JP2003183302A - 酸化多糖類材料の製造方法及び酸化多糖類材料 - Google Patents
酸化多糖類材料の製造方法及び酸化多糖類材料Info
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Abstract
法を提供することであり、結晶性の高い多糖類材料にお
いても、溶解や非晶質化のための再生処理を必要とせ
ず、材料の形状を保ったままの不均一反応でありなが
ら、化学構造を制御可能な、酸化多糖類材料の製造方法
及び酸化多糖類の提供にある。すなわち、材料の形状を
保ったまま多糖類材料の表面付近が酸化された酸化多糖
類材料の製造方法及び酸化多糖類の提供である。また本
発明の他の目的は、医療用材料やその他の機能性材料と
しても有用な、化学構造の制御された酸化多糖類材料を
安全且つ安価に提供する。 【解決手段】 多糖類を主成分とする多糖類材料を水中
にて、N−オキシル化合物の触媒の存在下で酸化処理
し、多糖類材料の表面を改質することを特徴とする酸化
多糖類材料の製造方法を提供するものである。
Description
制御しやすく、且つ選択性の高い、酸化度を制御しやす
い酸化多糖類材料の製造方法および酸化多糖類材料に関
する。また生体適合性、生分解性、薬物徐放性等を有
し、医療材料としても利用可能な酸化多糖類材料、或い
は染色性、吸着性、定着性等に優れる酸化多糖類材料の
製造方法および酸化多糖類材料に関する。
量に存在する多糖類は、従来から様々な材料に利用され
てきた。繊維材料や紙材料、樹脂・塗料材料、食品材
料、接着材料、医療・医薬材料、化粧品材料、分離膜、
電気製品材料等、挙げればきりがない。多糖類素材は、
一般に生物分解性を有し、生体に対する安全性が高く、
結晶性、吸水性、保水性、電気絶縁性等の特性を有す
る。これらの本来多糖類が持つ特性を生かしながら、物
理的、化学的また或いは生物的な改質を施すことで不充
分な性質を補って、様々な材料に加工されてきた。近
年、循環型社会の構築に向けて、化石原料由来の合成高
分子素材に代わって、多糖類素材を利用しようとする動
きが高まりを見せており、多糖類素材の改質に関する研
究も活発化している。
行われてきた。多糖類分子中には多くの水酸基が存在
し、その一部が酸化処理によりアルデヒド基やカルボキ
シル基、ケトン基等に変換される。その効果として、表
面電荷や反応性の向上による、繊維の染色性、パルプへ
の内添剤の定着性の向上、また紙や織布等の基材にコー
ティングやラミネート加工をする場合の接着強度や塗工
性の向上、また選択的な吸着能の向上などが挙げられ、
さらに誘導体化の中間物質として利用することも可能で
ある。また生理的な親和性や活性の向上も認められる。
ゾン、過ヨウ素酸、また二酸化窒素等の酸化剤を用いる
方法、および放電処理等により酸化する方法が挙げられ
る。しかしいずれの方法も、溶解した均一系の反応以外
は、副反応が多く、酸化多糖の化学構造は不均一なもの
となってしまう。また副反応による低分子量化や脆化に
よる物理的強度の低下を招く場合もある。結晶性の高い
多糖類、例えばセルロースやキチン、キトサン等で均一
系の反応を行うには、特殊な溶剤に溶解させるか、非晶
質化のための再生処理を必要とし、医薬品材料等の高付
加価値の製品への適用を除けば、実用的な手法とは言え
ない。
場合、D−グルコースがβ1,4結合したもので、D−
グルコースの2位、3位、6位に水酸基を有する。従来
の酸化手法では、その位置選択性は低く、また変換され
る酸化官能基も、アルデヒド基、カルボキシル基、ケト
ン基と不均一で、グルコピラノース環を解裂するような
場合もある。これらの化学構造の不均一性は、材料とし
ての機能のバラツキを招く要因となる。さらに、誘導体
化の中間物質として利用する場合、また生理活性や生体
内における代謝等が求められる場合には、特に化学構造
が均一で、その制御が可能な酸化手法が必要となる。
ス、或いはキチン、キトサン等の布や紙、或いはフィル
ムは、創傷被覆剤や止血用の生体吸収材料、体器官の癒
合を抑制する医療用材料等として、その有用性が報告さ
れている(特開平10−66723号公報、特開平10
−99422号公報)。またセルロースを二酸化窒素で
酸化すると、一級水酸基である6位の一部がカルボキシ
ル基に酸化された、ポリグルクロン酸が得られる事が知
られている。この酸化セルロース材料は止血用の生体吸
収性布の材料として利用されている。しかし二酸化窒素
による酸化は、主鎖の解裂による低分子化とともに、2
位、3位のケトンへの酸化も起こり、酸化選択性は低い
と言われている。また二酸化窒素の有害性にも問題があ
る。
で安全且つ容易な多糖類材料の酸化処理方法を提供する
ことであり、結晶性の高い多糖類材料においても、溶解
や非晶質化のための再生処理を必要とせず、材料の形状
を保ったままの不均一反応でありながら、化学構造を制
御可能な、酸化多糖類材料の製造方法及び酸化多糖類の
