JPH0987956A - 吸水性セルロース材料の製造方法及び吸水性セルロース材料 - Google Patents

吸水性セルロース材料の製造方法及び吸水性セルロース材料

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JPH0987956A
JPH0987956A JP7241190A JP24119095A JPH0987956A JP H0987956 A JPH0987956 A JP H0987956A JP 7241190 A JP7241190 A JP 7241190A JP 24119095 A JP24119095 A JP 24119095A JP H0987956 A JPH0987956 A JP H0987956A
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cellulose
reaction solution
aqueous reaction
organic solvent
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JP7241190A
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Kumiko Ren
久美子 廉
Kozo Tajiri
耕三 田尻
Tomoji Miyoshi
智次 三好
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 置換度が高く、純水と尿や食塩水のようにイ
オンを含む水性溶液の吸水能力が優れた吸水性セルロー
ス材料の製造方法及び吸水性セルロース材料の提供。 【解決手段】 セルロースを含む材料を、カルボキシア
ルキル化剤、アルカリ金属水酸化物及び水からなる水性
反応液に含浸し、次いで水を一部分蒸発させ、含浸され
た水性反応液中の水の割合を反応液全重量当り20〜6
0重量%の範囲内で、且つ蒸発前の水性反応液中の水の
割合より少なくとも5重量%低くなるように調節した
後、架橋剤を含む有機溶媒を均一に含有せしめ、その後
加熱することにより、セルロースのカルボキシアルキル
化と架橋を同時に行わせて、架橋されたカルボキシアル
キルセルロースを生成する。有機溶媒が炭素数2〜4の
一価アルコールで、セルロースのカルボキシアルキル基
の置換度は、0.70〜0.80である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、吸水性セルロー
ス材料の製造方法及び吸水性セルロースに関する。更に
詳しく述べれば、本発明は、多量の水を吸収するばかり
でなく、食塩水や尿のようにイオンを含んでいる水溶液
に対しても高い吸水能力を示し、各種の衛生材料、農業
資材、食品包装材料、土木・建築材料などの広い分野に
おいて有用な吸水性セルロース材料の製造方法及び吸水
性セルロース材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 水、又は食塩水のように塩類を含んだ
水溶液の吸水材料としては、近年、高吸水性樹脂と呼ば
れる一群の材料が知られ、実用に供されている。これら
の樹脂材料は、基本的には水溶性高分子をわずかに架橋
し、水に対して不溶化した化学構造を有するものであ
る。このような高吸水性材料としては、例えば澱粉にア
クリロニトリルをグラフト重合した後に加水分解したも
の、アクリル酸金属塩をグラフト重合したもの、アクリ
ル酸を共重合性架橋剤とともに重合した架橋樹脂、メタ
クリル酸メチル−酢酸ビニル共重合体の加水分解物など
数多くのものが提案されており、これらのいくつかは実
用化されている。
【0003】伝統的な吸水性材料として知られている
綿、パルプ、紙、布、スポンジなどは毛細管現象によっ
て吸水するものであるが、これに対し、上記の高吸水性
樹脂は吸水の原理が浸透圧にあるため、毛細管現象より
もはるかに多量の水を吸収することができる。又、高吸
水性樹脂は、吸水状態で圧力がかかっても簡単に水を再
放出しないという優れた特徴を有している。このため、
高吸水性樹脂の用途として、使い捨て紙おむつ、生理用
品などの衛生材料分野、土壌保水剤、育苗用シートなど
の農業資材分野、食品鮮度保持材、脱水材などの食品分
野、トンネル掘削時の逸泥防止、建物の結露防止シート
などの土木・建築材料として広範囲に使用されている。
【0004】セルロース誘導体から製造される高吸水性
材料も知られており、前記の合成ポリマー系吸水性樹脂
とは異なり生分解性があるので、使い捨ての衛生材料分
野には特に好適である。セルロース誘導体としてはカル
ボキシメチルセルロースを使用することが多く、特開昭
49−128987号公報、特開昭50−85689号
公報、特開昭54−52189号公報、特開昭54−1
63981号公報、特開昭56−28755号公報、特
開昭58−1701号公報、特開昭60−94401号
公報、特開昭61−89364号公報等に数多く開示さ
れている。これらの方法の欠点は、製造工程が複雑でコ
スト高になること及び得られる高吸水性材料の吸水量が
比較的低いことである。
【0005】例えば、特開昭61−89364号公報に
は、予め架橋処理したレーヨン長繊維不織布をノズルの
付いたコアに巻き付けて巻取りとし、これを反応容器に
移し、イソプロピルアルコール、メタノール、及び水か
らなる混合溶媒にモノクロロ酢酸ナトリウムと水酸化ナ
トリウムを溶解した処理液を加熱しながらノズルから噴
出し、不織布の層を透過させることでカルボキシメチル
セルロースナトリウム塩化を行う方法が開示されてい
る。この方法ではアルコールを主成分とする溶媒を使用
しているため、カルボキシメチル化後も繊維形状はその
まま保持され、柔軟で風合いに優れた吸水性不織布が得
られるという特徴がある。しかしながら、モノクロロ酢
酸ナトリウムと水酸化ナトリウムは、有機溶媒に溶解し
難いため、処理液中のこれら薬品濃度は高くすることが
できない。そこで吸水性を付与するに十分な量の薬品を
不織布に作用させるためには、大量の処理液を不織布に
接触させなければならず、このため特殊な装置を必要と
