JP2008031274A - 耐衝撃性に優れた有機繊維補強樹脂成型品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性と強度バランス及び外観品位に優れ、軽量で且つサーマルリサイクルが容易な車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適である氷点下で使用する有機繊維補強樹脂成型品を提供する。
【解決手段】有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用いた成型品であって、ISO179に準じた−30℃環境下のシャルピー衝撃値が23℃常温時のシャルピー衝撃値の45%以上であり、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上である有機繊維補強樹脂成型品。
【選択図】なし
【解決手段】有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用いた成型品であって、ISO179に準じた−30℃環境下のシャルピー衝撃値が23℃常温時のシャルピー衝撃値の45%以上であり、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上である有機繊維補強樹脂成型品。
【選択図】なし
Description
本発明は有機繊維補強樹脂成形品に関するものである。更に詳しくは常温だけでなく、低温環境下でも耐衝撃性に優れており、成型品が割れ難い有機繊維補強樹脂成形品に関するものである。低温環境下でも品質を保持するため、車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品に関するものである。
従来、耐衝撃性を向上させる方法としてガラス繊維補強樹脂を使用する方法が知られている。確かに耐衝撃性は向上するが、近年、ガラス繊維で補強した繊維補強樹脂の廃棄が問題となってきている。ガラス繊維補強樹脂はリサイクル、特にサーマルリサイクルを行った場合、ガラス繊維のアッシュ(灰)が産業廃棄物として残るという問題があり、この様な問題を解決するためにガラス繊維を有機繊維で代替しようとする試みがなされている。
特許文献1には、ポリオレフィンと有機繊維および無機繊維から構成される長繊維含有樹脂組成物が開示されている。有機繊維と無機繊維を組み合わせることによって高い機械的強度及び弾性率を有し、耐衝撃性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることが出来るとしている。しかし前述のように無機繊維を含有していることからその廃棄は難しく、サーマルリサイクル後も無機繊維のアッシュが残る。
特許文献2などには、融点が170℃以下のポリオレフィンと無機フィラーの混合物に融点が200℃以上の合成繊維を二軸混練したポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。この発明によれば、例えば板状の無機フィラーをポリオレフィンに添加した後に有機繊維を添加することによって、寸法安定性、表面平滑性、剛性及び硬度を低下させずに、衝撃強度と剛性を向上させる事が出来るとしている。しかしながら水酸化物やクレーなどの無機フィラーを添加するため、アッシュが残る問題は依然解決されていない。
特許文献1には、ポリオレフィンと有機繊維および無機繊維から構成される長繊維含有樹脂組成物が開示されている。有機繊維と無機繊維を組み合わせることによって高い機械的強度及び弾性率を有し、耐衝撃性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることが出来るとしている。しかし前述のように無機繊維を含有していることからその廃棄は難しく、サーマルリサイクル後も無機繊維のアッシュが残る。
特許文献2などには、融点が170℃以下のポリオレフィンと無機フィラーの混合物に融点が200℃以上の合成繊維を二軸混練したポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。この発明によれば、例えば板状の無機フィラーをポリオレフィンに添加した後に有機繊維を添加することによって、寸法安定性、表面平滑性、剛性及び硬度を低下させずに、衝撃強度と剛性を向上させる事が出来るとしている。しかしながら水酸化物やクレーなどの無機フィラーを添加するため、アッシュが残る問題は依然解決されていない。
別の方法として、繊維補強樹脂を使用せずに耐衝撃性を上げる場合、エラストマー樹脂を混合したり、ポリプロピレン樹脂ではブロックコポリマーを使用したりする方法がある。確かに常温では耐衝撃性向上に効果はみられるが、寒冷場所においては、著しく耐衝撃性が低下する。そのため用途が極端に限定されてしまう問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、常温だけでなく、低温環境下でも耐衝撃性に優れ、サーマルリサイクルを行っても無機物のアッシュが残ることが少なく、強靱、高剛性で外観品位の優れた有機繊維補強樹脂成形品を提供することにある。更に詳しくは低温下でも耐衝撃性等の物理特性に優れ、低コストで且つサーマルリサイクルが容易で、ガラス繊維補強樹脂成形品分野への置換えが可能な、車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品を提供することにある。
