JP2011129773A - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract


【課題】従来よりも一層難燃性に優れた電解コンデンサを提供する。
【解決手段】表面に陽極酸化被膜を有する陽極箔120と、陰極箔130と、セパレータ140とを備え、陽極箔120と陰極箔130との間にセパレータ140を介在させた状態で陽極箔120、陰極箔130及びセパレータ140を巻回して得られるコンデンサ素子110を電解液に浸漬してなる構造を有する電解コンデンサ100であって、セパレータ140は、少なくとも非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含む耐熱性難燃紙からなる電解コンデンサ。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、小型、大容量かつ安価という特徴を有し、電子機器、電気機器、車両搭載機器などの重要な構成部品の1つとして広く用いられている。電解コンデンサは、表面に陽極酸化皮膜を有する陽極箔と、陰極箔と、セパレータとを備え、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させた状態でこれらを巻回して得られるコンデンサ素子を電解液に浸漬してなる構造を有する。
このような電解コンデンサにおいて、セパレータは、主として陽極箔と陰極箔との間の隔離を確実にする目的で用いられている。セパレータとしては、一般的にはセルロース紙が用いられているが、従来、例えば、芳香族ポリアラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンスルフィドなどからなる耐熱性難燃紙も用いられるようになってきている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
従来の電解コンデンサによれば、セパレータとして、芳香族ポリアラミド繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリフェニレンスルフィドなどからなる耐熱性難燃紙を用いているため、高い難燃性、高い引っ張り強度、耐薬品性、優れたコンデンサ特性(静電容量特性、誘電正接特性及び漏れ電流特性)などが得られている。
特開平1−278713号公報 特開平2−20012号公報 特開平2−126622号公報
近年、電子機器、電気機器、車両搭載機器などにおいて、さらなる耐環境性が要求されている。これらの機器に搭載される電解コンデンサにおいても、従来より過酷な環境で使用されても十分な性能を発揮しつつ安全性の高いもの、特に難燃性の高いものが要求されるようになってきている。
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも一層難燃性に優れた電解コンデンサを提供することを目的とする。
[1]本発明の電解コンデンサは、表面に陽極酸化皮膜を有する陽極箔と、陰極箔と、セパレータとを備え、前記陽極箔と前記陰極箔との間に前記セパレータを介在させた状態で前記陽極箔、前記陰極箔及び前記セパレータを巻回して得られるコンデンサ素子を電解液に浸漬してなる構造を有する電解コンデンサであって、前記セパレータは、少なくとも非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含む耐熱性難燃紙からなることを特徴とする。
本発明によれば、後述する実施例(実施例2)からも分かるように、従来よりも一層難燃性に優れた電解コンデンサを提供することが可能となる。
また、本発明によれば以下のような効果も得られる。すなわち、電解コンデンサの難燃性を高くするためには電解液における水及び硼酸の含有量を高くすればよいことが知られている。しかしながら、電解液における水及び硼酸の含有量を高くすると、セパレータとして一般的に用いられているセルロース紙に含まれるセルロース繊維が解れ易くなるため、セパレータが破れやすくなって異常電圧印加時の圧力に対する耐久性が低下するという問題や電解コンデンサの長期信頼性が低下してしまうという問題が新たに発生する。また、セルロース繊維が解れ易くなると、これを用いたセパレータがより燃焼し易くなるため、思ったほど難燃性を高くすることもできない。
これに対して、本発明によれば、後述する実施例(実施例2)からも分かるように、電解液における水及び硼酸の含有量を高くしても、耐熱性難燃紙を構成する繊維の解れが起こり難くなるため、セパレータが破れやすくなって異常電圧印加時の圧力に対する耐久性が低下するという問題や電解コンデンサの長期信頼性が低下してしまうという問題を新たに発生させることなく、電解コンデンサの難燃性を高くすることが可能となる。
[2]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性難燃紙は、30重量%〜90重量%の非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含むことが好ましい。
非晶性ポリエーテルイミド系繊維の含有量が30重量%未満である場合には、難燃性の向上効果が得られない場合がある。一方、非晶性ポリエーテルイミド系繊維の含有量が90重量%を超える場合には、非晶性ポリエーテルイミド系繊維が、元来紙にし難い性質を有するため、抄紙工程における成形性が低下する。
[3]本発明の電解コンデンサにおいては、前記電解液は、5重量%〜15重量%の水と、5重量%〜35重量%の硼酸とを含有することが好ましい。
水の含有量が5重量%未満である場合には、難燃性の向上効果が得られない場合がある。一方、水の含有量が15重量%を超える場合には、陽極箔、陰極箔を構成するアルミニウム箔が劣化し易くなったり、陽極側の構成部材の耐腐食性が低下したりする場合がある。これらの観点から言えば、水の含有量は、7重量%〜13重量%の範囲内となることが好ましい。
硼酸の含有量が5重量%未満である場合には、難燃性の向上効果が得られない場合がある。一方、硼酸の含有量が35重量%を超える場合には、電解液の粘度が高くなりすぎることに起因してコンデンサ素子に電解液を十分にしみ込ませることが困難となり、電解コンデンサとしての必要な性能が得られない場合があるという問題が発生する場合がある。これらの観点から言えば、硼酸の含有量は、10重量%〜20重量%の範囲内にあることが好ましい。
[4]本発明の電解コンデンサにおいては、前記セパレータの密度は、0.25g/cm〜0.95g/cmの範囲内にあることが好ましい。
セパレータの密度が0.25g/cm未満である場合には、耐熱性、絶縁性、耐電圧特性などのセパレータの性能が低下する場合がある。この観点から言えば、セパレータの密度は、0.50g/cm以上であることがより好ましく、0.60g/cm以上であることがさらに好ましい。一方、セパレータの密度が0.95g/cmを超える場合には、tanδ(損失角の正接)特性、ESR(等価直列抵抗)特性、寿命などの電解コンデンサの性能が低下する場合がある。この観点から言えば、セパレータの密度は、0.90g/cm以下であることがより好ましく、0.85g/cm以下であることがさらに好ましい。
[5]本発明の電解コンデンサにおいては、前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維は、分子量分布(Mw/Mn)が2.5未満の非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーから形成されたものであることが好ましい。
本発明のように、特定の分子量分布を持った非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーを用いることにより、難燃性に優れるだけでなく、低発煙性や柔軟性、高温での収縮が小さい非晶性ポリエーテルイミド系繊維を製造することができる。
