JP4439362B2 - 摩擦材の製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明はブレーキ等の摩擦材の製造に関し、特に、ブレーキ鳴きを防止できる摩擦材の製造方法と製造装置とに関する。
自動車のディスクブレーキに使用するディスクパッドは、通常は鋼鉄製のバックプレートに摩擦材を張付したものである。摩擦材は、繊維材、充填材、結合材等を混合した粉末状原料を、加圧・加熱して成形される。ディスクブレーキは、このディスクパッドを金属製のディスクロータに圧接し、そのときの摩擦力によって、自動車の制動をするのである。
このようなディスクブレーキにおいては、ブレーキ作動時に、ディスクパッドやディスクロータなどが振動してブレーキ鳴きを発するという問題がある。このようなブレーキ鳴きは不快な騒音となることから、各種の対策が講じられてきた。ブレーキ鳴きを防止する対策の1つとして、ディスクパッドの両端に傾斜面を形成する方法が知られている。
図5は、このような傾斜面を形成したディスクパッドの従来例で、(a)は正面図、(b)は下面図である。図5に示すディスクパッド1は、鋼鉄製のバックプレート2に摩擦材3を張り付けて構成されている。摩擦材3は、中央に平面の摩擦面3aがあり、両側部には傾斜面3b,3bが形成されている。摩擦面3aと両側の傾斜面3b,3bとの境界線5,5は、相互に平行である。これによって、ディスクロータの外周側で接触する摩擦面3aの長さと、内周側で接触する摩擦面3aの長さが等しくなるようにされている。
このような傾斜面3bを設けることで摩擦面3aの面積を減少させ、ブレーキ鳴きが低減されることになる。
図6は、傾斜面を形成したディスクパッドの別の従来例である。図6(a)では、摩擦面3cがディスクロータの外側に向かって拡がった扇形になるように両端部に傾斜面3d,3dを形成し、図6(b)では、摩擦面3eが逆扇形になるように傾斜面3f,3fを形成している。図6(a)の境界線6,6及び(b)の境界線7,7は、それぞれ非平行となっている。すなわち、図6(a)のディスクパッド1においては、ディスクロータの外周側で接触する摩擦面3cの長さは、内周側で接触する摩擦面3cの長さより長くなっており、図6(b)のディスクパッド1では、ディスクロータの外周側で接触する摩擦面3eの長さは、内周側で接触する摩擦面3eの長さより短くなっている。
ブレーキ鳴きは、ブレーキ作動時にディスクパッド1やディスクロータに生じる振動が原因と考えられているが、これに対し、ディスクパッド1の上記境界線5,6,7が、非平行になっていると、ディスクロータの振動を抑制する効果が増大する。この理由から、摩擦面3c,3eを図6に示すように扇形にすることも行われるようになってきた。
ところで、ディスクパッド1は、上述したように鋼鉄製のバックプレート2に摩擦材3を張付したものであるが、張付した後、摩擦面3a,3c,3eを所望の精度の平面に仕上げたり、傾斜面3b,3d,3fを形成するために、研削加工がされる。
この研削加工は、通常、回転砥石4により行われるが、摩擦面3a,3c,3eを研削する工程と、傾斜面3b,3d,3fを研削する工程とは別工程となっている。たとえば、傾斜面3b,3d,3fの加工用には、角度が異なる数種の研削砥石を加工すべき傾斜面の傾斜角度の種類だけ用意しておき、所定の工具を用いて傾斜面3b,3d,3fを形成してから、摩擦面3a,3c,3eの平面研削を行うというものである。また、傾斜面3b,3d,3fの研削も両側を同時に研削できるものはなく、片側ずつ研削するものであった。
そのため、上記の研削処理では、工数も多くなり、傾斜面の加工から摩擦面の加工に移行する度に工具の交換が必要になるので、生産性を低下させていた。
