JP2011139748A - 放射線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮明なサブトラクション画像を簡便に取得することができる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明の構成によれば、まず、リアルタイム撮影を行って、リアルタイム検出データLを取得し、その後に、診断用の静止撮影を行って静止検出データSの取得を行う。本発明の構成では、静止撮影は、リアルタイム撮影によって得られた予測時刻からリアルタイム撮影によって得られた推定照射時間だけ早いタイミングでX線の照射が開始される。この様にすることで、被検体Mの心臓の運動によるブレのないサブトラクション画像が取得できる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の構成によれば、まず、リアルタイム撮影を行って、リアルタイム検出データLを取得し、その後に、診断用の静止撮影を行って静止検出データSの取得を行う。本発明の構成では、静止撮影は、リアルタイム撮影によって得られた予測時刻からリアルタイム撮影によって得られた推定照射時間だけ早いタイミングでX線の照射が開始される。この様にすることで、被検体Mの心臓の運動によるブレのないサブトラクション画像が取得できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射線源と放射線検出器とが設けられた放射線撮影装置に関し、特に、骨組織、軟組織を強調するサブトラクション処理を行うことができる放射線撮影装置に関する。
医療機関には、被検体の放射線画像を取得する放射線撮影装置が備えられている。このような放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出器とを備えている(たとえば特許文献1参照)。
従来の放射線撮影装置の構成について説明する。従来の放射線撮影装置は、放射線源と放射線検出器と、画像生成部と、重ね合わせ部とを備えている。このような放射線撮影装置は、2回の撮影を行って、撮影で得られて2枚の透視画像の差分をとることで単一のサブトラクション画像を生成する構成となっている。
1回目の撮影と2回目の撮影とでは、放射線源の出力が異なる。1回目の撮影においては、放射線源の出力は高出力となっており、2回目の撮影においては、放射線源の出力は低出力となっている。どちらの撮影においても、被検体の骨組織と軟組織とが写り込んでいる。
1回目の撮影において放射線の透過の程度が骨組織と軟組織とで異なっている。同様に、2回目の撮影においても放射線の透過の程度は骨組織と軟組織とで異なっている。そして、1回目の撮影における放射線の透過の異なり方と、2回目に撮影における放射線の透過の異なり方は、一致していない。たとえば、高出力条件の1回目の撮影においては、骨組織の部分と軟組織の部分とで相当の画素値の違いが見られるにもかかわらず、低出力条件の2回目の撮影においては、骨組織の部分と軟組織の部分とであまり画素値の違いが見られないといった現象が起こる。このような特性を有する2枚の画像の差分をとると、たとえば、2枚の画像に写り込んでいる軟組織の部分が相殺され、骨組織の部分が強調され、骨組織がより鮮明に写り込んだサブトラクション画像が取得できる。
2枚の画像に階調補正を行って重ね合わせるようにすれば、軟組織の部分がより鮮明に写り込んだサブトラクション画像を取得することもできる。
しかしながら、従来構成の放射線撮影装置には次のような問題点がある。
すなわち、従来構成の放射線撮影装置は、最初の撮影と次の撮影の間に被検体が動いてしまい、その影響でサブトラクション画像がブレてしまうという問題がある。1回目の撮影において写り込む被検体の位置と、2回目の撮影において写り込む被検体の位置とが互いに異なると、被検体の位置がズレたまま重ねられてサブトラクション画像が取得されるので、得られたサブトラクション画像がブレてしまうのである。
すなわち、従来構成の放射線撮影装置は、最初の撮影と次の撮影の間に被検体が動いてしまい、その影響でサブトラクション画像がブレてしまうという問題がある。1回目の撮影において写り込む被検体の位置と、2回目の撮影において写り込む被検体の位置とが互いに異なると、被検体の位置がズレたまま重ねられてサブトラクション画像が取得されるので、得られたサブトラクション画像がブレてしまうのである。
撮影時において、被検体に対して動かないように指示を与えたとしても、被検体の心臓の拍動によって、被検体の内部は絶えず動き続けている。これを無視して撮影を行ってしまうと、鮮明なサブトラクション画像を取得することができない。
そこで、従来構成においては、心電によって心拍数を知ることで、被検体の内部が同じ形状になる周期を把握し、この周期ごとに撮影を行うようにしている。すなわち、心臓が最も拡張するとともに、1回目の撮影が開始され、心臓が再び同じ状態になった時点で2回目の撮影が開始されるのである。
このような方法で取得されたサブトラクション画像は、やはりブレている。各撮影の終わりの時点で比較すると、心臓の状態は一致していないからである。従来構成によれば、1回目の撮影と2回目の撮影とでは、放射線の照射の開始のタイミングが同一となっているに過ぎず、1回目の撮影と2回目の撮影とが心臓が同じ形状となったときに行われる保証はない。
また、従来構成の放射線撮影装置は、心電を計測する必要があり、動作が煩雑である。大型の医療機関のように、単一の装置で多くの透視画像の撮影を行わなければならない場合、このような構成は望ましくない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は鮮明なサブトラクション画像を簡便に取得することができる放射線撮影装置を提供することにある。
