JP2011124472A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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慎一 中尾
Katsura Watanabe
桂 渡邉
Shintetsu Takada
真徹 高田
Hideaki Masuda
秀顯 増田
Kenichi Otsuka
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Abstract

【目的】Cu配線寿命の劣化と絶縁膜の絶縁性劣化を共に低減する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【構成】本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、チャンバ内面にシリコン(Si)膜を表面層とする多層膜を形成する工程(S102)と、前記多層膜が内面に形成されたチャンバ内に、表面に銅(Cu)配線と絶縁膜とが形成された基板を配置して、希ガスプラズマ処理を行なう工程(S106)と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。例えば、銅(Cu)配線を有する半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速性能化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗の銅(Cu)或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜を化学機械研磨(CMP)により除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。
そして、層間絶縁膜には、比誘電率の低い低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることが検討されている。将来の高密度化、配線寸法の微細化に向けて、low−k膜の比誘電率kはより低減させることが要求されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO)膜から比誘電率kが2.8以下のlow−k膜を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。かかる低誘電率化のために絶縁膜中に微細な空孔を導入する方法(ポーラス化)がとられている。例えば、多孔質絶縁膜として多孔質SiOC膜(p−SiOC膜)が用いられる。
そして、かかるSiOC膜表面にCu膜を埋め込む処理の後、露出した導電膜の表面に形成された酸化膜を、還元性ガス雰囲気でのプラズマ処理で除去する方法がとられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、還元性ガスのような反応性ガスを用いたプラズマ処理は、Cu膜の表面だけではなく、同時にSiOC膜表面にも作用し、Si−O−Si結合、及びSi−CH結合を分断する。そのため、Si−H、Si−OHを多く形成する変質がSiOC膜表面に発生する。このような変質によるダメージ層が導入されると親水性が高くなり、以降のプロセスにおいて吸湿しやすくなり、絶縁性が劣化し、その結果、リーク電流が増加してしまうといった問題があった。また、従来、Cu膜上には上層のエッチングストッパ膜を形成していたが、特に、Cu膜上の酸化膜除去が不十分な場合、Cu酸化膜と上層のエッチングストッパ膜との親和性の低い界面に起因して、エレクトロマイグレーションによるCu配線寿命の劣化が発生してしまうといった問題があった。
特開2007−67132号公報
本発明の一態様は、上述したような従来の問題点を克服し、Cu配線寿命の劣化と絶縁膜の絶縁性劣化を共に低減する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、チャンバ内面にシリコン(Si)膜を表面層とする多層膜を形成する工程と、前記多層膜が内面に形成されたチャンバ内に、表面に銅(Cu)配線と絶縁膜とが形成された基板を配置して、希ガスプラズマ処理を行なう工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、Cu配線寿命の劣化と絶縁膜の絶縁性劣化を共に低減できる。その結果、信頼性の高い半導体装置を得ることができる。
実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。 実施の形態1におけるCu配線を形成する方法について説明するための工程断面図である。 実施の形態1におけるプラズマCVD装置の構成を示す概念図である。 実施の形態1におけるチャンバ内面にプリコート膜が形成された状態を示す概念図である。 実施の形態1におけるプリコート層のスパッタリングによる基板上への堆積を説明するための概念図である。 図1の半導体装置の製造方法の工程断面図である。 実施の形態1におけるガスフロー還元処理の効果の一例を示す図である。 実施の形態1におけるCu表面へのSiの結合状況の一例を示す図である。 実施の形態1における印加電圧とリーク電流との関係の一例を示す図である。 マルチチャンバを備えた装置の一例を示す図である。
実施の形態1.
