ところが、LEDは、配光特性に強い指向性があり配光分布が発光面の正面方向に特に偏っているので、光源と液晶パネルとの間に一般的な光拡散フィルムだけを配置したり、正面輝度を高めるために透光性シートの表面に円錐形やピラミッド形の凸部を縦横に多数配列形成した光拡散フィルムを追加して配置したものでは、CCFLからなる線光源の場合よりもさらに輝度ムラが大きくなるという問題が生じる。
また、このために、LEDから出光する光を中心部から周辺部に拡散させて配光分布を広げるような凹部を形成した光拡散フィルムを用いることも従来から提案されているが(例えば、特許文献4参照。)、このような光拡散フィルムを用いると、点光源の配置位置が限定されたり、この点光源の配置数の増減等の設計変更に対応できず汎用性が損なわれるという問題が生じる。さらに、点光源と液晶パネルとの間に平凸型フレネルレンズ状の光拡散フィルムを配置した場合や、透光性シートの表面に点光源からの距離が遠いほど底角が大きい凹状三角形の溝部(凸状三角形の畝部)を同心円状に多数配列形成した光拡散フィルムを配置した場合も、同様に汎用性が損なわれるという問題が生じる。
また、出願人既提案の発明である畝部又は溝部が多数配列形成された光学シートを用いた場合も、これら畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する方向の輝度ムラは確実に減少させることができるが、LEDが線光源としてではなく点光源として配置されるので、畝沿い方向又は溝沿い方向の輝度ムラは十分に解消することができないという問題が生じていた。
本発明は、透光性シートの両面にそれぞれ異なる方向に沿った凸状の畝部又は凹状の溝部を多数配列形成することにより、LEDのような点光源からの距離に応じた輝度ムラをなくすことができ、また、これらの点光源の配置位置にも依存しない光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供しようとするものである。
請求項1の光学シートは、離散的に配置された複数の点光源の出光方向側に配置される光学シートにおいて、透光性シートの一方の面に、この透光性シートのシート面上における特定の方向に沿った凸状の畝部又は凹状の溝部を多数配列形成し、かつ、これら畝部又は溝部の配列を、相互に形状の異なる複数の畝部又は溝部が並んで配列されたものを一つの組とし、この複数の畝部又は溝部からなる組をさらに繰り返し並んで配列させたものとすると共に、この透光性シートの他方の面に、前記特定の方向とは異なるシート面上の方向に沿った凸状の畝部又は凹状の溝部を多数配列形成したことを特徴とする。
請求項2の光学シートは、前記透光性シートの他方の面の畝部又は溝部の配列を、相互に形状の異なる複数の畝部又は溝部が並んで配列されたものを一つの組とし、この複数の畝部又は溝部からなる組をさらに繰り返し並んで配列させたものとしたことを特徴とする。
請求項3の光学シートは、前記透光性シートの他方の面の畝部又は溝部が、前記特定の方向とは30°以上の角度差を有するシート面上の方向に沿ったものであることを特徴とする。
請求項4の光学シートは、前記透光性シートの他方の面の畝部又は溝部が、前記特定の方向と直交するシート面上の方向に沿ったものであることを特徴とする。
請求項5の光学シートは、前記各組における形状の異なる畝部又は溝部の畝幅又は溝幅がそれぞれ異なっていることを特徴とする。
請求項6の光学シートは、前記各組における形状の異なる各畝部又は溝部が、これらの畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する縦断面形状が三角形であり、この三角形の底辺の両内角の和が大きいものほど、これら畝部又は溝部の畝幅又は溝幅が広いものであることを特徴とする。
請求項7の光学シートは、前記各畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する縦断面形状が、底辺の両内角が共に90°以下の四角以上の多角形、又は、半円弧以下の円弧形状であることを特徴とする。
請求項8の光学シートは、前記各組に2以上、10以下の畝部又は溝部が配列されていることを特徴とする。
請求項9の光学シートを用いたバックライトユニットは、前記光学シートを離散的に配置された複数の点光源の出光方向側に配置したことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、透光性シートの一方の面に形状の異なる複数の凸状の畝部又は凹状の溝部の組が繰り返し配列形成され、他方の面にも、一方の面とは異なる方向に沿った凸状の畝部又は凹状の溝部が多数配列形成されるので、点光源からシート面に沿った四方の距離が相違しても、光学シートを通り抜けた光がある程度正面側を向くようになり、離散的に配置された各点光源からの距離に応じた輝度ムラをなくすことができる。また、透光性シートの両面の畝部又は溝部は、点光源の配置位置に依存しないので、これらの点光源の位置ずれの影響がなくなるだけでなく、これらの点光源の個数の増減等の設計変更にも対応することができるようになる。
なお、光学シートは、フィルム状や板状等のものであってもよい。また、シート面とは、透光性シートの表面の畝部又は溝部の凹凸をならして平均化した仮想的な面をいい、通常は平面であるが、用途によっては多少湾曲させる等の平面以外の面となるように配置することもある。
請求項2の発明によれば、透光性シートの両面が形状の異なる複数の凸状の畝部又は凹状の溝部の組を繰り返し配列形成したものとなるので、点光源からシート面に沿った四方の距離が相違しても、両面における各組のいずれかの畝部又は溝部を通り抜けた光がある程度正面側を向くようになり、離散的に配置された各点光源からの距離に応じた輝度ムラをさらに確実になくすことができる。