即ち、本発明は下記の構成からなる。
1.有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用いた成型品であって、ISO179に準じた−30℃環境下のシャルピー衝撃値が23℃常温時のシャルピー衝撃値の45%以上であり、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上である有機繊維補強樹脂成型品。
2.使用する有機繊維補強樹脂ペレットが、有機繊維(A)と樹脂(B)とからなり、有機繊維(A)が融点220℃以上のポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリフェニレンサルファイド繊維であることを特徴とする上記1に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
3.樹脂(B)が融点190℃以下のオレフィン系樹脂、ポリ乳酸樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記2に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
1.有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用いた成型品であって、ISO179に準じた−30℃環境下のシャルピー衝撃値が23℃常温時のシャルピー衝撃値の45%以上であり、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上である有機繊維補強樹脂成型品。
2.使用する有機繊維補強樹脂ペレットが、有機繊維(A)と樹脂(B)とからなり、有機繊維(A)が融点220℃以上のポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリフェニレンサルファイド繊維であることを特徴とする上記1に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
3.樹脂(B)が融点190℃以下のオレフィン系樹脂、ポリ乳酸樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする上記2に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
本発明の有機繊維補強樹脂成形品によれば、常温だけでなく、低温環境下でも耐衝撃性、強度バランス及び外観品位に優れ、軽量且つサーマルリサイクルが容易な車両特に、自動車用部品、建築・土木、機械部品、電子部品など、さらに詳しくは冷凍・冷蔵用運搬パレット、コンテナ、保温カバー、雨樋、コネクター、コンクリート型枠、コンプレッサ用羽根、コンポジツト圧力容器、シート搬送用転動体、スキー用キャップ、フェンダー、自動車用インストルメントパネル、自動車用ドアパネル、自動車用バンパー、パイプジョイント、巾木、パラボラアンテナディッシュ、バリア性容器、ドアノブ、プロペラファン、収納用ボックス、窓枠、ルーフレール、ワイパーアーム、椅子等の脚体、管状体、吸遮音材、光ケーブル用スペーサ、光ファイバコード、自動車用エアディフレクター、車止め、ホイールカバー、塗装室用内装板材、電気音響変換器用フレーム、把手部材、複合建材、防水パン、免震構造体に好適である有機繊維補強樹脂成形品を得ることが出来る。
以下、本発明を詳述する。
本発明でいう有機繊維(A)とは、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの有機繊維をいい、より好ましくは融点が220℃以上のポリエステル系繊維、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート繊維や、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、等をいう。ポリエチレンテレフタレート繊維は製造方法が確立されており、コスト、性能の両面から最も好ましい。
有機繊維には、耐候性の改善を目的として、耐加水分解性防止剤、耐熱老化防止剤や紫外線劣化防止剤などの添加がより好ましい。
本発明でいう有機繊維(A)とは、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維などの有機繊維をいい、より好ましくは融点が220℃以上のポリエステル系繊維、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート繊維や、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、等をいう。ポリエチレンテレフタレート繊維は製造方法が確立されており、コスト、性能の両面から最も好ましい。
