JP2011127204A - 耐水素脆性高強度オーステナイト系合金 - Google Patents

耐水素脆性高強度オーステナイト系合金 Download PDF

Info

Publication number
JP2011127204A
JP2011127204A JP2009288770A JP2009288770A JP2011127204A JP 2011127204 A JP2011127204 A JP 2011127204A JP 2009288770 A JP2009288770 A JP 2009288770A JP 2009288770 A JP2009288770 A JP 2009288770A JP 2011127204 A JP2011127204 A JP 2011127204A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
value
alloy
hydrogen embrittlement
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009288770A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5561583B2 (ja
Inventor
Toshihiro Uehara
利弘 上原
Nobutaka Yasuda
信隆 安田
Hiroshi Haruyama
博司 春山
Hiroki Kamoshida
宏紀 鴨志田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2009288770A priority Critical patent/JP5561583B2/ja
Publication of JP2011127204A publication Critical patent/JP2011127204A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5561583B2 publication Critical patent/JP5561583B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、高強度と耐水素脆性を両立した耐水素脆性高強度オーステナイト系合金を提供するものである。
【解決手段】 質量%でC:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.01〜0.8%、Cr:14〜17%、Mo:3.5%〜5.0%、Al:1.6〜2.5%、Ti:1.5〜3.0%、Nb:0.5〜2.0%、Ni:50〜60%、B:0.001〜0.015%、Mg:0.001〜0.015%、残部はFe及び不純物からなり、原子%で下記A値が2.0〜4.0、B値が0.5〜0.6、C値が6.4〜7.6、且つ、室温における引張強さが1180MPa以上、伸びが19%以上である耐水素脆性高強度オーステナイト系合金。
A値 0.293[Ni]−0.513[Cr]−1.814[Mo]
B値 [Al]/([Al]+[Ti]+[Nb])
C値 [Al]+[Ti]+[Nb]
[ ]は原子%を表す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐水素脆性に優れる高強度γ′相析出強化型オーステナイト系合金に関するものである。
近年、地球環境保護の観点から、使用時に二酸化炭素を排出しない水素エネルギーが注目されており、その一例として、燃料電池自動車等の高圧水素容器搭載自動車の開発などが検討されている。車載容器の圧力は現状35MPaであり、この容器による航続走行距離はガソリン自動車に劣っている。ガソリン自動車並みの航続走行距離を得るためには水素ガス搭載量の増加が必要であり、さらに70MPa対応の圧力容器や関連機器の開発による水素ガスの充填圧力の高圧化が進められている。
水素エネルギーのインフラの拠点となる水素ステーションにおいて、車載容器へ高圧水素ガスを供給するディスペンサーには、コリオリ式流量計(高圧水素流量計の一例)が使用される。高圧で水素ガスを供給するため、コリオリ式流量計に使用される材料には、室温、高圧水素中において高強度かつ延性に優れることが要求される。
一般的に、多くの合金系において、高強度であるほど水素脆化が発生しやすい傾向にあるが、特許文献1のように、高強度であって水素脆化の発生が少ない合金として、γ′相強化型FeNi基合金の使用可能性が示唆されている。また、高温用途で実績のあるγ’析出強化型Fe基超合金、A286合金(JIS SUH660相当合金)は、耐水素脆性の優れた高強度合金として知られており、高圧水素用インフラ部材において高強度が必要とされる部材に使用されている。
特開2008−144237
