JP2011126874A - 湿潤用基材及び化粧用パック - Google Patents

湿潤用基材及び化粧用パック Download PDF

Info

Publication number
JP2011126874A
JP2011126874A JP2010256864A JP2010256864A JP2011126874A JP 2011126874 A JP2011126874 A JP 2011126874A JP 2010256864 A JP2010256864 A JP 2010256864A JP 2010256864 A JP2010256864 A JP 2010256864A JP 2011126874 A JP2011126874 A JP 2011126874A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
oxidized
fibers
oxidized cellulose
cellulose fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010256864A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Shioda
英治 塩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Fibers Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Fibers Corp filed Critical Asahi Kasei Fibers Corp
Priority to JP2010256864A priority Critical patent/JP2011126874A/ja
Publication of JP2011126874A publication Critical patent/JP2011126874A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)

Abstract

【課題】高い吸液性と優れたゲル化能とを有し、皮膚に対する被覆基材としての役割だけでなく保湿ゲルや薬効ゲルなどの役割を有することができ、液ダレしにくく、使用者の好み及び使用箇所に応じて適切な使用効果及び使用感を得ることができ、安価に製造することができる湿潤用基材を提供すること。
【解決手段】酸化されたセルロース繊維を含む不織布を含む湿潤用基材であって、上記酸化されたセルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はその金属塩に酸化されており、そして上記酸化されたセルロース繊維の酸化度が、0.01〜0.5であることを特徴とする湿潤用基材。
【選択図】なし

