JP2011132478A - 繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを持つ成形体を形成することができ、製品性能を改良し得る繊維強化されたポリ乳酸含有樹脂組成物及びその用途の提供。
【解決手段】成分(A):ポリプロピレン系樹脂、成分(B):ポリ乳酸系樹脂、成分(C):有機繊維、成分(D):酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂、成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂、および、必要に応じて成分(H):プロピレン系重合体を含み、且つ下記の工程(I)〜(IV)を経て製造されたことを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物によって提供。
工程(I):成分(B)、成分(E)を溶融混練する
工程(II):工程(I)で得られる組成物、成分(A)の一部、および成分(D)を溶融混練する
工程(III):工程(II)とは別途に、成分(A)の残部、および成分(C)を含む組成物を製造する
工程(IV):工程(II)で得られる組成物、工程(III)で得られる組成物、及び必要に応じて成分(H)とを混合又は溶融混練する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化されたポリ乳酸含有樹脂組成物及びその成形体に関し、さらに詳しくは、曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを持つ成形体を低コストで製造することができ、商業生産性を向上し得る繊維強化ポリ乳酸含有プロピレン系樹脂組成物及びその成形体に関する。
近年、環境問題の高まりから、使用済みのプラスチック製品は、自然環境中で経時的に分解・消失し、最終的に自然環境に悪影響を及ぼさないことが求められている。従来のプラスチックは、自然環境中で長期にわたって安定なため、廃棄物埋め立て地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なったりする問題点が指摘されていた。そこで、生分解性樹脂材料が注目を集めるようになった。生分解性樹脂は、土壌中や水中で、加水分解や生分解によって徐々に崩壊・分解が進行し、微生物の作用により最終的には無害な分解物となることが知られている。また、生分解性樹脂であればコンポスト(堆肥化)処理によって、容易に廃棄物処理を行うことができる。
実用化され始めている生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル、変性PVA、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、及びこれらのブレンド体等がある。これらの生分解性樹脂材料は、それぞれ固有の特徴を有し、この特徴に応じた用途展開が考えられる。
中でも脂肪族ポリエステルが、幅広い特性と汎用樹脂に近い加工性を有するため広く使われ始めている。また、脂肪族ポリエステルの中でも乳酸系樹脂は、透明性・剛性・耐熱性等が優れていることから、ポリスチレンやポリエチレンテレフタレートの代替材料として、包装フィルム分野や射出成形分野において注目されている。
更に近年では、プラスチックの原料として、従来の石油化学製品由来のものではなく、植物原料由来のプラスチックを利用することが環境保護の観点から求められている。乳酸系樹脂を初めとした生分解性プラスチックの多くは、植物原料由来が可能であり、その意味からもこれら樹脂が注目されている。
しかしながら、ポリ乳酸は、ポリプロピレンなどの汎用樹脂と比較して耐熱性や耐衝撃性などに劣るという欠点を有している。そのため、ポリ乳酸の特性を改善するための様々な試みがなされている。例えば特許文献1には、脂肪族ポリエステル100重量部と平均繊維長が1〜50mmの強化用生分解性繊維5〜500重量部とからなる繊維強化成形体が提案されている。このような改良技術を基に、乳酸系樹脂が各種用途に展開されつつあるが、物性は汎用樹脂とくらべて十分とはいえず、用途展開には限りがあった。
さらに、ポリ乳酸などの樹脂の物性改良方法として従来から知られているものに、ポリマーブレンドあるいはポリマーアロイといわれる技術がある。複数種の樹脂を強制的に混合、混練し、耐衝撃性や柔軟性、剛性、耐熱性の向上が試みられている。例えば特許文献2には、乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステル85〜99重量%とシンジオタクチックポリプロピレン1〜15重量%とからなる自然分解性樹脂組成物が提案されている。また、例えば特許文献3には、ポリ乳酸に変性オレフィン化合物を混合することにより耐衝撃性が向上したポリ乳酸系樹脂組成物が提案されている。この様にして樹脂の物性改良が行なわれているが、一般に異種の高分子は互いに相溶し難く、性能の向上は十分とはいえなかった。
そこで、相溶化剤の添加によって異種高分子同士の相溶性を向上させることがある。例えば特許文献4には、脂肪族ポリエステル樹脂及びポリオレフィン樹脂に、相溶化剤として、くし型構造を持つグラフトポリマーを配合してなる組成物を加熱溶融したフィルムが提案されている。また、例えば特許文献5には、ポリオレフィン樹脂とポリ乳酸樹脂と前記両者に対して相溶性を示す熱可塑性樹脂とからなる熱可塑性樹脂成形体が提案されている。
さらに、例えば特許文献6にはポリオレフィン、脂肪族ポリエステル系生分解性ポリマー、酸またはエポキシ基含有ポリオレフィンからなり、ポリオレフィンがマトリックスを形成し、脂肪族系生分解性ポリマーがドメインを形成し、ドメインの周囲を酸またはエポキシ基含有ポリオレフィンが取り囲む分散構造を有する組成物が提案されている。また、例えば特許文献7には、結晶性プロピレン系重合体、ポリ乳酸樹脂、エポキシ基を有するエチレン系重合体と異なるエラストマー類及びエポキシ基を有するエチレン系重合体からなる引張破断伸び、耐衝撃性および光沢に優れる樹脂組成物が提案されている。また、例えば特許文献8には、特定のプロピレン系重合体、ポリ乳酸系樹脂、エポキシ基を含有するエチレン系重合体、必要に応じエラストマー類からなり、機械的強度や成形品の収縮率の異方性、寸法安定性及び外観等が改善されたプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
また、例えば特許文献9には、結晶化しない乳酸系ポリマーに、結晶性熱可塑性ポリマー、繊維状フィラー及び、樹脂結合剤を含有することで、高温及び常温での寸法安定性を改良した樹脂組成物が提案されている。確かに、樹脂結合剤の様な相溶化剤成分を配合することにより分散構造(特に分散径)などが改善され、耐衝撃性等の機械物性や成形体外観は向上している。しかしながら、繊維状フィラーとしてガラス繊維などの硬質繊維を一括して配合しているので、十分に混練しにくいので、成形体の製造コストを低減できないだけでなく、硬質繊維が成形加工の際に折損するので耐衝撃性が得られず、より高い品質が求められる自動車部品向け材料などには、未だ性能が不十分である。さらに、幅広い分野への応用をはかるには、これらの性能に加え、より一層の商業生産性の向上が必要である。
こうした状況の下、従来のポリ乳酸含有樹脂組成物及びその成形体などの問題点を解消し、曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを持つ成形体を形成することができ、例えばマスターバッチとして、プロピレン系重合体にて希釈成形することができ、商業生産性を向上(成形体の製造コストを低減)し得る繊維強化ポリ乳酸含有プロピレン系樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体が求められている。
特開平9−169897号公報 特開平10−251498号公報 特開平9−316310号公報 特開平6−263892号公報 特開2006−70210号公報(請求項5、請求項6) 特開2006−77063号公報 特開2007−277444号公報 特開2009−155517号公報 特開2006−28333号公報