本発明は、上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線源に放射線照射の指示を行う放射線源制御手段と、放射線を検出する放射線検出手段とを備え、放射線検出手段は、放射線源が間欠的にあるいは連続的に放射線を照射することでリアルタイム検出データを出力し、放射線源が単発の放射線を照射することで静止検出データを出力する放射線撮影装置において、被検体を透過してきた放射線線量が静止検出データの取得にどの程度必要であるかを示す必要透過線量を記憶する記憶手段と、被検体において周期的に大きさが変動する動的部分の変化の周期を基に、被検体の動的部分が所定の状態となる時刻を予測時刻として予測する時刻予測手段と、リアルタイム検出データと必要透過線量とから、静止検出データの取得時における放射線の照射時間を推定照射時間として推定する照射時間推定手段と、静止検出データを基に静止画像を生成する画像生成手段と、異なる時点で撮影された静止画像同士を重ね合わせて重合画像を生成する画像重合手段とを備え、静止検出データは、放射線源制御手段が予測時刻から推定照射時間に基づいて算出した所定の時間だけ早いタイミングで放射線の照射を開始するように放射線源を制御することにより取得されることを特徴とするものである。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線源に放射線照射の指示を行う放射線源制御手段と、放射線を検出する放射線検出手段とを備え、放射線検出手段は、放射線源が間欠的にあるいは連続的に放射線を照射することでリアルタイム検出データを出力し、放射線源が単発の放射線を照射することで静止検出データを出力する放射線撮影装置において、被検体を透過してきた放射線線量が静止検出データの取得にどの程度必要であるかを示す必要透過線量を記憶する記憶手段と、被検体において周期的に大きさが変動する動的部分の変化の周期を基に、被検体の動的部分が所定の状態となる時刻を予測時刻として予測する時刻予測手段と、リアルタイム検出データと必要透過線量とから、静止検出データの取得時における放射線の照射時間を推定照射時間として推定する照射時間推定手段と、静止検出データを基に静止画像を生成する画像生成手段と、異なる時点で撮影された静止画像同士を重ね合わせて重合画像を生成する画像重合手段とを備え、静止検出データは、放射線源制御手段が予測時刻から推定照射時間に基づいて算出した所定の時間だけ早いタイミングで放射線の照射を開始するように放射線源を制御することにより取得されることを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明の構成によれば、まず、低線量でリアルタイム撮影を行って、リアルタイム検出データを取得し、その後に、高線量で診断用の静止撮影を行って静止検出データの取得を行う。リアルタイム撮影は、静止撮影の撮影条件を決定する前準備として行われる。リアルタイム撮影においては、被検体の動的部分が所定の状態となる時刻の予測と、静止撮影時における放射線の照射時間の推定とが行われる。時刻の予測は、時刻予測手段により行われ、照射時間の推定は、照射時間推定手段によって行われる。
そして、静止撮影においては、放射線の照射は、予測時刻から推定照射時間だけ早いタイミングで開始される。この様にすることで、静止撮影時の放射線照射は、被検体の動的部分が所定の状態となっている時点で終了する。この様な静止撮影を複数回に亘って行えば、取得された静止画像には、被検体の動的部分が同一の形状で写り込んでいる。これらを重ね合わせれば、被検体の動的部分の運動によるブレのない画像が取得できる。
また、上述のリアルタイム検出データを基に動的部分の変化の周期を取得する周期取得手段を備えればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、リアルタイム検出データを基に動的部分の変化の周期が取得される。従って、より正確に動的部分の周期を得ることができる。
また、上述の画像重合手段は、放射線源の出力の異なる条件で撮影された静止画像同士の差分を取得することでサブトラクション画像を生成すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、静止画像同士の差分を取ってサブトラクション画像が取得される。これにより、被検体の骨組織、軟組織が強調された画像を取得することができる。
また、上述のリアルタイム検出データをヒストグラム解析するヒストグラム解析手段をさらに備え、周期取得手段は、ヒストグラム解析手段が経時的に出力するヒストグラムを比較することにより周期を取得すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、リアルタイム検出データのヒストグラムが生成される。周期取得手段は、ヒストグラムの特定の領域をリアルタイムに比較することにより、動的部分の周期を簡便に認識することができる。
また、上述の被検体の動的部分は心臓の拍動により変動するものであればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、被検体の心拍に起因する画像のブレを抑制することができる。動的部分の周期性は、被検体の心拍に起因したものであり、この周期性でタイミングをとって静止撮影を行うからである。
また、上述の被検体の動的部分は、心臓であればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、放射線撮影装置の具体的な構成を示している。すなわち、被検体の動的部分は心臓である。これにより、重ね合わせられた静止画像に写り込む心臓のブレを抑制することができる。
また、上述の被検体の動的部分は、肺であればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、放射線撮影装置の具体的な構成を示している。すなわち、被検体の動的部分は肺である。これにより、重ね合わせられた静止画像に写り込む肺野のブレを抑制することができる
