JP2001031781A - プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグ及び繊維強化複合材料

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JP2001031781A
JP2001031781A JP2000144706A JP2000144706A JP2001031781A JP 2001031781 A JP2001031781 A JP 2001031781A JP 2000144706 A JP2000144706 A JP 2000144706A JP 2000144706 A JP2000144706 A JP 2000144706A JP 2001031781 A JP2001031781 A JP 2001031781A
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epoxy resin
prepreg
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resin composition
fiber
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JP2000144706A
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English (en)
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Hideki Okita
英樹 沖田
Hiroki Ooseto
浩樹 大背戸
Shunsaku Noda
俊作 野田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種特性に優れた繊維強化複合材料を得ること
ができるプリプレグ、及びかかる優れた特性を有する繊
維強化複合材料を提供すること。 【解決手段】硬化物の伸度が8%以上であるエポキシ樹
脂組成物が、炭素繊維に含浸されて構成されるプリプレ
グであって、該プリプレグが加熱され硬化されてなる繊
維強化複合材料のモードI層間破壊靭性値GIC又はモー
ドII層間破壊靭性値GIICの少なくとも一方が200J
/m2以上であるプリプレグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途に適したプリプレグ及び繊維
強化複合材料に関するものである。
【0002】さらに詳細には、例えば、航空機、船舶、
自動車、自転車等、及びポンプや刈払い機等の産業機械
における各種フレーム、パイプ、シャフト、さらにそれ
らの曲円板、又は、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿、
スキーポール、バトミントンラケット用シャフト、テン
トの支柱等の円筒複合材料、又は、スキー板、スノーボ
ード、ゴルフクラブ用ヘッド等の各種スポーツ/レジャ
ー用品、又は、土木建築用資材とその補修・補強等に好
適に使用できるプリプレグ及び繊維強化複合材料に関す
るものである。
【0003】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、特にその機械強度特性が優れてい
るために、スポーツ用途をはじめ、航空宇宙用途、一般
産業用途に広く用いられている。特にスポーツ用途で
は、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿、テニスやバトミ
ントン等のラケット、ホッケー等のスティック等が重要
な用途として挙げることができる。
【0004】特にスポーツ用途では、強化繊維として炭
素繊維、マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が主と
して用いられる。
【0005】繊維強化複合材料の製造には、各種の方式
が用いられるが、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸さ
れたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法が
広く用いられている。この方法ではプリプレグを複数枚
積層した後、加熱することによって成形体が得られる。
【0006】スポーツ用の繊維強化複合材料すなわち、
ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿等は、軽量化が特に要
求される分野であるが、軽量化と耐久性を両立させるこ
とに加え、プリプレグが使用されて得られる繊維強化複
合材料の耐衝撃性を高めることが主要な課題となってい
る。
【0007】かかる耐衝撃性を高めるためには、通常、
プリプレグの層間の強度を高めることが有効であると考
えられ、そのためにさまざまな手法が提案されてきた。
【0008】例えば、特開昭60−63229号公報に
開示されているような、プリプレグの層間にインターリ
ーフと呼ばれる熱可塑性樹脂フィルム層を設ける方法、
特開平4−292902号公報に開示されているよう
な、熱可塑性樹脂を原料とする繊維をプリプレグの層間
に配する方法等、プリプレグの層間に熱可塑性樹脂を含
む層を設けることにより層間の強度を高める手法が知ら
れているが、いずれの場合も、繊維強化複合材料中の強
化繊維含有率を充分に高めることが困難となり、さらな
る材料の軽量化実現のためには不利となること、また、
かかるプリプレグの製造には複雑な工程が必要となるこ
と等の問題があった。
【0009】また、他の手法としては、エポキシ樹脂組
成物にゴム成分や熱可塑性樹脂を配合することにより樹
脂の硬化物の靭性を高める方法が知られている。
【0010】ゴム成分を配合するものとしては、例え
ば、特公昭61−29613号公報、特公昭62−34
251号公報では、エポキシ樹脂にカルボキシル基を末
端基とするブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム
(CTBN)やニトリルゴムを配合する方法が提案され
ている。しかし、この方法ではエポキシ樹脂の硬化物の
弾性率やガラス転移温度の低下を引き起こす等の問題が
あった。
【0011】エポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂を配合
する場合は、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂を配合
すれば、耐熱性を保持したまま、高い靭性を備える硬化
物を得ることが可能となるが、高靭性化を達成するため
には、エポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂を多く配合す
る必要があるため、同時にエポキシ樹脂組成物の粘度の
増加を伴い、取り扱い性が悪化する等の問題があった。
【0012】ここで、繊維強化複合材料、特に強度特性
向上の観点から炭素繊維が使用されてなる繊維強化複合
材料のスポーツ用途の中で、ゴルフクラブ用シャフト
は、シャフト軸方向に強化繊維を配向させたストレート
層とシャフト軸方向に対し30゜から60゜に強化繊維
を配向させたバイアス層を有するのが一般的である。
【0013】瞬時に作用する衝撃応力に対する耐性の指
標となる、いわゆる衝撃強度は、評価試験の際にストレ
ート層とバイアス層に応力が複雑に作用するために、繊
維強化複合材料が備える諸特性の中で、何が衝撃強度を
高めるための主要因であるかについて究明し難かった。
衝撃強度は、従来、曲げ強度と正の相関関係があると考
えられていたが、曲げ強度の高い繊維強化複合材料を使
用しても充分に高めることは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、各種特性に優れた繊維強化複合材料
を得ることができるプリプレグ、及びかかる優れた特性
を有する繊維強化複合材料を提供せんとするものであ
る。
【0015】さらに詳しくは、本発明の目的は、前述し
た従来の問題を解決し、優れた特性を持つプリプレグと
繊維強化複合材料、例えば、衝撃強度に優れながら、同
時に捻り強さ、圧壊強度、曲げ強度にも優れるゴルフク
ラブ用シャフトを提供できるプリプレグと繊維強化複合
材料を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の構成を有する。即ち、次の構成要素
(A)、(B)を含んでなり、硬化物の伸度が8%以上
であるエポキシ樹脂組成物が、炭素繊維に含浸されて構
成されるプリプレグであって、該プリプレグが加熱され
硬化されてなる繊維強化複合材料のモードI層間破壊靭
性値GIC又はモードII層間破壊靭性値GIICの少なくと
