出口は、前記圧力室列設方向に沿って圧力室毎に対応して形成された複数の開口から成る構成を採用することも可能である。
また、本発明の液体噴射装置は、上記各構成の液体噴射ヘッドの何れかを備えることを特徴とする。
本発明によれば、中間液室側から噴出口を介して共通液室側に供給された液体は、中間液室を有さない従来の構成と比較して、各個別供給路に向けて圧力室列設方向に直交する方向に対してより平行に近い流れとなる。その結果、共通液室において圧力室列設方向に沿った液体の流れが生じ難くなり、共通液室内に気泡が侵入したとしても、当該気泡が液体の流れに乗って個別供給路間を移動することが抑制され、噴射が不安定なノズルが伝播することが防止される。また、各個別供給路に対してより均一な流速で液体が供給されるので、圧力室列設方向の端部に位置する圧力室に対応するノズルから噴射される液体の量や飛翔速度が、中央部のノズルの場合と比べて低下する不具合が防止される。したがって、本発明によれば、各ノズルにおける噴射特性を良好にすることが可能となる。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 記録ヘッドの要部断面図である。 共通液室周辺の構成を説明する図である。 第2の実施形態における構成を説明する断面図である。 第3の実施形態における構成を説明する断面図である。 従来の記録ヘッドの共通液室周辺の構成を説明する図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、このプリンター1の基本構成を説明する斜視図である。この図1に示すように、プリンター1は、ガイド軸2に取り付けられたキャリッジ3を有し、その下面には記録ヘッド4(本発明の液体噴射ヘッドの一種)が取り付けられている。また、このキャリッジ3にはインクカートリッジ10(液体供給源の一種)が着脱可能に保持される。そして、キャリッジ3は、キャリッジモーター5の回転軸に接合された駆動プーリー6と遊転プーリー7との間に掛け渡されたタイミングベルト8に接続されており、キャリッジモーター5の駆動によって記録用紙9の幅方向(主走査方向)に移動する。即ち、キャリッジモーター5、駆動プーリー6、遊転プーリー7、及びタイミングベルト8によりキャリッジ移動機構が構成される。
上記のインクカートリッジ10は、インク(本発明の液体の一種)を貯留する貯留部材である。このインクは、インク溶媒中に色材を溶解或いは分散させたものであり、例えば、色材として顔料や染料が用いられ、インク溶媒として水が用いられる。そして、このインクカートリッジ10がキャリッジ3に装着されると、記録ヘッド4のインク供給針(図示せず)がインクカートリッジ10内に挿入される。このインク供給針は記録ヘッド4内部のインク流路(液体流路の一種)に連通されているため、インク供給針が挿入されると、インクカートリッジ10内のインクが記録ヘッド4内に供給される状態となる。なお、インクカートリッジとしては、プリンター本体(筐体)側に配置されてインク供給チューブを通じて記録ヘッド4に供給するタイプを採用することもできる。
また、ガイド軸2の下方には、プラテン11が設けられている。このプラテン11は、記録用紙9を下方から支持する板状部材である。このプラテン11にはスポンジ等の吸液部材12が配設されている。また、この吸液部材12よりも紙送り上流側には、ガイド軸2と平行に紙送りローラー13が配置されている。この紙送りローラー13は、記録用紙9の搬送時において、紙送りモーター14(ステッピングモーター又はDCモーター)からの駆動力によって回転される。即ち、紙送りローラー13及び紙送りモーター14により紙送り機構が構成される。
キャリッジ3の移動範囲内であってプラテン11よりも外側の位置には、ホームポジションが設定されている。記録ヘッド4は、待機状態においてホームポジションに位置付けられる。このホームポジションには、記録ヘッド4のノズル形成面を払拭するためのワイパー機構15と、非記録状態においてノズル形成面を封止可能なキャッピング機構16とがガイド軸2に沿って横並びに配設されている。
図2は記録ヘッド4の構成を説明する要部断面図である。例示した記録ヘッド4は、複数の圧電素子20、固定板21、及び、フレキシブルケーブル22等をユニット化したアクチュエーターユニット23と、このアクチュエーターユニット23を収納可能なケース24と、ケース24の底面に接合される流路ユニット25と、を備えている。
ケース24は、内部に収納空部26が形成された合成樹脂製のブロック状部材である。収納空部26は、アクチュエーターユニット23を収納するための空部であり、固定板21を収納空部26の内壁面に接着することでアクチュエーターユニット23が収納空部26内に収納固定されている。この収納状態において、圧電素子20の自由端部の先端面は収納空部26の底面側開口に臨み、流路ユニット25の島部28に接合されている。また、このケース24には、上面側から流路ユニット25の中間液室30(後述)までの間を連通するインク導入路29(液体導入路の一種)を、ケース24の高さ方向を貫通させた状態で設けられている。このインク導入路29の上流側は図示しないインク供給針に連通し、下流側は流路ユニット25の中間液室30に導入口31を通じて連通している。そして、インクカートリッジ10などの液体供給源からインク供給針を通じて導入されたインクは、中間液室30を介して共通液室32側に供給される。