Description

本発明は、湿潤用基材、特に化粧用パックの前駆材としての湿潤用基材、及び化粧用パックに関し、さらに詳しくは、本発明は、使用時に使用者の好み等に応じた水、乳液、化粧水、クリーム等で膨潤させ、膨潤した湿潤用基材で皮膚を被覆し、皮膚を湿潤状態に保ち、優れた保湿又は美容効果を与えることができる安価な湿潤用基材及び化粧用パックに関する。
従来の化粧用パックを初めとする皮膚被覆用シートには、その基材としてセルロース繊維系の不織布が多く用いられている。しかし、セルロース繊維自身が高い吸液倍率を有しているにもかかわらず、基材である不織布から皮膚に水又は成分の移行が行われにくいため、液垂れが生じやすく、また皮膚とのフィット性が悪く、長時間使用すると剥がれやすい等の問題があった。
近年、皮膚へのフィット感や冷涼感又は薬効を得るために、ヒアルロン酸やアルギン酸等の親水性のゲル化剤をセルロース繊維不織布等の基材に積層したシートが提案されている。しかし、このような積層シートは、前述のような液垂れは防止できるが、セルロース繊維不織布が単なる基材として用いられているにすぎず、セルロース繊維の優れた吸収性や安全性が充分に生かされているとは言い難いものであった。またあらかじめ定められたゲル化剤が積層されているため、一定の使用感しか得られず、使用者の好みや使用箇所に応じた水溶液等を使用して湿潤状態を保持することができないという欠点があった。さらにゲル化剤の積層によりシートの厚みが厚くなるため、皮膚へのフィット感が低下し、また製品コストが高くなるなどの欠点があった。
セルロース繊維を含む不織布そのものを、湿潤用基材として用いるために、その構成単位であるグルコースをカルボキシメチル化することが提案されている(特許文献1)。しかし、カルボキシメチル化(以下、「CM化」と称する場合がある)に関与するセルロース中の水酸基は、選択性がなくランダムに反応するため、湿潤用基材として優れた膨潤性能を得るためには、セルロース繊維を含む不織布が溶解しない範囲でカルボキシメチル化度を最大限高くする必要があった。しかし、CM化度が低いと膨潤性能が得られず、CM化度が高すぎると崩壊しやすく、適正なゲル化状態を得るための製造条件にも注意が必要であった。
また、ポリノジック短繊維をあらかじめカルボキシメチル化し、カードウェブとしたのち、ニードルパンチ方式により高吸水性の短繊維不織布を得ることも提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載の発明は、重合度の高いポリノジックレーヨンのみに適用可能な技術であり、所望の吸水性を得るためには、0.2以上のエーテル化度を達成する必要があった。従って、特許文献2に記載の発明は、重合度の高いセルロース素材以外の素材には適用できないという問題点があった。
特開2001−170104号 特開平3−269144号
本発明は、高い吸液性と優れたゲル化能とを有し、皮膚に対する被覆基材としての役割だけでなく保湿ゲルや薬効ゲルなどの役割を有することができ、液ダレしにくく、使用者の好み及び使用箇所に応じて適切な使用効果及び使用感を得ることができ、安価に製造することができる湿潤用基材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、酸化セルロース繊維を含む不織布を含む湿潤用基材であって、上記酸化セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はその金属塩に酸化されており、そして上記酸化セルロース繊維の酸化度が、0.01〜0.5であることを特徴とする湿潤用基材により上記課題を達成できることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
[態様1]
酸化セルロース繊維を含む不織布を含む湿潤用基材であって、
上記酸化セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はその金属塩に酸化されており、そして
上記酸化セルロース繊維の酸化度が、0.01〜0.5であることを特徴とする、
湿潤用基材。
[態様2]
上記酸化セルロース繊維が連続長繊維である、態様1に記載の湿潤用基材。
[態様3]
グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維をさらに含む、態様1又は2に記載の湿潤用基材。
[態様4]
上記酸化セルロース繊維からなる不織布の層と、上記グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維からなる不織布の層とを含む、態様3に記載の湿潤用基材。
[態様5]
上記酸化セルロース繊維と、上記グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維とが混繊又は混抄され、単一の不織布を形成している、態様3に記載の湿潤用基材。
[態様6]
上記酸化セルロース繊維を含む不織布が、単糸太さが0.1〜3dtexの繊維を含んでなり、バインダーを含まず、そして12〜150g/m2の目付を有する、態様1〜5のいずれかに記載の湿潤用基材。
[態様7]
化粧用パックの前駆材である、態様1〜6のいずれかに記載の湿潤用基材。
[態様8]
態様7の湿潤用基材を含む化粧用パックであって、
水、乳液、化粧水、又はクリームを含ませ、皮膚を被覆するための化粧用パック。
本発明の湿潤用基材は、酸化セルロース繊維を含む不織布を含むため、高い吸液性と優れたゲル化能とを有し、皮膚に対する被覆基材としての役割だけでなく、保湿ゲルや薬効ゲルなどの役割を有することができる。
本発明の湿潤用基材は、従来のセルロース繊維系不織布と比較して保液性に優れているため、使用時に液ダレしにくい。
本発明の湿潤用基材は、使用に際して使用者が、水、乳液、化粧水、クリーム等を自由に選択し、その量を自由に変更できるため、使用者の好み及び使用箇所に応じて適切な使用効果及び使用感を得ることができる。
本発明の湿潤用基材は、従来のゲル化剤積層シートよりも安価に提供することができる。
また、本発明の湿潤用基材は、使用時に上記酸化セルロース繊維を含む不織布そのものがゲル化するため、従来のゲル積層シートに比べてシートの厚みを薄くすることができ、さらにフィット性が向上し、長時間の使用でも剥がれ落ちにくい。