するという欠点がある。
【0006】一方、特開昭54−163981号公報に
は、セルロース、カルボキシアルキル化剤及び架橋剤を
アルカリ性水媒体中で反応させることにより、アルカリ
化、エーテル化及び架橋を同時に1つの反応工程で行
い、更にセルロースをベースとする繊維、繊維を含有す
る繊維シート材料又は多種のシート材料を、初めに十分
な量の水性アルカリ性反応混合物と接触させた後、反応
混合物をそれと接触している繊維又はシート材料から除
去して、少なくとも反応に必要な量を残留させ、かつこ
の残留した水性アルカリ性反応混合物を含む繊維又はシ
ート材料を熱エネルギーで処理することを特徴とする、
膨潤性の架橋されたカルボキシアルキルセルロース材料
を製造する方法が開示されている。
【0007】この方法は、セルロースを含む材料から比
較的簡単に吸水性材料を製造することが出来る優れた方
法であるが、この製造方法では、アルカリ、カルボキシ
アルキル化剤及び架橋剤からなる混合水溶液を用いるた
め、反応前と反応中にカルボキシアルキル化剤が水と反
応して分解する割合が多く、それに伴い有効にセルロー
スと反応するカルボキシアルキル化剤の割合が少なくな
るため一回の反応で高い置換度が得難いこと及びそのた
めに置換度を高めようとすれば同じ反応を少なくとも2
回繰り返えさなければならず、製造コストが高くなる欠
点がある。
【0008】一方、本発明者等は合成繊維とセルロース
系繊維からなる複合シートをカルボキシメチル化剤、ア
ルカリ及び架橋剤からなる混合水溶液に含浸させた後、
加熱してセルロース繊維を架橋されたカルボキシメチル
セルロースとすることによって得られる吸水性不織布を
提案した(特開平7−54255号公報)。またその改
良法として、セルロースを含む材料をカルボキシアルキ
ル化剤、アルカリ金属水酸化物、架橋剤及び水からなる
水性反応液に含浸し、次いで水を一部分蒸発させ、含浸
された水性反応液中の水の割合を反応液全重量当たり2
0〜60重量%になるよう調節した後、加熱することに
より、セルロースのカルボキシアルキル化と架橋を同時
に行わせて、前記の吸水性不織布より高い吸水能力を有
する吸水性セルロース材料の製造方法を提案した(特願
平6−187303号)。
【0009】しかしながら、用途によってはさらに高い
吸水能力と低価格の吸水性材料が要求される場合があ
る。即ち、イオンを含んだ水、例えば生理食塩水に対し
て高い吸水能力を有する吸水性材料が最も需要が多く望
まれているが、生理食塩水に対する高い吸水能力をセル
ロースを含む材料に付与するためには、カルボキシアル
キル基の置換度を更に一層高くする必要がある。しかし
ながら、カルボキシアルキル化剤とアルカリ金属水酸化
物を用いてセルロースをカルボキシアルキル化する場
合、水を溶媒とすると、反応中にカルボキシアルキル化
剤の分解がかなりの割合で起こり、しかも副反応も生じ
るので、反応効率が低下し、置換度を高めることに限界
がある上、製造コストも高くなるという欠点があった。
【0010】このように、水性反応液中の水の量は少な
ければ、少ない方が望ましいが、水は反応溶媒でもある
ため、或る一定水準以下に減少させると逆にカルボキシ
アルキル化が起こり難くなる。本発明者等が提案した前
記の方法では、セルロースを含む材料を、カルボキシア
ルキル化剤、アルカリ金属水酸化物、架橋剤及び水から
なる水性反応液に含浸し、次いで水を一部分蒸発させて
反応液中の水の割合を20〜60重量%の範囲に調節し
た後、カルボキシアルキル化を行うことでカルボキシア
ルキル化剤の反応効率を高めている。このように蒸発後
の水の割合には最適範囲が存在し、例えば水の割合を2
0重量%未満にするとかえってカルボキシアルキル基の
置換度の値が低下する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者等は、かか
る状況に鑑み、従来技術の有する欠点を解決すべく鋭意
研究した結果、カルボキシアルキル化のための溶媒とし
て水を使用する限り、反応中の水によるカルボキシアル
キル化剤の分解を抑制するには限度があることが判明し
たが、セルロースを含む材料を、架橋剤を除きカルボキ
シアルキル化剤、アルカリ金属水酸化物及び水からなる
水性反応液に含浸し、次いで水を一部分蒸発させて反応
液中の水の割合を反応液重量当り20〜60重量%の範
囲に調節し、水によるカルボキシアルキル化剤の分解を
できるだけ抑制した後、最後に架橋剤を溶解した有機溶
媒を、濃縮された水性反応液を含有する材料に均一に含
有させ、その後加熱してカルボキシアルキル化と架橋の
反応を行うと、有機溶媒を含む系で反応を進めることが
でき、副反応を抑制しながらカルボキシアルキル化剤の
反応効率を高め、一回の反応で置換度を極めて高くする
ことができることを見出し本発明を完成させるに至っ
た。本発明の目的は、従来のセルロース系吸水性材料製
造法の有する欠点を解消し、置換度が高く、純水と尿や
食塩水のようにイオンを含む水性溶液の吸水能力が優れ
たセルロース系吸水性材料を安価に製造する方法及び吸
水性セルロースを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明の第一は、セル
ロースを含む材料を、カルボキシアルキル化剤、アルカ
リ金属水酸化物及び水からなる水性反応液に含浸し、次
いで水を一部分蒸発させ、含浸された水性反応液中の水
の割合を反応液全重量当り20〜60重量%の範囲内
で、且つ蒸発前の水の割合より少なくとも5重量%低く
なるように調節した後、架橋剤を含む有機溶媒を均一に
含有せしめ、その後加熱することにより、セルロースの
カルボキシアルキル化と架橋を同時に行わせて、架橋さ
れたカルボキシアルキルセルロースを生成することを特
徴とする吸水性セルロース材料の製造方法である。本発
明の第二は、前記有機溶媒が炭素数2〜4の一価アルコ
ールであることを特徴とする本発明第一に記載の吸水性
セルロース材料の製造方法である。本発明の第三は、前
記セルロースを含む材料が、合成長繊維とセルロース系
繊維から構成される複合シートであることを特徴とする
本発明第一に記載の吸水性セルロース材料の製造方法で