も一方が200J/m2以上であるプリプレグである。 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、ゴルフクラブ用シ
ャフト等管状又は円筒形状の繊維強化複合材料、すなわ
ち円筒繊維強化複合材料では、前記したような衝撃強度
を高めるに当たって、JIS K7086の双片持ちは
り(DCB)試験によって測定される、炭素繊維強化複
合材料(以下、CFRPと略記)のモードI層間破壊靭
性値G IC(以下、単にGICと略記)、又は、JIS K
7086の端面切欠き曲げ(ENF)試験によって測定
されるモードII層間破壊靭性値GIIC(以下、単にGIIC
と略記)を高めることが重要であること、さらに、GIC
やGIIcを高めるために、炭素繊維と、特定の配合物か
ら成るエポキシ樹脂組成物を構成要素とするプリプレ
グ、及びかかるプリプレグが加熱され硬化されてなるC
FRPが有効であることを見い出し、本発明に到達した
のである。さらに、本発明者らは、GICやG IICを高め
ることで、CFRPの圧壊強度、捻り強さも著しく向上
することをも見い出した。
【0018】本発明のプリプレグが加熱され硬化されて
なるCFRPは、高い衝撃強度を実現するために、GIC
又はGIICの少なくとも一方が200J/m2以上である
ことが必要である。GICとGIICが共に200J/m2
満であると、CFRPに高度な衝撃強度、圧壊強度、捻
り強度が発現されないことがある。
【0019】尚、CFRPに、更に高度な衝撃強度を発
現させる観点から、GIC又はGIICの少なくとも一方が
300J/m2以上、好ましくは400J/m2以上であ
るのが良い。なお、GIC又はGIICは、1000J/m2
程度有れば、本発明の効果を奏するに当たり充分である
ことが多い。
【0020】本発明のプリプレグは、次の構成要素
(A)、(B)を含むエポキシ樹脂組成物が炭素繊維に
含浸されて構成される。 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 本発明において、構成要素(A)のエポキシ樹脂は、分
子内に2個以上のエポキシ基を有する、いわゆる多官能
エポキシ樹脂である。
【0021】構成要素(A)のエポキシ樹脂について
は、得られるCFRPのGIC又はGII Cを高めるため、
その硬化物の引張伸度や塑性変形能力が高いものを用い
るのが良い。
【0022】即ち、硬化物の引張伸度は8%以上である
ことが必要であり、好ましくは10%以上であるのが良
く、硬化物の塑性変形能力は、硬化物の3点曲げ撓み量
を指標とすれば、後述する方法により測定される値が1
0〜25mm、好ましくは15〜25mmであるのが良
い。
【0023】本発明においては、硬化物の引張伸度と塑
性変形能力を低下させることなく3点曲げ弾性率を高め
ることで、得られるCFRPに更に高度の層間破壊靭性
値を実現することができる。ここで、硬化物の3点曲げ
弾性率は、後述する方法により測定される値が3.1G
Pa以上、好ましくは3.3GPa以上であるのが良
い。
【0024】本発明のエポキシ樹脂組成物には、硬化物
の引張伸度と塑性変形能力を高めるために、分子内に2
個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、即ち2官能エポ
キシ樹脂を、構成要素(A)100重量部に対して、7
0〜100重量部、好ましくは80〜100重量部配合
するのが良い。
【0025】本発明に用いる2官能エポキシ樹脂の具体
例としては、ビスフェノールAから得られるビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFから得られる
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSか
ら得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブ
ロモビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキ
シ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノ
ンジグリシジルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,
5'-テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6
-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9
-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のイ
ソシアネート変性品、ジグリシジルアニリン、フタル酸
ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエス
テル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、分子内に2個
の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポ
キシド等が挙げられる。
【0026】また、本発明のエポキシ樹脂組成物中に
は、硬化物の耐熱性を更に高める等のため、硬化物の引
張伸度を大きく損なわない程度に、3官能以上のエポキ
シ樹脂を配合することもできる。
【0027】3官能以上のエポキシ樹脂の具体例として
は、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリ
シジルエーテル、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)
エタンのテトラグリシジルエーテル、グリセリンのトリ
グリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグ
リシジルエーテル、フェノールやアルキルフェノール、
ハロゲン化フェノール等のフェノール誘導体から得られ
るノボラックのグリシジルエーテル、テトラグリシジル
ジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルm-キシリ
レンジアミン、トリグリシジル-m-アミノフェノール、
トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル
イソシアヌレート等が挙げられる。
【0028】構成要素(B)である硬化剤については、
4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェ
ニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、m-
フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミンのような活
性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、
トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス
(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4-アミノシクロ
ヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エ
ステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これら
の活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロ
ニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素等
の化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルア
ニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメ
チルアミノメチル)フェノールや1−置換イミダゾール
のような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジア
ミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸
無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒ
ドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のような
カルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレン
ジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラ
ジド、ノボラック樹脂等のポリフェノール化合物、チオ
グリコール酸とポリオールのエステルのようなポリメル
カプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなル
イス酸錯体、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。
【0029】本発明において、エポキシ樹脂の硬化物
は、構成要素(B)の活性に応じて、50℃〜200℃
の範囲の一定温度で2時間加熱することにより得られ
る。例えば、構成要素(B)としてジシアンジアミドを
用い、さらに硬化促進剤として3-(3,4-ジクロロフ
ェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)を配合す
る場合は、130℃で2時間加熱することにより所望す
る硬化物を得ることができる。また、構成要素(B)と
して芳香族ポリアミンを用いる場合は、180℃で2時
間加熱することにより所望する硬化物を得ることができ
る。
【0030】構成要素(B)には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせることができる。好まし
い例としては、ジシアンジアミドに、3-フェニル-1,
1-ジメチルウレア、3-(3,4-ジクロロフェニル)-
1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(3−クロロ
−4-メチルフェニル)-1,1-ジメチルウレア、2,4
−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような
尿素誘導体を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸
無水物やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として
組合わせる例等が挙げられる。
【0031】本発明において、エポキシ樹脂組成物に
は、構成要素(C)、即ち、分子内にエポキシ樹脂又は
硬化剤と反応しうる官能基1個と1個以上のアミド結合
を有する化合物を配合するのが好ましい。これにより、
炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性(以下、単に接
着性と略記)を高めることができ、その結果、得られる
CFRPに更に高度の層間破壊靭性値が発現されるよう
になる。
【0032】ここでいうアミド結合とは、次の一般式
(1)〜(4)より選ばれる部分構造を意味する。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】
【0037】分子内にアミド結合を有する化合物の典型
例はカルボン酸アミドであるが、それ以外にも環の一部
にアミド結合を有しても良く、又は更に複雑な構造、例
えば、イミド、ウレタン、ウレア、ビウレット、ヒダン
トイン、カルボン酸ヒドラジド、ヒドロキサム酸、セミ
カルバジド、セミカルバゾン等のような構造を有するも
のでもよい。
【0038】アミド結合のカルボニル酸素は酸素又は窒
素に結合した水素原子と強い水素結合を作る。従って、
炭素繊維の表層面に存在するカルボキシル基や水酸基等
の水素原子との水素結合が生じ接着性を高める。
【0039】さらに、アミド結合のカルボニル基は強い
永久双極子であるため、炭素繊維のように分極率の高い
強化繊維に有機双極子を作り、双極子−双極子の電気的
引力により接着性を高める。
【0040】もし、アミド結合を持つ化合物がエポキシ
樹脂又は硬化剤と反応しうる官能基を持たないと、相分
離により接着性が充分発現しなかったり、可塑剤として
働き耐熱性が著しく低下したりする恐れがあるが、アミ
ド結合を持つ化合物がエポキシ樹脂又は硬化剤と反応し
うる官能基を持つ場合は、樹脂組成物の硬化に伴い、エ
ポキシ樹脂の硬化物のネットワークの一部となるため前
記のような弊害を生じる恐れがない。
【0041】分子内にエポキシ樹脂又は硬化剤と反応し
うる2個以上の官能基と1個以上のアミド結合を有する
化合物を配合したエポキシ樹脂組成物をCFRPに用い
ることは公知であるが、これらの公知技術では、接着性
の著しい改善は確認されていない。しかし、本発明者ら
の見出した、分子内にエポキシ樹脂又は硬化剤と反応し
うる官能基1個のみと1個以上のアミド結合を有する化
合物を配合したエポキシ樹脂組成物では、著しい効果を
有する。
【0042】この理由としては、分子内にエポキシ樹脂
又は硬化剤と反応しうる官能基を2個以上有する化合物
は、エポキシ樹脂のネットワークと2カ所以上で化学結
合するため、アミド結合の酸素原子が炭素繊維表面に充
分接近できないのに対し、分子内にエポキシ樹脂又は硬
化剤と反応しうる官能基を1個のみ有する化合物では、
エポキシ樹脂のネットワークと一カ所だけで化学結合す
るため、その化合物に由来する部分構造の運動の自由度
が大きく、カルボニル基の酸素原子が炭素繊維表面に接
触しやすいためと本発明者らは推定している。
【0043】さらに、構成要素(C)の配合により、接
着性が高られめるだけではなく、エポキシ樹脂の硬化物
の引張伸度及び塑性変形能力を損なうことなく曲げ弾性
率をも高められる。これは、エポキシ樹脂中に存在する
水酸基とカルボニル基の酸素が強い水素結合を作り分子
運動を拘束するためと推察される。
【0044】エポキシ樹脂と反応しうる官能基として
は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、アミノ基、
第2アミン構造、メルカプト基等が挙げられる。また硬
化剤とし反応しうる官能基としては、エポキシ基、カル
ボニル基と共役した二重結合等が挙げられる。カルボニ
ル基と共役した二重結合は、硬化剤中のアミノ基やメル
カプト基とマイケル付加反応を行う。
【0045】カルボキシル基を1個有し、アミド結合を
有する化合物の具体例としては、スクシンアミド酸、オ
キサミン酸、N-アセチルグリシン、N-アセチルアラニ
ン、4-アセトアミド安息香酸、N-アセチルアントラニル
酸、4-アセトアミド酪酸、6-アセトアミドヘキサン酸、
馬尿酸、5-ヒダントイン酢酸、ピログルタミン酸、2-
(フェニルカルバモイルオキシ)プロピオン酸等が挙げら
れる。
【0046】フェノール性水酸基を1個有し、アミド結
合を有する化合物の具体例としては、サリチルアミド、
4-ヒドロキシベンズアミド、4-ヒドロキシフェニルアセ
トアミド、4-ヒドロキシアセトアニリド、3-ヒドロキシ
アセトアニリド等が挙げられる。
【0047】アミノ基を1個有し、アミド結合を有する
化合物の具体例としては、4-アミノベンズアミド、3-ア
ミノベンズアミド、4'-アミノアセトアニリド、4-アミ
ノブチルアミド、6-アミノヘキサンアミド、3-アミノフ
タルイミド、4-アミノフタルイミド等が挙げられる。
【0048】第2アミン構造を1個有し、アミド結合を
有する化合物の具体例としては、ニペコタミド、N,N-ジ
エチルニペコタミド、イソニペコタミド、1-アセチルピ
ペラジン等が挙げられる。
【0049】メルカプト基を1個有し、アミド結合を有
する化合物の具体例としては、4-アセトアミドチオフェ
ノール、N-(2-メルカプトエチル)アセトアミド等が挙
げられる。
【0050】エポキシ基を1個有し、アミド結合を有す
る化合物の具体例としては、グリシダミド、N-フェニル
グリシダミド、N,N-ジエチルグリシダミド、N-メトキシ
メチルグリシダミド、N-ヒドロキシメチルグリシダミ
ド、2,3-エポキシ-3-メチルブチルアミド、2,3-エポキ
シ-2-メチルプロピオンアミド、9,10-エポキシステアラ
ミド、N-グリシジルフタルイミド等が挙げられる。
【0051】カルボニル基と共役した二重結合を1個有
し、アミド結合を有する化合物は、二重結合と共役する
カルボニル基がアミド結合のカルボニル基と同一であっ
ても、異なっていても良い。二重結合と共役するカルボ
ニル基がアミド結合のカルボニル基と同一である化合物
としては、α,β−不飽和カルボン酸のアミド及びその
窒素原子上に置換基を有する誘導体が該当する。そのの
具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルア
ミド等のN,N-ジアルキルアクリルアミド、N-tert-ブチ
ルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-
ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルア
ミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メトキシ
メチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミ
ド、N-n-プロポキシメチルアクリルアミド、N-n-ブトキ
シメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリ
ルアミド、N-ベンジロキシメチルアクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド、1-アクリロイルモルホリン、1-
アクリロイルピペリジン等が挙げられる。またそれ以外
にもマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレ
イミドのような不飽和ジカルボン酸のイミドも該当す
る。二重結合と共役するカルボニル基がアミド結合のカ
ルボニル基と同一でない化合物としては、2-(フェニル
カルバモイルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げら
れる。尚、構成要素(C)は1種でも、複数種配合して
も良い。
【0052】構成要素(C)は、構成要素(A)100
重量部に対して、0.5〜15重量部、好ましくは1〜
10重量部、より好ましくは1〜5重量部配合するのが
良い。0.5重量部未満であると、接着性の向上効果が
充分に発現されず、15重量部を越えると耐熱性低下等
の弊害が生じる恐れがある。
【0053】構成要素(C)は、室温で液状であっても
固形であっても良い。構成要素(C)として固形のもの
を用いる場合は、エポキシ樹脂組成物に配合した後、加
熱撹拌等の手段で溶解しても、溶解せずに配合しても良
い。また、固形の構成要素(C)を溶解せずに配合する
場合は、粒径10μm以下に粉砕して使用するのが良
い。
【0054】本発明において、エポキシ樹脂組成物に
は、構成要素(D)、即ち、分子内に芳香環を有するポ
リエステルポリウレタンを配合するのが好ましい。これ
により、硬化物の引張伸度、塑性変形能力を低下させる
ことなく3点曲げ弾性率を高めることができるようにな
る。
【0055】即ち、構成要素(D)の分子中に存在する
ウレタン構造がエポキシ樹脂中に存在する水酸基と強い
水素結合を形成して分子運動を拘束するため、硬化物の
弾性率が高められるようになると推定される。
【0056】また、構成要素(D)は、分子中のエステ
ル構造が硬化剤中のアミノ基、メルカプト基、フェノー
ル性水酸基等と求核置換反応により反応して硬化物のネ
ットワークの一部となることから、相分離が生じず、硬
化物の弾性率が低下し難いという特徴も備える。
【0057】構成要素(D)としては、例えば、多価カ
ルボン酸と多価アルコールの重縮合によって得られるポ
リエステルポリオールに、分子内にイソシアネート基を
2個以上有するポリイソシアネート、及び必要に応じて
連鎖延長剤を用いてワンショット法やプレポリマー法と
いった従来公知の方法を適用して得られるポリエステル
ポリウレタンが使用できる。尚、本発明において、構成
要素(D)は、1種又は複数種、樹脂組成物に配合する
ことができる。
【0058】多価カルボン酸としては、マロン酸、コハ
ク酸、無水コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、フタル酸、無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、無水ナジック酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、中でもコハ
ク酸やアジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が好ましく
用いられる。
【0059】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4
−ブチレングリコール、1,5−ブチレングリコール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−
1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェ
ノールAプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が
挙げられ、中でも1,2−プロピレングリコール、1,
4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等
が好ましく用いられる。
【0060】ポリイソシアネートとしては、合成される
ポリエステルポリウレタンが、分子内に芳香環を有する
ことにより、エポキシ樹脂の硬化物の弾性率がより高ま
ることから、芳香族ポリイソシアネートが好ましく用い
られる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ト
リフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシ
アネートフェニル)チオホスフェート、及びこれらのオ
リゴマーが挙げられ、中でも2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく用
いられる。
【0061】連鎖延長剤としては、1,2−プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールや、これらの混合物が用いられる。
【0062】構成要素(D)は、構成要素(A)100
重量部に対して0.5〜15重量部、好ましくは1〜1
0重量部、より好ましくは1〜5重量部配合するのが良
い。1重量部未満であるとエポキシ樹脂の硬化物の弾性
率の向上効果が不足することがあり、15重量部を超え
ると硬化物の耐熱性が低下することがある。
【0063】本発明においては、エポキシ樹脂組成物に
は、前記構成要素(A)〜(D)の他に、任意の成分と
して高分子化合物、有機又は無機の粒子等の他成分を配
合することができる。
【0064】高分子化合物としては、熱可塑性樹脂が好
適に用いられる。熱可塑性樹脂を配合することにより、
樹脂の粘度制御やプリプレグの取扱い性制御、又は接着
性改善の効果が増進される。
【0065】ここで用いる熱可塑性樹脂は、本発明の目
的である接着性改善の相乗効果が期待できる水素結合性
の官能基を有する熱可塑性樹脂が特に好ましい。
【0066】水素結合性官能基としては、アルコール性
水酸基、アミド結合、スルホニル基等が挙げられる。
【0067】アルコール性水酸基を有する熱可塑性樹脂
としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラー
ル等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコー
ル、フェノキシ樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂
としては、ポリアミド、ポリイミド、スルホニル基を有
する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン等がそれぞれ
挙げられる。ポリアミド、ポリイミド及びポリスルホン
は主鎖にエーテル結合、カルボニル基等の官能基を有し
てもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子上に置換
基を有してもよい。
【0068】熱可塑性樹脂を配合する場合は、エポキシ
樹脂組成物に適度な粘弾性を与え、良好な複合材料物性
を得る観点から、構成要素(A)であるエポキシ樹脂1
00重量部に対して熱可塑性樹脂を1〜20重量部配合
するのが好ましい。
【0069】本発明においては、樹脂の靭性向上、CF
RPの耐衝撃性向上を目的として、エポキシ樹脂組成物
に有機粒子を配合することができる。有機粒子として
は、ゴム粒子及び熱可塑性樹脂粒子が用いられる。
【0070】ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、及び架
橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコ
アシェルゴム粒子が好ましく用いられる。
【0071】熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド又
はポリイミドの粒子が好ましく用いられる無機粒子とし
ては、シリカ、アルミナ、スメクタイト、合成マイカ等
を配合することができる。これらの無機粒子は、主とし
てレオロジー制御すなわち増粘や揺変性付与のために配
合される。
【0072】本発明に用いる炭素繊維としては、具体的