これに対し、特許文献1(特開平9−136255号)では、図5に示すディスクパッドの研削方法として、図7(a)から(d)に示すような研削方法を提案している。
まず、同図(a)に示すようにディスクパッド1を保持する。回転砥石4を、その回転軸4aが摩擦面3aと平行になるように配置する。この状態で回転砥石4を矢印D方向に回転させ、摩擦材3の右端から回転砥石4で研削を開始する。ディスクパッド1は、図の右方向に移動させるのであるが、この方向がディスクロータ(図示せず)の円周方向となっている。矢印Cに示すようにディスクパッド1を回転砥石4に近づけた状態から研削を開始し、右に送るに従って回転砥石4から遠ざかるように移動させる。これによって、図7(b)に示すように一方の傾斜面3bが形成される。
次に、図7(b)に示すように、ディスクパッド1を、回転砥石4との距離を一定に保って移動させる。これによって、摩擦面3aの平面が研削されることになる。
摩擦面3aの研削が終了すると、図7(c)に示すように、ディスクパッド1を、研削量が徐々に増大するように回転砥石4に近づけながら右方に移動する。そして、最終的に図7(d)に示すように反対側の傾斜面3bが形成されることになる。この方法によれば、回転砥石4の回転軸4a方向の長さがディスクパッド1の大きさをカバーできるものにしておくことで、傾斜面3b,3bと摩擦面3aの研削を1パスで行うことができる。
また、特許文献2(特開平6−33960号)では、摩擦材を製造する際に傾斜面を作成し、研磨工程を省略するか、又は、仕上げ研磨だけの軽い研磨にすることができる製造方法を提案している。
摩擦材の成形は、摩擦材の粉末状原料を金型内に投入し、加熱加圧して固めることで行われる。そこで、この特許文献1では、金型に傾斜面を形成し、成形された摩擦材に所望の勾配の傾斜面を形成できるようにしている。ただし、単に金型に傾斜面を形成しても、成形された摩擦材が均質なものにならないので、成形時に金型に振動を与え、粉末状原料の流動性を高めることで、均質化を図っている。
特開平9−136255号 特開平6−33960号
しかし、前記特許文献1の研削方法には、図6に示すような境界線6,6や境界線7,7が平行ではない傾斜面3d,3fを形成することはできない。一方の傾斜面3d,3fと摩擦面3c,3eと、他方の傾斜面3d,3fとをそれぞれ別工程として研削しなければならない、という問題もある。さらに、研削する方法は、多量の研磨粉を排出するため、作業衛生上好ましくない。
また、特許文献2は、境界線6,6や境界線7,7のように平行ではない傾斜面3d,3fを形成することは可能である。しかし、成形時に金型に振動を与えるための装置が必要となり、プレス装置が大がかりになるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するもので、ブレーキ鳴きが少なく、研削作業が短縮され、研磨粉の発生を減らすことができ、かつ、大がかりなプレス装置が不要な摩擦材の製造方法と製造用の金型とを提供することを目的としている。
前記の目的を達成するために本願請求項1の摩擦材の製造方法は、粉末状原料を予備成形用金型内で加熱せずに加圧して固め、傾斜面を有する予備成形品を製造する工程と、該予備成形品を成形用金型内で加熱加圧して前記傾斜面の位置に所望の角度の傾斜面を持つ摩擦材にする工程とを有し、予備成形品の傾斜面の角度βを摩擦材の傾斜面の角度αより大きくしたことを特徴としている。
請求項2記載の摩擦材の製造方法は、前記角度βが、角度αの2倍以上であることを特徴としている。
前記の目的を達成するために本願請求項3の摩擦材の製造用金型は、複数の金型によって粉末状原料を投入する空間を形成する予備成形用金型と、複数の金型によって、該予備成形用金型で成形された予備成形品を投入する空間を形成する成形用金型とを有し、前記予備成形用金型と成形用金型とが同じ位置に傾斜面を備え、予備成形用金型の傾斜面の角度βが、成形用金型の傾斜面の角度αより大きいことを特徴としている。