提供にある。すなわち、材料の形状を保ったまま多糖類
材料の表面付近が酸化された酸化多糖類材料の製造方法
及び酸化多糖類の提供である。また本発明の他の目的
は、医療用材料やその他の機能性材料としても有用な、
化学構造の制御された酸化多糖類材料を安全且つ安価に
提供することを目的とする。
類を主成分とする多糖類材料を水中にて、N−オキシル
化合物の触媒の存在下で酸化処理し、多糖類材料の表面
を改質することを特徴とする酸化多糖類材料の製造方法
である。
ルロース、澱粉、キチン又はキトサンのいずれかひとつ
を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の酸化多
糖類材料の製造方法である。
物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン
−N−オキシルであることを特徴とする請求項1又は2
記載の酸化多糖類材料の製造方法である。
で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在
下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およ
びそれらの塩から選ばれる群のうち、少なくとも1種以
上の酸化剤を用いて酸化することを特徴とする請求項1
〜3のいずれかの一に記載の酸化多糖類材料の製造方法
である。
カリを添加してpH9〜12に保ちながら酸化すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかの一に記載の酸化
多糖類材料の製造方法である。
が、繊維或いは糸であることを特徴とする請求項1〜5
のいずれかの一に記載の酸化多糖類材料の製造方法であ
る。
が、ガーゼ或いは織布或いは不織布であることを特徴と
する請求項1〜5のいずれかの一に記載の酸化多糖類材
料の製造方法である。
が、紙であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
の一に記載の酸化多糖類材料の製造方法である。
が、フィルム或いはシートであることを特徴とする請求
項1〜5のいずれかの一に記載の酸化多糖類材料の製造
方法である。
る多糖類材料を水中にて、N−オキシル化合物の触媒の
存在下、多糖類材料の表面部分の、多糖類分子の還元末
端、または構成単糖の一級水酸基を選択的に酸化し、カ
ルボキシル基又はその塩類に変換された構造を持つこと
を特徴とする酸化多糖類材料である。
セルロース、澱粉、キチン又はキトサンのいずれかひと
つを主成分とする材料であって、セルロース、澱粉、キ
チン又はキトサン分子の還元末端、またはピラノース環
の第6位の一級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル
基又はその塩類に変換されたウロン酸構造単位が材料の
表面部分に偏析していることを特徴とする請求項10に
記載の酸化多糖類材料である。
態が繊維或いは糸であり、多糖類分子の還元末端又は構
成単糖の一級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル基
に変換された構造が、繊維或いは糸の表面部分に偏析し
ていることを特徴とする請求項10又は11に記載の酸
化多糖類材料である。
態がガーゼ或いは織布或いは不織布であり、多糖類分子
の還元末端又は構成単糖の一級水酸基を選択的に酸化
し、カルボキシル基に変換された構造が、ガーゼ或いは
織布或いは不織布の表面部分に偏析していることを特徴
とする請求項10又は11に記載の酸化多糖類材料であ
る。
態が紙であり、多糖類分子の還元末端又は構成単糖の一
級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル基に変換され
た構造が、紙の表面部分に偏析していることを特徴とす
る請求項10又は11に記載の酸化多糖類材料である。
態がフィルム或いはシートであり、多糖類分子の還元末
端又は構成単糖の一級水酸基を選択的に酸化し、カルボ
キシル基に変換された構造が、フィルム或いはシートの
表面部分に偏析していることを特徴とする請求項10又
は11に記載の酸化多糖類材料である。
が、多糖類成分の構成単糖のモル数に対して1〜60%
(酸化度1〜60%)であることを特徴とする上記請求
項10〜15のいずれかの一に記載の酸化多糖類材料で
ある。
する。本発明は多糖類を主成分とする多糖類材料をN−
オキシル化合物などの触媒の存在下、酸化することによ
り、多糖類材料の表面付近を酸化した酸化多糖類材料を
提供することにある。すなわち、多糖類材料の形態を保
ったまま、表面部分の酸化されている多糖類材料の提供
である。特に水中にて酸化反応を行うことを特徴とする
ものである。
生処理等の結晶化度を低下させる処理を行わずに、N−
オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)などの触媒の