以下、実施の形態1について、図面を用いて説明する。
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部工程を表すフローチャートである。図1において、実施の形態1の半導体装置の製造方法では、チャンバプリコート処理工程(S102)と、ガスフロー還元工程(S104)と、希ガスプラズマ処理工程(S106)と、エッチングストッパ膜形成工程(S108)という一連の工程を実施する。実施の形態1では、銅(Cu)配線が形成された半導体基板上にCuシリサイド膜等を形成する工程について重点を置いて説明する。まず、Cu配線が形成された半導体基板を以下のように製造する。
図2は、実施の形態1におけるCu配線を形成する方法について説明するための工程断面図である。まず、図2(a)に示すように、基板200上に多孔質の低誘電率絶縁材料を用いた絶縁膜220を例えば100nmの厚さで形成する。絶縁膜220の材料として、多孔質の炭酸化シリコン(SiOC)を用いると好適である。多孔質のSiOC膜により、比誘電率kが例えば2.8以下の層間絶縁膜を得ることができる。ここでは、一例として、メチルシロキサンを主成分とする材料を用いて絶縁膜220を形成する。絶縁膜220の材料としては、メチルシロキサンを主成分とするポリメチルシロキサンの他に、例えば、ポリシロキサン、ハイドロジェンシロセスキオキサン、メチルシロセスキオキサンなどのシロキサン骨格を有する膜を用いることができる。形成方法としては、例えば、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD(spin on dielectric coating)法を用いることができる。例えば、スピナーで成膜し、この基板にホットプレート上で窒素雰囲気中での80℃ベークを1分間行った後、最終的にホットプレート上で窒素雰囲気中ベーク温度よりも高温の450℃で30分間キュアを行なうことにより形成することができる。形成方法はSOD法に限るものではなく化学気相成長(CVD)法を用いても好適である。
そして、図2(b)に示すように、リソグラフィー工程とドライエッチング工程でダマシン配線を作製するための配線溝(トレンチ)となる開口部150を絶縁膜220内に形成する。
そして、図2(c)に示すように、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、トレンチ及び絶縁膜220表面にバリアメタル膜240を形成する。バリアメタル膜240の材料としては、例えば、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、それらを含む合金、それらの化合物、またはそれらの積層膜から構成することができる。化合物としては、特に、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化ニオブ(NbN)等の窒化物が好適である。そして、スパッタ等のPVD法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜としてバリアメタル膜240が形成されたトレンチ内壁及び基板200表面に堆積(形成)させる。そして、このシード膜をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長法によりCu膜260をトレンチ内及び基板200表面に堆積させる。その後、アニール処理を行う。アニールは電気炉、またはホットプレートを用い、フォーミングガス中、または窒素雰囲気中で、150℃〜300℃の温度範囲で、電気炉の場合は約1時間、ホットプレートの場合は約1分〜5分行う。
そして、アニール処理後にかかる状態からトレンチ上に堆積した余分なCu膜260とバリアメタル膜240とを図2(d)に示すようにCMPにより除去してダマシン配線となるCu配線を形成する。以上のようにCu配線が形成された半導体基板を用いて以下のように各工程を実施していく。
図3は、実施の形態1におけるプラズマCVD装置の構成を示す概念図である。かかるプラズマCVD装置100内にて図1に示した各工程が実施される。プラズマCVD装置100では、処理チャンバ102の上面が、ガス導入口104で構成される。よって、図3において、プラズマCVD装置100のチャンバ内面は、側面側については処理チャンバ102の内壁面が、上面側についてはガス導入口104の下面が相当する。ガス導入口104は、所謂シャワーヘッド構造に形成され、均一にガスを基板上に上方から供給できる。また、ガス導入口104はプラズマ発生用の高周波電力(RF電力)が印加される上部電極を兼ねる。処理チャンバ102内には、基板を載置するステージ106が配置される。ステージ106内には図示しないヒータが配置され、基板温度を調整する。また、ステージ106はバイアス電力用の下部電極を兼ねる。また、処理チャンバ102内は、図示しない真空ポンプにより真空引きされ、所望の圧力にすることができる。