請求項4記載の摩擦材の製造用金型は、前記角度βが、角度αの2倍以上であることを特徴としている。
〔作用〕
摩擦材の原料となる粉末状原料を、予備成形用金型内に投入する。予備成形用金型には、両端に傾斜面が形成されており、金型内の粉末状原料は、プレス機で加熱されることなく加圧され、両端に傾斜面のある予備成形品となる。このような予備成形品を成形用金型に入れ、プレス機で、加熱と加圧を加えて摩擦材に成形する。予備成形品と成形用金型の傾斜面が同じ勾配の場合、成型用金型の傾斜面は、プレス工程の最初から、その全面が予備成形品の傾斜面に密着する。この状態で予備成形品に熱を加えると、予備成形品を構成している粉末状原料は溶融するが流動することができず、傾斜面の部分の密度が高い摩擦材ができる。このように傾斜面の密度が摩擦面の密度より大きくなると、摩耗して傾斜面の部分が消滅したとき、ブレーキ鳴きが発生し易くなる。
これに対し、本発明では、この予備成形品に形成された傾斜面は、摩擦材に形成されるべき傾斜面より勾配が急になっている。そのため、成形金型の傾斜面は、当初は、予備成形品の傾斜面の内側だけで接触し、接触部の外側には楔形の空間ができる。粉末状原料は、加熱により溶融状態になるが、金型と予備成形品との間に空間があることから流動し易くなり、均一な質の摩擦材となる。溶融が進んだ状態では、成形金型の傾斜面は、隙間なく溶融した摩擦材と接触し、最終的に成形された摩擦材は、成形金型の傾斜面と同じ勾配の傾斜面を有することになる。
このように傾斜面の密度が摩擦面の密度と同じになると、摩擦材を使用することで摩耗して傾斜面の部分が消滅しても、ブレーキ鳴きは起こらないようになる。
本発明の摩擦材の製造方法や摩擦材の製造用金型によれば、摩擦面部と傾斜面部の密度と気孔率とがほぼ均一乃至は、傾斜面部の方が密度が小さく気孔率の大きい摩擦材を製造することができる。このような摩擦材は、摩耗が進んで傾斜面が消滅してもブレーキ鳴きが生じないようになる。また、傾斜面を削り出すような研削作業が不要になり、仕上げ研磨程度でよくなり、摩擦材の製造工程を短縮することができ、研磨粉も減少して作業環境を良くすることができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
図1は、本発明の予備成形用金型の図である。予備成形用金型10は、上型15と枠型16及びプランジャ17の3つの金型から構成される。これらはプレス機に取り付けられるが、枠型16は固定され、上型15及びプランジャ17は図の上下方向に移動可能な状態である。枠型16の中空部16aは、断面形状が図5(a)に示す摩擦材3の正面からみた形状と同じ形状で、中空部16aは枠型16の上下を貫通して形成されている。プランジャ17は、この中空部16a内を昇降自在である。また、上型15には、バックプレート2の結着孔2aに進入する突起を形成するために2つの凹部15a,15aが形成されている。また、プランジャ17の上面の中央には平面17aが、その両端には傾斜面17b,17bが形成されている。この傾斜面17bの角度はβである。傾斜面17bをプランジャ17に形成するので、傾斜面と平面との境界線が、図5の境界線5,5のように平行な場合に限らず、図5(a)の境界線6,6や図5(b)の境界線7,7のように非平行なものでも形成可能である。
上型15を図の上方に退避させ、枠型16内で、プランジャ17の上の中空部16a内に粉末状の摩擦材原料を投入し、プランジャ17を上昇させ、上型15を下降させ加圧する。このとき、加熱はしない。加圧されることにより予備成形用金型10の温度は自然に上昇するが、粉末状原料内の熱硬化性樹脂が溶融しない限度内である。粉末状原料には、未加硫のNBRなどの粘着性の物質が含まれており、これが圧力を加えられることによって、柔らかな粘土のようになって他の物質間に拡がって接着剤のように作用して粉末状原料を固化する。これによって、加圧のみにより固まった予備成形品となる。