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを持つ成形体を低コストで製造することができ、商業生産性を向上し得る繊維強化ポリ乳酸含有プロピレン系樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、有機繊維、酸変性ポリオレフィン系樹脂、およびエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含むポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物であって、その製造に当たり、特定の工程で有機繊維を配合することにより、十分に混練できて成形性が上がり、曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを有する成形体が得られ、その商業生産性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、成分(A):ポリプロピレン系樹脂、成分(B):ポリ乳酸系樹脂、成分(C):有機繊維、成分(D):酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂、成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂、および、必要に応じて成分(H):プロピレン系重合体を含み、且つ下記の工程(I)〜(IV)を経て製造されたことを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
工程(I):成分(B)、成分(E)を溶融混練する
工程(II):工程(I)で得られる組成物、成分(A)の一部、および成分(D)を溶融混練する
工程(III):工程(II)とは別途に、成分(A)の残部、および成分(C)を含む組成物を製造する
工程(IV):工程(II)で得られる組成物、工程(III)で得られる組成物、及び必要に応じて成分(H)とを混合又は溶融混練する
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、各成分の含有量が、樹脂組成物全体に対し、成分(A)7〜88.4重量%、成分(B)4〜40重量%、成分(C)7〜40重量%、成分(D)0.1〜3重量%、成分(E)0.5〜10重量%、および成分(H)0〜50重量%であることを特徴とする繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、成分(C)は、結晶融点(融点の観測されないものは軟化点)が200℃以上であるか、若しくは熱可塑性ではないことを特徴とする繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、成分(C)の引張強度が、5cN/dtex以上であることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、成分(B)が、L−乳酸又はD−乳酸を主成分とすることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、成分(D)の酸量が、無水マレイン酸換算で、0.05〜10重量%であることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、成分(E)が、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体であることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、成分(A)が、工程(II)において、成分(A)全量に対して10〜90重量%混合され、工程(III)において、成分(A)全量に対して90〜10重量%混合されることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明におけて、工程(II)において、成分(B)が、得られる溶融樹脂組成物全体に対し、50重量%を超えて混合されることを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1の発明において、工程(III)において、成分(C)が、得られる溶融樹脂組成物全体に対し、10重量%を超えて混合されることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第11の発明によれば、第1〜10の発明の何れかに係り、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物を成形してなる成形体が提供される。
本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物を用いれば、曲げ弾性率及び衝撃強度などの優れた物性バランスを持つ成形体を形成することができる。また、ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物、及び繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物をマスターバッチとして用いるので、プロピレン系重合体と希釈成形することができ、商業生産性を向上(成形体の製造コストを低減)できる。
本発明の成形体によれば、衝撃が加わっても破壊し難く、仮に破壊が起きても、シャープエッジにはならないため、人体に触れても切傷などの二次被害を引き起こすことがない。そのため自動車部品などの用途に好適に用いることができる。
以下、本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物及びその成形体について、項目ごとに詳細に説明する。
1.繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物の各成分
本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、成分(A):ポリプロピレン系樹脂、成分(B):ポリ乳酸系樹脂、成分(C):有機繊維、成分(D):酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂、成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂、および、必要に応じて成分(H):プロピレン系重合体を含み、且つ下記の工程(I)〜(IV)を経て製造されたことを特徴とする。
工程(I):成分(B)、成分(E)を溶融混練する
工程(II):工程(I)で得られる組成物、成分(A)の一部、および成分(D)を溶融混練する
工程(III):別途、成分(A)の残部、および成分(C)を含む組成物を製造する
工程(IV):工程(II)で得られる組成物、工程(III)で得られる組成物、及び必要に応じて成分(H)とを混合又は溶融混練する
(1)成分(A):ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いられる成分(A)ポリプロピレン系樹脂(以下、単に成分(A)ともいう。)は、特に限定するものではなく、公知のポリプロピレン系樹脂をいずれも使用できる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体およびランダム共重合体を含む)から選ばれる1種以上の結晶性ポリプロピレン、該結晶性ポリプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体との混合物が好ましい。上記共重合体としては、耐衝撃性プロピレン共重合体(ICP)、例えばプロピレン・エチレンブロック共重合体が挙げられる。
成分(A)は、製造方法によって限定されるものではなく、公知の方法、例えば高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合または液相塊状重合により製造されたものを用いることができる。また、重合方法としては、従来公知の方法を用いることができ、バッチ重合および連続重合のどちらの方式も採用することができる。
また、MFR(230℃、21.18N荷重)は、特に制限されるわけではないが、例えば、0.1g/10分以上であるものが好ましい。成分(A)は2種以上混合して使用してもよい。
本発明に用いられる成分(A)は、組成物の製造工程において分割して配合されるが、その含有量は、組成物全体を基準として、7重量%以上、好ましくは、12.7重量%以上、より好ましくは18.4重量%以上であり、かつ、88.4重量%以下、好ましくは、82.8重量%以下、より好ましくは77.2重量%以下である。この範囲内であれば、適切な物性バランスを取る事ができる。
(2)成分(B):ポリ乳酸系樹脂
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂(以下、単に成分(B)ともいう。)は、少なくとも乳酸類を原料として用いるものであれば特に限定されないが、乳酸単位を少なくとも50モル%以上、好ましくは75モル%以上含有する単独共重合体又は共重合体が好ましい。
この様な成分(B)は、乳酸の重縮合や乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって合成することができ、また、該重合体の性質を著しく損なわない範囲で、乳酸と共重合可能な他のモノマーを共重合させたものや、他の樹脂および添加剤などが混合された組成物でもよい。
乳酸と共重合可能なモノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、カプロン酸等)、脂肪族多価アルコール(例えば、ブタンジオール、エチレングリコール等)、および脂肪族多価カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸等)が挙げられる。