チャンバプリコート処理工程(S102)として、プラズマCVD装置100のチャンバ内面にシリコン(Si)膜を表面層とする多層膜を形成する。
図4は、実施の形態1におけるチャンバ内面にプリコート膜が形成された状態を示す概念図である。まず、基板を処理チャンバ102内に搬入しない状態で、NF等のガスを用いて公知のクリーニング法を実施することで、プラズマCVD装置100のチャンバ内面上に堆積した膜を除去することができる。そして、基板を処理チャンバ102内に搬入しない状態のまま、次に、ガス導入口104からシラン(SiH)ガス、アンモニア(NH)ガス、及びヘリウム(He)ガスを処理チャンバ102内に供給する。そして、かかる混合ガスを供給しながらかかるガス雰囲気にて、上部電極と下部電極間にRF電源から例えば1200W、13.56MHzの高周波電力を印加することで、窒化シリコン(SiN)膜からなるプリコート層300をプラズマCVD装置100のチャンバ内面上に堆積させる。例えば、10nmの膜厚でプリコート層300を形成する。後述する希ガスプラズマ処理工程で基板上に堆積させる膜厚よりも厚く堆積させることでチャンバ材料の金属を基板上に堆積させないようにできる。これにより金属汚染を回避できる。
続いて、ガス導入口104からSiHガス、及びHeガスを処理チャンバ102内に供給する。そして、かかる混合ガスを供給しながらかかるガス雰囲気にて、上部電極と下部電極間にRF電源から例えば1200W、13.56MHzの高周波電力を印加することで、シリコン(Si)膜からなるプリコート層302をプラズマCVD装置100のチャンバ内面に形成されたプリコート層300上に堆積させる。プリコート層300よりも薄い例えば5nmの膜厚でプリコート層302を形成する。
以上により、図4に示すように、処理チャンバ102の内壁と上面側のガス導入口104の下面にSi膜を表面層とする多層膜を形成できる。ここで、チャンバ内面には、SiN膜のプリコート層300の下層(チャンバ側)にその他の膜が形成されても構わない。かかるSi膜を表面層とする多層膜を形成した後に、Cu配線が形成された半導体基板を処理チャンバ102内に搬入し、ステージ106上に配置する。
次に、ガスフロー還元工程(S104)として、処理チャンバ102内に搬入された基板を還元性ガス雰囲気に晒す。上述したCMP法により研磨された半導体基板は、Cu膜260表面および絶縁膜220表面が露出している。かかる半導体基板のCu膜260の表面部はCu酸化膜および有機物層が積層している。有機物層とは、例えば、CMP時の洗浄薬液の残渣や空気中で付着したハイドロカーボン等を指し、主にはC、H、Oで形成される。一方、絶縁膜220の表面部は、有機物層が積層された状態である。有機物層とは、先述のCu膜260上の有機物層と同じく、CMP時の洗浄薬液の残渣や空気中で付着したハイドロカーボン等を指し、主にはC、H、Oで形成される。かかる状態のまま上層の膜を形成しては、上層膜との密着性が劣化してしまうので、Cu膜260表面の酸化膜と有機物層および絶縁膜220表面の有機物層を除去することが望ましい。しかし、上述したように、従来のような反応性ガスを用いたプラズマ処理を行なったのでは、絶縁膜220表面に変質によるダメージ層が導入され、絶縁性が劣化してしまう。
そこで、実施の形態1では、プラズマ処理を行なわずに、ガスフロー処理にて、Cu膜260表面の酸化膜と有機物層および絶縁膜220表面の有機物層を還元除去する。具体的には、処理チャンバ102内に搬入された基板を350℃に加熱した状態で、ガス導入口104からアンモニア(NH)と窒素(N)の混合ガスをチャンバ内に供給する。そして、基板をかかる混合ガス雰囲気に晒す。これにより、Cu膜260表面の有機物層および絶縁膜220表面の有機物層は分解、気化して基板上から離れ、Cu膜260表面の酸化膜は還元されてCuとなる。よって、Cu膜260表面の酸化膜と有機物層および絶縁膜220表面の有機物層を除去できる。例えば、ガスフロー還元工程(S104)は60秒程度行なうことが望ましい。但し、これに限るものではなく、これより短い時間実施して、Cu膜260表面の酸化膜の一部が残った状態で次の希ガスプラズマ処理工程(S106)に進んでも構わない。