請求項3の発明によれば、透光性シートの両面における畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向が30°以上の角度差を有するので、一方の面の畝部又は溝部により点光源からの特定の方向に直交する方向の距離に応じた輝度ムラをなくすことができるだけでなく、他方の面の畝部又は溝部によりこの方向に対して30°以上の十分な角度差の方向の距離に応じた輝度ムラもなくすことができるので、この輝度ムラを広い角度範囲でなくすことができる。なお、30°以上の角度差とは、シート面上における2方向の最小の角度差を意味するので、これらの角度差が90°を超えることはない。
請求項4の発明によれば、透光性シートの一方の面の畝部又は溝部が点光源からの特定の方向に直交する方向の距離に応じた輝度ムラをなくすと共に、他方の面の畝部又は溝部が点光源からの特定の方向の距離に応じた輝度ムラをなくすことができるので、離散的に配置された各点光源からの距離に応じた輝度ムラを、特定の方向やこれに直交する方向に関わらず全面的になくすことができる。特に、請求項2を引用したこの請求項4の発明によれば、点光源からの距離に応じた輝度ムラを全面的に均等になくすことができる。
ここで、上記発明の光学シートは、前記各組における形状の異なる畝部又は溝部の配列の順序が相違している場合があってもよい。なぜなら、各組に同じ形状の畝部又は溝部が存在すればよく、これら畝部又は溝部の配列の順序は任意であるから、この配列順序が相違している場合があっても本発明の効果に影響は生じないからである。
また、上記発明の光学シートは、前記各畝部又は溝部の形状が、配列方向に直交する面を中心に対称形であることが好ましい。このようにすれば、各畝部又は溝部の形状が対称形であるため、点光源の周囲のいずれの側であるかに応じた輝度ムラが発生するのを防止することができる。また、複数の点光源の間では、四方の点光源からの光を有効に利用することができるようになる。
請求項5の発明によれば、畝部又は溝部の形状に応じて畝幅又は溝幅の広狭を調整できる。ここで、畝幅又は溝幅が広ければ、点光源からの光をより多くその畝部又は溝部に取り込むことができる。従って、畝幅又は溝幅が全て等しいとすると、各畝部又は溝部の形状によっては光の利用率(畝部又は溝部が取り込もうとする全ての光に対する、これらの畝部又は溝部を全反射することなく通り抜けた後にある程度正面側を向く光の割合)に相違がある場合に、この畝幅又は溝幅を調整することにより、畝部又は溝部を通り抜けてある程度正面側を向く光の光量をできるだけ均一にすることが可能となる。
なお、畝幅又は溝幅とは、透光性シートのシート面に沿った、畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する方向の長さをいう。
ここで、上記発明の光学シートは、前記各畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する縦断面形状が、底辺の両内角が共に90°未満の三角形状であることが好ましい。このようにすれば、畝部の場合には三角柱状となり、溝部の場合には三角筒内面状となるので、光学シートに多くの光を入射させ出射させることができるようになる。なお、ここでの底辺は、畝部又は溝部の両斜面を縦断面形状の両斜辺とし、これらの両斜辺とシート面との交点間を繋いた仮想的な直線のことであり、これらの両斜辺と底辺とで三角形を形作る。
また、上記発明の光学シートは、前記各畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する縦断面形状が二等辺三角形であり、前記各組における各畝部又は溝部の形状の相違が、この二等辺三角形の底角の相違であることが好ましい。このようにすれば、各畝部又は溝部の形状が対称形であり、畝部の場合には三角柱状となり、溝部の場合には三角筒内面状となるので、点光源におけるシート面に沿った四方のいずれの側であるかに応じて輝度ムラが発生するのを防止するだけでなく、光学シートに多くの光を入射させ出射させることができるようになる。なお、ここでの二等辺三角形の底角とは、二等辺三角形の底辺の内角(両内角は等しい)のことである。
請求項6の発明によれば、各組の畝部又は溝部は、縦断面形状の三角形の頂角が小さく尖ったものほど畝幅又は溝幅が広くなるので、光を多く取り込むことができる。そして、頂角が小さく尖った畝部又は溝部ほど、光の利用率は低下するので、このような畝部又は溝部ほど光を多く取り込むことができるようにすれば、頂角の異なる各畝部又は溝部を通り抜けてある程度正面側を向く光の光量を均一化することができるようになる。
請求項7の発明によれば、畝部の場合には半多角柱状や半円柱状となり、溝部の場合には半多角筒内面状や半円筒内面状となるので、光学シートに多くの光を入射させ出射させることができ、各組のいずれか1又は2以上の畝部又は溝部で確実に光がある程度正面側を向くようにすることができる。
請求項8の発明によれば、各組に2以上の形状の異なる畝部又は溝部があるので、各組のいずれかの畝部又は溝部で確実に光がある程度正面側を向くようにすることができる。しかも、各組の畝部又は溝部は10以下であるため、1組の畝部又は溝部の範囲を十分に狭くすることができ、組ごとの輝度ムラを抑制することができる。
請求項9の発明によれば、離散的に配置された各点光源からの距離に応じた輝度ムラをなくすと共に、点光源の配置位置や配置数に依存することのないバックライトユニットを提供することができるようになる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図13を参照して説明する。
本実施形態は、図1に示すように、液晶ディスプレイにおける直下ライト方式のバックライトユニットについて説明する。このバックライトユニットは、光学シート1の下方(背面側)に多数のLED2が配置されている。そして、液晶パネル3は、この光学シート1の上方(正面側)に配置される。また、実際には、この光学シート1の上方の液晶パネル3との間には、図示しない光拡散フィルム等が配置されることが多い。