成分(B)が共重合体の場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれの様式でもよい。また、前記コポリマーは、少なくとも一部が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の二官能以上の多価アルコール;キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等の多価イソシアネート;セルロース、アセチルセルロース、エチルセルロース等の多糖類などが共重合されたものでもよい。さらに、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造などのいずれの構造をとってもよい。
成分(B)は、上記原料を直接脱水重縮合する方法、或いは、上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状二量体、例えばラクタイドやグリコライド、又はε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法により得られる。
上記原料を直接脱水重縮合して製造する場合、原料である乳酸類を、又は乳酸類とヒドロキシカルボン酸類とを、或いは、脂肪族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とを有機溶媒、好ましくはフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除いて実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合する。
成分(B)の重量平均分子量は、好ましくは5万〜100万、より好ましくは10万〜50万である。分子量が前記範囲であることにより、耐熱性、衝撃強度、成形性及び加工性が良好となる。
この様な成分(B)の中では、L−乳酸又はD−乳酸を主成分とするポリ乳酸が好ましい。ポリ乳酸として、L体又はD体の構成成分の単独比率が高くなると耐熱性等が向上する。そのため、L体又はD体の単独比率が、90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、最も好ましくは98モル%以上であることが望ましい。
また、成分(B)は2種以上混合して使用してもよい。
本発明に用いられる成分(B)の含有量は、組成物全体を基準として、4重量%以上、好ましくは、6重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、かつ、40重量%以下、好ましくは、38重量%以下、より好ましくは36重量%以下である。この範囲内であれば、容易に適切な物性バランスを取る事が出来、加えて環境対応した樹脂組成物といえる。
(3)成分(C):有機繊維
本発明に用いられる有機繊維(以下、単に成分(C)ともいう。)は、混練・成形過程において溶融せず繊維形態を保ち、組成物全体に一様に分散されることで、成形性を向上させ、補強性能を発現させる成分である。
成分(A)乃至成分(B)を主成分として含む本発明の組成物が、一般に190〜230℃程度で成形されることに鑑み、有機繊維の結晶融点(融点の観測されないものは軟化点)は200℃以上であるか、若しくは熱可塑性でないものである。結晶融点は、特に230℃以上、更には250℃以上であることが好ましい。
ここで、結晶融点は、例えば示差走査型熱量計(DSC)を用いて融解ピーク温度で求めることが出来る。また、軟化点は、例えば有機繊維が前記成形過程において溶融せず良好に分散される様に実質的に繊維状形態を保持出来る温度として定義され、試験荷重を変更するなど、ビカット軟化温度試験法に準ずる方法などで求めることが出来る。
成分(C)の例として、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ケナフ等の天然繊維などが挙げられ、これら複数を混合して使用しても良いし単独で使用しても良い。取扱加工性やコスト、供給安定性などを考慮すれば、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維が好適である。
有機繊維の繊維径は、特に限定されるわけではないが、太すぎると成形体の表面凹凸が目立つようになり好適な成形外観が得られず、一方、細すぎると十分な引張強度を得られないうえ、材料コストが非常に高くなる。これら事情より、有機繊維の単糸繊度は、1〜20dtex、特には2〜15dtex程度が好適である。
なお、単糸繊度は、例えば、サーチ株式会社製オートバイブロ式 繊度測定器(Denier Computer)を用い、測定試料長を50mm、荷重を測定試料の繊度(デニール換算値)×0.1gの条件下で測定試料に振動を加え、振動数が安定したことを確認した後、測定試料のフィラメント全数測定し評価することができる。
有機繊維の引張強度は、特に限定されるわけではないが、本発明の成形品が衝撃を受けて破壊するときに、有機繊維の引張強度が弱いと容易に有機繊維が破断し、好適な耐衝撃性を発現させることが出来ない。このため有機繊維の引張強度は、5cN/dtex以上、特には6cN/dtex以上であることが好適である。また、有機繊維の引張強度は、50cN/dtex以下、さらには30cN/dtex以下、特に10cN/dtex以下であるものが好ましい。高強度有機繊維としては、一般にタイヤコード、テント、シート、コンクリート補強繊維等の用途で市販されているものを好適に用いることが出来る。ここで、引張強度はJIS L1013に準拠して測定する値である。引張強度試験機としては、オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)などを使用することができる。
特にタイヤコード向け有機繊維には、ゴムマトリクスとの接着性を向上させる目的で極性樹脂を付着させているものがある。例えば有機繊維にエポキシ基を有する樹脂を付着させたもの、該繊維に更にゴムラテックス乃至イソシアネート化合物を付着させたもの等が提案されている(特開平7−3566号公報、特開平8−13346号公報、特開2001−19927号公報)。本発明には、こうした極性樹脂が付着した有機繊維も好適に用いることが出来る。
有機繊維の長さは、特に限定されるわけではないが、成形体において短すぎると分散した繊維が互いに絡み合わず、好適な耐衝撃性を発現させることが出来ない。一方、長すぎると成形原料としてのペレットが肥大化したり非常にアスペクト比がおおきくなったりして、成形機へ安定して連続供給することが困難になる。これら事情より、有機繊維の長さは、成形体において平均繊維長で4〜20mm、特には4〜10mmであることが好ましい。
一般に樹脂組成物の場合、ガラス繊維や炭素繊維等の硬質繊維を配合すると、得られる成形体の剛性を非常に高くすることが出来る。しかし、本発明では、該硬質繊維が混練・成形加工される間に容易に折損して、成形体中の残存繊維長が一般に高々1mm程度しか残らないため、成形体に好適な耐衝撃性を発現させることが困難であり、また折損した繊維の端面が成形体表面に突き出す等によって、表面外観の平滑性やシボ転写性が満足しない。
これら事情より該硬質繊維は、本発明の必須構成成分とはしないが、発明の本質を損なわない範囲で配合することを妨げるものではない。
本発明に用いられる成分(C)の含有量は、組成物全体を基準として、7重量%以上、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは13重量%以上であり、かつ、40重量%以下、好ましくは、37.5重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。この範囲内であれば、成形性、及び成形外観も良好であり、かつ製品化した場合もシャープエッジにならない。
(4)成分(D):酸変性ポリオレフィン系樹脂及び/又はヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィン系樹脂及び/又はヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂(以下単に成分(D)ともいう。)は、エポキシ基を含まない変性ポリオレフィンである。
この変性ポリオレフィンは、従来公知のものを用いることができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α‐オレフィン共重合体、エチレン・α‐オレフィン・非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン・芳香族モノビニル化合物・共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、マレイン酸又は無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸及び/又はヒドロキシ含有化合物を用いてグラフト共重合し、化学変性したものである。変性ポリオレフィンは2種以上混合して使用してもよい。
このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸又はその誘導体と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸又はその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有する化合物、及びこれとヒドロキシル基やアミノ基などの官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。好ましい不飽和カルボン酸の誘導体は、無水マレイン酸である。
一方、ヒドロキシ含有化合物としては、多価アルコール又は2価以上のヒドロキシル基とを有する多官能化合物である。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の二官能以上の多価アルコールが挙げられ、また、多官能化合物としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−へキサンジオールジメタクリレート、などのジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのOH基含有(メタ)アクリル酸誘導体;エチレングリコールメタクリレートホスフェート等のP含有(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、グラフト反応条件としては、有機過酸化物を、前記ポリオレフィン100重量部に対して0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態又は溶液状態で反応させる方法が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。
好ましい成分(D)としては、エチレン又は/及びプロピレンを主たるポリマー構成単位とするオレフィン系重合体に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレン又は/及びプロピレンを主体とするオレフィンと無水マレイン酸とを共重合することにより変性したもの、エチレン又は/及びプロピレンを主たるポリマー構成単位とするオレフィン系重合体を加熱切断させ、該切断末端に無水マレイン酸を化学結合させることにより変性したもの、等が挙げられる。
これらの成分(D)は2種以上混合して使用してもよい。
成分(D)を配合することで、成分(B)と成分(E)とからなる溶融混練組成物に対する樹脂の含浸性、密着性が十分なものとなるため、耐衝撃性が飛躍的に向上した組成物が得られる。
本発明に用いられる成分(D)の酸量(酸変性量)は、特に限定されないが、好ましくは無水マレイン酸換算の平均で0.05〜10重量%、好ましくは0.07〜5重量%である。酸量を上記範囲とすることで、過剰量の酸基が組成物全体の加工性を損ねたり脆性化して衝撃強度が著しく低下したりすることがない。
本発明に用いられる成分(D)の含有量は、組成物全体を基準として、0.1重量%以上、好ましくは、0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、かつ、3重量%以下、好ましくは、2.8重量%以下、より好ましくは2.6重量%以下である。この範囲内であれば、成分(B)と成分(E)とからなる溶融混練組成物に対する樹脂の含浸性、密着性が良好で耐衝撃性が飛躍的に向上した組成物が得られる。
(5)成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
本発明で用いられるエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂(以下単に成分(E)ともいう。)は、分子中にエポキシ基が導入されたポリオレフィンである。
この成分(E)は、エチレンまたは炭素数3〜20のα−オレフィンとエポキシ基含有単量体とに基づく構成単位からなるが、該成分(E)の性質を著しく損なわない範囲で、他のモノマーに基づく構成単位をごく少量、例えば5重量%以下の量で含有していてもよい。
この様な成分(E)は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンとエポキシ基含有単量体とを共重合させることによって製造できる。エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィン並びにエポキシ基含有単量体は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンの中では、エチレン及びプロピレンが好ましい。すなわち成分(E)としては、エポキシ変性ポリエチレン及びエポキシ変性ポリプロピレンが好ましい。
エポキシ基含有単量体としては、例えばα,β−不飽和酸のグリシジルエステルが挙げられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、下記一般式(1)(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジルなどであり、特にメタクリル酸グリシジルが好ましい。α,β−不飽和酸のグリシジルエステルに基づく構成単位の含量は、エポキシ基含有ポリオレフィン当たり、0〜50重量%、好ましくは3〜40重量%の範囲が適当である。
Figure 2011132478
エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンとエポキシ基含有単量体との共重合体には、さらに前記の酸変性ポリオレフィン系樹脂における酸に該当する酢酸ビニル、アクリル酸メチルなどの単量体が共重合体されてなる重合体もあるが、本発明においてはエポキシ基含有単量体が含まれている限り、エポキシ変性ポリオレフィンに分類されるものとする。
またエポキシ変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンをエポキシ基含有化合物でグラフトすることによっても製造できる。
市販品の例としては、住友化学株式会社製「ボンドファースト(登録商標)」等の名で市販されるエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA共重合体)が挙げられる。該共重合体中のGMA単位の含有量は、3〜15重量%程度である。
また、成分(E)は2種以上混合して使用してもよい。
本発明に用いられる成分(E)の含有量は、組成物全体を基準として、0.5重量%以上、好ましくは、1重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上であり、かつ、10重量%以下、好ましくは、9重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。この範囲内であれば、成分(B)のポリ乳酸系樹脂に対して、組成物中への相溶性を向上させることができる。
(6)成分(F):エラストマー
本発明では、エラストマー(以下、単に成分(F)ともいう。)を必要に応じ付加的に用いることができる。エラストマーを用いることで、とりわけ組成物全体の衝撃強度を向上させたり、延性的な破壊形態にすることで安全な壊れ方を発現させることができる。
成分(F)は、特に限定するものではなく、各種エラストマー、具体的には公知のエチレン系エラストマーやスチレン系エラストマーなどを使用できる。また、成分(F)は2種以上混合して使用してもよい。
エチレン系エラストマーとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーやエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどが挙げられる。
具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(エチレンプロピレンゴム;EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体エラストマー(EPDM)などが挙げられる。
これらのエチレン系エラストマーは、製造法によって特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体又はこれらの水素添加物を使用できる。好ましくは、ポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは7〜35重量%であり、Aセグメントの含有量が80重量%以内であれば、耐衝撃性は問題がない。なお、ポリスチレン構造単位の含有量は、赤外スペクトル分析法、13C−NMR法などの常法によって測定される値である。
エチレン・ブテン又はエチレン・プロピレン構造を示すBセグメントと共に、次の構造式(2)を構成するブロック共重合体を使用できる。