ある。本発明の第四は、セルロースのカルボキシアルキ
ル基の置換度が0.70〜0.80であることを特徴と
する本発明第一乃至三に記載の製造方法による吸水性セ
ルロース材料である。
【0013】本発明のセルロースを含む材料は、一部又
は全てがセルロースからなるものであれば良く、例えば
繊維状、シート状、不織布状、スポンジ状のセルロース
材料が例示できる。繊維状セルロースとしては、木材か
ら製造されるパルプ繊維、草本類から製造される非木材
パルプ繊維、再生セルロース繊維等が挙げられる。木材
から製造されるパルプ繊維としては、例えば針葉樹又は
広葉樹木材をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法、
ポリサルファイド法等で蒸解して得られる化学パルプ、
針葉樹木材をレファイナー、グラインダー等の機械的磨
砕力によってパルプ化した機械パルプ、薬品による前処
理の後、機械的磨砕力によってパルプ化したセミケミカ
ルパルプ、或いは新聞紙、上質紙、オフィスから排出さ
れる使用済みの事務用紙等からの古紙パルプ等を例示で
き、それぞれ未晒若しくは晒の状態で使用することがで
きる。
【0014】草本類から製造される非木材パルプ繊維と
しては、例えば綿、マニラ麻、亜麻、藁、竹、パガス、
ケナフ、楮、三椏などを木材パルプと同様の方法でパル
プ化した繊維が挙げられる。再生セルロース繊維として
は、セルロースをビスコースの形で溶液とした後、酸の
中でセルロースを再生・紡糸したビスコースレーヨン、
セルロースを銅アンモニア溶液中に溶解した後、酸の中
で再生・紡糸した銅アンモニアレーヨン、N−メチルモ
ルフォリン−N−オキサイドの如き、非水系セルロース
溶媒に溶解した後、紡糸して得られる再生セルロース繊
維等が例示される。シート状セルロース材料としては
紙、セロファン、レーヨン布、木綿布、麻布、木綿又は
麻と合成繊維の混紡布等が使用できる。不織布状セルロ
ース材料としてはレーヨン長繊維不織布、水ジェット流
交絡法により製造されるコットン不織布、エアーレイ法
による木材パルプ不織布、カード法によるレーヨン短繊
維不織布が例示される。スポンジ状のものとしては、ビ
スコースを発泡させた後、酸によって洗浄してセルロー
スを再生し、スポンジ状としたものが挙げられる。
【0015】又、本発明では、セルロースを含む材料
が、合成長繊維とセルロース系繊維とから構成され、ホ
ットメルト接着剤、水ジェット流交絡等で複合一体化さ
れている複合シートも用いることができる。この場合の
合成繊維としては、公知の合成樹脂からのものをそのま
ま使用することができ、例えば、ポリオレフィン系繊
維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアク
リル酸エステル系繊維、ポリウレタン系繊維等を挙げる
ことができる。これらは繊維の状態で使用してもよい
が、シートの状態、即ち例えばスパンボンド不織布のよ
うな不織布の状態で好適に使用できる。合成繊維の繊度
は、0.3〜10デニールの範囲である。繊度が10デ
ニールを超えて太くなると、不織布の柔軟性が低下し、
吸水性材料の構成に取り入れた場合、柔軟性、風合い、
加工適性等が劣ってくる。又、繊度が0.3未満になる
と、不織布は密度が高くなって紙状化する傾向にあり、
不織布の性状をコントロールすることが困難になる。
【0016】合成長繊維とセルロース系繊維からなる複
合シートを製造する方法としては、公知の方法をそのま
ま本発明に応用することができる。例えば、“Research
disclosure,17060, June 1978”、特開平5ー2531
60号公報、特開平5ー277053号公報、特開平5
ー285083号公報、特開平5ー286100号公
報、特開平6ー17365号公報等に記載されている、
合成長繊維不織布と紙シートを水ジェット流で交絡させ
る方法で得られる複合シートは、風合いと加工性の面で
優れており、本発明に好適に用いることができる。この
場合の合成長繊維不織布としては水流の圧力に耐える強
度を有する必要があり、前記合成繊維の連続フィラメン
トからなるスパンボンド不織布のような長繊維不織布が
好適に使用できる。
【0017】又、前記の複合シート以外にも、合成繊維
の短繊維とセルロース系繊維を予め混合し、乾式又は湿
式の方法でウェブを形成してなる複合シートであっても
良い。この場合、複合シートの湿潤引張り強度を維持す
るために、合成繊維を相互に部分的に接着するのが望ま
しい。合成繊維を相互に部分的に接着する方法として
は、公知のいかなる方法で行ってもよく、接着剤を散布
した後、加熱して接着する方法、熱融着繊維を混合し、
加熱によって接着する方法、ニードルパンチによる方
法、ステッチボンドによる方法等が使用できる。
【0018】本発明において、好適に用いられる複合シ
ートは、合成繊維の連続フィラメントからなるスパンボ
ンド不織布の上に、セルロース系繊維として木材パルプ
を公知の湿式抄紙機で抄造して得られる紙シートを乗せ
て、その後高圧の水ジェット流からなる水柱流を紙シー
ト側から不織布側に噴射して、パルプ繊維と合成繊維と
を相互に絡み合わせて形成される複合シートであるが、
この場合の合成繊維とセルロース系繊維との配合割合
は、絶乾重量比で合成繊維1に対してセルロース系繊維
が1〜19の範囲である。合成繊維に対するセルロース
系繊維の割合が1未満では、合成繊維に対するセルロー
ス系繊維の量が相対的に少なくなり、得られる高吸水性
材料の吸水量が小さくなる。逆にセルロース系繊維の割
合が19を越えて多くなると、合成繊維とセルロース系
繊維との交絡が起こり難くなり、又、得られたシートを
吸水させた場合に膨潤したパルプ繊維が脱落し易くな
り、更に湿潤引張り強度が低下してしまうので適さな
い。
【0019】本発明のセルロースを含む材料から吸水性
材料を製造するためには、まず前記材料を構成するセル
ロース系繊維をカルボキシアルキル化剤、アルカリ金属
水酸化物及び水からなる水性反応液に含浸する。この水
性反応液に用いられるカルボキシアルキル化剤としては
ハロカルボン酸のアルカリ金属塩を使用する。ハロカル
ボン酸アルカリ金属塩としてはモノクロロ酢酸アルカリ