上記光学シート1は、透明な樹脂シートからなり、平面状のシート面が水平となるように配置されている。また、多数のLED2は、この光学シート1のシート面に対して平行な平面上に、前後左右方向に等間隔のマトリックス状に配置されている。
上記光学シート1は、図2に示すように、上面に、前後方向に沿う凸状の畝部1a〜1cが多数配列形成されていて、図3に示すように、下面に、左右方向に沿う凸状の畝部1a〜1cが多数配列形成されている。この光学シート1の上面の畝部1a〜1cは、上下左右方向に沿う面での縦断面形状が二等辺三角形となる上方への凸状であり、これが左右方向に多数配列されている。また、この光学シート1の下面の畝部1a〜1cは、上下前後方向に沿う面での縦断面形状が二等辺三角形となる下方への凸状であり、これが前後方向に多数配列されている。そして、これら上下の面の畝部1a〜1cの配列は、図2及び図3に示すように、二等辺三角形の底角が異なる3種類の畝部1a〜1cを並べて配列させた組Sをさらに多数組繰り返し並べて配列させたものとなっている。
上記畝部1a〜1cの各組Sにおける構成を、図4に示す光学シート1の上面の畝部1a〜1cを例に説明する。1つの組Sは、底角θ1が55°の畝部1aと、底角θ2が45°の畝部1bと、底角θ3が25°の畝部1cとの3種類の畝部1a〜1cを1つずつ右から左に並べて配列している。また、これらの畝部1a〜1cは、二等辺三角形の底辺に相当する部分の長さである畝幅Bが等しくなるようにしている。従って、これらの畝部1a〜1cは、最大の底角θ1を有する畝部1aの凸状が最も上方に突出して高く、最小の底角θ3を有する畝部1cの凸状が最も低くなり、中間の底角θ2を有する畝部1bの凸状は中間の高さとなる。
なお、本発明において1組として配列される畝部の数は、2以上、10以下が適当であり、より好ましくは3以上、5以下である。また、図2及び図3では、光学シート1における1個のLED2に対応する領域のみを示し、各畝部1a〜1cの凸状を拡大して見やすくするために、この領域に畝部1a〜1cの組を9組だけ示しているが、実際には各LED2ごとにさらに多数の組を配列することが好ましい。さらに、この1個のLED2に対応する光学シート1の領域内の組数は、必ずしも整数である必要はない。
上記構成によれば、光学シート1の上面において、図2に示すLED2の真上の位置E0の付近では、図5(a)に示すように、このLED2からの光が底角の大きな畝部1aや畝部1bでは全反射することも多くなるが、底角が最小の畝部1cから出射する光はほぼ上向きとなる。また、LED2の真上より少し左右方向に離れた位置E1の付近では、図5(b)に示すように、このLED2からの光が底角の最大の畝部1aと最小の畝部1cでは左右方向に傾斜するが、底角が中間の畝部1bから出射する光はほぼ上向きとなる。そして、さらにLED2の真上から左右方向に遠く離れた位置E2の付近では、図5(c)に示すように、このLED2からの光が底角の小さい畝部1bや畝部1cでは左右方向に傾斜するが、底角が最大の畝部1aから出射する光はほぼ上向きとなる。なお、図5では、光学シート1の下面での入射光の屈折は省略して示している。
上記と同様に、光学シート1の下面においても、LED2の真上の位置の付近では、このLED2からの光が底角の大きな畝部1aや畝部1bでは全反射することも多くなるが、底角が最小の畝部1cに入射した光はほぼ上向きとなる。また、LED2の真上より少し前後方向に離れた位置の付近では、このLED2からの光が底角の最大の畝部1aと最小の畝部1cでは前後方向に傾斜するが、底角が中間の畝部1bに入射した光はほぼ上向きとなる。そして、さらにLED2の真上から前後方向に遠く離れた位置の付近では、このLED2からの光が底角の小さい畝部1bや畝部1cでは前後方向に傾斜するが、底角が最大の畝部1aに入射した光はほぼ上向きとなる。
従って、本実施形態の光学シート1は、凸状の縦断面形状である二等辺三角形の底角が異なる3種類の畝部1a〜1cからなる組Sが上下の面で直交した方向に繰り返し配列形成されているので、LED2からの前後方向や左右方向の距離が相違しても、前後方向については、下面の各組Sのいずれかの畝部1a〜1cに入射した光がほぼ上向きとなり、左右方向については、上面の各組Sのいずれかの畝部1a〜1cから出射する光がほぼ上向きとなる。このため、LED2から前後左右方向の周囲に離れた距離に応じて輝度にムラが生じるのを防止できるので、均斉度を高めることができる。また、LED2から周囲に大きく離れた位置でも輝度の低下を少なくすることができるので、従来と同程度の均斉度が得られればよいのであれば、LED2の間隔距離を広げることにより、バックライトユニットに用いるLED2の個数を減らし、省エネルギー化とコストダウンを図ることもできる。
しかも、本実施形態の光学シート1は、3種類の畝部1a〜1cが配列された組Sが多数上下の面に配列形成されるので、LED2の前後左右方向の配置位置が任意となり、このLED2の位置ずれの影響がなくなるだけでなく、このLED2の個数の増減等の設計変更にも対応することができるようになる。