A−B 又は、 A−B−A (2)
具体例としては、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。該ブロック構造を有するエラストマー共重合体は、上記構造式(2)に示すようなトリブロック構造とジブロック構造の混合物であってもよい。これらのブロック共重合体は、一般的なアニオンリビング重合法で製造することができる。これには、逐次的にスチレン、ブタジエン、スチレンを重合しトリブロック体を製造した後に水添する方法(SEBSの製造方法)と、スチレン−ブタジエンのジブロック共重合体をはじめに製造した後、カップリング剤を用いてトリブロック体にした後に水添する方法がある。また、ブタジエンの代わりにイソプレンを用いることにより、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)も製造することができる。
これらの成分(F)の中では、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)及びスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)が好ましい。
本発明に必要に応じて用いられる成分(F)の含有量は、組成物全体を基準として、0重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜28重量%、より好ましくは2重量%〜26重量%である。成分(F)が30重量%以内であれば、組成物全体の剛性が著しく低下することがない。
(6)成分(G):フィラー
本発明では、フィラー(以下、単に成分(G)ともいう。)を必要に応じ付加的に用いることができる。フィラーを用いることで、とりわけ組成物全体の弾性率や強度、耐熱剛性といった機械物性を向上させたり、熱膨張係数や成形収縮を低下させたりすることができる。
成分(G)は、特に限定するものではなく、各種無機や有機の各種フィラーを使用できる。具体例としては、シリカ、ケイ藻土、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ワラストナイト、カーボンブラック、木粉、塩基性硫酸マグネシウム繊維(マグネシウムオキシサルフェート繊維)、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維などが挙げられる。また、成分(G)は2種以上混合して使用してもよい。
これらのなかで、タルク、ガラス繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維(マグネシウムオキシサルフェート繊維)が好ましく、なかでもタルクが、物性バランス、経済性などのバランスに優れ、より好ましい。
これら成分(G)は、製造法によって特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
本発明に必要に応じて用いられる成分(G)の含有量は、組成物全体を基準として、0重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜28重量%、より好ましくは2重量%〜26重量%である。成分(G)が30重量%以内であれば、組成物全体の剛性が強化され、衝撃強度が著しく低下せず、成形品外観の凹凸が激しくなることもない。
(7)任意成分
本発明では、上記の成分(A)〜成分(G)に加えて、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内で、それ以外の任意成分が配合されていてもよい。この任意成分としては、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・タルク等の各種造核剤、分散剤、中和剤、発泡剤、金属不活性化剤、滑剤、難燃剤、熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
任意成分は、後述するいずれの工程で配合されてもよい。
ここで熱可塑性樹脂は、成分(A)〜成分(G)以外の熱可塑性樹脂であり、プロピレン系重合体が好ましい(以下、成分(H)ともいう)。
プロピレン系重合体とは、前記成分(A)ポリプロピレン系樹脂と同様に、特に限定するものではなく、公知のポリプロピレン系樹脂をいずれも使用できる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体及びプロピレン・α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体およびランダム共重合体を含む)から選ばれる1種以上の結晶性ポリプロピレン、又は該結晶性ポリプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体との混合物が好ましい。上記共重合体としては、耐衝撃性プロピレン共重合体(ICP)、例えばプロピレン・エチレンブロック共重合体よりもプロピレン単独重合体の方が好ましい。
成分(H)の製造方法は、特に限定するものではなく、公知の方法、例えば高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合または液相塊状重合により製造されたものを用いることができる。また、重合方法としては、従来公知の方法を用いることができ、バッチ重合および連続重合のどちらの方式も採用することができる。
また、成分(H)は2種以上混合して使用してもよい。
2.繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物の製造方法
本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、各成分を所定の比率で複合化することにより製造することができる。具体的には単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール練機などの従来公知の溶融混練装置を用いて複合化されるが、工業的な経済性などを考慮する場合、2軸押出機が最も好ましく使用される。
本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、下記工程(I)〜(IV)からなる製造方法により得ることが好ましい。
工程(I):成分(B)、成分(E)を溶融混練する
工程(II):工程(I)で得られる組成物、成分(A)の一部、および成分(D)を溶融混練する
工程(III):工程(II)とは別途に、成分(A)の残部、および成分(C)を含む組成物を製造する
工程(IV):工程(II)で得られる組成物、工程(III)で得られる組成物、及び必要に応じて成分(H)とを混合又は溶融混練する
本発明のマスターバッチは、上記した各成分を、樹脂組成物全体に対し、成分(A)7〜88.4重量%、成分(B)4〜40重量%、成分(C)7〜40重量%、成分(D)0.1〜3重量%、成分(E)0.5〜10重量%、および成分(H)0〜50重量%の配合比率で配合する。
(1)工程(I)と工程(II)
本発明において、樹脂組成物のマスターバッチは、まず、下記工程(I)と、工程(I)に次ぐ工程(II)とからなる混練工程を経て製造される。
工程(I)は、成分(B)ポリ乳酸系樹脂と、成分(E)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂とを溶融混練する工程であり、工程(II)は、前記工程(I)の生成物と、成分(A)ポリプロピレン系樹脂と、成分(D)酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じ、成分(F)エラストマー又は/及び成分(G)フィラーとを溶融混練する工程である。
ここで、工程(I)においては、成分(B)と成分(E)を混練するのであって、成分(A)の不存在下で行う事が好ましい。若し成分(A)が存在すると、成分(A)が混練効果を損なうことがあるからである。これにより、成分(B)ポリ乳酸系樹脂と、成分(E)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂との樹脂組成物を得る。
次に、工程(II)において、前記工程(I)の生成物と、成分(A)ポリプロピレン系樹脂と、成分(D)酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じ、成分(F)エラストマー又は/及び成分(G)フィラーとを溶融混練する。成分(A)は、工程(III)においても使用されるが、この工程(II)においては、成分(A)全体の10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%である。