金属塩、モノブロモ酢酸アルカリ金属塩、α−クロロプ
ロピオン酸アルカリ金属塩、β−クロロプロピオン酸ア
ルカリ金属塩、α−ブロモプロピオン酸アルカリ金属
塩、β−ブロモプロピオン酸アルカリ金属塩等の炭素数
3以下のものが良く、これらは単独で又は適宜選択して
混合して使用される。コスト的にはモノクロロ酢酸ナト
リウムが最も安価なのでこれを使うのがよい。アルカリ
金属水酸化物としては水酸化ナトリウムが最も好適であ
るが、他のアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウ
ム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウ
ム等も使用できる。
【0020】前記のカルボキシアルキル化剤とアルカリ
金属水酸化物を水に溶解して水性反応液とする。この水
性反応液中の全重量当りの水の割合は、用いるカルボキ
シアルキル化剤、又はアルカリ金属水酸化物の種類によ
って溶解度が異なるため、一義的に規定できないが、溶
解度の範囲内で水の割合は少ない方が、含浸に続いて行
う水の蒸発においてエネルギーコストが少なくて済むの
で有利である。但し、あまり濃度が高いと水性反応液が
不安定になり、取り扱いが難しくなるので本発明では水
性反応液の全重量当りの水の割合は、水酸化ナトリウム
を用いる場合60〜90重量%になるようにカルボキシ
アルキル化剤とアルカリ金属水酸化物を水に溶解する。
この水の割合は、用いるカルボキシアルキル化剤やアル
カリの種類によって溶解度が異なるので下限の値は若干
変動する。
【0021】カルボキシアルキル化剤とアルカリ金属水
酸化物の混合モル比は、アルカリ金属水酸化物/カルボ
キシアルキル化剤が0.8〜1.2に調節する。この範
囲を外れるほど、どちらか一方の薬品が未反応のまま残
存することになり、不経済である。次に前記のようにし
て調製された水性反応液にセルロースを含む材料を含浸
する。含浸量はグルコース残基に対するカルボキシアル
キル化剤のモル比がカルボキシアルキル化剤/グルコー
ス残基で0.7〜2.0(モル/モル)が適当である。
モル比が0.7未満では0.60より高い置換度を得る
ことができなくなり、吸水量の高い材料が得られない。
また逆に2.0以上添加しても置換度は殆ど増加しない
ので経済的に不利になる。又、少なくとも2回反応を繰
り返して行い、合計のモル比を大きくする方が置換度を
高くする点では有利であるが、コストの面で不利とな
る。
【0022】前記のセルロース材料の含浸量は、セルロ
ース材料の種類、カルボキシアルキル化剤とアルカリ金
属水酸化物の種類や濃度により異なるが、含浸量が絶乾
セルロース材料重量当り200〜400重量%の範囲を
目度に行われる。含浸量が少な過ぎると、反応が不十分
となり、吸水量の高い材料が得られず、多過ぎると置換
度が殆ど増加しないばかりか、副反応も進むので好まし
くない。水性反応液をセルロースを含む材料に含浸させ
る方法には格別の制限はないが、過剰量の反応液中にセ
ルロースを含む材料を浸漬後、ロールによって絞って過
剰の反応液を除去してもよいし、シート状の材料であれ
ば予め計算された量の反応液をコーターによって塗工し
てもよい。又、短繊維状の材料であればニーダーで撹拌
しながら、所定量の反応液を添加して混合してもよい。
【0023】含浸を終了したセルロース材料は、50〜
150℃の条件で送風を伴った加熱により前記材料中に
含有されている水性反応液中の水の一部分を蒸発させて
除去し、水性反応液の全重量当りの水の割合が20〜6
0重量%で、且つ蒸発前の水の割合より少なくとも5重
量%低くなるように調節される。蒸発させる方法には特
に制限はないが、出来る限り短時間で水分を蒸発させる
方法が望ましい。カルボキシアルキル化の反応速度はか
なり速いので、蒸発に際し上記温度範囲でもあまり長時
間、例えば30分以上を経過させると、蒸発中にカルボ
キシアルキル化が進み、或いは終了してしまい、本発明
の効果が得られない。前記の蒸発条件下ではカルボキシ
アルキル化は殆ど進行せず(置換度は0.1以下)、こ
のような蒸発は、乾燥機中で或いは反応容器中で前記の
温度範囲の熱風を当てながら水を蒸発させる方法が簡便
である。このようにして蒸発させた後の前記材料中に含
有される水性反応液中の水の割合が20重量%未満で
は、得られる置換度は急激に低下し、材料が著しく黄変
するので避ける必要がある。又、前記水の割合が60重
量%を越えて高い場合或いは蒸発させる前の水の割合よ
り5重量%未満の場合は、本発明の効果が小さくなる。
【0024】本発明ではこのようにして水の割合が調整
された水性反応液を含有するセルロース材料に、架橋剤
を溶解した炭素数2〜4の一価アルコールを更に含有さ
せる。本発明では、架橋剤は有機溶剤と一緒にセルロー
ス材料に添加される。セルロース材料に含有させた水性
反応液中の水の割合を蒸発によって調節した直後では、
前記したように、まだカルボキシアルキル化が殆ど生じ
ていないので、この材料に架橋剤を含む前記アルコール
を含有させることによってアルコールを含む系でのカル
ボキシルアルキル化と架橋反応を行うことができ、水系
での反応と異なり、副反応を低い水準に維持して反応を
進めることができるので反応効率を高くすることがで
き、高い置換度を得ることができるのである。本発明で
用いられる炭素数2〜4の一価アルコールは、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコールを挙げることができ、これら
の中から適宜選択されて単独で或いは混合して用いられ
る。
【0025】炭素数が5以上の一価アルコールは、水と
の相溶性が殆どないため不適である。又、炭素数が1の
メタノールの場合は、アルカリがメタノールに溶解する
ため、本発明の効果が小さくなる。前記有機溶媒の含有
率は、セルロースを含む材料の絶乾重量に対して40〜
500%の範囲で調整される。有機溶媒の含有率が50
0%より高いと、反応溶媒の量が多くなり過ぎてかえっ
て反応効率が低下し、含有率が40%未満では有機溶媒
の量が不足し、溶媒系での反応ができないので得られる
効果が小さくなり適さない。有機溶媒を含有させる方法