一般に、通常のオーステナイト系Fe基合金SUS316Lは耐水素脆性に優れた合金とされているが、供給水素の高圧化を実現するためには強度が低いため、高圧水素用インフラ部材に使用すると、部材の肉厚を非常に大きくせざるを得ず、ディスペンサーのコリオリ式流量計のような薄肉で感度を維持するような機器には使用することが難しいといった問題があった。また、SUS316Lのような室温での引張強さの低いFe基合金では、コリオリ式流量計のように、使用中に振動荷重を受ける機器に使用するには、疲労強度が不足するため、高圧水素用途には使用しづらいといった問題があった。
また、高強度を有するA286合金においても、その引張強さは1100MPa前後であり、高圧水素用インフラ機器のコンパクト化及び高圧化の要求に対して、強度が不足する恐れがある。
本発明の目的は、高強度と耐水素脆性を両立した耐水素脆性高強度オーステナイト系合金を提供することにある。
本発明者等はNi量の増加によりγ’相を増加することで高強度化が図れるが、Ni自体が水素脆化しやすい元素であるため、Fe基で高強度化と耐水素脆性を両立できるNi量の検討を実施し、さらに水素のトラップサイトとなりうる(Nb、Ti)の複合炭化物を微細分散させることが可能な最適な組成に調整することによって、本発明に到達した。
即ち本発明は、質量%でC:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.01〜0.8%、Cr:14〜17%、Mo:3.5%〜5.0%、Al:1.6〜2.5%、Ti:1.5〜3.0%、Nb:0.5〜2.0%、Ni:50〜60%、B:0.001〜0.015%、Mg:0.001〜0.015%、残部はFe及び不純物からなり、原子%で下記A値が2.0〜4.0、B値が0.5〜0.6、C値が6.4〜7.6、且つ、室温における引張強さが1180MPa以上、伸びが19%以上である耐水素脆性高強度オーステナイト系合金である。
A値 0.293[Ni]−0.513[Cr]−1.814[Mo]
B値 [Al]/([Al]+[Ti]+[Nb])
C値 [Al]+[Ti]+[Nb]
[ ]は原子%を表す。
好ましくは、オーステナイト基地中に分散する(Nb、Ti)の複合炭化物の円相当径が25μm以下とする耐水素脆性高強度オーステナイト系合金である。
本発明により、高強度でかつ水素脆化しにくい耐水素脆性高強度オーステナイト系合金を提供することができる。
回転曲げ疲労試験結果を示す図である。
本発明の耐水素脆性高強度オーステナイト系合金において、各化学組成を規定した理由は以下の通りである。なお、特に記載のない限り化学組成を質量%で表す。
C:0.01〜0.10%
CはNb、Tiと結びついてMC型炭化物を形成し、結晶粒を微細化することで高強度化や耐水素脆性の向上に寄与する。Cが0.01%より少ないとMC型炭化物の生成量が少なくなり、結晶粒微細化効果が十分得られず、一方0.10%より多いと形成されるMC型炭化物のサイズ、量が大きくなり、耐水素脆性や疲労強度が低下する可能性があることから、Cは0.01〜0.10%とした。Cの好ましい下限は0.02%であり、好ましい上限は0.08%である。
Si:0.01〜0.8%
Siは脱酸のために0.01%以上添加する必要があるが、0.8%を超えると靱性が低下する可能性があることから、Siは0.01〜0.8%とした。Siの好ましい上限は0.5%である。
Mn:0.01〜0.8%
MnはSiと同様に脱酸のために0.01%以上添加する必要があるが、0.8%を超えると靱性が低下する可能性があることから、Mnは0.01〜0.8%とした。Mnの好ましい上限は0.5%である。
Cr:14〜17%
Crは高圧水素インフラ部材に必要な耐食性を維持するために必須な元素であり、オーステナイト基地中に固溶して固溶強化により室温での引張強さを高める効果も持つ。耐食性を維持するためには14%以上の添加が必要であり、一方、17%を超えて添加するとオーステナイト組織が不安定となり、安定した耐食性を維持しにくくなることから、Crは14〜17%とした。Crの好ましい下限は15%、好ましい上限は16.5%である。
Mo:3.5%〜5.0%
Moはオーステナイト基地に固溶して固溶強化により室温での引張強さを高める効果も持つとともに水素インフラ部材に必要な耐食性を向上させる効果を有する。Moが3.0%より少ないと室温での高い強度が十分得られず、一方5.0%を超えて添加すると固溶強化が過度になったりオーステナイト組織が不安定になったりすることで熱間加工性が低下したり、室温での延性が低下したりすることから、Moは3.5%〜5.0%とした。Moの好ましい上限は、4.6%である。
Al:1.6〜2.5%
Alは時効処理によってNi、Ti、Nbとともにγ’相を微細析出させて常温での高強度を得るために不可欠の元素であり、少なくとも1.6%を必要とするが、一方で2.5%を超えて添加すると熱間加工性や溶接性が劣化する恐れがあることから、Alは1.6〜2.5%とした。Alの好ましい上限は2.1%、さらに好ましい上限は1.9%である。
Ti:1.5〜3.0%