必要に応じ、成分(F)を溶融混練する場合は、必ず工程(II)にて行う必要がある。何故なら成分(F)を工程(I)にて成分(B)及び成分(E)などと溶融混練すると、工程(II)にて成分(F)を溶融混練する場合に較べ、本発明のマスターバッチ及びプロピレン系樹脂組成物の物性、特に衝撃性が低下することがあるからである。又、成分(G)に関しては、基本的に工程(II)にて添加することが好ましいが、工程(I)にて溶融混練することもできる。なお、その他の任意成分は、工程(I)及び工程(II)のどちらの段階で添加しても構わない。
各成分は、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、撹拌(羽根)ミキサー、ロール練機、ニーダーなどの従来公知の溶融混練装置を用いて複合化する。工業的な経済性などを考慮する場合、2軸押出機が最も好ましく使用される。2軸押出機としては、例えば、日本製鋼所社製のTEX30αを用いることができる。
工程(I)と工程(II)とは、断続的に行ってもよいが、マスターバッチの製造効率性(商業生産性)をより向上させるなどの点から、連続的に行う方法が好ましい。例えば単一の押出機の前段で成分(B)と成分(E)を溶融混練(すなわち工程(I))し、連続して、サイドフィードで成分(A)、成分(D)、必要に応じ、成分(F)又は/及び成分(G)を供給添加して、後段で溶融混練(すなわち工程(II))してマスターバッチを得ることができる。
又、工程(I)として、前記のサイドフィードして溶融混練する代わりに、予め、押出機に付帯する補助押出機にて成分(B)と成分(E)を溶融混練し、工程(II)として、その溶融混練物を主体押出機へ、成分(A)、成分(D)、必要に応じ、成分(F)又は/及び成分(G)とともに供給して、溶融混練する方法にて行う方法が挙げられる。この方法によれば、本発明のマスターバッチ及びプロピレン系樹脂組成物の物性バランスをより向上させることができる。
ここで、単一の押出機全体を使って一旦、工程(I)を行った(成分(B)と成分(E)を混練)後、該混練物と、成分(A)、成分(D)、必要に応じ、成分(F)又は/及び成分(G)を、再び同一の押出機に前段から供給することにより、工程(II)を行う方法(すなわち前記の断続的に行う方法の一つ)とすれば、本発明のマスターバッチ及びプロピレン系樹脂組成物の物性バランスを向上させることができるが、前記の連続的に行う方法に較べると、マスターバッチの製造効率性(商業生産性)は、やや劣る。
なお、単一の押出機全体を使って、工程(I)で用いる成分(B)と成分(E)、工程(II)で用いる成分(A)と成分(D)、必要に応じて用いる成分(F)又は/及び成分(G)、その他添加剤など、すなわち、本発明のマスターバッチ製造に必要な全成分を、一括して単一工程のみで溶融混練すると、本発明のマスターバッチ及びプロピレン系樹脂組成物の物性バランスを低下させるので好ましくない。
工程(I)及び工程(II)では、溶融混練の際、樹脂温度を240℃以下にすることが好ましい。樹脂温度は、200℃以下がより好ましく、185℃以下がさらに好ましい。樹脂温度が上記範囲内であると、マスターバッチ中のポリ乳酸系樹脂の配向が抑えられることなどにより、本発明のマスターバッチ及びプロピレン系樹脂組成物の高速面衝撃強度などの物性が低下するのを防ぐことができる。
これにより得られるマスターバッチの形状は、特に限定するものでない。他材料との混合・混練時の作業・加工性などから、通常はペレット状とするが、顆粒状、粉末状などであってもよい。なお、該マスターバッチは、必要に応じ、他の材料で希釈することなく、マスターバッチ単独で直接成形体にすることもできる。
(2)工程(III)
工程(III)は、前記工程(II)とは別途に、成分(A):ポリプロピレン系樹脂と成分(C):有機繊維を混合し、成分(C):有機繊維が可塑化しない温度範囲で繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを製造する工程である。
この工程(III)では、成分(A)と成分(C)を混合し、ペレット化する。成分(A)は、前記工程(II)においても使用されるが、この工程(III)においては、成分(A)全体の10〜90重量%、好ましくは20〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%とする。
成分(C)としては、チョップド繊維を用いて溶融混練してもよいし、ロービング繊維を用いて、一般にガラス繊維強化熱可塑性樹脂等で実用化されているプルトルージョン法と呼ばれる引抜き成形法により製造してもよい。すなわち成分(C)は、そのままで用いてもよいし、有機繊維がポリプロピレン系樹脂中にランダムに絡まりあうように分散しているコンパウンドペレットにしたり、一般にガラス繊維強化熱可塑性樹脂等で実用化されているプルトルージョン法と呼ばれる引抜き成形法により得られる繊維一軸配向ペレットにして用いても良い。また、ペレットの形状としては、球状、円柱状、角柱状、板状、さいころ状などが挙げられる。ただし、いずれのペレット形態においても、有機繊維の長さを前記のとおりとするために、長さ方向に4〜20mm、特には4〜10mmであるものが好ましい。
繊維一軸配向ペレットであれば、例えば、連続した有機長繊維を繊維ラックからクロスヘッドダイを通して引きながら、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む溶融樹脂で含浸する方法が採用される。具体的には、ポリプロピレン系樹脂に必要に応じて成分(D)の酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂を加え、有機繊維をクロスヘッドダイに通して引き抜きながら、ポリプロピレン系樹脂を押出機から溶融状態でクロスヘッドダイに供給し、有機繊維にポリプロピレン系樹脂を含浸被覆させ、溶融含浸物を加熱し、冷却後、引き抜き方向と直角に切断する。この方法によれば、有機繊維の損傷を起こすことなく、得られるペレットの長さ方向に有機繊維が同一長さで平行配列しているペレットが得られる。
工程(III)において、成分(C)が可塑化しないよう温度制御するために、有機繊維が供される部位の加工温度の下限は160℃以上とすることが好適である。加工温度の上限は、有機繊維の融点(融点の無いものについては軟化点)が320℃以下の場合は、それより20℃低い温度以下、該融点が320℃以上の場合及び有機繊維が加熱しても溶融可塑化しない場合は300℃以下が好適である。いずれの有機繊維を選択した場合でも、オレフィン系樹脂が著しく熱分解劣化し、引火または発火することがない範囲内で、加工温度をできるだけ高温にすることが好ましく、これによりマトリクスとなる成分(A)の溶融粘度が低下して、成分(C)の束内に十分含浸することができるようになる。
(3)工程(IV)
次に、工程(IV)として、上記工程(II)で得られたポリ乳酸含有樹脂組成物と工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物を混合し、溶融混練して本発明の繊維強化ポリ乳酸含有プロピレン系樹脂組成物を製造する。これら樹脂組成物としては、特に制限されず、いわゆるマスターバッチとして用いて、所望の割合で混練造粒したペレットや、それぞれのペレットを所望の割合で混合(希釈)した混合ペレット、いわゆるマスターバッチとしたもの等を使用できる。
このうち、工程(II)で得られたポリ乳酸含有樹脂組成物と工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物をマスターバッチとして用いる混合ペレット組成物が、より広範囲な物性バランスの発現、より広範囲な用途分野への応用が大きいという点で好ましい。この場合、工程(II)で得られたポリ乳酸含有樹脂組成物のペレット(すなわちマスターバッチ)と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物のペレット(すなわちマスターバッチ)のペレットとの混合比率は、1/9〜9/1が好ましく、1/9〜4/6がより好ましく、2/8〜5/5がさらに好ましい。
また、本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物では、さらに成分(H):プロピレン系重合体を、混合又は混練することができる。比較的廉価である成分(H)にて、工程(II)で得られたポリ乳酸含有樹脂組成物と工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物を希釈することで、より広範囲な物性バランスの発現、より広範囲な用途分野への応用及びコストダウンを可能とすることができる。
なお、ここで言う成分(H):プロピレン系重合体とは、本発明に用いられる成分(A):ポリプロピレン系樹脂と同様、特に限定するものではなく、公知のポリプロピレン系樹脂をいずれも使用できる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体及びプロピレン・α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体およびランダム共重合体を含む)から選ばれる1種以上の結晶性ポリプロピレン、又は該結晶性ポリプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体との混合物が好ましい。上記共重合体としては、耐衝撃性プロピレン共重合体(ICP)、例えばプロピレン・エチレンブロック共重合体よりもプロピレン単独重合体の方が好ましい。
