JP2011132991A - ディスクブレーキパッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されている。
【選択図】図1
Description
しかし、上記した特許文献1のように、傾斜面を形成した押型を有する熱成形金型により摩擦材に傾斜面を成形した場合、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きが発生する等、製品外観が悪くなり、商品価値が著しく低下するという問題がある。
これは、摩擦材の中央部と傾斜面部、また傾斜面部の範囲においても部位によって加わる圧力が異なるため、摩擦材が不均質になることに起因するものである。
更に本発明の他の目的は、端部に傾斜面を有する摩擦材全体を均質に成形できてブレーキ鳴きの抑制効果が格段に向上するディスクブレーキパッドを提供することにある。
(1)型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド、
(2)傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする上記(1)に記載のディスクブレーキパッド、
(3)バックプレートに形成される凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のディスクブレーキパッド、
(4)バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする上記(3)に記載のディスクブレーキパッド、
(5)バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする上記(4)に記載のディスクブレーキパッド、
を提供するものである。
図1,2に本発明に係るディスクブレーキパッド10を示す。
ディスクブレーキパッド10は板状のバックプレート20と、該バックプレート20の片面に接着した摩擦材30とからなり、摩擦材30は中央に平面の摩擦面31があり、両側部には傾斜面32,32が形成され、摩擦面31と傾斜面32,32との境界には稜線33,33が形成されている。
本発明は、摩擦材30が接着されるバックプレート20の接着面20a側において、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
凹部21は後述するように傾斜面を有する摩擦材30を同時に型成形する際に、摩擦材原料を凹部21に流動させて、摩擦材30の全体を均質にするために機能する。
バックプレート20に形成される凹部21の開口形状は、傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状に形成されるか、または摩擦材30の傾斜面32の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面32の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
凹部21の底部の形状は、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されるか、または傾斜面32と略平行となるように傾斜面32の勾配と同じ方向に傾斜した傾斜面として形成される。
バックプレート20は、自動車用鋼板、又は、機械構造用鋼板等にプレスにより凹部を形成した後、プレスにより打ち抜き加工して所定の形状に成形して製造される。必要に応じ、摩擦材30との結着孔を打ち抜き加工により貫通させて形成する場合がある。
なお、上記のバックプレート20の製造方法は代表的なものであり、この製造方法に限られたものではない。
摩擦材30は、繊維基材、結合材、充填材等の公知の原料からなる摩擦材原料をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合し、この混合物をプレス機で加圧して成形した予備成形品として、或いはこの混合物を直接成形用金型に投入して加熱・加圧成形したものである。
図3の(B)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が平行のタイプのものである。
このタイプは、傾斜面32,32を砥石で仕上げ研摩する場合において、その対応が容易である。
図3の(C),(D)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が非平行のタイプのものである。
図4,5に基づきディスクブレーキパッド10を製造する方法について説明する。
なお、本例で用いる摩擦材原料からなる成形材料として、予め成形された予備成形品34を使用する場合について説明するが、予備成形なしで粉末状の摩擦材原料混合物そのものを使用しても良く、また摩擦材原料混合物の造粒物であっても良い。
成形用金型は上型41と枠型42、及びこの枠型42に貫通形成された空間内を昇降する押型43から構成される。
枠型42には、摩擦材30と略同じ輪郭形状で同じ大きさの開口が形成されている。
押型43の上面の両側には、摩擦材30に傾斜面32を成形するための傾斜面43aが形成されている。
本発明では、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側の、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
したがって、摩擦材30の端部は押型43の傾斜面43aによって押圧されたときに、摩擦材30の材料の一部がバックプレート20の凹部21に流動することで、摩擦材30の中央部と端部において略均等な圧力が加わることになる。
凹部21に流動した摩擦材30の材料の一部は凹部21の内周面に接着される。
そのため、摩擦材30の全体が均質ととなり、成形工程においてディスクブレーキパッド10の摩擦材30の端部に発生するクラックや皺、摩擦材30の反りによる浮きを効果的に防止することができて、外観が良好なディスクブレーキパッドを提供することができる。
予備成形品と、予め洗浄、表面処理を施したバックプレートを、傾斜面を有する押型、枠型、上型からなる熱成形金型に重ねて投入し、成形温度155℃、成形圧力40MPaの条件下で5分間加熱・加圧成形した後、熱処理炉にて200℃で4時間硬化処理を行い、最後に研摩して、図6〜図11に示した実施例1〜5、比較例1の乗用車用ディスクブレーキパッドを作成した。
図6(A)〜(C)に実施例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状となっている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
図7(A)〜(C)に実施例2に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
図8(A)〜(C)に実施例3に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と略平行となるように傾斜して形成されている。
図9(A)〜(C)に実施例4に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似同形状となっている。
また本例では凹部21の底部の形状が、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
図10(A)〜(C)に実施例5に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と同じ方向となるように傾斜して形成されている。
図11(A)〜(C)に本発明の比較例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例は従来から使用されているディスクブレーキパッドであり、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側は平らな形状となっている。
製品の外観を目視にて確認した。結果を表2,3に示す。
なお、製品の外観の評価基準は、◎はクラック、皺、浮きが無く良好な状態、○は極く微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、△は、微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、×は、クラック、皺、浮きが見られ問題がある状態を示す。
結果を表2,3に示す。なお、ブレーキ鳴きの評価基準は、◎は全く鳴きがない状態、○は極く微小な鳴きがある状態、△は微小な鳴きがある状態、×は明瞭に鳴きが出る状態を示す。
20・・・・・バックプレート
20a・・・・(バックプレートの)接着面
21・・・・・凹部
30・・・・・摩擦材
31・・・・・摩擦面
32・・・・・傾斜面
33・・・・・稜線
34・・・・・予備成形品
41・・・・・上型
42・・・・・枠型
43・・・・・押型
43a・・・・傾斜面
Claims (5)
- 型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、
バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド。 - 前記傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
- バックプレートに形成される前記凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキパッド。
- バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキパッド。
- バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする請求項3または4に記載のディスクブレーキパッド。
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