なお、上記実施形態の光学シート1では、上下の面における各組Sの3種類の畝部1a〜1cの畝幅Bを一定とする場合を示したが、この畝幅Bは必ずしも一定である必要はない。即ち、例えば図6に示す光学シート1の上面のように、各畝部1a〜1cの畝幅B1〜B3が相違するようにしてもよい。特に、この図6に示すように、畝部1a〜1cにおける凸状の縦断面形状の三角形の底辺の両内角の和が大きいものほど、つまり、ここでは二等辺三角形の底角が大きいものほど畝幅B1〜B3が広くなるようにすれば、この二等辺三角形の頂角が小さく尖った畝部1a〜1cほど畝幅B1〜B3が広くなるので、光を多く取り込むことができる。このため、頂角が小さく尖った畝部1a〜1cほど、光の利用率は低下するので、頂角の異なる3種類の畝部1a〜1cから出射してある程度上方を向く光の光量を均一化することができるようになり、均斉度を高めることができるようになる。そして、光学シート1の下面においても、3種類の畝部1a〜1cの畝幅Bを同様に調整すれば、これらの畝部1a〜1cに入射してある程度上方を向く光の光量を均一化することができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面における各組Sの3種類の畝部1a〜1cの凸状の高さが相違していたが、これらの高さはシート面に平行な面で揃えるようにしてもよい。例えば、光学シート1の上面の各組Sの3種類の畝部1a〜1cの凸状の高さを揃えた場合を図7に示す。ただし、この場合には、図6に示した場合とは逆に、二等辺三角形の頂角が小さく尖った畝部1a〜1cの畝幅B1〜B3ほど狭くなるので、LED2からの左右方向の距離が遠い位置では輝度を十分に得られないおそれがある。そこで、図8に示すように、もともと凸状の高さが低い畝部1bや畝部1cについては、上方に平行移動して嵩上げを図ることにより、畝部1a〜1cの畝幅Bは一定としながら、凸状の高さも揃えるようにすることができる。そして、光学シート1の下面においても、各組Sの3種類の畝部1a〜1cの凸状の高さ(下方への突出端の高さ位置)を同様に揃えることができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の各畝部1a〜1cの底角θ1〜θ3が55°と45°と25°である場合を示したが、これらの底角θ1〜θ3は、互いに相違すればよいので、具体的な角度の値は任意である。ただし、この底角の最大値は、40°以上70°以下であることが好ましく、50°以上70°以下であればより好ましく、55°以上60°以下であればさらに好ましい。この底角の最大値が60°を超え、特に70°を超えて大きくなりすぎると、畝部1a〜1cの畝幅Bを十分な広さとした場合に、凸状の高さが高くなりすぎて、光学シート1の成形性が悪くなり、取り扱いも難しくなる。そして、この底角の最大値が55°より小さく、特に40°より小さくなると、各畝部1a〜1cの底角の差も少なくなるので、輝度ムラをなくして均斉度を高める効果が十分に得られ難くなる。
しかも、この底角の最小値は、25°以下であることが好ましく、20°以下であればより好ましい。この底角の最小値が20°を超え、特に25°を超えて大きくなりすぎると、各畝部1a〜1cの底角の差も少なくなるので、輝度ムラをなくして均斉度を高める効果が十分に得られ難くなる。この底角の最小値は、0°であってもよく、従って、各組Sのいずれか一つの畝部はシート面と平行な面であってもよい。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の各畝部1a〜1cの縦断面形状が二等辺三角形(又はこの二等辺三角形を基礎とした形状)である場合を示したが、これらの二等辺三角形の頂部を水平に切り取った等脚台形状としてもよい。図9には、光学シート1の上面の畝部1a〜1cの縦断面形状を等脚台形状とした例を示すが、光学シート1の下面の畝部1a〜1cも同様である。さらに、この切り取った頂部に底角の小さい二等辺三角形を載置した将棋の駒形状の五角形としてもよく、六角以上の多角形とすることもできる。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面における各組Sの3種類の畝部1a〜1cが同じ順序で配列されている場合を示したが、光学シート1上の組数が十分に多ければこの配列順序が本発明の効果に影響することはないので、この配列順序が組Sごとに相違していてもよく、この場合の配列順序の相違は不規則であることが好ましい。図10には、光学シート1の上面における各組の畝部1a〜1cの配列順序が組Sごとに不規則に相違する例を示すが、光学シート1の下面の畝部1a〜1cも同様である。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の各組Sに3種類の畝部1a〜1cが配列されている場合を示したが、4種類以上の畝部が配列されていてもよい。さらに、2種類の畝部が配列されているだけでも、特に縦断面形状が四角以上の多角形であれば、本発明の効果をある程度期待することができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の畝部1a〜1cの縦断面形状が垂直線に対して対称形の二等辺三角形や四角以上の多角形である場合を示したが、必ずしもこのような対称形に限定されるものではない。ただし、光学シート1が各LED2の左右方向や前後方向の位置に依存しない特性を示すためには、例えば光学シート1の上面の畝部1a〜1cの縦断面形状が左右非対称形である場合、この左右非対称の形状が右方向又は左方向に偏りすぎることは好ましくなく、この偏りが大きすぎると、光学シート1全体として考えた場合に、LED2からの距離に応じた輝度ムラが生じるおそれもある。従って、例えば光学シート1の上面の場合、個々の畝部1a〜1cの縦断面形状に左右非対称のものがあっても、偏りの程度を数値化して左右方向を正負とすると、各組Sの全ての畝部1a〜1cの偏りを合計したときにできるだけ0に近づくように偏りを分散させて平均化させることが好ましい。つまり、図11に示すように、光学シート1の上面の各組Sに5種類の畝部1a〜1eがあったとすると、例えば畝部1a,1eは左方向に一定量だけ偏り、畝部1cは偏りのない左右対称形であり、畝部1b,1dは右方向に一定量だけ偏っているというように、偏りが分散して平均化していることが好ましい。図12は、これら5種類の畝部1a〜1eの配列順序が隣接する組Sで相違している場合を示す。そして、このような非対称の形状の偏りを分散して平均化させることが好ましいのは、光学シート1の下面でも同様である。