また、MFR(230℃、21.18N荷重)は、特に制限されるわけではないが、例えば、0.1g/10分以上であるものが好ましい。
この繊維強化ポリ乳酸含有プロピレン系樹脂組成物の形態としては、例えば、工程(IV)で得られた繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物と成分(H)とを、所望の割合で混練造粒したペレットや、それぞれのペレットを所望の割合で混合(希釈)した混合ペレットいわゆるマスターバッチ等が挙げられる。また、本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、工程(II)で得られたポリ乳酸含有樹脂組成物と工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物をいわゆるマスターバッチとして用いて、成分(H):プロピレン系重合体とを所望の割合で混合(希釈)した混合ペレット組成物等も挙げられる。
この工程(IV)で繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物と成分(H)とをそれぞれペレットで用意し、所望の割合で混合した混合ペレットとすることが、ペレット製品グレードの種類が増加するのを抑制でき、単一材料の大量生産によるコストを低減でき、迅速に供給できるなどのメリットが得られることから好ましい。
この場合、工程(IV)における繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物のペレット(すなわちマスターバッチ)のペレットと成分(H)との混合比率は、5/95〜95/5が好ましく、40/60〜95/5がより好ましく、45/55〜90/10がさらに好ましい。
3.成形体
本発明の組成物は、公知の各種方法により成形して、種々の用途にあった成形体とすることができる。すなわち、例えば射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形することによって各種成形体を得ることができる。このうち、射出成形、射出圧縮成形、押出成形がより好ましい。
また、本発明の成形体は、植物由来成分を含み、物性のバランス、短冊折り曲げ性に優れ、コストダウン性も有する樹脂組成物を用いる為、年々使用量が増大している各種工業部品分野、特に薄肉化、高機能化、大型化された各種成形体、例えば、インストルメントパネル、トリム、バンパー、ガーニッシュ材等の自動車用内外装部材等、テレビケース等の家電機器部品等の成形材料として、実用性能を有している。又、該樹脂組成物は熱可塑性樹脂であるため、繰り返し使用することが可能である。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
なお、実施例に於ける各種物性の測定は、下記要領に従った。
[測定方法]
(1)曲げ弾性率
JIS−K7171に準拠し、測定雰囲気温度23℃において曲げ速度2mm/分で測定した。
(2)シャルピー衝撃試験(ノッチ付)
JIS−K7111に準拠し、測定雰囲気温度23℃で測定した。
(3)高速衝撃試験(ハイレート、HRIT(破断エネルギー))
試験機:サーボパルサ高速衝撃試験機 EHF−2H−20L形−恒温槽付き(島津製作所製)
試験片の形状:シート(120mm×120mm×2mmt)
試験片の作成方法:型締め圧170トンの射出成形機を使用し、成形温度200℃にて成形した。
試験方法:支持台(穴径3インチ)上に設置した試験片に荷重センサーであるダート(径1/2インチ)を1m/秒の速度で衝突させ、試験片の衝撃荷重における変形破壊挙動を測定し、得られた衝撃パターンにおける亀裂発生点までにおいて吸収された衝撃エネルギーを算出し、材料の衝撃強度とした。
なお、測定雰囲気温度は、23℃であった。
(4)破壊形態
シャープエッジ性として高速衝撃試験時のサンプルの破壊形態を確認した。
○:ダート衝撃部が、貫通するがシャープエッジはない
△:ダート衝撃部が、貫通しエッジはあるが、試験片は飛び散らない
×:ダート衝撃部が、貫通し試験片が完全に飛び散る
[使用材料]
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
チーグラー系触媒で重合され、エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の成分(A)全体に対する割合が7.4重量%、成分(A)全体のMFR(230℃、21.18N荷重)が105g/10分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体。
成分(B):ポリ乳酸系樹脂
MFR(190℃、21.18N荷重)が3g/10分であるユニチカ(株)製「TP−4000」
成分(C):有機繊維:PET長繊維
結晶融点265℃、単糸繊度6.68dtex、引張強度7cN/dtexの、帝人ファイバー(株)製PETマルチフィラメント
成分(D):無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び/又はヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂
無水マレイン酸グラフト率が、0.8重量%の無水マレイン酸変性ポリオレフィンであるアルケマ社製「OREVAC CA100」
成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂
エチレン−グリシジルメタクリレート(GMA)が12重量%である住友化学(株)製「ボンドファーストE」
成分(F):エラストマー
成分(F−1):SEBS=スチレン系エラストマー(S/EB比=13/87、MFR=11g/10分)
成分(F−2):EBR=エチレン・ブテン共重合体エラストマー(ブテン量=32重量%、MFR=1g/10分)
成分(H):プロピレン系重合体
ポリプロピレン(日本ポリケム(株)製ノバテックPP BC03B(MFR=30g/10分)
(実施例1)
同方向回転2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)を用いて、工程(I)として、スクリュー回転数300rpmにて、設定温度を180℃で押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05重量部で溶融混練した。
また、工程(II)として、混練機後段で成分(A)30重量%と、成分(D)3重量%を配合した混合物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製Irgafos168)0.05重量部をブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
次に、工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズし、長さ10mmのポリエチレンテレフタレート繊維を含む繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
その後、工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)17重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)30重量%と、成分(D)3重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
また、工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
さらに、工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物67重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)15重量%と、成分(D)3重量%、及び成分(F−1)15重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