また、上述の周期取得手段は、被検体の呼吸の状態が特定の状態であり、かつ被検体の心拍の状態が特定の状態となっている時点から、再び被検体の呼吸の状態が先程と同じ状態となり、かつ被検体の心拍の状態も先程と同じ状態となる時点までの時間を周期とすればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、被検体に周期性の異なる複数の動的部分があったとしても、重ね合わせられた静止画像に写り込む動的部分のブレが抑制される。すなわち、周期は、被検体の呼吸の状態が特定の状態であり、かつ被検体の心拍の状態が特定の状態となっている時点から、再び被検体の呼吸の状態が先程と同じ状態となり、かつ被検体の心拍の状態も先程と同じ状態となる時点までの時間として決められるのである。これにより、静止画像を撮影する毎に肺野と心臓は同じ形状と位置で写り込んでいることになる。
また、上述の周期取得手段は、リアルタイム検出データから動的部分の面積を取得するか、動的部分の位置を取得するか、動的部分の形状を取得するか、動的部分に属したり属しなかったりする画像中の特定の位置の部分における放射線の検出値を取得するかして周期を求めればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、放射線撮影装置の様々な態様を示している。周期取得手段は、動的部分の面積の変化、動的部分の位置の変化、動的部分の形状の変化、特定の位置における放射線の検出値の変化を基に周期性を求めることができる。
また、上述の周期取得手段は、動的部分の経時的な変化を取得して、変化の割合を求めることにより周期を求めればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成によれば、放射線撮影装置の様々な態様を示している。周期取得手段が上述の構成であれば、より確実に周期を求めることができる。
実施例1に係る放射線撮影装置について説明する。以降の説明におけるX線は、放射線の一例である。
X線撮影装置1は、図1に示すように、被検体Mを載置する天板2と、被検体MにX線を照射するX線管3と、X線管3の出力を制御するX線管制御部6と、被検体Mを透過したX線を検出して、リアルタイム検出データL,および静止検出データSを出力するFPD4と、リアルタイム検出データLのヒストグラム解析を行うヒストグラム解析部10と、静止検出データSを処理して、静止画像P1,P2を出力する画像生成部11を有している。ヒストグラム解析部10は、本発明のヒストグラム解析手段に相当する。
支柱7は、X線管3とFPD4とを一括に支持するものであり、被検体Mの体軸方向に移動させることができる。これにより、X線管3とFPD4は、互いの位置関係を保った状態で被検体Mに対し移動する。ホトタイマ9は、FPD4のX線を検出する検出面に設けられており、X線管制御部6にX線照射終了の指示を行う。
X線撮影装置1は、所定のフレームレートでリアルタイム撮影を行うリアルタイムモードと、単発の放射線を被検体に照射して静止画像を取得する静止画像取得モードとを備えている。リアルタイムモードにおいて、X線管3は、所定の間隔でX線ビームを間欠的に被検体に向けて照射し、FPD4は、その度に被検体を透過したX線を検出して、得られたリアルタイム検出データLをヒストグラム解析部10,照射時間推定部14に向けて出力する。一方、静止画像取得モードにおいて、X線管3は、単発のX線ビームを被検体に向けて照射し、FPD4は、被検体を透過したX線を検出して、得られた静止検出データSを画像生成部11に向けて出力する。
リアルタイムモードにおいて、ヒストグラム解析部10は、リアルタイム検出データLが送られてくる度にリアルタイム検出データLのヒストグラム解析を行い、リアルタイム検出データの検出値と頻度とが関連したヒストグラムHを生成する。また、リアルタイム検出データLは、画像生成部11にも送られ、動画に変換されて逐次的に後述の表示部22に表示され、術者は、被検体の透視の様子を動画としてリアルタイムに確認することができる。
ヒストグラムHは、周期取得部12に送られる。周期取得部12,時刻予測部13,照射時間推定部14は、X線管3の放射線照射のタイミングを決定する目的で設けられており、その動作の詳細は後述のものとする。画像重合部17は、2枚の静止画像P1,P2の差分を取得することでサブトラクション画像を取得する。
そして、実施例1に係るX線撮影装置1は、X線管制御部6を統括的に制御する主制御部25と、X線断層画像を表示する表示部22とを備えている。この主制御部25は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することによりX線管制御部6およびヒストグラム解析部10,画像生成部11,周期取得部12,時刻予測部13,照射時間推定部14,および画像重合部17を実現している。記憶部23は、各部が動作するのに参照される設定値の一切(例えば、必要透過線量)を記憶する。
なお、各部は、CPUで動作するソフトウエアとして実現することもできる他、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラム可能なハードウエアで構成されていてもよく、以下の機能がハードウエア資源と協同して動作する限りにおいて、ハードウエア及びソフトウエアのいずれか、あるいは、部分的にソフトウエアで構成するなど、種々の態様で実施することができる。
このようなX線撮影装置1の動作について説明する。実施例1に係るX線撮影装置1でサブトラクション画像を取得するには、図2に示すように、まず、リアルタイム撮影が開始され(ステップS1)、被検体の動的部分の変化の周期が取得される(ステップS2)。そして静止撮影において被検体の動的部分が所定の状態となる時刻を予測して予測時間が取得され(ステップS3)、静止撮影に必要なX線照射の時間が推定される(ステップS4)。これまでの各ステップは、静止撮影の前段階であり、静止撮影をどのタイミングで行うかを決定する目的で行われるものである。その後、リアルタイム撮影が終了し(ステップS5)、1回目の静止画像が取得される(ステップS6)。続いて2回目の静止画像が取得され(ステップS7)、静止画像が重ね合わせられる(ステップS8)。以降、各ステップの詳細について順を追って説明する。