[6]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性難燃紙は、前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維に加えて、前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維を少なくとも含むことが好ましい。
このように、非晶性ポリエーテルイミド系繊維に加えて、非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維を少なくとも含むこととした場合には抄紙工程における成形性が向上するとともに、耐熱性難燃紙に含まれる繊維が解れ難くなるという効果がある。
この観点から言えば、本発明の電解コンデンサにおいては、非晶性ポリエーテルイミド系繊維及び非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維に加えて、難燃性、耐熱性などの電解コンデンサとしての特性を低下させない種類及び量のバインダー繊維を含むことが好ましい。
非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維としては、後述する実施例(実施例1)に示すように、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ガラス繊維、パラアミド繊維、セルロース繊維、ポリスルフォンアミド繊維などの有機又は無機の繊維を好ましく用いることができる。
バインダー繊維としては、後述する実施例(実施例1)に示すように、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリビニルアルコール繊維などの有機繊維を好ましく用いることができる。
[7]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性繊維は、融点又は熱分解温度が200℃以上であることが好ましい。
このように構成することにより、耐熱性難燃紙全体としての耐熱性を確保することが可能となる。
[8]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性繊維に対する前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量比は、30/70〜98/2であることが好ましい。
このように構成することにより、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる。
[9]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性難燃紙の全体重量に対する前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量及び前記耐熱性繊維の重量を合計した重量の比率は、50%以上であることが好ましい。
このように構成することにより、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる。
[10]本発明の電解コンデンサにおいては、「JIS L1091 A−4法」を用いて測定したときの前記耐熱性難燃紙の炭化長が15.0cm以下であることが好ましい。
このように耐熱性難燃紙の炭化長が15.0cm以下である場合には、所定の難燃性を確保することができる。
[11]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性難燃紙の200℃における乾熱収縮率が4.0%以下であることが好ましい。
このように耐熱性難燃紙の200℃における乾熱収縮率が4.0%以下である場合には、電解コンデンサの長期信頼性を高くすることができる。
[12]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性難燃紙の平衡水分率が3.0%以下であることが好ましい。
このように耐熱性難燃紙の平衡水分率が3.0%以下である場合には、電解液に含有される水の量を精密に制御することができるようになる。
[13]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性繊維は、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊維及びポリスルフォンアミド繊維からなる群から選択される少なくとも一種で構成されることが好ましい。
このように構成することにより、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる。
[14]本発明の電解コンデンサにおいては、前記耐熱性繊維は、溶融異方性全芳香族ポリエステル系繊維で構成されることが好ましい。
このように構成することにより、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる。
実施形態に係る電解コンデンサを説明するために示す図である。 実施例1における各試験例の評価結果を示す図である。 実施例2における各試験例の評価結果を示す図である。 実施例3における各試験例の評価結果を示す図である。
以下、本発明の電解コンデンサを、図に示す実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。
1.実施形態に係る電解コンデンサ100の構成
1−1.全体構成
図1は、実施形態に係る電解コンデンサ100を説明するために示す図である。図1(a)はコンデンサ素子110の構造を示す図であり、図1(b)は電解コンデンサ100の分解斜視図であり、図1(c)は電解コンデンサ100の斜視図である。
実施形態に係る電解コンデンサ100は、図1に示すように、表面に陽極酸化皮膜を有する陽極箔120と、陰極箔130と、セパレータ140とを備え、陽極箔120と陰極箔130との間にセパレータ140を介在させた状態で陽極箔120、陰極箔130及びセパレータ140を巻回して得られるコンデンサ素子110(図1(a)参照。)を、有底筒状の金属ケース180に入れられた電解液(図示せず。)に浸漬してなる構造を有する(図1(b)及び図1(c)参照。)。
実施形態に係る電解コンデンサ100は、陽極箔120に接続された陽極側外部引出端子150及び陰極箔130に接続された陰極側外部引出端子160を弾性封口体170の各外部引出端子挿入孔に挿入してコンデンサ素子110と弾性封口体170とを一体化させ(図1(b)参照。)、その後、電解液を含浸させた状態で当該コンデンサ素子110を有底筒状の金属ケース180に挿入し、さらにその後、弾性封口体170の部分で金属ケース180を巻き締めることにより製造することができる(図1(c)参照。)。
1−2.耐熱性難燃紙
セパレータ140を構成する耐熱性難燃紙は、非晶性ポリエーテルイミド系繊維(A)と、耐熱性繊維(B)としてのポリアリレート繊維(PAR繊維)と、バインダー繊維(C)としてのポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)とを含む。この耐熱性難燃紙は、基本的には、図2の試験例1に示す耐熱性難燃紙と同じ耐熱性難燃紙である。但し、目付けのみ50g/mに変更してある。
なお、以下においては、非晶性ポリエーテルイミドのことを非晶性PEIと略記することとする。また、ポリアリレートのことをPARと略記することとする。また、ポリエチレンテレフタレートのことをPETと略記することとする。