としては、セルロース材料に含浸した水性反応液が保持
されたまま均一に有機溶媒を含有させることができれば
よく、例えばスプレーで均一に噴霧したり、散布しても
よいし、予め計算された量の有機溶媒をコーターによっ
て塗工してもよい。
【0026】架橋剤は、水性反応液中に配合して用いて
も良いが、低沸点の架橋剤は、加熱による水の除去の際
に揮発してしまうため、水の除去が終了した後にセルロ
ース材料に含有させる方が好ましく、その意味で有機溶
剤をセルロース材料に含有させる際に一緒に含有させら
れる。架橋剤を有機溶媒と一緒に、水性反応液の水の割
合が調節されたセルロース材料に添加して含有させる場
合、架橋剤は、有機溶媒に対する溶解性が高く、アルカ
リ性の含水有機溶媒反応液中でセルロースと架橋結合す
るものであればよい。本発明方法に使用できる架橋剤と
しては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等の
ハロヒドリン化合物類;エチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセ
リントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ジエポキシブタン等の多価エポ
キシ化合物類;ジビニルスルホン、メチレンビスアクリ
ルアミド等のジビニル化合物類;ジクロロプロパノー
ル、ジブロモプロパノール、ジクロロ酢酸等の多価ハロ
ゲン化合物類;並びに多価アジリジン化合物類等が挙げ
られ、これらの中から適宜選択して少なくとも1種が使
用される。本発明では、水性反応液中に架橋剤を添加し
て加熱蒸発しないので、沸点が低く、揮発性ではある
が、安価で反応効率の高いエピクロロヒドリンが好適に
用いられる。架橋剤の含有量は、架橋剤の種類や反応条
件により異なるが、セルロース重量当り0.1〜30重
量%範囲である。
【0027】有機溶剤と架橋剤を含有させられた前記セ
ルロース材料は、その後加熱することによりカルボキシ
ル化と架橋の反応を行わせる。この場合、加熱の間に有
機溶媒や水が蒸発して系外に逃げても、反応液中の有機
溶媒や水の割合が前記した範囲内に維持される必要があ
る。この操作は、前記有機溶媒や水の割合が調整された
反応液を含有するセルロース材料を連続して加熱装置内
を通過させたり、シートで覆って、密閉状態にしてから
バッチ式で反応温度が50〜110℃の範囲において加
熱することで容易に行うことが出来る。最適な反応温度
は有機溶媒の種類によって異なるが、有機溶媒の沸点よ
り5〜10℃低めが好ましい。反応温度が50℃未満で
は、反応が完了するのに長時間が必要になり、逆に反応
温度が110℃を越えて高くなると、有機溶媒が蒸発
し、得られる吸水性材料が黄変して吸水性能が低下する
ので適さない。加熱はセルロース材料の外部から行って
も良いが、セルロース材料の量が多い場合には、カルボ
キシアルキル化の反応熱によって自然に上記温度範囲に
到達することがあり、このような場合には密閉条件下で
放置するのみで目的を達成することができる。反応時間
は、反応温度と無関係には決定できないが10分〜4時
間の範囲である。反応時間が10分未満では温度を高く
しても反応が充分に完結しないし、4時間を越えて長く
しても反応は終了しているので、それ以上反応時間をか
けても無意味である。
【0028】以上説明したごとくして得られる架橋結合
とカルボキシアルキル基を有するセルロース材料の純水
吸水量は、主にカルボキシアルキル基の置換度と架橋密
度によって決定される。純水吸水量はカルボキシアルキ
ル基の置換度が高いほど理論的には高くなるが、本発明
では一回の反応で達成できる置換度は、0.70〜0.
80の高い範囲にあり、十分に優れた吸水性が得られ
る。通常、本発明による手法では置換度の上限は約1.
2にあり、この1.2を越えて高くしても吸水量はほぼ
飽和してしまうが、0.80を越えるような高い置換度
は、反応を少なくとも2回繰り返さないと達成できない
ものであり、そうすると工程が複雑になり、得られる吸
水性セルロース材料の製造コストが高くなるため不利と
なる。
【0029】本発明では、反応前に水性反応液から水を
蒸発で除去した後に更に炭素数が2〜4の一価アルコー
ルからなる有機溶媒と架橋剤を、水性反応液を含有する
セルロース材料に含有させた後に加熱してカルボキシア
ルキル化と架橋反応を行わせるので、カルボキシアルキ
ル化反応において副反応を極力抑えながら行うことがで
き、一回のカルボキシアルキル化で極めて高い置換度が
得られるのである。前記した本発明の範囲の置換度は、
セルロースに対するカルボキシアルキル化剤とアルカリ
金属水酸化物の添加量、水を蒸発させた後の反応液中の
水と有機溶媒の割合、反応温度、反応時間等の総合効果
によって決定されるものであり、これらの要因の中から
適宜選択して組合せて条件を調節し、好適な置換度が求
められる。
【0030】一方、純水吸水量は架橋密度が小さいほど
高くなるが、あまり小さいと吸水した時のゲルの強度が
弱くなり、又水溶性のカルボキシアルキルセルロース塩
が残るのでべたついた感じとなり好ましくない。逆に架
橋密度があまり高いと吸水量が低下するので、用途によ
り最適の架橋密度を設定する必要がある。本発明では有
機溶媒に溶解する架橋剤の量を調節することで、架橋密
度を調節する。
【0031】カルボキシアルキル化と架橋反応を終了し
たセルロース材料は、大量の無機塩やカルボキシアルキ
ル化剤の分解物を含んでいるので、これらを取り除くた
め精製を行う必要があるが、それには公知の如何なる方
法でも適用できる。例えば、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコールのよ
うに水と相溶性のある有機溶媒と水の混合物で洗浄する
ことにより不純物を取り除く方法が好適に使用できる。
【0032】本発明では、前記したように、セルロース
を含む材料に架橋剤を含まない水性反応液を含浸させた
後、加熱して水を除去するため、薬品の溶解度に制限さ
れることなく、それらの薬品の濃度を高めることがで
き、又カルボキシアルキル化の反応は、含水有機溶媒反