には、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維
が使用できる。中でも、引張強度の高いアクリル系が好
ましい。炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸、無
撚糸等が使用できるが、無撚糸又は解撚糸が、CFRP
の成形性と強度特性のバランスを考慮すると好ましい。
また、本発明における炭素繊維には、いわゆる黒鉛繊維
を含むものとする。
【0073】本発明における炭素繊維としては、ゴルフ
クラブ用シャフト、釣り竿等のスポーツ用品に、少量の
材料使用で充分な剛性を発現させ得るように、引張弾性
率の高い炭素繊維を用いることが好ましい。このような
炭素繊維の引張弾性率は200GPa以上、好ましくは
225〜800GPaであるのが良い。
【0074】炭素繊維の形態としては、繊維方向がほぼ
同方向に引き揃えられたものや、織物が使用できる。織
物は、平織り、朱子織り等いずれでも良い。
【0075】得られるCFRPに充分な軽量化を実現す
るためには、プリプレグ中の強化繊維含有率は、できる
限り高くするのが好ましい。具体的には、プリプレグ中
の強化繊維含有率は65重量部以上、好ましくは70重
量部以上であるのが良い。
【0076】また、使用する炭素繊維については、その
表面を改質したものを使用することにより、接着性が更
に高められるようになり、これに硬化物の引張伸度が高
いエポキシ樹脂とを組み合わせることにより、得られる
CFRPに更に高度の特性を発現させることができる。
【0077】かかる炭素繊維としては、X線光電子分光
法により測定される表面比酸素濃度O/C(以下、O/
Cと略記)が、0.02以上、好ましくは0.04以
上、より好ましくは0.06以上のものが良い。ここで
O/Cの上限値としては0.3、好ましくは0.25が
良い。O/Cが0.02未満であると、マトリックス樹
脂との親和性が低下し、CFRPにおいて、層間破壊靭
性値の向上が望めない場合がある。O/Cが0.3を越
えると、炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性は強固
になるものの、炭素繊維自体の強度特性より大幅に低い
強度特性を有する酸化物層が炭素繊維の表面を被うこと
になるため、得られるCFRPの強度特性が損なわれて
しまう。
【0078】また、かかる炭素繊維は、化学修飾X線光
電子分光法により測定される表面カルボキシル基濃度CO
OH/C(以下、COOH/Cと略記)が、0.002以上、
好ましくは0.005以上のものが良い。ここで、COOH
/Cの上限値としては0.03、好ましくは0.02が
良い。COOH/Cが0.002未満であると、後述するマ
トリックス樹脂との親和性が低下し、CFRPにおい
て、層間破壊靭性値の向上が望めない場合がある。COOH
/Cが0.03を越えると、炭素繊維とマトリックス樹
脂との親和性は強固になるものの、炭素繊維自体の強度
特性より大幅に低い強度特性を有する酸化物層が炭素繊
維の表面を被うことになるため、得られるCFRPの強
度特性が損なわれる傾向があり、またマトリックス樹脂
の硬化速度を遅延させることもある。
【0079】以下、アクリル系炭素繊維を例にとり、本
発明における炭素繊維の製造方法について、詳細に説明
する。
【0080】ポリマー成分には、95モル%以上、好ま
しくは98モル%以上のアクリロニトリル(AN)と、
5モル%以下、好ましくは2モル%以下の耐炎化を促進
し、アクリロニトリル(AN)と共重合性のある、耐炎
化促進成分を共重合したものが好適に使用できる。耐炎
化促進成分としては、ビニル基含有化合物(以下ビニル
系モノマーと云う)からなる共重合体が好適に使用でき
る。ビニル系モノマーの具体例としては、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸等が挙げられる。また、一部
又は全量を、アンモニアで中和したアクリル酸、メタク
リル酸、又はイタコン酸のアンモニウム塩からなる共重
合体は、耐炎化促進成分としてより好適に使用できる。
なお、重合法については、従来知られている溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法等を適用することができ
る。
【0081】前記ポリマー成分から成る紡糸原液を、湿
式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、又は溶融紡糸法
により紡糸するが、中でも湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法
が好ましく採用できる。紡糸原液に使用する溶媒として
は、有機、無機の従来公知の溶媒が使用できる。特に、
有機溶媒を使用するのが好ましく、具体的には、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等が挙げられる。硝酸、ロダンソーダ水溶液、
塩化亜鉛水溶液等の無機塩の濃厚水溶液を溶媒とする
と、所望する表面粗さを有する炭素繊維を得られないこ
とがある。紡糸後の凝固糸を、水洗、延伸、乾燥及び油
剤付与等の製糸工程を経て、アクリル系プリカーサーを
製造する。
【0082】さらに、このアクリル系プリカーサーを耐
炎化、炭化することによって、所望する性能を有する炭
素繊維が得られる。耐炎化に供されるプリカーサーは、
生産性の点から、その単糸繊度が3〜11μm、好まし
くは3〜9μm、より好ましくは、3〜7μmのものが良
い。また、1糸条当たりの単繊維本数が10000〜6
0000本、好ましくは12000〜48000本が良
い。
【0083】以下、耐炎化条件について具体的に示す。
なお、耐炎化条件としては、これに限定されるものでは
ない。
【0084】耐炎化の延伸比としては、0.85〜1.
0として耐炎化するのが好ましい。かかる延伸比は、糸
束としての焼けムラを抑制するために、0.87〜0.
94がより好ましい。かかる延伸比が0.85を下回る
と、プロセス性が低下し、1.0を越えると糸束内への
酸素の拡散が妨げられ、糸束中心部の焼けムラが顕著と
なる傾向がある。
【0085】耐炎化温度は、200〜300℃が良く、
それぞれの耐炎化進行度において、反応熱の蓄熱によっ
て糸切れが生じる温度より10〜20℃低い温度で耐炎
化するのが、コスト削減及び炭素繊維の性能を高める観
点から好ましい。耐炎化進行度は、得られる耐炎化糸に
ついて後述する方法によって測定される炎収縮保持率に
よって観測することができる。かかる炎収縮保持率は、
70〜90%となるように耐炎化するのが良く、好まし
くは74〜86%、より好ましくは76〜84%となる
ように耐炎化するのが良い。
【0086】耐炎化時間は、生産性及び炭素繊維の性能
を高める観点から、10〜100分間、好ましくは30
〜60分間が良い。この耐炎化時間とは、プリカーサー
が耐炎化炉内に滞留している全時間をいう。この時間が
短か過ぎると、焼けムラが顕著になり、得られる炭素繊
維の性能が低下する場合がある。
【0087】このようにして、プリカーサーを耐炎化し
た後、続く炭化工程で炭化して炭素繊維とする。
【0088】炭化工程では、不活性雰囲気中、300〜
800℃で予備炭化し、さらに、不活性雰囲気中、80
0〜1600℃で炭化する必要がある。後者の炭化温度
は、1100℃以上、好ましくは1200℃以上が良
い。すなわち、1100℃未満では、得られる炭素繊維
の含水率が高くなる場合がある。また、炭化の温度は1
600℃を上限値とするのが良く、好ましくは1500
℃を上限値とするのが良い。1600℃を越えると、繊
維内において結晶の成長が顕著となり、圧縮強度、接着
性が低下する傾向がある。
【0089】予備炭化工程における延伸比としては、
1.0〜1.5、好ましくは1.02〜1.3、より好
ましくは1.04〜1.15が良い。かかる延伸比は高
い程、引張弾性率発現の点で有利であるが、1.5を越
えるとプロセス性の低下が顕著となる場合がある。
【0090】炭化工程における昇温速度及び処理時間に
ついては、所望する炭素繊維の性能と所要コストを勘案
の上、適宜選択できる。特に、300〜500℃/分及
び1000〜1200℃/分の、通常採用する昇温速度
を、それぞれ1000℃/分以下、好ましくは500℃
/以下とするのが良い。また、炭化の処理時間は、炭化
の程度が問題とならない範囲で、できるだけ短くするの
が、コスト削減の観点から好ましい。
【0091】さらに、本発明における炭素繊維は、20
00〜3300℃、好ましくは2000〜3000℃、
より好ましくは2000〜2800℃の不活性雰囲気中
で黒鉛化することにより、従来の黒鉛繊維と比較して、
強度特性が飛躍的に優れる黒鉛繊維を得ることが可能と