<リアルタイム撮影開始ステップS1>
まず、被検体Mが天板2に載置される。術者が操作卓21を通じてサブトラクション画像の取得開始の指示を与えると、X線管制御部6がX線管3に対して、間欠的にX線を照射させるように制御する。X線は例えば15ミリ秒毎に照射される。このときのX線ビームの線量は、後述の静止撮影の時よりも少ないものであり、被検体の被曝量は極力抑えられている。リアルタイム撮影においては、例えば、X線管3の管電圧、管電流、パルス幅の条件を80kV,2mA,5msecとして照射が行われる。
まず、被検体Mが天板2に載置される。術者が操作卓21を通じてサブトラクション画像の取得開始の指示を与えると、X線管制御部6がX線管3に対して、間欠的にX線を照射させるように制御する。X線は例えば15ミリ秒毎に照射される。このときのX線ビームの線量は、後述の静止撮影の時よりも少ないものであり、被検体の被曝量は極力抑えられている。リアルタイム撮影においては、例えば、X線管3の管電圧、管電流、パルス幅の条件を80kV,2mA,5msecとして照射が行われる。
X線管3から照射されたX線ビームは、被検体Mを透過して、FPD4で検出される。FPD4は、リアルタイム検出データLをヒストグラム解析部10に送出する。このときのリアルタイム検出データLは、FPD4の位置と、X線の検出強度を示す検出値とが関連した表データであり、仮に、FPD4の位置情報に従って検出値を2次元的に配列させたとすると、被検体の透視画像が生成される。ヒストグラム解析部10は、リアルタイム検出データLを基に頻度と検出値とが関連したヒストグラムHを取得し(図3参照)、これを周期取得部12に送出する。
<周期取得ステップS2>
周期取得部12は、肺野の判断に用いる検出値の上限値v1と下限値v2とを記憶部23から読み出す。被検体の肺は、その他の部分と比べてX線を透過しやすい性質がある。すなわち、被検体の肺野は、ある特定の検出値でFPD4に検出されるのである。周期取得部12は、この性質を利用して、被検体の肺野がどのように変化するかを知ることができる。具体的には、周期取得部12は、ヒストグラムHのうち、検出値の上限値v1と下限値v2とに挟まれた領域Rの面積を取得する。この上限値v1,下限値v2について説明する。被検体の肺は、実際的には似通った検出値でFPD4に検出されるのであり、検出値は、ある程度のバラツキがあって肺野全体で同一とはなっていない。この検出値のバラツキの幅を示すのが上限値v1,下限値v2である。リアルタイム撮影では、被検体の肺は、上限値v1と下限値v2の間のいずれかの検出値でFPD4に検出されるのである。
周期取得部12は、肺野の判断に用いる検出値の上限値v1と下限値v2とを記憶部23から読み出す。被検体の肺は、その他の部分と比べてX線を透過しやすい性質がある。すなわち、被検体の肺野は、ある特定の検出値でFPD4に検出されるのである。周期取得部12は、この性質を利用して、被検体の肺野がどのように変化するかを知ることができる。具体的には、周期取得部12は、ヒストグラムHのうち、検出値の上限値v1と下限値v2とに挟まれた領域Rの面積を取得する。この上限値v1,下限値v2について説明する。被検体の肺は、実際的には似通った検出値でFPD4に検出されるのであり、検出値は、ある程度のバラツキがあって肺野全体で同一とはなっていない。この検出値のバラツキの幅を示すのが上限値v1,下限値v2である。リアルタイム撮影では、被検体の肺は、上限値v1と下限値v2の間のいずれかの検出値でFPD4に検出されるのである。
周期取得部12はヒストグラムHが送出される都度、図3に示す領域Rの面積を算出する。そして、領域Rの面積の経時的な変化を示すタイムコースを生成する。このタイムコースを参照すれば、被検体の肺野の面積が経時的にどのような周期性をもって変化しているかを知ることができる。
被検体Mの肺の周期的な変化について説明する。被検体Mが呼吸を行うと、これに伴って被検体の肺が拡大縮小する(図4の上側参照)。被検体Mの心臓が拍動すると、右側の肺(被検体にとっては左側の肺)の心臓に隣接する部分が出没する(図4の下側の点線で囲まれている部分を参照)。
周期取得部12の作成するタイムコースは、図5(a)に示す被検体Mの呼吸による長い周期の変化と、図5(b)に示す被検体Mの心臓の拍動による短い周期の変化との和となる。周期取得部12は、このタイムコースのデータを基に、心拍の周期T1を求めてこれを時刻予測部13に送出する。周期取得部12が周期を求める具体的方法は、肺野面積の変化の割合を各時点において逐次的に算出し、1周期分の変化に要する時間を求めることで行われる。
また、被検体の呼吸、および心臓の拍動のうなりの周期T2を取得するようにしてもよい(図5参照)。うなりの周期T2は、具体的には、被検体が吸気することにより肺が拡大しており、かつ、心拍により肺が拡大している図5におけるa1の時点から、その後、呼吸と心拍が同じ状態になるa2の時点までの間の時間である。周期取得部12は、被検体Mの呼吸の状態が特定の状態であり、かつ被検体Mの心拍の状態が特定の状態となっている時点から、再び被検体Mの呼吸の状態が先程と同じ状態となり、かつ被検体Mの心拍の状態が先程と同じ状態となる時点までの時間を1周期とする。周期取得部12は、得られたタイムコースとうなりの周期T2を時刻予測部13に送出する。
<時刻予測ステップS3>
