JP2011133905A - 反射防止積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハードコート層(HC層)と低屈折率層(L層)とを積層してなる反射防止積層体において、HC層が、分子中にビニル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂からなり、L層との界面となるHC層表面が極微細の粗面構造を呈し、かつL層がSiアルコキシドおよびその加水分解物と、フッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなる反射防止積層体である。
【選択図】なし
Description
Si(OR)4 ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、一般式(B)
CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体である。
すなわち、本発明の反射防止積層体は、ディスプレイなどの最外層に配置され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられ、かつ防汚性に優れたものである。
また、本発明の反射防止積層体は、蒸着方などで製造される反射防止積層体と比較して、装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度も10倍以上の早さで、生産性も高く、製造も容易である。
さらに、本発明の反射防止積層体は、巻き取り塗工で製造することが可能で、安価に、大量生産できるといった効果を奏するものである。
本発明によれば、硬化性樹脂からなるハードコート層の表面を極微細粗面化し、低屈折率層を、下記一般式(A)
Si(OR)4 ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、下記一般式(B)
CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤で形成される、いわゆるゾルゲルコート層とすることで、ハードコート層と低屈折率層との密着性を高めることができるものである。
元来ゾルゲル系の被膜は、無機コーティング剤として外装材などにも使用され、タイルやガラスなどの無機基材にコーティングした場合には高い硬度、強度を発現する材料として知られている。
本発明の反射防止積層体は、ナノオーダーの極微細粗面構造を有するハードコート層とゾルゲル系低屈折率組成物からなる低屈折率層を基材に順次塗工し、反射防止積層体を得るものである。
本発明において用いられる、Siアルコキシドは、下記一般式(A)
Si(OR)4 ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるものであり、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが例示される。
フッ素含有ケイ素化合物は、下記一般式(B)
CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるもので、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどが例示され、mが8より大ききなると均質な膜が形成できなくなるため不適である。
これらの有機ケイ素化合物はコーティング組成物中にp−トルエンスルホン酸などの有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、またあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し、加水分解反応させたものを用いることもできる。
特に、下地との密着性を重視する場合、塩酸を触媒として通常用いられる加水分解水よりも多い状態で反応させる。すなわち、前記一般式(A)のSiアルコキシドと前記一般式(B)のRf−Siとを合わせた全シラン化合物を塩酸によって加水分解を行い、加水分解の際の塩酸中の水と全シラン化合物との比率を選択することで密着良好で均一な透明被膜が形成することができる。
塩酸の規定度が低い場合、水の比率が高すぎる場合は加水分反応溶液を基材にコーティングした場合、斑点状のハジキや欠陥が生じ易く、水の比率が低い場合は、塗膜は均一であるが、下地のハードコート層との密着がやや低下するため望ましくない。
また各成分を別々に加水分解反応させた後混合させても良いが、反応させる前に混合して同時に共加水分解させた方が均質な重合体ができるため望ましい。
上記調整は、ケイ素化合物の加水分解率をコントロールして、ケイ素化合物の重合体の分子量を制御したり、相分離を抑制し均質で分子架橋密度が高く、分子レベルのハイブリッド膜を形成至らしめるものである。
紫外線(UV)照射による硬化を行う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であり、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤、アセトフェノン、2、1− ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤など特に限定されるものではない。
被膜の厚さは、目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
しかし、これらのアルカリ処理では工程が煩雑で、使用する基材、樹脂組成によっては処理に向かない場合がある。
特に、無機超微粒子として、平均粒径5〜100nmのシリカゾル微粒子を、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有させることで、透明性にも優れ好適である。
平均粒径が5nm以下は製造が困難であり、100nm以上では光の散乱のため透明性が損なわれる。
極微細粗面化構造とするためには、粒子とバインダーとの比率が重要であり、本発明のハードコート層中のシリカ粒子成分が30〜70wt%、さらに好適には40〜60wt%含有されていることが望ましく、30wt%以下では所望の粗さが得られにくく、70%以上では十分な強度を発現できない。