なる。
【0092】前述したとおり、得られるCFRPにおい
て、層間破壊靭性を高めるには、接着性を高めることが
好ましい。接着性を高めるために、炭素繊維としては、
結晶が小さく、活性点が多いものが好ましい。かかる炭
素繊維としては、広角X線により求めた炭素網面の結晶
サイズLCが5〜40オンク゛ストロームである必要があり、好ま
しくは結晶サイズLCが10〜30オンク゛ストローム、より好ま
しくは15〜25オンク゛ストロームが良い。
【0093】前記O/CやCOOH/Cが特定範囲にある炭
素繊維は、炭化後に電解酸化処理を施したり、気相又は
液相での酸化処理を施すことにより容易に得ることがで
きる。
【0094】電解酸化処理の電解液としては酸性及びア
ルカリ性のどちらの水溶液でも良い。酸性水溶液の電解
質としては、硫酸、硝酸、塩酸等を使用することができ
る。アルカリ水溶液の電解質としては、アンモニウムイ
オンを含む化合物が好ましく、具体的には、炭酸水素ア
ンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化テトラアルキル
アンモニウム塩等、又はそれらの混合物を用いることが
できる。中でも、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニ
ウムが好ましい。
【0095】電解処理に要する電気量は、炭素繊維の炭
化度に合わせて最適化することが好ましいが炭素繊維基
質の引張強度の低下を抑止し、かつ炭素繊維の表層の結
晶性を低くする観点から、電解処理は小さい電気量で処
理を複数回に分けて行うのが好ましい。具体的には電解
槽1槽当たりの電気量は1クーロン/g・槽(炭素繊維
1g、1槽当たりのクーロン数)〜40クーロン/g・
槽が好ましい。
【0096】通電方法としては、炭素繊維を電極ローラ
に直接接触させて通電させる直接通電、又は炭素繊維と
電極の間に電解液を介して通電させる間接通電のいずれ
も採用することができるが、炭素繊維基質に高い引張強
度を得るために、電解処理時の繊維束の毛羽立ち、電気
スパークが押さえられる間接通電が好ましい。
【0097】また、電解処理後は、水洗、乾燥すること
が好ましい。この場合、後述する樹脂組成物との親和性
や接着性を向上させるため、炭素繊維の表層面に存在す
る官能基が熱分解しないように、できるだけ低い温度で
乾燥することが望ましく、具体的には乾燥温度は180
〜250℃が良く、好ましくは180〜210℃で乾燥
するのが良い。 以下、本発明のプリプレグの製造方
法、及びこれを積層して加熱し硬化させてCFRPを得
る方法について説明する。
【0098】プリプレグの製造方法は、マトリックス樹
脂をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解し
て低粘度化し、含浸させるウエット法と、加熱により低
粘度化し、含浸させるホットメルト法等の方法により製
造される。
【0099】ウェット法は、炭素繊維をエポキシ樹脂組
成物からなる液体に浸漬した後、引き上げ、オーブン等
を用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを得る方法であ
る。
【0100】ホットメルト法は、加熱により低粘度化し
たエポキシ樹脂組成物を直接炭素繊維に含浸させる方
法、又は一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコー
ティングしたフィルムをまず作成し、ついで炭素繊維の
両側又は片側から該フィルムを重ね、加熱加圧すること
により樹脂を含浸させたプリプレグを製造する方法であ
る。ホットメルト法には、プリプレグ中に残留する溶媒
がないため好ましい。
【0101】プリプレグを用いたCFRPの成形は、プ
リプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を
加熱し硬化させる方法等により作製できる。
【0102】熱及び圧力を付与する方法には、プレス成
形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッ
ピングテープ法、内圧成形法等があり、特にスポーツ用
品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成形法が好ま
しく採用される。
【0103】ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯
金にプリプレグを巻いて、円筒繊維強化複合材料(以
下、円筒CFRPと略記)を成形する方法であり、ゴル
フクラブ用シャフト、釣り竿等の管状体を又は円筒形状
体を作製する際に好適である。具体的には、マンドレル
にプリプレグを巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付
与のために、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルム
からなるラッピングテープを巻き付け、オーブン中で樹
脂を加熱し硬化させた後、芯金を抜き去って円筒CFR
Pを得る。
【0104】また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂のチュ
ーブ等の内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフォ
ームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気
体を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱し成形す
る方法である。ゴルフクラブ用シャフト、バット、テニ
スやバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を
成形する際に好適に用いられる。
【0105】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。エポキシ樹脂の硬化物の物性測定、プリプレグの作
製、CFRPのGIC、GIiC測定、円筒CFRPの作
製、円筒CFRPの物性測定等は次の方法で行った。な
お、物性測定は、特に断らない限り、全て気温23℃、
相対湿度50%の環境で行った。 (1)硬化物の物性測定 A.引張伸度 樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、13
0℃の熱風乾燥機中で2時間硬化して厚さ2mmの樹脂
硬化物板を作製した。次に、作製した樹脂硬化物板よ
り、JIS K7113に従い、小型1(1/2)号形
試験片を切り出し、引張伸度を求めた。 B.3点曲げ撓み量と3点曲げ弾性率 上記樹脂硬化板から幅10mm、長さ60mmの試験片
を切り出して作製したサンプルについて、JIS K7
203に従い、試験速度2.5m、支点間距離32mm
で3点曲げ試験を行い、3点曲げ撓み量と3点曲げ弾性
率を求めた。 (2)プリプレグの作製 樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上
に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に
一方向に整列させた炭素繊維に樹脂フィルム2枚を炭素
繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸さ
せ、炭素繊維目付125g/m2のプリプレグを得た。 (3)モードI層間破壊靭性値GIC 上記(2)項で得られたプリプレグを炭素繊維の方向が
一方向に揃うよう所定枚数積層し、オートクレーブ中で
温度135℃、圧力290Paで2時間加熱加圧し硬化
させて作製したサンプルについて、JIS K7086
に従い、双片持ちはり(DCB)試験により測定した。 (4)モードII層間破壊靭性値GIIC 上記(2)項で得られたプリプレグを炭素繊維の方向が
一方向に揃うよう所定枚数積層し、オートクレーブ中で
温度135℃、圧力290Paで2時間加熱加圧し硬化
させて作製したサンプルについて、JIS K7086
に従い、端面切り欠き曲げ(ENF)試験により測定し
た。 (5)円筒CFRPの作製 次に示す(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対
して[03/±453]の積層構成を有し、内径が6.3
mm及び10mmの2種類の円筒CFRPを作製した。
マンドレルには直径6.3mm及び10mm(いずれも
長さ1000mm)のステンレス製丸棒を使用した。 (a)一方向プリプレグを繊維の方向がマンドレルの軸
方向に対して45度になるように、直径6.3mmのマ
ンドレルでは縦800mm×横68mm、直径10mm