次に、希ガスプラズマ処理工程(S106)として、プリコート層300,302が内面に積層して形成されたチャンバ内に、表面にCu膜260と絶縁膜220とが形成された半導体基板を配置した状態のまま、希ガスプラズマ処理を行なう。具体的には、ガス導入口104からアルゴン(Ar)等の希ガスを処理チャンバ102内に供給し、希ガス雰囲気で、上部電極と下部電極間にRF電源から高周波電力を印加することで、希ガスを放電させプラズマを発生させる。基板温度は350℃程度が好適である。希ガスは、Arの他、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、或いはキセノン(Xe)を用いても好適である。また、これらの混合ガスでも好適である。かかる希ガスプラズマを半導体基板上に照射した場合、先ず、Cu膜260表面上に僅かに残った酸化膜と有機物層がスパッタリングにより取り除かれる。絶縁膜220では、表面に僅かに残った有機物層がスパッタリングにより取り除かれる。さらに、希ガスプラズマによって発生したArイオン等の衝突によるスパッタリングの衝撃により絶縁膜220表面が緻密化される。さらに、ここでは、希ガスプラズマを用いているため、アンモニア(NH)や水素(H)等の反応性ガスのプラズマのように絶縁膜220のSi−CH結合を破壊してCH基の離脱が生じるということがないので、緻密化されてもダメージ層の発生を防止できる。
図5は、実施の形態1におけるプリコート層のスパッタリングによる基板上への堆積を説明するための概念図である。希ガスプラズマにより、チャンバ内面のプリコート層302のSi膜が最初にスパッタリングされて、Siクラスタ10となり、Cu膜260と絶縁膜220の表面に堆積する。プリコート層302が全てスパッタリングされると、次にSiNのプリコート層300がプラズマ照射によってスパッタリングされて、SiNクラスタ20となり、同様に、基板上に堆積する。チャンバ内に配置された基板とガス導入口104との距離を近づけることで、基板上に堆積する層を実質的にガス導入口104の下面に付着させたプリコート層300,302にできる。よって、ガス導入口104の下面に堆積させるプリコート層300,302の膜厚を調整することで、基板上に堆積するSiクラスタ10及びSiNクラスタ20の膜厚を制御できる。
図6は、図1の半導体装置の製造方法の工程断面図である。図6では、希ガスプラズマ処理工程(S106)からエッチングストッパ膜形成工程(S108)までを示している。希ガスプラズマ処理工程(S106)において、Siクラスタ10がCu膜260表面に堆積すると、半導体基板が350℃に加熱されているので、SiとCuが容易にシリサイド反応を起こし、図6(a)に示すようにCu膜260表面部にはCuシリサイド(CuSi、或いはCuSix、以下、CuSiと示す。)膜270が形成される。CuSi膜270の膜厚は5nm以下が好適である。ここで、Siクラスタ10をCu膜260表面に堆積させることで、CVD法によりCu中を容易に移動できる気相のSiをCu膜260上に堆積させる場合よりもSiのCu内への侵入深さを浅くできる。よって、その分、Cu配線の配線抵抗の上昇を抑制できる。また、Siクラスタ10の堆積が終了後に堆積するSiNクラスタ20によって、CuSi膜270上にSiN膜280が形成される。SiNクラスタ20の一部はCuSiを窒化させ、CuSi膜270の一部はCuSiN層となっても構わない。SiN膜280の膜厚は5nm以下が望ましい。
以上のように、実施の形態1では、Cu膜260上にCuSi膜270を形成できる。このCuSi膜270(或いはCuSiN層)は、Cu配線と上層の層間絶縁膜界面との密着性を向上し、Cu配線と層間絶縁膜界面でのCu原子輸送を抑制する効果がある。これにより、エレクトロマイグレーション(EM)特性を改善させる。よって、CuSi膜がないCu膜に比べてエレクトロマイグレーションによるCu配線寿命の劣化を抑制できる。
一方、絶縁膜220上にもSiクラスタ10とSiNクラスタ20が堆積することになるが、堆積したSiは、絶縁膜220表面に一部が染み込んで堆積する。例えば、絶縁膜220のSiCOの結合に組み込まれ、希ガスプラズマによって緻密化された緻密層222の一部になる。絶縁膜220が多孔質膜であったときに特に顕著である。その他、SiNクラスタ20によるSiN膜280により窒化される場合もあり得る。絶縁膜220の緻密化の程度は、半導体基板に対して適切なバイアスを掛けることによってコントロールできる。この緻密化とそれに続くSiNクラスタ20によるSiN膜280の形成により、後に成膜するエッチングストッパ膜と親和性の高い良好な界面を形成できる。
ここで、チャンバ内面にSiN膜をまず堆積させ、SiN膜上にSi膜を堆積した多層膜構造にすることで、クリーニングしにくいSi膜だけの単層の場合よりもチャンバクリーニングを容易にできる。また、Si膜の下層にSiN膜を形成することで、チャンバ材料の金属がスパッタされて基板上に堆積することによる金属汚染を防止できる。