本発明の湿潤用基材は、皮膚に直接接する部分がセルロースであることから、使用者への安全性や安心感が得られやすく、酸化セルロース繊維は、水、乳液、化粧水、クリーム等を含浸させることにより透明性を示すため、使用者に与える冷涼感やしっとり感などが向上する。
本発明に用いられる酸化セルロース繊維は、グルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はそのアルカリ金属塩に酸化されている。上記アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられ、人の肌に使用する点を考慮すると、ナトリウム又はカリウムが好ましい。上記アルカリ金属塩としては、例えば、−COONa、−COOKが挙げられる。
なお、本明細書において、「酸化セルロース繊維」は、グルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はそのアルカリ金属塩に酸化されているセルロース繊維を意味する。
本明細書において、「グルコース残基内の−CH2OH基」は、セルロースの構成単位であるグルコース、より正確には、D−グルコースの6位の炭素を含む−CH2OH基を意味する。
上記酸化セルロース繊維を製造するために用いられる繊維、すなわち、グルコース残基内の−CH2OH基が−COOH基又はそのアルカリ金属塩に酸化されていないセルロース繊維(以下、「未酸化のセルロース繊維」と称する)は、特に制限されず、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、コットン、パルプ、ポリノジック、リヨセル(テンセル(登録商標))などの公知の繊維を用いることができる。上記未酸化の繊維は、連続長繊維でも短繊維でもよいが、連続長繊維を含む不織布が、短繊維を含む不織布よりも皮膚との接触面積が大きく、溶液の肌への移行がスムーズであり、しっとり感が得やすい点で好ましい。
本発明に用いられる酸化セルロース繊維を含む不織布は、最初にセルロースを酸化し、次いで酸化されたセルロースから不織布を製造してもよく、又は未酸化のセルロースから不織布を製造し、次いで未酸化のセルロースを含む不織布を酸化し、酸化されたセルロースを含む不織布を製造してもよい。
上記未酸化のセルロース繊維を含む不織布としては、特公昭52−6381号公報に開示された、銅アンモニアレーヨンの連続フィラメントからなる、単糸2dtex前後の複数の連続長繊維フィラメントを交絡させて接着剤を用いることなく多孔性に形成した不織布が挙げられる。当該不織布は、重合度が500前後と高いため引張強度も高く、柔軟性に富み、風合いも良好であり、さらに当該不織布に、酸化、架橋等の処理を行っても引張強度の低下が少なく、組織の破壊及び柔軟性の著しい低下が生じにくい点で好ましい。上記連続長繊維フィラメントを用いると、重合度が高く、後述の酸化度が比較的高くても崩壊しにくいので、幅広い酸化度を選択することが可能である。
上述の連続長繊維フィラメントを含む不織布を酸化すると、純水の吸液倍率(吸水倍率)10〜60倍、生理食塩水の吸液倍率7〜50倍を示し、さらに架橋構造化されたものは純水の吸液倍率12〜80倍、生理食塩水の吸液倍率10〜70倍を示す。
一方、短繊維セルロース繊維を含む不織布では、重合度の低いセルロース繊維が用いられ、酸化により崩壊する場合があり、そして短繊維であることから、酸化度を高くすると、繊維が分解する場合があるので、酸化度は、低い方が好ましい。
上記酸化セルロース繊維を含む不織布は、未酸化のセルロース繊維を含む不織布を、繊維学会誌Vol.57 No.6(2001)に記載されるように、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下、「TEMPO」と略する)を触媒とし、臭化アルカリ金属の存在下で、酸化剤を用いて酸化することにより製造することができる。酸化により、セルロース繊維を含む不織布のセルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基が、−COOH又はそのアルカリ金属塩に酸化される。
また、未酸化のセルロース繊維を含む不織布に対し、酸化触媒として0.001〜0.2mmol/gのN−オキシル化合物を用いて、酸化セルロース繊維を含む不織布を製造することができる。N−オキシル化合物としては特に限定されるものではないが、TEMPO触媒が好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、セルロース系繊維の不織布に対して0.001〜0.2mmol/gであることが好ましく、さらには0.01〜0.1mmol/gであることがより好ましい。N−オキシル化合物が0.001mmol/g未満の場合、反応が進行しにくい場合があり、また、0.2mmol/gを超える場合、不織布の形状を維持することができなくなる場合がある。
上記工程において、未酸化のセルロース繊維を含む不織布に対し、水中で、0.5〜10mmol/gのハロゲン化物存在下、0.1〜5mmol/gの反応開始剤を用いて、酸化セルロース繊維を含む不織布を製造することができる。上記ハロゲン化物としては、臭化物又はヨウ化物が好ましく、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属を挙げることができる。より好ましくは、臭化ナトリウムである。上記ハロゲン化物の使用量は、セルロース繊維を含む不織布に対して0.5〜10mmol/gであることが好ましい。上記ハロゲン化物が0.5mmol/g未満の場合、反応が進行しにくくなり、また、10mmol/gを超える場合、不織布の形状を維持することが困難となる場合がある。
上記反応開始剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物等が挙げられる。好ましくは、次亜塩素酸ナトリウムである。充分な反応速度と、反応中に溶解等で酸化セルロース繊維を含む不織布が崩壊、流出しないこととを考慮すれば、反応開始剤の使用量は、セルロース系繊維の不織布に対して0.1〜5mmol/gであることが好ましく、更には1〜3mmol/gであることがより好ましい。反応開始剤が0.1mmol/g未満の場合、反応が進行しにくくなり、また、5mmol/gを超える場合、反応が過剰に進行し、不織布の形状を維持することができなくなる場合がある。
上記反応を組み合わせて、酸化セルロース繊維を含む不織布を製造することもできる。