非晶性PEI系繊維は、分子量分布(Mw/Mn)が2.5未満の非晶性PEI系ポリマーから形成されたものである。なお、PAR繊維は、全芳香族ポリエステル系繊維に分類される有機の耐熱性繊維であり、PAR繊維の熱分解温度は400℃以上である。
耐熱性繊維(B)に対する非晶性PEI系繊維(A)の重量比(以下、パラメータDという。)は30/45であり、耐熱性難燃紙の全体重量に対する非晶性PEI系繊維(A)の重量及び耐熱性繊維(B)の重量を合計した重量の比率(以下、パラメータEという。)は75%である。
耐熱性難燃紙の目付けは、上述したように50g/mであり、耐熱性難燃紙の厚さは、0.07mm(70μm)であり、従って、耐熱性難燃紙の密度は、0.72g/cmである。また、「JIS L1091 A−4法」を用いて測定したときの耐熱性難燃紙の炭化長は、3.0cmであり、「耐熱性難燃紙の200℃における乾熱収縮率は0.9%であり、耐熱性難燃紙の平衡水分率は、0.2%である。
1−3.電解液
実施形態に係る電解コンデンサ100に用いる電解液は、50重量%のエチレングリコール及び10重量%の水を含有する溶媒に、溶質としての20重量%の硼酸及びその他の電解質を溶解させた電解液である(図3の試験例23参照。)。
1−4.耐熱性難燃紙の詳細
以下、耐熱性難燃紙について詳細に記載する。
(非晶性PEI系繊維)
本発明で用いられる非晶性PEI系繊維は、特定の分子量分布を有する非晶性PEI系ポリマーから形成される。このようなポリマーを利用することにより、非晶性PEI系ポリマーからの紡糸性を高め、紙用途に適した単糸細繊の小さい非晶性PEI系繊維を得ることができる。そして、得られた非晶性PEI系繊維は、次いで行われる抄紙工程での作業性を向上できるとともに、その難燃性を向上させることができる。
(非晶性PEI系ポリマー)
非晶性PEI系ポリマーについて説明する。本発明で用いる非晶性PEI系ポリマーとは、脂肪族、脂環族又は芳香族系のエーテル単位と環状イミドとを繰り返し単位として含有するポリマーであり、非晶性、溶融成形性を有するものであれば特に限定されない。また本発明の効果を阻害しない範囲であれば、非晶性PEI系ポリマーの主催に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば脂肪族、脂環族又は芳香族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
具体的には非晶性PEI系ポリマーとしては、下記一般式で示されるユニットを有するポリマーが好適に使用される。但し、式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基であり、Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。
Figure 2011129773
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基やn=2〜10のアルキレン基を有するものが好ましく使用される。
Figure 2011129773
本発明では、非晶性、溶融成形性、コストの観点から、下記式で示される構造単位を主として有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましく使用される。このポリエーテルイミドは、「ウルテム」の商標でサービックイノベイティブプラスチックス社から市販されている。
Figure 2011129773
本発明で用いる非晶性PEI系ポリマーの分子量は特に限定されるものではないが、得られる繊維の機械的特性や寸法安定性、工程通過性を考慮すると、390℃、せん断速度1200sec−1での溶融粘度が5000poise以下を満たすものが望ましく、その観点からは、重量平均分子量(Mw)が1000〜80000のものが望ましい。高分子量のものを用いると、繊維強度、耐熱性等の点で優れるので好ましいが、樹脂製造コストや繊維化コストなどの観点からMwが10000〜50000であることが、より好ましい。
特に本発明で用いる非晶性PEI系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である分子量分布が、2.5未満であることが必要である。分子量分布がこれより大きいと、繊維製造工程における作業性・安定性が悪化するだけでなく、このポリマーより得られる繊維の耐熱性も劣ってしまう。
一方で、分子量分布が1の場合は理想的な単分散系ポリマーであるので、その観点からは、非晶性PEI系ポリマーの分子量分布の下限値は1.0であるのが好ましい。
例えば、非晶性PEI系ポリマーの分子量分布は、1.0〜2.4であると好ましく、1.0〜2.3であると更に好ましい。このような分子量分布の狭い非晶系PEI系ポリマーは、例えば特公表2007−503513号公報例示の方法で得ることができるが、これに限定されるものではない。
なお、詳細は実施例の項で後述するが、ここでいう、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出することができる。
なお、前記非晶性PEI系ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機物、他ポリマーを含んでいてもよい。かかる無機物の具体例としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンブラック、黒鉛などの炭化物;タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アルミナシリケートなどの珪酸塩;酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物;ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素などが用いられる。
また、他のポリマーの具体例としては、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルフォン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルサルフォン、ポリケトン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、四フッ化ポリエチレン、ポリカーボネート等が用いられる。
(非晶性PEI系繊維の製造方法)
本発明で用いられる非晶性PEI系繊維の製造においては、公知の溶融紡糸装置を用いることができる。すなわち、溶融押出し機で非晶性PEI系ポリマーのペレットを溶融混練し、溶融ポリマーを紡糸筒に導きギヤポンプで計量し、紡糸ノズルから吐出させた糸条を巻き取ることで得られる。非晶性ポリマーに延伸を施すと、高温時の収縮が大きくなることから、本発明の非晶性PEI系繊維は、紡糸ノズルから吐出された糸条は延伸せずにそのまま巻き取り、アズスパンヤーンとして用いることが好ましい。その際の引取り速度は特に限定されるものではないが、紡糸線上で分子配向が起こると好ましくないので、500m/分〜4000m/分の範囲で引き取ることが好ましい。500m/分未満では生産性の点からは好ましくなく、一方、4000m/分を超えるような高速では、高温時の収縮を引き起こすに足る分子配向が進むばかりでなく、繊維の断糸が起こりやすくなる虜がある。
また、前記非晶性PEI系繊維は、その際の繊維の断面形状に関しても特に制限はなく、円形、中空、あるいは星型等異型断面であってもかまわない。
(非晶性PEI系繊維の物性)