TiはC、NbとともにMC型炭化物を形成してオーステナイト結晶粒を微細化するとともに、時効処理によってNi、Al、Nbとともにγ’相を微細析出させて常温での高強度を得るために不可欠の元素であり、1.5%以上の添加を必要とする。一方、3.0%を越えて添加すると熱間加工性や溶接性が劣化する恐れがあることから、Tiは1.5〜3.0%とした。Tiの好ましい下限は1.8%であり、好ましい上限は2.5%、さらに好ましい上限は2.3%である。
Nb:0.5〜2.0%
NbはC,TiとともにMC型炭化物を形成してオーステナイト結晶粒を微細化するとともに、時効処理によってNi、Al、Tiとともにγ’相を微細析出させて常温での高強度を得るために有効な元素であり、0.5%以上の添加を必要とする。一方、2.0%を超えて添加すると粗大なMC型炭化物を生成して熱間加工性を低下させる恐れがあることから、Nbは0.5〜2.0%とした。Nbの好ましい下限は0.8%であり、好ましい上限は1.6%である。さらに好ましい下限は1.0%であり、さらに好ましい上限は1.4%である。
Ni:50〜60%
Niはオーステナイト基地を安定化して固溶化処理時にγ’相などの金属間化合物を十分固溶させ、また固溶強化に寄与するMoを十分固溶させるとともに、時効処理時に微細析出するγ’相の構成元素として析出強化により常温での引張強度の向上に欠かせない重要な元素である。Niは50%より少ないとオーステナイト組織が不安定となり、またγ’相の析出が不十分となり、常温での引張強度が低下し、また一方60%を超えて添加すると熱間加工性が低下したり、水素脆化が発生しやすくなったりすることから、Niは50〜60%とした。Niの好ましい下限は52%、好ましい上限は58%である。さらに好ましい下限は54%、さらに好ましい上限は56%である。
B:0.001〜0.015%
Bは少量の添加によってオーステナイト結晶粒界に偏析して粒界を強化し、熱間加工性を向上させるが、最低0.001%以上の添加により効果を生じる一方、0.015%を超えて添加するとBが偏析した粒界部分の融点が局部的に低下して逆に熱間加工性を害することから、Bは0.001〜0.015%とした。
Mg:0.001〜0.015%
MgはSとともに硫化物を形成して、Sの粒界偏析による熱間加工性の低下を防止する効果を有するが、0.001%より少ないと十分な効果が得られない一方で、0,015%を超えて添加すると低融点の化合物が生成するため熱間加工性を害することから、Mgは0.001〜0.015%とした。
残部はFe及び不純物
残部はFe及び不純物であるが、Feは上記の各元素の含有量を調整する元素である。また、本発明において、高強度Fe基超合金を製造する上で不可避的に混入する不純物を含むことができる。特に以下の元素については下記に示す範囲で含有しても差し支えない。
P≦0.04%、S≦0.015%、O≦0.015%、N≦0.05%、Cu≦1.0%
本発明においては、良好な耐水素脆性を有するためには、水素の許容固溶量の多いオーステナイト組織を基本組織とする必要がある。しかも高強度と良好な耐食性を得るために固溶Mo量をできるだけ多く固溶させることが必要である。
そのために、原子%で表されるA値:0.293[Ni]−0.513[Cr]−1.814[Mo]の値を2.0〜4.0に規定することにより、高強度と良好な耐食性を両立することが可能となる。A値が2.4より小さいとMoを規定量含む安定なオーステナイト組織を得ることが難しく、一方4.0を超えると固溶強化が不十分となり常温での強度が不足する恐れがある。
さらに本発明では、以下のようにγ’相中のAl比率とγ’相生成元素中であるAl、Ti、Nbの総量も規定する。
B値 [Al]/([Al]+[Ti]+[Nb])
C値 [Al]+[Ti]+[Nb]
[ ]は原子%を表す。
B値は、γ’相中のAlの比率を表すものである。Alの比率が低くB値が0.5より小さいと室温での強度が高くなり過ぎて延性が低下する一方、Alの比率が高くB値が0.6より大きいとγ’相による析出強化の効果が低下して室温での強度が低下することから、B値は0.5〜0.6とした。
C値は、γ’相生成元素中であるAl、Ti、Nbの総量を表すものである。C値が6.4より小さいと時効析出するγ’相の量が少なくなり室温での高い引張強度が得られなくなる一方、C値が7.6より大きいと時効析出するγ’相の量が多くなり、室温での延性が低下することから、C値は6.4〜7.6とした。
上記の化学成分の規定を満足するように添加元素量を調整した上で、適正な熱処理、すなわち適正な固溶化処理と時効処理を行うことで、1180MPa以上の室温での引張強さと19%以上の室温での伸びを得ることができる。
引張強さが1180MPa以上あれば、既存の耐水素脆性材料の中で高強度を示すA286合金より高い室温引張強さを得ることができ、同時に良好な延性をも維持できる。1210MPa以上の引張強さに調整することも可能であり、さらに好ましい。
本発明にいて、オーステナイト基地中に分散する(Nb、Ti)の複合炭化物の円相当径が25μm以下であることが好ましい。
オーステナイト基地中に分散する(Nb、Ti)のMC型複合炭化物は、水素のトラップサイトとなり、水素脆化の起点となる可能性がある。(Nb、Ti)の複合炭化物が円相当径で25μmより大きいと、その炭化物に水素が多く局在して水素脆化を起こしやすくなる恐れがあることから、(Nb、Ti)の複合炭化物の円相当径を25μm以下とすることが好ましい。