応液中で副反応を極力抑制しながら進めることができる
ため、高価なカルボキシアルキル化剤を有効に利用する
ことができ、こうしてこれらの相乗効果により高い置換
度を得ることができる。即ち、以上の説明から分かるよ
うに、本発明は、架橋剤を溶解した炭素数2〜4の一価
アルコールからなる有機溶媒を、水性反応液中の水の割
合を20〜60重量%に調節したセルロース材料に含有
させた後に加熱してカルボキシアルキル化と架橋反応を
行わせ、一回の反応でセルロース材料のカルボキシアル
キルセルロースの置換度を高くすることができ、それに
より製造コストの面でも有利に、純水及びイオンを含む
水に対して高い吸水性を示す吸水性材料を製造すること
ができるのである。
【0033】
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論本発明は、これらによって限定され
るものではない。尚、実施例及び比較例において%とあ
るのは全て重量%を示す。
【0034】実施例1 繊度2.5デニールの長繊維ポリプロピレン連続フィラ
メントからなる目付12g/m2のスパンボンド不織布
の上に、セルロースとして針葉樹晒クラフトパルプを用
い、公知の湿式抄紙機で抄造された米坪量76g/m2
の紙シートを積層した後、高圧の水ジェットからなる水
柱流を紙シート側からスパンボンド不織布に向けて噴射
し、合成繊維とパルプ繊維を水流交絡させ、不織布と紙
シートを一体化させた目付80g/m2の複合シートを
得た。この複合シートを20cm×30cm(絶乾重量
4.8g)の寸法に断裁して、このシートを水酸化ナト
リウム8.55%、モノクロロ酢酸ナトリウム24.9
1%、水66.54%からなる水性反応液に一分間浸漬
した後、取り出し、濾紙の間に挟んでプレスし、絶乾複
合シート1g当り3gの水性反応液(カルボキシアルキ
ル化剤/グルコース残基=1.3モル/モル)が含有さ
れるように調整した。
【0035】次いで、排気設備を備えた電熱式熱風乾燥
器を80℃に保ち、排気を行いながら水性反応液を含有
する複合シートをこの乾燥器に3分間入れて水を蒸発さ
せた。該複合シートに含有される水性反応液中の水の割
合は42%であった。この水の割合を調節した複合シー
トを乾燥器から取り出し、0.89%のエピクロルヒド
リンを含むイソプロピルアルコール13.8gを霧吹き
を用いて複合シートに均一に散布した。この場合のイソ
プロピルアルコール添加率は、複合シート重量当り28
8%でエピクロルヒドリンの添加率は、パルプ繊維重量
当り3%であった。 直ちに、この複合シートをポリエ
チレン製袋に入れて密封し、水とイソプロピルアルコー
ルが蒸発しないようにして、再度80℃の乾燥器中で2
時間加熱して反応させ、パルプ繊維のカルボキシメチル
化と架橋を行った。次に、この複合シートを70%メタ
ノール水溶液に浸漬して、取り出し、濾紙の間に挟んで
プレスし、この操作を4回繰り返し、複合シートを十分
に洗浄した。最後に、複合シートを100%メタノール
液に浸漬して、取り出し、濾紙の間に挟んでプレスし、
その後、風乾して不織布状の吸水性セルロース材料を得
た。このようにして得られたセルロース材料の置換度、
純水吸水量及び食塩水吸水量を下記に示す試験法で測定
した。
【0036】試験法 (1)純水吸水量 1gの供試試料を10cm×10cmの大きさの250
メッシュナイロン製網袋に封入し、これを、イオン交換
樹脂を通して脱イオンした水を蒸留して得た純水中に1
0分間浸漬して吸水させ、次いで、これを引き上げて吊
り下げ、10分間水切りを行った後、供試試料の重量を
測定し、絶乾供試試料1g当たりに吸収された純水の重
量(g)をもって吸水量を表示した。(2)食塩水吸水量 純水の代わりに生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)
を用いたこと以外は、(1)純水吸水量と同じ方法で吸
水量を測定した。
【0037】(3)置換度 1gの供試試料をフラスコに入れ、この中にメタノール
と塩酸の溶液(70%メタノール水溶液に塩化水素を1
モル/リットルの濃度になるように溶解した混合水溶
液)50mlを添加し、1時間放置した後、試料をメタ
ノール液で十分洗浄して塩酸を完全に除去し、風乾し
た。次いで、風乾した試料を300ml容の三角フラス
コに入れ、0.1規定の水酸化ナトリウム溶液40ml
と蒸留純水100mlを添加して1時間ゆっくり撹拌し
た後、0.1規定塩酸溶液でフェノールフタレインを指
示薬として滴定し、式(1)及び(2)により置換度を
計算で求めた。 Y=0.1A−0.1B (1) 置換度=162Y/(1000W−80Y) (2) ただし、 A:0.1規定水酸化ナトリウム溶液の量
(ml) B:0.1規定塩酸の量(ml) Y:カルボキシメチル基量(ミリ当量) W:カルボキシメチルセルロース重量(g) 註:式(2)はカルボキシメチルセルロースナトリウム
塩(実施例1〜6)の場合の計算式であり、その他のア
ルカリ金属塩の場合には、式中の定数を若干変更する必
要がある。
【0038】実施例2 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付80g/m2の複合シートに水性反
応液を含浸後、該複合シートを乾燥器中で1分間加熱し
て水を蒸発させ、この複合シート中に含有される水性反
応液中の水の割合を58%に調整したこと以外は、実施
例1と同様にして吸水性セルロース材料を製造した。こ
の場合のイソプロピルアルコールの添加率は288%で
エピクロルヒドリンの添加率は3%であった。このよう
にして得られたセルロース材料の置換度、純水吸水量及
び食塩水吸水量を実施例1と同様にして測定した。
【0039】実施例3 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに水性
反応液を含浸後、該複合シートを乾燥器中で5分間加熱
して水を蒸発させ、複合シート中に含有される水性反応
液中の水の割合を22%に調整したこと以外は、実施例
1と同様にして吸水性セルロース材料を製造した。イソ
プロピルアルコールの添加率は288%でエピクロルヒ