図2は、予備成形品30の側面図で、予備成形用金型10内で加熱せずに加圧することだけで固まった状態である。正面から見た形状は、図5(a)の完成品と同じ形状であるが、密度は粗く、その厚さTは、バックプレート2に加圧接着されて所定の密度に圧縮された完成品の厚さのほぼ2倍となっている。予備成形品30は、図の下面の中央に摩擦面となる平面30aが、その両端に傾斜面30b,30bがあり、図の上面にバックプレート2の結着孔2aに進入する2つの盛上部30c,30cを有している。傾斜面30bの角度は予備成形用金型10のプランジャ17に形成された傾斜面17bの角度と同じβである。この予備成形品30は、平面30a部分Xの密度と傾斜面30bの部分Yの密度とを比較すると、傾斜面30bの部分Yの密度の方が大きくなっている。
こうして形成された予備成形品30をつぎのようにして、バックプレート2に貼り付ける。まず、この予備成形品30を図3(a)に示す成形用金型20内に入れる。成形用金型20は予備成形用金型10と基本的には同じ構造である。すなわち、上型25と枠型26、及びこの枠型26に貫通形成された空間内を昇降するプランジャ27とから構成される。枠型26には、仮成型の枠型16と同じ形状で同じ大きさの開口が形成されている。プランジャ27の上面の両側には、傾斜面27b,27bが形成されている。傾斜面27bの長さは、予備成形品30の傾斜面30bの長さと等しく、図2に示すように長さLで、傾斜の角度はαである。
プランジャ27を枠型26内の適当な位置に停止させ、枠型26の空間内に予備成形品30を入れる。このとき予備成形品30の盛上部30c,30cが、枠型26の上面から突出しないようにする。次に枠型26の上面にバックプレート2を載置する。バックプレート2は枠型26に形成された図示しない位置決め部材によって、所定の位置に載置される。
上型25を降下させ、プランジャ27を上昇させ、予備成形品30に加圧と加熱とを加えてバックプレート2に貼り付ける。結着孔2a,2a内には、下から盛上部30c,30cが入り、上から上型25の突起25a,25aが入って適度な密度になって固化し、結合力を上げるようになっている。
図4(a)は、プランジャ27と予備成形品30の一方の傾斜面の部分を拡大した図である。同図に示すように、両傾斜面27bと30bの水平方向の長さLは同一で、予備成形品30の傾斜面30bの角度はβで、プランジャ27の上面に形成された傾斜面27bの角度はαであり、β>αの関係がある。そのため、2つの傾斜面30bと27bとは内側の端部Aで接触し外側の端部では離間して、両斜面間に楔形の空間Bが形成される。
上型25がバックプレート2を枠型26に押しつけ、プランジャ27が枠型26内を上昇し、予備成形品30に圧力が加わる。同時に予備成形品30に周囲の金型から熱が加わり、予備成形品30は溶融し始める。溶融することによって、始めA点だけで接触していた傾斜面30bと27bとは徐々に接触面積を増加し、予備成形品30の全体が溶融状態になると、図3(b)の状態となり空間Bが消滅することになる。空間Bが無くなるまでの間、傾斜面30bの溶融部分は、空間Bを利用して流動することができ、摩擦材3になると、傾斜面3bの部分と摩擦面3aの部分との密度がほぼ等しくなる。
本発明では、角βが角αより少しでも大きければ、空間Bができるので、流動性が生じるが、角βが角αの2倍以上あることが、流動性を確保し、傾斜面3bと摩擦面3aとの密度を等しくする上では、望ましい。また、空間Bは大きいほど、流動性が上がり、望ましいことになり、2倍以上であれば上限はない。ただし、角βの最大値βmaxは、次のようになる。