存在下で酸化することを特徴とする。N−オキシル化合
物としては、水溶性の安定ラジカルである2,2,6,
6、−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシル(以
下TEMPOという)などが挙げられる。
端、または構成単糖の一級水酸基を選択的に酸化するも
のである。また、酸化の程度に応じて、多糖類材料にカ
ルボキシル基又はその塩類を均一かつ効率よく導入でき
る。N−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、多糖
類成分の重量に対して10ppm〜3%あれば充分であ
る。
ず、材料の成分や形状、使用する設備などによって最適
化されるべきであるが、室温以下で反応させると構成単
糖の一級水酸基への酸化の選択性を上げ、副反応を抑え
ることができ、好ましい。また、反応系のpHは、反応
の効率の面から、pH9〜12の間で反応を行うことが
望ましい。また、水系溶媒中で酸化処理できるのも特徴
の一つである。
は、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロ
ゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、
過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であ
れば、いずれの酸化剤も使用できる。
化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進
行させることができ、カルボキシル基又はその塩類の導
入効率を大きく改善できる。臭化物又はヨウ化物として
は、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭
化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用でき
る。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進で
きる範囲で選択でき、例えば、多糖類成分の重量に対し
100ppm〜20%である。
多糖類としては、分子内に一級水酸基を有するものであ
れば特に限定されるものではない。代表的な多糖類とし
ては、セルロース、澱粉、キチン、キトサン等が挙げら
れる。また、ヘミセルロースやリグニン、タンパク質等
の原料由来の副成分や、添加剤や複合化成分等の人為的
な第三成分を含んでいても構わない。
及びキトサンを主成分とする多糖類材料の酸化反応で
は、特に、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、
臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナト
リウムを用いるのが好ましい。
に限定されるものではなく、その材料の形態を維持した
まま、水中にて、化学構造の選択性高く、材料表面を酸
化処理できることが本発明のもう一つの特徴ある。形態
の一例としては、繊維状、糸状、ガーゼ、織布或いは不
織布、紙、フィルム状、シート状等が挙げられる。
た前処理を必要とすることなく、選択性の高い酸化反応
を行うことが出来る。セルロースを主成分とする材料で
は、セルロース分子の還元末端、またはピラノース環の
第6位がカルボキシル基に変換されたウロン酸単位が、
材料表面部分に偏析した状態で得られる。また澱粉を主
成分とする材料では澱粉分子の還元末端、またはピラノ
ース環の第6位がカルボキシル基に変換されたウロン酸
単位が、材料表面部分に偏析した状態で得られる。また
キチン及びキトサンを主成分とする材料ではキチン及び
キトサン分子の還元末端、またはN−アセチルグルコサ
ミン或いはグルコサミンの第6位がカルボキシル基に変
換された構造が、材料表面部分に偏析した状態で得られ
る。
は材料の表面部分に限られ、また酸化反応も材料を脆化
させるような副反応が少ないことから、材料が本来持つ
物理的強度(引張強度等)や風合いを失うことなく、表
面改質が可能である。
た場合は、表面付近にアニオン性のカルボキシル基が効
果的に導入されて、カチオン性の内添剤の定着性が向上
したり、繊維間の結合力が増すことが考えられる。ま
た、織布、不織布などの布に用いた場合は、表面付近に
生体適合性の高いウロン酸単位構造が偏析するため、医
療用の布材などに好適に用いることができる。また、多
糖類繊維を用いた場合は、染色性が向上したり、吸水
性、吸水速度が向上する。また、材料表面の濡れ性向
上、接着性向上なども期待できる。
は、多糖類成分の構成単糖のモル数に対して1〜60%
(酸化度1〜60%)であることが望ましい。酸化度が
1%未満では、カルボキシル基を導入した効果が発現し
にくく、60%を越えると、表面特性の向上は飽和し、