次に、エッチングストッパ膜形成工程(S108)として、図6(b)に示すように、SiN膜280上にエッチングストッパ膜282を形成する。エッチングストッパ膜282の材料として、例えば、炭化シリコン(SiC)が好適である。SiC膜を例えば30〜40nmの膜厚で形成すると好適である。SiCの比誘電率kは4〜5とSiNの比誘電率k=7よりも小さいため、SiN膜280の膜厚を薄くして、代わりにSiC膜の膜厚を厚くすることで比誘電率kの上昇を抑制できる。また、エッチングストッパ膜282は、上層の配線形成時のエッチングストッパとしての役割だけではなく、下層のCuの上層への拡散を防止できる。以降、上層の主たる層間絶縁膜等を形成して、上層配線等を形成すればよい。
図7は、実施の形態1におけるガスフロー還元処理の効果の一例を示す図である。図7では、2次イオン質量分析法を用いてCu配線におけるCu内の酸素量を比較したデプスプロファイルを示す。実施の形態1に沿って製造したCMPにより研磨したCu膜260をNHガスでのガスフロー処理で還元した後、真空を維持した連続処理でSiCN膜を5nm程度成膜したサンプルを用意した。比較例として、CMPにより研磨したCu膜260を、NHガスでのプラズマ処理で還元した後真空を維持した連続処理でSiCN膜を5nm程度成膜したサンプルと、還元処理をせずにSiCN膜を5nm程度成膜したサンプルとを用意した。酸素量の大小で還元力の大小を比較することができる。図7に示すように、実施の形態1におけるNHガスでのガスフロー還元は、従来のNHガスでのプラズマ還元と同等な効果を発揮することがわかる。よって、実施の形態1で説明したように、反応性ガスのプラズマ処理を行なわずに反応性ガスのガスフロー処理でも十分な還元を行なうことができる。そして、反応性ガスのプラズマ処理を行なわないことで絶縁膜220上にダメージ層を形成しないようにできる。
図8は、実施の形態1におけるCu表面へのSiの結合状況の一例を示す図である。実施の形態1においては、希ガスプラズマ処理工程(S106)で、プラズマCVD成膜室のチャンバ内面に形成したSiのプリコート層302とSiNのプリコート層300をプラズマ照射でスパッタリングしているが、かかるスパッタリングで各プリコート層が基板上に堆積するかどうかを確認した。ここでは、チャンバ壁面にSiN膜をプリコート層として形成後、Cu配線のCu膜が表面に露出した基板をチャンバ内に配置して、Siを含まないガスによるプラズマ処理を行なったサンプルを用意した。比較例として、チャンバ壁面にSiN膜をプリコート層として形成後、Cu配線のCu膜が表面に露出した基板をチャンバ内に配置して、Siを含まないガスを供給しながらプラズマ処理をしなかったサンプルを用意した。そして、各サンプルのCu膜表面を光電子分光法にて測定し、Siの結合状況を確認した。Cu膜であるので、プラズマ処理を行わなかったサンプルではSiの存在は確認できない。しかし、プラズマ照射を施したサンプルではSiの存在を示唆するピークが観測された。これは、SiNプリコート層がプラズマ照射によってスパッタリングされ基板上へ堆積したことに他ならない。よって、プラズマ照射プロセスによってチャンバプリコート層を基板上へ堆積可能であることが示された。
また、比誘電率kが2.6の層間絶縁膜が形成された複数の基板を準備し、反応性ガスのプラズマ処理を行った後での比誘電率kを水銀プローブを用いて測定した。ここでは、反応性ガスのプラズマ処理を行わないサンプルと5秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルと18秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルとを用意した。水銀プローブを用いて各サンプルの比誘電率kを測定した結果、以下の結果を得た。反応性ガスのプラズマ処理を行わないサンプルにおける層間絶縁膜の比誘電率kは2.6のままであった。これに対して、5秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルにおける層間絶縁膜の比誘電率kは2.8に上昇し、18秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルにおける層間絶縁膜の比誘電率kは3.1に上昇した。このように、反応性プラズマ処理によって比誘電率の増加が確認された。これより、層間絶縁膜に反応性プラズマ処理を行うことによって配線間容量の増加が発生する。これに対して、実施の形態1では、反応性プラズマ処理を行なわずに、希ガスのプラズマ処理をおこなっているのでかかる比誘電率の増加を抑制できる。