上記酸化セルロース繊維の酸化度は、主に反応に用いられる酸化触媒や反応開始剤により制御することができる。また、反応時間や温度によっても制御可能である。反応に用いられる酸化触媒又は反応開始剤の使用量が増えると酸化度は高くなる傾向があり、反応時間が長くなると参加度は高くなる傾向があり、そして反応温度が高くなると、酸化度が酸化度は高くなる傾向がある。
上記方法に従うと、セルロース分子鎖を構成するグルコース残基中の3つの水酸基のうち、1級水酸基を含む−CH2OH基を、特異的に酸化することができる。これにより、比較的低い酸化度であっても、高い吸液性と透明性とを得ることができる。
酸化度は、反応温度、反応時間、及びTEMPO触媒濃度によって制御することができる。
また、上記酸化セルロース繊維を含む不織布の架橋処理も、従来公知の架橋剤を用いて、公知の方法で行うことができる。
本発明において、酸化セルロース繊維の酸化度は、基材の湿潤性、ゲル化能、保液性等の点から、0.01〜0.5の範囲であり、0.02〜0.5が好ましく、そして0.05〜0.3がより好ましい。酸化度が0.01を下回ると、湿潤性、ゲル化能は酸化されていないセルロース繊維からなる不織布と大差ない状態となり、そして酸化度が0.5を上回ると、セルロース繊維の分子鎖間の水素結合の多くが切断されてしまい、結果溶解しやすくなる。
なお、本明細書において、単に「酸化」と称する場合には、セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部を、−COOH又はそのアルカリ金属塩に転化させることを意味する。
本発明の酸化セルロース繊維を含む不織布を含む湿潤用基材は、セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−CHO基に転化された繊維を含んでもよい。
本明細書において、「酸化度」は、以下のように定義される。
酸化セルロース繊維を含む不織布100mgを、9質量%のアルカリ性重水溶液2mLに溶解し、その溶液の13Cを、核磁気共鳴 BRUKER NMR AVANCE 400 にて測定する。セルロースの1位炭素の積分値Aに対するカルボニルの炭素の積分値Bから、酸化度を次式により算出する。
酸化度=B/A
上記酸化セルロース繊維を含む不織布は、単糸太さが0.1〜3dtexの繊維を含むことが好ましい。上記不織布を構成する繊維の単糸太さが0.1dtexを下回ると、繊維の均一な分布を得にくくなり、不織布の形態を保つことが困難となる傾向があり、そして上記不織布を構成する繊維の単糸太さが3dtexを上回ると、不織布の柔軟性が低下しやすく、加工性に問題を生じやすい傾向がある。
また、上記酸化セルロース繊維を含む不織布は、バインダーを含まないことが好ましい。バインダーを付与した不織布は、溶液の浸透速度が遅く、さらにバインダー成分の溶出が懸念されるからである。
上記酸化セルロース繊維を含む不織布は、12〜150g/m2の目付を有することが好ましく、18〜60g/m2の目付を有することがより好ましい。上記酸化セルロース繊維を含む不織布が12g/m2未満の目付を有すると、吸水した際の形態保持が困難な場合があり、そして150g/m2超の目付を有すると、不織布そのものの製造が困難となり、さらに他の繊維と積層する際等に技術的問題を生じる場合がある。
なお、上記酸化セルロース繊維を含む不織布は、ゲル化時の強度を得るために、酸化されたカルボキシル基同士、カルボキシル基及び未反応の水酸基、又は未反応の水酸基同士を分子内又は分子間架橋させるための従来公知の架橋剤による架橋構造を有していてもよい。
本発明の湿潤用基材には、本発明の効果を失わない範囲で、酸化セルロース繊維以外の他の繊維、例えば、セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維(以下、単に、「酸化されていないセルロース繊維」と称する)、合成繊維、例えば、疎水性合成繊維、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等が含まれていてもよい。上記合成繊維は、連続長繊維又は短繊維であることができる。
また、本発明の湿潤用基材において、上記他の繊維は、酸化セルロース繊維に、混合、例えば、混繊若しくは混抄され、又はスライバーのようなヤーンとして混合され、単一の不織布を形成していてもよい。さらに、上記他の繊維は、不織布の形態で、上記酸化セルロース繊維からなる不織布に積層されていてもよい。上記合成繊維と併用することにより、本発明の湿潤用基材の強度が向上するので好ましい。他の繊維等と混合する場合には、酸化セルロース繊維の量は、その用途に応じて適宜選定することができるが、一般的には、酸化セルロース繊維の量は、酸化セルロース繊維及び他の繊維の総質量に基づいて、8〜100質量%の範囲であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、そして70〜100質量%であることがさらに好ましい。
本発明の湿潤用基材が、例えば、化粧用パックの前駆材である場合には、酸化セルロース繊維を含む不織布を、適量の水、乳液、化粧水、クリーム等、使用者の好みや使用箇所にあったもので膨潤させ、次いで、膨潤させた不織布を含む化粧用パックとして、湿潤すべき皮膚を被覆することができる。
本発明において、酸化されていないセルロース繊維を含む不織布の酸化の工程において、ヒアルロン酸、アルギン酸、コラーゲン等の各種保湿成分やビタミン類を、上記不織布にあらかじめ添加しておくこともできる。また、本発明の効果を失わない限りにおいて、酸化の工程において、香料、防腐剤、粉末、薬剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の各成分を添加することができる。本発明の湿潤用基材は、化粧用パックとして、顔の全面又は目元、口元、頬等の一部分のみならず、腕や足等の体の所定位置に清涼感やうるおいなどの保湿又は美容効果を与えるために用いられうる。
以下に実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中における各種評価は、下記に従って行った。
[引張強度]
JIS−L−1096に準じて測定した。
[吸液倍率]
標準状態下の不織布から10cm×10cmの試料を切り取り、当初質量を正確に測定する。上記試料を、メッシュ(10メッシュ、線径0.5mm)上に載せ、これをバットに入れた水又は水溶液の中に入れて30秒間浸漬する。その後、メッシュを引き上げて10分間放置した後、過剰な水、水溶液を濾紙等で拭き取り、試料の質量を測定し、次式により吸液倍率を算出する。