有機繊維には、耐候性の改善を目的として、耐加水分解性防止剤、耐熱老化防止剤や紫外線劣化防止剤などの添加がより好ましい。
本発明でいう樹脂(B)とは、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂など汎用のエンジニアリングプラスチックをいうが、再ペレタイズ後のリユース時の物性保持率や、サーマルリサイクル時に炉を傷めないことから、融点が190℃以下のポリオレフィン系樹脂がより好ましく、コストパフォーマンスに優れるポリプロピレン樹脂が更に好ましい。一方、繊維強化樹脂の強度を高くするためには、繊維との接着性が高い方が好ましく、繊維を構成する有機繊維(A)がポリエステル系樹脂の場合、相溶性を考慮すれば、樹脂(B)はポリエステル系樹脂が好ましく、ポリ乳酸樹脂や共重合ポリエステル樹脂がその中でもより好ましい。
樹脂には、上記有機繊維と同様に耐紫外線劣化防止剤や、耐熱老化防止剤などが添加されていることが好ましい。また外観的に顔料などが添加されていても何ら問題はない。そして、補強繊維との接着性を改善する意味で酸変性処理などが施されていても何ら問題はない。
これらの有機繊維(A)および樹脂(B)は、工程の煩雑さを避けるために通常1種ずつ用いられるが、所望の物性を得る等の目的で2種以上を組合せて用いたとしても、本発明の目的を達成できる範囲のものであればなんら問題はない。
有機繊維(A)の融点は150℃以上であり、樹脂(B)の融点よりも30℃以上高いことが好ましい。有機繊維(A)の融点が150℃未満、若しくは樹脂(B)の融点より30℃未満しか高くない場合、成形時の熱の影響を強く受け補強効果が低くなりやすく好ましくない。好ましい範囲としては200℃以上、より好ましくは220℃以上350℃以下であり、更に樹脂(B)の融点より50℃以上高いことがより望ましい。なお、ここで言う融点とは公知の差動走査型熱量計(DSC)を用い測定した値をいう。
また、有機繊維(A)の単糸繊度は0.1〜20dtexであることが好ましい。成形品補強効果は、補強有機繊維(A)の樹脂(B)中からの引抜き剪断抵抗に依存する部分が大きいため、単糸繊度は均一分散性が得られる範囲内で細い方が望ましい。0.1dtex未満である場合、製造が難しく且つ均一分散性が得られにくくなるので好ましくない。逆に20dtexを越える場合、分散性は良好となるが補強効果が低くなるので好ましくない。より好ましい範囲は0.3〜14dtex、更に好ましい範囲は0.5〜8dtexである。
有機繊維(A)のトータル繊度は2,000〜700,000dtexであることが好ましい。トータル繊度が2000dtex未満である場合、ペレット状とした際の厚みが不十分でありホッパー詰りを起こしやすく好ましくない。逆に700,000dtexを越える場合にも取扱い性が悪くなるので好ましくない。より好ましい範囲は4,000〜500,000dtex、更に好ましい範囲は6,000〜300,000dtexである。
有機繊維(A)と樹脂(B)との質量比は、1:19〜9:1であることが好ましい。有機繊維(A)の比率がこれ未満であると生産性が非常に悪く好ましくなく、逆にこの範囲を超える場合には樹脂(B)成分の融着による接着力が弱くなり好ましくない。よってより好ましい範囲は1:9〜8:2、更に好ましい範囲は3:17〜7:3である。なお、質量比の算出方法に関しては、断面写真の観測結果と原料比重より算出される値を用いる。
また、有機繊維(A)は、総表面積の65%以上が樹脂(B)と接触していることが望ましい。本発明において成形品の補強効果は、補強有機繊維(A)の樹脂(B)中からの引抜き剪断抵抗に依存する部分が大きいため、単糸自体が有する総表面積およびその総表面積中、どれだけ樹脂(B)と接触した状態にあるかが重要となる。接触面積が65%未満である場合、十分な引抜き剪断抵抗が得られにくく好ましくない。より好ましい範囲は75%以上、更に好ましい範囲は85%以上である。接触面積は100%に近い事が望ましいが、95%以上であれば、ほぼ有機繊維混入による効果が最大限に発揮され得る。
尚、ここで云う接触面積とは断面写真を撮って観測される値を用いる。
尚、ここで云う接触面積とは断面写真を撮って観測される値を用いる。
