JP2011134557A - 電気化学デバイス、電気機器、及びイオン液体の分離回収方法 - Google Patents

電気化学デバイス、電気機器、及びイオン液体の分離回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン液体を用いる電気化学デバイスにおいてイオン液体の液漏れを抑制すること、イオン液体を用いる電気化学デバイスにおいて自然放電を抑制すること、及びイオン液体と不純物とを含む混合物からイオン液体を簡便且つ容易に分離回収することを目的とする。
【解決手段】磁性を有するイオン液体と、該磁性を有するイオン液体を磁気的吸引力により所定の位置に保持及び/又は所定の位置から移動させることが可能な磁性体と、を備える電気化学デバイス、該電気化学デバイスを備える電気機器、並びに、磁性を有するイオン液体と磁性を有さない物質とを含む混合物から、磁性体の磁気的吸引力によって、前記磁性を有するイオン液体を分離回収する、磁性を有するイオン液体の分離回収方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学デバイス、電気機器、及びイオン液体の分離回収方法に関し、詳細には、磁性を有するイオン液体を備える電気化学デバイス及び該電気化学デバイスを備える電気機器、並びに、磁性を有するイオン液体の分離回収方法に関する。
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力且つ高容量の電池の開発が進められている。各種二次電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウム二次電池が注目されている。
一般的なリチウム二次電池は、正極活物質を含有する正極層と、負極活物質を含有する負極層と、これら正極層と負極層との間に介在する電解質層とを有する。正極層と負極層との間に配置される電解質層として、可燃性の有機電解液を用いるリチウム二次電池は、液漏れの他、短絡や過充電などを想定した安全対策が欠かせない。特に、高出力、高容量の電池には、さらなる安全性の向上が求められる。そこで、リチウム二次電池の安全性や信頼性を向上すべく、有機電解液を高分子と混合することによる電解質層の固体化や、電解液として難燃性のイオン液体の使用が提案されている。
例えば、特許文献1には、陽極及び陰極からなる群から選ばれる少なくとも1つの電極が多孔質電極であり、該多孔質電極と固体電解質の間に常温溶融塩(イオン液体)を位置させてなる電気化学デバイスが開示されている。
特開2004−031106号公報
イオン液体は難燃性であるため、可燃性の有機電解液と比較して安全性に優れるものの、イオン液体の拡散や液漏れ等、液体であることにより生じる問題を有している。例えば、特許文献1に記載の電気化学デバイスにおいても、常温溶融塩の液漏れが生じるおそれがある。
一方、イオン液体は、電池電解質としての用途以外においても、蒸気圧がほとんどないこと、耐熱性であること、液体温度領域が広いこと、などの観点から、反応溶媒としての利用が検討されている。さらに、イオン液体は、繰り返して利用できる溶媒としても注目されている。
電池電解質として又は反応溶媒として利用したイオン液体は、様々な不純物を含有していることが多く、リサイクルするためには、不純物を除去する精製作業が必要である。しかしながら、イオン液体は、上記したようなメリット、すなわち、耐熱性である、液体温度領域が広い等の理由により、不純物と分離するには、大掛かりな設備や時間を要する。特に、粘性の高いイオン液体は、さらに分離回収が難しい。
ところで、既存の電池は、正極層、電解質層及び負極層がこの順序で配置され、作動時又は非作動時にかかわらず、常に、隣接する層同士が接触している。そのため、電池は自然放電(自己放電)し、使用していないにもかかわらず電気が消費されてしまうという問題がある。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、イオン液体を用いる電気化学デバイスにおいて、イオン液体の液漏れを抑制することを第1の目的とする。また、本発明は、イオン液体を用いる電気化学デバイスにおいて自然放電を抑制することを第2の目的とする。さらに、本発明は、イオン液体と不純物とを含む混合物からイオン液体を簡便且つ容易に分離回収することが可能な、分離回収方法を提供することを第3の目的とする。
本発明の電気化学デバイスは、磁性を有するイオン液体と、該磁性を有するイオン液体を磁気的吸引力により所定の位置に保持及び/又は所定の位置から移動させることが可能な磁性体と、を備えることを特徴とする。
本発明の電気化学デバイスにおいては、イオン液体が磁性を有しており、該磁性を有するイオン液体(以下、磁性イオン液体ということがある)を、磁性体の磁気的吸引力によって所定の位置に保持することができる。すなわち、磁性体と磁性イオン液体との間に作用する磁気的吸引力によって、磁性イオン液体の拡散や液漏れを抑制することができる。
