JP6742603B2 - バレル研磨用の再生メディア及びバレル研磨用の再生メディアの製造方法 - Google Patents
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Description
バレル研磨用の再生メディアであって、
砥粒と該砥粒が分散された樹脂とを含む基体と、該基体中に配置されたバレル研磨用メディアの小片とを備え、
前記バレル研磨用メディアの小片が、砥粒と該砥粒が分散された樹脂とを含む基体を備えた、使用済のバレル研磨用メディアであり、
前記バレル研磨用の再生メディアを構成する基体が、前記使用済のバレル研磨用メディアを構成する基体と略同一の研磨力を有している、
バレル研磨用の再生メディアが提供される。
また、バレル研磨用の再生メディアを構成する基体と、この基体中に分散する使用済のバレル研磨用メディアを構成する基体と略同一の研磨力を有しているので、使用済みのバレル研磨用メディアを使用しない従来のバレル研磨用メディアと同等の研磨性能が得られる。
前記バレル研磨用の再生メディアの径に対する前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の径の比が0.1〜0.5である。
前記バレル研磨用の再生メディアにおける前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の含有率は、70体積%以下である。
前記バレル研磨用の再生メディアを構成する基体における砥粒の含有率が、10〜75体積%である。
前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の表面粗さRaの粗さ曲線の最大山高さRpおよび最大谷深さRvが、Rp<Rvの関係を満たす。
なお、最大山高さRpおよび曲線の最大谷深さRvは、JIS B0601:1994に規定されるパラメータである。
前記バレル研磨用の再生メディアに含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である。
上記バレル研磨用の再生メディアを製造する方法であって、
使用済のバレル研磨用メディアから所定寸法を有する使用済のバレル研磨用メディアの小片を選別する工程と、
前記使用済のバレル研磨用メディアの小片を構成する基体に含まれる樹脂と同一または類似の組成の樹脂の原料樹脂と、前記小片を構成する基体に含まれる砥粒と略同一の研磨力を備える原料砥粒とを準備する工程と、
前記原料樹脂に、前記原料砥粒を、前記使用済のバレル研磨用メディアの小片に含まれる砥粒の含有率と略同一になるように混練して分散させ、さらに、前記小片を混入してバレル研磨用メディア原料を得る工程と、
前記バレル研磨用の再生メディア原料を成形する工程と、
成形されたバレル研磨用メディア原料を硬化させバレル研磨用の再生メディアを得る工程と、を含む、
バレル研磨用の再生メディアの製造方法が提供される。
前記バレル研磨用メディア原料を成形する工程が、鋳型成型法によって行われる。
押出成型法、ドクターブレード法などの他の成形法において求められる、成形時の外力付与が不要である。従って、この外力付与によって、原料樹脂と使用済のバレル研磨用メディアの小片との間の接合力低下を回避できる。
各基体12、16の研磨力は、例えば、砥粒12a、16aの材質、粒度、樹脂12b、16bに対する含有率を調整される。砥粒12a、16a及び樹脂12b、16bは、互いに同一種類でも、異なった種類でも良い。また、基体12と基体16の親和性を考慮して、樹脂12b、16bを同一種類の樹脂から構成してもよく、あるいは、異なった種類の樹脂から構成してもよい。
この径は、所定の目開きの篩を通過するか否かで近似してもよい。例えば、目開きが3mmの篩を通過したメディア(あるいは小片)を、3mm以下の径とすることができる。
なお、最大山高さRpおよび曲線の最大谷深さRvは、JIS B0601:1994に規定されるパラメータである。
まず、使用済のバレル研磨用メディアから所定寸法を有する使用済のバレル研磨用メディアの小片を選別する。
具体的には、バレル研磨後に、使用したバレル研磨用メディアを、所望の径に対応した目開きの篩にて分級する。例えば、所望の径が許容しうる最大径に対応する第一の篩と最小径に対応する第二の篩とを準備する。まず、使用済のバレル研磨用メディアを第一の篩で分級し、第一の篩を通過したバレル研磨用メディアを第二の篩でさらに分級する。そして、第二の篩上に残ったものを「所定寸法を有する使用済のバレル研磨用メディア」として使用する。なお、最小径を考慮する必要がない場合は、第二の篩のみで分級してもよい。