のマンドレルでは縦800mm×横103mmの長方形
に2枚切り出した。この2枚を繊維方向が互いに交差す
るように、かつ横方向に直径6.3mmのマンドレルで
は10mm、直径10mmのマンドレルでは16mm
(マンドレル半周分に対応)ずらして貼り合わせた。 (b)貼り合わせたプリプレグを離型処理したマンドレ
ルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致
するように巻き付けた。(バイアス材) (c)その上に、プリプレグを繊維の方向が縦方向にな
るように、直径6.3mmのマンドレルでは縦800m
m×横77mm、直径10mmのマンドレルでは縦80
0mm×横112mmの長方形に切り出したものをプリ
プレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように
巻き付けた。(ストレート材) (d)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻
きつけ、硬化炉中で130℃、2時間加熱成形した。 (e)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して円筒CFRPを得た。 (5)円筒CFRPの物性 A.捻り強さ 内径10mmの円筒CFRPから長さ400mmの試験
片を切り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及
び基準確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承認
5産第2087号、1993年)に記載の方法に従い、
捻り試験を行った。試験片ゲージ長は300mmとし、
試験片両端の50mmを固定治具で把持した。捻り強さ
は次式により求めた。
【0106】捻り強さ(N・m・deg)=破壊トルク(N・m)
×破壊時の捻れ角(deg) B.圧壊強度 内径10mmの円筒CFRPから長さ15mmの試験片
を切り出し、ステンレス平板を介して円筒の半径方向に
圧縮荷重を加えて破壊し、破壊時の荷重を圧壊強度とし
た。試験速度は5mm/分とした。
【0107】C.シャルピー衝撃強度 円筒CFRPを試験片に用いたこと以外はJIS K7
077記載の方法に従い、シャルピー衝撃試験を行っ
た。内径6.3mmの円筒CFRPから長さ90mmの
試験片を切り出し、支点間距離40mm、ハンマー振り
上げ角135度、秤量300kg・cmで円筒軸方向と
垂直な方向から衝撃を与え、最大衝撃荷重を測定し、該
荷重値を衝撃強度とした。 (6)炭素繊維表面の官能基量測定 A.表面比酸素濃度O/C 表面比酸素濃度O/Cは、次の手順に従ってX線光電子
分光法により求めた。
【0108】先ず、測定する炭素繊維束から、溶媒でサ
イジング剤等を除去後、適当な長さにカットしてステン
レス製の試料支持台上に拡げて並べた後、次の条件にて
測定した。
【0109】 ・光電子脱出角度:90度 ・X線源:MgKα1,2 ・試料チャンバー内真空度:1×10-8Torr 次に、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1S
主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eV
に合わせた。
【0110】次いで、C1sピーク面積[O1s]は、28
2〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くこと
により求め、O1sピーク面積[C1s]は、528〜54
0eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求
めた。
【0111】表面比酸素濃度O/Cは、上記O1sピーク
面積[O1s]、C1sピーク面積[C 1s]の比、及び装置
固有の感度補正値より、次式により求めた。
【0112】 O/C=([O1s]/[C1s])/(感度補正値) なお、ここでは、測定装置として島津製作所(株)製、
ESCA−750を用い、前記装置固有の感度補正値を
2.85とした。 B.表面カルボキシル基濃度COOH/C 表面カルボキシル基濃度COOH/Cは、次の手順に従って
化学修飾X線光電子分光法により求めた。
【0113】先ず、測定する炭素繊維束から、溶媒でサ
イジング剤等を除去後、適当な長さにカットして白金製
の試料支持台上に拡げて並べた後、0.02モル/Lの
ジシクロヘキシルカルボジイミド気体及び0.04モル
/Lのピリジン気体を含む空気中に60℃で8時間曝露
して化学修飾処理した後、次の条件にて測定した。
【0114】 ・光電子脱出角度:35度 ・X線源:AlKα1,2 ・試料チャンバー内真空度:1×10-8Torr 次に、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1S
主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eV
に合わせた。
【0115】次いで、C1sピーク面積[C1s]は、28
2〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くこと
により求め、F1sピーク面積[F1s]は、682〜69
5eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求
めた。
【0116】さらに、比較サンプルとして、化学修飾処
理したポリアクリル酸のC1sピーク分割から反応率r
を、O1sピーク分割からジシクロヘキシルカルボジイミ
ド誘導体の残存率mを求めた。次に、表面カルボキシル
基濃度COOH/Cを、次式により求めた。
【0117】 COOH/C=[F1s]/[(3k[C1s]-(2+13m)[F1s])r]×100(%) ここでは、測定装置として、米国SSI社製、モデルSS
X-100-206を用いた。本装置固有のC1sピーク面積に対
するF1sピーク面積の感度補正値kは3.919であっ
た。
【0118】以下、実施例、比較例について説明する。
実施例、比較例中に記載の部数はすべて重量部を表す。
また、実施例、比較例の内容は表1と表2に示した。
【0119】ここで、表2に示した実施例5と比較例2
は、表面官能基量が異なる炭素繊維を使用した例であ
る。 (実施例1)下記原料をニーダーで混合して樹脂組成物
を得た。 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 20部 (エピコートYX4000、登録商標、旭チバ(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用い、前記した方法に従い、樹脂硬化
物板を作製した。さらに、この樹脂組成物と引張弾性率
294GPaである炭素繊維を用い、前記した方法に従
って、強化繊維含有率76重量部のプリプレグを作製し
た。このプリプレグから得られたCFRPのGICは28
8J/m2、GIICは354J/m2であった。
【0120】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (実施例2)下記原料をニーダーで混合して樹脂組成物
を得た。 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 20部 (エピコートYX4000、登録商標、旭チバ(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N-ジメチルアクリルアミド 5部 (興人(株)製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして、樹脂
硬化物板、及びプリプレグを作製した。このプリプレグ
から得られたCFRPのGICは455J/m2、GIIC
763J/m2であった。
【0121】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (実施例3) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 20部 (エピコートYX4000、登録商標、旭チバ(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N-ジエチルアクリルアミド 5部 (興人(株)製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして、樹脂
硬化物板、及びプリプレグを作製した。このプリプレグ
から得られたCFRPのGICは357J/m2、GIIC
703J/m2であった。
【0122】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (実施例4)下記原料をニーダーで混合して樹脂組成物