時刻予測部13は、呼吸と心拍とが特定の状態となるまでの時刻を予測する。例えば、被検体の心臓が最も縮小した状態となっている状態の時に静止撮影を行いたい場合、具体的には、図5の時点a1から周期T1の整数倍だけの時間が経過した時刻である。なお、時点a1は、心臓が最も縮小する時点であるが、心臓が最も拡大する時点で静止撮影を行いたい場合もある。そこで、X線撮影装置1は、静止撮影のタイミングを経時的にシフトされることができる。術者が操作卓21を操作すると静止撮影のタイミングを調節することができる。これにより、例えば、被検体の心臓が最も拡大した状態で静止撮影を行うようにすることができる。時刻予測部13は、自らが予測した時刻が経過すると、周期T1にかけられる整数を増加させて、時刻の予測を次々と行い続ける。
時刻予測部13は、呼吸と心拍とが特定の状態となるまでの時刻を予測する。例えば、被検体の心臓が最も縮小した状態となっている状態の時に静止撮影を行いたい場合、具体的には、図5の時点a1から周期T1の整数倍だけの時間が経過した時刻である。なお、時点a1は、心臓が最も縮小する時点であるが、心臓が最も拡大する時点で静止撮影を行いたい場合もある。そこで、X線撮影装置1は、静止撮影のタイミングを経時的にシフトされることができる。術者が操作卓21を操作すると静止撮影のタイミングを調節することができる。これにより、例えば、被検体の心臓が最も拡大した状態で静止撮影を行うようにすることができる。時刻予測部13は、自らが予測した時刻が経過すると、周期T1にかけられる整数を増加させて、時刻の予測を次々と行い続ける。
また、例えば、被検体の肺が心拍と呼吸との両方により最も拡大した状態となっている状態の時に静止撮影を行いたい場合、時刻予測部13が予想する時刻は、図5の時点a1からうなりの周期T2の整数倍だけの時間が経過した時刻である。
<照射時間推定ステップS4>
FPD4が出力するリアルタイム検出データLは、照射時間推定部14にも送られている。照射時間推定部14は、リアルタイム検出データLの検出値を参照して、静止撮影においてX線がどのぐらいの時間照射されるべきであるかを求める。具体的には、照射時間推定部14は、まず、照射時間推定部14は、記憶部23に記憶されているリアルタイム撮影時、および、静止撮影におけるX線管3の出力の強度と、静止撮影において露光に必要なX線線量である必要透過線量とを読み出しておく。必要透過線量とは、被検体を透過し、FPD4入射するX線の線量であり、具体的には次のようなものである。静止撮影において、FPD4にある適切な線量のX線が入射しないと、露光不足・露光過多の静止画像しか得られない。必要透過線量とは、静止撮影において、FPD4に入射するX線の線量が撮影に適した量となっているときのX線の線量を意味している。例えば、被検体の厚みが厚い場合、被検体を透過してくるX線の線量が少なくなるので、必要透過線量に満たない線量で静止撮影が行われやすくなる。これを避けるには、X線照射の時間をより長くせねばならない。静止撮影に適切な照射時間は、被検体の体格によって変わるのである。
FPD4が出力するリアルタイム検出データLは、照射時間推定部14にも送られている。照射時間推定部14は、リアルタイム検出データLの検出値を参照して、静止撮影においてX線がどのぐらいの時間照射されるべきであるかを求める。具体的には、照射時間推定部14は、まず、照射時間推定部14は、記憶部23に記憶されているリアルタイム撮影時、および、静止撮影におけるX線管3の出力の強度と、静止撮影において露光に必要なX線線量である必要透過線量とを読み出しておく。必要透過線量とは、被検体を透過し、FPD4入射するX線の線量であり、具体的には次のようなものである。静止撮影において、FPD4にある適切な線量のX線が入射しないと、露光不足・露光過多の静止画像しか得られない。必要透過線量とは、静止撮影において、FPD4に入射するX線の線量が撮影に適した量となっているときのX線の線量を意味している。例えば、被検体の厚みが厚い場合、被検体を透過してくるX線の線量が少なくなるので、必要透過線量に満たない線量で静止撮影が行われやすくなる。これを避けるには、X線照射の時間をより長くせねばならない。静止撮影に適切な照射時間は、被検体の体格によって変わるのである。
静止撮影に適した照射時間は照射時間推定部14によって推定される。照射時間推定部14は、リアルタイム撮影時におけるX線管3の出力の強度とリアルタイム検出データLから、被検体がどの程度放射線を吸収しやすい材料から構成されているかを示す吸収係数と、被検体がどの程度の厚さであるかという被検体厚を求める。この吸収係数は、X線の遮り易さを示す質的な要素であり、被検体厚はX線の遮り易さを示す量的な要素であるので、これらから被検体のX線の通しやすさを知ることができる。具体的には、照射時間推定部14は、被検体を水に換算することで、水長さを算出する。水長さとは、これだけの長さの水を透視撮影すると、ちょうど被検体のX線の遮りやすさと同等になる水の長さを意味している。
照射時間推定部14は、水長さにより数値化された被検体のX線の遮りやすさを基に、この被検体に静止撮影におけるX線管3の出力の強度(すなわちX線管3の管電圧と管電流との積であり、以降所定の強度と呼ぶ)でX線を照射したときに、静止撮影が露光不足・露光過多とならないような照射時間を推定する。具体的には、照射時間推定部14は、算出された水長さの水に所定の強度でX線を照射したときに、どの程度長くX線を照射し続ければFPD4に届くX線の線量が必要透過線量となるかをシミュレートするのである。これにより、透視撮影における照射時間が推定される。
静止画像取得は、実は2回行われるのであり、1回目と2回目でX線管3の管電圧が異なるので出力の強度が異なる。そこで、照射時間推定部14は、この2通りの静止画像の取得における照射時間をそれぞれ推定して、推定照射時間s1,s2を求める。1回目の撮影は2回目よりもX線管3の出力が高出力になっているので、それだけ1回目の撮影の方が推定時間は短くなる。静止撮影において、例えば、X線管3の管電圧、管電流、照射時間すなわちパルス幅の条件を80kV,100mA,80msecとして照射が行われる。