本発明合金及び比較合金を真空溶解によって溶解し、熱間加工を経て直径16〜50mmの棒材を得た。
表1に本発明合金No.1〜6及び比較合金No.11〜13の化学成分を示す。ここで、比較合金No.11、12は従来材A286合金である。
本発明合金No.1〜6及び比較合金No.13は、1050℃での固溶化処理の後、750℃で時効処理を行い、また、比較合金No.11、12は、900℃で固溶化処理の後、720℃で時効処理を行なった。その後、厚さ1mmの板引張試験片及び平行部直径が8mmの回転曲げ疲労試験片を採取した。
常温での引張特性については、板引張試験片を用いて、水素チャージしない状態で常温にて引張試験を行い、引張特性を確認した後、いくつかの合金について水素チャージを実施し、その後、常温での引張特性を確認した。
板引張試験片への水素チャージについては、オートクレーブを用いた高圧水素チャージ法または陰極チャージ法により水素チャージを行なった。
高圧水素チャージ法では、温度300〜400℃、水素圧力2〜20MPaの範囲で条件を選んで水素量を変化させた。吸蔵水素量は水素昇温脱離分析法により分析した。陰極チャージ法では、0.05MのHSOと0.01MのKSCN(チオシアン酸カリウム)を有する電解液に、試験片、Pt電極、熱電対を入れ、試験片をマイナス極、Pt電極をプラス極として、50〜60℃で200mA/cmの定電流を流して水素を吸蔵させた。この場合の吸蔵水素量は、不活性ガス融解法により分析した。引張試験は常温にて2.5×10−4/sの歪速度で行い、水素チャージした試験片での破断伸びを水素チャージしていない試験片での破断伸びで除した値を水素脆化指標として、水素脆化の程度を評価した。すなわち、水素脆化指標が1に近い方が水素脆化しにくい材料であることを表すことになる。
回転曲げ疲労試験片については、陰極チャージ法により水素チャージを行なった。
0.05MのHSOと0.01MのKSCNを有する電解液に、試験片、Pt電極、熱電対を入れ、試験片をマイナス極、Pt電極をプラス極として、50〜60℃で200mA/cmの定電流を流して水素を吸蔵させた。この場合の吸蔵水素量は、不活性ガス融解法により分析した。回転曲げ疲労試験は常温にてJIS Z2274に準拠して行い、10回を超えても破断しない場合は試験を中止した。
また、本発明合金及び比較合金No.11について、固溶化処理ままでブロック状試験片を採取し、酸抽出法により、炭化物を抽出し、SEM観察により炭化物の円相当径を測定し、極値統計処理によって、推定最大円相当径を求めた。
表2に板引張試験の結果を示す。
本発明合金No.1〜6は、室温での引張強さが1180MPa以上であり、かつ伸びが19%以上である。また、本発明合金No.1、2は、水素を吸蔵すると水素脆化により伸びがやや低下する傾向が見られるものの、水素脆化指標の低下はあまり大きくなく0.76以上の依然として比較的大きい値を維持しており、かつ比較合金No.11〜13に比べて高い1180MPa以上の引張強さを維持している。
一方、比較合金No.11、12は従来合金であるA286相当合金であり、水素脆化指標の低下が小さく、水素脆化しにくい材料であるが、引張強さが本発明合金に比べて低い。また、比較合金No.13は比較合金No.11、12より高い引張強さを示しているが、本発明合金より引張強さが低く、かつ水素脆化指標の低下度合いが本発明合金と同程度であることから、強度的に不十分である。
図1に本発明合金No.2及び比較合金No.11(A286相当合金)の回転曲げ疲労試験結果を示す。
回転曲げ疲労試験に用いた水素チャージした試験片の水素量は、約12ppmであり、試験前後で分析を行い変化がないことを確認した。
図1より、本発明合金の疲労強度は、比較合金より高く、かつ水素チャージしても、比較合金と同様、疲労強度の低下が見られない。したがって、繰り返し応力下において水素を吸蔵しても良好な疲労強度を発揮できるものと考えられる。
また、本発明合金及び比較合金No.11の最大炭化物サイズ(円相当径)は、本発明合金の場合、いずれも25.0μm以下であったが、比較合金No.11は、19.7μm及び31.2μmであった。本発明合金の炭化物は、(Ti,Nb)の複合炭化物である一方、比較合金No.11の炭化物は、Tiの炭化物であったことから、MC型炭化物の組成の違いが炭化物サイズに影響している可能性がある。また、定量までできていないが、本発明合金の炭化物量は、比較合金No.11の炭化物量に比べて大幅に少なかった。
以上より、本発明合金は、(Nb、Ti)の複合MC型炭化物が微細分散しているために、炭化物にトラップされる水素が少ないと思われ、炭化物界面への水素の局在が少なく、吸蔵水素が均一に分布するので、高強度の割には水素脆化が小さいものと推定される。
以上説明したように、本発明により水素脆化の少ない高強度Fe基合金を提供でき、高圧水素インフラ部材に用いれば、部材の軽量化や長寿命化に貢献できる。