上述のようにして得られた非晶性PEI系繊維は、例えば、200℃における乾熱収縮率が5.0%以下であってもよく、具体的には、100〜200℃までの全ての温度域において、乾熱収縮率が−1.0〜5.0%であることが好ましい。かかる乾熱収縮率が5.0%を超えると加工時や使用時の製品の寸法変化が大きくなる場合がある。また一方で、−1.0%未満であっても、同様な理由が存在する。より好ましくは乾熱収縮率が−1.0〜4.5%、更に好ましくは0〜4.0%である。なお、ここでいう乾熱収縮率とは後述する方法により測定した値をいう。
上述のようにして得られた非晶性PEI系繊維は、室温における繊維強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましい。繊維強度が2.0cN/dtex未満の場合、紙や不織布や織物などの布帛にする際の工程通過性が悪化したり、使用用途に制限がかかるので好ましくない。より好ましくは2.3〜4.0cN/dtex、2.5〜4.0cN/dtexであると更に好ましい。
また、本発明の非晶性PEI系繊維は、抄紙工程に供することができる限り、その繊度は特に限定されないが、例えば、単繊維繊度が0.1〜5.0dtex程度であってもよく、好ましくは3.0dtex以下、より好ましくは2.6dtex以下(例えば、0.1〜2.3dtex)であってもよい。このような単繊維繊度を有する非晶性PEI系繊維は、抄紙した難燃紙の空孔率を低減させて、耐熱性、難燃性、低発煙性、電気絶縁性を有する難燃紙などに有利に用いることができる。
さらに、その繊維長は、0.5〜12mm程度が好ましく、更に好ましくは1.0〜6.0mm程度である。該繊維長が短すぎると、紙の機械的物性が充分でない虜があり、一方、繊維長が長すぎると、繊維の開繊性、分散性等が悪化し、紙としての均一性が損なわれる虜がある。
(耐熱性繊維)
本発明で用いられる耐熱性繊維は、融点又は熱分解温度が200℃以上である有機又は無機の耐熱性繊維であり、非晶性PEI系繊維と組み合わせて難燃性及び耐熱性を難燃紙に対して付与できる限り特に限定されるものではなく、各種有機繊維、無機繊維を用いることができる。これらの耐熱性繊維は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、セラミックファイバー、各種金属繊維(例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、チタン、ステンレス等)を例示することができる。
また、有機繊維としては、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリスルフォンアミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等の耐熱性高分子からなる繊維などを例示することができる。
これらの耐熱性繊維のうち、得られる紙の物性の観点から、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリスルフォンアミド繊維などが好ましく、水分平衡率を低減できる観点から、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊維がより好ましく、特に、難燃性の強度を向上する観点から、全芳香族ポリエステル系繊維が好ましい。
前記全芳香族ポリエステル系ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等より重合されて得られ、その中でも、溶融時に光学的異方性を示す溶融異方性(液晶性)を示す芳香族ポリエステルであり、例えば試料をホットステージに載せ窒素雰囲気下で加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
例えば、このような溶融異方性ポリエステル系繊維は、株式会社クラレから「ベクトラン(登録商標)」として上市されている。
(耐熱性繊維の物性)
本発明で用いる耐熱性繊維は、その融点又は熱分解温度が200℃以上であることが必要である。なお、ここでいう融点とは、「JIS K7121試験法」に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)で測定し、観察される主吸熱ピーク温度である。また、熱分解温度とは、耐熱性繊維に対して熱を加えることによって、耐熱性繊維の一部が分解、蒸発又は昇華などにより消滅し、その樹脂の重量が5.0%減少したときの温度をいう。
耐熱性繊維の種類によって、その強度的な物性は異なるが、難燃紙の強度を向上する観点から、耐熱性繊維の強度は、例えば、3cN/dtex以上であってもよく、好ましくは5cN/dtex以上であり、より好ましくは7cN/dtex以上である。また、耐熱性繊維の弾性率は、例えば、50cN/dtex以上であるのが好ましく、より好ましくは100cN/dtex以上である。
また、本発明で用いられる耐熱性繊維は、抄紙工程に供することができる限り、その繊度は特に限定されないが、例えば、単繊維繊度が0.1〜5.0dtex程度であってもよく、好ましくは3.0dtex以下、より好ましくは2.6dtex以下(0.1〜2.3dtex)であってもよい。
さらに耐熱性繊維の繊維長は0.5〜12mm程度が好ましく、更に好ましくは1.0〜6.0mm程度である。該繊維長が短すぎると、紙の機械的物性が十分でない虜があり、一方、繊維長が長すぎると、繊維の開繊性、分散性等が悪化し、紙としての均一性が損なわれる虜がある。
(耐熱性難燃紙の製造方法)
本発明の耐熱性難燃紙は、通常、湿式抄紙法により好適に製造することができる。湿式抄紙法では、前記非晶性PEI系繊維及び全芳香族ポリエステル系繊維を含む水性スラリーを作成し、ついでこのスラリーを通常の抄紙工程に供すればよい。水性スラリーは、バインダー(例えば、ポリビニルアルコール系繊維などの水溶性ポリマー繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)などの熱接着性ポリマー繊維)などを含んでいてもよい。なお、必要に応じて使用する繊維に対して叩解処理を行ってもよい。
また、紙の均一性や圧着性を高める目的で、湿式抄紙工程後に熱プレス工程を加えてもよい。
本発明の効果を損なわない限り、本発明の耐熱性難燃紙は、目的に応じて、他の繊維紙力向上剤、定着剤、消泡剤、染料、紫外線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤、タルク、カリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の各種充填材を含んでいてもよい。これらの原料は、水性スラリー中に加えられることが多いが、適宜コーティングなどにより付着させてもよい。
例えば、併用しうる他の繊維としては、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、セルロース系繊維、ポリスルフォン系繊維等の汎用繊維に加えて、芳香族パラアラミド、ポリアリールケトン系繊維、ポリスルフォン繊維などの他の耐熱性繊維が挙げられる。
本発明の耐熱性難燃紙では、耐熱性繊維の種類に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記非晶性PEI系繊維(A)と耐熱性繊維(B)との割合(重量比)が、(A)/(B)=30/70〜98/2の割合(重量比)で含まれてもよく、好ましくは35/65〜90/10、さらに好ましくは40/60〜85/15である。
非晶性PEI系繊維の割合が少なすぎると、十分な難燃性を付与できない虜があり、その一方で、耐熱性繊維の割合が少なすぎると、十分な耐熱性を付与できない虜がある。
また、本発明の耐熱性難燃紙における非晶性PEI系繊維及び耐熱性繊維の総量の割合は、難燃性及び耐熱性の観点から、例えば50〜100重量部であってもよく、好ましくは55〜98重量部、さらに好ましくは60〜95重量部であってもよい。