<リアルタイム撮影終了ステップS5>
術者が操作卓21を通じて静止撮影モードへの移行の指示を与えると、X線管制御部6は、X線管3のX線の照射を中止させる。
術者が操作卓21を通じて静止撮影モードへの移行の指示を与えると、X線管制御部6は、X線管3のX線の照射を中止させる。
<第1静止画像取得ステップS6>
次に、いよいよ静止撮影が開始される。時刻予測部13が予測する予測時刻p1,p2,p3……と、照射時間推定部14が求めた推定照射時間s1,s2とはX線管制御部6に送出されている。推定照射時間s1は、1回目の撮影に関する照射時間で、推定照射時間s2は、2回目の撮影に関する照射時間である。X線管制御部6は、1回目の静止撮影のX線管3の制御情報(管電流、管電圧、パルス幅)を記憶部23から読み出し、図6に示すように、ある予測時刻a12を起点として、推定照射時間s1の半分だけ遡った時点であるd1からX線を照射するようにX線管3を制御する。X線管3が1回目の静止撮影で出力するX線の強度は、照射時間推定部14が推定照射時間s1を求めるときに用いたX線管3の出力の強度と同じとなっている。
次に、いよいよ静止撮影が開始される。時刻予測部13が予測する予測時刻p1,p2,p3……と、照射時間推定部14が求めた推定照射時間s1,s2とはX線管制御部6に送出されている。推定照射時間s1は、1回目の撮影に関する照射時間で、推定照射時間s2は、2回目の撮影に関する照射時間である。X線管制御部6は、1回目の静止撮影のX線管3の制御情報(管電流、管電圧、パルス幅)を記憶部23から読み出し、図6に示すように、ある予測時刻a12を起点として、推定照射時間s1の半分だけ遡った時点であるd1からX線を照射するようにX線管3を制御する。X線管3が1回目の静止撮影で出力するX線の強度は、照射時間推定部14が推定照射時間s1を求めるときに用いたX線管3の出力の強度と同じとなっている。
X線管3は、所定の管電流、管電圧、パルス幅で単発のX線を被検体に向けて照射する。ホトタイマ9は、自身に入射するX線の線量の累積値を逐次求め、累積値が必要透過線量となった時点でX線管制御部6に対してX線照射の終了の指示を行う。
X線管3から照射されて被検体を透過したX線は、FPD4に入射し、FPD4は、X線を検出して静止検出データSを画像生成部11に送出する。画像生成部11はこれを基に、第1静止画像P1を生成する。
ホトタイマ9は、記憶部23から読み出した必要透過線量に従ってX線照射の終了の指示を行う。ここで、図6に示すように、時点d1からX線照射の終了までの時間は、照射時間推定部14が事前に求めた推定照射時間s1と同じとなっている。したがって、X線照射している時間の丁度中央の時点が、予測時刻a12となる。予測時刻a12においては、心拍の状態が図5に示すa1の時の状態と同一となっている。
また、検査によっては、リアルタイム撮影モードが終了した後に、X線ビームの波長の長い成分を除くことができる負荷フィルタをX線管3のX線照射部に設置して静止撮影を行う場合がある。この場合のX線管制御部6の動作について説明する。X線管制御部6は、推定照射時間に所定の係数を掛けて、推定照射時間を延長する。こうして、負荷フィルタの存在により、X線ビームが弱まっても、これを填補して静止撮影を行うことができる。推定照射時間に掛けられる係数は記憶部23が記憶している。
<第2静止画像取得ステップS7>
その後、2回目の静止撮影が行われる。X線管制御部6は、2回目の静止撮影のX線管3の制御情報(管電流、管電圧、パルス幅)を記憶部23から読み出し、図6に示すように、ある予測時刻a14を起点として、推定照射時間s2の半分だけ遡った時点であるd2からX線を照射するようにX線管3を制御する。X線管3が2回目の静止撮影で出力するX線の強度は、照射時間推定部14が推定照射時間s2を求めるときに用いたX線管3の出力の強度と同じとなっている。なお、X線の強度は、1回目の撮影よりも弱くなっている。
その後、2回目の静止撮影が行われる。X線管制御部6は、2回目の静止撮影のX線管3の制御情報(管電流、管電圧、パルス幅)を記憶部23から読み出し、図6に示すように、ある予測時刻a14を起点として、推定照射時間s2の半分だけ遡った時点であるd2からX線を照射するようにX線管3を制御する。X線管3が2回目の静止撮影で出力するX線の強度は、照射時間推定部14が推定照射時間s2を求めるときに用いたX線管3の出力の強度と同じとなっている。なお、X線の強度は、1回目の撮影よりも弱くなっている。
X線管3は、所定の管電圧、管電流で単発のX線を被検体に向けて照射する。ホトタイマ9は、自身に入射するX線の線量の累積値を逐次求め、累積値が必要透過線量となった時点でX線管制御部6に対してX線照射の終了の指示を行う。
X線管3から照射されて被検体を透過したX線は、FPD4に入射し、FPD4は、X線を検出して静止検出データSを画像生成部11に送出する。画像生成部11はこれを基に、第2静止画像P2を生成する。
ホトタイマ9は、記憶部23から読み出した必要透過線量に従ってX線照射の終了の指示を行う。ここで、図6に示すように、時点d2からX線照射の終了までの時間は、照射時間推定部14が事前に求めた推定照射時間s2と同じとなっている。したがって、X線照射している時間の丁度中央の時点が、予測時刻a14になる。予測時刻a14においては、心拍の状態が図5に示すa1の時、図6に示す予測時刻a12の状態と同一となっている。そして、1回目の撮影と2回目の撮影とも、予測時刻を中心として、前後に均等な時間だけ撮影を行うことで、その撮影時間の間の、心拍による心臓などの微小な動きの影響による画像のボケを最小限に抑えることができる。この様にして、第1静止画像P1と第2静止画像P2に写り込む被検体像の心拍の状態は、互いに一致している。
