JP2011133905A - 反射防止積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低屈折率を有し、物理的強度および防汚性に優れ、かつ生産性に優れた安価な反射防止積層体を提供する。
【解決手段】ハードコート層(HC層)と低屈折率層(L層)とを積層してなる反射防止積層体において、HC層が、分子中にビニル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂からなり、L層との界面となるHC層表面が極微細の粗面構造を呈し、かつL層がSiアルコキシドおよびその加水分解物と、フッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなる反射防止積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスやプラスチックなどの透明基材などに塗工して、光学多層膜が形成された反射防止積層体に関する。
従来、ガラスやプラスチックなどの基材に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着法あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止膜などの光干渉による光学多層膜を形成する方法が知られている。しかし、このようなドライコーティングプロセスでは装置が高価で、成膜速度が遅く、生産効率が悪いなどの課題を有している。
特に、ディスプレイの反射防止膜などの最外層に使用される形態においては、表面の汚れ防止、容易拭き取り性などのいわゆる防汚性能が必要であるが、これらの機能を付与するために別途ウェットあるいはドライプロセスにてフッ素含有ケイ素化合物などからなる層を設ける必要があり、工程が煩雑でより高価なものとなってしまうなどの課題もある。
これに対して、金属アルコキシドなどを出発物質とし、基材に塗工して光学多層膜を形成する方法が知られており、高屈折率材料としてはTiやZrなどのアルコキシドが用いられる。また、低屈折率材料としてはSi系アルコキシド、あるいはSiアルコキシドの一部をエポキシ基やアルキル基など他の有機置換基に置き換えた有機ケイ素化合物、いわゆるシランカップリング剤などが用いられる。さらに、防汚成分としてフッ素含有ケイ素化合物を添加されてなる方法が提案されている(例えば、特開平9−208898号公報など)。しかし、これらの塗膜では、乾燥・重合に高温、長時間を必要とするため生産性に問題がある。また、ある程度の低い屈折率とある程度の防汚性を得ることはできるが、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度が不十分であり、光学多層膜は最外層に使用されるため、強度が不十分では実用に耐えることができないといった問題がある。
上記の問題点を改善するために、ケイ素アルコキシドを出発物質としたシリカゾルと反応性有機ケイ素化合物(シランカップリング剤や末端に反応基を有するジメチルシリコーンなど)との複合材料などが提案されている(例えば、特開平9−220791号公報など)。しかしながら、これらのSiO系複合膜組成物も十分な物性を得ようとすると加熱に長時間を要するもので、アクリロイル基などの重合性不飽和基を含有する有機ケイ素化合物も記載されているが、いずれもアクリロイル基が1個ないしは2個の単官能あるいは2官能性の化合物であり光(電子線)重合しても高い架橋密度が得られない。硬度や耐擦傷性などの物理的強度を向上させようとすると、上記複合膜成分中にシリカ成分以外の成分として、例えはアクリル系化合物を複合して、アクリル成分比率を高くする必要がある。そのような場合、光学特性を決定するSi系などのアルコキシドを出発物質とするシリカ成分の体積比が抑制され低屈折率化をはかることができない。また、硬度、耐擦傷性や密着性などの物理的強度も十分でなく、かつ指紋などの汚れ成分を簡単に拭き取ることができない。このように、未だ、低屈折率化と硬度や耐擦傷性、密着性などの物理的強度が両立できて、しかも指紋などの汚れ成分を簡単に拭き取ることのできる反射防止積層体は得られていない。
特開平9−208898号公報 特開平9−220791号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低屈折率を有し、物理的的強度および防汚性に優れ、かつ生産性に優れた安価な反射防止積層体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、プラスチックやガラスなどの基材の少なくとも一方に、ハードコート層と低屈折率層とを順次積層してるなる反射防止膜が形成された積層体において、該ハードコート層が、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂から形成されてなるものであって、低屈折率層との界面となるハードコート層表面が極微細の粗面構造を呈し、かつ低屈折率層が、一般式(A)
Si(OR) ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、一般式(B)