を得た。 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 20部 (エピコートYX4000、登録商標、旭チバ(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) N-イソブトキシメチルアクリルアミド 5部 (笠野興産(株)製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして、樹脂
硬化物板、及びプリプレグを作製した。このプリプレグ
から得られたCFRPのGICは390J/m2、GIIC
787J/m2であった。
【0123】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (実施例5)下記原料をニーダーで混合して樹脂組成物
を得た。 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 20部 (エピコートYX4000、登録商標、旭チバ(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) ポリエステルポリウレタン 5部 (PANDEX T5210、(株)大日本インキ工業製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして、樹脂
硬化物板、及びプリプレグを作製した。このプリプレグ
から得られたCFRPのGICは444J/m2、GIIC
738J/m2であった。
【0124】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (比較例1)下記原料をニーダーで混合して樹脂組成物
を得た。 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコート807、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールF型エポキシ樹脂 40部 (エピコートE4002P、登録商標、油化シェルエポキシ(株)製) グリシジルアミン型エポキシ樹脂 30部 (スミ−エポキシELM434、登録商標、住友化学(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、型番、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、型番、保土ヶ谷化学工業(株)製) N-イソブトキシメチルアクリルアミド 5部 (笠野興産(株)製) ポリビニルホルマール 5部 (ビニレックK、登録商標、チッソ(株)製) この樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして、樹脂
硬化物板、及びプリプレグを作製した。このプリプレグ
から得られたCFRPのGICは130J/m2、GIIC
185J/m2であった。
【0125】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表1
に示すとおり、その強度特性は不充分であった。 (実施例6)実施例1と同一の樹脂組成物を用い、実施
例1と同様にして、樹脂硬化物板を作製した。さらに、
この樹脂組成物と引張弾性率が230GPa、表面比酸
素濃度O/Cが0.16、表面カルボキシル基濃度COOH
/Cが0.0025である炭素繊維を用い、前記した方
法に従って、強化繊維含有率76重量部のプリプレグを
作製した。プリプレグから得られたCFRPのGICは5
30J/m2、GIICは776J/m2であった。
【0126】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表2
に示すとおり良好な強度特性を示した。 (比較例2)実施例1と同一の樹脂組成物を用い、実施
例1と同様にして、樹脂硬化物板を作製した。さらに、
この樹脂組成物と引張弾性率が230GPa、表面比酸
素濃度O/Cが0.01、表面カルボキシル基濃度COOH
/Cが0.0005である炭素繊維を用い、前記した方
法に従って、強化繊維含有率76重量部のプリプレグを
作製した。プリプレグから得られたCFRPのGICは1
69J/m2、GIICは185J/m2であった。
【0127】また、ストレート材及びバイアス材として
このプリプレグを用いて得られた円筒CFRPは、表2
に示すとおり、その強度特性は不充分であった。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、炭素繊維とマトリック
ス樹脂との接着性、硬化物の引張伸度に優れた樹脂組成
物を炭素繊維に含浸させることにより良質なプリプレグ
を作製することができ、さらに、このプリプレグを積層
して成形することにより、各種強度特性に優れたCFR
Pを作製することができる。
【0131】本発明のプリプレグが加熱され硬化されて
なるCFRPは、高度のGIC又はG IICを有することか
ら、本発明のプリプレグによれば、衝撃強度に優れ、同
時に充分な軽量化も実現した管状体を容易に作製するこ
とができる。
【0132】本発明のプリプレグ、及びそのプリプレグ
が加熱され硬化されてなるCFRPは、ゴルフクラブ用
シャフト、釣り竿、自転車用フレーム、バトミントンラ
ケット用シャフト、自転車用フレーム・ハンドル、車椅
子用フレーム、ホッケー用スティック等の用途に好適に
用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AB10 AD23 AD27 AD28 AD29 AD31 AD33 AD43 AE01 AF29 AH21 AJ04 AJ11 AJ22 AL03 AL04 AL05 AL16 AL17

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構成要素(A)、(B)を含んでな
    り、硬化物の伸度が8%以上であるエポキシ樹脂組成物
    が、炭素繊維に含浸されて構成されるプリプレグであっ
    て、該プリプレグが加熱され硬化されてなる繊維強化複
    合材料のモードI層間破壊靭性値GIC又はモードII層間
    破壊靭性値GIICの少なくとも一方が200J/m2以上
    であるプリプレグ。 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤
  2. 【請求項2】前記硬化物の3点曲げ撓み量が10〜25
    mmである請求項1記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】前記エポキシ樹脂組成物が、2官能エポキ
    シ樹脂を含んでなり、該2官能エポキシ樹脂の配合量
    が、前記構成要素(A)100重量部に対して、70〜
    100重量部である請求項1又は2記載のプリプレグ。
  4. 【請求項4】前記エポキシ樹脂組成物が、次の構成要素
    (C)を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のプ
    リプレグ。 (C)分子内にエポキシ樹脂又は硬化剤と反応しうる官
    能基1個と1個以上のアミド結合を有する化合物
  5. 【請求項5】前記構成要素(C)の配合量が、前記構成
    要素(A)100重量部に対して0.5〜15重量部で
    ある請求項4記載のプリプレグ。
  6. 【請求項6】前記エポキシ樹脂組成物が、次の構成要素
    (D)を含んでなる請求項1〜5のいずれかに記載のプ
    リプレグ。 (D)分子内に芳香環を有するポリエステルポリウレタ
  7. 【請求項7】前記構成要素(D)の配合量が、前記構成
    要素(A)100重量部に対して0.5〜15重量部で
    ある請求項6記載のプリプレグ。
  8. 【請求項8】前記炭素繊維の、X線光電子分光法により
    測定される表面比酸素濃度O/Cが0.02〜0.3で
    ある請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 【請求項9】前記炭素繊維の、化学修飾X線光電子分光
    法により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/Cが
    0.002〜0.03である請求項1〜8のいずれかに
    記載のプリプレグ。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のプリプ
    レグが、加熱され硬化されてなる繊維強化複合材料。
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