有機繊維補強樹脂ペレットは補強繊維の繊維軸に垂直な方向への分散性が優れていることが望ましい。従来の含浸タイプの繊維補強樹脂ペレットのように中心付近に繊維が集中した場合、繊維同士が絡まりやすくなり、成型品内の繊維の分散性が悪くなり、表面に繊維が露出し、外観が悪化する。また繊維同士が絡まりやすくなるため、衝撃値を向上するためには、繊維量を多くしなければならない。ここでいう中心付近の補強繊維割合とはペレットの繊維軸に対して垂直にカットした断面における重心付近領域での繊維の割合を意味し、表面付近の補強繊維割合とはペレットの繊維軸に対して垂直にカットした断面における表面付近領域での海成分である樹脂(B)が占める面積と島成分である有機繊維(A)が占める面積の合計に対する有機繊維(A)の占める面積の割合を意味する。全体の補強繊維割合はペレットの繊維軸に対して垂直にカットした断面全体における補強繊維の割合を意味し、いずれの割合も面積比である。中心付近の繊維割合と表面付近の繊維割合の差が小さい方が良く、断面全体に補強繊維が満遍なく分散していることを意味する。
また、有機繊維補強樹脂ペレットの繊維軸方向に対しほぼ直角に切断した断面で観察される空隙率の割合は20%以下である事が好ましい。20%を越える場合、成形品の強度がばらつき、外観品位も低下するので好ましくない。よってより好ましくは10%以下、更に好ましいくは4%以下である。なお、空隙率はペレット断面中における空隙部の比率であり、断面写真に方眼紙をあて、空隙部を塗潰して算出した。
また、有機繊維補強樹脂ペレットの繊維軸方向に対しほぼ直角に切断した断面におけるペレットの扁平率(長軸/短軸)は1〜4.5であることが好ましい。射出成形用として使用される汎用ホッパー内の転がり性を上げるために扁平率は1に近いことが好ましいが、鞘成分の融着、固化の過程で多少扁平する傾向がある。故に、好ましくは1〜4.0、更に好ましくは1〜3.5の範囲である。
なお、有機繊維補強樹脂ペレット中の有機繊維(A)の繊維長は0.5〜40mmである事が好ましい。繊維長が0.5mm未満である場合、引き抜き抵抗をベースとする補強効果が得られにくくなる。逆に、40mmを越える場合には、ホッパー内での流動性、成形時の流動性に影響を与え、外観品位の低下及び強度ばらつきを増大させる方向となる。よってより好ましい範囲は2〜20mm、更に好ましい範囲は4〜15mmである。
また、樹脂成形品としての補強効果を高めるため、切断前に測定される繊維強度は2cN/dtex以上である事が好ましい。この値は高い方がよく、より好ましくは4cN/dtex以上、更に好ましくは5cN/dtex以上である。強度は高い方が好ましいが、製造コストとの兼合いで適宜設計される事が望ましい。
本発明による射出成型品は、上記有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用い通常のマトリックス樹脂と共に成形すると、耐衝撃値を始めとする物理特性を大きく向上させる事が可能となる。3%未満である場合、補強繊維の量が少なく補強効果が得られにくいので好ましくない。より好ましい範囲は5%以上である。混入量は多い程補強効果が増すが、コストも上昇し、成形性及び外観不良の原因ともなる。よって好ましい範囲は4〜30%、より好ましい範囲は5〜20%である。
こうして得られた成形品の比重は1.2以下である事が好ましい。比重は軽い程、取扱い性は良くなるが、単位重量当りの物理特性との兼合いで適宜設計される必要がある。
本発明の樹脂成形品は、−30℃環境下でのシャルピー衝撃値が23℃常温時と比べ45%以上であることが、冷凍・冷蔵といった低温環境下での使用では重要である。45%未満の場合は、低温環境下では補強効果が得られにくく、製品が割れやすくなり、使用範囲が著しく限定されてしまう。
また、本発明の樹脂成形品は、−30℃環境下でのシャルピー衝撃値が23℃常温時と比べ45%以上であることに加え、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上であることも重要である。これは、例え−30℃環境下でのシャルピー衝撃値が23℃常温時と比べ45%以上であったとしても、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2未満であった場合、低温環境下での使用は製品が割れやすくなり、困難となるためである。
成形品のJIS K 7052:1999に準じた焼成後の無機充てん材含有率は0.1%以下であることが好ましい。このことにより、サーマルリサイクルを行なっても無機物のアッシュが残ることが殆どなく、強靱、高剛性で外観品位に優れた成形品とすることができる。
ガラス繊維等の無機充てん材を使用しなければ無機物のアッシュは理論的に含有率=0%となるが、樹脂を高性能化するために上述の添加剤以外にも結晶核剤などを用いることがあり、工業材料としてその残渣を完全に0にすることは技術的に困難である。
ガラス繊維等の無機充てん材を使用しなければ無機物のアッシュは理論的に含有率=0%となるが、樹脂を高性能化するために上述の添加剤以外にも結晶核剤などを用いることがあり、工業材料としてその残渣を完全に0にすることは技術的に困難である。
用途に応じ適宜成形品の衝撃強度と剛性、熱変形温度を向上させる目的で水酸化物やクレーなどの無機フィラーを充填する、エラストマー樹脂を混合する、等の従来からある方法と併用して用いることも可能である。これによって寸法安定性、表面平滑性及び硬度を低下させずに更に一段と衝撃強度や剛性、熱変形温度を向上させることが出来る。この場合、サーマルリサイクル後の無機物のアッシュはその分増加するが、いずれにせよ従来のガラス繊維補強品や炭素繊維補強品と比較し、格段にサーマルリサイクル後の産業廃棄物を減少させることが可能となる。