また、本発明の電気化学デバイスにおいては、磁性イオン液体を、磁性体と該磁性イオン液体との間に作用する磁気的吸引力によって、所定の位置から移動することができる。すなわち、本発明の電気化学デバイスによれば、例えば、作動時の電気化学デバイスにおいては、磁性イオン液体を電気化学反応に寄与できる位置に配置し、一方、非作動時の電気化学デバイスにおいては、磁性イオン液体を電気化学反応に寄与できない位置に配置することができる。具体的には、電気化学デバイスの作動時には正極及び負極と接触し、これら電極間のイオン伝導を仲介する磁性イオン液体を、電気化学デバイスの非作動時においては、正極及び/又は負極と接触させないことによって、電気化学デバイスの非作動時における電力消費を抑えることができる。さらには、磁性イオン液体の移動が可能な本発明の電気化学デバイスによれば、電気化学デバイスからの磁性イオン液体の分離回収も容易に可能である。
本発明の電気化学デバイスの具体的な形態としては、例えば、前記磁性を有するイオン液体と電極活物質とを含有する電極を備え、前記磁性を有するイオン液体が、前記磁性体の磁気的吸引力によって前記電極内に保持されている形態が挙げられる。
このような形態においては、電極のイオン伝導性を確保する電解質として作用する磁性イオン液体が、電極から漏れるのを抑制することができる。
また、本発明の電気化学デバイスの他の具体的な形態としては、例えば、前記電気化学デバイスの作動時に前記磁性を有するイオン液体が配置される第1室と、前記電気化学デバイスの非作動時に前記磁性を有するイオン液体が配置される第2室とを備え、前記磁性体の磁気的吸引力によって、前記磁性を有するイオン液体を、前記第1室から前記第2室へ及び/又は前記第2室から前記第1室へ移動させることが可能であり、前記磁性を有するイオン液体が前記第1室に配置されることによって、前記電気化学デバイスの作動が可能となる形態が挙げられる。このとき、より具体的には、前記磁性を有するイオン液体が、前記磁性体の磁力的吸引力によって前記第2室内に保持される形態が挙げられる。
このような形態においては、磁性イオン液体を、電気化学デバイスの作動時と非作動時とで異なる位置に配置することができる。すなわち、磁性イオン液体は、電気化学デバイスの作動時のみ選択的に、電気化学反応に寄与できる位置に配置されるため、例えば、非作動時の電池における自然放電等を抑制することができる。
このような電気化学デバイスのさらに具体的な形態としては、一対の負極と正極とを有し、前記第1室は前記負極と前記正極との間に位置し、前記第1室に配置された前記磁性を有するイオン液体が、前記負極と前記正極とのイオン伝導を仲介する形態が挙げられる。
本発明の電気機器は、上記したような本発明の電気化学デバイスを備えることを特徴とするものである。
本発明のイオン液体の分離回収方法は、磁性を有するイオン液体と磁性を有さない物質とを含む混合物から、磁性体の磁気的吸引力によって、前記磁性を有するイオン液体を分離回収することを特徴とする。
本発明の分離回収方法によれば、大掛かりな設備や時間を要することなく、イオン液体を容易且つ簡便に分離回収することが可能である。
本発明によれば、イオン液体の液漏れが抑制された電気化学デバイスを提供することができる。また、本発明によれば、イオン液体を用いた電気化学デバイスにおける自然放電を抑制することができる。さらに、本発明によればイオン液体と不純物とを含む混合物からイオン液体を簡便且つ容易に分離回収することができる。
本発明の電気化学デバイスの第1の形態を示す模式図である。 本発明の電気化学デバイスの第1の形態の変形例を示す模式図である。 本発明の電気化学デバイスの第2の形態を示す模式図である。 本発明の電気化学デバイスの第2の形態の変形例を示す模式図である。 電解液の電子伝導性を示す図である。 磁性イオン液体(EMIm−FeCl)の磁化値の測定結果を示すものである。 磁性イオン液体(EMIm−FeCl+EMIm−Cl)の磁化値の測定結果を示すものである。
本発明の電気化学デバイスは、磁性を有するイオン液体と、該磁性を有するイオン液体を磁気的吸引力により所定の位置に保持及び/又は所定の位置から移動させることが可能な磁性体と、を備えることを特徴とする。
ここで、電気化学デバイスとは、一次電池、二次電池、燃料電池、湿式太陽電池、電気二重層キャパシター、エレクトロクロミックデバイス、電気化学センサー等の一対又は2対以上の電極及び該電極間に介在する電解質を備えた電気化学セルをいう。
また、イオン液体とは、陽イオンと陰イオンからなる塩で、電気化学デバイスの使用環境温度で液体状態のもの、通常は、100℃以下で液体状態(すなわち、融点が100℃以下)の物質である。イオン液体は、イオン伝導性を有し、電気化学デバイスにおいて、電極の構成材料として、及び/又は、電極間に介在する電解液として用いられる。
本発明の電気化学デバイスは、電極の構成材料として、及び/又は電極間に介在する電解質として、磁性イオン液体を備えるものであり、該磁性イオン液体を、磁性体によって所定の位置に保持したり、該磁性イオン液体を所定の位置から移動させたりすることができる。
本発明の具体的な電気化学デバイスとしては、例えば、磁性イオン液体と電極活物質とを含有する電極を備え、該磁性イオン液体が磁性体の磁気的吸引力によって電極内に保持されている形態(以下、第1の形態ということがある)が挙げられる。
第1の形態においては、磁性イオン液体の電極からの漏出を抑制することができ、電気化学デバイスの安全性、耐久性、信頼性等を向上することができる。