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の畝部の縦断面形状における三角形等の各角部が尖った状態である場合を示したが、現実には製造上の都合や面取り等が施されることにより、各角部が多少鈍った状態や丸みを帯びた状態になっていてもよい。例えば、出願人が実際に光学シート1の金型を作製したとき、畝部の型の縦断面形状の三角形の頂点部分は、曲率半径が20〜30μm程度の円弧状になっていた。また、この金型を用いて樹脂を成形したとき、実際には三角形の底辺から頂点部分までの高さの90%程度までしか樹脂は充填されなかった。しかも、試しに三角形の高さの70%程度まで樹脂を充填して光学シート1を作製してみたが、本発明の効果にほとんど差異は認められなかった。これは、光学シート1の畝部が三角形の両斜辺等からなる傾斜面を有することが重要なのであって、これらの傾斜面が接する境界部分である角部の細部の状態は重要ではないからである。そして、図9において畝部の縦断面形状を等脚台形状とした場合にも同様の効果が得られるのは、同じ理由からである。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面に凸状の畝部を配列形成した場合を示したが、凹状の溝部が配列形成されたものであっても、同様に本発明の効果を得ることができる。この場合、凹状の縦断面形状は、上記凸状の畝部の縦断面形状を上下逆にしたものを任意に用いることができる。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面に、相互に形状の異なる複数の畝部又は溝部の組を繰り返し並んで配列形成した場合を示したが、このような配列は、この光学シート1の一方の面だけでよく、他方の面は、畝部又は溝部が多数配列形成されていれば、必ずしも相互に形状の異なる複数の畝部又は溝部の組が繰り返し並んで配列形成されている必要はない。即ち、例えばこの光学シート1の下面は、同一形状の畝部1aのみが多数配列形成されていてもよい。これは、光学シート1の他方の面に同一形状の畝部や溝部だけが配列形成されていても、ある程度は輝度ムラを減少させる効果があるので、一方の面による輝度ムラをなくす効果と相俟って、全体的には前後左右方向に実用上十分な輝度ムラの解消効果が得られると考えられるからである。
また、上記実施形態の光学シート1では、上下の面の畝部又は溝部の畝沿い方向又は溝沿い方向が互いに直交する場合を示したが、これらの畝沿い方向又は溝沿い方向は異なる方向であれば、必ずしも90°で直交している必要はなく、例えば45°方向が異なるだけでもよい。これは、上下いずれかの面の畝部又は溝部による輝度ムラを減少させる効果は、その畝沿い方向又は溝沿い方向に直交する方向だけでなく、その周囲のある程度の角度範囲にも程度の差はあれ及ぶからである。
また、上記実施形態では、光学シート1が透明な樹脂シートからなる場合を示したが、光を透過する透光性を有するものであればよいので、必ずしも透明である必要はない。光学シート1の厚さも特に限定されるものではなく、一般的には厚さ0.3〜5mm程度のものが好適に使用される。
上記のような光学シート1の樹脂シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体(例えばポリ−4−メチルペンテン−1等)、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン(例えばノルボルネン構造等)、アクリル樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)等の透光性の熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。特に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートの中でも、ポリカーボネート、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、環状ポリオレフィンからなるものは、耐熱性が良好であり、バックライトユニットに用いられた際にLED2からの放熱によって変形や皺等を生じ難いので好ましく使用される。しかも、ポリカーボネートからなる樹脂シートは、ポリカーボネート自体が透明性の良好な樹脂であり、吸湿性が少なく、高輝度で、反りが少ないため、極めて好ましく使用される。さらに、この樹脂シートは、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の透光性の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。しかも、この樹脂シートは、2種以上の樹脂材料を混合し、アロイ化し、複合化したものを使用することもできる。
また、上記実施形態の光学シート1は、例えば両面がフラットな樹脂シートを型で押さえ付けて成形するプレス製法を用いて作製することができるが、他のプレス製法やキャスティング法等又は射出成形法の成形法、型ロールを通すことによるロール成形法や押出成形法等による連続成形法等、任意の製法で作製してもよい。
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、成形に必要な安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光増白剤等が適宜含有されていてもよい。さらに、多層構成をもつ光学シート1においては、これらの添加剤は、例えば基材層と表面層の間で添加剤の種類や配合比率を適宜変更してもよい。図13は、基材層11の上層と下層に表面層12,13を設け、これらの表面層12,13に凸状の畝部を配列形成した3層構造の光学シート1の例を示す。