CF−(CF−(CH)−Si(OR) ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の反射防止積層体において、前記極微細粗面構造を呈するハードコート層表面の粗度が、一辺が5μm四方の微小領域における10点平均粗さ(Rz)が50nm以下で、かつ算術平均粗さ(Ra)が 1〜10nmの範囲であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の反射防止積層体において、前記極微細粗面構造を有するハードコート層が、平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子を含有することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3記載の反射防止積層体において、前記無機超微粒子が、シリカゾル微粒子であって、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有することを特徴とする。
本発明の反射防止積層体は、表面形態が極微細の粗面構造を有するハードコート層と特定組成のゾルゲル系低屈折率コート剤からなる低屈折率層との組合せによって、ハードコート層と低屈折率層との高い密着強度維持できるものであり、低屈折率という光学特性と優れた物理的強度とを兼備した被膜を形成することができるものである。
すなわち、本発明の反射防止積層体は、ディスプレイなどの最外層に配置され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられ、かつ防汚性に優れたものである。
また、本発明の反射防止積層体は、蒸着方などで製造される反射防止積層体と比較して、装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度も10倍以上の早さで、生産性も高く、製造も容易である。
さらに、本発明の反射防止積層体は、巻き取り塗工で製造することが可能で、安価に、大量生産できるといった効果を奏するものである。
〈作用〉
本発明によれば、硬化性樹脂からなるハードコート層の表面を極微細粗面化し、低屈折率層を、下記一般式(A)
Si(OR) ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、下記一般式(B)
CF3−(CF2)−(CH)−Si(OR) ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤で形成される、いわゆるゾルゲルコート層とすることで、ハードコート層と低屈折率層との密着性を高めることができるものである。
元来ゾルゲル系の被膜は、無機コーティング剤として外装材などにも使用され、タイルやガラスなどの無機基材にコーティングした場合には高い硬度、強度を発現する材料として知られている。
従来の反射防止積層体においては、密着性等の性能を充分に発揮できていなかったものであるが、この要因として下地との密着不良であることを見出した。そこで、下地として極微細粗面化された構造のハードコート層に、特定量の水(通常加水分解に必要な水の量の2〜4倍の量)で加水分解されたゾルゲルコート剤からなる低屈折率層を形成をることで、下地との密着性に優れた反射防止積層体が得られる。特に、この下地粗面化度を特定領域の表面ナノ凸凹微細構造とすることで、散乱による透明性の低下ならびに防汚性能の低下などを誘発することなく、密着性のみを向上させることができ、ゾルゲル被膜の本来の強度を発現させるものである。
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、Si系成分が低屈折率成分として機能するものではあるが、Rf基の導入により膜内部のシロキサンネットワークを寸断することで膜内部に分子レベルの隙間を形成し、膜密度を低下させ低屈折率化(1.44以下)をはかることができるものである。また、上記低屈折率層は、特定の加水分解方法で調整することで架橋構造をある程度寸断しても分子レベルで均一で溶液中で適当な分子量の重合体を形成し、ハイブリッド構造を呈しているものである。膜の密度は、低下しても充分な架橋構造を有しているので、充分な強度を発揮でき、硬度が高く、耐擦傷性も良好で、従来の低屈折率組成物の欠点を大幅に改善することができる。このように、低屈折率化と高強度化の両立可能で、なおかつ防汚機能も有する反射防止積層体を提供するものである。
以下、本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。
本発明の反射防止積層体は、ナノオーダーの極微細粗面構造を有するハードコート層とゾルゲル系低屈折率組成物からなる低屈折率層を基材に順次塗工し、反射防止積層体を得るものである。
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、TEOSなどのSiアルコキシドとフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物を主成分とする組成物からなるものてあり、これを基材に塗工し、加熱乾燥し、被膜を形成可能とするものであり、該組成物中にさらに長鎖Rf基など導入し膜密度を制御することで、膜の屈折率を低下させるものである。
以下、低屈折率組成物コーティング材料に含まれる各成分についてに詳述する。
本発明において用いられる、Siアルコキシドは、下記一般式(A)
Si(OR) ・・・(A)
(Rはアルキル基)で表されるものであり、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが例示される。
フッ素含有ケイ素化合物は、下記一般式(B)
CF−(CF−(CH)−Si(OR) ・・・(B)
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるもので、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどが例示され、mが8より大ききなると均質な膜が形成できなくなるため不適である。