また、本発明の電気化学デバイスの他の形態としては、電気化学デバイスの作動時に磁性イオン液体が配置される第1室と、電気化学デバイスの非作動時に磁性イオン液体が配置される第2室とを備え、磁性を有するイオン液体を磁性体の磁気的吸引力によって、第1室から第2室へ、及び/又は第2室から第1室へ移動させることが可能であり、磁性イオン液体が第1室に配置されることによって、該電気化学デバイスの作動が可能となる形態(以下、第2の形態ということがある)が挙げられる。
第2の形態においては、電気化学デバイスの非作動時における電極間のイオン伝導を抑制することができ、電気化学デバイスの非作動時の自然放電等を抑えることができる。
磁性イオン液体としては、イオン伝導性を有し且つ磁性を有するものであれば特に限定されない。磁性イオン液体は、上記したように電気化学デバイスの使用環境下において液体状態であればよいが、通常、電気化学デバイスの使用環境で影響を受けないことが好ましいことから、融点が100℃以下、特に25℃以下、さらに−30℃以下であることが好ましい。
具体的な磁性イオン液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムテトラクロロフェラート(略称 BMIm−FeCl)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムテトラクロロフェラート(略称 EMIm−FeCl)、(BMIm)−FeCl、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート(略称 PMIm−FeCl)等の4級化アルキルイミダゾリウムテトラクロロフェラート;4級アルキルアンモニウムテトラクロロフェラート等のテトラクロロフェラートアニオンとカチオンから成るもの;等が挙げられる。また、上記磁性イオン液体と、クロライドアニオン及びカチオンからなるイオン液体との混合物等も用いることができる。クロライドアニオン及びカチオンからなるイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド(略称 EMIm−Cl)、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド(略称 BMIm−Cl)、1−プロピル−3−メチル−イミダゾリウムクロライド(略称 PMIm−Cl)等が挙げられる。
ここで、EMIm−FeCl、及び、EMIm−FeClとEMIm−Clの混合物(以下、「EMIm−FeCl+EMIm−Cl」と表記することがある)の磁化値を測定した結果を、それぞれ図6及び図7に示す。尚、図6及び図7に示す磁化値は、EMIm−FeCl、及び、EMIm−FeCl+EMIm−Clについて、振動試料型磁力計(Lake Shore社製、VSM7410型)を用いて、室温にて測定して得られたものである。
磁性イオン液体のうち、イオン導電性と共に電子伝導性を有するものは、電気化学デバイスの電極において、イオン導電材料且つ電子伝導材料として使用することができる。このような電子伝導性磁性イオン液体としては、例えば、EMIm−FeCl+EMIm−Cl等が挙げられる。
ここで、図5に、EMIm−FeCl+EMIm−Cl、EMIm−FeCl、及びNaCl溶液(0.1M)の電子伝導性測定結果を示す。図5より、EMIm−FeCl+EMIm−Clは、NaClの100倍以上の電子伝導性を有することがわかる。また、EMIm−FeCl+EMIm−Clは、EMIm−FeClの100倍近い電子伝導性を有することがわかる。尚、図5に示す電子伝導性は、EMIm−FeCl+EMIm−Cl、EMIm−FeCl、及びNaCl溶液(0.1M)について、一対のNi電極間に電解液を配置し、0.1V印加して電流の経時変化を測定したものである。
磁性体としては、磁性イオン液体との間に磁気的吸引力を生じ、該磁性イオン液体を所定の位置に保持及び/又は該磁性イオン液体を所定の位置から移動させることができれば、特に限定されない。典型的な磁性体としては、磁石が挙げられる。磁性体の磁力、大きさ、形状等は特に限定されず、使用する磁性イオン液体の磁性の強さ、電気化学デバイスの構造等に応じて、適宜選択すればよい。
以下、本発明の電気化学デバイスの形態について図1〜図4を参照しながら説明する。図1〜図4は、本発明の電気化学デバイスの形態例を示すものである。図1は上記第1の形態の具体例であり、図2は図1の電気化学デバイスの変形例である。図3は上記第2の形態の具体例であり、図4は図3の電気化学デバイスの変形例である。
尚、本発明の電気化学デバイスは、以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明の電気化学デバイスの第1の形態を示す模式図である。図1において、電気化学デバイス100は、電解質層1が正極層2と負極層3との間に介在している。正極層2は磁性イオン液体4と正極活物質5とを含み、負極層3は磁性イオン液体4と負極活物質6とを含んでいる。これら電解質層1、正極層2及び負極層3は、パッケージ7内に収納されている。パッケージ7の外側には、正極層2及び負極層3それぞれが、2つの磁石8で挟み込まれるように、計4つの磁石8が配置されている。
電気化学デバイス100において、正極層2を構成する磁性イオン液体4は、正極層2を挟む2つの磁石8によって、正極層2内に保持され、その漏出が抑制されている。同様に、負極層3を構成する磁性イオン液体4もまた、負極層3を挟む2つの磁石8によって、負極層3内に保持され、その漏出が抑制されている。