以下、実施例により説明するが、これらに限定されるものではない。なお明細書中の物性評価は以下の方法により測定した。
(1)シャルピー衝撃値
23℃、50%RHにて48時間調湿した幅10mmのノッチ付試験片について、東洋精機株式会社製ユニバーサルインパクトテスター(60Kg−cmハンマー)を使用して、ISO179に準じて試験した。耐寒性評価としては−30℃にて48時間調湿した幅10mmのノッチ付試験片について、東洋精機株式会社製ユニバーサルインパクトテスター(60Kg−cmハンマー)を使用して、ISO179に準じて試験した。
(2)引張強さ・引張弾性率
23℃、50%RHにて48時間調湿したISO294の多目的試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−IS型を使用して、ISO527に準じて試験して、引張強さと引張弾性率を測定した。
(1)シャルピー衝撃値
23℃、50%RHにて48時間調湿した幅10mmのノッチ付試験片について、東洋精機株式会社製ユニバーサルインパクトテスター(60Kg−cmハンマー)を使用して、ISO179に準じて試験した。耐寒性評価としては−30℃にて48時間調湿した幅10mmのノッチ付試験片について、東洋精機株式会社製ユニバーサルインパクトテスター(60Kg−cmハンマー)を使用して、ISO179に準じて試験した。
(2)引張強さ・引張弾性率
23℃、50%RHにて48時間調湿したISO294の多目的試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−IS型を使用して、ISO527に準じて試験して、引張強さと引張弾性率を測定した。
(実施例1〜6、比較例1〜3)
実施例、比較例に使用した材料は以下のとおりである。
<樹脂=ポリプロピレン(PP)>
PP1:ポリプロピレン[日本ポリプロ株式会社製SA03:ホモポリマー]
PP2:ポリプロピレン[日本ポリプロ株式会社製BC3L:ブロックコポリマー]
<ポリエステル繊維補強樹脂(D)>
PET/PP1:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績株式会社製)/PP1=60/40芯鞘複合繊維のPP1融着品[東洋紡績株式会社製、単繊維径 2dtex、集束繊度60000dtex、繊維長7.5mm]。
芯が融点265℃のポリエチレンテレフタレート、鞘が融点160℃のPP1、質量比6:4、単糸繊度6.4dtex、フィラメント数3,000本の芯鞘型繊維からなる2成分糸を10本分束ね、最大延伸倍率×90%の2.60倍で延伸後、170℃のホットローラー(直径25cm)上で偏平状の軟化した集束テープ形態とした後、20°位相をずらし、耐熱性手袋をつけた手で撚を加え略円筒状に連続的に形成し全体を集束させた後、冷却し、7.5mmの長さに切断して所望の有機繊維補強樹脂ペレットを得た。ちなみに切断前延伸糸の引張強度は3.9cN/dtexであった。
なお、有機繊維補強樹脂ペレット中に於ける有機補強繊維の質量比率は60%、有機繊維と樹脂組成物との接触比率は90%、繊維束テープの偏平度(幅/厚み)は26、ペレットの扁平率(長軸/短軸)は1.7であった。
<エラストマー樹脂>
エチレンプロピレンラバー(EPR)
<テストピース>
上記材料を表1に示す配合比にドライ状態で予備混合し、これを熱風乾燥機で100℃、3時間乾燥した後、その状態で東芝機械株式会社製、IS射出成形機のホッパーに投入して、180℃のシリンダーで可塑化時に溶融混練して、ISO294−1に準じた多目的試験片のマルチモールド型を使用して射出成形によりテストピースを成形した。
実施例、比較例に使用した材料は以下のとおりである。
<樹脂=ポリプロピレン(PP)>
PP1:ポリプロピレン[日本ポリプロ株式会社製SA03:ホモポリマー]
PP2:ポリプロピレン[日本ポリプロ株式会社製BC3L:ブロックコポリマー]
<ポリエステル繊維補強樹脂(D)>
PET/PP1:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績株式会社製)/PP1=60/40芯鞘複合繊維のPP1融着品[東洋紡績株式会社製、単繊維径 2dtex、集束繊度60000dtex、繊維長7.5mm]。
芯が融点265℃のポリエチレンテレフタレート、鞘が融点160℃のPP1、質量比6:4、単糸繊度6.4dtex、フィラメント数3,000本の芯鞘型繊維からなる2成分糸を10本分束ね、最大延伸倍率×90%の2.60倍で延伸後、170℃のホットローラー(直径25cm)上で偏平状の軟化した集束テープ形態とした後、20°位相をずらし、耐熱性手袋をつけた手で撚を加え略円筒状に連続的に形成し全体を集束させた後、冷却し、7.5mmの長さに切断して所望の有機繊維補強樹脂ペレットを得た。ちなみに切断前延伸糸の引張強度は3.9cN/dtexであった。