一般式(A)のSiアルコキシドと一般式(B)のフッ素含有ケイ素化合物との比率がモル比で(A)/(B)=1.0/0.01〜1.0/0.2とすることで低屈折率化と強度を両立することができ、しかも防汚性能も発現でき好適であるが、さらに好ましくは、1.0/0.03〜1/0.1の範囲が望ましい。フッ素含有ケイ素化合物の比率が、0.01以下では低屈折率化が図れず、また防汚機能も充分ではない。逆に、フッ素含有ケイ素化合物の比率が、0.2より過剰になると低屈折率化と防汚性は良好であるが、Rf基の増加によりシロキサン架橋が充分得られず強度が著しく低下してしまい不適である。
これらの有機ケイ素化合物は、特に限定されるものでなく、2種以上組み合わせても何ら差し支えなく、Siアルコキシドとフッ素含有ケイ素化合物を併用してあれば好適である。
これらの有機ケイ素化合物はコーティング組成物中にp−トルエンスルホン酸などの有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、またあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し、加水分解反応させたものを用いることもできる。
特に、下地との密着性を重視する場合、塩酸を触媒として通常用いられる加水分解水よりも多い状態で反応させる。すなわち、前記一般式(A)のSiアルコキシドと前記一般式(B)のRf−Siとを合わせた全シラン化合物を塩酸によって加水分解を行い、加水分解の際の塩酸中の水と全シラン化合物との比率を選択することで密着良好で均一な透明被膜が形成することができる。
塩酸の規定度が低い場合、水の比率が高すぎる場合は加水分反応溶液を基材にコーティングした場合、斑点状のハジキや欠陥が生じ易く、水の比率が低い場合は、塗膜は均一であるが、下地のハードコート層との密着がやや低下するため望ましくない。
また各成分を別々に加水分解反応させた後混合させても良いが、反応させる前に混合して同時に共加水分解させた方が均質な重合体ができるため望ましい。
上記調整は、ケイ素化合物の加水分解率をコントロールして、ケイ素化合物の重合体の分子量を制御したり、相分離を抑制し均質で分子架橋密度が高く、分子レベルのハイブリッド膜を形成至らしめるものである。
これらのゾルゲル系組成物の組み合わせは、一般に公知ではあるが、本発明の積層体は単なる組み合わせではなく、下地の粗面化されたハードコート層とマトリックスであるコート組成物の無機のネットワークとの相溶性、親和性が高く、単に有機樹脂上に積層するより密着性が高い被膜が得られる材料系であり、さらに上記調整方法のようにコントロールされた加水分解条件によって密着性はさらに向上する。
本発明におけるハードコート層は、透明プラスチック基材表面の硬度を向上させ、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止し、また、透明基材の屈曲による反射防止層のクッラク発生を抑制することができ、反射防止積層体の機械的強度が改善できるものであり、通常、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂が用いられる。
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、あるいはPETAとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などのジイソシアネートとの反応生成であるウレタンアクリレートなど多官能アクリルモノマー類およびその変性体などで、平均分子量200〜5000のものであれば、極微細なナノ凸凹を形成する際に添加される無機超微粒子との相溶性も良く、被膜形成時に相分離することなく、架橋密度の高い、均質で透明なハイブリッド被膜が形成でき好適である。
これらの多官能モノマーは、一種類のみを使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。ハードコート層は透明基材と屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましい。膜厚は2μm以上あればある程度十分な強度となるが、透明性、塗工精度、取り扱いから4〜7μmの範囲が好ましい。
前記ハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの無機あるいは有機物微粒子を混合分散させる。または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチグレアと呼ばれる光拡散性処理を施すことが出来る。これらの微粒子は透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、酸化珪素が安定性、耐熱性等で好ましい。
紫外線(UV)照射による硬化を行う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であり、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤、アセトフェノン、2、1− ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤など特に限定されるものではない。
上述した各成分をいくつか組み合わせて組成物に加えることができる。さらに、物性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることもできる。