図1の形態の変形例である図2の電気化学デバイス200は、正極層2が磁性イオン液体と正極活物質5に加え、さらに導電助剤9を含む点で、図1の電気化学デバイス100と異なる。また、電気化学デバイス200は、負極層3が磁性イオン液体4と負極活物質6に加え、さらに導電助剤9を含む点でも、図1の電気化学デバイス100と異なる。正極層2及び負極層3を構成する磁性イオン液体4が、磁石8によって、それぞれ正極層2内及び負極層3内に保持され、その漏出が抑制されている点については、電気化学デバイス100と電気化学デバイス200とは同じである。
電気化学デバイス100及び電気化学デバイス200を構成する各部材の具体的な材料、形状等は特に限定されず、電気化学デバイスの用途、構造等に応じて適宜選択、決定すればよい。例えば、第1の形態では各電極層は、電極活物質を含有しているが、電極活物質の代わりに又は電極活物質と共に電極触媒を含有していてもよい。
ここでは、リチウム二次電池を例に、電気化学デバイス100及び電気化学デバイス200の具体的な構造について説明する。
電解質層1は、正極層2および負極層3の間に形成される層である。電解質層1に含まれるリチウムイオン伝導性電解質を介して、正極層と負極層との間のリチウムイオン伝導が行われる。電解質層1は、固体電解質層でも、ゲル状電解質層でも、液体電解質層でもよい。
固体電解質層を構成する固体電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性を有する酸化物固体電解質材料及び硫化物固体電解質材料を挙げることができ、中でも硫化物固体電解質材料が好ましい。Liイオン伝導性が高く、高出力な電池を得ることができるからである。
リチウムイオン伝導性を有する硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P化合物、LiS−SiS化合物、LiS−GeS化合物等を挙げることができる。尚、LiS−P化合物は、LiS及びPを用いた硫化物固体電解質材料を意味する。その他の化合物についても同様である。
また、リチウムイオン伝導性酸化物固体電解質材料としては、例えば、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。
液体電解質層は、通常、非水電解液を用いてなる層である。リチウム電池の非水電解液は、通常、リチウム塩及び非水溶媒を含有する。
リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO及びLiAsF等の無機リチウム塩;並びにLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。
非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を挙げることができる。また、イオン液体を非水溶媒として用いることもできる。
液体電解質層を構成するイオン液体としては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:TMPA−TFSI]、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:PP13−TFSI]、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:P13−TFSI]、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:P14−TFSI]、等の脂肪族4級アンモニウム塩;1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド[略称:AEImBr]、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[略称:AEImBF4]、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:AEImTFSI]、1,3−ジアリルイミダゾリウムブロマイド[略称:AAImBr]、1,3−ジアリルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[略称:AAImBF4]、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[略称:AAImTFSI]等のアルキルイミダゾリウム4級塩、等を挙げることができる。
また、上述した磁性イオン液体を、液体電解質層を構成するイオン液体として用いることもできる。
尚、液体電解質層を構成するイオン液体は、電子伝導性を有していないものが好ましい。また、イオン液体そのものがリチウムイオン伝導性を有している場合には、リチウム塩を溶解せずにイオン液体を電解液として用いることもできる。
ゲル電解質層は、例えば、上記非水電解液にポリマーを添加してゲル化することで得ることができる。具体的には、上記非水電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加することにより、ゲル化を行うことができる。