80μm厚のTACフィルムを基材として、下記に示したHC組成物として、シリカゾル微粒子含有アクリル系UV硬化樹脂組成物であるHC1組成物を表面に塗工してUV硬化させてハードコート層(以下、HC層と記す)(5μm)を設けた基材を作製した。次に、下記に示した低屈折率コーティング組成物として、A1、A2のコーティング組成物を作成し、バーコーターにより塗布して、乾燥機で120℃−5min乾燥し、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をして低屈折率層(以下L層と記す)を形成し、各種試験用の試験体を得、本発明の実施例としてA1、A2の組成物を塗工したものを実施例1、2とした。
HC組成物として、HC2組成物を用いハードコート層形成した後、アルカリ処理を施したものを基材とし同様に作製したものを実施例3とし、アルカリ処理を施していないHC層に塗工したものを比較例1とした。さらに、比較例として、HC組成物として、HC3組成物を用いHC層を形成したもので、HC層表面にアルカリ処理を施し、低屈折率コーティング組成物として、A1組成物を塗工したものを比較例2として試験体を合わせて作成し、下記に示した評価方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
・HC1組成物:PETAと平均粒径10−20nmのイソプロピルアルコール分散シリカゾル固形分比で50/50になるように混合後、MEK溶剤にて希釈したNV50%溶液。UV硬化の開始剤としてアセトフェノン系開始剤を重合成分に対して2%添加した。
・HC2組成物:PETAをMEK溶剤にて希釈したNV50%溶液。
・HC3組成物:HC1組成物のPETAとシリカゾル粒子の比率が80/20であるNV50%溶液。
(A1):テトラメトキシシラン1molにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.3Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて基本組成A1を得た。
(A2):テトラメトキシシラン1molにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.3Nの塩酸7molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて基本組成A2を得た。
(1)表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(SPI3700;セイコー電子)を用い走査範囲□5μmにて測定した。
(2)光学特性
・反射率:分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定した。
・ヘイズ:プラスチックの光学的特性試験方法JIS−K7105のヘイズ試験方法に準じて算出した。
(3)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて塗膜の残存数にて評価した。
(4)鉛筆硬度
塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき値試験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した。
(5)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、250g/cm2の荷重で往復5回擦傷試験を実施、目視による傷の外観を検査した。評価は、傷なし(◎)、かるく傷あり(○)、かなり傷つく(△)、著しく傷つく(×)の4段階とした。
(6)水接触角
被膜表面に水滴をのせ、水滴と表面の接触角を測定した。測定には協和界面科学(株)製の接触角計を用いた。
(7)指紋拭き取り性
被膜表面に指紋を付着させ、ティッシュペーパーにて拭き取り性を目視で検査した。評価は、容易に拭き取れる(○)、拭き取れる(△)、拭き取れない(×)の3段階とした。
また、表1に示すように、本発明の実施例において、アルカリ処理を施した実施例3のものに比較して、無機微粒子含有した系の、加水分解条件において水のモル比が多い低屈折率コーティング組成物(A2)を用いた実施例2のものの方が密着性、耐擦傷性も優れている。
Claims (4)
- プラスチックやガラスなどの基材の少なくとも一方に、ハードコート層と低屈折率層とを順次積層してなる反射防止膜が形成された積層体において、該ハードコート層が、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂から形成されてなるものであって、低屈折率層との界面となるハードコート層表面が極微細の粗面構造を呈し、かつ低屈折率層が、一般式(A)
Si(OR)4 ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、一般式(B)
CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体。 - 前記極微細粗面構造を呈するハードコート層表面の粗度が、一辺が5μm四方の微小領域における10点平均粗さ(Rz)が50nm以下で、かつ算術平均粗さ(Ra)が 1〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の反射防止積層体。
- 前記極微細粗面構造を有するハードコート層が、平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止積層体。
- 前記無機超微粒子が、シリカゾル微粒子であって、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有することを特徴とする請求項3記載の反射防止積層体。
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