なお、Rp及びRvを測定する工程は、篩を通過した研磨メディアの任意の一部に対して行うのがよい。Rp<Rvが充足されていることが既知であれば省略してもよい。
次いで、使用済のバレル研磨用メディアの小片14を構成する基体16に含まれる樹脂16bと同一または類似の組成の樹脂の原料樹脂と、小片14を構成する基体16に含まれる砥粒16aと略同一の研磨力を備える原料砥粒とを準備する。
次いで、原料樹脂に、原料砥粒を、使用済のバレル研磨用メディアの小片14に含まれる砥粒の含有率と略同一になるように混練して分散させ、さらに、小片14を混入してバレル研磨用メディア原料を得る。
次いで、バレル研磨用メディア原料を成形する。
具体的には、工程S3で得られた混練物(バレル研磨用メディア原料)を成形する。本実施態様では、バレル研磨用の再生メディア10(本実施形態では円錐形状)と相補的な形状のキャビティを有する鋳型に混練物を充填する「鋳型成型法」によって成型を行う。鋳型成型法を用いず、押出成形法、ドクターブレード法等で成形を行っても良い。
次いで、成形されたバレル研磨用メディア原料を硬化させバレル研磨用メディアを得る。
具体的には、工程S5において混練物が充填された鋳型を加熱炉に装入し、所定の温度で加熱することで、この混練物を硬化させる。
その後、鋳型を加熱炉より取り出して冷却した後、硬化物を鋳型のキャビティより脱離して回収することで、本実施態様のバレル研磨用の再生メディア10を得る。
これらのバレル研磨用の再生メディアは、上記の製造方法によって製造した、底面の直径が20mm、高さ20mmの円錐形のバレル研磨用の再生メディアである。
評価1:孔の有無
○・・・何れの状態でも孔がない。
△・・・何れかの状態で1mm以下の孔が1個ある。
×・・・何れかの状態で1mm以上の孔がある。若しくは1mm以下の孔が複数個ある。
評価2:割れ又は欠けの有無
○・・・何れの状態でも割れ又は欠けがない。
×・・・何れかの状態で割れ又は欠けがある。
評価3:再生メディアの脱離の有無
○・・・何れの状態でも再生メディアの脱離がなく、且つ基材と再生メディアの境界に空隙がない。
△・・・何れの状態でも再生メディアの脱離がないが、何れかの状態で基材と再生メディアの境界に空隙がある。
×・・・何れかの状態で再生メディアが脱離している。
なお、表1における使用済のバレル研磨用メディアの含有率と基材原料の砥粒の含有率は、いずれも体積%を示す。
径比が0.1〜0.5を満たす実施例1−1〜12は、いずれも全ての評価項目が○評価であった。
径比が0.1〜0.5の範囲を逸脱する比較例1−1及び1−2は、「孔」の評価が△となった。△評価は、実用上は問題ないが、0.1〜0.5に比べて性能の低下が見られた。これは、使用済のバレル研磨用メディアの径が大き過ぎても小さ過ぎても混練時に気泡を巻き込みやすくなることが推察される。
更に、径比が0.5を上回る比較例1−2は、「割れ・欠け」及び「脱離」の評価が何れも×であった。これは、基材原料による使用済メディアの接合力が弱いためにそれらの界面に空隙が生じ、この空隙を起点として割れ・欠け及び脱離が発生したと推察される。
使用済のバレル研磨用メディアの含有率が70体積%以下を満たす実施例1−1〜12は、いずれも全ての評価項目が○評価であった。使用済のバレル研磨用メディアの含有率が60体積%以下を満たす実施例1−3と60〜70体積%を満たす実施例1−4においてのバレル研磨用の再生メディアと基材との接合界面をSEMで観察したところ、実施例1−3の方がより密着している様子が観察された。定性評価ではいずれも○評価であるが、含有率を60体積%以下とすると、さらに耐久性の高いバレル研磨用メディアが得られることが示唆された。
Rp<Rvであり、且つRp/Rvが0.25〜0.75を満たす実施例1−1〜12は、いずれも全ての評価項目が○評価であった。Rp/Rvが0.3〜0.5を満たす実施例1−6、7及び0.25〜0.30を満たす実施例1−5、及び0.5〜0.75を満たす実施例1−8においてバレル研磨用の再生メディアと基材との接合界面をSEMで観察したところ、実施例1−6、7の方がより密着している様子が観察された。定性評価ではいずれも○評価であるが、Rp/Rvを0.3〜0.5とすると、さらに耐久性の高いバレル研磨用の再生メディアが得られることが示唆された。
砥粒の含有率が10〜75体積%を満たす実施例1−1〜12は、いずれも全ての評価項目が○評価であった。含有率が45〜65体積%以下を満たす実施例1−10、11及び0.10〜0.45体積%を満たす実施例1−9及び0.65〜0.75を満たす実施例1−8において再生メディアと基材との接合界面をSEMで観察したところ、実施例1−9〜11の方がより密着している様子が観察された。