一般的な、リチウム電池において、正極層及び負極層は、少なくとも正極活物質又は負極活物質を含み、必要に応じて、導電助剤やリチウムイオン伝導性電解質、さらには、バインダー成分も含む。
本発明の電気化学デバイスの第1の形態では、正極層2及び/又は負極層3が、電極活物質と共に磁性イオン液体を含有する。具体的には、図1に示す電気化学デバイス100では、正極層2及び負極層3が、電極活物質と共に、リチウムイオン伝導性電解質としてリチウム塩を溶解した磁性イオン液体(以下、リチウムイオン伝導性磁性イオン液体ということがある)を含有する。尚、電気化学デバイス100は、正極層2及び負極層3の両方が、リチウムイオン伝導性電解質としてリチウムイオン伝導性磁性イオン液体を含有しているが、本発明の電気化学デバイスでは、正極層2及び負極層3のいずれか一方のみがリチウムイオン伝導性磁性イオン液体を含有していてもよい。
以下、正極層及び負極層のそれぞれについて説明する。
正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。
正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiVO、LiCrO、LiMn、LiCoMnO、LiNiMn、LiNi0.5Mn1.5、LiCoPO、LiMnPO、LiFePO等を挙げることができる。
正極層に含まれる正極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、使用する正極活物質、後述する導電助剤等に応じて適宜決定すればよい。
尚、正極活物質及び負極活物質それぞれには、明確な区別はなく、2種類の化合物の充放電電位や酸化還元電位を比較し、貴な電位を示すものを正極活物質として、また、卑な電位を示すものを負極活物質として、組み合わせることで、任意の電圧の電池を構成することができる。ここでは、正極活物質と負極活物質の組み合わせの例示として、正極活物質及び負極活物質をそれぞれ例示する。
正極層は、正極活物質の他に、必要に応じて、導電助剤、リチウムイオン伝導助剤、バインダー成分等を含んでいてもよい。
電気化学デバイス100において、正極層2は、リチウムイオン伝導助剤として、リチウム塩を溶解した磁性イオン液体4を含有する。しかも、該磁性イオン液体4は、電子伝導性を有しており、導電助剤としても機能している。そのため、電気化学デバイス100の正極層2は、後述するような導電性炭素材料のような導電助剤を含有していない。尚、磁性イオン液体4及びリチウム塩は、上記電解質層の説明において記載したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。尚、磁性イオン液体そのものがリチウムイオン伝導性を有する場合には、磁性イオン液体をリチウムイオン伝導性電解質として用いることもできる。
尚、電気化学デバイス100において、正極層2は、リチウムイオン伝導助剤として、磁性イオン液体にリチウム塩を溶解させたものを含有しているが、上記電解質層の説明において記載したその他の電解質をリチウムイオン伝導助剤として含有していてもよい。
また、正極層2は、該磁性イオン液体が電子伝導性も有しているため、その他の導電助剤を含有していないが、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等の導電性炭素材料からなる導電助剤を含有していてもよい。図2に示す、電気化学デバイス200では、磁性イオン液体4’が電子伝導性を有していないため、正極層2の電子導電性を確保するために、導電助剤9を含有している。
正極層に含有されるバインダー成分としては、化学的、電気的に安定なものであることが好ましく、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダー成分、及び、スチレンブタジエンゴム等のゴム系バインダー成分等を挙げることができる。正極層におけるバインダー成分の含有量は、正極活物質等を安定に固定化できれば、より少ないことが好ましく、適宜決定すればよい。電解質層が液体電解質層である場合、電極層はバインダー成分を含有することが好ましい。電極層からの電極活物質の滑落を効果的に抑制することができるからである。
負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。
負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばLi、In、Al、Si及びSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。また、負極活物質の形状は、例えば、膜状であっても良く、粒子状であっても良い。膜状の負極活物質を用いる場合は、通常、負極活物質そのものが負極層になる。
負極活物質が粒子状である場合、負極層は、粒子状の負極活物質の他に、必要に応じて、導電助剤、リチウムイオン伝導助剤、バインダー成分等を含んでいてもよい。
電気化学デバイス100において、負極層3は、正極層2同様、リチウムイオン伝導助剤として、リチウム塩を溶解した磁性イオン液体4を含有する。しかも、該磁性イオン液体4は、電子伝導性を有しており、導電助剤としても機能している。そのため、電気化学デバイス100の負極層3は、後述するような導電性炭素材料のような導電助剤を含有していない。尚、磁性イオン液体4及びリチウム塩は、上記にて説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。尚、磁性イオン液体そのものがリチウムイオン伝導性を有する場合には、磁性イオン液体をリチウムイオン伝導性電解質として用いることもできる。