また、バインダーを含む場合は、非晶性PEI系繊維及び耐熱性繊維の総量100重量部に対するバインダーの割合は、3〜100重量部であってもよく、好ましくは5〜80重量部であってもよい。
(耐熱性難燃紙)
このようにして得られた本発明の耐熱難燃紙は、耐熱性及び難燃性に優れるだけでなく、平衡水分率も低く、電気・電子部品などの各種用途に好適に用いることが可能である。
例えば、本発明の耐熱性難燃紙では水分含有量が低く、その平衡水分率は、例えば3.0%以下(例えば0.01〜2.8%)、好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下であってもよい。なお、ここでいう平衡水分率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
また、本発明の耐熱性難燃紙は難燃性に優れており、例えば、「JIS L1091 A−4法」による炭化長が、例えば15.0cm以下(例えば、1.0cm〜15.0cm)、好ましくは10.0cm以下、更に好ましくは7.0cm以下であってもよい。なお、ここでいう炭化長は後述する実施例(実施例1)に記載した方法により測定される値である。
本発明の耐熱性難燃紙は200℃における乾熱収縮率が、例えば4.0%以下であり、具体的には、100〜200℃までの全ての温度域において、乾熱収縮率が−1.0〜3.5%であることが好ましい。より好ましくは、200℃における乾熱収縮率は−1.0〜3.0%、更に好ましくは0〜2.5%であってもよい。ここでいう乾熱収縮率は、後述する実施例に記載した方法による測定される値である。
本発明の耐熱性難燃紙の厚みは、その用途に応じて適宜設定することが可能であり特に限定されず、例えば、0.01〜1mm程度のなどの広い範囲から選択することが可能であるが、本発明の耐熱性難燃紙が、優れた耐熱性及び難燃性を示すことが可能である厚みとしては、例えば、0.1mm以下の厚さであってもよい。
また、本発明の耐熱性難燃性の目付けは、繊維の割合に応じて、例えば10〜150g/m程度であってもよく、軽量化の観点からは、より好ましくは100g/m以下であってもよい。
2.実施形態に係る電解コンデンサ100の効果
以上のように構成された実施形態に係る電解コンデンサ100は、後述する実施例(実施例2)からも分かるように、従来よりも一層難燃性に優れた電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、後述する実施例(実施例2)からも分かるように、電解液における水及び硼酸の含有量を高くしても、耐熱性難燃紙を構成する繊維の解れが起こり難くなるため、セパレータが破れやすくなって異常電圧印加時の圧力に対する耐久性が低下するという問題や電解コンデンサの長期信頼性が低下してしまうという問題を新たに発生させることなく、難燃性を高くすることが可能となる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、30重量%の非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含むため、所定の難燃性向上効果を有する電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、電解液が10重量%の水と20重量%の硼酸とを含有するため、難燃性及び長期信頼性をバランス良く兼ね備えるとともに電解コンデンサとしての必要な性能を有する電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、セパレータの密度が、0.72g/cmであるため、耐熱性、絶縁性、耐電圧特性などのセパレータの性能及びtanδ(損失角の正接)特性、ESR(等価直列抵抗)特性、寿命などの電解コンデンサの性能を兼ね備えた電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、非晶性ポリエーテルイミド系繊維が、分子量分布(Mw/Mn)2.5未満の非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーから形成されたものであるため、難燃性に優れるだけでなく、低発煙性や柔軟性、高温での収縮が小さい耐熱性繊維を有する電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性難燃紙が、非晶性ポリエーテルイミド系繊維に加えて、非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維を少なくとも含むため、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性繊維が、融点又は熱分解温度が200℃以上であるPAR繊維であるため、耐熱性難燃紙全体としての耐熱性を確保することが可能な電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性繊維に対する非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量比が、30/45であるため、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性難燃紙の全体重量に対する非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量及び耐熱性繊維の重量を合計した重量の比率が、50%以上であるため、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、「JIS L1091 A−4法」を用いて測定したときの耐熱性難燃紙の炭化長が15.0cm以下であるため、所定の難燃性を確保することができる電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性難燃紙の200℃における乾熱収縮率が4.0%以下であるため、長期信頼性の高い電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性難燃紙の平衡水分率が3.0%以下であるため、電解液に含有される水の量を精密に制御することができる電解コンデンサとなる。
また、実施形態に係る電解コンデンサ100は、耐熱性繊維が全芳香族ポリエステル系繊維で構成されるため、「難燃性」、「抄紙工程における成形性」及び「耐熱性難燃紙に含まれる繊維の解れ難さ特性」をバランス良く高めることができる電解コンデンサとなる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1は、本発明の電解コンデンサに用いる耐熱性難燃紙が優れた難燃性、低い熱収縮率及び低い平衡水分率を有することを示すための実施例である。実施例1において、試験例1〜15が本発明の実施例であり、試験例16及び17が本発明の比較例である。
1.評価方法
各試験例において、ポリマー及び紙の物性は下記の方法により測定した。
[分子量分布 Mw/Mn]
試料の分子量分布は、Waters社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、1500ALC/GPC(ポリスチレン換算)を用いて測定した。クロロホルムを溶媒として、0.2重量%になるように試料を溶解したのち、ろ過して測定に供した。得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比から、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
[繊維強度 cN/dtex]