メディアA:実施例1−3のバレル研磨用の再生メディア
メディアB:基体のみで形成された研磨メディアであって、他の条件は実施例1−3と同等である研磨メディア
メディアC:砥粒の含有量を8%とし、他の条件は実施例1−3と同等とした再生メディア
ワークA:φ22mm×15mmの機械構造用炭素鋼(S45C)
ワークB:φ22mm×22mmの高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
ワークC:φ22mm×15mmのアルミ合金(A2017)
12:(バレル研磨用の再生メディア10の)基体
12a:(バレル研磨用の再生メディアの基体12中の)砥粒
12b:(バレル研磨用の再生メディアの基体12中の)樹脂
14:(使用済みのバレル研磨用メディアの)小片
16:(使用済みのバレル研磨用の再生メディア14の)基体
16a:(小片の基体16中の)砥粒
16:(小片の基体16中の)樹脂
Claims (9)
- バレル研磨用の再生メディアであって、砥粒と該砥粒が分散された樹脂とを含む基体と、該基体中に配置されたバレル研磨用メディアの小片とを備え、前記バレル研磨用メディアの小片が、砥粒と該砥粒が分散された樹脂とを含む基体を備えた、使用済のバレル研磨用メディアであり、
前記バレル研磨用の再生メディアを構成する基体に含まれる砥粒は材質、粒度、樹脂に対する含有率が、前記使用済のバレル研磨用メディアを構成する基体に含まれる砥粒の材質、粒度、樹脂に対する含有率と略同一であり、前記バレル研磨用の再生メディアを構成する基体は前記使用済のバレル研磨用メディアを構成する基体と略同一の研磨力を有している、
バレル研磨用の再生メディア。 - 前記バレル研磨用の再生メディアの径に対する前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の径の比が0.1〜0.5である、
請求項1に記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 前記バレル研磨用の再生メディアにおける前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の含有率は、70体積%以下である、
請求項1又は2に記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 前記バレル研磨用の再生メディアを構成する基体における砥粒の含有率が、10〜75体積%である、
請求項1乃至3のいずれかに記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 前記使用済のバレル研磨用メディアの小片の表面粗さRaの粗さ曲線の最大山高さRpおよび最大谷深さRvが、Rp<Rvの関係を満たす、
請求項1乃至4のいずれかに記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 前記Rvに対する前記Rpの比が0.25〜0.75である、
請求項5に記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 前記バレル研磨用の再生メディアに含まれる樹脂が熱硬化性樹脂である、
請求項1乃至6のいずれかに記載のバレル研磨用の再生メディア。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のバレル研磨用の再生メディアを製造する方法であって、
使用済のバレル研磨用メディアから所定寸法を有する使用済のバレル研磨用メディアの小片を選別する工程と、
前記使用済のバレル研磨用メディアの小片を構成する基体に含まれる樹脂と同一または類似の組成の樹脂の原料樹脂と、前記小片を構成する基体に含まれる砥粒と略同一の研磨力を備える原料砥粒とを準備する工程と、
前記原料樹脂に、前記原料砥粒を、前記使用済のバレル研磨用メディアの小片に含まれる砥粒の含有率と略同一になるように混練して分散させ、さらに、前記小片を混入してバレル研磨用の再生メディア原料を得る工程と、
前記バレル研磨用の再生メディア原料を成形する工程と、
成形されたバレル研磨用の再生メディア原料を硬化させバレル研磨用の再生メディアを得る工程と、を含む、
バレル研磨用の再生メディアの製造方法。 - 前記バレル研磨用の再生メディア原料を成形する工程が、鋳型成型法によって行われる、
請求項8に記載のバレル研磨用の再生メディアの製造方法。
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