尚、電気化学デバイス100において、負極層3は、リチウムイオン伝導助剤として、磁性イオン液体にリチウム塩を溶解させたものを含有しているが、上記電解質層の説明において記載したその他の電解質をリチウムイオン伝導助剤として含有していてもよい。
また、負極層3は、該磁性イオン液体が電子伝導性も有しているため、その他の導電助剤を含有していないが、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等の導電性炭素材料からなる導電助剤を含有していてもよい。図2に示す、電気化学デバイス200では、磁性イオン液体4’が電子伝導性を有していないため、負極層3は導電助剤9を含有している。
リチウム二次電池は、上述した正極層、電解質層及び負極層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極層の集電を行う正極集電体、及び負極層の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
また、固体リチウム電池を収納する電池ケースとしては、一般的なリチウム電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。
尚、リチウム二次電池は、密閉され、大気と遮断された閉鎖系の構成でもよいし、或いは、正極活物質として、大気中の酸素を用いる開放系の構成(例えば、空気リチウム電池など)でもよい。また、本発明において、上記第1の実施形態の構成は、リチウム二次電池に限定されず、例えば、リチウム一次電池、燃料電池、その他空気−金属電池等においても採用することができる。
また、第1の形態においては、電極層中の磁性イオン液体が磁性体によって保持されるが、本発明の電気化学デバイスは、電解質層が磁性イオン液体を用いた液体電解質層である場合に、磁性体を用いて該液体電解質層内に磁性イオン液体を保持する形態とすることもできる。このような形態においては、液体電解質層からの磁性イオン液体の漏出を抑制することが可能である。
次に、本発明の電気化学デバイスの第2の形態について説明する。尚、本発明の電気化学デバイスの第2の形態は、以下に説明するものに限定されない。
図3は、本発明の電気化学デバイスの第2の形態を示す模式図である。図3において、電気化学デバイス300は、正極層11と負極層12との間に第1室10が介在する構造を有している。
電気化学デバイス300の非作動時、磁性イオン液体13は、第1室10と別途設けられた第2室14内に配置されており、第1室10内には配置されない(図3の3A参照)。このとき、第2室14における磁性イオン液体13の保持は、第2室14に隣接して設けられた磁石15の磁気的吸引力によって行われている。第2室14に配置された磁性イオン液体13は、電気化学デバイス300の電気化学反応に関与しない。
一方、電気化学デバイス300の作動時には、磁性イオン液体13は第2室14から第1室10へ移動し、第1室10内に配置される(図3の3B参照)。このとき、磁性イオン液体13の第2室14から第1室10への移動は、第2室14に隣接して設けられた磁石15が第2室14から離れることによって、該磁石15と第2室14内の磁性イオン液体13との間に作用していた磁気的吸引力が解除され、磁性イオン液体13が自重により第1室へ流入する(図3の3B参照)ことで行われる。
以上のように、第1室10に磁性イオン液体13が配置されることによって、正極層11と負極層12との間のイオン伝導が可能となり、電気化学デバイス300は、その作動が可能な状態となる。つまり、電気化学デバイスの作動時には、磁性イオン液体13が注入された第1室10が、電解質層として機能する状態となる。このように、電気化学デバイスの非作動時には、磁性イオン液体と正極及び/又は負極とを接触させないことによって、電気化学デバイスの非作動時の自然放電を抑制することができる。
図4の形態の変形例である図4の電気化学デバイス400は、正極層11と負極層12との間に、第1室10に隣接して、固体電解質層16を有する点で、図3の電気化学デバイス300と異なる。つまり、図4の電気化学デバイス400は、正極層11と負極層12との間に介在する電解質層が、正極層11側から順に、固体電解質層16と第1室10に注入された磁性イオン液体13とからなる。磁性イオン液体13が、電気化学デバイスの非作動時には磁石15によって第2室14内に保持され、電気化学デバイスの作動時には磁石15の磁気的吸引力の解除により第1室へと流入する点については、電気化学デバイス300と電気化学デバイス400とは同じである。
電気化学デバイス300及び電気化学デバイス400を構成する各部材の具体的な材料、構造等は特に限定されず、電気化学デバイスの用途、構造等に応じて適宜選択、決定すればよい。
以下、リチウム二次電池を例に、電気化学デバイス300及び電気化学デバイス400の具体的な構造について説明する。尚、第1の形態同様、第2の形態の電気化学デバイスも、リチウム二次電池に限定されず、リチウム一次電池や、燃料電池等の他の電気化学デバイスに採用することができる。