なお、有機繊維補強樹脂ペレット中に於ける有機補強繊維の質量比率は60%、有機繊維と樹脂組成物との接触比率は90%、繊維束テープの偏平度(幅/厚み)は26、ペレットの扁平率(長軸/短軸)は1.7であった。
<エラストマー樹脂>
エチレンプロピレンラバー(EPR)
<テストピース>
上記材料を表1に示す配合比にドライ状態で予備混合し、これを熱風乾燥機で100℃、3時間乾燥した後、その状態で東芝機械株式会社製、IS射出成形機のホッパーに投入して、180℃のシリンダーで可塑化時に溶融混練して、ISO294−1に準じた多目的試験片のマルチモールド型を使用して射出成形によりテストピースを成形した。
得られた試験片を23℃、−30℃、50%RHにて48時間調整して、それぞれ、シャルピー衝撃値と引張強度・引張弾性率と曲げ強度・曲げ弾性率を評価した。その結果を表1に示す。
表1からも明らかなように、今回発明品の有機繊維補強ポリプロピレンを配合した成型品は、特に低温において高い衝撃値を保持している。
なお、有機繊維補強樹脂を繊維重量比20%となるように冷凍用運搬パレットを成型し、−30℃環境下で落下テストをすると有機繊維が無い状態と比べて割れ難い事も確認した。
なお、有機繊維補強樹脂を繊維重量比20%となるように冷凍用運搬パレットを成型し、−30℃環境下で落下テストをすると有機繊維が無い状態と比べて割れ難い事も確認した。
本発明に係る有機繊維補強樹脂成形品は、耐衝撃性等の物理特性に優れ、低温でも衝撃値を保持する。低コストで且つサーマルリサイクルが容易で、ガラス繊維補強樹脂成形品分野への置換えが可能で、自動車用部品、建築・土木、機械部品、電子部品など、さらに詳しくは冷凍・冷蔵用運搬パレット、コンテナ、保温カバー、雨樋、コネクター、コンクリート型枠、コンプレッサ用羽根、コンポジツト圧力容器、シート搬送用転動体、スキー用キャップ、フェンダー、自動車用インストルメントパネル、自動車用ドアパネル、自動車用バンパー、パイプジョイント、巾木、パラボラアンテナディッシュ、バリア性容器、ドアノブ、プロペラファン、収納用ボックス、窓枠、ルーフレール、ワイパーアーム、椅子等の脚体、管状体、吸遮音材、光ケーブル用スペーサ、光ファイバコード、自動車用エアディフレクター、車止め、ホイールカバー、塗装室用内装板材、電気音響変換器用フレーム、把手部材、複合建材、防水パン、免震構造体の広範囲な用途に使用できる。
Claims (3)
- 有機繊維補強樹脂ペレットを繊維重量比3%以上用いた成型品であって、ISO179に準じた−30℃環境下のシャルピー衝撃値が23℃常温時のシャルピー衝撃値の45%以上であり、23℃常温時のシャルピー衝撃値が3.0kJ/m2以上である有機繊維補強樹脂成型品。
- 使用する有機繊維補強樹脂ペレットが、有機繊維(A)と樹脂(B)とからなり、有機繊維(A)が融点220℃以上のポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリフェニレンサルファイド繊維であることを特徴とする請求項1に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
- 樹脂(B)が融点190℃以下のオレフィン系樹脂、ポリ乳酸樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の有機繊維補強樹脂成型品。
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JP2009256827A (ja) * | 2008-04-16 | 2009-11-05 | Teijin Techno Products Ltd | 芳香族ポリアミド短繊維集束体 |
JP2011132478A (ja) * | 2009-12-25 | 2011-07-07 | Japan Polypropylene Corp | 繊維強化ポリ乳酸含有樹脂組成物及びその成形体 |
JP2012082315A (ja) * | 2010-10-12 | 2012-04-26 | Umg Abs Ltd | 複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
JP2012242340A (ja) * | 2011-05-24 | 2012-12-10 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 赤外線フィルター用ポリカーボネート樹脂の良否判定方法 |
-
2006
- 2006-07-28 JP JP2006205697A patent/JP2008031274A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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