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、光拡散剤が含有されていてもよい。この光拡散剤としては、樹脂シートの樹脂材料との光屈折率が異なる無機質粒子、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子等が単独で又は適宜組合わせて使用される。無機質粒子としては、ガラス[Aガラス(ソーダ石灰ガラス)、Cガラス(硼珪酸ガラス)、Eガラス(低アルカリガラス)]、シリカ、マイカ、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト、カオリンクレー、ベントナイト、ヘクトライト、シリコーン等の粒子が使用される。そして、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が使用され、また、有機ポリマー粒子としては、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ベンゾグアナミン等の粒子が使用される。このような光拡散剤を含有していれば、光学シート1内で光を十分に拡散させることができるので、バックライトユニットに高価な光拡散フィルム等を追加して用いる必要がなくなる。
上記光拡散剤は、その平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmであるものが使用される。粒径が0.1μmより小さい光拡散剤は、凝集しやすいため分散性が悪く、均一に分散できたとしても光の波長の方が大きいので光散乱効率が悪くなる。それゆえ、0.5μm以上の、更には1μm以上の大きさの粒子が好ましいのである。一方、粒径が100μmより大きい光拡散剤は、光散乱が不均一になったり、光線透過率が低下したり、粒子が肉眼で見えたりするようになる。このため、50μm以下の粒子、特に30μm以下の粒子が好ましい。
また、上記実施形態では、光学シート1が樹脂シートである場合を示したが、透光性シート(フィルム状や板状等のものも含む)であればよいので、薄板状のガラス等であってもよい。さらに、上記実施形態の光学シート1は、シート面が平面である場合を示したが、例えば液晶パネル3の形状に合わせて多少湾曲する等、平面以外の面であってもよい。
また、上記実施形態では、多数のLED2を前後左右方向に等間隔のマトリックス状に配置した場合を示したが、この多数のLED2の配置は例えば千鳥状であってもよくランダムに配置されていてもよい。さらに、多数のLED2は、水平な同一平面上ではなく、光学シート1の平面ではないシート面に合わせて、又は、その他の理由により、上下方向にずれた位置に配置されていてもよい。さらに、LED2の個数は複数個であれば特に限定はない。
また、上記実施形態では、光源としてLED2を用いる場合を示したが、点光源であれば光源の種類は問わない。点光源とは、EL(エレクトロルミネセンス)シート等による面光源やCCFL等による線光源に対応する意味で使われるものであり、小型の電球や放電管等も点光源として用いることができ、LED2の場合であれば、単一の素子に限らず、複数の素子を密接して配置したものであってもよい。光学シート1は、この点光源の出光方向側に配置され、点光源がLED2の場合には配光特性に強い指向性があるので、この配光分布が偏っている方向側が出光方向側となるが、通常の小型の電球や放電管等の場合にはほぼ全立体角に光が発せられるので、光が発せられる任意の側を出光方向側とすることができ、例えば小型の電球や放電管等の上方と下方にそれぞれ光学シート1,1を配置して上下双方に光を供給することもできる。ただし、反射板を用いる場合には、小型の電球や放電管等におけるこの反射板とは反対側が出光方向側となる。
また、上記実施形態は、液晶パネル3のバックライトユニットとして用いる場合を示したが、液晶パネル3以外のバックライトユニットとして用いることもできる。さらに、上記実施形態の光学シート1は、バックライトユニット以外の用途、例えば照明装置等に用いることもできる。上記実施形態の光学シート1を照明装置等に用いるような場合、複数のLED2は、照明効果等のために、配置分布に偏りを持たせたり、各LED2と光学シート1との間の距離が必ずしも同じではないように配置させることも考えられる。
〔畝部の畝沿い方向がLEDの配列方向に沿う場合〕
上記実施形態で示した厚さ1.5mmの光学シート1の実施例1〜3と、両面がフラットな透光性シートからなる厚さ1.5mmの光学シート1の比較例1を作製した。そして、これらの光学シート1を用いたバックライトユニットの均斉度を測定した結果を以下に示す。
ここで、実施例1は、上面に底角が55°と45°と35°と25°と10°の二等辺三角形の縦断面形状を有する5種類の畝部の組を配列形成し、下面には底角が25°の二等辺三角形の縦断面形状を有する1種類の畝部だけを配列形成した光学シート1である。実施例2は、上面は実施例1と同じであり、下面に55°と45°と25°の二等辺三角形の縦断面形状を有する3種類の畝部の組を配列形成した光学シート1である。実施例3は、上面に底角が55°と45°と25°の二等辺三角形の縦断面形状を有する3種類の畝部の組を配列形成し、下面に底角が60°と45°と25°の二等辺三角形の縦断面形状を有する3種類の畝部の組を配列形成した光学シート1である。
これら実施例1〜3の光学シート1の各畝部の畝幅は、いずれもそれぞれ200μmとしているが、実施例3の光学シート1における下面の底角が60°の畝部の畝幅は400μm、25°の畝部の畝幅は100μmとしている。また、これら実施例1〜3の光学シート1の上下の面における畝部の畝沿い方向は直交させている。さらに、これら実施例1〜3の光学シート1は、いずれも透光性シートには拡散剤は含有させていない。比較例1の光学シート1は、拡散剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「トスパール120S」)を0.2%含有させている。