Claims (2)

  1. 質量%でC:0.01〜0.10%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.01〜0.8%、Cr:14〜17%、Mo:3.5%〜5.0%、Al:1.6〜2.5%、Ti:1.5〜3.0%、Nb:0.5〜2.0%、Ni:50〜60%、B:0.001〜0.015%、Mg:0.001〜0.015%、残部はFe及び不純物からなり、原子%で下記A値が2.0〜4.0、B値が0.5〜0.6、C値が6.4〜7.6、且つ、室温における引張強さが1180MPa以上、伸びが19%以上であることを特徴とする耐水素脆性高強度オーステナイト系合金。
    A値 0.293[Ni]−0.513[Cr]−1.814[Mo]
    B値 [Al]/([Al]+[Ti]+[Nb])
    C値 [Al]+[Ti]+[Nb]
    [ ]は原子%を表す。
  2. オーステナイト基地中に分散する(Nb、Ti)の複合炭化物の円相当径が25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐水素脆性高強度オーステナイト系合金。
JP2009288770A 2009-12-21 2009-12-21 高圧水素用部材 Active JP5561583B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009288770A JP5561583B2 (ja) 2009-12-21 2009-12-21 高圧水素用部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009288770A JP5561583B2 (ja) 2009-12-21 2009-12-21 高圧水素用部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011127204A true JP2011127204A (ja) 2011-06-30
JP5561583B2 JP5561583B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=44290101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009288770A Active JP5561583B2 (ja) 2009-12-21 2009-12-21 高圧水素用部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5561583B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013148120A (ja) * 2012-01-17 2013-08-01 Taiyo Nippon Sanso Corp 水素ガス充填装置及び水素ガス放散量の測定方法
WO2014030705A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 株式会社日本製鋼所 耐水素脆化特性に優れたNi基合金およびNi基合金材の製造方法
WO2017104755A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 日立金属株式会社 金属ガスケット及びその製造方法
WO2019189576A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 日鉄ステンレス株式会社 合金板及びその製造方法
JP2019534945A (ja) * 2016-10-12 2019-12-05 シーアールエス ホールディングス, インコーポレイテッドCrs Holdings, Incorporated 高温耐性、耐傷性を有する超合金、その合金から作られた製品、及びその合金の製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011146071A1 (en) 2010-05-21 2011-11-24 Otis Elevator Company Sheet metal guide rail for an elevator system

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006009143A (ja) * 2004-05-26 2006-01-12 Hitachi Metals Ltd エンジンバルブ用耐熱合金

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006009143A (ja) * 2004-05-26 2006-01-12 Hitachi Metals Ltd エンジンバルブ用耐熱合金