図9は、実施の形態1における印加電圧とリーク電流との関係の一例を示す図である。ここでは、上述した反応性ガスのプラズマ処理を行わないサンプルと、5秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルと、18秒間反応性ガスのプラズマ処理を行ったサンプルに対するリーク電流を、水銀プローブを用いて測定した。図9に示すように、反応性プラズマ照射によってリーク電流の増加が確認された。このことから、実際のLSI配線においても層間絶縁膜に反応性プラズマ処理を行うことによって発生するリーク電流の増加が懸念される。これに対して、実施の形態1では、反応性プラズマ処理を行なわずに、希ガスのプラズマ処理をおこなっているのでかかるリーク電流の増加を抑制できる。
以上のように実施の形態1では、絶縁膜に対して反応性プラズマ処理を行なわないので、ダメージ層の発生を防止し、絶縁膜表面の吸湿を抑えることができる。よって、配線間容量の増大や、Cu配線間のリークも抑制できる。このように、Cu配線間の絶縁性劣化を抑制できる。さらに、Cu表面にCuSi層を形成しているのでEM耐性も向上できる。
また、実施の形態1では、1つのプラズマCVDチャンバ内で真空状態を維持しながら連続的に図1の各工程を実施しているがこれに限るものではない。
図10は、マルチチャンバを備えた装置の一例を示す図である。チャンバ101,110,120とトランスファーチャンバ(T/C)130は、真空ポンプ140によって真空引きされている。例えば、チャンバ101を用いてチャンバプリコート処理工程(S102)と希ガスプラズマ処理工程(S106)を行い、チャンバ110を用いてガスフロー還元工程(S104)を行い、チャンバ120を用いてエッチングストッパ膜形成工程(S108)を行なってもよい。これらのチャンバ間の移動は真空状態が維持されたトランスファーチャンバ(T/C)130を介して行なえばよい。マルチチャンバを用いることで、チャンバプリコート処理工程(S102)とガスフロー還元工程(S104)とを並行して、或いはガスフロー還元工程(S104)を先に行なうこともできる。
以上の説明において、上記各実施の形態における配線層の材料として、Cu以外に、Cu−Sn合金、Cu−Ti合金、Cu−Al合金等の、半導体産業で用いられるCuを主成分とする材料を用いても同様の効果が得られる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、上述した例では、シングルダマシン法により一層分の配線層を形成する場合について説明したが、デュアルダマシン法により配線とヴィアプラグとを同時に形成する場合についても同様に成り立つ。
さらに、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置及び半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれ得ることは言うまでもない。
100 プラズマCVD装置、102 処理チャンバ、104 ガス導入口、200 基板、220 絶縁膜、222 緻密層、260 Cu膜、270 CuSi膜、280 SiN膜、282 エッチングストッパ膜、300,302 プリコート層

Claims (5)

  1. チャンバ内面にシリコン(Si)膜を表面層とする多層膜を形成する工程と、
    前記多層膜が内面に形成されたチャンバ内に、表面に銅(Cu)配線と絶縁膜とが形成された基板を配置して、希ガスプラズマ処理を行なう工程と、
    を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記希ガスプラズマ処理を行なう前に、前記基板を還元性ガス雰囲気に晒す工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記希ガスプラズマ処理によって前記基板上に堆積させたSi膜と前記Cu配線表面のCuとを反応させ、前記Cu配線表面をシリサイド化させることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記希ガスプラズマ処理を行なうことにより、前記基板上にCuSi膜とSiN膜とが順に形成され、
    前記SiN膜上にエッチングストッパ膜を形成する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記希ガスプラズマ処理によって前記絶縁膜を緻密化させることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の半導体装置の製造方法。
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