アクチュエーターユニット23の圧電素子20は、数10μm〜100μm程度の幅に切り分けられた櫛歯状に形成されている。そして、各圧電素子20は、固定板21の固定板先端面(ケース24への取り付け状態における流路ユニット25側の端面)よりも自由端部を外側に突出させた所謂片持ち梁の状態で基端部を固定板21に固定している。この圧電素子20は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成された積層型であって、電界方向に直交する縦方向(素子長手方向)に伸縮可能なタイプの圧電素子である。従って、圧電素子20は、充電により自由端部が振動子長手方向に収縮し、放電により自由端部が振動子長手方向に伸長する。また、フレキシブルケーブル22は、各圧電素子20の基端部に電気的に接続されている。
流路ユニット25は、ノズル基板33を流路基板34の一方の表面に配置し、振動板37をノズル基板33とは反対側となる他方の表面に配置して接着等によって一体化することで構成されている。ノズル基板33は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル35を列状に開設したステンレス鋼製或いは有機プラスチックフィルム製の薄手のプレートである。本実施形態では、例えば180dpiのピッチで180個のノズル35を開設し、これらのノズル35によってノズル列(ノズル群の一種)を構成している。流路基板34は、ノズル基板33の各ノズル35に対応させて圧力室36となる空部を隔壁で区画した状態で複数形成されたシリコン単結晶基板からなる部材である。また、本実施形態における流路基板34には、圧力室36となる空部の他、圧力室毎に設けられた個別供給路39、各圧力室36にそれぞれの個別供給路39を介して連通する共通液室32、及び、インク導入路29に連通する導入口31と共通液室32との間に設けられた中間液室30となる空部がエッチングによって形成されている。なお、これらの圧力室36、個別供給路39、共通液室32、及び、中間液室30は、それぞれ異なる部材に形成される場合もある。
圧力室36は、ノズル35の列設方向に対して直交する方向に細長い空部であり、流路基板34の上面(振動板37が接合される側の面)から基板厚さ方向の途中までエッチング処理により形成されている。そして、圧力室36の長手方向(圧力室列設方向と直交する方向)の一端部には板厚方向を貫通させてノズル連通口38が設けられている。このノズル連通口38は、流路基板34の板厚方向を貫通させて形成されており、圧力室36とノズル35との間を連通する。また、個別供給路39は、圧力室36の長手方向他端と共通液室32との間に形成された溝状の空部であり、その深さは圧力室36の深さに揃えられる一方で、その流路幅は圧力室36の幅よりも十分に狭くなっている。
振動板37は、ステンレス等の支持板42上にPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂フィルムからなる弾性体膜43をラミネート加工した二重構造であり、圧力室36の一方の開口面を封止するダイヤフラム部と共通液室32の一方の開口面を封止するコンプライアンス部とを備えている。そして、ダイヤフラム部は、圧力室36に対応した部分の支持板42を環状にエッチング加工することで作製され、環内に島部28を形成している。また、コンプライアンス部は、共通液室32に対応する部分の支持板42をエッチング加工で除去して弾性体膜43だけにすることで作製されている。
上記構成の記録ヘッド4では、圧電素子20を振動子長手方向に伸長させることで、島部28がノズル基板33側に押圧される。この押圧によって、ダイヤフラム部を構成する弾性体膜43が変形し、圧力室36が収縮する。また、圧電素子20を振動子長手方向に収縮させると、弾性体膜43の弾性により圧力室36が膨張する。そして、圧力室36の膨張や収縮によって内部のインク圧力が変動するので、膨張や収縮を制御することにより、ノズル35からインク滴(液滴の一種)を吐出させることができる。
次に、本発明に係る記録ヘッド4の特徴部分について説明する。
図3は、導入口31からノズル35に至るまでのインク流路の構成を説明する図であり、(a)は流路基板34の要部平面図、(b)は(a)におけるA−A′線断面図である。なお、図3は、圧力室列設方向における中央部に配置された導入口31から略右半分(圧力室列設方向における他端側の半分)の構成を図示しており、左半分(一端側の半分)の構成は右半分の構成と対称となっている。本発明に係る記録ヘッド4は、インク導入路29との接続口である導入口31と共通液室32との間に、中間液室30が設けられている点が特徴となっている。
まず、共通液室32について説明する。本実施形態における共通液室32は、流路基板34を貫通する状態で形成された、圧力室列設方向に延びる平面視矩形の空部であり、個別供給路39を通じて各圧力室36と連通している。この共通液室32の上面(振動板37側の面)の開口部分は、流路基板34に接合された振動板37の弾性体膜43によって封止され、この部分がコンプライアンス部となっている(図2参照)。この上面とは反対側の下面の開口部分は、流路基板34に接合されたノズル基板33により封止されている。即ち、ノズル基板33は、共通液室32の底部としても機能する。共通液室33の圧力室列設方向における両端面(両側面)45は、当該圧力室列設方向の両端部に配置されている個別供給路39よりも僅かに外側に位置するように形成されている。これらの両端面45は、圧力室列設方向に直交する方向(圧力室36の長手方向)、即ち、個別供給路39の流路の側壁に平行な面となっている。そして、共通液室32の圧力室36側の面には、一端で圧力室36に通じる各個別供給路39の他端が開口している。