リチウム二次電池を構成する正極層、負極層、集電体、電池ケース等については、上記第1の形態において説明したものと同様にすることができるため、ここでは説明を省略する。また、磁性イオン液体及び磁性体についても上記にて記載したものと同様にすることができるため、ここでは説明を省略する。
上記したように、第1室10は、磁性イオン液体13がその内部に配置されることによって、電解質層として機能する。つまり、第1室10は、磁性イオン液体13をその内部に配置することが可能であり、且つ、その内部に配置された磁性イオン液体13が正極層11と負極層12の間のイオン伝導(リチウムイオン伝導)を仲介できる構造、特性を有していれば、具体的な構造等に特に限定はない。例えば、第1室10の正極層11と接する面は、正極層11の表面そのものであってもよいし、又は、イオン伝導性を有する材料からなる壁部が設けられていてもよい。同様に、第1室10の負極層12と接する面は、負極層12の表面そのものであってもよいし、又は、イオン伝導性を有する材料からなる壁部が設けられていてもよい。第1室10と正極層11及び/又は負極層12との界面となる壁部を構成するイオン伝導性材料としては、例えば、上記第1の形態において電解質層を構成するリチウムイオン伝導性電解質として例示したものが挙げられる。
また、第1室10へと流入した磁性イオン液体13が、正極層11及び/又は負極層12内にも浸透できるような構造としてもよい。このような構造とすることで、磁性イオン液体13を、電解質層を構成する電解液としてのみでなく、正極層11及び/又は負極層12を構成する電解液としても利用することができ、正極層11及び/又は負極層12のイオン伝導性を確保又は向上することができる。
電気化学デバイスの作動・非作動に応じて、磁性体と第1室とを接離し、これらの間に作用する磁気的吸引力を制御する手段は特に限定されない。スイッチOFFの状態では、磁性イオン液体が第2室内に保持され、スイッチをONにすることで、第2室内の磁性イオン液体に作用している磁気的吸引力が解除され、磁性イオン液体を第1室に移動させることができる磁石付きスイッチを使用することもできる。
また、磁性体による第1室から第2室への磁性イオン液体の移動は、上記形態に限定されない。上記電気化学デバイス300及び電気化学デバイス400では、磁石15(磁性体)を第2室14に隣接するように配置し、該磁石15による磁気的吸引力の解除によって、第2室14内に保持されていた磁性イオン液体13を第1室10へと移動させるが、例えば、第2室内の磁性イオン液体を第1室へ引き寄せるように、磁性体(磁石)を使用してもよい。また、上記電気化学デバイス300及び電気化学デバイス400の説明では、磁石15の作用による磁気的吸引力が解除された磁性イオン液体13は、自重により第2室14から第1室10に移動すると説明したが、第2室から第1室への磁性イオン液体の移動の駆動力は自重に限定されない。例えば、第2室内に磁性イオン液体を保持する磁性体(磁石)とは別途、第2室内の磁性イオン液体を第1室へ引き寄せる手段を用いてもよい。具体的な手段としては、例えば、磁性体等が挙げられる。
第2室14から第1室10へ移動させた磁性イオン液体13は、さらに、電気化学デバイスの作動状態から非作動状態への切り替えに伴って、第1室10から第2室14へ移動させることもできる。例えば、磁性イオン液体を第2室に保持する磁石(磁性体)の磁化値や、第1室と第2室の位置関係等の電気化学デバイスの構造にもよるが、電気化学デバイス300及び400において、磁性イオン液体を第2室に保持する磁石15を再度第2室14に近づけることで、第1室10内の磁性イオン液体13を第2室14へ引き寄せ、移動させることも可能である。或いは、磁性イオン液体を第2室に保持する磁性体(ここでは磁性体Aと称する)とは別途、磁性イオン液体を第1室に保持する磁性体(ここでは磁性体Bと称する)を設ける場合には、磁性体Bを第1室から離すと共に、磁性体Aを第2室に近づけることによって、第1室から第2室へと磁性イオン液体を移動させることもできる。
図4に示す電気化学デバイス400は、上記したように、正極層11と負極層12との間に、第1室10に隣接して、固体電解質層16を有する。第1室10に磁性イオン液体13が注入されることによって、正極層11と負極層12との間が電解質で満たされ、正極層11と負極層12とのイオン伝導が可能になる。従って、電気化学デバイス400は、図3に示す電気化学デバイス300同様、電気化学デバイスの非作動時の自然放電を抑制することができる。
尚、電気化学デバイス400では、第1室内に注入された磁性イオン液体と共に、正極層と負極層との間のイオン伝導を仲介する電解質層として、固体電解質層を設けたが、該電解質層は、液体電解質層でもゲル電解質層でもよい。また、該電解質層は、第1室と正極層との間の他、第1室と負極層との間に設けてもよいし、1つに限らず、2つ以上設けてもよい。
以上のような本発明の電気化学デバイスは、各種電気機器の電源等として、用いることができる。本発明の電気化学デバイスを備える電気機器は、電解液の漏出、電源の非作動時の自然放電等が抑制されており、安全性、耐久性、信頼性、等において優れるものである。電気機器としては特に限定されず、自動車も含まれる。