ドリンの添加率は3%であった。このようにして得られ
たセルロース材料の置換度、純水吸水量及び食塩水吸水
量を実施例1と同様にして測定した。
【0040】実施例4 針葉樹クラフトパルプ20gを細かくちぎって双腕型ニ
ーダー(型式:S1−1、森山製作所製、腕の回転数:
60rpm及び100rpm)に仕込み、これに水酸化
ナトリウム8.55%、モノクロロ酢酸ナトリウム2
4.91%、水66.54%からなる水性反応液60g
(カルボキシアルキル化剤/グルコース残基=1.1モ
ル/モル)を添加して10分間十分に混合した。この混
合物を家庭用ミキサーで粉砕して綿状物とした。次にス
テンレスバット上に薄く拡げて実施例1と同様の乾燥器
中で60℃で排気を行いながら3分間水を蒸発させ、含
有されている水性反応液中の水の割合を45%に調整し
た。続いて、この綿状物を乾燥器から取り出し、0.6
5%のエピクロルヒドリンを含むイソプロピルアルコー
ル92gを霧吹きを用いて綿状物に均一に散布した。イ
ソプロピルアルコールの添加率は460%でエピクロル
ヒドリンの添加率は3%であった。
【0041】直ちに、この綿状物をポリエチレン製の袋
に入れて密封し、水とイソプロピルアルコールが蒸発し
ないようにした後、80℃の乾燥器中で2時間加熱して
反応させた。反応終了後、前記綿状物を、70%メタノ
ール水溶液1000ml中に投入して1時間攪拌した
後、ガラスフィルター(2G)を使って濾過した。ガラ
スフィルター上の繊維を更に70%メタノール水溶液2
000mlを使って十分に洗浄し、その後100%メタ
ノール液500mlで洗浄した後、真空乾燥して繊維状
の吸水性セルロース材料を製造した。このようにして得
られた前記セルロース材料の置換度、純水吸水量、及び
食塩水吸水量を実施例1と同様にして測定した。
【0042】実施例5 広葉樹晒クラフトパルプ80%と針葉樹晒クラフトパル
プ20%から抄造された米坪量64g/m2の紙シート
を20cm×30cm(絶乾重量3.84g)の寸法に
裁断し、これを水酸化カリウム12.41%、モノクロ
ロ酢酸ナトリウム25.76%、水61.83%からな
る水性反応液に一分間浸漬した後、取り出し、濾紙の間
に挟んでプレスし、紙シート絶乾1g当り3gの水性反
応液(カルボキアルキル化剤/グルコース残基=1.1
モル/モル)が含有されるように調整した。次いで、実
施例1と同様の排気設備を備えた電熱式熱風乾燥器を5
0℃に保ち、排気を行いながら水性反応液を含有する紙
シートを該乾燥器に入れて5分間水を蒸発させ、含有さ
れている水性反応液中の水の割合を30%に調整した。
【0043】続いて該紙シートを乾燥器から取り出し、
4.2%のエピクロルヒドリンを含むエチルアルコール
7.5gを霧吹きを用いて紙シートに均一に散布した。
この場合のエチルアルコール添加率は195%でエピク
ロルヒドリン添加率は10%であった。直ちに、ポリエ
チレン製の袋に入れて密封し、水とエチルアルコールが
蒸発しないようにした後、70℃の乾燥器中で2時間反
応させた。反応終了後、紙シートを70%メタノール水
溶液に浸漬して、取り出し、濾紙の間に挟んでプレス
し、この操作を4回繰り返し、紙シートを十分洗浄し
た。最後に、紙シートを100%メタノール液に浸漬し
た後取り出し、濾紙の間に挟んでプレスした後、風乾し
てシート状の吸水性セルロース材料を製造した。このよ
うにして得られた前記セルロース材料の置換度、純水吸
水量及び食塩水吸水量を実施例1と同様にして測定し
た。
【0044】実施例6 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに、水
酸化ナトリウム8.55%、モノクロロ酢酸ナトリウム
24.91%、水66.54%からなる水性反応液に1
分間浸漬した後、濾紙の間に挟んでプレスし、絶乾複合
シート1g当り3.9gの水性反応液(カルボキシアル
キル化剤/グルコース残基=1.7モル/モル)が含有
されるように調整した。実施例1と同じ排気設備を備
え、温度が50℃に維持された電熱式熱風乾燥器に前記
水性反応液を含有する複合シートを入れて、排気を行い
ながら6分間水を蒸発させ、含有された水性反応液中の
水の割合を26%に調整した。
【0045】続いて、複合シートを乾燥器から取り出
し、0.26%のエチレングリコールジグリシジルエー
テルを含むイソブチルアルコール2.4gを霧吹きを用
いて複合シートに均一に散布した。イソブチルアルコー
ルの添加率は50%でエチレングリコールジグリシジル
エーテルの添加率は15%であった。直ちに、この複合
シートをポリエチレン製の袋に入れて密封し、水とイソ
ブチルアルコールが蒸発しないようにした後、100℃
で1.5時間反応させた。次いで、得られた複合シート
を70%メタノール水溶液に浸漬し、取り出して濾紙の
間に挟んでプレスし、この操作を4回繰り返し、複合シ
ートを十分に洗浄した。最後に、この複合シートを10
0%メタノール液に浸漬し、取り出して濾紙の間に挟ん
でプレスした後、風乾して不織布状の吸水性セルロース
材料を製造した。 このようにして得られた前記セルロ
ース材料の置換度、純水吸水量及び食塩水吸水量を実施
例1と同様にして測定した。
【0046】比較例1 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに、水
酸化ナトリウム7.27%、モノクロロ酢酸ナトリウム
21.19%、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル5%、水66.54%からなる水性反応液を含浸後、
乾燥器中で水を蒸発させて該複合シートに含有された水
性反応液中の水の割合を42%に調整した後、イソプロ
パノールを散布しなかったこと以外は、実施例1と同様
にして吸水性セルロース材料を製造した。このようにし
て得られた前記セルロース材料の置換度、純水吸水量及
び食塩水吸水量を実施例1と同様にして測定した。
【0047】比較例2 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに水性
反応液を含浸後、乾燥器中で水を蒸発させて該複合シー
トに含有された水性反応液中の水の割合を42%に調整