中間液室30は、共通液室32と同様に流路基板34を貫通する状態で形成された、圧力室列設方向に延びる平面視矩形の空部である。中間液室30の上面の開口部分は、流路基板34に接合された振動板37の弾性体膜43及び支持板42によって封止されている(図2参照)。振動板37における中間液室30に対応する位置には、導入口31が開設され、この導入口31にケース24のインク導入路29が液密状態で接続される。なお、導入口31は振動板37に設けられているが、中間液室30を区画する部分に開設されているので、中間液室30が導入口31を有すると言える。中間液室30の下面の開口部分は、流路基板34に接合されたノズル基板33により封止される。この中間液室30の圧力室列設方向の長さは、共通液室32の当該方向の長さに揃えられている。このため、中間液室30の圧力室列設方向の両端面46は、共通液室32の両端面45と同一面上で揃っている。その一方で、圧力室列設方向に直交する方向の中間液室30の幅は、共通液室32の幅よりも十分に短くなっている。これにより、中間液室30の容積は、共通液室32の容積よりも小さくなっている。なお、中間液室30に関し、流路基板34を貫通する状態で形成されていなくても良く、流路基板34の板厚方向の途中まで形成される構成を採用することも可能である。
中間液室30と共通液室32とは隔壁47によって仕切られている。図3(b)に示すように、この隔壁47には、共通液室32の一端部から他端部まで圧力室列設方向に沿ってスリット状に形成された噴出口40が設けられている。この噴出口40は、上面側(振動板37側)から下面側に流路基板34の板厚方向の途中までエッチング処理等によって切り欠かれることで作製されている。この噴出口40の圧力室列設方向の両端面(両側面)48は、共通液室32の両端面45及び中間液室30の両端面46と同一面上に揃えられている。また、噴出口40の底面は、個別供給路39の流路底面と同一面上に揃えられている。したがって、噴出口40をエッチング処理によって形成する際には、圧力室36や個別供給路39と同時に加工することができる。この噴出口40は、中間液室30から共通液室32に流れるインクに対して流路抵抗を付与する。そして、噴出口40における圧力損失が、導入口31から中間液室30の圧力室列設方向における端部に至るまで(図3(a)における破線の矢印)の圧力損失よりも大きくなるように、噴出口40の寸法(或いは断面積)が設定されている。
上記構成の記録ヘッド4において、インク供給針側から導入されてインク導入路29を流下してきたインクは、導入口31を通じて中間液室30に流入した後、噴出口40を介して共通液室32側に供給される。ここで、上記のように噴出口40における圧力損失が大きくなるように設定されているので、導入口31から中間液室30に流入したインクは、中間液室30内において導入口31からの距離に拘わらず圧力が概ね均一に高められた状態で噴出口40から共通液室32側に供給(噴射)される。これにより、噴出口40から共通液室32側に流入したインクは、中間液室30を有さない従来の構成と比較して、図3(a)における実線の矢印で示すように各個別供給路39に向けて圧力室列設方向に直交する方向(圧力室36の長手方向)に対してより平行に近い流れとなる。その結果、共通液室32において圧力室列設方向に沿ったインクの流れが生じ難くなり、これにより、共通液室32内に気泡が侵入したとしても当該気泡がインクの流れに乗って個別供給路39間を移動することが抑制され、気泡によって噴射が不安定となるノズル35が伝播することが防止される。
また、各個別供給路39に対してより均一な流速でインクが供給されるので、圧力室列設方向の端部に位置する圧力室36に対応するノズル35で噴射されるインクの量や飛翔速度等が、圧力列設方向中央部のノズル35の場合と比べて低下する不具合が防止される。したがって、本発明によれば、各ノズルにおける噴射特性を良好にすることが可能となる。
さらに、中間液室30では導入口31からの距離に拘わらずインクの圧力を均一に近づけることができるので、導入口31の位置が、中間液室30における圧力室列設方向の中央部に限られず、導入口31の配置の自由度、ひいてはインク導入路29の配置自由度が高まる。