図4(b)は、図2の予備成形品30の一方を拡大した図である。予備成形品30には、前述した摩擦面としての平面3aと傾斜面3bがあるが、その他の面として、バックプレート2に貼付される貼付面30dと、外側面30eとがある。平面30aと傾斜面30bとの境界を点A、傾斜面30bと外側面30eとの境界を点Cとし、外側面30eと貼付面30dとの境界を点Dとする。角βが大きくなると、点Cは点Dに近づき、図4(c)に示すように、点Cと点Dとが重なるときが角βの最大値βmaxである。このβmaxは、予備成形品30の厚さTと傾斜面30bの水平方向長さLにより決まる。ここで、予備成形品30の厚さTは、図5に示す摩擦材3の厚さtのほぼ2倍である。また、傾斜面30bと3bの水平方向の長さLは予備成形品30と摩擦材3とでは同じであり、ディスクパッド1の設計時に決められる値である。以上のことから角βの最大値βmaxが決まることになる。
一方αの値は、傾斜面3bが傾斜面として機能すれば良いのでα>0ということになる。なお、図6のように境界線6,7が平行で無い場合には、境界線6,7上の位置によりLの値が変化するので、β/αの値も変化することとなる。
図5は、成形用金型20で成形され取り出されたディスクパッド1の図で、(a)は正面図で、(b)は下面図で、従来例で示した物と外観上は同じである。傾斜面3bの角度は成形用金型20のプランジャ27に形成された傾斜面27bの角度と同じαとなる。この後、必要に応じて仕上げ研磨を行い完成品となる。
次に、前記の金型により製造した摩擦材について、新品状態と、使用によって傾斜面が消滅した状態におけるブレーキ鳴きの試験を行った結果を表1に示す。
Figure 0004439362

実施例1から5は、本願発明の製造方法により製造した摩擦材で、比較例1から3は従来の製造方法である。これらは、比較のため、全て同一の粉末状原料を用い、予備成形品30、摩擦材3の成形条件(圧力、温度等)は全て同一とした。比較例3の摩擦材には金型に傾斜面を設けなかったが、その他の摩擦材では、傾斜面の角度αを実施例1,2,3と比較例1,2では15゜とし、実施例4,5では、5゜とした。実施例1から3は、予備成形用金型の傾斜面の角度βをαの2倍、3倍、4倍と変化させた。実施例4,5では、角度βはαの9倍、12倍となっている。比較例1はβ=αで、比較例2では、予備成形品には傾斜面を形成せずに成形用金型に傾斜面を形成している。比較例3では、予備成形用金型、成形用金型のいずれにも傾斜面を設けず、成形後に研磨により傾斜面を形成した。このときのαは、15゜とした。
試験は、ブレーキの鳴き以外に摩擦面3a部と傾斜面3b部とからテストピースを切出し、摩擦面3a部の比重及び気孔率と、傾斜面3b部の比重及び気孔率とを測定した。気孔率とは、摩擦材中に存在する空隙部分が、摩擦材の見かけの全容積に占める割合を体積%で表したものである。摩擦面部と傾斜面部との分け方は、図2のX,Yに準じて行った。比重の測定は、JIS D 4417の規定に従い、気孔率は、JIS D 4418の規定に従った。
実施例1,2,3の比重は、摩擦面部と傾斜面部とでは殆ど差がないが、比較例1,2では、かなりの差が見られた。これは、比較例では、傾斜面部が大きく圧縮されるからと考えられる。また、実施例1,2,3を見ると、βが大きくなるほど傾斜面部の比重が小さくなり、実施例1では、傾斜面部の比重の方が摩擦面部の比重よりやや大きいが、実施例3では、逆に摩擦面部の比重の方が大きくなっているのが分かる。