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013148120A (ja) * 2012-01-17 2013-08-01 Taiyo Nippon Sanso Corp 水素ガス充填装置及び水素ガス放散量の測定方法
WO2014030705A1 (ja) * 2012-08-24 2014-02-27 株式会社日本製鋼所 耐水素脆化特性に優れたNi基合金およびNi基合金材の製造方法
CN104583432A (zh) * 2012-08-24 2015-04-29 株式会社日本制钢所 具有优异抗氢脆性的Ni基合金和用于制造Ni基合金材料的方法
WO2017104755A1 (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 日立金属株式会社 金属ガスケット及びその製造方法
JPWO2017104755A1 (ja) * 2015-12-18 2017-12-14 日立金属株式会社 金属ガスケット及びその製造方法
US11890665B2 (en) 2015-12-18 2024-02-06 Proterial, Ltd. Metal gasket and production method therefor
US11471929B2 (en) 2015-12-18 2022-10-18 Hitachi Metals, Ltd. Metal gasket and production method therefor
JP7105229B2 (ja) 2016-10-12 2022-07-22 シーアールエス・ホールディングス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 高温耐性、耐傷性を有する超合金、その合金から作られた製品、及びその合金の製造方法
JP2021038467A (ja) * 2016-10-12 2021-03-11 シーアールエス ホールディングス, インコーポレイテッドCrs Holdings, Incorporated 高温耐性、耐傷性を有する超合金、その合金から作られた製品、及びその合金の製造方法
JP2019534945A (ja) * 2016-10-12 2019-12-05 シーアールエス ホールディングス, インコーポレイテッドCrs Holdings, Incorporated 高温耐性、耐傷性を有する超合金、その合金から作られた製品、及びその合金の製造方法
JP7138689B2 (ja) 2016-10-12 2022-09-16 シーアールエス・ホールディングス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 高温耐性、耐傷性を有する超合金、その合金から作られた製品、及びその合金の製造方法
JP6609727B1 (ja) * 2018-03-28 2019-11-20 日鉄ステンレス株式会社 合金板及びその製造方法
WO2019189576A1 (ja) * 2018-03-28 2019-10-03 日鉄ステンレス株式会社 合金板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5561583B2 (ja) 2014-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4274176B2 (ja) 高圧水素ガス用ステンレス鋼、その鋼からなる容器および機器
JP4264754B2 (ja) 高圧水素ガス用ステンレス鋼、その鋼からなる容器および機器
KR100663720B1 (ko) 오스테나이트계강 용접 조인트
EP2725112B1 (en) Carburization-resistant metal material and uses of the carburization-resistant metal material
JP6801236B2 (ja) 低温水素用オーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法
JP5786830B2 (ja) 高圧水素ガス用高強度オーステナイトステンレス鋼
JP5561583B2 (ja) 高圧水素用部材
EP3358030B1 (en) Austenitic stainless steel and method for producing austenitic stainless steel
JP6684620B2 (ja) 耐水素脆化特性に優れた高強度オーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法、ならびに高圧水素ガスおよび液体水素環境中で用いる水素用機器
JP2017031483A (ja) 高圧水素ガス用高Mn鋼鋼材およびその製造方法、ならびにその鋼材からなる、配管、容器、バルブおよび継手
JP2005320624A (ja) 大入熱溶接による溶接熱影響部の低温靭性に優れた厚手高強度鋼板
JP6648647B2 (ja) 低合金鋼材、低合金鋼管および容器、ならびにその容器の製造方法
JP2011080156A (ja) 大入熱溶接による溶接熱影響部の低温靭性に優れた厚手高強度鋼板
JP5372467B2 (ja) 耐水素脆化特性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
JP6149435B2 (ja) 高圧水素ガス用低合金鋼および高圧水素用蓄圧器
CN102690997A (zh) 具有优良的高温强度的铁素体不锈钢及其制造方法
JP4632954B2 (ja) 時効延性及びクリープ破断強度に優れた水素製造反応管用耐熱鋳鋼
CN100567542C (zh) 高压氢气用不锈钢、由该钢制作的容器以及器具
JP4784501B2 (ja) 高圧水素流量計
JP2005336602A (ja) 入熱20〜100kJ/mmの大入熱溶接用高HAZ靭性鋼材
CN113195762A (zh) 铁素体不锈钢
JP6933095B2 (ja) 高圧水素用ニッケル鋼材
JP6933094B2 (ja) 高圧水素用ニッケル鋼材
JP6798297B2 (ja) ステンレス鋼

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140311

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5561583

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350