逆に水溶化しやすくなり材料の形態保持が難しくなると
ともに、分子量低下等の副反応が起こりやすく、材料の
強度低下を招き好ましくない。
R分析、IR分析等により定量することができる。
るが本発明を限定するものではない。
製)10gを水に懸濁させ、60℃に加熱して溶解させ
た。この溶液をTEMPO0.125g、臭化ナトリウ
ム1.25gを溶解させた水溶液に加え、澱粉の固形重
量濃度が約1.3重量%になるように調製した。反応系
を冷却し、次に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5
%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。反応温
度は常に5℃に維持した。反応中は系内のpHが低下す
るが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH1
0.8付近に調整した。6位の一級水酸基の全モル数に
対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達
した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、
水:アルコール=2:8により十分洗浄した後、アセト
ンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、実施例1の酸化澱
粉を得た。
に溶解させ、13C−NMRを測定した。結果を図1に
示す。
酸化前のピラノース環C6位の水酸基を持つ炭素に由来
するピークが消え、カルボキシル基に変換していること
が分かる。2位、3位の炭素に由来するピークは変化せ
ず、ケトンなどのピークは確認されなかった。従って選
択性高く、ピラノース環の6位炭素のみを酸化し、カル
ボキシル基に変換していることが分かる。
トパルプ繊維を用い、カナダ標準濾水度が350csf
となるように叩解処理した水分散パルプスラリー(絶乾
パルプ量50g相当)にTEMPO0.125g、臭化
ナトリウム1.25gを溶解させた水溶液を加え、全体
としてパルプ濃度が約1.3重量%になるよう調製し
た。
リウム水溶液(Cl=5%)10mlを添加し、酸化反
応を開始する。反応温度は常に5℃に維持した。反応中
はスラリーのpHが低下するが、0.5N−NaOH水
溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整した。15
分後反応を停止し、十分に水洗して実施例2の酸化パル
プ繊維を得た。
化パルプ繊維、及び原料のパルプ繊維(比較例1)につ
いて、パルプ中のカルボキシル基量をTAPPI TE
ST METHODS T237om−93に従い定量
した。その結果、原料パルプではグルコース残基当たり
0.6%であったカルボキシル基が、1.5%に上昇し
ており、カルボキシル基が導入されたことが確認され
た。
繊維、及び原料のパルプ繊維(比較例1)から手抄紙を
作成し、JIS P8113に準じた引張試験を行い、
乾燥紙力(23℃50%RH)および湿潤紙力(常温蒸
留水中に1分或いは60分浸漬)を測定した。結果を表
1に示す。
紙された紙は、比較例に比べて乾燥紙力、および湿潤紙
力ともに向上することが確認された。特に蒸留水1分浸
漬における強度差が大きい。導入されたカルボキシル基
により繊維間の水素結合が増したことによる効果と考察
される。また酸化処理による繊維強度の劣化も殆どない
ものと思われる。
パルプスラリー、及び原料のパルプスラリー(比較例
1)に、以下に示す内添剤を絶乾パルプ重量に対して5
%(SiO2重量換算)添加して5分間攪拌し、手抄紙
を作成した。得られた内添紙は、凍結粉砕した後、ペレ
ット状に成形して、蛍光X線分析用の試料とした。蛍光
X線分析によりSiの定量を行ったところ、比較例の内
添紙ではSiO2定着量が1.0%(SiO2換算重量
%)であったのに対し、実施例2の内添紙では2.5%
と2倍以上の定着量を示した。パルプ繊維表面のアニオ
ン性が増加したためと考察される。今回定着量の分析を
容易にするためSi系の内添剤を用いたが、一般的なカ
チオン性内添剤においても同様の効果が期待できると考
えられる。
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(S32
0 チッソ(株)製)2.77g(12.24mmo
l)と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン(S530チッソ(株)製)4.5
25g(18.36mmol)、及び0.1N−塩酸1
0molを混合し約15分間攪拌した後、イソプロパノ
ールを適量添加し、約15分間攪拌したものを用いた。
(NPi上質 日本製紙(株)製)、20cm×20c
mの試験片5枚を、TEMPO0.125g、臭化ナト
リウム1.25gを溶解させた水溶液3l中に浸漬し