また、工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)17重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)15重量%と、成分(D)3重量%、及び成分(F−1)15重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物15重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)35重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)30重量%と、成分(D)3重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物20重量%、及び成分(H)47重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)8重量%と、成分(D)10重量%、及び成分(F−1)15重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)17重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1と同様の製造手法で実施し、工程(I)として、押出機前段から、成分(A)30重量%と、成分(D)3重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)17重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)64重量%を100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)33重量%と、成分(D)3重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(III)として、工程(I)同様、同方向回転2軸押出機(日本製鋼所(株)製TEX30)にて成分(A)を溶融可塑化し、押出機先端に接続した含浸槽を有する設定温度220℃にしたクロスヘッドダイに、成分(C)を導入し、プルトルージョン法にて溶融PPを連続有機繊維に含浸被覆させた。このとき成分(A)と成分(C)の重量比が60/40となるよう、PPの吐出量とストランド引取速度を調節した。引き取ったストランドはカット長10mmでペレタイズした。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物31重量%と、工程(III)で得られた繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物50重量%、及び成分(H)19重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例1と同様の製造手法で、工程(I)として、押出機前段から、成分(B)60重量%と、成分(E)7重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加して溶融混練し、工程(II)として、混練機後段で成分(A)15重量%と、成分(D)3重量%、及び成分(F−2)15重量%を配合した混合物100重量部に対して実施例1と同様処方で安定剤を添加してブレンドし、途中フィードし溶融混練する事で、ポリ乳酸含有樹脂組成物を得た。
工程(IV)として、工程(II)で得られたポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物33重量%と、成分(H)67重量%をドライブレンドし、金型温度40℃、シリンダ温度200℃の条件で射出成形し、繊維強化ポリ乳酸含有ポリプロピレン樹脂組成物の各種試験片とした。得られた試験片を用いて、上述の方法により、各種物性を評価した。結果を表1に示した。
Figure 2011132478
[評価]
上記表1より明らかな様に、本発明の必須構成要件を満たす実施例1〜5の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、曲げ弾性率、シャルピー衝撃、高速面衝撃強度、破壊形態ともに改良されている。
一方、比較例1〜4に示す繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、これらの性能バランスが不良で見劣りしている。例えば、成分(D)の添加量が上限を超えた比較例1の場合、曲げ弾性率、衝撃強度は良好であるが、高速面衝撃強度、及び破壊形態が実施例3と著しく差異が生じた。これは、成分(D)が本発明の要件を満たすことが必須であることを示している。
同様に、工程(I)と工程(II)を逆に実施した比較例2においては、曲げ弾性率、衝撃強度は良好であるが、破壊形態が実施例1と著しい差異が生じた。これは、製造工程が本発明の要件を満たすことが必須であることを示している。
また、成分(E)を配合しない比較例3においては、曲げ弾性率、衝撃強度は良好であるが、高速面衝撃強度が実施例1と著しい差異が生じた。これは、成分(E)が本発明の要件を満たすことが必須であることを示している。
また、成分(C)を配合しない比較例4においては、曲げ弾性率、衝撃強度、及び破壊形態が実施例3と著しい差異が生じた。これは、成分(C)が本発明の要件を満たすことが必須であることを示している。
また、本発明の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物は、植物由来成分を含み、物性のバランス、短冊折り曲げ性に優れた樹脂組成物であり、コストダウンも図れる為、年々使用量が増大している各種工業部品分野に適用できる。特に薄肉化、高機能化、大型化された各種成形体、例えば、インストルメントパネル、トリム、バンパー、ガーニッシュ材等の自動車用内外装部材等、テレビケース等の家電機器部品等の成形材料として、実用に十分な性能を有している。又、該樹脂組成物は、熱可塑性樹脂であるため繰り返し使用が可能で、マテリアルリサイクルに適した材料といえ、地球環境保護の為のリサイクル運動を推進していく上で、工業的価値は大きい。

Claims (11)

  1. 成分(A):ポリプロピレン系樹脂、成分(B):ポリ乳酸系樹脂、成分(C):有機繊維、成分(D):酸変性ポリオレフィン系樹脂又は/及びヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂、成分(E):エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂、および、必要に応じて成分(H):プロピレン系重合体を含み、且つ下記の工程(I)〜(IV)を経て製造されたことを特徴とする、繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
    工程(I):成分(B)、成分(E)を溶融混練する
    工程(II):工程(I)で得られる組成物、成分(A)の一部、および成分(D)を溶融混練する
    工程(III):工程(II)とは別途に、成分(A)の残部、および成分(C)を含む組成物を製造する
    工程(IV):工程(II)で得られる組成物、工程(III)で得られる組成物、及び必要に応じて成分(H)とを混合又は溶融混練する
  2. 各成分の含有量が、樹脂組成物全体に対し、成分(A)7〜88.4重量%、成分(B)4〜40重量%、成分(C)7〜40重量%、成分(D)0.1〜3重量%、成分(E)0.5〜10重量%、および成分(H)0〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  3. 成分(C)は、結晶融点(融点の観測されないものは軟化点)が200℃以上であるか、若しくは熱可塑性ではないことを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  4. 成分(C)の引張強度が、5cN/dtex以上であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  5. 成分(B)が、L−乳酸又はD−乳酸を主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  6. 成分(D)の酸量が、無水マレイン酸換算で、0.05〜10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  7. 成分(E)が、エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  8. 成分(A)の混合量が、工程(II)において、成分(A)全量に対して10〜90重量%であり、工程(III)において、成分(A)全量に対して90〜10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  9. 工程(II)において、成分(B)が、得られる溶融樹脂組成物全体に対し、50重量%を超えて混合されることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  10. 工程(III)において、成分(C)が、得られる溶融樹脂組成物全体に対し、10重量%を超えて混合されることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物を成形してなる成形体。
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