吸液倍率=[(吸液後の試料の質量)−(試料の当初質量)]/(試料の当初質量)
なお、「標準状態」とは、20℃、相対湿度65%を意味する。
また、吸収する対象が水である場合の吸液倍率を、特に、「吸水倍率」と称する。
[CM化度]
セルロース誘導体100mgを、9質量%のアルカリ性重水溶液2mLに溶解し、その溶液の13Cを、核磁気共鳴 BRUKER NMR AVANCE 400 にて測定した。セルロースの1位炭素の積分値Aに対するカルボニルの炭素の積分値CからCM化度を次式により算出した。
CM化度=C/A
[保液性]
不織布から、18cm×15cmの試料を切り出してその質量(初期質量:W)を測定し、次いで霧吹きを用いて各試料に自重の3倍程度の水を吸収させ、その質量(含水質量:W)を測定する。次に吸水した不織布を標準状態の恒温室で風乾させ、所定時間経過毎の不織布の質量(測定時間毎の質量:W)を測定し、下記式に基づいて各時間経過後の保液率を算出する。
保液率=〔(W−W)÷(W−W)〕×100
[製造例1]酸化セルロース繊維を含む不織布の製造
酸化されていないセルロース繊維を含む不織布として、特公昭52−6381号公報に開示される銅アンモニアレーヨンの連続フィラメントからなる不織布を準備した。上記不織布は、単糸0.2〜2.2dtex前後の多数の連続フィラメントを交絡させて多孔性に形成した不織布であり、綿ガーゼ様の風合いを有していた。上記不織布は、目付100g/m2、厚み0.38mm、引張強度197N(タテ)、31N(ヨコ)、及び吸水倍率6.6を有していた。
TEMPO触媒0.56gと、臭化ナトリウム7.2gとを500mLの水に溶解させた水溶液に、上記酸化されていないセルロース繊維を含む不織布24gを分散させた。次に、次亜塩素酸ナトリウム溶液(Cl=5%)94mLを添加して、酸化反応を開始させた。反応温度は室温であった。反応中は系内のpHが低下するが、0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10付近に調整した。10分後、メタノールを添加して反応を停止させ、水及びアルコールで洗浄した後、80℃で乾燥させ、酸化セルロース繊維を含む不織布1を得た。酸化セルロース繊維を含む不織布1の酸化度は、0.40であった。
酸化セルロース繊維を含む不織布1は、目付100g/cm2、厚み0.34mm、引張強度152N(タテ)、24N(ヨコ)、及び吸水倍率34.5を有していた。酸化セルロース繊維を含む不織布1は、水の吸収により透明なゲル状を示したが、形態は保持されていた。
[製造例2]
TEMPO触媒量を0.38gとした以外は製造例1と同様の条件にて酸化を行い、酸化セルロース繊維を含む不織布2を得た。酸化セルロース繊維を含む不織布2の酸化度は0.20であった。
酸化セルロース繊維を含む不織布2は、目付100g/cm2、厚み0.34mm、引張強度153N(タテ)、25N(ヨコ)、及び吸水倍率23.4を有していた。酸化セルロース繊維を含む不織布2は、水の吸収により透明なゲル状を示したが、形態は保持されていた。
[製造例3]
TEMPO触媒量を0.04gとした以外は製造例1と同様の条件にて酸化を行い、酸化セルロース繊維を含む不織布3を得た。酸化セルロース繊維を含む不織布3の酸化度は0.09であった。
酸化セルロース繊維を含む不織布3は、目付100g/cm2、厚み0.34mm、引張強度158N(タテ)、25N(ヨコ)、及び吸水倍率13.6を有していた。この不織布は水の吸収により透明なゲル状を示したが、形態は保持されていた。
[比較製造例1]
製造例1で用いられた、酸化されていないセルロース繊維を含む不織布を、不織布1として用いた。
[比較製造例2]
直径60mm、長さ300mmの円筒外周壁に直径1mmの噴射孔を276個均一に分散させて設けた内噴式筒を用意し、この円筒に、製造例1で用いられた、酸化されていないセルロース繊維を含む不織布を巻き付けてロール状にした。当該不織布の幅は40cm、長さは30mであった。これを処理浴槽中に浸漬し、65℃まで加温して処理液を循環させてカルボキシメチルセルロースナトリウム化を行った。処理液にはセルロース250gに対し、イソプロパノール10.3L、メタノール2.0L、水1.7Lの溶液にNaOH濃度6.0重量%、モノクロル酢酸Na濃度0.6重量%になるように調整した溶液を用いた。また循環ポンプの送液圧は3〜4kg/cm2であり、処理時間は3〜4時間とした。
処理後、不織布を筒より外してセントル脱水機により含水率100〜150質量%程度まで脱水し、その後、メタノールによる洗浄を行い、完全にメタノール置換を行った後、乾燥してCM化セルロース繊維を含む不織布1を得た。CM化セルロース繊維を含む不織布1のCM化度は約0.19であった。CM化セルロース繊維を含む不織布1は、目付100g/cm2、厚み0.37mm、引張強度132N(タテ)、23N(ヨコ)、及び吸水倍率14.9を有していた。CM化セルロース繊維を含む不織布1は、水の吸収により透明なゲル状を示したが、形態は保持されていた。
[比較製造例3]
モノクロル酢酸Na濃度を0.3重量%とする以外は比較製造例2と同様の手法でカルボキシメチル化を施し、CM化セルロース繊維を含む不織布2を得た。CM化セルロース繊維を含む不織布2のCM化度は0.10であった。
CM化セルロース繊維を含む不織布2は、目付100g/cm2、厚み0.37mm、引張強度135N(タテ)、27N(ヨコ)、及び吸水倍率10.3を有していた。CM化セルロース繊維を含む不織布2は、水の吸収により透明なゲル状を示したが、形態は保持されていた。
製造例1〜3及び比較製造例1〜3において得られた不織布の酸化度又はCM化度と、吸水倍率とを表1に示す。
Figure 2011126874
表1より、本発明の酸化セルロース繊維を含む不織布1〜3は、不織布1、並びにCM化セルロース繊維を含む不織布1及び2よりも高い吸液性を示すことがわかる。
[実施例1及び比較例1]
酸化セルロース繊維を含む不織布1〜3と、不織布1、並びにCM化セルロース繊維を含む不織布1及び2とについて、保液性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2011126874
表2から本発明の酸化セルロース繊維を含む不織布1〜3は、不織布1,並びにCM化セルロース繊維を含む不織布1及び2と比較して、経時の保液性に優れることが分かる。