「JIS L1013試験法」に準拠して、予め調湿されたヤーンを試長20cm、初荷重0.25cN/dtex及び引張速度50%/分の条件で測定し、n=20の平均値を採用した。また繊維繊度(dtex)は質量法により求めた。
[炭化長 cm]
「JIS L1091 A−4試験法」に準拠して行い、垂直に配置した試料の下端に対して、試料の下端から17mm離れたブンゼンバーナーで3秒間加熱したときの炭化長を測定し、n=5の平均値を採用した。
[乾熱収縮率 %]
10cmに切り出した繊維、あるいは10cm角に切り出した該繊維からなる紙を、末端を固定しない状態で200℃に保たれた空気恒温槽中で10分間保持した後の繊維長あるいは布帛長(Xcm)から、次式を用いて算出した。
乾熱収縮率(%)=<X/10>×100
[平衡水分率 %]
「JIS L1013」に準拠し、試料を120℃の雰囲気中で絶乾した後、温度20℃かつ相対湿度65%RHにおいて72時間調整し、絶乾状態での試料の重量に対する試料中に含まれる水分率を算出し、これを百分率(%)にて表した。
[総合評価]
「炭化長15.0cm以下」、「乾熱収縮率4.0%以下」及び「平衡水分率3.0%以下」をすべて満たす場合に、総合評価を「○」とした。「炭化長15.0cm以下」、「乾熱収縮率4.0%以下」及び「平衡水分率3.0%以下」のうち1つの条件でも満たさない場合に、総合評価を「×」とした。
2.試料の作製
各試験例において、耐熱性難燃紙は下記の方法により作製した。
(参考例:非晶性PEI系繊維の作成)
(1)重量平均分子量(Mw)が32000、数平均分子量(Mn)が14500、分子量分布が2.2である非晶性PEI系ポリマー(サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM9001」)を150℃で12時間真空乾燥した。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度390℃、紡糸速度2000m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、220dtex/100fのマルチフィラメント(単繊維繊度;2.2dtex、強度;2.6cN/dtex、200℃における乾熱収縮率;3.5%)を得た。得られたフィラメントを繊維長10mmにカットし、非晶性PEI系繊維の短繊維を得た。
(試験例1)
参考例で得られた非晶性PEI系繊維30重量部と、全芳香族ポリエステル繊維(株式会社クラレ製、「ベクトラン」、単繊維繊度;2.8dtex、繊維長;5mm、融点370℃)45重量部と、バインダー繊維(株式会社クラレ製「EP101;ポリエステル系バインダー繊維」、単繊維繊度:1.5dtex、繊維長;5mm)25重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け80g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例2〜6)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維と、全芳香族ポリエステル繊維と、バインダー繊維との割合を、図2に記載の割合にする以外は、試験例1と同様に湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例7)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維40重量部と、全芳香族ポリエステル繊維30重量部と、バインダー繊維(株式会社クラレ製「VP105;ポリビニルアルコール系バインダー繊維」、単繊維繊度;1.5dtex、繊維長3mm)30重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例8)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維90重量部と、全芳香族ポリエステル繊維3重量部と、バインダー繊維(株式会社クラレ製「VP105;ポリビニルアルコール系バインダー繊維」、単繊維繊度;1.5dtex、繊維長3mm)7重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例9)
試験例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維に代えて、ポリフェニレンサルファイド繊維(東レ株式会社製「プロコン」、単繊維繊度;4.0dtex、繊維長;6mm、融点285℃)を用いる以外は、試験例3と同様に湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例10)
試験例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維に代えて、ガラス繊維(セントラル硝子株式会社製「ECS03−350」、単繊維繊度:2.0dtex、繊維長;3mm、融点なし)を用いる以外は、試験例3と同様に湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例11)
試験例1で用いた全芳香族ポリエステル繊維に代えて、パラアラミド繊維(東レ株式会社製「ケブラー49」、単繊維繊度:1.7dtex、繊維長;6mm、分解温度490℃)を用いる以外は、試験例3と同様に湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例12)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維60重量部と、パラアラミド繊維(東レ株式会社製「ケブラー49」、単繊維繊度:1.7dtex、繊維長;6mm、分解温度490℃)40重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例13)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維80重量部と、セルロース繊維(ダイワボウレイヨン株式会社製「湿式不織布用原綿」、単繊維繊度:1.3dtex、繊維長;3mm、分解温度310℃)20重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例14)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維40重量部と、ポリスルフォンアミド繊維(上海TANLON製「TANLON」、単繊維繊度:1.2dtex、繊維長;3mm、分解温度490℃)20重量部と、バインダー繊維(株式会社クラレ製「VP105;ポリビニルアルコール系バインダー繊維」、単繊維繊度;1.5dtex、繊維長3mm)30重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例15)
試験例1で用いた非晶性PEI系繊維50重量部と、試験例1で用いたバインダー繊維50重量部とを用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mの紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
(試験例16)
市販のメタアラミド耐熱紙(DuPont製「Nomex紙」)について、物性を試験例と同様に測定し、その物性を図2に示す。
(試験例17)
市販のセルロース繊維(ダイワボウレイヨン株式会社製「湿式不織布用原綿」、単繊維繊度:1.3dtex、繊維長;3mm、分解温度310℃)を用いて、湿式抄紙し、目付け40g/mのセルロース紙を作成した。得られた紙の物性を図2に示す。