気孔率は、比重が小さいほど大きくなる性質を有し、実施例1,2では、摩擦面部と傾斜面部と比較すると、摩擦面部の方が大きくなっているが、実施例3,4,5では、逆転している。また、βの倍率が大きくなるほど気孔率が大きくなる。これは、空間Bの存在により圧縮力が下がることから、比重が小さくなったためと考えられる。比較例1,2では、摩擦面部と傾斜面部との気孔率の差が大きいが、傾斜面部の比重が大きいからと考えられる。比較例3では、金型で傾斜面を形成せずに研削により形成するので、ほぼ同じになっている。
ブレーキ鳴きは、表1において、◎は、全く鳴きがない状態、○は極く微小な鳴きがある状態、△は微小な鳴きがある状態、×は明瞭に鳴きが出る状態を示す。実施例1〜5と比較例1,2,3のいずれも新品の場合は、一切発生せず、良好であった。
しかし、傾斜面が消滅するまで使用した状態では、実施例3,4,5では◎で、全く無く、実施例1,2でも○で、問題無しとされる「極く微小な鳴き」しか発生しなかったが、比較例1では△で、「微小な鳴き」が起こり、比較例2では×であり、明瞭に「鳴き」が起こった。ただし、比較例3では、○で、極く微小な鳴きに留まった。
以上の結果から、摩擦面部と傾斜面部とでは、比重は傾斜面部の方が軽くなるのが望ましく、気孔率は傾斜面部の方が大きくなるのが望ましいことが分かった。すなわち、β≧2αの関係が成り立つと、傾斜面部の比重が下がり、これによって、気孔率が上がるので、ブレーキ鳴きが無くなると考えられる。
比較例3は、傾斜面を形成せずに摩擦材を成形し、その後、研磨で傾斜面を形成しているので、比重、気孔率ともに摩擦面部と傾斜面部とで差ができなかった。そのため、本発明とほぼ同様の結果となったが、研磨作業や、研磨粉の問題は、解決しないままということになる。
本発明の予備成形用金型の図である。 予備成形品の側面図である。 本発明の成形用金型の図で、(a)は成形開始状態を示す図、(b)は成形完了状態を示す図である。 (a)はプランジャと予備成形品の一方の傾斜面の部分を拡大した図で、(b)は、図2の予備成形品30の一方を拡大した図で、(c)はβmaxを示す図である。 傾斜面を形成したディスクパッドの従来例で、(a)は正面図、(b)は下面図である。 ディスクパッドの別の従来例の図で、(a)は、摩擦面がディスクロータの外側に向かって拡がった扇形になる例、(b)は、摩擦面が逆扇形になる例である。 (a)〜(d)は、従来のディスクパッドの研削方法を説明する図である。
符号の説明
1 ディスクパッド
2 バックプレート
2a 結着孔
3 摩擦材
3a 摩擦面
3b 傾斜面
5,6,7 境界線
10 予備成形用金型
15 上型
16 枠型
17 プランジャ
20 成形用金型
25 上型
26 枠型
27 プランジャ
27b 傾斜面
30 予備成形品
30b 傾斜面
β 予備成形品の傾斜面の角度
α 摩擦材の傾斜面の角度

Claims (4)

  1. 粉末状原料を予備成形用金型内で加熱せずに加圧して固め、傾斜面を有する予備成形品を製造する工程と、該予備成形品を前記予備成型用金型と同じ開口形状を有する成形用金型内で加熱加圧して前記傾斜面の位置に所望の角度の傾斜面を持つ摩擦材にする工程とを有し、予備成形品の傾斜面の角度βを摩擦材の傾斜面の角度αより大きくしたことを特徴とする摩擦材の製造方法。
  2. 前記角度βが、角度αの2倍以上であることを特徴とする請求項1記載の摩擦材の製造方法。
  3. 複数の金型によって粉末状原料を投入する空間を形成する予備成形用金型と、複数の金型によって、該予備成形用金型で成形された予備成形品を投入する空間を形成する成形用金型とを有し、前記予備成形用金型と成形用金型とが同じ開口形状を有するとともに同じ位置に傾斜面を備え、予備成形用金型の傾斜面の角度βが、成形用金型の傾斜面の角度αより大きいことを特徴とする摩擦材の製造用金型。
  4. 前記角度βが、角度αの2倍以上であることを特徴とする請求項3記載の摩擦材の製造用金型。
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