Claims (8)

  1. 酸化セルロース繊維を含む不織布を含む湿潤用基材であって、
    前記酸化セルロース繊維のグルコース残基内の−CH2OH基の少なくとも一部が、−COOH基又はその金属塩に酸化されており、そして
    前記酸化されたセルロース繊維の酸化度が、0.01〜0.5であることを特徴とする、
    湿潤用基材。
  2. 前記酸化セルロース繊維が連続長繊維である、請求項1に記載の湿潤用基材。
  3. グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維をさらに含む、請求項1又は2に記載の湿潤用基材。
  4. 前記酸化セルロース繊維からなる不織布の層と、前記グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維からなる不織布の層とを含む、請求項3に記載の湿潤用基材。
  5. 前記酸化セルロース繊維と、前記グルコース残基内の−CH2OH基が酸化されていないセルロース繊維及び/又は合成繊維とが混繊又は混抄され、単一の不織布を形成している、請求項3に記載の湿潤用基材。
  6. 前記酸化セルロース繊維を含む不織布が、単糸太さが0.1〜3dtexの繊維を含んでなり、バインダーを含まず、そして12〜150g/m2の目付を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の湿潤用基材。
  7. 化粧用パックの前駆材である、請求項1〜6のいずれかに記載の湿潤用基材。
  8. 請求項7の湿潤用基材を含む化粧用パックであって、
    水、乳液、化粧水、又はクリームを含ませ、皮膚を被覆するための化粧用パック。
JP2010256864A 2009-11-17 2010-11-17 湿潤用基材及び化粧用パック Pending JP2011126874A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010256864A JP2011126874A (ja) 2009-11-17 2010-11-17 湿潤用基材及び化粧用パック