図2は、実施例1における各試験例の評価結果を示す図である。
図2から明らかなように、試験例1〜15(本発明の実施例)で得られた耐熱性難燃紙は、特定の非晶性PEI系繊維を含むため、または、特定の非晶性PEI系繊維と耐熱性繊維で構成されているため、炭化長が短く、200℃での収縮率も低いだけでなく、紙の平衡水分率も低い水準で保持できた。
様々な耐熱性繊維が、非晶性PEI系繊維との組み合わせにより耐熱難燃紙に難燃性を付与できることが明らかになったが、特に溶融異方性全芳香族ポリエステル繊維とガラス繊維が難燃性、耐熱性、低水分率のため好ましかった。
また、非晶性PEI系繊維と耐熱性繊維の総量が、耐熱性難燃紙全体に占める割合(パラメータE)が70重量部以上で難燃性は良好であり、特に70〜90重量部で高い難燃性を示していた。また非晶性PEI系繊維に対する耐熱性繊維の割合が高くなるにつれて、200℃における収縮率は小さくなる傾向にあった。
また、現在市販されているメタアラミド耐熱紙(試験例16)では、難燃性を有しているものの平衡水分率は抑制されていなかった。また市販のセルロース繊維を用いて抄紙したセルロース紙(試験例17)では、難燃性を有しておらず、燃焼してしまっただけでなく、その平衡水分率も依然高いままであった。
[実施例2]
実施例2は、本発明の電解コンデンサが優れた「難燃性」及び優れた「繊維の解れ難さ特性」を有することを示すための実施例である。実施例2においては、試験例21〜26が本発明の実施例であり、試験例18〜20及び27〜30が本発明の比較例である。
1.評価方法
各試験例において、「難燃性」及び「繊維の解れ難さ特性」は下記の方法により測定した。
[難燃性]
「難燃性」の評価は、電解液を含浸したコンデンサ素子を、引き出しリードを上にして垂直に固定し、その後、コンデンサ素子の下端に青色のガスバーナーの炎を10秒間接炎してコンデンサ素子を燃焼させ、さらにその後、コンデンサ素子から炎を離隔させ、コンデンサ素子の燃焼継続時間を測定することにより行った。評価基準としては、コンデンサ素子から炎を離隔させたときに速やかに燃焼が止まった場合に「◎」という評価を与え、コンデンサ素子から炎を離隔させてから10秒以内に燃焼が止まった場合に「○」という評価を与え、コンデンサ素子から炎を離隔させてから10秒〜30秒で燃焼が止まった場合に「△」という評価を与え、コンデンサ素子から炎を離隔させてから30秒経過しても燃焼が止まらなかった場合に「×」という評価を与えた。
[繊維の解れ難さ特性]
「繊維の解れ難さ特性」は、裁断面を有する耐熱性難燃紙又はセルロース紙を105℃の電解液に24時間浸漬した後、耐熱性難燃紙又はセルロース紙の裁断面における繊維の解れの様子を20倍の実体光学顕微鏡で目視で観察することにより行った。評価基準としては、裁断面において繊維の解れが増加しなかったと判断した場合に「○」という評価を与え、裁断面において繊維の解れが微増したと判断した場合に「△」という評価を与え、裁断面において繊維の解れが増加したと判断した場合に「×」という評価を与えた。
[総合評価]
「難燃性」及び「繊維の解れ難さ特性」についてともに「○」以上の評価が与えられた場合に、総合評価を「○」とした。「難燃性」及び「繊維の解れ難さ特性」のうちいずれかについて「△」の評価が与えられた場合に、総合評価を「△」とした。「難燃性」及び「繊維の解れ難さ特性」のいずれかについて「×」の評価が与えられた場合に、総合評価を「×」とした。
2.試料の作製
(試験例18〜20)
実施形態に係る電解コンデンサと同様の構成を有する電解コンデンサを作製し、これを試験例18〜20に係る電解コンデンサとした。但し、セパレータとしては、試験例17のセルロース紙を用いた。また、電解液としては、図3に示すように、試験例18の場合には水を10重量%含有し、硼酸を10重量%含有する電解液を用い、試験例19の場合には水を15重量%含有し、硼酸を10重量%含有する電解液を用い、試験例20の場合には水を10重量%含有し、硼酸を20重量%含有する電解液を用いた。
(試験例21〜23)
実施形態に係る電解コンデンサと同様の構成を有する電解コンデンサを作製し、これを試験例21〜23に係る電解コンデンサとした。但し、電解液としては、図3に示すように、試験例21の場合には水を10重量%含有し、硼酸を10重量%含有する電解液を用い、試験例22の場合には水を15重量%含有し、硼酸を10重量%含有する電解液を用い、試験例23の場合には水を10重量%含有し、硼酸を20重量%含有する電解液を用いた。
(試験例24〜26)
実施形態に係る電解コンデンサと同様の構成を有する電解コンデンサを作製し、これを試験例24〜26に係る電解コンデンサとした。但し、電解液としては、図3に示すように、試験例24の場合には水を5重量%含有する電解液を用い、試験例25の場合には硼酸を5重量%含有する電解液を用い、試験例26の場合には硼酸を35重量%含有する電解液を用いた。
(試験例27〜30)
実施形態に係る電解コンデンサと同様の構成を有する電解コンデンサを作製し、これを試験例27〜30に係る電解コンデンサとした。但し、電解液としては、図3に示すように、試験例27の場合には水を含有しない電解液を用い、試験例28の場合には水を20重量%含有する電解液を用い、試験例29の場合には硼酸を含有しない電解液を用い、試験例30の場合には硼酸を40重量%含有する電解液を用いた。
3.評価結果
図3は、実施例2における各試験例の評価結果を示す図である。
試験例18〜20からは以下のことが分かった。すなわち、セパレータにセルロース紙を用いた場合であっても、電解液として10重量%の水及び10重量%の硼酸を含有する電解液を用いた場合には、優れた「難燃性(○)」が得られ(試験例18)、水の含有量が多い15重量%の場合(試験例19)や硼酸の含有量を若干多くした20重量%の場合(試験例20)には試験例18の場合よりも優れた「難燃性(◎)」が得られた。その一方で、いずれの電解コンデンサ(試験例18〜20)の場合にも、優れた「繊維の解れ難さ特性」を得ることができなかった。
また、試験例21〜23からは以下のことが分かった。すなわち、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いた場合には、いずれの電解コンデンサの場合にも優れた「難燃性(◎)」及び優れた「繊維の解れ難さ特性」が得られた。
また、試験例24,22からは以下のことが分かった。すなわち、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いた場合には、水の含有量が少ない5重量%の場合(試験例24)にも、水の含有量が多い15重量%の場合(試験例22)にも、優れた「繊維の解れ難さ特性」が得られた。また、試験例25,26からは以下のことが分かった。すなわち、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いた場合には、硼酸の含有量が少ない5重量%の場合(試験例25)にも、硼酸の含有量が多い35重量%の場合(試験例26)にも、ともに優れた「繊維の解れ難さ特性」を示した。
また、試験例27〜30からは以下のことが分かった。すなわち、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いた場合であっても、水の含有量を0重量%にまで減らした場合(試験例27)には優れた「難燃性」が得られなくなり、水の含有量を20重量%にまで増やした場合(試験例28)には、陽極箔、陰極箔を構成するアルミニウム箔が劣化し易くなったり、陽極側の構成部材の耐腐食性が低下したりする場合があった。また、硼酸の含有量を0重量%にまで減らした場合(試験例29)には優れた「難燃性」が得られなくなり、硼酸の含有量を40重量%にまで増やした場合(試験例30)には、電解液の粘度が高くなりすぎることに起因してコンデンサ素子に電解液を十分にしみ込ませることが困難となり、これによって電解コンデンサの性能低下を示す場合があった。