上記実施例1〜3と比較例1の光学シート1を用いたバックライトユニットは、図14に示すように、前後左右方向に隣接するLED2,2の間隔距離である光源間距離Dが20mmの場合と30mmの場合とについて、LED2から光学シート1までの光源シート間距離Hを変化させながら均斉度を測定した。これら多数のLED2は、実施例1〜3の光学シート1における上面の畝部の畝沿い方向である前後方向と下面の畝部の畝沿い方向である左右方向に共に等しい光源間距離Dでマトリックス状に配置されている。そして、光源シート間距離Hと光源間距離Dとの比H/Dが0.6以上となる場合について、この比H/Dを0.1ずつ増加させた各光源シート間距離Hについて測定を行った。
ただし、光源間距離Dが20mmの場合には、比H/Dが1.0のときに光源シート間距離Hが20mmとなり、光源間距離Dが30mmの場合には、比H/Dが0.7のときに光源シート間距離Hが21mmとなるので、これらを超えるような光源シート間距離Hではバックライトユニットが厚くなりすぎて、テレビ受像器等の薄型化志向に逆行し実用的ではない。しかも、一般的には比H/Dが大きくなり光源シート間距離Hが長くなるほど均斉度を高くすることも容易となるので、光学シート1の効果を検証する上では、光源シート間距離Hが20mmを超えるような場合まで測定してもあまり意味がない。このため、比H/Dの最大値は、光源間距離Dが20mmの場合には1.0、光源間距離Dが30mmの場合には0.7とした。
また、上記実施例1〜3と比較例1の光学シート1を用いたバックライトユニットは、光学シート1の上方に各種の光拡散フィルム4を配置できるようになっている。そして、この光拡散フィルム4の配置の有無や、光拡散フィルム4の種類・枚数を変えて、第1の構成から第4の構成までのそれぞれの場合ごとに均斉度の測定を行った。即ち、バックライトユニットの第1の構成は、光拡散フィルム4を配置せず光学シート1だけを用いた場合であり、第2の構成は、光拡散フィルム4として拡散フィルム(韓国SKC Co., Ltd.社製「CH283T」)だけを用いた場合であり、第3の構成は、光拡散フィルム4として拡散フィルム(韓国SKC Co., Ltd.社製「CH283T」)と2枚のマイクロレンズ付き拡散フィルム(韓国Shinwha Intertek Corporation社製「PTR863」)とを重畳した場合であり、第4の構成は、光拡散フィルム4として拡散フィルム(韓国SKC Co., Ltd.社製「CH283T」)とプリズムシート(住友スリーエム株式会社製「BEF III」)と偏光分離シート(住友スリーエム株式会社製「DBEF−D400」)とを重畳した場合である。なお、プリズムシートは、プリズム条に沿う向きを実施例1〜3の光学シート1の上面の畝部の畝沿い方向と直交するように配置した。
光学シート1の均斉度の測定には、株式会社アイ・システム社製の「EYESCALE III」を用い、室温23℃、湿度50%RHの環境で測定を行った。この測定は、図15に示すように、LED2の真上の領域A0と、周囲4箇所ずつのLED2の間の領域A1〜A4の計5点の測定ポイントで、光学シート1の上方から、また、光拡散フィルム4を配置した場合にはこの光拡散フィルム4の上方から輝度を測定し、領域A0と各領域A1〜A4との輝度の比をそれぞれ計算し、これら4つの輝度の比の平均値を均斉度として算出することにより行う。
バックライトユニットが第1の構成の場合の実施例1〜3と比較例1における均斉度の測定結果を表1に示すと共に、この表1をグラフ化したものを図16に示す。また、この表1と図16では、出願人既提案の発明との比較のため、上面は実施例1や実施例2と同じであり、下面がフラットな透光性シートからなる厚さ1.5mmの光学シート1の比較例2における均斉度の測定結果も併せて示している。
この表1と図16から明らかなように、実施例1〜3は、光源シート間距離H(比H/D)を変えても常に比較例1よりも高い均斉度が確実に得られることが分かった。また、出願人既提案の発明の比較例2との比較においても、実施例1〜3は、光源シート間距離H(比H/D)にかかわらず遥かに高い均斉度が得られることが分かった。比較例2は、CCFL等の線光源を用いた場合に高い均斉度が得られるように開発された光学シート1であるため、LED2のような点光源に対しては、上面の畝部の畝沿い方向でのLED2からの距離に応じた輝度ムラが極めて大きくなり、実施例1〜3よりも遥かに低い均斉度となった。しかも、この比較例2は、光学シート1に拡散剤を含有させていないため、拡散剤を含有させた両面がフラットな光学シート1の比較例1に対しても、均斉度が劣る結果となった。
ここで、均斉度は、用途にもよるが、テレビ受像機等のバックライトユニットの場合には、少なくとも80%以上、好ましくは90%以上の高い値が要求される。従って、このような高い均斉度が要求される用途の場合、実施例1〜3の光学シート1を用いただけでは、実用上十分な均斉度は得られないことも分かり、従来からの光拡散フィルム4と組み合わせて使用することが好ましいものとなる。
なお、実施例1では、比H/Dが1.0(D=20mm)の場合にのみ均斉度が97.2%となり、実用上十分な高い均斉度が得られた。従って、この場合には、実施例1の光学シート1を用いただけでも、高い均斉度が要求される用途のバックライトユニットとして使用することができる。ただし、この場合には、比H/D、即ち光源シート間距離Hと光源間距離Dとの関係を変更することができないので、汎用性は少し劣るものとなる。
バックライトユニットが第2の構成の場合の実施例1〜3と比較例1における均斉度の測定結果を表2に示すと共に、この表2をグラフ化したものを図17に示す。