次に本発明の磁性イオン液体の分離回収方法について説明する。
本発明の磁性イオン液体の分離回収方法は、磁性イオン液体と磁性を有さない物質とを含む混合物から、磁性体の磁気的吸引力によって、磁性イオン液体を分離回収することを特徴とするものである。
本発明の磁性イオン液体の分離回収方法は、磁性イオン液体の磁性を利用するものである。磁石等の磁性体と磁性イオン液体との間に作用する磁気的吸引力によって、磁性イオン液体とその他の磁性を有していない物質とを含む混合物から、磁性イオン液体を分離し、回収することができる。尚、磁性体及び磁性イオン液体については、既述したものと同様なのでここでの記載は省略する。
上記したように、イオン液体は、熱的安定性や化学的安定性等の観点から電解液として利用され、電気化学デバイスにおいて、リチウム塩等の化合物を溶解して用いたり、樹脂に含浸させて用いたり、電極層内に含浸させたり、他の物質と混合又は接触した状態で用いられることが多い。本発明によれば、磁性イオン液体とその他の磁性を有していない物質と該磁性イオン液体とを含む混合物から、磁性イオン液体を選択的に分離することができる。しかも、本発明の磁性イオン液体の分離回収方法は、従来の超臨界流体を使用する技術等と比較して、非常に簡便であり、また大掛かりな設備を要しない。すなわち、本発明の磁性イオン液体の分離回収方法によれば、上記のような磁性イオン液体を用いる本発明の電気化学デバイスの製造工程や電気化学デバイスの廃棄又はリサイクルに際して、磁性イオン液体を容易且つ簡便に分離回収することができる。
尚、磁性イオン液体は、電気化学デバイス等においては金属等の磁性を有する固体材料と共に使用される場合もある。その場合、これら磁性イオン液体以外の磁性を有する固体材料の一部も、磁性イオン液体とともに磁性体に吸引されることが充分に予想される。これら他の磁性を有する固体材料との分離には、ろ過等の一般的な固液分離方法や、遠心分離法等の分離方法を利用することができる。
本発明の磁性イオン液体の分離回収方法の具体的な形態は、特に限定されず、本発明の方法の対象となる処理対象物の形態に応じて適宜決定することができる。具体的な形態としては、例えば、処理対象物に対して、ガラス、プラスチック、非鉄金属等の磁性イオン液体との間に磁気的吸引力が作用しない材料からなる介在物を介して、磁性体を近づけることによって、該介在物越しに磁性体に磁性イオン液体を吸引させ、分離する方法が挙げられる。介在物から磁性体を引き離すことによって、磁性イオン液体と磁性体との間に作用していた磁気的吸引力を解除し、磁性イオン液体を回収することができる。
特に、上記本発明の電気化学デバイスの第2形態においては、第2室に磁性イオン液体を配置した状態で、該電気化学デバイスから磁性イオン液体を回収し、該回収した磁性イオン液体を本発明の分離回収方法で処理することによって、より簡単にイオン液体の分離回収を行うことができる。
1…固体電解質層
2…正極層
3…負極層
4…磁性イオン液体
5…正極活物質
6…負極活物質
7…パッケージ
8…磁石
9…導電助剤
10…第1室
11…正極層
12…負極層
13…磁性イオン液体
14…第2室
15…磁石
16…固体電解質層
100…電気化学デバイス
200…電気化学デバイス
300…電気化学デバイス
400…電気化学デバイス

Claims (7)

  1. 磁性を有するイオン液体と、該磁性を有するイオン液体を磁気的吸引力により所定の位置に保持及び/又は所定の位置から移動させることが可能な磁性体と、を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
  2. 前記磁性を有するイオン液体と電極活物質とを含有する電極を備え、前記磁性を有するイオン液体が、前記磁性体の磁気的吸引力によって前記電極内に保持されている、請求項1に記載の電気化学デバイス。
  3. 前記電気化学デバイスの作動時に前記磁性を有するイオン液体が配置される第1室と、前記電気化学デバイスの非作動時に前記磁性を有するイオン液体が配置される第2室とを備え、
    前記磁性を有するイオン液体を、前記磁性体の磁気的吸引力によって、前記第1室から前記第2室へ及び/又は前記第2室から前記第1室へ移動させることが可能であり、
    前記磁性を有するイオン液体が前記第1室に配置されることによって、前記電気化学デバイスの作動が可能となる、請求項1に記載の電気化学デバイス。
  4. 前記磁性を有するイオン液体が、前記磁性体の磁気的吸引力によって前記第2室内に保持される、請求項3に記載の電気化学デバイス。
  5. 一対の負極と正極とを有し、前記第1室は前記負極と前記正極との間に位置し、前記第1室に配置された前記磁性を有するイオン液体が、前記負極と前記正極とのイオン伝導を仲介する、請求項3又は4に記載の電気化学デバイス。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電気化学デバイスを備えることを特徴とする、電気機器。
  7. 磁性を有するイオン液体と磁性を有さない物質とを含む混合物から、磁性体の磁気的吸引力によって、前記磁性を有するイオン液体を分離回収することを特徴とする、磁性を有するイオン液体の分離回収方法。
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