JP2011131669A - 車両のホイールハウス内構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行中、ホイールセンタCよりも前方位置から後方位置に亘って延在するよう設けた溝状気流通路6は、ホイールセンタCよりも前方および上方にある気流入口6aから、ホイールセンタCよりも後方にある気流出口6bへ向かう気流を生起させる。この気流は、車両前方からホイールハウス5内に流入した後、滞留傾向となる気流入口6a近辺の空気を、αで示すように気流入口6aから気流通路6および気流出口6bを経て、リヤバンパ8の下方へ導く。気流通路6の気流出口6bがホイールセンタCよりも後方に位置するため、気流出口6bからの空気流αは、タイヤ付きホイールの回転に伴い発生した空気流をβにより示すごとく、その発生後の流速が未だ比較的低い段階において引き連れつつホイールハウス5の外へ排除することができる。
【選択図】図1
Description
上記の要求を満足させるべく、ホイールハウス内における発熱部の冷却が効率的に行われるようにするためには、ホイールハウス内に流入した空気流がスムーズにホイールハウスの外に排出されるようにホイールハウス内の空気流を整流する必要がある。
この提案技術は、タイヤ付きホイールの回転に伴って発生した空気流と、車体床下走行風がタイヤ付きホイールの前方外周面およびホイールハウス間に進入して発生した空気流との衝突箇所で、これら空気流を車体床下走行風により吸引してホイールハウス内から車体床下に向けて排除するダクトを設けたものである。
タイヤ付きホイールの回転に伴って発生した空気流がタイヤ付きホイールの前方で上記ダクトに吸引されることになるため、また、
ホイールハウス内に進入した走行風に対して流れが逆流する方向に上記のダクトが設けられているため、
車速によっては、タイヤ付きホイールの回転に伴って発生した空気流と、ホイールハウス内に進入した空気流とが逆向きとなることがある。
この場合、ホイールハウス内に流入した車両走行風がスムーズにホイールハウスの外に排出され得ず、ホイールハウス内の空気滞留時間が長くなって、ホイールハウス内における発熱部の冷却性能を狙い通りに向上させることができず、発熱部の冷却が不十分になるという問題を生ずる。
これにより、上記の両空気流が衝突してホイールハウス内発熱部の冷却性能が低下するという前記の問題を解消することを目的とする。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となるホイールハウス内構造は、発熱部を有するタイヤ付きホイールを収容した車両のホイールハウス内構造である。
上記気流通路の車両前後方向前方位置における気流入口を、上記ホイールセンタよりも上方に位置させた構成に特徴づけられるものである。
上記の気流通路は車両の走行に伴って、タイヤ付きホイールのホイールセンタよりも車両前後方向前方位置にある気流入口から、当該ホイールセンタよりも車両前後方向後方位置に至る気流を生起させる。
ところで気流通路の気流入口を、上記ホイールセンタよりも車両前後方向前方位置で、且つ当該ホイールセンタよりも上方に位置させたため、ホイールハウス内に流入した後この位置に滞留する傾向にある空気を気流入口から気流通路を経て車両前後方向後方へ確実に指向させ得て、ホイールハウス内に流入した空気を速やかに車両前後方向後方へ向かわせつつホイールハウスの外へ排除することができる。
ホイールハウス内に流入した後、気流通路により車両前後方向後方へ指向される空気流は、タイヤ付きホイールの回転に伴い発生した空気流を、その発生後の流速が未だ比較的低い段階において引き連れつつ車両前後方向後方へ向かうことができ、タイヤ付きホイールの回転に伴い発生した空気流を伴ってホイールハウスの外へ排除される。
ホイールハウス内における空気の滞留時間が短くて当該空気の入れ替えがスムーズであり、ホイールハウス内における発熱部の冷却性能を向上させることができ、前記の問題を解消することができる。
<第1実施例の構成>
図1〜4は、本発明の第1実施例になる車両のホイールハウス内構造を示し、図1はその側面図、図2はその平面図、図3は、車両前方から見て示すその正面図、図4は、図3のA矢視方向に見て示す斜視図である。
この電動モータを含む、タイヤ付きホイール1ごとのインホイールモータユニット2と、タイヤ付きホイール1とは一体物として構成し、
かように一体化したタイヤ付きホイール1およびインホイールモータユニット2は、ホイールハウスインナパネル3およびホイールハウスアウタパネル4により画成されたホイールハウス5内に収納する。
そして、気流通路6の車両前後方向前方位置における気流入口6aを、ホイールセンタCよりも上方に位置させ、気流通路6の車両前後方向後方位置における気流出口6bを、タイヤ付きホイール1の回転軸線方向に見て、ホイールセンタCよりほぼ斜め45度下方に延在する線よりも上方の領域内に位置させる。
また、気流通路6の気流出口6bから出た出口気流をリヤバンパ8の下方(車体外側造形面の外側)へ導くエアガイド9を設ける。
前者のホイールハウス内に進入した空気流は図5に矢Bで示すごとく、レベルLまで整流状態を保ってタイヤ付きホイール1の前方をタイヤ外周面に沿い上昇し、