以上のことをまとめると、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いるとともに、電解液として、5重量%〜15重量%の水と、5重量%〜35重量%の硼酸とを含有する電解液を用いた場合には、優れた「難燃性」及び優れた「繊維の解れ難さ特性」が得られることが明らかとなった。
[実施例3]
実施例3は、本発明の電解コンデンサが高い「引っ張り強度」を有することを示すための実施例である。実施例3においては、試験例31及び32が本発明の実施例であり、試験例33が本発明の比較例である。
1.評価方法
各試験例において、「引っ張り強度」は下記の方法により測定した。
[引っ張り強度]
「引っ張り強度」の評価は、耐熱性難燃紙又はセルロース紙の引っ張り強度を、当該耐熱性難燃紙又はセルロース紙を水に浸漬した後に、デジタル荷重計(今田製作所製SV55)を用いて測定することにより行った。なお、水への浸漬は1秒とし、浸漬後すぐに脱液を行った。また、測定は、各試験例とも5つの試料について1回ずつ行い、その平均値を「引っ張り強度」とした。また、セルロース紙は、縦方向と横方向とで「引っ張り強度」が異なるため「縦方向の引っ張り強度」及び「横方向の引っ張り強度」を算術平均して得られる値を「引っ張り強度」として採用した。
[評価]
「引っ張り強度」がセルロースの「引っ張り強度」を上回る場合に、評価を「○」とした。
2.試料の作製
(試験例31〜33)
試験例1と同様の構成を有する耐熱性難燃紙を幅15mm、長さ75mmの大きさに切断して試験例31の試料とした。また、試験例7と同様の構成を有する耐熱性難燃紙を幅15mm、長さ75mmの大きさに切断して試験例32の試料とした。また、試験例17と同様の構成を有するセルロース紙を幅15mm、長さ75mmの大きさに切断して試験例33の試料とした。
3.評価結果
図4は、実施例3における各試験例の評価結果を示す図である。
試験例31〜33からも分かるように、非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙はいずれも(試験例31及び32)、セルロース紙(試験例33)の場合よりも、水に浸漬後の「引っ張り強度」が高かった。
以上のことをまとめると、セパレータに非晶性PEI系繊維を含む耐熱性難燃紙を用いた場合には、高い「引っ張り強度」が得られることが明らかとなった。
以上、本発明の電解コンデンサを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
100…電解コンデンサ、110…コンデンサ素子、120…陽極箔、130…陰極箔、140…セパレータ、150…陽極側外部引出端子、160…陰極側外部引出端子、170…弾性封口体、180…金属ケース

Claims (14)

  1. 表面に陽極酸化皮膜を有する陽極箔と、陰極箔と、セパレータとを備え、前記陽極箔と前記陰極箔との間に前記セパレータを介在させた状態で前記陽極箔、前記陰極箔及び前記セパレータを巻回して得られるコンデンサ素子を電解液に浸漬してなる構造を有する電解コンデンサであって、
    前記セパレータは、少なくとも非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含む耐熱性難燃紙からなることを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 請求項1に記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性難燃紙は、30重量%〜90重量%の非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含むことを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の電解コンデンサにおいて、
    前記電解液は、5重量%〜15重量%の水と、5重量%〜35重量%の硼酸とを含有することを特徴とする電解コンデンサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記セパレータの密度は、0.25g/cm〜0.95g/cmの範囲内にあることを特徴とする電解コンデンサ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維は、分子量分布(Mw/Mn)が2.5未満の非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーから形成されたものであることを特徴とする電解コンデンサ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性難燃紙は、前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維に加えて、前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維以外の耐熱性繊維を少なくとも含むことを特徴とする電解コンデンサ。
  7. 請求項6に記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性繊維は、融点又は熱分解温度が200℃以上であることを特徴とする電解コンデンサ。
  8. 請求項6又は7に記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性繊維に対する前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量比は、30/70〜98/2であることを特徴とする電解コンデンサ。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性難燃紙の全体重量に対する前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維の重量及び前記耐熱性繊維の重量を合計した重量の比率は、50%以上であることを特徴とする電解コンデンサ。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    「JIS L1091 A−4法」を用いて測定したときの前記耐熱性難燃紙の炭化長が15.0cm以下であることを特徴とする電解コンデンサ。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性難燃紙の200℃における乾熱収縮率が4.0%以下であることを特徴とする電解コンデンサ。
  12. 請求項6〜11のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性難燃紙の平衡水分率が3.0%以下であることを特徴とする電解コンデンサ。
  13. 請求項6〜12のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性繊維は、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊維及びポリスルフォンアミド繊維からなる群から選択される少なくとも一種で構成されることを特徴とする電解コンデンサ。
  14. 請求項6〜12のいずれかに記載の電解コンデンサにおいて、
    前記耐熱性繊維は、溶融異方性全芳香族ポリエステル系繊維で構成されることを特徴とする電解コンデンサ。
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