そして、本実施形態においては、共通液室32の両端面45が、圧力室列設方向に直交する方向、即ち、個別導入路39の流路に平行であるので、従来の共通液室のように圧力室列設方向の両端部がテーパー形状となっている構成と比較して、共通液室32における圧力室列設方向両端部のインクの流れを圧力室列設方向に直交する方向に対してより平行に近づけることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態の構成について説明する噴出口40′における断面図である。本実施形態においては、導入口31からの距離に応じて噴出口40′のスリット幅を変えている点が、上記第1の実施形態と異なる。なお、その他の構成については上記第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。同図に示すように、噴出口40′は、導入口31から比較的近い中央部分のスリット幅D1に対し、導入口31から遠い端部側のスリット幅D2が大きくなるような形状に形成されている。これにより、噴出口40′の圧力室列設方向端部の圧力損失が、噴出口40′の圧力室列設方向中央部の圧力損失よりも小さくなる。このため、導入口40′から遠い圧力室列設方向端部でのインクの供給圧力が、中央部と比べて低下することがより確実に抑制される。その結果、圧力室列設方向端部に位置する圧力室36に対応するノズル35から噴射されるインクの量や飛翔速度等の噴射特性が低下することがより確実に防止される。なお、図4では、噴出口40′のスリット幅が2段階に異なる例を示したが、これには限られず、中央部から端部に向かうに連れてスリット幅が段階的に大きくなるように、3段以上で多段変化させるようにしても良い。
図5は、本発明の第3の実施形態の構成について説明する噴出口40″における断面図である。本実施形態においては、噴出口40″が圧力室列設方向に沿って形成された複数の開口部から成る点が上記第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。その他の構成については上記第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。同図に示すように、各噴出口40″は、矩形の開口から成り、各圧力室36にそれぞれ対応する位置に設けられている。このように噴出口40″を圧力室に対応させて複数設けることにより、個別に開口寸法を設定することができるので、上記第2の実施形態と比較してより適切な圧力損失に設定することが可能となる。勿論、各噴出口40″の寸法を一律に揃える構成を採用することもできる。
なお、本発明は、複数の圧力室に供給するためのインクが導入される共通液室を有する構成であれば、上記各実施形態で例示した記録ヘッド4以外の構造の記録ヘッドにも適用することができる。例えば、所謂撓み振動型の圧電素子が各圧力室に対して個別に設けられるタイプの記録ヘッドや圧電振動子が電界によりせん断変形するタイプの記録ヘッドにも本発明を適用することができる。また、インクを噴射する記録ヘッドには限られず、他の液体噴射ヘッド、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
1…プリンター,4…記録ヘッド,20…圧電素子,29…インク導入路,30…中間液室,31…導入口,32…共通液室,35…ノズル,36…圧力室,39…個別供給路,40…噴出口,45…共通液室端面,46…中間液室端面,47…隔壁,48…噴出口両端面

Claims (9)

  1. 液体導入路、共通液室、個別供給路、及び圧力室を通ってノズルに至る一連の液体流路を有し、前記液体導入路を通じて液体供給源からの液体を前記共通液室に導入し、当該共通液室の液体を、前記個別供給路を通じて複数の圧力室に分配し、圧力発生手段の駆動により圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
    前記液体導入路と前記共通液室との間に両者に連通する中間液室が形成され、
    前記中間液室は、前記液体導入路に通じる導入口と、前記共通液室側に開口する噴出口と、を有し、
    前記噴出口は、前記圧力室列設方向に沿って形成されたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記噴出口における圧力損失が、前記導入口から前記中間液室の圧力室列設方向における端部に至るまでの圧力損失よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記噴出口の圧力室列設方向における端部の圧力損失が、当該噴出口の圧力室列設方向における中央部の圧力損失よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記共通液室の圧力室列設方向の端面と前記中間液室の圧力室列設方向の端面とが同一面上に揃っていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記共通液室の圧力室列設方向の端面が、前記個別供給路に対して平行であることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記噴出口の底部と前記個別供給路の底部とが同一面上にあることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記噴出口は、前記共通液室の一端部から他端部まで前記圧力室列設方向に沿ってスリット状に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 前記噴出口は、前記圧力室列設方向に沿って圧力室毎に対応して形成された複数の開口から成ることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 請求項1から請求項8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを有することを特徴とする液体噴射装置。
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