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009262211 2009-11-17
JP2009262211 2009-11-17
JP2010256864A JP2011126874A (ja) 2009-11-17 2010-11-17 湿潤用基材及び化粧用パック

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011126874A true JP2011126874A (ja) 2011-06-30

Family

ID=44289864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010256864A Pending JP2011126874A (ja) 2009-11-17 2010-11-17 湿潤用基材及び化粧用パック

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011126874A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013187404A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 クラレクラフレックス株式会社 保液シート及びフェイスマスク
JP2016037674A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 旭化成せんい株式会社 薬液含浸用シート及びこれを用いたフェイスマスク
CN114960179A (zh) * 2021-12-06 2022-08-30 细胞生物科技有限公司 一种阴离子纤维素无纺布的制造方法及使用阴离子纤维素无纺布的面膜

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10251302A (ja) * 1997-03-12 1998-09-22 Daicel Chem Ind Ltd セルロース誘導体およびその製造方法
WO2000050462A1 (en) * 1999-02-24 2000-08-31 Sca Hygiene Products Gmbh Oxidized cellulose-containing fibrous materials and products made therefrom
JP2001049591A (ja) * 1999-05-31 2001-02-20 Daicel Chem Ind Ltd 繊維素材及びその製造方法
JP2001170104A (ja) * 1999-12-22 2001-06-26 Asahi Kasei Corp 湿潤用基材およびその使用方法
JP2001261527A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Asahi Kasei Corp 湿潤用基材
JP2003183971A (ja) * 2001-12-12 2003-07-03 Asahi Kasei Corp 複合シートおよびこれを用いた清拭用部材
JP2003183302A (ja) * 2001-12-17 2003-07-03 Toppan Printing Co Ltd 酸化多糖類材料の製造方法及び酸化多糖類材料
JP2009091274A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Kao Corp 化粧シート用不織布