後者のタイヤ付きホイール1の回転に伴って発生した空気流は、図5に矢Gで示すごとく、タイヤ付きホイール1の接地面後方からタイヤ外周面に沿い上昇する。
この観点から本実施例においては、気流通路6の気流入口6aを、図6にFで示す上記空気流の滞留領域、つまりホイールセンタCよりも車両前後方向前方で、且つホイールセンタCよりも上方に位置させる。
走行によりホイールハウス5内に進入した空気流と、タイヤ付きホイール1の回転に伴い発生した空気流とが、相互に気流を乱し合うように衝突するすることなく分離して、整流下にホイールハウス5の外へ排除され、ホイールハウス5内の空気の入れ替えを促進してホイールハウス5内の冷却効率を高めることができる。
つまり気流通路6の気流出口6bを、ホイールセンタCよりも車両前後方向後方で、且つ、タイヤ付きホイール1の回転軸線方向に見て、ホイールセンタCよりほぼ斜め45度下方に延在する線Hよりも上方(好ましくはホイールセンタCよりも下方)の領域内に位置させる。
上記した第1実施例の作用効果を説明する前に、図7に示すごとく第1実施例の対策を施さなかった場合(気流通路6を設置しなかった場合)の問題点を先ず説明する。
車両の走行中、ホイールハウス5内にはエアガイド7によって走行風(空気流)が矢Yで示すように導かれる。
他方で車両の走行中は、タイヤ付きホイール1の回転に伴って、上記の空気流Yと逆向きの空気流Zが発生する。
この衝突により、ホイールハウス5内の空気流が乱れて、ホイールハウス内に流入した車両走行風をスムーズにホイールハウス5の外へ排出し難くする。
これにより、ホイールハウス5内の空気滞留時間が長くなって、ホイールハウス5内の冷却性能が低下し、発熱部であるインホイールモータユニット2の冷却が不十分になるという問題を生ずる。
車両の走行に伴って気流通路6は、タイヤ付きホイール1のホイールセンタCよりも車両前後方向前方位置にある気流入口6aから、ホイールセンタCよりも車両前後方向後方位置にある気流出口6bへ向かう気流を生起させる。
この気流出口6bから出た出口気流は、エアガイド9による案内下でリヤバンパ8の下方(車体外側造形面の外側)へ導かれて車外へ排除される。
図5の矢Dにつき前述したごとく、ホイールハウス5内に流入した後この位置に滞留する傾向にある空気を気流入口6aから気流通路6を経て車両前後方向後方へ確実に指向させ得て、ホイールハウス5内に流入した空気を速やかに車両前後方向後方へ向かわせつつホイールハウス5の外へ排除することができる。
更に、気流通路6の気流出口6bを図6につき前述したとおり、タイヤ付きホイール1の回転軸線方向に見て、ホイールセンタCよりほぼ斜め45度下方に延在する線Hよりも上方の領域内(好ましくはホイールセンタCよりも下方の領域内)に位置させたこととも相まって、
ホイールハウス5内に流入した後、気流通路6により車両前後方向後方へ指向される空気流αは、タイヤ付きホイールの回転に伴い発生した空気流を矢βで示すごとく、その発生後の流速が未だ比較的低い段階において引き連れつつ車両前後方向後方へ向かうことができ、タイヤ付きホイール1の回転に伴い発生した空気流βを伴ってホイールハウス5の外へ排除され得る。
ホイールハウス5内に進入した空気流α、および、タイヤ付きホイール1の回転に伴い発生した空気流βを相互に分離して、整流下にホイールハウス5の外へ排除することができることから、
ホイールハウス5内における空気の滞留時間が短くて当該空気の入れ替えがスムーズであり、ホイールハウス5内の発熱部であるインホイールモータユニット2の冷却性能を向上させることができ、上記の問題を解消することができる。
ホイールハウス5内への走行風(空気流)の導入量が多くなって、ホイールハウス5内(インホイールモータユニット2)の冷却性能を更に高めることができる。
気流通路6を安価に設置し得るのに加えて、以下の作用効果をも奏し得る。
このホイールハウス側壁面(ホイールハウスインナパネル3の側壁面3a)に近接配置されるインホイールモータユニット2(発熱源)の近くに気流通路6が位置することとなり、
この気流通路6を通る空気流αがインホイールモータユニット2(発熱源)との熱交換を効率的に行って、その冷却性能を更に向上させることができる。
なお、気流通路6の溝形状を成す側壁のうち、下側における側壁に、前記の作用に支障を来さない程度の透孔を穿つことで、気流通路6の防錆性能を更に高めて耐久性を向上させることができる。
図8,9は、本発明の第2実施例になる車両のホイールハウス内構造を示し、図8は、図1と同様な側面図、図9は、図2と同様な平面図である。
本実施例においては、気流通路6の車両前後方向後方位置における気流出口6bに整列させて出口気流導出路11を車体(バンパ9)に設け、気流出口6bから遠い出口気流導出路11の後端を車体外側造形面(バンパ9)の外側(後方)に開口させる。
従って本実施例では、図1,2に示すごとく第1実施例で設けていたエアガイド9を省略する。
第2実施例は上記以外、図1〜4に示す第1実施例と同様な構成とするため、前記した第1実施例の作用効果を全て奏し得るほか、以下の作用効果をも達成可能である。
ホイールハウス5内の空気の排除効率が高まり、その分だけホイールハウス5内の空気の入れ換えを更に高速に行うことができ、ホイールハウス5内(インホイールモータユニット2)の冷却性能を更に向上させることができる。