コーティング組成物の塗布方法は、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。
被膜の厚さは、目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
本発明におけるハードコート層表面の粗面化は、基材上にハードコート層を形成した後、本発明のコーティング溶液を塗工する前に、表面処理を行うことによって形成することができる。その後処理(塗工前処理)としては、アルカリ処理法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等を挙げることができるが、なかでも、アルカリ処理が有効である。使用するアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液、それらにアルコール等の各種有機溶媒を加えたアルカリ水溶液等を挙げることができる。アルカリ処理の条件は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、0.1〜10Nの濃度の水溶液として使用することが望ましく、さらに、1〜2Nの濃度が好ましい。また、アルカリ水溶液の温度は、0〜100℃、好ましくは、20〜80℃である。アルカリ処理の時間は、0.01〜10時間、好ましくは、0.1〜1時間である。これらのアルカリ処理を施すことでハードコート層表面の粗度(凸凹状態)を制御したナノ凸凹構造を形成することにより、より低屈折率層との密着を向上させるものである。
しかし、これらのアルカリ処理では工程が煩雑で、使用する基材、樹脂組成によっては処理に向かない場合がある。
ハードコート層表面の他の粗面化方法として、あらかじめハードコート層として平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子を含有する超微粒子含有硬化樹脂からなるハードコート層形成させることで極微細に表面を粗面構造とすることができる。これらの粒子含有系であればアルカリ処理などの後処理を施すことがなく、粗面化構造を付与でき好適である。
特に、無機超微粒子として、平均粒径5〜100nmのシリカゾル微粒子を、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有させることで、透明性にも優れ好適である。
本発明において用いられる、シリカゾルとは平均粒径が5〜100nmの粒子径のシリカ粒子が溶媒中に分散されたもので、ケイ酸ナトリムなどのケイ酸アルカリからイオン交換等でアルカリを除去したり、酸で中和したりする方法で得られるシリカゾルであって、水性でも、有機溶剤置換された有機溶媒系シリカゾルでも特に限定されるものではないが、アクリルモノマーとの相溶性、プラスティック基材への塗工適性などから有機溶媒系のものが望ましい。
平均粒径が5nm以下は製造が困難であり、100nm以上では光の散乱のため透明性が損なわれる。
極微細粗面化構造とするためには、粒子とバインダーとの比率が重要であり、本発明のハードコート層中のシリカ粒子成分が30〜70wt%、さらに好適には40〜60wt%含有されていることが望ましく、30wt%以下では所望の粗さが得られにくく、70%以上では十分な強度を発現できない。
これらの微粒子はあらかじめシランカップリング剤などで表面修飾されたものを用いることもできる。表面修飾の方法は、塩酸、有機酸の存在下で両者を混合し、有機金属のアルコキシド基と粒子表面のOH基とを反応させることで容易に処理されるものであり、特別に分離精製することなく、そのまま他の成分を添加してコーティング組成物を調整することができる。
本発明における表面粗さとは、JIS−B0601に定義されている表面粗さに準拠するものではあるが、原子間力顕微鏡などによって測定される微小領域、微小スケールにおける表面粗さのことである。算術平均粗さ(Ra)、10点平均粗さ(Rz)の計算はJIS−B0601に準じた。
本発明における反射防止積層体は可視領域の光学干渉を利用した反射防止層であるため、おおよそ積層される被膜の膜厚が100nm〜200nm程度であり、被膜が連続した膜を形成できかつ、光散乱の影響がでない程度の表面粗さである必要があり、凹凸の差が大きすぎたり、凹凸の頻度が高すぎると積層体のヘイズの増加、強度の低下を引き起こし適当ではない。逆に、平滑過ぎる表面ではハードコート層と低屈折率層との密着強度向上が期待できないことから、Rzが50nm以下で、Raが2〜10nmが好適である。
本発明の反射防止積層体を具体的な実施例をあげて説明する。
80μm厚のTACフィルムを基材として、下記に示したHC組成物として、シリカゾル微粒子含有アクリル系UV硬化樹脂組成物であるHC1組成物を表面に塗工してUV硬化させてハードコート層(以下、HC層と記す)(5μm)を設けた基材を作製した。次に、下記に示した低屈折率コーティング組成物として、A1、A2のコーティング組成物を作成し、バーコーターにより塗布して、乾燥機で120℃−5min乾燥し、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をして低屈折率層(以下L層と記す)を形成し、各種試験用の試験体を得、本発明の実施例としてA1、A2の組成物を塗工したものを実施例1、2とした。