て、反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(C
l=5%)20mlを添加し、酸化反応を開始する。反
応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のpHが低
下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、p
H10.8付近に調整した。20分後試験片を引き上
げ、エタノールおよび水で十分に洗浄、乾燥して実施例
3の酸化紙を得た。
化紙、及び酸化処理していない上質紙(比較例2)につ
いて、凍結粉砕し、紙中のカルボキシル基量をTAPP
I TEST METHODST237 om−93に
従い定量した。その結果、比較例2の上質紙は、カルボ
キシル基がグルコース残基当たり0.9%であったのに
対し、実施例3では、5.5%となり、カルボキシル基
の導入が確認された。
粉砕試料を用いて、KBr法によりIR分析を行った。
測定チャートを図2に示す。1610cm-1付近のカル
ボキシル基のナトリウム塩に由来する吸収の増大が認め
られた。
EMPO0.125g、臭化ナトリウム1.25gを溶
解させた水溶液1l中に浸漬して、反応系を冷却し、次
亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)20mlを添
加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持
した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−N
aOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整し
た。90分後ガーゼを引き上げ、エタノール及び水で十
分に洗浄、乾燥して実施例4の酸化ガーゼを得た。
化ガーゼ、及び酸化処理していないセルロースガーゼ
(比較例3)について、凍結粉砕し、試料中のカルボキ
シル基量をTAPPI TESTMETHODS T2
37 om−93に従い定量した。その結果、比較例3
のセルロースガーゼは、グルコース残基当たり0.2%
であったのに対し、実施例4は、グルコース残基当たり
10.2%のカルボキシル基が確認された。
粉砕試料を用いて、KBr法によりIR分析を行った。
測定チャートを図3に示す。1610cm-1付近のカル
ボキシル基のナトリウム塩に由来する吸収の増大が認め
られた。
MPO0.125g、臭化ナトリウム1.25gを溶解
させた水溶液1l中に浸漬して、反応系を冷却し、次亜
塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)20mlを添加
し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持し
た。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−Na
OH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整し
た。20分後フィルムを引き上げ、エタノール及び水で
十分に洗浄、乾燥して実施例5の酸化フィルムを得た。
び酸化処理していないキチンフィルム(比較例4)につ
いて、凍結粉砕し、KBr法によりIR分析を行った。
測定チャートを図4に示す。1610cm−1付近のカ
ルボキシル基のナトリウム塩由来の吸収が増大してお
り、カルボキシル基の導入が認められる。
れば、水系で反応中のpHが9から12、反応温度が0
℃〜室温までの温和な条件で、効率的な酸化処理を行う
ことが可能であり、有害な溶剤やガスを使用することな
く安全性が高い。また高価な試薬であるN−オキシル化
合物は触媒量ですみ、消費されるのは安価な次亜塩素酸
ナトリウム等の酸化剤と水酸化ナトリウム等のアルカリ
であり、触媒は繰り返し利用が可能で、連続処理の場合
には、特に安価な酸化方法と言える。
となく、材料の形状、及び物理的強度、風合い等を保っ
たまま、副反応が少なく、材料表面にカルボキシル基を
導入できる。さらに、多糖類分子の還元末端或いは構成
単糖中の一級水酸基のみを酸化する、選択性の高い反応
である。
糖類材料は、安全で容易に製造され、酸化処理による物
理的強度低下が少なく、選択性高く多糖類分子の還元末
端或いは構成単糖中の一級水酸基が酸化されてカルボキ
シル基に変換された構造が材料の表面部分に局在化して
いる特徴を持つ。そのため、材料表面のイオン的物性、
水素結合性、染色性、吸着性、定着性、接着性等が向上
し、循環型社会の構築に向けた多糖類材料の利用促進の
一助となり得る。
医薬材料、化粧品材料、他の機能性材料等に利用するこ
とも可能であり、多糖類素材の新たな特性や機能性を付
与できる可能性がある。
溶解させて測定した13C−NMRチャートである。