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10251302A (ja) * 1997-03-12 1998-09-22 Daicel Chem Ind Ltd セルロース誘導体およびその製造方法
WO2000050462A1 (en) * 1999-02-24 2000-08-31 Sca Hygiene Products Gmbh Oxidized cellulose-containing fibrous materials and products made therefrom
JP2001049591A (ja) * 1999-05-31 2001-02-20 Daicel Chem Ind Ltd 繊維素材及びその製造方法
JP2001170104A (ja) * 1999-12-22 2001-06-26 Asahi Kasei Corp 湿潤用基材およびその使用方法
JP2001261527A (ja) * 2000-03-17 2001-09-26 Asahi Kasei Corp 湿潤用基材
JP2003183971A (ja) * 2001-12-12 2003-07-03 Asahi Kasei Corp 複合シートおよびこれを用いた清拭用部材
JP2003183302A (ja) * 2001-12-17 2003-07-03 Toppan Printing Co Ltd 酸化多糖類材料の製造方法及び酸化多糖類材料
JP2009091274A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Kao Corp 化粧シート用不織布

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013187404A1 (ja) * 2012-06-12 2013-12-19 クラレクラフレックス株式会社 保液シート及びフェイスマスク
CN104487629A (zh) * 2012-06-12 2015-04-01 可乐丽可乐富丽世股份有限公司 保液片和面膜
US9890487B2 (en) 2012-06-12 2018-02-13 Kuraray Kuraflex Co., Ltd. Liquid-retaining sheet and facial mask
CN108042373A (zh) * 2012-06-12 2018-05-18 可乐丽可乐富丽世股份有限公司 保液片和面膜
CN108042373B (zh) * 2012-06-12 2021-10-26 连津格股份公司 保液片和面膜
JP2016037674A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 旭化成せんい株式会社 薬液含浸用シート及びこれを用いたフェイスマスク
CN114960179A (zh) * 2021-12-06 2022-08-30 细胞生物科技有限公司 一种阴离子纤维素无纺布的制造方法及使用阴离子纤维素无纺布的面膜

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2107118C1 (ru) Карбоксиметилцеллюлозное волокно, способ его получения и влагопоглощающее изделие личного пользования
CN1204928C (zh) 绷带及其制备方法和合适使用的材料
KR101149061B1 (ko) 마스크팩재용 키토산 부직포 및 이의 제조방법
CA2154473C (en) Carboxymethylcellulose wound dressings
EP0904433B1 (en) A method of producing an absorbent material, an absorbent material and absorbent articles including the material in question
JP4514865B2 (ja) 湿潤用基材およびその使用方法
WO1994016746A1 (en) Wound dressings
JPH0160083B2 (ja)
EP2940198A1 (en) Chemically modified sea silk fiber, wound dressing made therefrom and preparation method thereof
WO2016115637A1 (en) Absorbent fibres produced from low-substituted carboxymethyl cellulose and the process thereof
JP2011126874A (ja) 湿潤用基材及び化粧用パック
JP2015070944A (ja) カルボキシメチルセルロース繊維シート状構造体及びその製造方法
JP6537642B2 (ja) 創傷被覆用シート
JP2011127267A (ja) セルロース多孔体ゲル
JP3396961B2 (ja) 吸水性セルロース材料の製造方法
CA2936020A1 (en) Hydrogel matrix having a non-uniform distribution of oxygen containing cells
JP2011125695A (ja) 医療用基材
JP2660255B2 (ja) アルギン酸系繊維、その製造方法及びその製品
CN113430822A (zh) 一种新型改性纤维素面膜基布的制备方法
CN113123130A (zh) 一种纤维材料及其制备方法和应用
JPH0987956A (ja) 吸水性セルロース材料の製造方法及び吸水性セルロース材料
JPH0160120B2 (ja)
CN114573745A (zh) 一种高性能化高吸水性树脂及其制备方法
JPH1025662A (ja) 吸水性セルロース材料の製造方法
JPS6183362A (ja) 使い捨ておむつ用不織布

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150624

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160105