図10〜12は、本発明の第3実施例になる車両のホイールハウス内構造を示し、図10は、図1,8と同様な側面図、図11は、図2,9と同様な平面図、図12は、図4と同様な斜視図である。
本実施例においては、溝形状に成形した気流通路6の溝開口部を、例えば樹脂で作ったカバー12で塞ぐことにより、気流通路6を閉断面形状のダクト通路となす。
これにより、ホイールハウス5内に進入した空気流αが、前記した各実施例と同様に気流入口6aから気流通路6に入り、この気流通路6を経て気流出口6bから出るようになす。
第3実施例は上記以外、図8,9に示す第2実施例と同様な構成とするため、前記した第2実施例の作用効果を全て奏し得るほか、以下の作用効果をも達成可能である。
気流通路6に通過する空気流αを、ホイールハウス5内の空気流と些かも緩衝しないようにし得て、空気流の乱れによりホイールハウス5内における空気の入れ替え効率が低下されるのを極限まで抑制することができ、ホイールハウス5内(インホイールモータユニット2)の冷却効率を最大限高めることができる。
気流出口6bに近いカバー12の端部に開口13を設け、気流通路6(ダクト通路)内の空気流αがこの開口13を経て、タイヤ付きホイール1の回転に伴う空気流βを気流通路6(ダクト通路)内に吸い込み得るようにしたため、
タイヤ付きホイール1の回転に伴う空気流βが、ホイールハウス5内の空気流と衝突して滞留することがなく、この滞留空気によりホイールハウス5内(インホイールモータユニット2)の冷却性能が低下するという弊害を生ずることはない。
なお、図示例ではいずれも、ホイールハウス5内に発熱源としてインホイールモータユニット2が存在する電気自動車に対し、本発明のホイールハウス内構造を用いる場合について述べたが、このような電気自動車でなくても、一般的に車両は、各車輪のディスクブレーキユニットユニットやドラムブレーキユニットなどのブレーキユニットをホイールハウス5内に収納しており、このブレーキユニットが摩擦熱を発生する発熱源であるから、その冷却効率を高めるのに本発明のホイールハウス内構造は有用であることは言うまでもない。
C ホイールセンタ
2 インホイールモータユニット(発熱源)
3 ホイールハウスインナパネル
3a ホイールハウスインナパネル側壁面(ホイールハウス側壁面)
4 ホイールハウスアウタパネル
5 ホイールハウス
6 気流通路
6a 気流入口
6b 気流出口
7 エアガイド
8 リヤバンパ(車体外側造形面)
9 エアガイド
11 出口気流導出路
12 気流通路カバー
13 開口
Claims (7)
- 発熱部を有するタイヤ付きホイールを収容した車両のホイールハウス内構造において、
前記ホイールハウス内に流入した空気流を車両前後方向後方へ指向させる気流通路を、前記タイヤ付きホイールのホイールセンタよりも車両前後方向前方位置から後方位置に亘って延在するよう、前記ホイールハウス内に配して設け、
前記気流通路の車両前後方向前方位置における気流入口を、前記ホイールセンタよりも上方に位置させたことを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項1に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記ホイールハウス内に空気流を導くためのエアガイドを設けたことを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項1または2に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記気流通路は、前記ホイールハウスを画成するホイールハウス内壁面のうち、タイヤ付きホイールよりも車幅方向内方におけるホイールハウス側壁面を加工して、該ホイールハウス側壁面に一体成形したものであることを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記気流通路の車両前後方向後方位置における気流出口からの出口気流を車体外側造形面の外側へ導く出口気流導出路を設けたことを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記気流通路は、閉断面形状のダクト通路であることを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項5に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記気流通路を成すダクト通路の途中に、前記タイヤ付きホイールの回転に伴って生じた空気流をダクト通路内の空気流により吸い込むための開口を設けたことを特徴とする車両のホイールハウス内構造。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載された車両のホイールハウス内構造において、
前記気流通路の車両前後方向後方位置における気流出口を、タイヤ付きホイールの回転軸線方向に見て、前記ホイールセンタよりほぼ斜め45度下方に延在する線よりも上方の領域内に位置させたことを特徴とする車両のホイールハウス内構造。
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