なお、放射線の線量は通常、リアルタイム撮影よりの静止撮影の方が多い。静止撮影においてホトタイマ9がX線照射の終了の指示を行うので、高い安全性が保証されたX線撮影装置が提供できる。
<重ね合わせステップS8>
第1静止画像P1,第2静止画像P2は、画像重合部17に送出される。画像重合部17では、第1静止画像P1から第2静止画像P2の差分を取得することで、被検体の骨組織、または、軟組織が強調されたサブトラクション画像を取得する。静止画像P1,P2に所定の階調補正を行った後、それらの差分を取得すれば、強調される組織の異なるサブトラクション画像が取得できる。第1静止画像P1と第2静止画像P2に写り込む被検体像の心拍の状態は、互いに一致しているので、互いの画像は、ズレることなく重ね合わせられ、ブレのないサブトラクション画像を取得することができる。このサブトラクション画像が表示部22に表示されて本発明に係るX線撮影装置1の動作は終了となる。
第1静止画像P1,第2静止画像P2は、画像重合部17に送出される。画像重合部17では、第1静止画像P1から第2静止画像P2の差分を取得することで、被検体の骨組織、または、軟組織が強調されたサブトラクション画像を取得する。静止画像P1,P2に所定の階調補正を行った後、それらの差分を取得すれば、強調される組織の異なるサブトラクション画像が取得できる。第1静止画像P1と第2静止画像P2に写り込む被検体像の心拍の状態は、互いに一致しているので、互いの画像は、ズレることなく重ね合わせられ、ブレのないサブトラクション画像を取得することができる。このサブトラクション画像が表示部22に表示されて本発明に係るX線撮影装置1の動作は終了となる。
以上のように、実施例1の構成によれば、まず、リアルタイム撮影を行って、リアルタイム検出データLを取得し、その後に、診断用の静止撮影を行って静止検出データSの取得を行う。リアルタイム撮影は、静止撮影の撮影条件を決定する前準備として行われる。リアルタイム撮影においては、被検体Mの動的部分が所定の状態となる時刻の予測と、静止撮影時におけるX線の照射時間の推定とが行われる。時刻の予測は、時刻予測部13により行われ、照射時間の推定は、照射時間推定部14によって行われる。
実施例1の静止撮影において、X線の照射は、予測時刻から推定照射時間の半分の時間だけ早いタイミングで開始される。この様にすることで、静止撮影時のX線照射は、被検体Mの動的部分が所定の状態となっている時点で終了する。この様な静止撮影を複数回に亘って行えば、取得された静止画像には、被検体Mの心臓が同一の形状で写り込んでいる。これらを重ね合わせれば、被検体Mの心臓の運動によるブレのないサブトラクション画像が取得できる。
また、実施例1の被検体Mの肺野・心臓の周期性が異なっていたとしても、サブトラクション画像のブレが抑制される。すなわち、周期は、被検体Mの呼吸の状態が特定の状態であり、かつ被検体Mの心拍の状態が特定の状態となっている時点から、再び被検体Mの呼吸の状態が先程と同じ状態となり、かつ被検体Mの心拍の状態も先程と同じ状態となる時点までの時間として決められるのである。これにより、静止画像を撮影する毎に肺野と心臓は同じ形状と位置で写り込んでいることになる。
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
(1)実施例の構成によれば、周期取得部12は、肺野の面積のタイムコースにより周期を求めていたが、本発明はこれに限られない。肺野に代わって心臓の面積のタイムコースにより周期を求めてもよい。
(2)実施例の構成によれば、ヒストグラム解析部10を有する構成となっていたが、これを有しない構成としてもよい。すなわち、周期取得部12が、リアルタイム検出データLのうち、ある上限値以下、下限値以上となっている検出値の数を計数し、これを肺野の面積としてもよい。この上限値、下限値は、記憶部23に記憶されている。
(3)また、画像生成部11がリアルタイム検出データLを基に出力する動画を用いて周期を求める構成としてもよい。すなわち、周期取得部12は、動画のフレームに写り込んでいる画素値が似通った塊を検出し、この塊を肺野であるとしてこの面積変化を求め、周期を求めてもよい。この場合、面積を求めず、塊の形状変化、位置の移動変化で周期を求めてもよい。
(4)また、周期取得部12は、リアルタイム検出データLのある特定の検出値の周期的な変化を認識することで周期を求めてもよい。このとき参照される特定の検出値は、図7に示すように、リアルタイム検出データLのうち、肺の周縁部に当たるD1の検出値であれば望ましく、同様に、リアルタイム検出データLのうち、心臓と肺の境に当たるD2の検出値であれば望ましい。部分D1は、呼吸により、肺に属したり属しなかったりするので、検出値が周期的に変化する。また、部分D2は、心拍により肺に属したり属しなかったりするので検出値が周期的に変化する。これを利用して周期を取得するようにしてもよい。
(5)上述の構成では、周期取得部12は、周期1回分のタイムコースにより周期を決定していたが、周期1回分のタイムコースを複数取得し、それぞれから周期を独立に求め、求められた複数の周期を平均することで周期を最終的に求める構成としてもよい。
(6)上述の構成では、周期取得部12は、周期1回分のタイムコースにより周期を決定していたが、周期1回分に満たないタイムコースから周期を決定するようにしてもよい。この場合、タイムコースの波形解析により、周期1回分タイムコースを予測して周期を求めることになる。
(7)上述の構成では、周期取得部12は、自動であったが、これを手動としてもよい。すなわち、表示部22に表示された動画を基に術者に周期を決定させて、これを操作卓21に入力させる構成としてもよい。
(8)上述の構成の支柱7をC型アームとしてもよい。
(9)上述した各実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
(10)上述した各実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適応できる。