した後、エピクロルヒドリンを含むイソプロピルアルコ
ールの代わりにエピクロルヒドリンを含むメタノールを
散布したこと以外は、実施例1と同様にして吸水性セル
ロース材料を製造した。このようにして得られた前記セ
ルロース材料の置換度、純水吸水量及び食塩水吸水量を
実施例1と同様にして測定した。
【0048】比較例3 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに水性
反応液を含浸後、乾燥器中で水を蒸発させて該複合シー
トに含有された水性反応液中の水の割合を42%に調整
した後、エピクロルヒドリンを含むイソプロピルアルコ
ールの代わりにエピクロルヒドリンを含むn−ペンチル
アルコールを散布したこと以外は、実施例1と同様にし
て吸水性セルロース材料を製造した。このようにして得
られた前記セルロース材料の置換度、純水吸水量及び食
塩水吸水量を実施例1と同様にして測定した。
【0049】比較例4 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに水性
反応液を含浸後、乾燥器中で水を蒸発させなかったこと
以外は、実施例1と同様にして吸水性セルロース材料を
製造した。このようにして得られた前記セルロース材料
の置換度、純水吸水量及び食塩水吸水量を実施例1と同
様にして測定した。
【0050】比較例5 実施例1で用いた合成長繊維とパルプ繊維とを水流交絡
させて得られた目付け80g/m2の複合シートに水性
反応液を含浸後、乾燥器中で7分間水を蒸発させ、複合
シートに含有された水性反応液中の水の割合を18%に
調整したこと以外は、実施例1と同様にして吸水性セル
ロース材料を製造した。このようにして得られた前記セ
ルロース材料の置換度、純水吸水量及び食塩水吸水量を
実施例1と同様にして測定した。
【0051】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示した。
【0052】
【表1】
【0053】表1から明かなように、本発明によれば、
得られる吸水性セルロース材料は、0.70〜0.80
のように極めて高い置換度を有し、純水吸水量と食塩水
吸水量が極めて高く、しかもこのようなセルロース材料
の特性は、一回のカルボキシアルキル化反応で効率よく
達成できるので、安価に、吸水性の優れた吸水性セルロ
ース材料が製造できる(実施例1〜6)。これに対し、
水性反応液をセルロース材料に含有させた後、加熱して
水を蒸発させ、水性反応液中の水の割合をうまく調節し
ても、有機溶媒を含有させないと置換度と吸水量の向上
には限度がある(比較例1)。又、有機溶媒としてメタ
ノール(炭素数1)(比較例2)やn−ペンチルアルコ
ール(炭素数5)(比較例3)を使用すると、置換度と
吸水量の向上が見られない。
【0054】一方、水性反応液をセルロース材料に含有
させた後、水を蒸発させずに吸水性セルロース材料を製
造する場合(比較例4)、置換度と吸水量は低い(比較
例4)。同様に、前記材料を加熱して水を蒸発させて除
去する際に、反応液中の水の割合を低くし過ぎると、得
られる吸水性材料の置換度と吸水量は低い(比較例
5)。
【0055】
【発明の効果】 本発明は、一回の化学反応処理でセル
ロース材料に極めて高いカルボキシアルキル基の置換度
を付与させることができるので、製造コストが安い上、
純水ばかりでなく、食塩水や尿などのようにイオンを含
有する水性溶液に対しても優れた吸水能力を有し、使い
捨て紙おむつ、生理用品等の衛生材料分野をはじめとし
て、土壌保水剤、育苗用シートなどの農業資材分野、食
品鮮度保持材、脱水材などの食品分野、建物の結露防止
シート等の建築材料として広範囲に使用できる吸水性セ
ルロース材料の製造方法を提供するという効果を奏す
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースを含む材料を、カルボキシア
    ルキル化剤、アルカリ金属水酸化物及び水からなる水性
    反応液に含浸し、次いで水を一部分蒸発させ、含浸され
    た水性反応液中の水の割合を反応液全重量当り20〜6
    0重量%の範囲内で、且つ蒸発前の水の割合より少なく
    とも5重量%低くなるように調節した後、架橋剤を含む
    有機溶媒を均一に含有せしめ、その後加熱することによ
    り、セルロースのカルボキシアルキル化と架橋を同時に
    行わせて、架橋されたカルボキシアルキルセルロースを
    生成することを特徴とする吸水性セルロース材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記有機溶媒が炭素数2〜4の一価アル
    コールであることを特徴とする請求項1記載の吸水性セ
    ルロース材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記セルロースを含む材料が、合成長繊
    維とセルロース系繊維から構成される複合シートである
    ことを特徴とする請求項1記載の吸水性セルロース材料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 セルロースのカルボキシアルキル基の置
    換度が0.70〜0.80であることを特徴とする請求
    項1乃至3記載の製造方法による吸水性セルロース材
    料。
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WO2002096953A1 (de) * 2001-05-25 2002-12-05 Stockhausen Gmbh & Co. Kg Superabsorber, verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung
CN114164654A (zh) * 2021-12-20 2022-03-11 安徽冠越新材料科技有限公司 一种凝胶水刺无纺布及其制备方法和应用

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