この表2と図17から明らかなように、第2の構成の場合においても、実施例1〜3は、光源シート間距離H(比H/D)を変えても常に比較例1よりも高い均斉度が確実に得られることが分かった。また、このように拡散フィルムからなる光拡散フィルム4を追加配置すると、実施例1で比H/Dを0.9以上とした場合と実施例3で比H/Dを1.0とした場合には均斉度が80%を超えるので、最適な設計をすれば、高い均斉度が要求される用途でも実用的な均斉度が得られることも分かった。
バックライトユニットが第3の構成の場合の実施例1〜3と比較例1における均斉度の測定結果を表3に示すと共に、この表3をグラフ化したものを図18に示す。
この表3と図18から明らかなように、第3の構成の場合においても、実施例1〜3は、光源シート間距離H(比H/D)を変えても常に比較例1よりも高い均斉度が確実に得られることが分かった。しかも、実施例1〜3のいずれもほとんどの場合に均斉度が80%を超え、90%を超えることもあるので、高い均斉度が要求される用途でも実用的な均斉度が得られることも分かった。
バックライトユニットが第4の構成の場合の実施例1〜3と比較例1における均斉度の測定結果を表4に示すと共に、この表4をグラフ化したものを図19に示す。
この表4と図19から明らかなように、第4の構成の場合においても、実施例1〜3は、光源シート間距離H(比H/D)を変えても常に比較例1よりも高い均斉度が確実に得られることが分かった。しかも、実施例1〜3のいずれも、比較例1よりも格段に高い均斉度が得られ、全ての場合に均斉度が80%を超えると共に、ほとんどの場合に90%も超えているので、高い均斉度が要求される用途でも十分に実用的な均斉度が得られることが分かった。
さらに、上記表3及び表4と図18及び図19によれば、第3の構成や第4の構成の場合のように、実施例1〜3の光学シート1に加えて、光拡散フィルム4として従来から実績のあるものを組み合わせて使用すれば、高い均斉度が要求される用途でも実用的な均斉度が得られることが分かっただけでなく、実施例1〜3の光学シート1を用いない比較例1の場合には確実に均斉度が低下して実用的な均斉度を得られることが比較的少ないので、単に従来から実績のある光拡散フィルムを組み合わせただけでは不十分であることが分かり、これら実施例1〜3の光学シート1の有用性も明らかとなった。
〔畝部の畝沿い方向がLEDの配列方向に沿わない場合〕
次に、バックライトユニットが第1の構成と第2の構成の場合であって、比H/Dを0.6(D=30mm)とした場合に、実施例1〜3と比較例1の光学シート1を多数のLED2に対して水平面上で回転させた場合のバックライトユニットの均斉度を測定した結果を以下に示す。
光学シート1は、比較のために回転させない場合(回転角度0°)と、回転角度30°回転させた場合と回転角度45°回転させた場合について測定した。この光学シート1をこのように回転させると、実施例1〜3の場合における上下の面の畝部の畝沿い方向はLEDの配列方向に対してねじれ方向となり、これらは沿わなくなる。バックライトユニットが第1の構成の場合に光学シート1を回転させたときの均斉度の測定結果を表5に、第2の構成の場合に光学シート1を回転させたときの均斉度の測定結果を表6に示す。
これらの表5及び表6によれば、光学シート1を30°や45°回転させた場合であっても、実施例1〜3の均斉度は多少上下はするが、比較例1の均斉度よりは十分に高い値が得られるので、実施例1〜3の光学シート1における上下の面の畝部の畝沿い方向は、マトリックス状に配置されたLED2の配列方向にはほとんど影響を受けないことが確認できた。また、このことは、LED2の配置が千鳥状であっても、配置分布に偏りのないランダム状であっても同様であることが推測される。なお、これらの表5及び表6において、回転角度が0°のときは、表1及び表2において比H/Dを0.6(D=30mm)とした場合と本来ならば同じ結果が得られるはずであるが、測定誤差により均斉度の測定結果が僅かに相違しているものがある。
〔上下の面の畝部の畝沿い方向が直交しない場合〕
さらに、バックライトユニットが第1の構成の場合において、実施例2の光学シート1における下面の畝部の畝沿い方向を上面の畝部の畝沿い方向に対して回転させて作製した実施例4、実施例5及び比較例3の光学シート1について、実施例2の光学シート1と共にバックライトユニットの均斉度を測定した結果を以下に示す。
実施例2の光学シート1は、図20(a)に示すように、下面の畝部の畝沿い方向が上面の畝部の畝沿い方向に対して直交(上下の面の角度差90°)しているが、実施例4は、図20(b)に示すように、下面の畝部の畝沿い方向だけを背面図上で時計回りに45°回転(上下の面の角度差45°)させて作製した光学シート1である。また、実施例5は、図20(c)に示すように、下面の畝部の畝沿い方向だけを背面図上で時計回りに60°回転(上下の面の角度差30°)させて作製した光学シート1である。さらに、比較例3は、図20(d)に示すように、下面の畝部の畝沿い方向だけを背面図上で時計回りに90°回転(上下の面の角度差0°)させて作製した光学シート1であり、上下の面の畝部の畝沿い方向が同一方向となっている。
上記実施例2、実施例4、実施例5及び比較例3における均斉度の測定結果を表7に示すと共に、この表7をグラフ化したものを図21に示す。
この表7と図21によれば、上下の面の角度差が45°となる実施例4の場合には、この角度差が90°となる実施例2に比べて、均斉度が比H/Dに応じ多少上下はするが、いずれも比較例3の均斉度よりは十分に高い値が得られた。また、上下の面の角度差が30°となる実施例5の場合にも、実施例2や実施例4よりは均斉度が低下するものの、この角度差が0°となる比較例3に比べれば均斉度はほとんどの場合に上回ることになる。従って、光学シート1の上下の面の畝部の畝沿い方向は、必ずも直交していなくても、30°以上の角度差があれば十分に本発明の効果が得られることが確認でき、少なくとも0°を超える角度差があれば、その角度差に応じた本発明の効果が得られることが推察できた。