(11)上述の実施例では、X線の照射時間すなわちパルス幅が、1回目の撮影と2回目の撮影で異なる、すなわちs1≠s2であるが、それぞれの管電流とパルス幅との積の値を保ちながらs1=s2になるよう、管電流を調整してもよい。その場合、2回の撮影の照射時間の間の、心臓などの微小なボケ具合の違いを最小限に抑えることができる。
(12)上述の実施例では、X線の推定照射時間s1,s2の中央の時点が、予測時刻a12,a14と一致するように設定しているが、例えば予測時刻a12,a14を推定照射時間s1,s2の終了時点と一致させる等、推定照射時間s1,s2の中央以外の時間を設定しても良い。この時さらに、上述のように管電流を調整して、推定照射時間s1=推定照射時間s2になるようにすると、なお良い。
(13)上述の構成では、X線を間欠的に照射しているが、連続的に照射しても良い。
L リアルタイム検出データ
S 静止検出データ
3 X線管(放射線源)
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
4 FPD(放射線検出手段)
10 ヒストグラム解析部(ヒストグラム解析手段)
11 画像生成部(画像生成手段)
12 周期取得部(周期取得手段)
13 時刻予測部(時刻予測手段)
14 照射時間推定部(照射時間推定手段)
17 画像重合部(画像重合手段)
23 記憶部(記憶手段)
S 静止検出データ
3 X線管(放射線源)
6 X線管制御部(放射線源制御手段)
4 FPD(放射線検出手段)
10 ヒストグラム解析部(ヒストグラム解析手段)
11 画像生成部(画像生成手段)
12 周期取得部(周期取得手段)
13 時刻予測部(時刻予測手段)
14 照射時間推定部(照射時間推定手段)
17 画像重合部(画像重合手段)
23 記憶部(記憶手段)
Claims (10)
- 放射線を照射する放射線源と、前記放射線源に放射線照射の指示を行う放射線源制御手段と、放射線を検出する放射線検出手段とを備え、前記放射線検出手段は、前記放射線源が間欠的にあるいは連続的に放射線を照射することでリアルタイム検出データを出力し、前記放射線源が単発の放射線を照射することで静止検出データを出力する放射線撮影装置において、
被検体を透過してきた放射線線量が前記静止検出データの取得にどの程度必要であるかを示す必要透過線量を記憶する記憶手段と、
被検体において周期的に大きさが変動する動的部分の変化の周期を基に、被検体の前記動的部分が所定の状態となる時刻を予測時刻として予測する時刻予測手段と、
前記リアルタイム検出データと前記必要透過線量とから、前記静止検出データの取得時における放射線の照射時間を推定照射時間として推定する照射時間推定手段と、
前記静止検出データを基に静止画像を生成する画像生成手段と、
異なる時点で撮影された静止画像同士を重ね合わせて重合画像を生成する画像重合手段とを備え、
前記静止検出データは、前記放射線源制御手段が前記予測時刻から前記推定照射時間に基づいて算出した所定の時間だけ早いタイミングで放射線の照射を開始するように前記放射線源を制御することにより取得されることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記リアルタイム検出データを基に前記動的部分の変化の周期を取得する周期取得手段を備えることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記画像重合手段は、前記放射線源の出力の異なる条件で撮影された静止画像同士の差分を取得することでサブトラクション画像を生成することを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
前記リアルタイム検出データをヒストグラム解析するヒストグラム解析手段をさらに備え、
前記周期取得手段は、前記ヒストグラム解析手段が経時的に出力するヒストグラムを比較することにより周期を取得することを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
被検体の前記動的部分は、心臓の拍動により変動するものであることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項5に記載の放射線撮影装置において、
被検体の前記動的部分は、肺であることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項5に記載の放射線撮影装置において、
被検体の前記動的部分は、心臓であることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
前記周期取得手段は、
被検体の呼吸の状態が特定の状態であり、かつ被検体の心拍の状態が特定の状態となっている時点から、
再び被検体の呼吸の状態が先程と同じ状態となり、かつ被検体の心拍の状態も先程と同じ状態となる時点まで
の時間を周期とすることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項2ないし請求項9のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
周期取得手段は、前記リアルタイム検出データから動的部分の面積を取得するか、動的部分の位置を取得するか、動的部分の形状を取得するか、動的部分に属したり属しなかったりする画像中の特定の位置の部分における放射線の検出値を取得するかして周期を求めることを特徴とする放射線撮影装置。 - 請求項9に記載の放射線撮影装置において、
周期取得手段は、動的部分の経時的な変化を取得して、変化の割合を求めることにより周期を求めることを特徴とする放射線撮影装置。
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