砕品のKBr法によるIRチャートである。
の凍結粉砕品のKBr法によるIRチャートである。
のキチンフィルムの凍結粉砕品のKBr法によるIRチ
ャートである。
Claims (16)
- 【請求項1】多糖類を主成分とする多糖類材料を水中に
て、N−オキシル化合物の触媒の存在下で酸化処理し、
多糖類材料の表面を改質することを特徴とする酸化多糖
類材料の製造方法。 - 【請求項2】前記多糖類材料が、セルロース、澱粉、キ
チン又はキトサンのいずれかひとつを主成分とすること
を特徴とする請求項1記載の酸化多糖類材料の製造方
法。 - 【請求項3】前記N−オキシル化合物が、2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルであ
ることを特徴とする請求項1又は2記載の酸化多糖類材
料の製造方法。 - 【請求項4】前記酸化処理が、水中で臭化アルカリ金属
またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、
亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩から選ば
れる群のうち、少なくとも1種以上の酸化剤を用いて酸
化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの一に
記載の酸化多糖類材料の製造方法。 - 【請求項5】前記酸化処理が、アルカリを添加してpH
9〜12に保ちながら酸化することを特徴とする請求項
1〜4のいずれかの一に記載の酸化多糖類材料の製造方
法。 - 【請求項6】前記多糖類材料の形態が、繊維或いは糸で
あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの一に記
載の酸化多糖類材料の製造方法。 - 【請求項7】前記多糖類材料の形態が、ガーゼ或いは織
布或いは不織布であることを特徴とする請求項1〜5の
いずれかの一に記載の酸化多糖類材料の製造方法。 - 【請求項8】前記多糖類材料の形態が、紙であることを
特徴とする請求項1〜5のいずれかの一に記載の酸化多
糖類材料の製造方法。 - 【請求項9】前記多糖類材料の形態が、フィルム或いは
シートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
の一に記載の酸化多糖類材料の製造方法。 - 【請求項10】多糖類を主成分とする多糖類材料を水中
にて、N−オキシル化合物の触媒の存在下、多糖類材料
の表面部分の、多糖類分子の還元末端、または構成単糖
の一級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル基又はそ
の塩類に変換された構造を持つことを特徴とする酸化多
糖類材料。 - 【請求項11】前記多糖類材料が、セルロース、澱粉、
キチン又はキトサンのいずれかひとつを主成分とする材
料であって、セルロース、澱粉、キチン又はキトサン分
子の還元末端、またはピラノース環の第6位の一級水酸
基を選択的に酸化し、カルボキシル基又はその塩類に変
換されたウロン酸構造単位が材料の表面部分に偏析して
いることを特徴とする請求項10に記載の酸化多糖類材
料。 - 【請求項12】前記多糖類材料の形態が繊維或いは糸で
あり、多糖類分子の還元末端又は構成単糖の一級水酸基
を選択的に酸化し、カルボキシル基に変換された構造
が、繊維或いは糸の表面部分に偏析していることを特徴
とする請求項10又は11に記載の酸化多糖類材料。 - 【請求項13】前記多糖類材料の形態がガーゼ或いは織
布或いは不織布であり、多糖類分子の還元末端又は構成
単糖の一級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル基に
変換された構造が、ガーゼ或いは織布或いは不織布の表
面部分に偏析していることを特徴とする請求項10又は
11に記載の酸化多糖類材料。 - 【請求項14】前記多糖類材料の形態が紙であり、多糖
類分子の還元末端又は構成単糖の一級水酸基を選択的に
酸化し、カルボキシル基に変換された構造が、紙の表面
部分に偏析していることを特徴とする請求項10又は1
1に記載の酸化多糖類材料。 - 【請求項15】前記多糖類材料の形態がフィルム或いは
シートであり、多糖類分子の還元末端又は構成単糖の一
級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシル基に変換され
た構造が、フィルム或いはシートの表面部分に偏析して
いることを特徴とする請求項10又は11に記載の酸化
多糖類材料。 - 【請求項16】前記カルボキシル基が、多糖類成分の構
成単糖のモル数に対して1〜60%(酸化度1〜60
%)であることを特徴とする上記請求項10〜15のい
ずれかの一に記載の酸化多糖類材料。
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