HC組成物として、HC2組成物を用いハードコート層形成した後、アルカリ処理を施したものを基材とし同様に作製したものを実施例3とし、アルカリ処理を施していないHC層に塗工したものを比較例1とした。さらに、比較例として、HC組成物として、HC3組成物を用いHC層を形成したもので、HC層表面にアルカリ処理を施し、低屈折率コーティング組成物として、A1組成物を塗工したものを比較例2として試験体を合わせて作成し、下記に示した評価方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
<HC組成物>
・HC1組成物:PETAと平均粒径10−20nmのイソプロピルアルコール分散シリカゾル固形分比で50/50になるように混合後、MEK溶剤にて希釈したNV50%溶液。UV硬化の開始剤としてアセトフェノン系開始剤を重合成分に対して2%添加した。
・HC2組成物:PETAをMEK溶剤にて希釈したNV50%溶液。
・HC3組成物:HC1組成物のPETAとシリカゾル粒子の比率が80/20であるNV50%溶液。
<低屈折率コーティング組成物>
(A1):テトラメトキシシラン1molにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.3Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて基本組成A1を得た。
(A2):テトラメトキシシラン1molにトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.3Nの塩酸7molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて基本組成A2を得た。
<評価試験方法>
(1)表面粗さ
原子間力顕微鏡AFM(SPI3700;セイコー電子)を用い走査範囲□5μmにて測定した。
(2)光学特性
・反射率:分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定した。
・ヘイズ:プラスチックの光学的特性試験方法JIS−K7105のヘイズ試験方法に準じて算出した。
(3)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて塗膜の残存数にて評価した。
(4)鉛筆硬度
塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき値試験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した。
(5)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、250g/cmの荷重で往復5回擦傷試験を実施、目視による傷の外観を検査した。評価は、傷なし(◎)、かるく傷あり(○)、かなり傷つく(△)、著しく傷つく(×)の4段階とした。
(6)水接触角
被膜表面に水滴をのせ、水滴と表面の接触角を測定した。測定には協和界面科学(株)製の接触角計を用いた。
(7)指紋拭き取り性
被膜表面に指紋を付着させ、ティッシュペーパーにて拭き取り性を目視で検査した。評価は、容易に拭き取れる(○)、拭き取れる(△)、拭き取れない(×)の3段階とした。
Figure 2011133905
表1に示すように、実施例1〜3および比較例1、2のいずれも反射率が低く、目的の低屈折率層を得ることができたが、実施例1〜3で得られたものは密着性、硬度、耐擦傷性、防汚性にも優れるが、それに対して、比較例1、2のものは耐擦傷性や密着性など強度面で著しく特性が劣っていることがわかる。
また、表1に示すように、本発明の実施例において、アルカリ処理を施した実施例3のものに比較して、無機微粒子含有した系の、加水分解条件において水のモル比が多い低屈折率コーティング組成物(A2)を用いた実施例2のものの方が密着性、耐擦傷性も優れている。

Claims (4)

  1. プラスチックやガラスなどの基材の少なくとも一方に、ハードコート層と低屈折率層とを順次積層してなる反射防止膜が形成された積層体において、該ハードコート層が、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂から形成されてなるものであって、低屈折率層との界面となるハードコート層表面が極微細の粗面構造を呈し、かつ低屈折率層が、一般式(A)
    Si(OR) ・・・(A)
    (Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよびその加水分解物と、一般式(B)
    CF−(CF−(CH)−Si(OR) ・・・(B)
    (pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体。
  2. 前記極微細粗面構造を呈するハードコート層表面の粗度が、一辺が5μm四方の微小領域における10点平均粗さ(Rz)が50nm以下で、かつ算術平均粗さ(Ra)が 1〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の反射防止積層体。
  3. 前記極微細粗面構造を有するハードコート層が、平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止積層体。
  4. 前記無機超微粒子が、シリカゾル微粒子であって、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有することを特徴とする請求項3記載の反射防止積層体。
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